f39-1. スネーキーモンキー 蛇拳 (吹替)
監督 ユエン・ウーピン
出演 ジャッキー・チェン,
ユエン・シャオティエン,
ウォン・チェンリー,
ワン・チェン,
ディーン・セキ
1976年・香港 (東映) 97分
解説
酔えば酔うほど強くなるという酔八拳の妙技を見せた 「ドランクモンキー 酔拳」 に続いて、今回は手の動きを蛇のように動かす“スネーキー拳法”を使って主人公が活躍するアクション映画。製作はウン・シー・ユアン、監督はユアン・ウー・ピン、アクション監督はユアン・ウーン・ピンが各々担当。出演はジャッキー・チェン、ユアン・シァオ・ティエン、ホアン・チョン・リー、ワン・チェンなど。
ストーリー
清朝末期の広東には、数多くの空手道場があった。中でも鷹爪派と蛇形派は古くからの宿敵同士。クンフーの王者たらんとする鷹爪派のシャンクァンは邪悪の志に燃え蛇形派の門弟を3千人余り殺していた。彼はこの地上にいる全ての蛇形派の使い手を殺してしまおうと考えていた。しかし、名手バイ・チャンテン(ユアン・シァオ・ティエン)が生き残っている限りそれは実現不可能に近かった。チェン・フー(ジャッキー・チェン)はフン・タイ道場のしがない門下生。みなし子で道場に拾われたのでそのまま住みついたのだった。鬼のようなリー師範にいじめられても、へこたれるようなデリケートな人間ではない。ある日、ひょんなことで殴られている白髪の老人を、通りかかったチェンが、なんとか助けた。助けてもらったお礼にと、その老人はクンフーにおける身のかわしを教えた。この白髪の老人こそ、蛇形派唯一の生き残り、バイ・チャオテンだったのだ。そして、バイ・チャオテンが鷹爪流の面々に手傷を負わされたところを再び通りかかったチェン・フーが救い、献身的に看護したことから、チェン・フーは、老人から蛇形派に伝わるという秘技を授かることになる。ただし、授けるにあたって3つの約束ごとがあった。老人を師匠と呼ばないこと、その技を乱用しないこと、パイ・チャンテンが危い時でも助太刀は無用だということの3つだ。こうして蛇形拳をマスターしたチェン・フーは、その頃、フン・タイの道場にのりこんできた、隣りのフン・ウェイ道場と闘うことになり、蛇形拳を使いみごとに勝った。しかし、その様子を物かげから見ていたシャンクァンは、チェン・フーの秘技が蛇形挙であることを見抜き、狙うバイ・チャンテンが近くにいるであろうことを悟った。バイ・チャオテンが留守にしている間に、さらに自分流の“蛇形猫爪くずし”をあみだしたチェン・フーは、鷹爪派の秘密兵器の宣教師、そしてシャンクァンなどを倒すのだった。
39-2. クレージーモンキー 笑拳 (笑拳怪招) (吹替)
監督 ジャッキー・チェン
出演 ジャッキー・チェン,
ヤム・サイクン,
ジェームズ・ティエン,
ディーン・セキ
1979年・香港 (東映) 98分
解説
人間の喜怒哀楽の感情を基にした笑いの波状攻撃である拳法“笑拳”を使って悪党を倒すカラテの達人を描くクンフー映画で、 「酔拳」 、 「猿拳」 に続くシリーズ第3弾。製作はスー・リー・ホワ、監督・脚本はジャッキー・チェンが各々担当。出演はジャッキー・チェン、イェン・シー・クァン、ジェームズ・ティエン、シン・ティエンなど。
ストーリー
清朝末期の広東。政府の横暴さから、目ざわりになるカラテ流派がことごとく弾圧され、その中でも声望高い形意道場は目の仇にされ、門弟たちが清朝からさしむけられた鉄の爪をもつ殺し屋にかき殺されていた。しかし名手、陣鵬飛が生きている限り形意道場復興の可能性は消えない。殺し屋は陣鵬飛を殺すことに全力を注ぐ決意をした。興隆(ジャッキー・チェン)は、哲学と修身とカンフーに専念する若者。実の爺さんと特訓修業のために山中のあばら家に引っ越して毎日励んでいる。ある日、市場に出かけてサイコロ博奕に加わった興隆は、帰り道で3人のやくざに待ち伏せされるが、みごとに3人をやっつけ、逆に彼らから兄貴、兄貴と慕われる始末。