20-1. ジュリー&ジュリア
監督 ノーラ・エフロン
出演 メリル・ストリープ,
エイミー・アダムス,
スタンリー・トゥッチ,
クリス・メッシーナ,
リンダ・エモンド
2009年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 123分
解説
料理によって人生を豊かなものにしていった2つの時代に生きる女性の姿を描く、実話がベースの感動作。50年の時を隔てた2つの物語が並行して描かれ、観る者を温かな気分にさせる。
ストーリー
1949年。アメリカ人のジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、外交官の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤でパリにやって来る。好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、ここでフランス料理に出あい、名門料理学校ル・コルドン・ブルーで学ぶことを決意。持ち前の負けん気と明るい性格を武器に幾多の困難を乗り越え、夫の愛に支えられながらジュリアは学校を卒業する。その後、家庭で誰でも作ることができる524のレシピをまとめた料理本を出版すると、アメリカで大ベストセラーとなる。それをきっかけに料理番組に出演したジュリアは、身長185cmでかん高い声、本番中に失敗しても気にしない大らかなキャラクター、そして「ボナペティ!(召しあがれ)」という決まり文句で国民的大人気となっていった……。50年後の現代ニューヨーク。作家になる夢に破れ、派遣社員として働くOLのジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、冴えない毎日を過ごしていた。ある日、料理が大好きな彼女は、幼い頃から憧れていた料理研究家ジュリア・チャイルドの524レシピを365日で作り、それを毎日ブログに綴ることを思いつく。それは、自らの人生を変えたいという焦りから始めた無謀な挑戦であったが、試行錯誤を繰り返し、悪戦苦闘するジュリーのブログは、いつしか大評判になっていく……。
20-2. ワルキューレ
監督 ブライアン・シンガー
出演 トム・クルーズ,
ケネス・ブラナー,
ビル・ナイ,
トム・ウィルキンソン,
カリス・ファン・ハウテン
2008年・アメリカ (東宝東和) 120分
解説
トム・クルーズが祖国を愛するがゆえに、独裁者ヒトラーの暗殺を企てた実在の人物、シュタウフェンベルク大佐に扮した歴史ドラマ。監督は 「Xメン」 シリーズのブライアン・シンガー。
ストーリー
ドイツの敗色が濃くなった第二次世界大戦末期。シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、国家に忠誠を誓う誇り高き軍人ながらも、ヒトラー総統による独裁政権に絶望していた。このままでは、愛しき祖国に未来はない。最前線で、無謀な戦乱から部下の命だけは救おうと上官に撤退を進言し、説得の末にようやく受け入れられるも、連合軍の爆撃を浴びてしまった。生死の境をさまよいながら、片目と片手を引き換えにシュタウフェンベルクは一命を取りとめた。そして、ドイツ再建のためにヒトラー暗殺計画を企てるレジスタンスの秘密会議に参加する。しかし、そこで語られる計画は、彼にとって物足りないものだった。ある日、自宅でワーグナーを聴いていたシュタウフェンベルクは、ドイツ国内での有事に際して反乱勢力を鎮圧する「ワルキューレ作戦」のオペレーションを利用して、ナチス政権をも転覆させる計画を思いつく。そのためには、「ワルキューレ作戦」の文書を改ざんしながらヒトラーから署名を貰うこと、そして発動権を持つ司令官フロム(トム・ウィルキンソン)を抱き込むことが必要だった。レジスタンスの主要メンバーであるトレスコウ少将(ケネス・ブラナー)、オルブリヒト将軍(ビル・ナイ)、ベック参謀総長(テレンス・スタンプ)らも賛同を示し、ヒトラー暗殺計画はミッションをクリアして着々と進行していった。