20-1. ジュリー&ジュリア

監督 ノーラ・エフロン
出演 メリル・ストリープエイミー・アダムススタンリー・トゥッチクリス・メッシーナリンダ・エモンド
2009年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 123分

解説
料理によって人生を豊かなものにしていった2つの時代に生きる女性の姿を描く、実話がベースの感動作。50年の時を隔てた2つの物語が並行して描かれ、観る者を温かな気分にさせる。

ストーリー
1949年。アメリカ人のジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、外交官の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤でパリにやって来る。好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、ここでフランス料理に出あい、名門料理学校ル・コルドン・ブルーで学ぶことを決意。持ち前の負けん気と明るい性格を武器に幾多の困難を乗り越え、夫の愛に支えられながらジュリアは学校を卒業する。その後、家庭で誰でも作ることができる524のレシピをまとめた料理本を出版すると、アメリカで大ベストセラーとなる。それをきっかけに料理番組に出演したジュリアは、身長185cmでかん高い声、本番中に失敗しても気にしない大らかなキャラクター、そして「ボナペティ!(召しあがれ)」という決まり文句で国民的大人気となっていった……。50年後の現代ニューヨーク。作家になる夢に破れ、派遣社員として働くOLのジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、冴えない毎日を過ごしていた。ある日、料理が大好きな彼女は、幼い頃から憧れていた料理研究家ジュリア・チャイルドの524レシピを365日で作り、それを毎日ブログに綴ることを思いつく。それは、自らの人生を変えたいという焦りから始めた無謀な挑戦であったが、試行錯誤を繰り返し、悪戦苦闘するジュリーのブログは、いつしか大評判になっていく……。




20-2. ワルキューレ

監督 ブライアン・シンガー
出演 トム・クルーズケネス・ブラナービル・ナイトム・ウィルキンソンカリス・ファン・ハウテン
2008年・アメリカ (東宝東和) 120分

解説
トム・クルーズが祖国を愛するがゆえに、独裁者ヒトラーの暗殺を企てた実在の人物、シュタウフェンベルク大佐に扮した歴史ドラマ。監督は 「Xメン」 シリーズのブライアン・シンガー。

ストーリー
ドイツの敗色が濃くなった第二次世界大戦末期。シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、国家に忠誠を誓う誇り高き軍人ながらも、ヒトラー総統による独裁政権に絶望していた。このままでは、愛しき祖国に未来はない。最前線で、無謀な戦乱から部下の命だけは救おうと上官に撤退を進言し、説得の末にようやく受け入れられるも、連合軍の爆撃を浴びてしまった。生死の境をさまよいながら、片目と片手を引き換えにシュタウフェンベルクは一命を取りとめた。そして、ドイツ再建のためにヒトラー暗殺計画を企てるレジスタンスの秘密会議に参加する。しかし、そこで語られる計画は、彼にとって物足りないものだった。ある日、自宅でワーグナーを聴いていたシュタウフェンベルクは、ドイツ国内での有事に際して反乱勢力を鎮圧する「ワルキューレ作戦」のオペレーションを利用して、ナチス政権をも転覆させる計画を思いつく。そのためには、「ワルキューレ作戦」の文書を改ざんしながらヒトラーから署名を貰うこと、そして発動権を持つ司令官フロム(トム・ウィルキンソン)を抱き込むことが必要だった。レジスタンスの主要メンバーであるトレスコウ少将(ケネス・ブラナー)、オルブリヒト将軍(ビル・ナイ)、ベック参謀総長(テレンス・スタンプ)らも賛同を示し、ヒトラー暗殺計画はミッションをクリアして着々と進行していった。自ら実行者を志願したシュタウフェンベルクは、最愛の妻と五人の子供たちを送り出し、小型爆弾を忍ばせたブリーフケースを持参して、総統大本営「狼の巣」へと向かう。ヒトラーも参加する作戦会議室にブリーフケースを置き、その場から去るシュタウフェンベルク。10分後、「狼の巣」は爆破され、暗殺計画は成功したかに見えた。しかし、ヒトラーは生き延びて、「ワルキューレ作戦」は失敗に終わる。処刑されるシュタウフェンベルクは、それでも祖国の未来を信じていた。




20-3. わが命つきるとも

監督 フレッド・ジンネマン
出演 ポール・スコフィールドウェンディ・ヒラーレオ・マッカーンロバート・ショウオーソン・ウェルズ
1966年・イギリス (コロムビア映画)

解説
ドクトル・ジバゴ」 のロバート・ボルトが彼自身の戯曲を脚色、 「日曜日には鼠を殺せ」 のフレッド・ジンネマンが製作・監督した作品で、アカデミー賞の作品賞に輝いているほか、数々の賞を獲得している。撮影は 「モール・フランダースの愛の冒険」 のテッド・ムーア、音楽は 「カトマンズの男」 のジョルジュ・ドルリューが担当した。出演は英国舞台俳優のポール・スコフィールド、 「息子と恋人」 のウェンディ・ヒラー、 「モール・フランダースの愛の冒険」 のレオ・マッカーン、 「バルジ大作戦」 のロバート・ショウ、 「パリは燃えているか」 のオーソン・ウエルズ、スザンナ・ヨークほか。総指揮はウィリアム・N・グラフ。

ストーリー
1528年、英国。当時の王はヘンリー8世(ロバート・ショウ)で、彼は若く精力旺盛であった。彼は女王カテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚しようとしていた。英国はローマ・カソリックの国であったから、離婚にはローマ法王の許しを得なければならなかった。王の2度目の結婚を法王に弁護出来る者は、英国中にただ1人しかいなかった。サー・トマス・モア(ポール・スコフィールド)彼は王の高等評議会の一員で信仰心あつく、ヨーロッパ中の人々から愛されている人であった。モアはチェルシーの領地で家族と楽しんでいた。妻のアリス(ウェンディ・ヒラー)、娘のマーガレット(スザンナ・ヨーク)や友人たちである。その時、ウォルジー枢機卿(オーソン・ウエルズ)からの使いが来て、モアはハンプトン宮殿へ召喚された。枢機卿はモアに、ヘンリー8世と女王の離婚を法王が承認するよう取りはからってくれと頼んだ。しかしモアはそれを拒否した。館に帰った彼はその夜、妻のアリスからノーフォーク卿がモアを大法官に推せんしていると告げた。1年後、ウォルジー枢機卿は王の離婚実現に失敗し、大寺院で寂しく死んだ。そしてサー・トマス・モアが大法官となった。ある夜ヘンリー8世がモアの館を訪れた。モアは王に忠誠を誓ったがローマ・カソリックの信者であるため、王の離婚には賛成しなかった。間もなく評議会がカンタベリー大寺院で招集され、国王はローマ法王に対する忠誠を放棄し、自ら英国教会の主となる、と発表された。モアはちゅうちょなく大法官の地位をすて、一市井人として静かな生活に入った。やがて王はカテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚した。ある日モアは大法官の秘書クロムウェル(レオ・マッカーン)に呼ばれた。彼はモアから王とその離婚についての言質をとって、罪におとしいれようとした。遂にモアは逮捕され、ロンドン塔に閉じこめられた。反逆の罪で彼はウエストミン・ホールの裁判に引き出された。死刑の宣告。モアは沈黙を破って言った。「私は王の忠実な召使いとして死にます。だが王より神のために死ぬのです!」と。




20-4. ロング・キス・グッドナイト

監督 レニー・ハーリン
出演 ジーナ・デイヴィスサミュエル・L・ジャクソンパトリック・マラハイドクレイグ・ビアーゴブライアン・コックス
1996年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ) 121分

解説
過去の記憶をなくした主婦、実は凄腕の特殊工作員と彼女によって事件に巻き込まれた私立探偵の冒険の旅を、ド派手なアクションの連続で描くアクション大作。 「リーサル・ウェポン」 「ラスト・ボーイスカウト」 のシェーン・ブラックが書き、ハリウッド史上最高値の四百万ドルで落札されたオリジナル脚本を、 「カットスロート・アイランド」 の監督レニー・ハーリン、主演ジーナ・デイヴィスの夫婦コンビ(その後離婚)で映画化。製作はハーリン、ブラック、 「トゥルーライズ」 のステファニー・オースティンの共同。製作総指揮は 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のスティーヴ・ティッシュ、リチャード・サパースタイン、マイケル・デ・ルカ。撮影のギレルモ・ナヴァロとスタント・コーディネーターのスティーヴ・M・デイヴィソンは、 「デスペラード」 「フロム・ダスク・ティル・ドーン」 のコンビ。音楽は 「フォレスト・ガンプ」 のアラン・シルヴェストリがスコアを書き、ボニー・グリーンバーグの監修の下、ニナ・チェリーの 「ウーマン」 、マディ・ウォーターズの 「マニッシュ・ボーイ」 ほか、新旧の挿入曲が使われている。美術は 「ユージュアル・サスペクツ」 のハワード・カミングス、編集はウィリアム・ゴールデンバーグ、衣裳は 「セブン」 のマイケル・カプラン、特殊視覚効果はジェフリー・A・オクン。共演は 「評決のとき」 のサミュエル・L・ジャクソン、舞台で活躍し本作が映画初出演のクレイグ・ビアーコ、 「クロッシング・ガード」 のデイヴィッド・モース、 「チェーン・リアクション」 のブライアン・コックスほか。

ストーリー
8年前、ニュージャージー州の浜辺で倒れていたサマンサ・ケイン(ジーナ・デイヴィス)は、全ての記憶を失っていた。以来彼女は小学校の教師をしながら、優しい夫ハル(トム・アマンデス)と8歳の娘ケイトリン(イヴォンヌ・ジーマ)と幸せな日々を送っていた。ところが、クリスマス・イヴに交通事故に遭い、その衝撃で断片的に記憶が甦る。退院したサマンサをある夜、片目の男が襲撃するが、彼女は無意識のうちに体が反応して戦い、相手の首をへし折ってしまう。不安に陥った彼女は、自分の過去を調査するために雇った私立探偵のミッチ・ヘネシー(サミュエル・L・ジャクソン)と共に、失われた記憶を探す旅に出た。2人はまず、サマンサ宛の手紙を手掛かりに、ネイサンという人物と連絡を取り、駅で待ち合わせる。そこへ突如出現した武装集団が彼らを襲うが、サマンサは身に覚えのない射撃のテクニックで敵と渡り合い、窮地を脱する。そこへネイサン(ブライアン・コックス)が現れ、サマンサの素姓を明かした。実は、彼女はチャーリーと呼ばれていたCIAの暗殺専門の特殊工作員で、8年前の任務遂行中に死んだものと思われていたという。ネイサンの話を信じない2人は、手掛かりを握るルーク(デイヴィッド・モース)という男の農場へ向かうが逆に捕まり、ネイサンも殺されてしまう。サマンサは拷問によって生死の境を漂ううち、記憶を取り戻す。超人的な射撃の腕でルークの息の根を止めた彼女は、全てを思い出した。ルークの正体は武器商人のディダラスで、片目の男ジャックはその部下だった。8年前、ディダラスや彼と結託する巨大犯罪組織のボス、ティモシー(クレイグ・ビアーコ)を暗殺する命令を受けた彼女は、上司のCIA局長パーキンス(パトリック・マラハイド)が彼らの黒幕であることを知ったために殺されかけ、断崖から転落したのだった。パーキンスとティモシーはサマンサを亡き者にせんと、彼女の愛娘ケイトリンを誘拐。サマンサとミッチは罠を承知で、一味が極秘の“ハネムーン計画”を進めるナイアガラの滝に向かうが、敵に捕まってしまう。パーキンスは冷戦終結後の情勢の変化によって弱体化したCIAを憂い、アラブ人ゲリラの仕業に見せかけた爆発事故を起こすことによって、対テロ用の予算の獲得とCIAの存続をもくろんでいた。脱出したサマンサとミッチは死に物狂いで戦うが、時限爆弾と化したタンクローリーはケイトリンを乗せたまま暴走する。サマンサは力尽きて倒れるが、間一髪、ミッチが母娘を救出。サマンサはティモシーを倒し、3人は大爆発の中を脱出した。パーキンスは反逆罪で告発され、ミッチはヒーローとなり、サマンサはまた元の生活に戻った。




20-5. 消されたヘッドライン

監督 ケヴィン・マクドナルド
出演 ラッセル・クロウベン・アフレックレイチェル・マクアダムスケイティ・ミクソンジェイソン・ベイトマン
2008年・アメリカ (東宝東和) 133分

解説
英国のテレビドラマシリーズをラッセル・クロウ主演で映画化した骨太なサスペンス・ミステリー。国家権力や莫大な利権が絡む謀略の構図を暴こうとする新聞記者の苦闘を描く。

ストーリー
キャル(ラッセル・クロウ)はワシントン・グローブ紙のベテラン記者。ある日、1人の女性の死亡記事が紙面に掲載される。その被害者女性と将来有望な国会議員コリンズ(ベン・アフレック)のスキャンダルを追っていたワシントン・グローブは、前夜に起こった別の殺人事件との奇妙な関連に気づく。豪腕の女編集長キャメロン(ヘレン・ミレン)の指示で、渦中のコリンズに接触するキャル。旧友であり取材対象でもあるコリンズとのやりとりをきっかけに、彼は相棒のデラ(レイチェル・マクアダムス)とともに、警察の捜査とは別に独自の調査を開始。持ち前の知恵と行動力を駆使して、次第に事件の裏側に迫っていく。ライバル紙のスッパ抜き、クールな上司のプレッシャー、警察との腹の探り合い。困難な状況を乗り越え、ベテランならではの鋭い嗅覚で真相に迫るキャルだが、そこに待ち受けていたのは、想像を絶するアメリカ最大の闇。やがて、自ら紙面で国家権力に挑戦状を叩きつけることになったワシントン・グローブの記者たちに危機が訪れる。迫りくる暗殺の恐怖、幾多の社会的圧力。はたして彼らは、真実を暴くことができるのか……?




20-6. 栄光への脱出

監督 オットー・プレミンジャー
出演 ポール・ニューマンエヴァ・マリー・セイントラルフ・リチャードソンピーター・ローフォードリー・J・コッブ
1960年・アメリカ (ユナイテッド・アーチスツ) 208分

解説
ユダヤ人国家イスラエルの建国物語とでもいうべき70ミリ作品。レオン・ユーリスの原作小説を 「ポギーとベス」 のオットープレミンジャーが製作・監督。シナリオを書いたのは 「スパルタカス」 のダルトン・トランボ。撮影を担当したのは 「カルメン(1954)」 のサム・リーヴィット。音楽はアーネスト・ゴールド。タイトル・デザインをソウル・バスが受けもっている。出演するのは 「北北西に進路を取れ」 のエヴァ・マリー・セイント、 「熱いトタン屋根の猫」 のポール・ニューマン、サル・ミネオなど。

ストーリー
1947年の地中海キプロス島。当時キプロスにはイスラエルに帰ろうとするユダヤ人たちが英軍によって収容されていた。パレスチナを委任統治していた英国がアラブ諸国との紛争をさけるためとった政策である。アメリカ女性、キティ・フリーモント(エヴァ・M・セント)はキプロスで死んだキャメラマンの夫の様子を探るため現地にやってきた。英軍司令官サザーランドが彼女に便宜をはかってくれた。収容所のユダヤ人たちの窮状をみた彼女は看護婦として、働くことにした。そこでユダヤの美少女カレンや17歳のユダヤ少年ドヴ・ランドーと彼女は知り合った。少女と少年は互いに愛情を抱いていた。その頃、1人のユダヤ人地下組織のリーダーがキプロスに潜入した。アリ・ベン・ケナン(ポール・ニューマン)である。元英軍将校だった彼の任務は、ユダヤ国家再建のためキプロスのユダヤ人たち2800名をエルサレムに送りこむことだった。軍服を利用して、彼は貨物船オリンピア号をエクソダス号と改名、ユダヤ人たちをのせて港を出ようとした。英軍はこれを知って停船を命じた。ユダヤ人たちはハンストをもって対抗した。美少女カレンを養女にしようとしたキティも、少女とともにこの船の中にいた。やがて世界の世論に負けた英軍はエクソダス号出港を許し、一行はハイファについた。カレンら少年少女はガガリーの丘にあるユダヤ人の「青春の村」におちついた。アリの父バラクや友好的なアラビア人ハタが一行を迎えた。バラクの弟アキバは戦闘的なユダヤ人地下組織のリーダーで、アリたちの平和主義者と対立していた。ドヴ・ランドー少年はこの一派に加わった。エルサレムでアリとめぐりあったキティは、彼に愛情を感じた。その頃アキバ1派は暴動をおこして英軍に捕らえられ、刑務所に入れられた。アリはアラブ諸国の妨害を排除するにはユダヤ人組織を統一するのが必要と考え、アキバたちを救出した。しかしアキバは彼の腕の中で死んだ。1947年11月、国連はパレスチナ分割を可決しユダヤ人の国イスラエル共和国が誕生した。が、そのことは同時にユダヤ人とアラブ諸国の争いが本格化することを意味していた。元ナチ将校フォン・ストークに指揮されたアラブ人たちはユダヤ人地区を襲撃しハタを殺した。アリは少年少女を「青春の村」から脱出させ戦闘体制をととのえた。カレンが銃弾に倒れたが、ユダヤ人たちは屈しなかった。今はアリと行を共にする決心をしたキティも銃をとった。




20-7. シャーロック・ホームズの冒険

監督 ビリー・ワイルダー
出演 ロバート・スティーブンスコリン・ブレークリージュヌヴィエーヴ・パージュクリストファー・リーアイリーン・ハンドル
1970年・アメリカ (ユナイト) 125分

解説
聖書につぐ世界のベストセラーと言われる探偵小説の主人公“シャーロック・ホームズ”の書かれざる私生活。製作・オリジナル脚本は 「昼下がりの情事」 「アパートの鍵貸します」 「恋人よ帰れ! わが胸に」 などの名コンビ、監督のビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンド、撮影は 「チキ・チキ・バン・バン」 のクリストファー・チャリス、音楽は 「ベン・ハー(1959)」 のミクロス・ローザ、美術をトニー・イングリス、編集はアーネスト・ウォルターがそれぞれ担当。出演は 「ミス・ブロディの青春」 のロバート・スティーブンス、 「魚が出てきた日」 のコリン・ブレークリー、 「昼顔」 のジュヌヴィエーヴ・パージュ、 「マジック・クリスチャン」 のクリストファー・リー。その他、アイリーン・ハンドル、モリー・モーリンなど。