一方、病気がちの爺さんの薬代に困り出した興隆は、地道な職業につくがやはりダメ。偶然出くわした例の3人組の紹介で王門道場の用心棒の職をえた。ある日、いつものように道場破りと対決していた興隆は、観衆の中に爺さんがいるのを見つけ、急に緊張、攻めの型が守りの型になってしまった。この爺さんを見つめるものがもう一人。鉄の爪をもつ例の殺し屋だ。彼は、この爺さんこそが身をやつした陣鵬飛であることを見破ったのだ。そして配下をつれて家まで襲ってきた。そして、病をかかえた爺さんは、あの鉄の爪にかかって殺されてしまう。目の前で殺されるのを見た興隆は、爺さんの旧友の松葉杖の男に特訓を受け、遂に秘技“笑拳”を会得する。これは人間の感情に基づいている喜び、悲しみ、わびしさ等と頭脳とパワーを同時に活用する拳法だ。いよいよ決闘の日、興隆は位く、笑う、怒るの3段笑拳で、殺し屋を倒し、爺さんの仇を討つのだった。
39-3. 新ポリス・ストーリー (重案組) (吹替)
監督 カーク・ウォン
出演 ジャッキー・チェン,
ケント・チェン,
プア・レンレン,
ロー・ガーイン,
オウヤン・プイシャン
1993年・香港 (東宝東和) 94/107分
解説
香港の不動産王誘拐事件を解決するため活躍する刑事の姿を描くシリアス・アクション。監督は 「ガンメン?狼たちのバラッド?」 の黄志強。製作は蔡瀾、エグゼクティブ・プロデューサーは何冠昌、脚本は秦天南と陳文強。撮影は、黄岳泰、潘恒生、林國華、劉偉強、陳廣鴻の共同。音楽は黄霑が担当。主演は 「シティハンター」 のジャッキー・チェン。他に 「男たちの挽歌」 の鄭則士、シンガポールでテレビドラマを中心に活躍していた新人・潘玲玲などが共演。
ストーリー
エディ・チャン(ジャッキー・チェン)は、〈重案組〉と呼ばれる特捜班を率いるエリート刑事である。ストレスを心配する精神科医クラリッサ(プア・レンレン)は彼に休養を勧めるが、エディはうなずくことができない。エディの新たな任務は誘拐予告が届けられた不動産王、ウォン・ヤッフェイ(ロー・ガーイン)を護衛すること。ところが犯人は易々とヤッフェイを拉致して逃走する。ただちに特別捜査本部が設置され、ハン警部(ケント・チェン)をはじめとする精鋭が召集された。犯人の要求は史上最高の六千万ドル。警察の裏をかいて、犯人は富豪夫人(オウヤン・プイシャン)を誘導、エディが駆けつけた時には台湾の口座に送金させた後だった。台湾警察の協力で口座名義人の身元をつかんだ香港警察は、エディとハン警部を台北に派遣する。標的は、犯罪王サンモン(ワン・ファット)。アジトに突入しての銃撃戦の中、サイモンは逃走してしまう。追跡するエディが目にしたのは、ハンと争って転落死するサイモンの姿だった。香港に戻ったエディは不法停留している輸送船を強制捜査する。人質が捕らわれていた形跡を発見したエディの背後に、ハン警部の影が迫る……。ハン警部は犯人の一味だったのだ。罠にはまったエディは重傷を負う。一方、ハンは夫人に犯人からの指示と偽り三千万ドルを振り込ませ、行方をくらます。エディに残されたのは、輸送船でみつけたセブンイレブンのレシートだけだった。九龍のその店の前で張り込みを続けるエディはついに犯人一味を発見。銃撃戦が始まり、銃弾がガスボンベに当たり爆発する。爆発は連鎖し、アパート街は火の海に……。怪我をしたハンをエディは助け出そうとするが途中逃げ遅れた子供を発見する。ハンはエディに自分を置いて子供を助けろと言い、人質の居場所を教えた……。そして海上の船でヤッフェイが発見され、事件は解決するのだった。
39-4. デスペラード (Desperado) (吹替)
監督 ロバート・ロドリゲス
出演 アントニオ・バンデラス,
サルマ・ハエック,
ジョアキム・デ・アルメイダ,
チーチ・マリン,
スティーヴ・ブシェーミ