自ら実行者を志願したシュタウフェンベルクは、最愛の妻と五人の子供たちを送り出し、小型爆弾を忍ばせたブリーフケースを持参して、総統大本営「狼の巣」へと向かう。ヒトラーも参加する作戦会議室にブリーフケースを置き、その場から去るシュタウフェンベルク。10分後、「狼の巣」は爆破され、暗殺計画は成功したかに見えた。しかし、ヒトラーは生き延びて、「ワルキューレ作戦」は失敗に終わる。処刑されるシュタウフェンベルクは、それでも祖国の未来を信じていた。
20-3. わが命つきるとも
監督 フレッド・ジンネマン
出演 ポール・スコフィールド,
ウェンディ・ヒラー,
レオ・マッカーン,
ロバート・ショウ,
オーソン・ウェルズ
1966年・イギリス (コロムビア映画)
解説
「ドクトル・ジバゴ」 のロバート・ボルトが彼自身の戯曲を脚色、 「日曜日には鼠を殺せ」 のフレッド・ジンネマンが製作・監督した作品で、アカデミー賞の作品賞に輝いているほか、数々の賞を獲得している。撮影は 「モール・フランダースの愛の冒険」 のテッド・ムーア、音楽は 「カトマンズの男」 のジョルジュ・ドルリューが担当した。出演は英国舞台俳優のポール・スコフィールド、 「息子と恋人」 のウェンディ・ヒラー、 「モール・フランダースの愛の冒険」 のレオ・マッカーン、 「バルジ大作戦」 のロバート・ショウ、 「パリは燃えているか」 のオーソン・ウエルズ、スザンナ・ヨークほか。総指揮はウィリアム・N・グラフ。
ストーリー
1528年、英国。当時の王はヘンリー8世(ロバート・ショウ)で、彼は若く精力旺盛であった。彼は女王カテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚しようとしていた。英国はローマ・カソリックの国であったから、離婚にはローマ法王の許しを得なければならなかった。王の2度目の結婚を法王に弁護出来る者は、英国中にただ1人しかいなかった。サー・トマス・モア(ポール・スコフィールド)彼は王の高等評議会の一員で信仰心あつく、ヨーロッパ中の人々から愛されている人であった。モアはチェルシーの領地で家族と楽しんでいた。妻のアリス(ウェンディ・ヒラー)、娘のマーガレット(スザンナ・ヨーク)や友人たちである。その時、ウォルジー枢機卿(オーソン・ウエルズ)からの使いが来て、モアはハンプトン宮殿へ召喚された。枢機卿はモアに、ヘンリー8世と女王の離婚を法王が承認するよう取りはからってくれと頼んだ。しかしモアはそれを拒否した。館に帰った彼はその夜、妻のアリスからノーフォーク卿がモアを大法官に推せんしていると告げた。1年後、ウォルジー枢機卿は王の離婚実現に失敗し、大寺院で寂しく死んだ。そしてサー・トマス・モアが大法官となった。ある夜ヘンリー8世がモアの館を訪れた。モアは王に忠誠を誓ったがローマ・カソリックの信者であるため、王の離婚には賛成しなかった。間もなく評議会がカンタベリー大寺院で招集され、国王はローマ法王に対する忠誠を放棄し、自ら英国教会の主となる、と発表された。モアはちゅうちょなく大法官の地位をすて、一市井人として静かな生活に入った。やがて王はカテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚した。ある日モアは大法官の秘書クロムウェル(レオ・マッカーン)に呼ばれた。彼はモアから王とその離婚についての言質をとって、罪におとしいれようとした。遂にモアは逮捕され、ロンドン塔に閉じこめられた。反逆の罪で彼はウエストミン・ホールの裁判に引き出された。死刑の宣告。モアは沈黙を破って言った。「私は王の忠実な召使いとして死にます。だが王より神のために死ぬのです!」と。
20-4. ロング・キス・グッドナイト
監督 レニー・ハーリン
出演 ジーナ・デイヴィス,
サミュエル・L・ジャクソン,
パトリック・マラハイド,