ストーリー
ロンドンのある銀行の保安庫に、死後50年開封禁止となっていたワトソン博士の遺品が開かれようとしていた。それは探偵術を芸術にまで高めた、かの名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・スティーブンス)と、彼の解いた数々の難事件の記録者であり良き伴侶だったジョン・ワトソン(コリン・ブレークリー)博士の共同生活の記録と事件である。しかし、それはあまりにも彼らの私生活にかかわりがあるため、かくの如き扱いになっていたのだ。それがこの物語である……。ホームズは死ぬほど退屈していた。依頼してくる事件といえば、サーカスの団長が6人のコビトの行方を探してくれとか、ロシア・バレエ団のプリマの求婚とかつまらぬものばかり。ところがある霧の夜、辻馬車の御者が、ずぶ濡れの 美女をホームズの下宿に運び込んできた。女主人のハドソン夫人(アイリーン・ハンドル)もビックリ。女は河に落ちて記憶を失っていたが、握りしめていた荷物預かり証の裏に、ホームズの下宿の住所が書き込まれていたのだった。ホームズは彼女の結婚指輪や衣服から、彼女はベルギー人のエミール・バラドン夫人ガブリエル(ジュヌビェーヴ・パージュ)と探り出す。翌朝、記憶を取り戻した彼女は、鉱山技師の夫が空気ポンプの発明をしたが、ロンドンのヨナ商会に就職して3週間、トンと音沙汰がないという。ところがヨナ商会に行ってみると空き家であり、人の気配のないところに大量のカナリアが飼われていた。不思議なことに、その空き家に投げ込まれた手紙は、ホームズ宛のものだった。そこで彼とワトソンは、手紙の主である兄のマイクロフト・ホームズ(クリストファー・リー)を訪ねる。そこはジオゲネス・クラブといい、そのクラブの会員は国際的イザコザのあるところには必ず一口噛んでいるという妙な会であり、マイクロフトは、ガブリエルが依頼した件から手を引けと言う。しかしこれは逆効果で、ホームズの好奇心をムラムラ湧き上がらせるのだった。彼はここで聞き齧った3つの謎めいた言葉と、カナリアの籠に敷いてあった新聞などから、事件の鍵がスコットランドのネス湖にあると睨み、ホームズとワトソン、ガブリエルは旅立った。第一の言葉は墓場であり、今しも埋葬されんとする棺は、大人用のと子供用のもの。大きな棺を開けると、エミール・バラドンの変死体があった。結婚指輪が変色し、不思議なことに白に変色したカナリアの死骸も入っている。第二の鍵は、古城である。警戒厳重な古城にカナリアの大籠や硫酸の瓶が運び込まれる。ホームズにはもうメドがついたらしいが、他の2人はさっぱり訳が判らない。その夜、3人はネス湖上へとボートを漕ぎ出すが、そこへホームズが待ち受けていたものが姿を現す。そう、ネス湖名物大怪獣である。怪獣はボートを転覆させて姿を消した。第三の鍵は向こうからやってきた。マイクロフトからの晩餐への招待であった。シャンパンの瓶を見ながらホームズは推理を披露する。要は聖書に曰く「巨鯨の腹中にヨナは3日3晩生きていた…」のヨナである。彼らが遭遇したのは、ネス湖の怪獣に見せかけた潜水艦だった。小型実験艦ゆえコビトが運転し、硫酸電池を動力源として塩素ガス発生を探知するため、カナリアを使った。バラドンのポンプはそのためのものだったが、1回目は失敗して彼は死に、塩素のために指輪は変色した…と。しかし、彼の見抜けなかたことが1つあった。この事件の依頼人は麗しきバラドン夫人ではなく、英国と潜水艦開発にしのぎをけずるドイツ帝国であり、夫人はスパイであったのだ。ところがこの世界最初の潜水艦も、その日の貴賓ビクトリア女王(モリー・モーリン)の一喝により、廃棄させることとなった。潜水艦はスポーツマン・シップがモットーの英国らしくないというのだ。そして艦は、ガブリエルと連絡を取っていたスパイ団と一緒にネス湖に沈む。英国一の頭脳が美人スパイに痺れた物語は、ガブリエルが去ったことで終わりを告げる。かくてホームズに、また退屈のムシがつき始めるのだった。




20-8. グッドナイト・ムーン

監督 クリス・コロンバス
出演 ジュリア・ロバーツスーザン・サランドンエド・ハリスジェナ・マローンリーアム・エイケン
1998年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 125分

解説
離婚した夫婦と夫の新しい恋人が織りなす新たな家族の姿を描いたハートフルロマン。 「ベスト・フレンズ・ウェディング」 のジュリア・ロバーツと 「デッドマン・ウォーキング」 のスーザン・サランドンの二大女優が共演。監督は 「ミセス・ダウト」 「9か月」 のクリス・コロンバス。脚本はジジ・リバンシーの原案を、 「ベスト・フレンズ・ウェディング」 のロン・バス以下、 「コリーナ コリーナ」 のジェシー・ネルソン、 「微笑みをもう一度」 のスティーヴン・ロジャース、 「悲しみよさようなら」 のカレン・ライト・ホプキンスの共同。製作は 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のウェンディ・ファイナーマンとマーク・ラドクリフ、マイケル・バーナザン。製作総指揮はロバーツとサランドン、ロン・バス、パトリック・マコーミック、マーガレット・フレンチ・アイザック。撮影は 「9か月」 のドナルド・M・マカルパイン。音楽は 「プライベート・ライアン」 のジョン・ウィリアムス。美術は 「ハンナとその姉妹」 のスチュアート・ワーツェル。編集は 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 のニール・トラヴィス。衣裳は 「ノーバディーズ・フール」 のジョゼフ・G・アウリシ。共演は 「トゥルーマン・ショー」 のエド・ハリス、 「コンタクト」 のジェナ・マローン、 「私の愛情の対象」 のリーアム・エイケンほか。

ストーリー
ニューヨーク。売れっ子ファッション・フォトグラファーのイザベル(ジュリア・ロバーツ)は弁護士のルーク(エド・ハリス)と恋に落ち、同居生活を始める。ところが、彼には別れた妻ジャッキー(スーザン・サランドン)になつくふたりの子供、12歳のアンナ(ジェナ・マローン)とベン(リーアム・エイケン)がいた。ジャッキーと交替でふたりの世話を始めるが、子育ての経験もなく、仕事にも追われる身でもあるイザベルは、完壁な母親だったジャッキーとは違って失敗の連続。だが、ジャッキーが実はガンに冒されている身の上だとわかってから、ふたりは打ち解けていく。ふたりの子供たちもジャッキーのイザベルのいいところをみてあげるようにという忠告を受け入れて、徐々になつきはじめた。そしてある日、アンナの恋の悩みをイザベルは解決。こうしてイザベルはジャッキーにはおよばないまでも母親として晴れて新たな家族の一員となるのであった。




20-9. サンダーボルト

監督 マイケル・チミノ
出演 クリント・イーストウッドジェフ・ブリッジスジョージ・ケネディジェフリー・ルイスキャサリン・バック
1974年・アメリカ (ユナイト映画) 115分

解説
強奪した50万ドルをめぐって敵味方入り乱れて展開されるアクション映画。製作はロバート・デイリー、監督・脚本はマイケル・チミノ、撮影はフランク・スタンレー、音楽はディー・バートンが各々担当、出演はクリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジョフリー・ルイス、キャサリン・バック、ゲイリー・ブッシーなど。

ストーリー
ここは西部のとある教会。黒い服をまとった宣教師が説教をたれている。そこに1台の車が止まり、降り立った男が突如、宣教師めがけて発砲した。脱兎の如く逃げる宣教師。実は宣教師とは真赤な偽りで、男の名はジョン・ドーアティ(クリント・イーストウッド)、別名サンダーボルト(雷)とも呼ばれる有名な銀行強盗だった。綽名の由来は、彼が銀行を襲撃するやり口が20ミリ機関砲で金庫に風穴を開けるという独特の手口を見せることからきていた。そしてそのサンダーボルトを追う男はレッド・レアリ(ジョージ・ケネディ)。レッドはかつてサンダーボルトと一緒に、モンタナ現金輸送会社から50万ドル強奪したが、事件の首謀者ビリー・ラムが突然心臓マヒで死んでしまい、そのためにレッドはサンダーボルトが50万ドルを持ち逃げしたと思い込んでいるのだ。だが、実は50万ドルはラムが子供の頃通った小学校の黒板の裏に隠してあった。サンダーボルトは、レッドの銃撃から危うく逃れ、逓送する最中にライトフット(ジェフ・ブリッジス)という威勢のよい若者と道連れになった。ライトフットは車の運転は抜群、女はすぐ調達といった具合で、軽い足の綽名どうりすばしっこい好漢だった。彼と組んだことから、サンダーボルトは50万ドルを取り戻す絶好のチャンスと盗んだ車で小学校に駈けつけた。だが意外なことに金が隠匿されている筈の昔の校舎に変わって、新しい校舎が建てられていた。運が悪いというか、そこに現われたのがレッドとグッディ(ジョフリー・ルイス)、銃を突きつけ分け前を要求するが、事情を聞かされ憤懣やる方なし。そしてライトフットの提案で、もう1度同じ手口でモンタナ現金輸送会社を襲うことになり、誰もいなくなる日曜日の夜、決行と決まった。警察直通の電話線を警戒し、金庫をぶち破り、大金強奪と同時に一目散に逃走だ。2度目のことだし万事がうまくいく筈だった。トランクからはみ出したグッディの衣服さえ料金係に見とがめられなかったら。パトカーのサイレンに泡をくって逃げだす強盗一味。グッディは警官の弾丸で瀕死の重体、レッドは気が狂ったのか、サンダーボルトとライトフットを滅茶苦茶に殴り倒し、車と金を奪って逃げようとしたが、結局は追いつめられ、デパートのウインドーに正面衝突してあえない最後を遂げた。一方、命からがら逃げだしたサンダーボルトとライトフットはとぼとぼハイウェイをヒッチハイク。そこで彼らに幸運の女神が奇蹟をもたらした。何と最初に奪った50万ドルが隠されている、取り壊された筈の古い校舎が、眼前に現われたのだ。モンタナ州の文化記念物として、州当局から移転され今や観光客のアトラクションになっているという。喜び勇んで50万ドルを手にする2人の姿は、いつしかハイウェイを颯爽と走るまっ白いキャデラックの上にあった。そのとき突然ライトフックの身体がくずれ落ちた。警察隊に包囲された際、気が狂ったレッドに殴られたのが今頃になってきいてきたのだ。サンダーボルトは慌ててキャデラックを停めたが、最早、彼にもどうすることもできなかった。あえない最後を遂げた今は亡きフットライトの夢をのせた白いキャデラックは、ひた走りにハイウェイを走り続けた。




20-10. マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと

監督 デイヴィッド・フランケル
出演 オーウェン・ウィルソンジェニファー・アニストンエリック・デインキャスリーン・ターナーアラン・アーキン
2008年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 118分

解説
全米で大ヒットを記録した動物コメディ。型破りなほどヤンチャな犬を家族として迎え入れた夫婦の奮闘が爆笑を誘い、人生のすばらしさをうたう物語が感動を呼ぶ。

ストーリー
雪の舞うミシガンで結婚式を挙げたジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)は、共にジャーナリストとして働く新婚カップル。ふたりは暖かなフロリダに家を買い、新しいキャリアと結婚生活をスタートさせた。だが、子どもがほしいとは思っていたものの、二人にはまだ親になる心の準備が整っていない。そう打ち明けるジョンに、地方新聞社の同僚で独身貴族のセバスチャン(エリック・デイン)は、子育ての予行演習として子犬を飼えばいいと進言する。そしてジェニーの誕生日プレゼントとしてやって来たのが、クリーム色のラブラドール・レトリーバー、マーリーだった。ところがマーリーは、手に負えないほどやんちゃで元気いっぱい。ほかの犬や飼い主にとびかかり、顔中をヨダレまみれにする。家具を噛みちぎっては何でもかんでも食べたがる。しつけをしようと犬の訓練学校に入れてはみたものの、インストラクターのミス・コーンブラット(キャスリーン・ターナー)にサジを投げられ、お払い箱にされる始末。そんなマーリーに手を焼きながら、夫妻はようやく子どもを持つことを決意する。やがてジェニーは妊娠するが、ジョンが奮発して買ったネックレスをマーリーが飲み込んでしまう。翌日、ジョンはマーリーの排泄物から、より輝きを増したネックレスを発見した。10週間後、夫妻に突然の悲しみが襲う。ジェニーが流産したのだ。悲しみに暮れるジェニーのそばに、マーリーがそっと寄り添っていた…。それから10ヶ月。夫妻は遂に親になった。二人の心配をよそにマーリーは赤ちゃんのおむつの匂いにウットリし、彼のよき友達になっていく。やがて夫妻の子どもは3人になり、新たなキャリアを求めてフィラデルフィアへと引っ越した。いつも家族のそばにはマーリーがいる。季節はめぐり、ジョンとその家族は、マーリーがいかに自分たちにかけがえのない人生を与えてくれたかに気付くときが来た……。




20-11. マイレージ、マイライフ

監督 ジェイソン・ライトマン
出演 ジョージ・クルーニージェイソン・ベイトマンヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリックダニー・マクブライド
2009年・アメリカ (パラマウント ピクチャーズ ジャパン) 109分

解説
人と関わりを持つことを避けてきた男が、さまざまな出会いを通して変化してゆくさまを描く人間ドラマ。ジョージ・クルーニーが飛行機のマイルを貯めるのが趣味の風変わりな主人公を好演。

ストーリー
年間322日、リストラ担当として出張するライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)のモットーは、“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”。カードに貯まったマイレージは1000万マイル目前で、それを達成することが人生の目標となっていた。今日も無駄のない動きで空港のゲートを通り抜け、ホテルでは行列を尻目に会員優先デスクでチェックイン。今のところ自分の生き方に疑問を挟む余地は見当たらなかった。ライアンは、彼と同じく出張で全国を飛び回っているアレックス・ゴーラン(ヴェラ・ファミーガ)と出会い、同じ価値観を持つ二人は意気投合、ベッドを共にする。ある日、ライアンは、ボスのクレイグ・グレゴリー(ジェイソン・ベイトマン)から新入社員のナタリー・キーナー(アナ・ケンドリック)を紹介され、彼女の教育係に任命される。ナタリーは優秀だが典型的な現代っ子で、いずれは出張を廃止するという合理化案を提出。ライアンと衝突することは目に見えていた。そんな折、ライアンは姉のカーラ(エイミー・モートン)から、厄介なことを頼まれる。3週間後に結婚する妹のジュリー(メラニー・リンスキー)のために、彼女と婚約者が写った看板を持ち歩き、出張する先々で写真を撮ってきてほしいというのだ。だが、ライアンはナタリーとともに出張を続けながら、アレックスとの時間を作ることを計画。一方のナタリーは、人を“きる”ことで初めて目にした様々な人生に衝撃を受け、さらに自らの仕事を皮肉るかのように、恋人からメールだけで別れを告げられたことに心を乱されていた。ライアン、ナタリー、アレックスが初めて顔を合わせた時、ナタリーは、アレックスに対して「気軽な関係」としか言えないライアンを非難する。しかし実はライアンも人生で初めて、空っぽのバックパックに何か入れたい、と思い始めていたのだった……。




20-12. J・エドガー

監督 クリント・イーストウッド
出演 レオナルド・ディカプリオナオミ・ワッツアーミー・ハマージョシュ・ルーカスジュディ・デンチ
2011年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画) 138分

解説
レオナルド・ディカプリオ主演、クリント・イーストウッド監督という、ハリウッドきっての黄金コンビで、FBI初代長官、ジョン・エドガー・フーバーの半生をつづる衝撃のドラマ。1972年に亡くなるまで、50年近くも政府機関の長を務め、世界で最も恐れられ、アメリカを支配した男の知られざる姿が明らかになる。

ストーリー
FBIのジョン・エドガー・フーバー長官(レオナルド・ディカプリオ)は、人生の終盤に差し掛かり、部下に命じて回顧録を書き取らせる。記憶はFBI誕生以前へと遡り、彼の表の経歴が語られるとともに、その裏側の野望、企み、葛藤、苦悩が次第に明らかにされていく……。20世紀の半分を占めるおよそ50年もの間、アメリカで大統領さえも及ばない強大な権力を手にしていた男。そのたった一人の人間が、アメリカのあらゆる秘密を掌握し、国さえも動かしていたという事実。50年間に入れ替わった大統領は8人にのぼり、その誰もが彼を恐れた。それが、ジョン・エドガー・フーバーFBI初代長官である。20代でFBI前身組織の長となり、以後、文字通り死ぬまで長官であり続けた。今日では当たり前とされる科学捜査の基礎を確立し、犯罪者の指紋管理システムを作ったのも彼なら、FBIを子どもたちの憧れの的にまで押し上げたのも彼だった。紛れもない英雄であるにもかかわらず、彼には常に黒い疑惑やスキャンダラスな噂がつきまとった。やがて、国家を守るという絶対的な信念は、そのためになら法を曲げてかまわないというほど強く狂信的なものとなる。それゆえ彼は正義にもなり、悪にもなった。国を守るという大義名分のもと、大統領を始めとする要人たちの秘密を調べ上げ、その極秘ファイルをもとに彼が行った“正義”とは一体何だったのか?映画やコミックを使ってFBIの素晴らしき喧伝させる裏側で、彼は何を画策していたのか……?あきなく高みを目指した男の深い心の奥底が描かれる……。




20-13. 野郎どもと女たち

監督 ジョセフ・L・マンキーウィッツ
出演 マーロン・ブランドジーン・シモンズフランク・シナトラヴィヴィアン・ブレインロバート・キース
1955年・アメリカ (MGM) 150分