1995年・アメリカ (コロンビア トライスター映画) 93/104分
解説
麻薬組織のボスに復讐するマリアッチ(スペイン語でミュージシャンの意)の戦いを描いたバイオレンス・アクション。監督・脚本・編集は、93年に発表した弱冠24歳のデビュー作「エル・マリアッチ」が絶賛されたロバート・ロドリゲスで、彼がハリウッドに初進出した劇場用長編第2作。製作費は前作のわずか7千ドルから実に千倍の700 万ドルを投じ、スタイリッシュなアクション演出と定型を裏切るオフビートなユーモアに、さらに磨きがかかった。製作はビル・ボーデンとロドリゲス、製作補はエリザベス・アベランと、前作で主演したカルロス・ガラルド。撮影はギレルモ・ナバロ、音楽は「ラ・バンバ」のロス・ロボス、美術は「PNDC エル・パトレイロ」のセシリア・モンティエルが担当。主演は本格的アクションに初挑戦となる「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のアントニオ・バンデラス。共演はロドリゲス演出のテレビ映画『ロードレーサー』(V)にも出演しているメキシコ出身の新進女優サルマ・ハエック、「今そこにある危機」のジョアキム・デ・アルメイダ、「パルプ・フィクション」のスティーヴ・ブシェーミら。ロドリゲスも参加したオムニバス映画「フォー・ルームス」で製作総指揮を務めたクエンティン・タランティーノが友情出演している。
ストーリー
メキシコ国境の町サンタ・セシリアに、黒いギターケースを下げたマリアッチ(アントニオ・バンデラス)が現れた。彼は悪名高いギャングのボスで麻薬王ブチョ(ジョアキム・デ・アルメイダ)の命を狙っていた。ブチョ一味の秘密の取引場所であるバーに入ったマリアッチとあらくれ男たちの間で、たちまち壮絶な撃ち合いが展開され、麻薬の集金人(クエンティン・タランティーノ)もとばっちりを食らって死ぬ。ギターケースから素早く銃を取り出したマリアッチは、瞬く間に一味を片づけた。店を出た彼は、つけてきたギャングに腕を撃たれるが、書店主の若き美女キャロリーナ(サルマ・ハエック)に介抱される。やがてマリアッチは相棒の白人ブシェーミ(スティーヴ・ブシェーミ)と町で再会するが、ナイフ使いの殺し屋が二人を襲い、ブシェーミは殺された。ナイフ使いは敵対するコロンビア人に雇われてブチョの命を狙っていたが、逆に彼の子分に始末された。ブチョはマリアッチを殺すべく、部下たちに命じる。キャロリーヌの店に匿われたマリアッチは、彼女と愛を交わす。だが、ブチョの部下が店を襲撃し、二人は建物の屋上から屋上へと逃げながら、弾丸と手榴弾で敵を追い散らした。マリアッチはギターケースにマシンガンやロケット弾を仕込ませた二人の仲間を呼び寄せ、一味の取り引き現場に向かう。すさまじい銃撃戦の果てに仲間たちは倒れ、彼が道でギターを教えていたニーニョ少年も巻き添えになって撃たれた。少年を病院に収容したマリアッチとキャロリーヌは、ブチョのアジトに乗り込む。恋人を殺されたマリアッチが仇と狙うブチョは、彼の実の兄だった。骨肉の戦いの末にブチョを倒したマリアッチは、キャロリーヌと共に町を去った。
39-5. 決断の3時10分 (3:10 to Yuma) 
監督 デルマー・デイヴス
出演 グレン・フォード,
ヴァン・ヘフリン,
フェリシア・ファー,
レオラ・ダナ,
ヘンリー・ジョーンズ
1957年・アメリカ (コロムビア) 92分
エルモア・レナードの原作をハルステッド・ウェルズが脚色、「襲われた幌馬車」のデルマー・デイヴスが監督した異色西部劇。撮影監督は「夜の乗合自動車」のチャールズ・ロートン・ジュニア、音楽は作曲が「ピクニック」のジョージ・ダニング、指揮を「女ひとり」のモリス・W・ストロフがとった。主演は、「辺境の掠奪者」のグレン・フォード。「愛欲と戦場」のヴァン・ヘフリン、「襲われた幌馬車」のフェリシア・ファー。
ストーリー