クレイグ・ビアーゴ,
ブライアン・コックス
1996年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ) 121分
解説
過去の記憶をなくした主婦、実は凄腕の特殊工作員と彼女によって事件に巻き込まれた私立探偵の冒険の旅を、ド派手なアクションの連続で描くアクション大作。 「リーサル・ウェポン」 「ラスト・ボーイスカウト」 のシェーン・ブラックが書き、ハリウッド史上最高値の四百万ドルで落札されたオリジナル脚本を、 「カットスロート・アイランド」 の監督レニー・ハーリン、主演ジーナ・デイヴィスの夫婦コンビ(その後離婚)で映画化。製作はハーリン、ブラック、 「トゥルーライズ」 のステファニー・オースティンの共同。製作総指揮は 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のスティーヴ・ティッシュ、リチャード・サパースタイン、マイケル・デ・ルカ。撮影のギレルモ・ナヴァロとスタント・コーディネーターのスティーヴ・M・デイヴィソンは、 「デスペラード」 「フロム・ダスク・ティル・ドーン」 のコンビ。音楽は 「フォレスト・ガンプ」 のアラン・シルヴェストリがスコアを書き、ボニー・グリーンバーグの監修の下、ニナ・チェリーの 「ウーマン」 、マディ・ウォーターズの 「マニッシュ・ボーイ」 ほか、新旧の挿入曲が使われている。美術は 「ユージュアル・サスペクツ」 のハワード・カミングス、編集はウィリアム・ゴールデンバーグ、衣裳は 「セブン」 のマイケル・カプラン、特殊視覚効果はジェフリー・A・オクン。共演は 「評決のとき」 のサミュエル・L・ジャクソン、舞台で活躍し本作が映画初出演のクレイグ・ビアーコ、 「クロッシング・ガード」 のデイヴィッド・モース、 「チェーン・リアクション」 のブライアン・コックスほか。
ストーリー
8年前、ニュージャージー州の浜辺で倒れていたサマンサ・ケイン(ジーナ・デイヴィス)は、全ての記憶を失っていた。以来彼女は小学校の教師をしながら、優しい夫ハル(トム・アマンデス)と8歳の娘ケイトリン(イヴォンヌ・ジーマ)と幸せな日々を送っていた。ところが、クリスマス・イヴに交通事故に遭い、その衝撃で断片的に記憶が甦る。退院したサマンサをある夜、片目の男が襲撃するが、彼女は無意識のうちに体が反応して戦い、相手の首をへし折ってしまう。不安に陥った彼女は、自分の過去を調査するために雇った私立探偵のミッチ・ヘネシー(サミュエル・L・ジャクソン)と共に、失われた記憶を探す旅に出た。2人はまず、サマンサ宛の手紙を手掛かりに、ネイサンという人物と連絡を取り、駅で待ち合わせる。そこへ突如出現した武装集団が彼らを襲うが、サマンサは身に覚えのない射撃のテクニックで敵と渡り合い、窮地を脱する。そこへネイサン(ブライアン・コックス)が現れ、サマンサの素姓を明かした。実は、彼女はチャーリーと呼ばれていたCIAの暗殺専門の特殊工作員で、8年前の任務遂行中に死んだものと思われていたという。ネイサンの話を信じない2人は、手掛かりを握るルーク(デイヴィッド・モース)という男の農場へ向かうが逆に捕まり、ネイサンも殺されてしまう。サマンサは拷問によって生死の境を漂ううち、記憶を取り戻す。超人的な射撃の腕でルークの息の根を止めた彼女は、全てを思い出した。ルークの正体は武器商人のディダラスで、片目の男ジャックはその部下だった。8年前、ディダラスや彼と結託する巨大犯罪組織のボス、ティモシー(クレイグ・ビアーコ)を暗殺する命令を受けた彼女は、上司のCIA局長パーキンス(パトリック・マラハイド)が彼らの黒幕であることを知ったために殺されかけ、断崖から転落したのだった。パーキンスとティモシーはサマンサを亡き者にせんと、彼女の愛娘ケイトリンを誘拐。サマンサとミッチは罠を承知で、一味が極秘の“ハネムーン計画”を進めるナイアガラの滝に向かうが、敵に捕まってしまう。パーキンスは冷戦終結後の情勢の変化によって弱体化したCIAを憂い、アラブ人ゲリラの仕業に見せかけた爆発事故を起こすことによって、対テロ用の予算の獲得とCIAの存続をもくろんでいた。脱出したサマンサとミッチは死に物狂いで戦うが、時限爆弾と化したタンクローリーはケイトリンを乗せたまま暴走する。サマンサは力尽きて倒れるが、間一髪、ミッチが母娘を救出。サマンサはティモシーを倒し、3人は大爆発の中を脱出した。パーキンスは反逆罪で告発され、ミッチはヒーローとなり、サマンサはまた元の生活に戻った。