解説
原作はニューヨークの下町を舞台にアメリカ的風俗詩を描いた短編小説作家デーモン・ラニョンの“サラ・ブラウン嬢の挿話”で、ジョー・スワーリングとエイブ・バロウズがミュージカル・プレイにアダプトし、1950年ブロードウェイで上演した。スワーリングとバロウズの台本から、 「裸足の伯爵夫人」 のジョセフ・L・マンキーウィッツが脚色・監督した。撮影は 「トロイのヘレン」 ノハリー・ストラドリング、作詩・作曲は舞台同様 「アンデルセン物語」 のフランク・ローサー、音楽監督と演奏指揮はジェイ・ブラックトン、舞踏振付けは 「いつも上天気」 に自身出演した 「略奪された7人の花嫁」 のマイケル・キッド。主な出演者は、 「デジレ」 で共演したマーロン・ブランドとジーン・シモンズ、 「見知らぬ人でなく」 のフランク・シナトラの他、舞台で同役を演じたヴィヴィアン・ブレイン、スタッビー・ケイ、B・S・プリイ、ジョニー・シルヴァなど。サミュエル・ゴールドウィン製作。

ストーリー
タイムス・スクエア近くの街頭で、サラ・ブラウン(ジーン・シモンズ)という救世軍の女軍曹が、魂を救うにはわが許に来たれと熱弁を振っていた。その頃、お調子屋のジョンスン(スタッビー・ケイ)と南街のベニイ(ジョニー・シルヴァ)の2人は、お馬のハリー(シェルドン・レオナード)に出逢った。ハリーは、ネイザン・デトロイド(フランク・シナトラ)の賽ころ博奕の賭場を探していると言ったが、ネイザンは場所を変えて警察の目を逃れていた。ジョンスンとベニイの2人は理髪屋でネイザンを探しているブラニガン警部(ロバート・キース)に出逢ったが、警部は今にネイザンの賭場を押えてやると言った。ネイザンは近頃シケていた。場所を貸してやろうというジョイは、前金1000ドル出せば車庫を貸すと言う。お蔭で、14年も婚約している恋人アデレイド(ヴィヴィアン・ブレイン)にプレゼントすらできない。彼は、町に大博奕打ちのスカイ・マスタスン(マーロン・ブランド)が来ていると知り、彼に1000ドルの賭をしないかと云うが仲々乗らない。この時街を救世軍の楽隊が通った。ネイザンは先頭のサラを指して、彼女をハバナへ連れて行けるかどうか1000ドルの賭をしようと言い、スカイは承知した。サラの伝道はさっぱりで、辞職してボストンに帰ろうかと考えていた。そこへスカイが入って来て、罪人を12人連れて来ようと約束し、サラは深夜大集会を盛会にできると思い承知した。スカイはサラをキューバに連れ出していたが彼女の純真さと愛を知り、手をつけずにその夜遅く2人でニューヨークに帰った。伝道所に帰ると、警察の車が来て中から出て来た博奕屋どもを捕えた。サラはスカイも一味と思いこんだが、楽隊員のアヴィド(R・トーミィ)からスカイは一味と関係がないときいた。お調子屋とスカイが秘密の賭場に行くとビッグ・ジュールのインチキ賽でネイザンが裸にされていた。スカイが12人の罪人のことを話しても皆嫌がって応じない。止むなくスカイは、たった1度の博奕でこれを決めることにした。夜半2分前、カートライト将軍とサラの前に、博奕屋がぞろぞろと現われた。彼らが懺悔している最中、ブラニガン警部が飛び込んできて、伝道所を賭場にした、と息まいたがサラの証言で疑いは晴れた。サラはスカイを探す途中、ネイザンを追い求めていたアデレイドに出会い、自分達の誤解を認めた。やがて、ミンディ料理店では、ニューヨーク中の野郎共と女たちの列席の上、2組の結婚式が挙げられた。




20-14. コンテイジョン

監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 マット・デイモンケイト・ウィンスレットローレンス・フィッシュバーンジュード・ロウグウィネス・パルトロウ
2011年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画) 106分

解説
巨匠スティーヴン・ソダーバーグ監督が、突然、世界中に蔓延していく謎のウイルスの恐怖を描くサスペンス・ドラマ。最初にウイルスの犠牲者となる女性をグウィネス・パルトロウが演じるほか、その夫役のマット・デイモンら豪華キャストが集結。綿密なリサーチに裏付けられたリアリティあふれる設定が恐怖感を高めている。

ストーリー
ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)は香港出張の帰り、夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅に向かわず、シカゴで元恋人と密会する。だが、ベスは咳と熱を発症しており、同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていた。その事件に疑惑を抱いたフリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、政府が伝染病を隠しているのではないかとブログで指摘する。さらに帰国から2日後、ベスが死亡し、続けてベスの連れ子クラークも命を落とす。報告を受けた世界保健機構(=WHO)のドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)たちが、続いてアトランタの疾病予防センター(=CDC)が調査に乗り出す。エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)の指示でミネソタに派遣されたドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は、感染が疑われる人々の隔離を実施。カリフォルニア大学の医師が、コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスであることを解明したが、現時点では治療法もワクチンもない。WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。ワクチン開発に全力が注がれるものの、ウィルスは変異し、恐るべき速度で感染拡大してゆく。折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているとの噂が広まったことから、中国衛生部のスン・フェンが故郷の村人のワクチンとの引き換えとして、オランテスを拉致。任務途中で感染するミアーズ。恋人に極秘情報を漏らしてしまうチーヴァー。娘を家に閉じ込めるミッチ。それぞれが愛する者を守ろうとする中、アランは政府が有効な治療薬を隠していると主張。恐怖はウィルスよりも早く感染し、パニックを起こした人々によって、各地で暴動が勃発する。それぞれが選んだ決断は……?そして明かされるウィルスの発生地点とは……?




20-15. 荒野のストレンジャー

監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッドヴァーナ・ブルームマリアンナ・ヒルミッチェル・ライアンジャック・ギンク
1972年・アメリカ (ユニヴァーサル=CIC)

解説
謎の無宿者が西部の町を訪れたことから怒るパニックを描く。製作はロバード・デリー、監督は 「恐怖のメロディ」 に続きこれが監督第2作目のクリント・イーストウッド、脚本は 「フレンチ・コネクション」 でアカデミー脚本賞を受賞したアーネスト・タイディマン、撮影はブルース・サーティーズ、音楽はディー・バートン、編集はフェリス・ウェブスター、が各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル、ミッチェル・ライアン、ジャック・ギンク、ステファン・ギーラッシュ、テッド・ハートレイ、ビリー・カーティス、ジョフリー・ルイス、ウォルター・バーンズ、アンソニー・ジェイムズ、ダン・デイビス、ウィリアム・オコンネルなど。

ストーリー
高原の町ラーゴに、1人の無宿者(クリント・イーストウッド)がやってきた。男は馬を納屋にあずけると酒場に入り、飲み始めた。そこに、ビル、トミー、フレッドの3人が入ってきて男にからんだが、男はそれを無視した。男は次に床屋へ行った。そこへもさっきの3人組がやってきて嫌がらせを始めたが、突然、白衣の下から男の拳銃が火を吹いた。3人は床に倒れた。一瞬の出来事だった。その場に居合わせた小びとのモーデカイ(B・カーティス)は声もなくただ見つめるだけだった。床屋から出た男は、向こうからやってくるカリー・トラバース(マリアント・ヒル)を納屋に連れ込むと、強引に犯してしまった。翌朝、男はホテルの主人ルイス(テッド・ハートレイ)にしばらく滞在するむね告げた。ルイスの妻サラ(ベルト・ブルーム)は、この男をどこかで見たような気がしてならなかった。その頃、ステイシー・ブリッジス(ジョフリー・ルイス)、コール(アンソニー・ジェイムス)、ダン(ダン・デイビス)という兄弟が刑務所から放免になって、この町に向かっていた。3人はかつてラーゴ鉱山会社で用心棒をしていたことがあったが、金塊を持ち出し、さらに逮捕しようとした連邦保安官をムチで叩き殺したのだ。ラーゴではこのニュースをいちはやく受け取っていた。そして、町を復讐から守るために、例の正体不明の無宿者を雇うことになった。町を挙げての防戦体制がしかれ、男とモーデカイに絶大な権限があたえられた。だが、この男の行動が理解できない鉱山会社のドレイクやモーガン(ジャック・ギング)は男を用心棒として雇ったことを後悔し始めた。一方そんなことにはおかまいなく、男はホテルの客を残らず他の場所に移し、カリーとホテル暮らしを始めた。ある夜、2人の部屋へモーガンと数人の男たちが侵入し、手にしたコン棒を寝ている男の上にあびせた。だが男は窓の外のベランダからダイナマイトを投げつけ部屋もろとも吹っとばしてしまった。翌日、男はモーデカイに指揮を命じて、どこかへ去っていった。町の連中は、彼がいなくてどうやって町を守るのかと恐怖におののき、騒ぎ始めた。そんなところにステイシー兄弟がやってきたからたまらない。混乱している町を乗っ取るのは、3人にとっていとも簡単なことだった。人々を酒場に集め、3人は勝手放題にいやがらせを始めた。コールが馬を見ようと酒場の扉を押すと、突然ムチの音がして彼の姿が見えなくなった。コールのうめき声で、ステシシーとダンが通りに出ると、コールがムチで打たれて死んでいた。さらにダンの首にからみついたムチが生きもののように彼の首をしめつける。彼は地面にくずれ、そのまま死んだ。ステイシーは素早く建物の影に隠れた。だが男はどこまでも追ってくる。“お前は誰だ。何者なんだ?”その言葉がステイシーの最後だった。町をのぞむ丘の上の墓地。名無しだった、ムチで殺された連邦保安官の墓に“ジム・ダンカンここに眠る”と、モーデカイが刻んだ。男が町を去ってゆく。「あんたの名前を聞いてなかったね」とモーデカイがいうと、男は墓石をじっと見つめていった。「知っているはずさ」。




20-16. アパートの鍵貸します

監督 ビリー・ワイルダー
出演 ジャック・レモンシャーリー・マクレーンフレッド・マクマレイレイ・ウォルストンデイヴィッド・ルイス
1960年・アメリカ (日本ユナイテッド・アーチスツ) 125分

解説
ビリー・ワイルダーが 「お熱いのがお好き」 につづいて製作・監督したロマンチック・コメディ。脚色は前作と同様、ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドの共同。撮影監督はジョセフ・ラシェル、音楽はアドルフ・ドイッチェ。出演は 「お熱いのがお好き」 のジャック・レモン、 「恋の売り込み作戦」 のシャーリー・マクレーン、 「ボクはむく犬」 のフレッド・マクマレイのほか、レイ・ウォルストン、デイヴィッド・ルイスほか。製作補佐をドーン・ハリソン及びI・A・L・ダイアモンドが務める。

ストーリー
ニューヨークのさる大保険会社の一平社員バクスター、通称バド(ジャック・レモン)は、野望に燃える青年である。勿論出世のことである。その方法は、4人の課長にアパートの鍵を貸すだけで充分だった。4人はアパートをせっせと愛用し、バドの昇給にせっせと尽力した。そこに人事部長のシェルドレイク氏(フレッド・マクマレイ)も加わった。部長のよろめきの御相手は会社のエレベーター嬢フラン(シャーリー・マクレーン)。バドはこの丸ぽちゃで適当にグラマーのフランに片想いしていたので、少なからずショックだった。社員のクリスマス・パーティでフランのコンパクトを見たバドは、頭にくる。数日前バドのアパートに置き忘れられたので、バドが部長に返却申しあげたものと同一だったのである。酔ったバドが年増の金髪美人を連れてアパートに帰ると、そこでフランが自殺をはかっていた。離婚をした暁にはきっと君と…、と言うばかりで実行しないシェルドレイク氏の不実に絶望し、バド愛用の睡眠薬を全部飲んでしまったのだ。金髪美人を追い帰して、必死に看病するバドの心はフランを想う気持ちで一杯だった。翌朝、一大決心をしたバドは、部長にフランとの結婚を打ち明けようとする。その瞬間、部長は離婚が成立し、フランと結婚する旨をバドに宣告する。すべては後の祭りだった。人の気も知らない部長は、またもアパートの鍵の借用を申しこんできた。カンニン袋の緒を切ったバドは、辞表を叩きつけて会社を飛び出す。その夜、フランは部長とレストランへ。そこで今夜はアパートは使えない、と聞いたフランはハッと気がつく。バドの優しい想いと、自分を本当に愛しているのは誰か、ということを。部長を置き去りに、フランはバドのアパートの階段をかけ上がった。その耳にズドーンと銃声が。もしや自殺!? 部屋に転がり込んだフランの目に映ったのは、他の町での再出発をひとり淋しく祝ってシャンペンの栓を抜いたバドの姿だった。重役になれるかどうかは別問題。だが、バドの独身生活に栄光ある終わりが近いことは、確かなようである。メデタシ メデタシ。





20-17. ファッションが教えてくれること

監督 R・J・カトラー
出演 アナ・ウィンターグレイス・コディントンアンドレ・L・タリーシエナ・ミラータクーン・パニクガル
2009年・アメリカ (クロックワークス) 90分

解説
米版ヴォーグの編集長アナ・ウィンターの姿に迫ったドキュメンタリー。ファッション界において偉大な影響力と権力を持つ彼女の仕事ぶりや、シングルマザーとしての一面を映し出す。

ストーリー
。2007年アメリカ版ヴォーグ9月号、締め切り5ヶ月前。一年で最も重要な号の準備に編集部は混乱していた。編集部員の一人は、カラー・ブロッキングがテーマのページのために用意した服が、アナによってほとんど却下され泣き言を言っている。クリエイティブ・ディレクターのグレイス・コディントンはそんな彼を慰める。ニューヨーク・ロングアイランドのアナの別荘。アナが娘のビー・ジェイファーと話している。ビーは大学に通い法律を学ぶ予定だという。母親を尊敬はするが自分は“ファッションが命”な人間ではないと語る娘をアナは複雑なまなざしで見つめる……。締め切り6週間前。アナによるランスルー(服の確認)を通過し、撮影を終えたページから次々とレイアウト・ボードに貼られていく。アナはその一枚一枚を見て、採用・不採用を感性で即決。自分の担当ページが、数枚ボツになりため息をつくグレイス。イタリア・ローマ、シエナ・ミラー撮影の日。担当編集者のトニは慌てていた。シエナのウィッグが、カメラマンのマリオ・テスティーノの意向で変更になったのだ。結局、予定していたコロッセオでの撮影を諦め、なんとか撮影を終える。締め切り1週間前。編集部に届いたマリオの写真をアナがチェックする。「写真が少なすぎる。どれも表紙に向かない」。アナはマリオを編集部へ呼び出し、表紙は2枚の写真を合成することで解決する。こうして無事、9月号は締め切りを迎えた。グレイスが最終決定となったレイアウト・ボードを見つめている。自分が担当したページのほとんどが採用された。アナは一旦却下したものの、全体のバランスをみて再度組み込んだのだ。だが、すぐにボードの写真が全て取り払われ、休む間もなく次の号の準備が始まった……。




20-18. フィールド・オブ・ドリームス

監督 フィル・アルデン・ロビンソン
出演 ケヴィン・コスナーエイミー・マディガンギャビー・ホフマンレイ・リオッタティモシー・バスフィールド
1989年・アメリカ (東宝東和) 107分

解説
夢を求めて生きるある男と彼をめぐる人々の姿を、野球をべースにして描くドラマ。W・P・キンセラの原作 「シューレス・ジョー」の映画化で、エグゼクティヴ・プロデューサーはブライアン・フランキッシゅ、製作はローレンス・ゴードンとチャールズ・ゴードン、監督・脚本は「ウー・ウー・キッド」 のフィル・アルデン・ロビンソン、撮影はジョン・リンドレイ、音楽はジェームズ・ホーナーが担当。出演はケヴィン・コスナー、エイミー・マディガンほか。

ストーリー
ある春の夕暮れ、アイオワ州のとうもろこし畑で働いていたレイ・キンセラ(ケヴィン・コスナー)は、突然「それを建てれば彼がくる」という幻の声を聞き、畑をつぶして野球場を建てる決心をする。妻のアニー(エイミー・マディガン)は夫の思いを遂げさせようとレイを温かく見守るが、町の人々の反応は冷やかだった。1年が過ぎたある日、娘のカリン(ギャビィー・ホフマン)が野球場に19年のワールド・シリーズで八百長試合のかどで球界を追放されたシューレス・ジョー(レイ・リオッタ)が現われるのを発見する。その日を境に、シューレス・ジョーとともに球界を追放されたシカゴ・ホワイトソックスの8人のメンバーが次々と姿を現わした。その時レイはまたしても「彼の苦痛を癒せ」という幻の声を聞き、彼は60年代の作家テレンス・マン(ジェームズ・アール・ジョーンズ)を訪ねてシカゴヘ向かう。そしてフェンウェイ・パークで野球を観戦中、レイとマンは電光掲示板に映ったメッセージを読みとり、今度はムーンライト・グラハムという野球選手を探すことになった。2人はミネソタ州チゾムに彼を訪ねるが、すでにグラハムは亡く、その夜レイはなぜか60年代のムーンライト・グラハム(バート・ランカスター)と出会った。しかしその頃アイオワでは、レイの野球場が人手に渡る危機を迎えようとしていた。アニーからそれを聞いたレイは、マンとともに帰途につくが、道中ひとりの若き野球選手(フランク・ウェイリー)を車に乗せる。実は彼こそが若き日のグラハム、その人であった。アイオワに戻ったレイは、野球場売却を勧めるアニーの兄マーク(ティモシー・バスフィールド)と口論するが、その最中カリンがケガをする。そんなカリンを助けたのが、ドク“ムーンライト”グラハムであった。そしてその時初めて、マークにもこの土地の持つ夢の大きさを知り、売却を撤回した。そしてその夢は、限りない未来への希望で包まれてゆく−−。




20-19. 11人のカウボーイ

監督 マーク・ライデル
出演 ジョン・ウェインロスコー・リー・ブラウンブルース・ダーンコリーン・デューハーストスリム・ピケンズ
1971年・アメリカ (ワーナー)