広々としたアリゾナ荒原−−そこを行く駅馬車が今日も襲われた。襲ったのはウェード(グレン・フォード)一味。彼らは家畜の群を使って駅馬車を止め兇行を働くのが常だった。折しもこの光景を目撃したのは貧乏牧場主のダン(ヴィン・ヘフリン)であった。しかもかの家畜が兇行に使われていた。だが悪漢一味に手出しはできない。ダンの一家にはもっと切実な問題が控えていた。旱魃のため大事な家畜が死に瀕している。ウェード一味はビスビイに到着していた。一方ウェードは酒場の女エミイ(フェリシア・ファー)に一目でひかれた。そのころ保安官はダンと出会い、ウェードが駅馬車強盗の首領であることを知った。彼はまずダンを町にやってウェードと話合わせ、そのすきに難なく逮捕した。が、牢獄のあるユマまでウェードを護送するには、彼の子分たちの眼を逃れなければならない。そこで保安官の代りにダンともう1人が護送の役目を買って出た。2人はまずウェードを町まで連行、ホテルの1室に監禁した。この町の停車場からユマ行の汽車が出るのは3時10分、発車までまだ2時間もあった。いらいらするダン。しかもその間にウェードの子分プリンスが仲間を集めてダンの前に現れた。ダンは襲ったらウェードの命はないと一味に警告した。ウェードはまた逃がしてくれたら1万ドルやろうという。その上、妻がここへ訪ねてきて、危険なこの仕事から手を引いてくれと哀願する。さすがのダンもこれには動揺した。が、仲間がプリンスに殺されるやダンの心は決まった。ダンはウェードの背に拳銃を擬しつつ遂に汽車に乗せることに成功した。ユマへの列車が速度を増すころ大粒の雨が降り出した。ダンの顔に喜びの笑みが浮んだ。
39-6. ロード・キラー (Joy Ride) (吹替)
監督 ジョン・ダール
出演 スティーヴ・ザーン,
ポール・ウォーカー,
リリー・ソビエスキー,
ジェシカ・ボウマン,
スチュアート・ストーン
2001年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 97分
解説
アメリカ大陸を横断するフリーウェイを舞台にした異色サスペンス・スリラー。微妙に変化する人間関係、迫真のカーチェイスを交えながら、姿なき殺人鬼の恐怖を描く。
ストーリー
あこがれの女性ヴェナ、兄フラーと共に、ボストンからコロラドまで車で旅するルイス。だが、兄が無線で行ったいたずらが、姿の見えぬトラッカー“ラスティ”の狂気に火をつけ、旅は血塗られた惨劇へと一変する。
39-7. 巴里の屋根の下 (Sous les Toits des Paris) 
監督 ルネ・クレール
出演 アルベール・プレジャン,
ポーラ・イレリー,
ガストン・モド,
エドモン・T・グレヴィル,
ビル・ボケッツ
1930年・フランス (三映社) 92分
解説
「幕間」 「イタリアの麦藁帽子」 「二人の臆病男」 の監督者としてフランス映画界に於て最も注目されているルネ・クレールの第一回全発声作品で、氏自ら原作脚色台詞を執筆したものである。キャメラは 「燈台守」 のジョルジュ・ペリナールがジュルジュ・ローレを助手とし、前衛派のジョルジュ・ラコンブがマルセル・カルネ、ウッサン、ド・シャークと共に助監督をつとめている。主役は 「ヴェルダン 歴史の幻想」 のアルベール・プレジャンが演じ新進のポーラ・イレリー、 「カルメン(1926)」 「東洋の秘密」 のガストン・モドが助演し、エドモンド・グレヴィル、ビル・ボケッツ、ポール・オリヴィエ等も出演している。
ストーリー