20-5. 消されたヘッドライン
監督 ケヴィン・マクドナルド
出演 ラッセル・クロウ,
ベン・アフレック,
レイチェル・マクアダムス,
ケイティ・ミクソン,
ジェイソン・ベイトマン
2008年・アメリカ (東宝東和) 133分
解説
英国のテレビドラマシリーズをラッセル・クロウ主演で映画化した骨太なサスペンス・ミステリー。国家権力や莫大な利権が絡む謀略の構図を暴こうとする新聞記者の苦闘を描く。
ストーリー
キャル(ラッセル・クロウ)はワシントン・グローブ紙のベテラン記者。ある日、1人の女性の死亡記事が紙面に掲載される。その被害者女性と将来有望な国会議員コリンズ(ベン・アフレック)のスキャンダルを追っていたワシントン・グローブは、前夜に起こった別の殺人事件との奇妙な関連に気づく。豪腕の女編集長キャメロン(ヘレン・ミレン)の指示で、渦中のコリンズに接触するキャル。旧友であり取材対象でもあるコリンズとのやりとりをきっかけに、彼は相棒のデラ(レイチェル・マクアダムス)とともに、警察の捜査とは別に独自の調査を開始。持ち前の知恵と行動力を駆使して、次第に事件の裏側に迫っていく。ライバル紙のスッパ抜き、クールな上司のプレッシャー、警察との腹の探り合い。困難な状況を乗り越え、ベテランならではの鋭い嗅覚で真相に迫るキャルだが、そこに待ち受けていたのは、想像を絶するアメリカ最大の闇。やがて、自ら紙面で国家権力に挑戦状を叩きつけることになったワシントン・グローブの記者たちに危機が訪れる。迫りくる暗殺の恐怖、幾多の社会的圧力。はたして彼らは、真実を暴くことができるのか……?
20-6. 栄光への脱出
監督 オットー・プレミンジャー
出演 ポール・ニューマン,
エヴァ・マリー・セイント,
ラルフ・リチャードソン,
ピーター・ローフォード,
リー・J・コッブ
1960年・アメリカ (ユナイテッド・アーチスツ) 208分
解説
ユダヤ人国家イスラエルの建国物語とでもいうべき70ミリ作品。レオン・ユーリスの原作小説を 「ポギーとベス」 のオットープレミンジャーが製作・監督。シナリオを書いたのは 「スパルタカス」 のダルトン・トランボ。撮影を担当したのは 「カルメン(1954)」 のサム・リーヴィット。音楽はアーネスト・ゴールド。タイトル・デザインをソウル・バスが受けもっている。出演するのは 「北北西に進路を取れ」 のエヴァ・マリー・セイント、 「熱いトタン屋根の猫」 のポール・ニューマン、サル・ミネオなど。
ストーリー
1947年の地中海キプロス島。当時キプロスにはイスラエルに帰ろうとするユダヤ人たちが英軍によって収容されていた。パレスチナを委任統治していた英国がアラブ諸国との紛争をさけるためとった政策である。アメリカ女性、キティ・フリーモント(エヴァ・M・セント)はキプロスで死んだキャメラマンの夫の様子を探るため現地にやってきた。英軍司令官サザーランドが彼女に便宜をはかってくれた。収容所のユダヤ人たちの窮状をみた彼女は看護婦として、働くことにした。そこでユダヤの美少女カレンや17歳のユダヤ少年ドヴ・ランドーと彼女は知り合った。少女と少年は互いに愛情を抱いていた。その頃、1人のユダヤ人地下組織のリーダーがキプロスに潜入した。アリ・ベン・ケナン(ポール・ニューマン)である。元英軍将校だった彼の任務は、ユダヤ国家再建のためキプロスのユダヤ人たち2800名をエルサレムに送りこむことだった。