解説
ゴールドラッシュで男たちが金を深しに行ってしまったため、牛の大群の輸送に困り果てた牧場主が、仕方なく少年カウボーイを雇い入れ、400マイルの荒野を横断していく。製作・監督は 「華麗なる週末」 のマーク・ライデル、脚色は、原作を書いたウィリアム・デール・ジェニングスとアーヴィング・ラヴェッチ、ハリエット・フランク・ジュニアの3人、撮影は 「おもいでの夏」 で、3度目のアカデミー賞を受賞したロバート・サーティース、音楽は 「屋根の上のバイオリン弾き」 のジョン・ウィリアムス(2)、編集はニール・トラヴィスが各々担当。出演はジョン・ウェイン、11人の小さなカウボーイには、ジョン・キャラダインの息子のロバート・キャラダイン、スティーブン・フーディス、ニコラス・ビューヴィ、A・マルティネスなど、ほかの共演は 「ワイルドバンチ」 のスリム・ピケンズ、 「トパーズ(1969)」 の黒人俳優ロスコー・リー・ブラウンなど。

ストーリー
突如襲ったゴールド・ラッシュのおかげで、男たちがみんなカルフォルニアへ金を探しに出かけたため、ダブル・オー牧場の主人ウィル・アンダーソン(ジョン・ウェイン)は困ってしまった。400マイル離れた鉄道駅の町ベル・フーシェへ、1200頭の牛を運ばねばならないのに男手が足りないのだ。困り抜いたウィルは、仕方なく少年たちをカウボーイ代わりに雇って出発することにした。彼が雇った少年は、デブ(アルフレッド・バーカー・ジュニア)、スチーブ(スティーブ・ベネディクト)、四つ目(ニコラス・ビューヴィ)、スリム(ロバート・キャラダイン)、ウィーディ(ノーマン・ハウエル・ジュニア)、チャーリー(ステファン・フーディス)などの11人だった。ウィルの鍛錬はきびしく、最初は興味半分で参加した少年たちの中には本気でウィルを憎む者さえ出始める。少年たちは、ウップンを払うためにウィスキーのビンを盗み、円陣を組んで回し飲みしたりした。ある日、岩の上にいた四つ目が牛の群れの中にメガネを落としてしまい、それを拾おうとしたチャーリーは牛の大暴走の下敷となり死んだ。不気味なインディアンの群れも出没している。それでもウィルは前進をやめようとはしなかった。沈着冷静な行動力と、長年西部の風雪に鍛えられた叡知と勇気は、知らず知らずのうちに少年たちに伝わった。少年たちは、人生とは何か、死とは何か、それらに打ち克っていく人間の力とは何なのかを教え込まれていった。ガミガミとうるさい頑固オヤジのように見えた彼が、実は無限にやさしい人間的な情愛にあふれた男であることが少年たちには理解できるようになってきた。やがてケート(コリーン・デューハースト)を先頭とする娼婦の一団と出会った後、牛泥棒ロング・ヘア(ブルース・ダーン)が現われたが、ウィルはロングをたたきのめし、そして卑怯なロングの背後からの銃弾に到れた。ロングは牛の群れをひき連れ意気揚々と引きあげていった。いまや父親同然のウィルを殺された少年たちが黙っている筈がなかった。少年たちは、今、大人になろうとしていたのだ。ガキと見くびっていたロング・ヘア一味を全滅させ牛を取り戻した。やがて400マイルの旅が終わろうとしていた。その日は少年たちが幼い心と体に別れを告げ、ウィルのようにたくましく人生を生き抜いていく男たちだけの世界に仲間入りする日でもあったのだ。




20-20. 大いなる勇者  

監督 シドニー・ポラック
出演 ロバート・レッドフォードウィル・ギアステファン・ギーラッシュアリン・アン・マクレリージョシュ・アルビー
1972年・アメリカ (ワーナー映画)

解説
1850年代、文明に背を向けて山奥ふかくわけ入り、厳しい自然との対決の中に生きることの意味をつかもうとする若者の姿を描く。製作はジョー・ワイザン、監督はシドニー・ポラック。レイモンド・ソープとロバート・バンカーの原作 「クロウ族殺し」 をジョン・ミリアスとエドワード・アンハルトが脚色化した。撮影はデューク・キャラハン、音楽はジョー・ルベンスタインとティム・マッキンタイアー、編集はトーマス・スタンフォードが各々担当。出演はロバート・レッドフォード、ウィル・ギア、ステファン・ギーラッシュ、ジョシュ・アルビー、アリン・アン・マクレリー、リチャード・アンガローラ、デル・ボルトンなど。

ストーリー
1850年代のアメリカ。急速に発達する文明に背を向けた青年ジェレミア・ジョンソン(ロバート・レッドフォード)は猟師になろうと決心してロッキー山脈に向かった。やがて厳しい冬を迎えたある日、雪の中で凍死している男を発見した。そのそばに残された遺書には、自分を発見した者にはライフルを譲るとしたためられていた。思わぬ拾い物に元気づけられたジョンソンに、もう1つ幸運が訪れた。ベテランの山男クリス・ラップ(ウィル・ギア)と出会い、彼について、山で生き残るための技術や知識を身につけることができた。クリスと別れたジョンソンは、まずインディアンたちとの間に誠意ある交易関係を確立した。その中にはクロウ族インディアンの赤シャツもいた。開拓者の小屋のそばで、インディアンによる白人虐殺を見たのはそんな頃であった。すでに息絶えている2人の子供のまわりを気が触れたようにうろつく白人の女(アリン・アン・マクレリー)がいた。ジョンソンはしかたなく、生き残ったが惨劇のショックで口のきけなくなった少年を連れ、引き返した。少年にはキャレブ(ジョシュ・アルビー)と名をつけた。翌日、インディアンに襲われた男デル・ギュー(ステファン・ギーラッシュ)を助けたことによって、開拓者一家惨殺の犯人を知ったジョンソンは、追跡を開始した。夜になって、目指す敵のキャンプを発見したジョンソンは犯人を殺した。翌朝、出会ったフラットヘッド族は平和を愛するインディアンだったが、ジョンソンが引いている3頭の馬がブラックフィトのものだと知ると、宿敵を倒してくれた2人に敬愛の情を示し、酋長は返札として、気品と美しさにあふれた娘スワン(デル・ボルトン)を贈った。スワンとキャレブとジョンソンの平和な生活が続いた。冬も深まった頃、ある白人開拓者の馬車が川の中で凍りついてしまったのを探して救い出すため、騎兵隊がジョンソンの助力を求めにやってきた。捜索は困難をきわめた。目的地に着くためにはクロウ族の死体埋葬区域を通らなければならない。ここはクロウ族にとって何よりも神聖な場所で、無神経に踏みこむのは危険だったが、開拓者を助けるためにちゅうちょできなかった。ジョンソンは胸騒ぎを覚え、その足ですぐ家にひき返した。しかし、ひと足遅く、スワンとキャレブはクロウ族に殺されていた。聖地を犯したことが彼らの怒りにふれたのだ。ジョンソンの体内にはどす黒い憤りがわいていた。彼の復讐が始まった。やがて“クロウ族殺し”の異名をつけられる程に恐れられるようになった。死んだ子供たちのそばに住む気の触れた女に肉をやろうと訪れたが、女はすでに死んで、埋葬した墓のそばには、クロウ族によってジョンソンの墓が用意されてあった。墓を被う生皮には、ジョンソンがインディアンたちと戦う姿が描かれてあったが、それは彼がすでに死んだことを意味するのか、永遠に不死身であることを意味するのかはわからなかった。はっきりしているのは、クロウ族との戦いがこれで終わったことだ。ひとつの山を越えて、いまジェレミア・ジョンソンは彼の前に立ちはだかるけわしい山に登り始めていた。




20-21. ANNIE アニー (吹替)

監督 ウィル・グラック
出演 ジェイミー・フォックスクヮヴェンジャネ・ウォレスローズ・バーンボビー・カナヴェイルアドウェール・アキノエ=アグバエ
2014年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズエンタテインメント) 118分

解説
トニー賞受賞など日本でもおなじみのミュージカルを、ウィル・スミスとジェイ・Zがプロデュースを担当し映画化。失踪した両親を探しながら前向きに生きる少女がニューヨーク市長を目指す男や周囲の人々に勇気と希望を与えていく。アニーを演じるのは史上最年少でアカデミー賞候補になった 「ハッシュパピー バスタブ島の少女」 のクヮヴェンジャネ・ウォレス。

ストーリー
ニューヨーク・マンハッタン。携帯電話会社のCEOでNY市長候補のスタックス(ジェイミー・フォックス)は選挙キャンペーン中、車にはねられそうになった少女アニー(クワベンジャネ・ウォレス)を偶然助ける。彼女は生後間もなくレストランに置き去りにされ、今は過去の歌手としての思い出にすがりながら生きる独身女性ハニガン(キャメロン・ディアス)が営む施設で暮らしていた。10歳になるアニーは毎週金曜日の夜になると、そのレストランの前で迎えにくるはずのない両親を待ち続けていた。スタックスはそんなアニーの境遇を選挙戦に利用しよう考え、彼女を引き取り、超高層ビルのペントハウスで共同生活を始める。一方のアニーも自分が有名になれば両親が名乗り出てくるかも知れないと、スタックスの選挙戦を利用し協力する。そんな中、スタックスはアニーの隠された寂しさに気付き、心を開いていくが……。





20-22. アイアンマン (吹替)

監督 ジョン・ファヴロー
出演 ロバート・ダウニー・Jr.テレンス・ハワードジェフ・ブリッジスグウィネス・パルトロウショーン・トーブ
2008年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 125分

解説
スパイダーマン」 を生んだマーベルの人気コミックを映画化したヒーロー・アクション。天才発明家が、自ら開発した強力なパワードスーツをまとって世界を脅かす悪を討つ!

ストーリー
実業家兼発明家のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、米国政府と契約を結ぶ巨大軍事企業スターク・インダストリーズのCEO。彼は、政府とのパイプ役を努める親友の軍人ローディ(テレンス・ハワード)とともに、アフガニスタンで新型兵器の実験を敢行。実験は大成功に終わるが、武装テロ集団の襲撃を受ける。重傷を負って拘束されるトニー。一味に監禁されている医師インセン(ショーン・トーブ)は彼に人工心臓を移植、一命を取り留める。だが、テロ組織のリーダー、ラザ(ファラン・タヒール)はトニーに新兵器の製造を強要。連行された組織のアジトには、スターク・インダストリーズ製兵器の数々が並んでいた。自分が開発した兵器がテロに利用されていたことを知り、ショックを受けるトニー。彼はミサイルを作るフリをして、飛行可能なパワードスーツ“マークI”を製造、敵の隙を突いて脱出する。だが、マークIは砂漠で全壊。心身に深い傷を負いながら帰国を果たす。会社に戻ったトニーは、幹部役員オバディア・ステイン(ジェフ・ブリッジス)の反対を押し切り、兵器産業からの撤退を発表する。そのニュースに世間が騒然とする中、秘書ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)やローディの協力を得て、新たなパワードスーツの開発に着手。やがてそれは、戦闘機並みの飛行能力、戦闘力を備えた“マークII”を経て、赤と金に輝く“マークIII”へと進化を遂げる。世界を乱す悪との戦いを決意するトニー。だが、彼の知らないところでスターク・インダストリーズは武器販売を続けていた。ラザ一派による民家襲撃のニュースを耳にしたトニーはマークIIIで出撃、テロリストを一掃する。一方、砂漠に残されたマークIの残骸と設計図から、さらに恐ろしい兵器が作られようとしていた。黒幕はオバディア。トニーを襲い、パワードスーツの秘密を手に入れた彼はその本性を現す。




20-23. 女帝 エンペラー (吹替)

監督 ファン・シアオカン
出演 チャン・ツィイーグォ・ヨウダニエル・ウージョウ・シュンホァン・シャオミン
2006年・中国、香港 (ギャガ・コミュニケーションズ) 131分

解説
SAYURI」 のチャン・ツィイーが、古代中国の王妃を妖艶に演じた女の復讐劇。 「ハムレット」 をベースに、優雅なアクションと色彩美を織り交ぜた王家の愛憎ドラマが展開する。

ストーリー
古代中国の戦乱期、五代十国時代。皇帝が謎の死を遂げ、その弟リー(グォ・ヨウ)が新帝に即位した。皇帝の死がリーの策略であることは誰の目にも明らかであり、王妃ワン(チャン・ツィイー)も気付いていた。リーはさらに、皇太子ウールアン(ダニエル・ウー)の暗殺も企んでいた。ワンにとって、ウールアンは歳の近い義理の息子にあたるのだが、その昔、密かに思いを寄せ合っていた相手でもあった。ウールアンの暗殺計画を知ったワンは、夫の復讐のため、ウールアンを守るため、リーとの結婚に同意する。恋い焦がれていたワンを手に入れたリーは、夜毎尽きることのない欲望に溺れ、ワンに命を捧げることを約束する。しかし、己の権力を絶対的なものにしようと、臣下たちの前でリーに忠誠を誓わせる。世界でいちばん憎い男の前にひざまずくワン。彼女はその時、胸の奥で脈打つ気高い魂を、復讐の神に捧げたのだった。一方、呉越の地で芸術の世界に生きていたウールアンは、父の死を知り都へと戻ってくる。その死を不信に思うウールアンは、怒りに震えていた。そして、あっさりとリーの妻になってしまったワンへの気持ちに苦しんでいた。ウールアンのいいなづけチンニー(ジョウ・シュン)は一途に彼を慕っていたが、そんな純粋な心にまでも、ウールアンは疑いの目を向けるのだった。ある日、リーは王妃ワンの即位式を執り行う。そこで、ウールアンは演武の代わりに父の毒殺を告発する芝居を披露する。怒りを秘めた拍手を贈るリーは、ウールアンを隣国に派遣することを宣告。両国友好のために互いの王子を人質として交換しようという申し出を受けるというのだ。その瞬間、リー、ワン、ウールアンの3人は、暗殺、復讐、仇討ち、それぞれの決意を固めたのだった。




20-24. M:I-2

監督 ジョン・ウー
出演 トム・クルーズダグレイ・スコットタンディ・ニュートンヴィング・レイムスリチャード・ロクスバーグ
2000年・アメリカ (UIP) 114分

解説
  「ミッション:インポッシブル」 (′96)のシリーズ第2弾。T・クルーズ扮する諜報員が、新たな任務を遂行するため奮闘する。

ストーリー
休暇中のIMFのエキスパート、イーサン・ハント(トム・クルーズ)の元に、司令官スワンベック(アンソニー・ホプキンス)から新たな指令が入る。今回の使命は元IMFメンバーのテロリスト、ショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)が奪った、科学者ネロルヴィッチ博士(レイド・セルベッジア)が生み出した30時間で人間を殺す驚異の殺人ウィルス“キメラ”と解毒剤“ベレロフォン”を奪還すること。使命のため女泥棒ナイア(タンディ・ニュートン)をメンバーに引き入れよという命令を受けたハントはスペインへ飛び、ナイアと接触するが、美しき彼女といつしか恋におちてしまう。実はナイアはアンブローズの元恋人で、彼女の使命は再びアンブローズに接近し、彼の計画を調べ出すことにあった。信頼できるメンバー、ルーサー(ヴィング・レイムス)とヘリ操縦士ビリー(ジョン・ポルソン)の協力を得てナイアをアンブローズの元へ送り込むことに成功したハントだが、使命遂行と恋心の間で思い悩む。さて、アンブローズは殺人ウィルスをネロルヴィッチ博士に開発させた張本人である巨大製薬会社“バイサイト”の社長マックロイ(ブレンダン・グリーソン)に会う。ウィルスの情報を収録したデジタルディスクをひそかに盗み出したナイアだが、ほどなくアンブローズは彼女の裏切りに気づいた。いっぽうハントはアンブローズがまだベレロフォンしか手に入れていないことを知り、悪の根源であるキメラを破壊すべくバイサイトに潜入。この計画を知ったアンブローズはハントを待ち受け、ナイアを人質にしてキメラを奪おうとするが、ナイアはハントを救うためとっさに自分自身にキメラを注射してしまう。ナイアのこの機転で脱出に成功したハントだが、彼女の命はあと30時間。彼女が死ねば、世界中に殺人ウィルスが蔓延することになる。かくしてハントはナイアと世界を救うべく、アンブローズと死闘を繰り広げてみごと彼を倒し、使命を果たすのだった。





20-25. 地獄の黙示録  

監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 マーロン・ブランドロバート・デュヴァルマーティン・シーンフレデリック・フォレストアルバート・ホール
1979年・アメリカ (日本ヘラルド) 153分

解説
1960年代のベトナム戦争下のジャングルを舞台に1人のアメリカ軍将校暗殺を命じられた大尉が4人の部下と共に目撃する戦争の狂気を描く。製作・監督は 「ゴッドファーザーPARTII」 のフランシス・フォード・コッポラ、脚本はジョン・ミリアスとフランシス・フォード・コッポラ、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽はカーマイン・コッポラとフランシス・フォード・コッポラ、音響はウォルター・マーチ、編集はリチャード・マークス、ウォルター・マーチ、ジェリー・グリーンバーグ、リサ・フラックマン、製作デザインはディーン・タヴォラリス、衣裳はデニス・M・フィル、ジョージ・リトル、ラスター・ベイレス、ノーマン・バーザが各々担当。出演はマーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、マーティン・シーン、フレデリック・フォレスト、アルバート・ホール、サム・ボトムス、ローレンス・フィッシュバーン、デニス・ホッパー、G・D・スプラドリン、ハリソン・フォード、ジェリー・ザイスマー、スコット・グレン、ボー・バイヤーズ、ジェームズ・キーン、ケリー・ロッサル、ロン・マックイーンなど。日本語版監修は戸田奈津子。イーストマンカラー、パナビジョン。1979年作品。