パリの場末の裏町に二人の若者が住んでいる。アルベエルは歌を歌って歌譜をばいる売るのが商売、ルイは露店商人である。二人はいつも連立っているので美しいルーマニア娘のポーラに逢った時も一緒だった。そこで彼等は彼女に挨拶をする者を賽ころで決める。しかしその間に界隈の不良の親分フレッドが彼女をカフェに誘い入れてしまう。翌日アルベエルは歌を売っていて聴衆の中にポーラを見出して近づきになるがフレッドが出現したので手をひく。フレッドはポーラを好餌と目して口説きにかかると、彼女はフレッドの荒っぽさに心を惹かれ、晩にはダンスへ行くことを承諾する。其晩バル・ミュゼットでアルベエルとルイとは彼女がフレッドと踊っているのを見て失望する。フレッドは素早くポーラの部屋の鍵を彼女の手提げ袋から抜取ってりょうしまい彼女に無理に接吻しようとする。ポーラは怒ってフレッドの頬を打ってダンス場を跳出してしまう。アルベエルはルイと別れて帰る途上彼女と出会い、うちに帰るにも鍵を取られて困っているポーラに自分の宿に来いと勧める。彼女は彼の招待を受けた。其夜二人は寝台を挟んで床の上に別々に寝た。これが縁となりポーラはアルベエルの愛情にほだされて結婚することになる。嬉しさに有頂点となった彼は準備を始める。が彼の知合いの泥棒から盗品がはいっていると知らないで鞄を預かっていたために窃盗の嫌疑をうけてアルベエルは拘引投獄される。自分の荷物を纏めてアルベエルの許へ来ようとしたポーラは彼が曵かれて行く姿を見た。彼が二週間入牢している間にポーラはルイと親しくなり夢中に惚れてしまう。そして彼に対する嫉妬からフレッドに誘われるままにミュゼットに踊りに行く。その日はアルベエルが無罪放免された日だった。彼は酔ってミュゼットに行きフレッドが怒りの眼を剥いているのに関せずポーラと踊った。当然の結果裏町の一隅で決闘が始まる。多勢に無勢でアルベエルが危ないところをポーラの急報を受けて駆けつけたルイの機転の発砲で助かる。騒ぎを聞いて集まった警官達にフレッド一味は一網打尽される。カフェに落付いて無事を悦び合ったアルベエルはポーラがルイと深く愛し合っているのを知って、親友に彼女を譲った。翌る日歌を売るアルベエルは妙に淋しそうに見えた。
39-8. 汚名 (Notorious) 
監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 イングリッド・バーグマン,
ケイリー・グラント,
クロード・レインズ,
ルイス・カルハーン,
レオポルディーネ・コンスタンチン
1946年・アメリカ 102分
解説
「断崖」 「疑惑の影」 のアルフレッド・ヒッチコックが 「ガス燈」 「ジキル博士とハイド氏(1941)」 のイングリッド・バーグマンと 「独身者と女学生」 のケーリー・グラントを主役として監督した1946年作品。脚本は 「運命の饗宴」 やヒッチコック作品 「呪縛」 のベン・ヘクトが書き下ろしたもので、撮影は現在監督に転じて名を挙げている 「春を手さぐる」 等のテッド・テズラフで、音楽は 「ママの思い出」 のロイ・ウェッブが作曲した。助演はクロード・レインズ、 「ゾラの生涯」 のルイス・カルハーン、映画初出演の舞台女優レオポルディーン・コンスタンチン、 「少年牧場」 のモローニ・オルセン、かつてドイツ映画の監督だったラインホルト・シュンツェルその他である。
ストーリー
アリシア・ハバーマンは売国奴の父を持ったために心ならずも悪名高き女として全米に宣伝されていた。ある夜うさ晴らしに開いたパーティで、彼女はデブリンというアメリカの連邦警察官と知り合った。デブリンは南米に策動するナチ一味を探る重要な職務にあった。首謀者セバスチャンをよく知っているアリシアを利用する目的で近づいたのだったが、やがて彼女に強く引かれるようになった。一緒に南米に行き、リオ・デ・ジャネイロでの楽しいあけくれに、二人の愛情は日毎に深まり、アリシアはデブリンの愛によって、その昔の純情さを取り戻していった。が間もなく、彼女は命令で首領セバスチャンを探ることになったが、彼が以前父親の相棒だったことから、アリシアは容易にセバスチャン邸に入り込むことに成功し計画通りに彼は彼女を恋するようになった。一夜、彼の邸でナチスパイ連の晩餐会が催されたが、その時出された一本のぶどう酒に対するハブカの態度とそれに次いで起こった彼の変死にアリシアは強い疑念を持った。