軍服を利用して、彼は貨物船オリンピア号をエクソダス号と改名、ユダヤ人たちをのせて港を出ようとした。英軍はこれを知って停船を命じた。ユダヤ人たちはハンストをもって対抗した。美少女カレンを養女にしようとしたキティも、少女とともにこの船の中にいた。やがて世界の世論に負けた英軍はエクソダス号出港を許し、一行はハイファについた。カレンら少年少女はガガリーの丘にあるユダヤ人の「青春の村」におちついた。アリの父バラクや友好的なアラビア人ハタが一行を迎えた。バラクの弟アキバは戦闘的なユダヤ人地下組織のリーダーで、アリたちの平和主義者と対立していた。ドヴ・ランドー少年はこの一派に加わった。エルサレムでアリとめぐりあったキティは、彼に愛情を感じた。その頃アキバ1派は暴動をおこして英軍に捕らえられ、刑務所に入れられた。アリはアラブ諸国の妨害を排除するにはユダヤ人組織を統一するのが必要と考え、アキバたちを救出した。しかしアキバは彼の腕の中で死んだ。1947年11月、国連はパレスチナ分割を可決しユダヤ人の国イスラエル共和国が誕生した。が、そのことは同時にユダヤ人とアラブ諸国の争いが本格化することを意味していた。元ナチ将校フォン・ストークに指揮されたアラブ人たちはユダヤ人地区を襲撃しハタを殺した。アリは少年少女を「青春の村」から脱出させ戦闘体制をととのえた。カレンが銃弾に倒れたが、ユダヤ人たちは屈しなかった。今はアリと行を共にする決心をしたキティも銃をとった。
20-7. シャーロック・ホームズの冒険
監督 ビリー・ワイルダー
出演 ロバート・スティーブンス,
コリン・ブレークリー,
ジュヌヴィエーヴ・パージュ,
クリストファー・リー,
アイリーン・ハンドル
1970年・アメリカ (ユナイト) 125分
解説
聖書につぐ世界のベストセラーと言われる探偵小説の主人公“シャーロック・ホームズ”の書かれざる私生活。製作・オリジナル脚本は 「昼下がりの情事」 「アパートの鍵貸します」 「恋人よ帰れ! わが胸に」 などの名コンビ、監督のビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンド、撮影は 「チキ・チキ・バン・バン」 のクリストファー・チャリス、音楽は 「ベン・ハー(1959)」 のミクロス・ローザ、美術をトニー・イングリス、編集はアーネスト・ウォルターがそれぞれ担当。出演は 「ミス・ブロディの青春」 のロバート・スティーブンス、 「魚が出てきた日」 のコリン・ブレークリー、 「昼顔」 のジュヌヴィエーヴ・パージュ、 「マジック・クリスチャン」 のクリストファー・リー。その他、アイリーン・ハンドル、モリー・モーリンなど。
ストーリー
ロンドンのある銀行の保安庫に、死後50年開封禁止となっていたワトソン博士の遺品が開かれようとしていた。それは探偵術を芸術にまで高めた、かの名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・スティーブンス)と、彼の解いた数々の難事件の記録者であり良き伴侶だったジョン・ワトソン(コリン・ブレークリー)博士の共同生活の記録と事件である。しかし、それはあまりにも彼らの私生活にかかわりがあるため、かくの如き扱いになっていたのだ。それがこの物語である……。ホームズは死ぬほど退屈していた。依頼してくる事件といえば、サーカスの団長が6人のコビトの行方を探してくれとか、ロシア・バレエ団のプリマの求婚とかつまらぬものばかり。ところがある霧の夜、辻馬車の御者が、ずぶ濡れの 美女をホームズの下宿に運び込んできた。女主人のハドソン夫人(アイリーン・ハンドル)もビックリ。女は河に落ちて記憶を失っていたが、握りしめていた荷物預かり証の裏に、ホームズの下宿の住所が書き込まれていたのだった。ホームズは彼女の結婚指輪や衣服から、彼女はベルギー人のエミール・バラドン夫人ガブリエル(ジュヌビェーヴ・パージュ)と探り出す。