ストーリー
狂うような暑さのサイゴンの夏。ブラインドの降りたホテルの一室で、ウィラード大尉(マーティン・シーン)は空ろな視線を天井に向けていた。505大隊、173空挺隊所属、特殊行動班員である彼に、それからまもなく、ナ・トランの情報指令本部への出頭命令が下った。本部では3人の男が彼を待ちうけており、そのうちの1人がウィラードに、今回の出頭目的を説明した。それは第5特殊部隊の作戦将校であるウォルター・E・カーツ(マーロン・ブランド)を殺せという命令だった。カーツはウェストポイント士官学校を主席で卒業し、空挺隊員として朝鮮戦争に参加、数々の叙勲歴を持つ軍部最高の人物であったが現地人部隊を組織するという目的でナン川上流の奥地に潜入してからは、彼の行動が軍では統制できない異常な方向へと進んでいった。情報によると彼はジャングルの奥地で原地人を支配し、軍とはまったく連絡を絶ち、自らの王国を築いている、というのだ。そのアメリカ軍の恥である錯乱者カーツを暗殺しなければならない、というのが軍の考えだった。この密命を受けた若い兵士ウィラードは、4人の部下、クリーン(ローレンス・フィッシュバーン)、ランス(サム・ボトムス)、シェフ(フレデリック・ホレスト)、チーフ(アルバート・ホール)を連れ、巡回艇PBRに乗り込んだ。まず、ウィラードは、危険区域通過の護衛を依頼すべく、空軍騎兵隊第一中隊にキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)を訪ねた。ナパーム弾の匂いの中で目覚めることに歓びさえ感じているキルゴアは、花形サーファーであるランスを見ると彼にサーフィンを強要した。ワーグナーの“ワルキューレの騎行”が鳴り響く中、キルゴアの号令で数千発のナパーム弾がベトコン村を襲った。キルゴアのもとを発った彼らは、カーツの王国へとPBRを進めた。河岸に上陸するたびにウィラードに手渡される現地部隊からの機密書には、カーツの詳細な履歴と全行動が記されており、読めば読む程ウィラードには、軍から聞いたのとは別の人物であるカーツが浮び上ってきていた。王国に近づいたころ、クリーンが死に、チーフも死んだ。そして、王国についた時、ウィラードはそこで、アメリカ人のカメラマン(デニス・ホッパー)に会い、彼から王国で、“神”と呼ばれているカーツの真の姿を聞かされる。カーツは狂人なのだろうか。それとも偉大な指導者なのだろうか。ウィラードにもわからなかった。そして遂にカーツとの対面の日がきた。テープレコーダーや本に囲まれたカーツの元にやってきたウィラードは、軍の命令に従い、“神”と呼ばれる人間カーツを殺すのだった。(日本ヘラルド映画配給*2時間33分)




20-26. 戦うパンチョビラ

監督 バズ・クリーク
出演 ユル・ブリンナーロバート・ミッチャムマリア・グラツィア・ブッチェラチャールズ・ブロンソンロバート・ヴィハーロ
1968年・アメリカ (パラマウント)

解説
ウィリアム・ダグラス・ランスフォードの実伝ストーリーを、 「ダンディー少佐」 の監督サム・ペキンパーが、ロバート・タウンの協力を得て脚本化、 「消えた拳銃」 のバズ・クリークが監督したもので、メキシコ革命をめぐる実在の風雲児“パンチョ・ビラ”の半生を描いたもの。撮影は 「戦場にかける橋」 のジャック・ヒルドヤード、音楽は 「ドクトル・ジバゴ」 のモーリス・ジャールが担当した。出演はユル・ブリンナーとロバート・ミッチャムのほかに 「さらば友よ」 のチャールズ・ブロンソン、 「紳士泥棒 大ゴールデン作戦」 のマリア・グラツィア・ブッセラなど。製作はテッド・リッチモンド。

ストーリー
動乱続く1912年のメキシコ。アメリカ人の銃器商人リー(ロバート・ミッチャム)は、密輸の機関銃を反革命派のラミレス大尉に売り渡すためメキシコの荒野に飛行機で着陸した。取り引きをすましたリーは、カジ屋ゴンザレスの家に寄宿したが、そこの娘フィナに一目ぼれ。恋の時間も束の間町には、反革命軍が暴れこんできた。この暴動のさなか、パンチョ・ビラ(ユル・プリナー)のひきいる革命軍が逆襲をかけ、反革命派の兵士を捕虜にした。そしてリーも反革命派に武器を売ったということで投獄されてしまった。しかし、リーは飛行機を持っている。戦略的には絶対有利だ。ビラと、副官のフィエロ(チャールズ・ブロンソン)は、リーを釈放した。以後リーは革命軍に加わり、飛行機を利用して、味方を有利に導いていった。この3人は、女性をめぐって多少の争いこそしたが、まずは作戦は順調に進んでいった。ところが、ビラをリーダーとする、この隊の勝利の報を喜ばない男がいる。マディロ大統領から革命軍総司令官を任命されているハルター将軍である。彼は野心家で、ビラの勇名が、とどろくことを喜ばない。そしてある時、ビラの軍とハルターの軍が、共同で、ラミレス大尉が率いる反革命軍の砦を攻撃する作戦が開始された。ビラの軍が危機におちいった。だがハルターは助けようとしない。そこで活躍したのがリーの飛行機である。たちまちビラの軍が有利となり砦をおとしいれた。ビラは占領した町の名士から軍資金をまきあげた。だが、これを口実に、ハルターはビラを捕まえ、リーも飛行機盗難罪でとらえられた。しかし、リーは護送の途中で逃げ出し、ビラがまきあげて隠してある軍資金を失敬して故郷へ帰っていった。これだけあれば老後は悠々自適だ。ところがある日、ビラが副官フィエロを連れて追ってきた。この資金で、もう一度、解放軍を組織して戦おう−−。自適の生活に入ったリーは断り、2人はメキシコに帰っていった。しかしリーは、一度は断ったものの、男の友情にほだされて、飛行機でパンチョ・ビラの後を追うのだった。




20-27. 戦火の勇気 (吹替)

監督 エドワード・ズウィック
出演 デンゼル・ワシントンメグ・ライアンルー・ダイアモンド・フィリップスマイケル・モリアーティマット・デイモン
1996年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 117分

解説
ハリウッドが初めて真正面から取り組む湾岸戦争を舞台に、“戦場における本当の勇気”とは何かを問うヒューマン・ドラマ。黒澤明監督の 「羅生門」 を思わせるミステリアスな構成、迫力の戦闘場面、キャスト陣の好演など見どころは多い。監督は南北戦争を描いた 「グローリー」 (アカデミー3部門受賞)や 「レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い」 のエドワード・ズウィック。脚本は 「陽の当たる教室」 のパトリック・シェーン・ダンカン。製作は 「ウォーターワールド」 のジョン・デイヴィス、 「バラ色の選択」 のデイヴィッド・T・フレンドリー、 「デイライト」 のジョゼフ・M・シンガー、エグゼクティヴ・プロデューサーはジョセフ・M・カラチオロとデブラ・マーティン・チェイス。撮影は 「デッドマン・ウォーキング」 のロジャー・ディーキンス、音楽は 「アポロ13」 「ブレイブハート」 のジェームズ・ホーナー、美術は 「ブローン・アウェイ 復讐の序曲」 のジョン・グレイスマーク、編集は 「グローリー」 「レジェンド・オブ・フォール」 でもズウィックと組んだスティーヴン・ローゼンブラム。主演は 「青いドレスの女」 「バーチュオシティ」 のデンゼル・ワシントンと、 「星に想いを」 「フレンチ・キス」 などロマンチック・コメディ専門のイメージを覆す、全く新しい役柄に挑んで新境地を開拓したメグ・ライアン。共演は 「アクシデント」(V)のルー・ダイアモンド・フィリップス、「エスケープ」 のスコット・グレン、 「ペイルライダー」 のマイケル・モリアーティ、 「クロッカーズ」 のレジーナ・テイラー、 「ジェロニモ」 のマット・デイモン、 「ビバリーヒルズ・コップ3」 のブロンソン・ピンチョット、 「最高の恋人」 のセス・ギリアム、 「ルディ 涙のウイニング・ラン」 のショーン・アスティンほか。

ストーリー
湾岸戦争のさなか、アル・バトラの砂漠の激戦において、米軍のナット・サーリング中佐(デンゼル・ワシントン)は自軍の戦車とは知らずに攻撃を加え、親友のボイヤー大尉を死なせてしまった。ワシントンに戻ったサーリングは、軍のセレモニーや名誉勲章などを扱う部署での事務職を命じられるが、それは彼にとって辛い仕事だった。戦友を殺した罪の意識にとらわれているサーリングは、妻メレディス(レジーナ・テイラー)との仲もうまくいっておらず、以前にも増して酒を飲むようになった。軍によるアル・バトラ事件の調査結果が出たが、彼の上官であるハーシュバーグ将軍(マイケル・モリアーティ)は事件に目をつぶり、深刻に考えるなと言う。一方、事件を嗅ぎつけたワシントン・ポスト紙のガードナー記者(スコット・グレン)が、しつこく彼にまとわりついたいた。サーリングはハーシュバーグに命じられ、救助ヘリの女性パイロットで、イラク軍と勇敢に戦って戦死したカレン・ウォールデン大尉(メグ・ライアン)の名誉勲章授与に関する調査を命じられる。ホワイトハウスもペンタゴンも、史上初の女性の名誉勲章ということで、大きな宣伝効果を期待していた。だが、サーリングが調査を進めるうちに、彼女の死には多くの謎が浮かび上がってきた。生き残った彼女の部下たちに当時の状況を聞いてみると、それぞれの証言が食い違っている。衛生兵のイラリオ(マット・デイモン)は彼女は勇敢だったと言い、マッチョ的なモンフリーズ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)は、彼女は臆病者で、恐怖にかられてパニックに陥ったと言う。サーリングはハーシュバーグと対立し、孤立無縁になりながらも独自に調査を行い、重病で入院中の兵士アルタマイヤー(セス・ギリアム)が、炎の悪夢に悩まされている事実を掴む。再びモンフリーズに話を聞くと、彼は口を閉ざしたまま、サーリングの眼前で車に乗ったまま列車に激突して自ら命を絶った。失踪したイラリオを掴まえたサーリングは、驚くべき真相に突き当たる。それによると、臆病風に吹かれたモンフリーズが敵前逃亡を試みた時、カレンが銃を向けて止めた。やがて、戦闘が始まって救援機が到着したが、彼らは彼女を置き去りにし、ナパームの炎の中に見殺しにしたと言う……。それ以来、部下たちはそれぞれの罪の意識に悩まされていたのだ。ガードナーとひと芝居打ってハーシュバーグたちに真相を認めさせたサーリングは授与式を欠席して、ボイヤー大尉の両親を訪ねる。勇を鼓して事実を告げ謝罪する彼に、大尉の父親は「もう重荷を下ろしなさい」と言った。サーリングは、本当の勇気を教えてくれたカレンの墓に自分に授与された名誉勲章と花を置いて黙祷を捧げると、妻の待つ家に帰った。




20-28. 仮面の男 (吹替)

監督 ランダル・ウォレス
出演 レオナルド・ディカプリオジェレミー・アイアンズジョン・マルコヴィッチジェラール・ドパルデュー
1998年・アメリカ (UIP) 132分

解説
太陽王と呼ばれた皇帝ルイ14世と仮面の男の謎を描く大河ロマン。文豪アレクサンドル・デュマの名作 「鉄仮面」 を、 「ブレイブハート」 の脚本家で本作が監督デビューとなるランダル・ウォレスの監督・脚本で映画化。製作総指揮は 「ブレイブハート」 のアラン・ラッド・Jr.。撮影は 「マーズ・アタック!」 のピーター・サシツキー。美術は 「ネイキッド・タンゴ」 のアンソニー・ブラッド。衣裳は 「恋の闇 愛の光」 のジェームズ・アシュソン。出演は 「タイタニック」 のレオナルド・ディカプリオ、 「チャイニーズ・ボックス」 のジェレミー・アイアンズ、 「ハムレット」 のジェラール・ドパルデュー、 「コン・エアー」 のジョン・マルコヴィッチ、 「エンド・オブ・バイオレンス」 のガブリエル・バーン、 「リディキュール」 のジュディット・ゴドレーシュ、 「彼女たちの関係」 のアンヌ・パリローほか。

ストーリー
ルイ13世に仕えた親衛隊の面々であるアラミス(ジェレミー・アイアンズ)、ポルトス(ジェラール・ドパルデュー)、アトス(ジョン・マルコヴィッチ)もすっかり年老いた。その中でただひとり、ダルタニアン(ガブリエル・バーン)だけが銃士隊長として若きルイ14世(レオナルド・ディカプリオ)の下に仕えていた。度重なる戦争によってフランスの国民は極度の飢えに苦しめられていたが、宴にうつつを抜かす日々。そんな国王に恋人クリスティーヌ(ジュディット・ゴドレーシュ)を奪われたアトスのひとり息子のラウルは戦地に送られ死に、アトスは国王に復讐を誓う。一方、イエズス会の首領アラミスは、かつての盟友を集め、バスティーユ牢獄に幽閉されている仮面の男と国王をすり替える計画を提案。アトスとポルトスが協力を申し出るが、ダルタニアンだけは協力を拒んだ。彼はルイ14世の母・皇太后アン(アンヌ・パリロー)と密通していたのだ。アラミスら三人は仮面の男の救出に成功し、彼の仮面を脱がせた。すると、中からルイ14世に瓜ふたつの顔が現われた。彼の正体は現国王の双子の弟フィリップ(ディカプリオ=二役)だったのだ。政変を恐れた先王によって秘かにパリの田舎で育てられたが、その事実を知ったルイ14世によって牢獄に幽閉されたのだ。計画の決行は3週間後の仮面舞踏会と決まり、真の偉大な国王になるための訓練が始まった。仮面舞踏会の日、一時はすり替えに成功したかに見えたが、フィリップは囚われの身に。その渦中、クリスティーヌはラウルを憂い自殺をしてしまう。哀れな彼女を見て、ダルタニアンはある決意を固める。罠と知りながら、フィリップ奪還に乗り出すアトスたちに加勢するダルタニアンだが、ルイ14世に刺されてしまう。ダルタニアンは死の間際、国王とフィリップの実父であることを告白。そして、フィリップは国王に、ルイ14世は仮面の男として監獄につながれた。





20-29. マネーボール (吹替)

監督 ベネット・ミラー
出演 ブラッド・ピットジョナ・ヒルロビン・ライトフィリップ・シーモア・ホフマンクリス・プラット
2011年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 133分

解説
ブラッド・ピットがプロ野球チームのカリスマGMに扮した実話ストーリー。紆余曲折の末、独自の経営哲学“マネーボール理論”によって、メジャーリーグの歴史を変えたビリー・ビーンの半生を描く。フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライトといった演技派が脇を固めるほか、当事者である監督や選手も実名で登場する。

ストーリー
メジャー経験のあるプロ野球選手から球団のフロントに転身するという珍しいキャリアを持つビリー・ビーン(ブラッド・ピット)。風変わりで短気なその性格は、若くしてアスレチックスのゼネラルマネージャーになってからも変わらなかった。自分のチームの試合も観なければ、腹が立つと人や物に当り散らすという、癖のあるマネジメントを強行。そんな変わりダネが経営するアスレチックスは弱かった。しかも、貧乏球団のため、優秀で年俸の高い選手は雇えない。チームの低迷は永遠かと思われ、ワールド・チャンピオンの夢はほど遠かった。だが、野球経験はないものの、データ分析が得意なピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)という球界の異分子と出会ったことで、風向きが変わり始める。ビリーは後に“マネーボール理論”と呼ばれる“低予算でいかに強いチームを作り上げるか”という独自の理論を実践。だがそれは同時に、野球界の伝統を重んじる古株のスカウトマンだけでなく、選手やアート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)らの反発を生み、チーム状況が悪化。それでも強引に独自のマネジメントを進めてゆく。その揺るぎない信念は、徐々にチームに勝利をもたらし、誰も想像しなかった奇跡が……。球界はビリーの手腕を認め、周囲からの信頼も次第に回復。そしてある日とんでもないオファーが飛び込んでくる。しかし、そこで重大なことに気づいたビリーは、意外な行動に出る……。





20-30. 小さな巨人

監督 アーサー・ペン
出演 ダスティン・ホフマンフェイ・ダナウェイマーティン・バルサムリチャード・マリガンチーフ・ダン・ジョージ
1971年・アメリカ (東和) 139分

解説
カスター将軍の率いる第7騎兵隊全滅という西部開拓史に有名な事実を材にとり、この虐殺に唯ひとり生き残った男が、100 歳をこえてなおも生き続け、その数奇な人生を語るという構成。製作はスチュアート・ミラー、監督はアーサー・ペン、トーマス・バーガーの同名小説をカルダー・ウィリンガムが脚色、撮影はハリー・ストラドリング・ジュニア、音楽はジョン・ハモンドがそれぞれ担当。出演は 「卒業」 のダスティン・ホフマン、 「アレンジメント<愛の旋律>」 のフェイ・ダナウェイ、 「ナタリーの朝」 のマーティン・バルサム、リチャード・マリガン、それに実際のインディアン酋長であるチーフ・ダン・ジョージ、ジェフ・コーリー、エイミー・エクルズ、ケリー・ジーン・ピータース、キャロル・アンドロスキー、カル・ベリーニ、ルーベン・モレノなど。