セバスチャンの花嫁となった彼女は、家中を見回ることが出来たが、地下室の酒蔵にだけは入れなかった。デブリンとの打ち合わせによって、一夜またパーティが催され、アリシアは酒蔵の鍵をセバスチャンから盗み取りデブリンに渡した。目的の酒瓶を辛うじて盗み出して彼は逃げ去ったが、嫉妬から絶えずデブリンを監視していたセバスチャンはかぎつけてしまった。ぶどう酒の瓶を見て取り乱したハブカの殺された前例からも、セバスチャンはアリシアが酒蔵を調べた事を仲間に疑われてはならなかった。母親と二人の共謀で、アリシアは毒入りコーヒーで徐々に死へ導かれていった。一方例の酒瓶の中には原子爆弾のウラニウム鉱が入れてあることが分かった。アリシアは病み衰えながらも、ウラニウムの出所を聞き出そうとたえず気を配ったが、アンダーソン博士の不用意に口から出た言葉でそれを悟った。使命を終えて逃れようとしたアリシアは力つきて倒れてしまった。だが敵中に唯一人とり残されたアリシアの許にデブリンはかけつけた。愛する者の敏感さで、デブリンは彼女の身の危険を感じたのだ。デブリンのアリシア救出によって、ナチ仲間はセバスチャンの失策を知った。セバスチャンには死の制裁が下された。アリシアがデブリンの愛によって全快する日は恐らく間もないだろう。
39-9. 恋するベーカリー ( It's Complicated)
監督 ナンシー・マイヤーズ
出演 メリル・ストリープ,
ジョン・クラシンスキー,
スティーヴ・マーティン,
アレック・ボールドウィン,
ハンター・パリッシュ
2009年・アメリカ (東宝東和) 118分 (R15+)
解説
「ホリデイ」 のナンシー・マイヤーズ監督、メリル・ストリープ主演で描くロマンス。女性実業家が元夫や子供たちとの交流を通して、女性としての幸せを見つける姿を描く。
ストーリー
3人の子供を育てあげたジェーンは、N.Y.タイムズ紙でNo.1に選ばれたベーカリーを経営する実業家。敏腕弁護士の夫と別れ、子供たちや友人と独身生活を謳歌していたが、物足りなさを感じていた矢先、元夫と再会する。
39-10. 底抜け大学教授 ( The Nutty Professor)
監督 ジェリー・ルイス
出演 ジェリー・ルイス,
ステラ・スティーヴンス,
DelMoore,
キャスリーン・フリーマン,
MedFloy
1963年・アメリカ (パラマウント) 108分
解説
ジェリー・ルイス28本目の作品で、ディーン・マーチンとのコンビを解消してからは12本目の作品である。 「便利屋小僧」 についでジェリー・ルイスが書きおろしたストーリーを、ルイスとビル・リッチモンドが脚色ルイスが監督に当っている。撮影は 「便利屋小僧」 のW・ウォーレス・ケリー。音楽はウォルター・シャーフ。出演者は 「ガール!ガール!ガール!」 のステラ・スティーヴンス、 「底抜けもててもてて」 のキャスリーン・フリーマンなど。製作はアーネスト・D・グラックスマン。
ストーリー
ケルプ教授(ジェリー・ルイス)は化学の虫で、頭は強いが腕力はからっきし。あんまり学生にナメられるのを気の毒に思った女子学生のステラ(ステラ・スティーヴンス)の勧めでボディ・ビルを始めるが、効果はサッパリだ。そこで今度は生物学教室の文献をあさり、あるクスリを発明して飲んでみると、たちまちたくましい男に変容する。学生集会所へ出かけても誰も教授とは気がつかず、ワーシェフスキーら蹴球の猛者連中を尻目にかけて、ステラとダンスに興じた。たちまちケルプは“バディ・ラブ”と呼ばれて、学生連中のリーダーとなる。だが、このクスリの効目がきれると、たちまちもとの弱虫教授に逆戻りするから油断できぬ。かくて昼はケルプ教授、夜はバディ・ラブという生活が続く。ステラは教授に同情をよせつつ、バディ・ラブにも妙に心をひかれる。