翌朝、記憶を取り戻した彼女は、鉱山技師の夫が空気ポンプの発明をしたが、ロンドンのヨナ商会に就職して3週間、トンと音沙汰がないという。ところがヨナ商会に行ってみると空き家であり、人の気配のないところに大量のカナリアが飼われていた。不思議なことに、その空き家に投げ込まれた手紙は、ホームズ宛のものだった。そこで彼とワトソンは、手紙の主である兄のマイクロフト・ホームズ(クリストファー・リー)を訪ねる。そこはジオゲネス・クラブといい、そのクラブの会員は国際的イザコザのあるところには必ず一口噛んでいるという妙な会であり、マイクロフトは、ガブリエルが依頼した件から手を引けと言う。しかしこれは逆効果で、ホームズの好奇心をムラムラ湧き上がらせるのだった。彼はここで聞き齧った3つの謎めいた言葉と、カナリアの籠に敷いてあった新聞などから、事件の鍵がスコットランドのネス湖にあると睨み、ホームズとワトソン、ガブリエルは旅立った。第一の言葉は墓場であり、今しも埋葬されんとする棺は、大人用のと子供用のもの。大きな棺を開けると、エミール・バラドンの変死体があった。結婚指輪が変色し、不思議なことに白に変色したカナリアの死骸も入っている。第二の鍵は、古城である。警戒厳重な古城にカナリアの大籠や硫酸の瓶が運び込まれる。ホームズにはもうメドがついたらしいが、他の2人はさっぱり訳が判らない。その夜、3人はネス湖上へとボートを漕ぎ出すが、そこへホームズが待ち受けていたものが姿を現す。そう、ネス湖名物大怪獣である。怪獣はボートを転覆させて姿を消した。第三の鍵は向こうからやってきた。マイクロフトからの晩餐への招待であった。シャンパンの瓶を見ながらホームズは推理を披露する。要は聖書に曰く「巨鯨の腹中にヨナは3日3晩生きていた…」のヨナである。彼らが遭遇したのは、ネス湖の怪獣に見せかけた潜水艦だった。小型実験艦ゆえコビトが運転し、硫酸電池を動力源として塩素ガス発生を探知するため、カナリアを使った。バラドンのポンプはそのためのものだったが、1回目は失敗して彼は死に、塩素のために指輪は変色した…と。しかし、彼の見抜けなかたことが1つあった。この事件の依頼人は麗しきバラドン夫人ではなく、英国と潜水艦開発にしのぎをけずるドイツ帝国であり、夫人はスパイであったのだ。ところがこの世界最初の潜水艦も、その日の貴賓ビクトリア女王(モリー・モーリン)の一喝により、廃棄させることとなった。潜水艦はスポーツマン・シップがモットーの英国らしくないというのだ。そして艦は、ガブリエルと連絡を取っていたスパイ団と一緒にネス湖に沈む。英国一の頭脳が美人スパイに痺れた物語は、ガブリエルが去ったことで終わりを告げる。かくてホームズに、また退屈のムシがつき始めるのだった。
20-8. グッドナイト・ムーン
監督 クリス・コロンバス
出演 ジュリア・ロバーツ,
スーザン・サランドン,
エド・ハリス,
ジェナ・マローン,
リーアム・エイケン
1998年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 125分
解説
離婚した夫婦と夫の新しい恋人が織りなす新たな家族の姿を描いたハートフルロマン。 「ベスト・フレンズ・ウェディング」 のジュリア・ロバーツと 「デッドマン・ウォーキング」 のスーザン・サランドンの二大女優が共演。監督は 「ミセス・ダウト」 「9か月」 のクリス・コロンバス。脚本はジジ・リバンシーの原案を、 「ベスト・フレンズ・ウェディング」 のロン・バス以下、 「コリーナ コリーナ」 のジェシー・ネルソン、 「微笑みをもう一度」 のスティーヴン・ロジャース、 「悲しみよさようなら」 のカレン・ライト・ホプキンスの共同。製作は 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のウェンディ・ファイナーマンとマーク・ラドクリフ、マイケル・バーナザン。製作総指揮はロバーツとサランドン、ロン・バス、パトリック・マコーミック、マーガレット・フレンチ・アイザック。撮影は 「9か月」 のドナルド・M・マカルパイン。音楽は 「プライベート・ライアン」 のジョン・ウィリアムス。美術は 「ハンナとその姉妹」 のスチュアート・ワーツェル。編集は 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 のニール・トラヴィス。衣裳は 「ノーバディーズ・フール」 のジョゼフ・G・アウリシ。共演は 「トゥルーマン・ショー」 のエド・ハリス、 「コンタクト」 のジェナ・マローン、 「私の愛情の対象」 のリーアム・エイケンほか。