ストーリー
ロサンゼルス在郷軍人病院の1室で、今年121 歳という老人ジャック・クラブ(ダスティン・ホフマン)は、歴史学者のインタビューに答えて、追憶の糸をたどりつつ、驚くべき事実を語り始めた。??1859年、南北戦争直前、当時10歳の少年だったジャックはシャイアン・インディアンに両親を殺され、姉のキャロライン(キャロル・アンドロスキー)と孤児になったところを、シャイアン族のひとり、“見える影”(ルーベン・モレノ)に見つけ出され、集落へ連行された。老酋長“オールド・ロッジ・スキンズ”(チーフ・ダン・ジョージ)は2人を快く迎え入れたが、男まさりのキャロラインは夜、馬を盗んで脱走し、ジャックは1人集落にとり残された。ジャックは小柄だが勇敢だった。14歳のとき、クロー・インディアンと戦い、仲間である“若い熊”(カル・ベリーニ)の危ないところを救った。そこで老酋長は彼に“小さな巨人(リトル・ビッグ・マン)”という名誉ある名を与えた。身体は小柄でも、肝が大きいという意味である。16歳を迎えたジャックは、初めて騎兵隊と戦闘を交え、兵士のひとりに殺されかけて、思わず「ジョージ・ワシントン!」と初代大統領の名を叫んだ。あっけにとられたその兵士に、ジャックは白い肌を見せた。こうしてジャックは白人社会に戻ることとなり、ペンドレーク牧師に引きとられた。夫人(フェイ・ダナウェイ)は若くて、聖女のように美しかったがその実、ジャックに淫らな妄想を抱いていた。9年後、25歳になったジャックは、イカサマ商人メリウェザー(マーティン・バルサム)と組んで西部を行商して歩いていた。ある夜、2人は暴漢一味に襲われたが、その首領が15年前に生き別れたままの姉キャロラインと知ってびっくり。キャロラインは、いまや名うての拳銃使いになっていた。ジャックは彼女から早撃ちの極意を授かり、相当な腕前となっていった。しかし、拳銃稼業の非情さを知り、ジャックは商人に戻った。やがてジャックは念願の店をもち、キング・サイズのスウェーデン娘オルガ(ケリー・ジーン・ピータース)を娶ってささやかな幸福をつかんだつもりだったが、相棒に騙されて破産という不運に見舞われた。そんなジャックに、人生の再出発として西部行きを勧めたのは、第7騎兵隊の司令官カスター将軍(リチャード・マリガン)だった。インディアンは平定されて危険はないという将軍の言葉に従って、夫婦は西部に向かったが、途中インディアンに襲われ、オルガはさらわれてしまった。ジャックは足を棒にして愛妻を探しまわったが、行方はさっぱりつかめなかった。ジャックはカスター将軍に頼んで、騎兵隊のスカウトになった。そんなある日、第7騎兵隊がインディアン集落を襲った時のこと、ジャックに襲いかかろうとしたインディアンを軍曹が射殺した。そのインディアンはかつてジャック姉弟を助けてくれた“見える影”だった!ジャックは戦闘に参加できず、隠れていると、草むらの中から女のうめき声がする。“見える影”の娘“日の光”(エイミー・エクルズ)が出産寸前なのだ。ジャックは、“日の光”につき添い、集落へ連れ帰って彼女を妻に迎えた。だが祖父代わりの老酋長は白人との戦いがもとで失明し、“孫”の顔を見ることができなかった。それから1年、シャイアン族は政府の指定したワシタ地区に移らなければならなくなった。そこで、ジャックは忘れもしなかった愛妻オルガに再会した。しかし、彼女は“若い熊”の妻になって亭主を尻に敷いていた。第7騎兵隊がインディアン地区を襲ってきたのは、ジャックの息子“暁の星”が生まれた朝のことであった。ジャックの目の前で、“日の光”が、生まれたばかりの“暁の星”が、無抵抗の女どもが、白い大地を鮮血に染めて死んでいった。死を覚悟していた老酋長をつれて辛くも逃げのびたジャックは、愛するもの、親しいものの命をすべて奪ったカスター将軍に復讐を誓うのだった。それ以来、人が変わったように酒びたりの毎日を過ごしていたジャックだったが、投身自殺を決意して高い崖の上に立ったちょうどその時、リトル・ビッグ・ホーンに向かうカスター将軍と第7騎兵隊の姿が目に入った。彼は再びスカウトに志願した。カスターは「戦略上裏目を見とおすバロメーターだ」と言って、部下の反対を押しきり、自分を憎んでいるジャックを敢えて雇った。その頃のカスターはインディアン撲滅に偏執狂的な執念を燃やしていた。しかしカスター将軍と第7騎兵隊は、インディアンの罠にかかり、まんまと両部族の間におびき寄せられてしまう。将軍の馬が撃たれ、兵士もつぎつぎと死んでいく。カスターは気が狂ったように叫び、矢がささって苦しむジャックに拳銃を突きつけた??。ジャックが我に返ると、そこはテントの中だった。重傷のジャックを助けたのは、以前命を救ってやった“若い熊”だった。「われわれは今日勝った。だが明日は勝てぬ。」そうつぶやく老酋長は、死期が近づいたことを悟っていた。山頂にはすでに棺台が用意されていた。老酋長はジャックを伴って頂上に立ち、シャイアン族の闘いの鬨の声を上げ、神に感謝し、死を願い、静かに横たわった。だが、折りから雨に正気を戻した老酋長は、ジャックともども再び静かに山をおりていくのだった。「これがインディアンと生きた男の話だ。」老人は話し終えると頭をたれた。




20-31. チャンプ (吹替)

監督 フランコ・ゼフィレッリ
出演 ジョン・ヴォイトフェイ・ダナウェイリッキー・シュローダージャック・ウォーデンアーサー・ヒル
1979年・アメリカ (MGM映画=CIC)

解説
元ボクシング・チャンピオンの父親とその父が再び栄光の座に戻る日を信じている息子と、別れた妻の3人が織りなす愛を描く。製作はダイソン・ロべル、監督は 「ブラザー・サン、シスター・ムーン」 のフランコ・ゼフィレッリ。フランセス・マリオンの原作を基にウォルター・ニューマンが脚色。撮影はフレッド・コーネカンプ、音楽はデイブ・グルーシン、編集はマイケル・J・シェリダン、製作デザインはハーマン・A・ブルメンタル、衣裳はセオニ・V・アルドレッジが各々担当。出演はジョン・ボイト、フェイ・ダナウェイ、リッキー・シュローダー、ジャック・ウォーデン、アーサー・ヒル、ストローザー・マーティン、ジョーン・ブロンデルなど。

ストーリー
元プロボクシングのチャンピオンだったビリー・フリン(ジョン・ボイト)は、ハイアレア競馬場の厩務員として働き、酒とギャンブルに浸りながら、再びリングに戻ることを考えていた。彼は、かつては妻アニー(フェイ・ダナウェイ)と1人息子のT・J(リッキー・シュローダー)と幸福に暮していたが、アニーの突然の家出で、脆くも幸福が崩れ、残された父と子でひっそりと暮しているのだった。T・Jは、そんな父をパパと呼ばず「チャンプ」と呼んて尊敬し、父が再びチャンピオンになることを願っていた。ある日、ギャンブルで大儲けをしたビリーは、T・Jのためにサラブレッドの若駒をプレゼントした。厩務仲間のライリー(ストローザー・マーティン)に引かれてやってきた馬を見てT・Jはこの上なく喜び、シーズ・ア・レディと名付けた。このT・Jの馬がレースに出ることになった日、TVのインタビューに自信満々で答えている過去3年間の優勝馬ジャスタセクの馬主ドリー(ジョーン・ブロンデル)が、アニーを連れて来ていた。今のアニーは、学者のマイク(アーサー・ヒル)と再婚し、自らはファッション・デザイナーとして世界中に名をはせ、大成功を収めていた。ここには、ファッション・ショーを開くためにやってきたのだった。感じの良いアニーに、T・Jは自分の馬に賭けるように話すが、レースがはじまって、ゴールに近づいた時、T・Jの馬は転倒してしまう。思いがけない事故で、駆けつけたT・Jとビリーの様子を双眼鏡で追っていたアニーは、T・Jが自分の子供だと知って呆然とした。7年ぶりの運命のいたずらだった。厩舎を訪ねたアニーであったが、ビリーに冷たく言い放たれる「T・Jの母親は交通事故で死んだ。もうここにはいない」と。数日後、それでもビリーは、T・Jをアニーに会わせた。母親と名乗れないながらもアニーはT・Jをしっかり抱いた。アニーの出現で苦しんでいたビリーは、それをまぎらすために賭けに夢中になり、その借金をうめあわせるためにアニーのもとに借りに行く。小切手を手にしたビリーは、翌朝、借金の代わりに馬がいいという店主を殴り、果ては警官まで殴り、留置場行きとなった。心配して面会にやって来たT・Jに、ビリーは涙ながらにアニーのところへ行け、と話した。アニーは自分が母であることを秘めてT・Jに接していたが、ある日、ついに事実を口にしてしまう。涙に濡れ、愛するッチャンプの胸に走り帰ったT・Jは、ハイアレア競馬場のスタンドで、しっかりビリーの腕に抱かれた。ビリーは、その時、遂に再びチャンピオンになることを決心し、かつてマネージャーだったジャッキー(ジャック・ウォーデン)を呼びよせ、本格的なトレーニングを開始した。37歳という年令と戦いながら、厳しいトレーニングを続け、遂にタイトルマッチの日がくる。場内には、T・Jの知らせで、はるばるニューヨークからかけつけたアニーの姿があった。そして、ビリーは遂に王者にカムバックした。しかし、観衆の歓声をききながらビリーの意識は遠ざかっていき、控室でT・Jを傍に呼ぶと静かに息を引きとった。チャンプと泣き叫ぶT・Jを、部屋に入ってきたアニーがしっかりと抱きしめるのだった。





20-32. 名探偵登場

監督 ロバート・ムーア
出演 アイリーン・ブレナントルーマン・カポーティジェームズ・ココピーター・フォークアレック・ギネス
1976年・アメリカ (コロムビア映画)

解説
世界に名高い名探偵5人が、大富豪に招待され、 「晩餐と殺人」 の饗応にあずかるというコメディ。製作はレイ・スターク、監督はロバート・ムーア、脚本はニール・サイモン、音楽はデーブ・グルーシン、撮影はデヴィッド・ウォルシュ。タイトル・バックの絵はチャールズ・アダムスがおのおの担当。出演はアイリーン・ブレナン、トルーマン・カポーティ、ジェームズ・ココ、ピーター・フォーク、アレック・ギネス、エルザ・ランチェスター、デヴィッド・ニヴン、ピーター・セラーズ、マギー・スミス、ナンシー・ウォーカー、エステル・ウィンウッドなど。

ストーリー
「あなたを晩餐と殺人に御招待します」という手紙をもらった世界的に有名な5人がライオネル・トウェイン(トルーマン・カポーテ)邸にやって来る。5人はいずれも映画・小説で、おなじみの探偵のパロディ。それぞれ鼻下に美髯をたくわえた美食家ミロ・ペリエ(ジェームズ・ココ)がエルキュール・ポアロ、警句をしじゅう口にするシドニー・ワン(ピーター・セラーズ)はチャーリー・チャン、都会的で洗練されたディック(デイヴィッド・ニーヴン)とドラ(マギー・スミス)のチャールズトン夫婦はニックとノラのチャールズ夫妻、トレンチコートを着て唇の端から発音するサム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)はサム・スペード、お人好しのジェシカ・マーブルズ(エルザ・ランチェスター)はミス・マープルのもじりである。彼らが落ちかかった橋を渡り、玄関まで来ると屋根から石像が落ちてきたり、呼鈴は「女の叫び声」というように「晩餐と殺人」の招待にふさわしい歓迎だ。その上、彼らを出迎えた執事のベンソンマム(アレック・ギネス)は盲目でとんちんかんな言動をして客を戸惑わせた。新しく雇われた料理女イエッタ(ナンシー・ウォーカー)は聾唖者だったからベンソンマムの指示が理解できず、晩餐は何の仕度もされなかった。全員が食卓につくが料理がなく、ペリエは怒り出す。その時、突然トウェインが現われる。彼は「12時に殺人が起きる。その犯人もこのテーブルにいる。真犯人を指摘した人に税抜きで100万ドルと、その出版権と映画化権をさしあげよう」と挑戦して姿を消す。調理室で執事の死体が発見され、2度目に見に行くと死体がきえ衣服だけが残っている。イエッタがロボットであることがわかる。右往左往しているうちに12時になる。ドアがあき、背中をナイフで刺されたトウェインの死体が出現。居間に移って議論した結果、5人はいずれもトウェイン殺しの動機を持っていることがわかる。ディック・チャールズトンは破産してトウェインに借金がある。サムはゲイ・バーにいた時に写真をとられ、彼の助手兼愛人のテス・スケフィントン(アイリーン・ブレナン)は姪に当る。ワンは養子で19歳の時に東洋人であることを知ると放逐した。マーブルズは婚約していたが、結婚前に彼がいやらしい事を求めたので破談になり、ペリエは愛犬をトウェインに殺された。翌朝、死んだ筈のトウェインが書斎に現われる。ワンが彼に「君は本当はベンソンマムの変装だ」ときめつける。マーブルズは彼を弁護士のアーヴィング・ゴールドマン、チャールズトンは会計士のマーヴィン・メッツナー、ペリエはライオネルの妹リタ・トウェイン、サムは自分は俳優のJ・J・リーミスで彼が本物のダイヤモンドだと言う。トウェインは、「自分は本当にライオネル・トウェインだ。君たちは、小説で多くの読者を悩ましてきたが、その推理もたいしたことはない」と嘲笑する。探偵達はたち去る。その後にトウェインがマスクを取ると、何と、そこにあらわれたのは聾唖者の筈の料理女イエッタの顔だった。邸中に彼女の笑い声がひびきわたった。





20-33. ファニー・ガール

監督 ハーバート・ロス
出演 バーブラ・ストライサンドオマー・シャリフケイ・メドフォードアン・フランシスウォルター・ピジョン
1968年・アメリカ (コロムビア)

解説
「情欲の悪魔」 でオスカーを獲得した女流作家、イソベル・レナートの原作・脚本を、 「我等の生涯の最良の年」 「ベン・ハー(1959)」 などで3度アカデミー賞を得ていたウィリアム・ワイラーが監督のミュージカルである。撮影は、 「マイ・フェア・レディ」 のハリー・ストラドリング、音楽は作詞はボブ・メリル、作曲をジュール・スタインが担当している。なおミュージカル場面の監督にはハーバート・ロスがあたっている。出演は、舞台の同役で大当たりをとったバーブラ・ストライサンド、 「ドクトル・ジバゴ」 のオマー・シャリフ、 「群集の中の一つの顔」 のケイ・メドフォード、 「サタンバグ」 のアン・フランシス、ほかにウォルター・ビジョン、リー・アレンなど。製作はレイ・スターク。紹介されるミュージカル・ナンバーは、 「女の子が美しくなければ」 「私は大スターよ」 「ローラ・スケート・ラグ」 「ブルーなわたし」 「セコハン・ローズ」 「彼の愛がわたしを美しくする」 「ピープル」 「きみは女だ」 「パレードに雨を降らせないで」 「セイディー・セイディー」 「白鳥」 「ファニー・ガール」 「マイ・マン」 など。

ストーリー
人気のないウインター・ガーデン劇場の舞台、ジーグフェルド一座の名優、ファニー・ブライス(バーブラ・ストライサンド)は、1人で座っていた。彼女の頭には過ぎさった日のことが次々と思いめぐった。??ファニーは、スターを夢みる一介の踊り子だった。彼女はいつも失敗ばかりで、コーラスからもはずされてしまったが観客にはこの失敗が大いに受け、劇場主キーニーは今までよりも高給で彼女を雇い入れねばならなかった。そんな彼女を、踊り子の間では人気のあるギャンブラーのニック(オマー・シャリフ)は引き抜こうとしたが、彼女は断った。が、ファニーの胸には、ニックが強くやきついた。ファニーのショウは各方面で話題となり、彼女は、ジーグフェルド一座のコメディアン・シンガーとして雇われることになった。ここでも彼女は大喝采を博した。彼女の前に再びニックが現れた。そして2人は、お互いに好き合っていたことに気がついた。だが、2人が再び会えたのは1年も経ってからのことで、ショウの一座が興行に行った先に、ギャンブル狂のニックが競馬に来ていた時のことであった。この再会は、2人を結婚にまで導いた。娘も生まれ、ファニーには幸せな日が続いた。だが、ニックの仕事がうまくゆかなくなり、ファニーは再び舞台での仕事を望んだが、ニックは反対だった。しかし、金もなくなり、ニックはばくちで失敗、彼女はまた舞台に立つことになった。人々はニックのことを、ミスター・ブライスと呼ぶようになった。この言葉にニックの自尊心は傷つき、彼はギャンブルにおぼれ、ついには獄につながれる身となった。??舞台の上で思いにふけるファニーに、付人が時間を知らせにきた。今日はニックの出獄の日である。化粧室でメークアップする鏡の中にニックの姿が映った。ファニーはとびついていった。だがニックは「別れるのが、一番良さそうだね」と静かに言った。昔ニックがくれた青い宝石を握りしめ、ファニーは、舞台への廊下を進んでいった。




20-34. 名探偵再登場

監督 ロバート・ムーア
出演 ピーター・フォークアン・マーグレットアイリーン・ブレナンシド・シーザーストッカード・チャニング
1978年・アメリカ (コロムビア映画)

解説
ハンフリー・ボガート風を装った私立探偵が6人の美女を相手に大難事件に体当りする、従来の私立探偵映画のパロディ版。製作はレイ・スターク、監督はロバート・ムーア、脚本はニール・サイモンで、前作 「名探偵登場」 のトリオ。撮影はジョン・A・アロンゾ、音楽はパトリック・ウィリアムス、編集はシド・レヴィンとマイケル・A・スティーブンソン、衣裳はセオニ・V・アルドレッジが各々担当。出演はピーター・フォーク、アン=マーグレット、アイリーン・ブレナン、シド・シーザー、ストッカード・チャニング、ジェームズ・ココ、ドム・ドルイス、ルイーズ・フレッチャー、ジョン・ハウズマン・マデリーン・カーン、フェルナンド・ラマス、マーシャ・メイソン、フィル・シルヴァース、エイブ・ヴィゴーダ、ポール・ウィリアムス、ニコル・ウィリアムソンなど。