大学名物のダンス・パーティ・バディ・ラブとしてバンドの指揮をとり、拍手喝采を浴びたのはよかったが、突然、“教授”が戻ってきた。もう言い逃れはできず。ケルプはステラに事実を打ち明けた。「教授になるかバディ・ラブになるかを自分で決めるのよ」とステラは言ったが、彼女の希望が、彼の教え子として学問をすること、そして彼の妻になること、と分かれば、それで万事は解決した。ところで、久しぶりにケルプの両親が大学へ訪ねてきた時、昔と正反対に父が威張って、母がいうなりになっていた。ケルプが、そのクスリをひそかに両親に送っていたのである。
39-11. シェフ!三ツ星レストランの舞台裏へようこそ (COMMEUNCHEF) 
監督 ダニエル・コーエン
出演 ジャン・レノ,
ミカエル・ユーン,
ラファエル・アゴゲ,
ジュリアン・ボワッスリエ,
サロメ・ステヴナン
2012年・フランス (ギャガ) 85分 (G)
解説
スランプに陥ったベテランシェフに代わって、急遽集められた一癖も二癖もあるシェフ軍団が、三ツ星レストランの権威を守ろうと奮闘する姿を描く、笑いあり涙ありの物語。ジャン・レノが三ツ星レストランのベテランシェフを、フランスで人気のコメディ俳優のミカエル・ユーンがトラブルメーカーの若手シェフに扮し、笑いを誘う。
ストーリー
パリ有数の超高級三ツ星フレンチレストラン“カルゴ・ラガルド”は最大の危機を迎えていた。というのも、20年もの間、三ツ星を守り抜いてきたベテランシェフのアレクサンドルがスランプに陥ってしまったからだ。次の品評会で星をひとつでも失えばアウトという状況で、若手シェフのジャッキーと出会うが、彼はトラブルメーカーだった。
39-12. 舞踏会の手帖 (Un Carnet de Bal) 
監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ
出演 マリー・ベル,
アリ・ボール,
ピエール・ブランシャール,
フェルナンデル,
ルイ・ジューヴェ
1937年・フランス (三映社) 131/144分
解説
「シュヴァリエの流行児」 「望郷」 に次ぐジュリアン・デュヴィヴィエ作品で、彼自ら脚本を書卸したものである。但し台詞は 「或る映画監督の一生」 のアンリ・ジャンソンがジャン・サルマン及び 「女だけの都」 のベルナール・ジンメルの協力を得て書いている。出演者は 「外人部隊(1933)」 のマリー・ベル、 「巨人ゴーレム(1936)」 のアリ・ボール、 「生けるパスカル(1936)」 のピエール・ブランシャール、 「女だけの都」 のルイ・ジューヴェ、 「南方飛行」 のピエール・リシャール・ウィルム、 「ミモザ館」 のフランソワーズ・ロゼー、 「沐浴」 のフェルナンデル、我国には初紹介の名優レイミュという素晴らしい顔触れで、助演者も 「シュヴァリエの流行児」 のロベール・リナン、 「上から下まで」 のミリー・マチス、 「罪と罰(1936)」 のシルヴィー、 「どん底」 のジェナン、 「生けるパスカル(1935)」 のアルコヴェー、新顔のベナール等が競演している。キャメラは 「赤ちゃん」 のミシェル・ケルベがアゴスチニ、レヴァンと共に担任、装置は 「リリオム」 のポール・コランのデザインによってセルジュ・ピメノフ及びドゥーアルニヨンが設計した。音楽は 「巴里祭」 「最後の億万長者」 のモーリス・ジョーベールが作曲している。
ストーリー