ストーリー
ニューヨーク。売れっ子ファッション・フォトグラファーのイザベル(ジュリア・ロバーツ)は弁護士のルーク(エド・ハリス)と恋に落ち、同居生活を始める。ところが、彼には別れた妻ジャッキー(スーザン・サランドン)になつくふたりの子供、12歳のアンナ(ジェナ・マローン)とベン(リーアム・エイケン)がいた。ジャッキーと交替でふたりの世話を始めるが、子育ての経験もなく、仕事にも追われる身でもあるイザベルは、完壁な母親だったジャッキーとは違って失敗の連続。だが、ジャッキーが実はガンに冒されている身の上だとわかってから、ふたりは打ち解けていく。ふたりの子供たちもジャッキーのイザベルのいいところをみてあげるようにという忠告を受け入れて、徐々になつきはじめた。そしてある日、アンナの恋の悩みをイザベルは解決。こうしてイザベルはジャッキーにはおよばないまでも母親として晴れて新たな家族の一員となるのであった。
20-9. サンダーボルト
監督 マイケル・チミノ
出演 クリント・イーストウッド,
ジェフ・ブリッジス,
ジョージ・ケネディ,
ジェフリー・ルイス,
キャサリン・バック
1974年・アメリカ (ユナイト映画) 115分
解説
強奪した50万ドルをめぐって敵味方入り乱れて展開されるアクション映画。製作はロバート・デイリー、監督・脚本はマイケル・チミノ、撮影はフランク・スタンレー、音楽はディー・バートンが各々担当、出演はクリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジョフリー・ルイス、キャサリン・バック、ゲイリー・ブッシーなど。
ストーリー
ここは西部のとある教会。黒い服をまとった宣教師が説教をたれている。そこに1台の車が止まり、降り立った男が突如、宣教師めがけて発砲した。脱兎の如く逃げる宣教師。実は宣教師とは真赤な偽りで、男の名はジョン・ドーアティ(クリント・イーストウッド)、別名サンダーボルト(雷)とも呼ばれる有名な銀行強盗だった。綽名の由来は、彼が銀行を襲撃するやり口が20ミリ機関砲で金庫に風穴を開けるという独特の手口を見せることからきていた。そしてそのサンダーボルトを追う男はレッド・レアリ(ジョージ・ケネディ)。レッドはかつてサンダーボルトと一緒に、モンタナ現金輸送会社から50万ドル強奪したが、事件の首謀者ビリー・ラムが突然心臓マヒで死んでしまい、そのためにレッドはサンダーボルトが50万ドルを持ち逃げしたと思い込んでいるのだ。だが、実は50万ドルはラムが子供の頃通った小学校の黒板の裏に隠してあった。サンダーボルトは、レッドの銃撃から危うく逃れ、逓送する最中にライトフット(ジェフ・ブリッジス)という威勢のよい若者と道連れになった。ライトフットは車の運転は抜群、女はすぐ調達といった具合で、軽い足の綽名どうりすばしっこい好漢だった。彼と組んだことから、サンダーボルトは50万ドルを取り戻す絶好のチャンスと盗んだ車で小学校に駈けつけた。だが意外なことに金が隠匿されている筈の昔の校舎に変わって、新しい校舎が建てられていた。運が悪いというか、そこに現われたのがレッドとグッディ(ジョフリー・ルイス)、銃を突きつけ分け前を要求するが、事情を聞かされ憤懣やる方なし。そしてライトフットの提案で、もう1度同じ手口でモンタナ現金輸送会社を襲うことになり、誰もいなくなる日曜日の夜、決行と決まった。