ストーリー
1940年代、第二次世界大戦のさなか。サンフランシスコの一隅に小さなオフィスをかまえる私立探偵のルー・ペキンポー(ピーター・フォーク)は、儲ってこそいないが、珍事件や難事件に追われ、多忙な毎日を送っていた。そんな中、彼の相棒が何者かに殺され、その未亡人ジョージア(マーシャ・メイソン)の証言で、なんとペキンポーが容疑者になってしまう。彼は早速真犯人探しにのりだした。この難事件には『12個のダイヤモンドの卵』と呼ばれる高価な美術品がからんでいることをつきとめる。それは、マルセル(ジェームズ・ココ)が経営しているカフェで、常連の小男のペペ(ドム・ドルイス)がその美術品を捜し出して欲しいと頼んできたからだった。そのカフェで、ペキンポーは、昔、彼が恋した美しいマルレーヌ(ルイーズ・フレッチャー)に会い、彼女の夫ポール(フェルナンド・ラマス)の国外逃亡の協力を依頼される。警察に追われる身のペキンポーだったが、マルレーヌのためにナチのシュリッセル大佐(ニコル・ウィリアムソン)や歌姫のベティ(アイリーン・ブレナン)の裏をかいてポール逃亡に協力する。モンテネグロ夫人(マデリーン・カーン)や大富豪のジャスパー(ジョン・ハウズマン)、その手下、ボーイ(ポール・ウィリアムス)、そして老人の美術収集家エズラ(シド・シーザー)や彼の若妻の美人ジョゼベル(アン=マーグレット)らの、複雑な陰謀にかかりペキンポーも窮地に追いこまれる。その間にも刑事たち(エイブ・ヴィゴーダ)の追求の手はのびてくる。まわりはみんな怪しい人間ばかりだが証拠はない。忠実な女秘書ベス(ストッカード・チャニング)も信用できない。事件は意外な方向へと展開され、さまざまな仕掛けが用意される。しかし、ペキンポーは、それらを突破し、ついに真犯人をつきとめるのだった。





20-35. ホワイトハンター ブラックハート

監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッドジェフ・フェイヒージョージ・ズンザアルン・アームストロングマリサ・ベレンソン
1990年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
アフリカ象のハンティングに強迫的に魅せられてゆく1人の映画監督の姿を描くドラマ。エグゼクティヴ・プロデューサーはデイヴィッド・ヴァルデス、監督・製作は 「バード」 のクリント・イースーウッド。脚本は 「アフリカの女王」 のジョン・ヒューストンをモデルとしたピーター・ヴィアテルの原作を基に、ビアテルとジェームズ・ブリッジス、バート・ケネディの共同、撮影はジャック・N・グリーン、音楽はレニー・ニーハウスが担当。出演はクリント・イーストウッド、ジェフ・フェイヒーほか。

ストーリー
ハリウッド黄金時代の1950年代。カリスマ的な映画監督、ジョン・ウィルソン(クリント・イーストウッド)。彼の撮るべき映画はプロデューサーとも観客とも関わりなく彼の胸の内にしか存在しない。プロデューサー、ランダース(ジョージ・ズンザ)と衝突を繰り返しながらも巨額の負債を抱えるウィルソンだが、現在頭にあるのはアフリカで牙象を撃つことだけだった。脚本家ピート・ヴェリル(ジョフ・フェイ)と共にストーリーを考え、ついに念願のアフリカ・ロケに旅立つ。しかしウィルソンにとって映画はあくまで手段、脚本も殆んど進まぬまま現地人のガイド、ライサー(エドワード・チューダー・ポール)を案内に象撃ちに行ってしまい、夜ホテルでは人種差別主義のボーイを相手に喧嘩を演じてみせる。そんなウィルソンを友人として心配するヴェリルは、ウィルソンの行動を逐一報告するユニット・マネージャー、ロックハート(アラン・アームストロング)に一発くらわすのだった。しかしついに脚本も完成しないままキャスト、そしてランダースが到着。その頃既にかなり強迫神経的になっていたウィルソンは予算をかけたロケ・セットを放棄、奥地で皆を待ち構えていた。業を煮やしたランダースの命令によってどうしても撮影を開始しなければならないという日に突然の大雨。ウィルソンはすぐさまトラックに飛び乗り象狩りにゆき、ヴェリルも後を追う。そしてそこで彼らは本物の牙象を目の当たりにする。が、子を守ろうと猛り狂う母象の牙に刺されガイドのライサーが死ぬ。突然の出来事にショックを受けたウィルソンはふらつくように現場に戻り、撮影開始を告げる。スター女優のケイ・ギブソン(マリサ・ベレンソン)が立ち、カメラが廻り始める。ウィルソンはうめくように声を発する。「アクション」と。




20-36. プラダを着た悪魔

監督 デイヴィッド・フランケル
出演 メリル・ストリープアン・ハサウェイエミリー・ブラントスタンリー・トゥッチエイドリアン・グルニアー
2006年・アメリカ (20世紀フォックス) 110分

解説
ヴォーグ誌で女性編集長のアシスタントをしていた女性が、実体験をもとに書いたベストセラー小説を映画化。衣装を 「セックス・アンド・ザ・シティ」 のパトリシア・フィールドが手掛ける。

ストーリー
大学を卒業し、ジャーナリストを目指してニューヨークにやってきたアンディ(アン・ハサウェイ)。おしゃれに興味のない彼女が向かった先は、全世界の女性が憧れる一流ファンション誌、ランウェイの編集部。彼女は意外性を買われ、カリスマ編集長、ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のジュニア・アシスタントとして働くことに。だがそれが地獄の始まりだった。早朝からシニア・アシスタントのエミリー(エミリー・ブラント)に叩き起こされ、ミランダには高度な要求を次々と命令される。すぐにミランダから失望の言葉を浴びせかけられたアンディは深く傷つくが、ミランダの右腕を務めるファッション・ディレクターのナイジェル(スタンリー・トゥッチ)から自分の甘さを指摘されて意識が変わる。仕事には気合いが入り、服装もファッショナブルなものを選んで、周囲が驚くほどの大変身を遂げていった。ミランダの信頼も徐々に勝ち取っていくが、そんな時、ミランダの自宅で彼女が夫と口論している姿を目撃する失敗を犯す。その制裁として、ミランダはまだ発売前の『ハリー・ポッター』シリーズを手に入れろという無茶な命令を下すが、アンディは、以前パーティーで知り合った有名エッセイストのクリスチャン(サイモン・ベイカー)の助けを得て見事難題をクリアー。ますますミランダから気に入られる。だが仕事の充実の一方で、私生活は破壊されていった。友人たちとは距離ができ、ついには同棲していたシェフの恋人ネイト(エイドリアン・グレニアー)と破局。そんな状態でパリ・コレクションへの出張へと出掛けたアンディは、クリスチャンと一夜の関係を持つ。そして彼から、ミランダのライバルであるジャクリーヌをランウェイの新編集長に就任させる陰謀が進められていたことを聞いてしまう。だがミランダはそれをすでに知っており、自分の運命を毅然とした態度で受け入れた。アンディはランウェイを離れ、ネイトと再会して許しを乞う。そして新しい出版社の面接に行くと、ミランダが編集長にアンディを推薦する言葉をファックスしてくれたことを知るのだった。




20-37. マダムと泥棒

監督 アレクサンダー・マッケンドリック
出演 アレック・ギネスセシル・パーカーハーバート・ロムピーター・セラーズダニー・グリーン
1956年・イギリス (東和)

解説
若手の脚本家ウィリアム・ローズのオリジナル・シナリオを 「成功の甘き香り」 のアレクサンダー・マッケンドリックが渡米前にイギリスで監督したスリラー・コメディ。撮影監督はオットー・ヘラー、音楽はトリストラム・ケリイー。主演は 「戦場にかける橋」 のアレック・ギネス、 「完全なる夫」 のセシル・パーカー、 「戦争と平和」 のハーバート・ロム、 「文なし横丁の人々」 のダニー・グリーン、新人のピーター・セラーズ、七十七歳の老女優カティ・ジョンソン。

ストーリー
ロンドンのキングス・クロス駅近くに住むウィルバーフォース夫人(カティ・ジョンソン)は三十年前夫をなくし今は三羽の鸚鵡を友に暮す無邪気でお人好しの老未亡人だが、時々奇想天外な話を警察に持込んでは署員を辟易させていた。彼女は一人暮しの寂しさから二階の部屋を貸すことにしたが早速現れた借り手はマーカス教授(アレック・ギネス)と名乗る男。友人たちとやっている弦楽五重奏団の練習場にしたいと言い、夫人が承知すると翌日その友達??軍人タイプの少佐(セシル・パーカー)、若いハリイ(ピーター・セラーズ)、大男のワン・ラウンド(ダニー・グリーン)、目つきの鋭いルイ(ハーバート・ロム)の四人を連れてやってきた。が、彼らは音楽をやるとは実は大嘘で五人組の泥棒であった。レコードでメヌエットをかけ夫人をごまかし、連日悪事の相談をしていた。何日か後、相談がまとまり五人は白昼現金輸送車を襲い莫大な紙幣を奪った。犯行には彼らの巧妙な策で知らないうちに夫人も一役買わされていた。夫人の家の二階に運び込んだ現金を分け合うと五人は、長居は無用と早々に部屋を引払うことにした。ところが玄関を出るときワン・ラウンドが持っていたチェロのケースが扉にはさまれ無理に抜こうとしたとたん中に詰めた紙幣が夫人の眼前で吹雪のように飛散ってしまった。驚いた一同は紙幣をかき集め逃げようとしたが夫人に見られた以上逃げても無駄だと再び部屋へ引返すことにした。と、そこへ夫人の四人の友達が訪ねてきた。五重奏を聞きながらパーティを開こうというわけだったのだが、その友達の一人がもっていた新聞に例の事件がデカデカと出ていたため夫人は一切を覚った。教授は夫人を巧く言いくるめようとしたが彼女は警察へ自首すると言い張った。そこで五人は彼女を殺そうと決め、少佐が手を下すことになった。しかし夫人を殺すことが出来ない少佐は、チェロケースを持って窓から逃げようとしてルイに殺された。次の番にハリイがあたった頃から仲間割れが生じはじめ、ハリイも大男も、そしてルイさえも次々と消えて行き、後に残った教授も、汽車の信号機にふれあえない最期を遂げた。翌朝夫人は警察に出掛けた。しかし五人の男が姿を消してお金だけが残っているという夫人の言葉に署長はいつもの事と取りあってくれず、夫人は仕方なく我が家に引返すのだった。





20-38. マジェスティック

監督 リチャード・フライシャー
出演 チャールズ・ブロンソンアル・レッティエリリンダ・クリスタルリー・パーセルポール・コスロ
1974年・アメリカ (ユナイト映画)

解説
コロラドの大農場を舞台に、巨大なマフィア組織に立ち向かう男の執念を描くアクション。製作はウォルター・ミリッシュ、監督は 「トラ・トラ・トラ!」 のリチャード・フライシャー、脚本はエルモア・レナード、撮影はリチャード・H・クライン、音楽はチャールズ・バーンスタインが各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、アル・レッティエリ、リンダ・クリスタル、リー・パーセル、ポール・コスロなど。

ストーリー
ビンス・マジェスティック(チャールズ・ブロンソン)は、コロラド州ユマ郡のエドナという農村で160エーカーにおよぶ大農園を持ち、そこでメロン栽培をしていた。今、メロンはすっかり熟し、摘まれて出荷されるのを待つばかりだ。マジェスティックの人夫頭ラリー・、メンドーザと作業員請負業者ジュリオ・タマズは慎重に30名の作業員を選び、マジェスティックの農園に向かわせた。その途中、給油所で若いメキシコからの移住者ナンシー・ジャヴェズ(リンダ・クリスタル)が女性専用トイレの使用を断られているのを目撃し、その人種差別に怒りを感じた。マジェスティックは彼女と同僚の4人のメキシコ人も雇い、農園に着いたが、既に作業員たちが入っているのを見て驚いた。これは、ボビー・コパス(ポール・コスロ)という男の仕業で、ショット・ガンをもった仲間と共に、賃金を安くするから自分たちの作業員を雇えとスゴんでみせた。彼が断ると、ショット・ガンを向けてきたが、マジェスティックは難なく彼らを殴り倒してしまった。すると間もなく、パトカーが姿を見せ、マジェスティックは暴行罪で逮捕されてしまった。警察に連行されたマジュスティックの必死の抗弁にも拘わらず、留置されることになった。留置所には、コパスの組織の殺し屋ブラック・レンダ(アル・レッティエリ)もいた。囚人輸送中の護送車がレンダの組織に待ち伏せられ、激しい銃撃戦の中で、マジェスティックは護送車を奪ってその場を逃れレンダを捕らえたままとある山小屋に立てこもった。レンダはマジェスティックに逃がしてほしいと頼み、仲間のウィリーに電話で25、000ドルを持ってくるよう連絡した。ところが、マジェスティックは近くの店から警察に電話し、レンダを引き渡すから自分の無罪を立証するようにと伝えた。レンダの話に乗ると見せかけたマジェスティックは、いきなり彼を車に乗せた。だが最後の抵抗をこころみたレンダはマジェスティックに襲いかかり、彼を1人残して車で逃亡した。組織に戻ったレンダはコパスと共にマジェスティックに復讐を誓い、彼の農園に働く移民の作業員たちに消えろと命じ、メロン畑で機関銃を乱射した。執拗なレンダの捜索、遂にマジェスティックは家でナンシーと一緒のところを目撃されてしまう。隙を見てナンシーがトラックに飛び乗り、エンジンをかてた。後に続くマジェスティック。逃げるトラックをレンダ一味が3台の車に分乗して後を追う。危うく追いつかれそうになったとき、マジェスティックはハンドルを切り、山道に入った。険しい上り坂で、近づいてきたレンダ一味の車にショット・ガンをブッ放した。車はバランスをくずし、遥か谷底へ落下していった。そして、残る2台の車の前からマジェスティックのトラックが消えた。知らぬまに、一味の背後に廻ったのだ。2台の車に近づいたマジェスティックの運転するトラックは体当たりで断崖から突き落としてしまった。度胆を抜かれたレンダ一味は、彼らの別荘に引き篭もり、そこでマジェスティックと対決することにした。やがてマジェスティック得意のショット・ガンが炸裂し、静かな山々にこだまする。パトカーが急を聞いて駆けつけたが、ときすでに遅く、別荘には血まみれの死体が横たわっていた。マジェスティックは、立ちすくむ警官隊を前に何事もなかったかのように去っていった。




20-39. 勇気ある追跡

監督 ヘンリー・ハサウェイ
出演 ジョン・ウェイングレン・キャンベルキム・ダービージェレミー・スレートロバート・デュヴァル
1969年・アメリカ (パラマウント)

解説
チャールズ・ポーティスの小説を「5枚のカード」 のマーゲリット・ロバーツが脚色「サハリ!」 のヘンリー・ハサウェイが監督した西部劇。撮影は「エルダー兄弟」 のルシエン・バラード、音楽はエルマー・バーンスタイン、美術はウォルター・タイラーが担当した。出演はジョン・ウェイン、歌手のグレン・キャンベル、新星キム・ダービーほか。製作はハル・B・ウォリス。

ストーリー
1880年代のアーカンソン州。マティ(キム・ダービー)は両家の子女にも似ず、気の強い、だが、かわいい少女だった。そんな彼女の父親が、雇人のトムに殺された。マティはためらわず復讐を決意。といっても、1人では、とても無理。そこで雇ったのが大酒飲みで片目のコグバーン(ジョン・ウェイン)と、若くてハンサムなテキサス・レンジャーのラ・ボーフ(グレン・キャンベル)だ。3人は出発した。だが、個性の強い3人ゆえ、平和な道中ではない。特に男2人は反揆し合い、ののしり合う。だが、互いに相手が気骨ある男だということは、分かった。インディアン地区で、マティがトムに捕まえられた。助け出したのはラ・ボーフ。そこへ現れたコグバーン。馬に乗り、手綱をくわえ、拳銃を乱射しながら一味の中へ。だがラ・ボーフがトムに撃たれ、瀕死の重傷。その情景を見たマティが、トムに1発、2発と狙う。しかしながら慣れない銃の扱い。反動で、ガラガラ蛇のいる穴に落ちてしまった。コグバーンはトムを殺し、マティを助け出す。瀕死のラ・ボーフの手を借りて。だが、その直後、ラ・ボーフは息絶えた。コグバーンは、毒蛇にかまれたマティをかつぎ、医師のもとへ大疾走。何頭もの馬を乗りつぶし荒野をひた走る。やがてマティは回復し、命の恩人のコグバーンをみる。だが彼は相変わらずの大酒飲みでヤクザな男だ。それでもいいではないか。だって彼は、死んでしまったラ・ボーフとともに、マティのために、真実の勇気をみせてくれたのだから。




20-40. ワイルドバンチ

監督 サム・ペキンパー
出演 ウィリアム・ホールデンアーネスト・ボーグナインロバート・ライアンエドモンド・オブライエンウォーレン・オーツ
1969年・アメリカ (ワーナー)

解説
ストーリーはロイ・N・シックナーとワロン・グリーン、脚色はサム・ペキンパーとワロン・グリーン、監督は「ダンディー少佐」 のサム・ペキンパーで、悪党たちのアクション篇。撮影は「墓石と決闘」 のルシエン・バラード、音楽は「野望の系列」 のジェリー・フィールディング、美術はエドワード・キャレアの担当。出演はウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エドモンド・オブライエンほか。製作は新鋭フィル・フェルドマン。

ストーリー
1913年、テキサスとの国境の町。パイク(ウィリアム・ホールデン)をリーダーに、ダッチ(アーネスト・ボーグナイン)ら5人組は鉄道の駅舎で、突如、物騒な強盗作業を開始。まんまと事を運んだかにみえたが、鉄道会社の経営者が雇った3人の腕ききガンマンたちに逆襲されて大混乱。こちらのリーダーは仮釈放中のソーントン(ロバート・ライアン)である。パイクたちが再び集まったのは老ガンマンのサイクス(エドモンド・オブライエン)の牧場だった。そしてサイクスも仲間に割り込んできた。再び旅が始まった。ソーントンとバウンティハンターたちが追う。1ヵ月以内にパイク一味を捕まえればソーントンの罪は帳消しになるのだ。やがてパイク一味はメキシコ人の小さな村にたどり着く。そこは一味の1人、エンジェルの故郷だ。だがエンジェルの恋人テレサが、マパッチをリーダーとする野盗の群れに掠われた。一味は彼を追って、さらに奥地へ。だがパイクもマパッチも、悪党であることに変わりはない。やっとのことで追いつき、商談らしきものが成立したが、そこは双方だまし合い。あげくの果てに悪と悪との壮烈な戦いとなり、すべてが死に絶えるというさま。そこへソーントンの一行がやって来た。死体をめぐって仲間割れ。ソーントンだけが生き残った。だが、そこへ現れたのが、サイクス老人だ。彼はパイク一味の仲間入りしたにもかかわらず同行せず、すべてが死んだ後に1人でやって来て、原住民と商取り引きを始めた。金のないソーントンなど手を出すすべもない。悪の中でも最高の悪が勝った開拓時代の1エピソードである。