警察直通の電話線を警戒し、金庫をぶち破り、大金強奪と同時に一目散に逃走だ。2度目のことだし万事がうまくいく筈だった。トランクからはみ出したグッディの衣服さえ料金係に見とがめられなかったら。パトカーのサイレンに泡をくって逃げだす強盗一味。グッディは警官の弾丸で瀕死の重体、レッドは気が狂ったのか、サンダーボルトとライトフットを滅茶苦茶に殴り倒し、車と金を奪って逃げようとしたが、結局は追いつめられ、デパートのウインドーに正面衝突してあえない最後を遂げた。一方、命からがら逃げだしたサンダーボルトとライトフットはとぼとぼハイウェイをヒッチハイク。そこで彼らに幸運の女神が奇蹟をもたらした。何と最初に奪った50万ドルが隠されている、取り壊された筈の古い校舎が、眼前に現われたのだ。モンタナ州の文化記念物として、州当局から移転され今や観光客のアトラクションになっているという。喜び勇んで50万ドルを手にする2人の姿は、いつしかハイウェイを颯爽と走るまっ白いキャデラックの上にあった。そのとき突然ライトフックの身体がくずれ落ちた。警察隊に包囲された際、気が狂ったレッドに殴られたのが今頃になってきいてきたのだ。サンダーボルトは慌ててキャデラックを停めたが、最早、彼にもどうすることもできなかった。あえない最後を遂げた今は亡きフットライトの夢をのせた白いキャデラックは、ひた走りにハイウェイを走り続けた。
20-10. マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと
監督 デイヴィッド・フランケル
出演 オーウェン・ウィルソン,
ジェニファー・アニストン,
エリック・デイン,
キャスリーン・ターナー,
アラン・アーキン
2008年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 118分
解説
全米で大ヒットを記録した動物コメディ。型破りなほどヤンチャな犬を家族として迎え入れた夫婦の奮闘が爆笑を誘い、人生のすばらしさをうたう物語が感動を呼ぶ。
ストーリー
雪の舞うミシガンで結婚式を挙げたジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)は、共にジャーナリストとして働く新婚カップル。ふたりは暖かなフロリダに家を買い、新しいキャリアと結婚生活をスタートさせた。だが、子どもがほしいとは思っていたものの、二人にはまだ親になる心の準備が整っていない。そう打ち明けるジョンに、地方新聞社の同僚で独身貴族のセバスチャン(エリック・デイン)は、子育ての予行演習として子犬を飼えばいいと進言する。そしてジェニーの誕生日プレゼントとしてやって来たのが、クリーム色のラブラドール・レトリーバー、マーリーだった。ところがマーリーは、手に負えないほどやんちゃで元気いっぱい。ほかの犬や飼い主にとびかかり、顔中をヨダレまみれにする。家具を噛みちぎっては何でもかんでも食べたがる。しつけをしようと犬の訓練学校に入れてはみたものの、インストラクターのミス・コーンブラット(キャスリーン・ターナー)にサジを投げられ、お払い箱にされる始末。そんなマーリーに手を焼きながら、夫妻はようやく子どもを持つことを決意する。やがてジェニーは妊娠するが、ジョンが奮発して買ったネックレスをマーリーが飲み込んでしまう。翌日、ジョンはマーリーの排泄物から、より輝きを増したネックレスを発見した。10週間後、夫妻に突然の悲しみが襲う。ジェニーが流産したのだ。悲しみに暮れるジェニーのそばに、マーリーがそっと寄り添っていた…。それから10ヶ月。夫妻は遂に親になった。二人の心配をよそにマーリーは赤ちゃんのおむつの匂いにウットリし、彼のよき友達になっていく。やがて夫妻の子どもは3人になり、新たなキャリアを求めてフィラデルフィアへと引っ越した。いつも家族のそばにはマーリーがいる。季節はめぐり、ジョンとその家族は、マーリーがいかに自分たちにかけがえのない人生を与えてくれたかに気付くときが来た……。