20-41. ブラック・レイン

監督 リドリー・スコット
出演 マイケル・ダグラスアンディ・ガルシア高倉健ケイト・キャプショー松田優作
1989年・アメリカ (ユニヴァーサル映画=UIP映画) 125分

解説
日米の刑事の活躍と友情の絆を描くポリス・アクション。エグゼクティヴ・プロデューサーはクレイグ・ボロティンとジュリー・カーカム、製作はスタンリー・R・ジャッフェとシェリー・ランシング、監督は 「誰かに見られてる」 のリドリー・スコット、脚本はC・ボロティンとウォーレン・ルイスの共同、撮影はヤン・デ・ボン、音楽はハンス・ジマーが担当。出演はマイケル・ダグラス、高倉健ほか。

ストーリー
半年前の容疑者の逮捕の際に現金が減って発見されたことで、その行動に疑いをかけられているニューヨーク市警のニック・コンクリン部長刑事(マイケル・ダグラス)は、ある日同僚のチャーリー・ヴィンセント(アンディ・ガルシア)と昼食をとっている時に、そのレストランで、マフィアのボスが日本人の2人組に襲撃される事件に直面した。そして激しい格闘の末に、その佐藤(松田優作)という男を逮捕したニックとチャーリーは、彼を護送するために日本へと向かうことになる。ところが大阪空港での犯人引き渡しの際に、偽装警察に佐藤をだまし取られた2人は、銃を所持しないという条件のもと、大阪府警の松本正博警部補(高倉健)の監視下に置かれることになった。そんな折、大阪の「クラブ・ミヤコ」で殺人事件が起きた。被害者は例の偽装警官で、別室では彼と一緒にいたミユキ(小野みゆき)というホステスが事情聴取されていた。ジョイス(ケイト・キャプショー)というアメリカ人ホステスからニックは、犯人が佐藤であること、また彼が大阪の夜の街のボスである菅井(若山富三郎)と抗争を続けていたことを知らされる。ところがニックとチャーリーがホテルに帰ろうとする夜、佐藤を始めとするライダーたちに取り囲まれ、チャーリーが切り殺されてしまう。ミユキが佐藤の情婦であるとにらんだ松本とニックは、彼女を尾行し、やがて大きな製鉄所で佐藤と菅井が対峙している現場にたどりつくが、激しい銃撃戦の末、彼を取り逃してしまう。国外退去を命じられたニックは、佐藤を逮捕するため監視の目を盗んで飛行機から脱出し、松本を訪ねるが、停職中の彼は協力できないと言う。単独で菅井に接近したニックは、佐藤が来るという農家に連れてこられる。身を潜めて彼を待ち伏せするニックの前に現われたのは松本だった。そして松本の援護のもと農家に乗り込んだニックは佐藤を追いつめ、畑での激しい格闘の末、彼を逮捕することに成功するのだった。




20-42. テッド 「大人になるまで待てない!」バージョン (吹替)

監督 セス・マクファーレン
出演 マーク・ウォールバーグミラ・クニスマット・ウォルシュジェシカ・バースジョヴァンニ・リビシ
2012年・アメリカ (東宝東和) 102分

解説
命が宿ったテディベアと中年男性とのおかしなやりとりを描き、R指定のコメディ映画としては歴代No.1の大ヒットとなった、マーク・ウォール バーグ主演のハートウォーミング・コメディ。監督のセス・マクファーレンは脚本に加え、オリジナル版ではテッドの声優も務めている。本作はR15版から再編集、再収録を行ったPG12版での上映。

ストーリー
1985年、ボストン郊外。誰にも相手にされない孤独な少年・ジョンは、クリスマスプレゼントでもらった唯一の話し相手であるテディベアと、本当の友人になれるよう天に祈りを捧げる。翌朝、ジョンの祈りは通じ、魂が宿ったテディベア“テッド”はジョンに「一生親友だよ」と約束する。しかし、やがて奇跡は日常となり、少年は大人へと成長する……。それから27年。ジョン(マーク・ウォールバーグ)はいつまでも青春時代から脱却できないダメ男に成長、テッドも見た目は可愛いテディベアのままだが中身だけが成長し、いまや下品なジョークと女の事で頭がいっぱいの中年テディベアに成り下がっていた。少年時代の約束通り、親友として今日も自宅ソファーで自堕落で低モラルな毎日を送るジョンとテッド。そんな中、ジョンは4年間付き合っている彼女ローリー(ミラ・クニス)から、自分かテッドのどちらかを選ぶよう迫られ、テッドから自立することを決意するが……。





20-43. 幸せの教室

監督 トム・ハンクス
出演 トム・ハンクスジュリア・ロバーツブライアン・クランストンセドリック・ジ・エンターテイナータラジ・P・ヘンソン
2011年・アメリカ (ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン) 99分

解説
トム・ハンクスとジュリア・ロバーツという、アカデミー賞に輝く名優2人が共演したハートフルストーリー。人生に希望を失った男女が運命的な出会いをはたし、新しい人生へと踏み出そうとする姿を感動的に描く。トム・ハンクスにとって、 「すべてをあなたに」 以来の劇場映画監督第2作となる。

ストーリー
大卒ではないという理由で、長年勤めていたスーパーをリストラされてしまったラリー・クラウン(トム・ハンクス)。再就職のアテもなく落ち込んでいたが、心機一転、再就職のためのスキルを身につけようと、短期大学に入学する。そこで出会ったのは、スピーチの授業を担当する教師メルセデス・テイノー(ジュリア・ロバーツ)。いつも仏頂面で、酒に酔って暴言を吐くメルセデスは、結婚生活の破綻からアルコールに走り、教師としての情熱も、日々の喜びさえも見失っていた。初めてのキャンパスで年齢も境遇も違う様々な人々と出会うことで世界を広げ、かつてない充実した日々を送り始めるラリー。メルセデスは、そんなラリーとの出会いを通して、再び自分と向き合い始める。果たして2人はこの教室で、幸せな未来を見つけることが出来るのか……?





20-44. おとなのけんか

監督 ロマン・ポランスキー
出演 ジョディ・フォスターケイト・ウィンスレットクリストフ・ヴァルツジョン・C・ライリー
2011年・フランス、ドイツ、ポーランド (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 79分

解説
皮肉で知的なブラックユーモアで国際的に高い評価を得ている劇作家ヤスミナ・レザの傑作コメディを 「ゴーストライター」 のロマン・ポランスキー監督が映画化。上品な2組の夫婦が些細なことから対立、粗野で幼稚な本性が、次第にむき出しになっていく。2人のアカデミー賞女優が火花を散らす罵詈雑言の応酬がなんとも痛快。

ストーリー
ニューヨーク、ブルックリン。ザッカリー・カウワンがイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという11歳の子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることに。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー/ジョディ・フォスター)は、カウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ/ケイト・ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせる。やがてお互いの本性がむき出しになっていき、夫婦間の問題までもが露わになっていくのだった……。




20-45. シンプル・プラン 

監督 サム・ライミ
出演 ビル・パクストンビリー・ボブ・ソーントンブリジット・フォンダブレント・ブリスコウベッキー・アン・ベイカー
1998年・アメリカ (東宝東和) 122分

解説
ふとしたことで大金を手にした人々が平凡ながらかけがえのない人生を見失っていく姿を描いたサスペンス。スコット・スミスの同名ミステリー(邦訳・扶桑社海外文庫)の映画化で、脚本をスミス自身が手掛け、監督には 「クイック&デッド」 のサム・ライミがあたった。製作は 「トゥルーマン・ショー」 のアダム・シュローダーと 「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」 のジェームズ・ジャックス。製作総指揮は 「プライベート・ライアン」 のゲーリー・レヴィンソンとマーク・ゴードン。撮影は 「Boys and Girls」 のアラー・キヴィロ。音楽は 「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」 のダニー・エルフマン。美術は 「アマデウス」 のマリア・ヴォン・ブランデンスタイン。編集はエリック・L・ビアソンとアーサー・コバーン。衣裳はジュリー・ワイス。出演は 「マイテイ・ジョー」 のビル・パクストン、 「ジャッキー・ブラウン」 のブリジット・フォンダ、 「パーフェクト・カップル」 のビリー・ボブ・ソーントン、 「Uターン」 のブレント・ブリスコーほか。

ストーリー
アメリカの雪深い田舎町。飼料店に勤めるハンク(ビル・パクストン)は、薄給に苦しみながらも妊娠中の妻サラ(ブリジット・フォンダ)のために黙々と働いていた。大みそか、失業中の独身中年男の兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)とその悪友の肥満漢ルー(ブレント・ブリスコー)に父親の墓参りに連れ出されたハンクは、その帰り道、偶然入った森の中で墜落したセスナ機を発見。機内にはパイロットの死体と、なんと440万ドル(約5億円)もの大金があった。ジェイコブとルーはこれが犯罪がらみの金だと決めつけて着服しようと持ちかけ、最初は反対したハンクも結局同意し、彼が責任をもって預かることに。最初は混乱したサラも出産後の生活苦を考えて、着服プランに積極的に関わる。サラの提案で、ジェイコブを誘って金の一部を森に戻しに出向いたハンクだが、狩りのため森に行こうとした近所の老人ドワイト(ジャック・ウォルシュ)を、動揺したジェイコブがバールで打ちすえてしまう。ハンクはジェイコブをなだめ、息を吹き返した彼の息の根を止めて事故死に見せかける工作をした。こうして辻棲あわせのウソが始まった。さらに、借金まみれのルーが金をよこせとふたりを脅迫、ハンクとジェイコブはいきがかりで彼とその妻ナンシー(ベッキー・アン・ベイカー)を殺してしまった。正当防衛が認められ罪には問われなかったふたりだが、ジェイコブは良心の呵責に苦しみ出す。ほどなく、保安官のカールから兄弟に呼び出しがかかる。FBIのバクスターと名乗る捜査官が来て、かつてこの付近で誘拐事件の身代金を乗せたまま消息を絶ったセスナ機について情報を欲しいというのだ。FBI捜査官の正体に不審を覚えたサラは、バクスターが誘拐犯人のひとりということを突き止めてハンクに連絡、身を守るため彼はすきをみて保安官の銃を盗んだ。森の中のセスナ機の前で、バクスターは保安官を殺すが、ハンクに倒された。それを見ていたジェイコブは、なんとハンクに自分も殺して全ての始末をつけてくれと懇願する。兄としての最後の頼みだと迫る彼をハンクは泣きながら射殺した。結局、例の大金は札番号が控えられ、使うことが不可能と判明、ハンクはサラの制止をきかず、金を暖炉で燃やした。だが、彼には平穏な日々はもはや戻らない……。




20-46. 戦争のはらわた

監督 サム・ペキンパー
出演 ジェームズ・コバーンマクシミリアン・シェルジェームズ・メイソンセンタ・バーガーデイヴィッド・ワーナー
1976年・西ドイツ、イギリス (富士映画)

解説
ロシア戦線でくりひろげられる名誉欲に憑かれた男のもうひとつの戦争を描く。製作はボルフ・C・ハルトビヒ、監督は 「キラー・エリート」 のサム・ペキンパー、原作はウイリー・ヘンリック、脚本はジュリアス・J・エプスタイン、撮影はジョン・コキロン、音楽はアーネスト・ゴールドが各々担当。出演はジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル、ジェームズ・メイソンなど。

ストーリー
'43年ロシア戦線。一時はスターリングラードまで侵攻したドイツ軍も、今やソ連軍の猛反撃にあい、後退の連日だ。最前戦を死守するブラント大佐(ジェームズ・メイソン)の連隊は、地獄の日々であり、兵隊達には祖国の栄誉も何もなかった。生きのびるための戦いだ。ある日、新任の中隊長としてストランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)が派遣されて来た。貴族の末裔で名誉欲が強く、ヒットラーから贈られる“鉄十字章”の栄誉獲得に執念を抱いている男だ。ブラント大佐と副官キーズリー大尉(デイヴィッド・ワーナー)は、この男をみて溜息をついた。なぜなら、連隊一の戦闘能力を持つスタイナー伍長(ジェームズ・コバーン)と性が合いそうもないからだ。襲撃作戦の翌日、ストランスキーはスタイナーの功績を上申し、彼を軍曹に進級させる。十字章を手に入れるには彼を味方にする方が得だからだ。だがスタイナーは、進級など俺には関係ないという。数日後、スタイナーは重傷をおい、入院中に鉄十字章が送られた。しかし、彼は喜ばない。むしろ慰問に来た将軍の尊大な態度にハラがたつ。看護婦エド(センタ・バーガー)との愛もおき、再び彼は前線の友の元へ戻っていった。再会したストランスキーは、鉄十字章は俺のおかげでもらえたのだと、恩着せがましく言う。そして今度は戦死した中尉に書かせたデッチ上げの報告書にスタイナーの署名をさせ、ストランスキーへの鉄十字章を請求させようとした。ことわるスタイナー。やがて、退却命令が下ったが、頭にきたストランスキーはスタイナーを前線に出させ、彼を戦死させようとした。彼が死ねば、彼の署名なしでも報告書は有効になるからだ。だが、彼は死なない。ソ連兵に化けた彼の小隊は、やがてストランスキーの策略で味方に機銃掃射されてしまう。愛する部下を殺され怒り狂ったスタイナーは敵の砲火の中あまりの激戦のため逃げようとするストランスキーを追いつめる。「鉄十字章を見せてやる!ついて来い!」。初めての激戦におののくストランスキー、高笑いするスタイナー。今彼らの戦いが始まろうとしていた。




20-47. コロンビアーナ (吹替)

監督 オリヴィエ・メガトン
出演 ゾーイ・サルダナジョルディ・モリャレニー・ジェームズミシェル・ヴァルタンクリフ・カーティス
2011年・アメリカ、フランス (ショウゲート(提供 日活=ハピネット=ショウゲート)) 108分

解説
アバター」のゾーイ・サルダナが、幼い頃に両親を殺され、麻薬組織に復讐をするべく女殺し屋となったヒロインに扮するアクション。リュック・ベッソンが製作・脚本を担当、 「アバター」のゾーイ・サルダナが、幼い頃に両親を殺され、麻薬組織に復讐をするべく女殺し屋となったヒロインに扮するアクション。リュック・ベッソンが製作・脚本を担当、「トランスポーター3 アンリミテッド」のオリヴィエ・メガトンが監督を務め、スピーディーかつ激しいアクションが繰り広げられる。

ストーリー
1992年、コロンビア。少女カトレアはマフィアの幹部である父をはじめ家族とともに幸せに暮らしていた。しかしある日突然、マフィアの大物の指示により家族は惨殺される。目の前で家族が殺されていくのを目の当たりにしたカトレアは命からがら逃げ出し、アメリカ・シカゴに住む叔父の家に身を寄せ、復讐を固く胸に誓う。15年後、美しく成長したカトレア(ゾーイ・サルダナ)は、確実に標的をしとめる敏腕の殺し屋になっていた。彼女が現場に必ず残すカトレアの花は、復讐相手をおびき出すためのものだった。やがて彼女の動向を察知するマフィア。それと同じくしてカトレアの存在をつかむFBI。復讐の時が近づく中、新たな悲劇が起こってしまう。悲しみを背負い、すべてに決着を付けるべく、カトレアは銃を手に取る……。




20-48. ヒットパレード

監督 ハワード・ホークス
出演 ダニー・ケイヴァージニア・メイヨヒュー・ハーバートスティーヴ・コクランJ・エドワード・ブロムバーグ
1948年・アメリカ (大映)

解説
「虹を掴む男」 のダニー・ケイとヴァージニア・メイヨのコンビが同じくサミュエル・ゴールドウィンの許で主演する1948年度テクニカラー喜劇、往年の 「火の玉」 の再映画化。 「サンセット大通り」 のビリー・ワイルダーとトーマス・モンローが脚色、 「僕は戦争花嫁」 のハワード・ホークスが監督に当った。撮影は 「南部の唄」 のグレッグ・トーランド、音楽はエミール・ニューマンとヒューゴー・フリードホファの共同担当である。上述主演2名の他 「われら自身のもの」 の脚本を書いたヒュー・ハーバート、 「我等の生涯の最良の年」 のスティーヴ・コクランらが出演するほか、特別出演として、ジャズ音楽界の一流メンバーである、ベニイ・グッドマン、トミイ・ドオシイ、ルイ・アームストロング、ライオネル・ハンプトン、チャアリイ・バアネット、メル・パウエル、ゴールデン・ゲイト4重唱団、ペイジ・キャヴァノ3重奏団らが顔を揃える。

ストーリー
ニューヨークにあるタトン音楽院では録音による音楽史を編纂していたが、民謡部分を担当しているフリズビ教授(ダニー・ケイ)は黒人の作業員から世間ではジャズやブギが全盛であることを聞き新音楽探求に街へ出た。各一流楽団の演奏を聴き、翌朝音楽院へ集まって録音するように頼んでから、彼は最後に歌姫ハニイ(ヴァージニア・メイヨ)に会った。彼女はすげなく彼を追い帰したものの、情夫のギャング、トニイ(スティーヴ・コクラン)が警察に追われはじめたことを知ると、身の危険を感じて音楽院に逃げ込んだ。謹厳な教授連は異様な美女の出現に閉口したが、彼女は頑として居すわってしまい、かくて翌朝フリズビ教授の指導でジャズ音楽史の録音が行われた。うぶなフリズビはハニイに一目で参ってしまったが、トニイから矢のような呼び出しを受けていた彼女は、ニュージャージーの父の家で結婚式を挙げようと教授たちを連れ出し、警察の目をごまかして情夫に会う算段をたてた。しかし途中車が故障し、田舎の宿で一泊したことからハニイは初めて教授たちの純真さやフリズビの愛情に打たれた。ギャングらは宿に押しかけ、ハニイを連れ去ったが、彼女は頑としてトニイとの結婚を承知しなかった。業を煮やしたトニイはハニイを連れて音楽院に出かけ、フリズビらの目の前で式を挙げはじめた。この時録音のため集まってきたジャズ・メンは、フリズビの指揮によって、音楽による攻撃を開始し、ついにギャングらを一掃した。かくて教授たちは再び音楽史に戻り、フリズビとハニイには新生活が訪れた。