秋も終わろうとする11月のイタリア、コモ湖畔に立つ宏荘な古城は霧こめて憂愁であった。クリスチーヌは年かさの夫の野辺の送りを済ませたばかりである。非常に人の良い夫ではあったが、年齢が離れすぎていた為にクリスチーヌは夫に愛を感じないでしまった。美しい若妻をいとおしむ余りか、夫は彼女に何人との交際も許さなかった。36歳の今、クリスチーヌは過ぎた20年の結婚生活に青春の悦びを味わった事のなかった淋しさを今更の様に感じるのである。夫を失ったクリスチーヌは誰ひとりの身寄りもなく、訪ねるべき友もない。が彼女はまだ若い。もう一度人生を新しく出直そう。クリスチーヌは夫の形見をすべて召使達に与え、思い出の品を炉に投げた。その中からふと取り落とした一片の手帖。それはクリスチーヌが一人前の女として初めて舞踏会に出た折の、ダンス相手の男の名を書き記したものだ。あの時の十人の若者達は、どうしているのであろう。想い出そうとしても二十年の歳月は記憶を消してしまった。否、ジェラールをどうして忘れ得よう。あの時は十八歳だった。金髪で、ギリシャ神話の神の様に美しかったジェラール。十六歳のクリスチーヌが秘かに愛を感じたジェラール。彼女は目を閉じた。瞼に浮かぶのは美しいシャンデリヤのもと、甘いワルツの曲に乗って、白いレースの裳も軽く、踊りに酔った20年昔の舞踏会だ。亡き夫の秘書であったブレモンに頼んで、十人の男達の住所を調べて貰うと、その二人はすでに他界していた。そして皮肉にもジェラールだけが、住所が解らない。思い立った事だ、クリスチーヌは旅装を整えた。先ず訪れたジョルジュ・オーディエの家で、出迎えたのは母のオーディエ夫人であった。夫人は彼女と対座すると、貴女はクリスチーヌでしょう、いまにジョルジュは戻ります、是非会って、貴女の娘さんと結婚させて下さい、と言う。ジョルジュは20年前クリスチーヌの婚約を聞いた時自殺したのだ。動転した母親はその死亡通知も出さなかったので、クリスチーヌも今初めて知ったのだ。狂気の母は彼女を追い出した。次はキャバレエの経営者となっているピエール・ヴェルディエだ。今はジョウと名も変わって、夜盗団の采配を振る前科者だ。ヴェルレーヌの詩を誦した昔日の面影はすでに失せている。それでも昔話に夜の更けるのも忘れたが、踏み込んで来た官憲にジョーは曳かれて行った。ピアニストのアラン・レニョオルを訪ねると、今は神父ドミニックであった。児童聖歌隊に讚美歌を教えている老僧も、かつてはクリスチーヌを想って死のうとした事もあった、と聞いて彼女の心はまた痛むのだ。次にアルプスに登ってエリック・イレヴァンに会った。詩人を志した彼はいま山案内人である。昔を語り合って、二人の心は溶け合った。彼とならば新生をともに出来ようか。しかしエリックは雪崩の警鐘を聞くと彼女を捨てて義務へ走った。南フランス海岸の田舎町には、政治家志望だったフランソワ・パテュセが町長をしている。彼女が訪れた日、彼は女中を後妻に迎える結婚式に忙しかった。マルセイユで医師チェリーを訪れたが、彼は既に反狂乱の廃疾者だった。彼女は生まれ故郷で理髪師になっているファビアンと、日曜の夜の舞踏会へ出て見た。それは彼女が瞼に描く舞踏会とは似もやらぬ侘びしい田舎びたものだった。幻滅と共に帰った彼女はジェラールが湖の対岸に住むと初めて知り訪れると彼は一週間前に死んでいた。彼女はその忘れ形見ジャックを養子に迎えた。何か母性愛に似た愛情を抱いて。
39-13. ボブという名の猫2幸せのギフト ( A Gift from Bob)
監督 チャールズ・マーティン・スミス
出演 ルーク・トレッダウェイ,
クリスティーナ・トンテリ=ヤング,
ファルダット・シャーマ,
アンナ・ウィルソン=ジョーンズ,
監督
2020年・イギリス (コムストック・グループ) 92分 (G)
解説
実話を基に、孤独な青年と猫の絆を描いた 「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」 の続編。ストリート・ミュージシャンからベストセラー作家に転身したジェームズと、彼の相棒で茶トラ猫のボブ。生計を立てるため路上で過ごした、最後のクリスマスを振り返る。前作に続き、主人公ジェームズをルーク・トレッダウェイが演じるほか、 「シスター戦士」 のクリスティーナ・トンテリ=ヤングが出演。監督は 「ベラのワンダフル・ホーム」 のチャールズ・マーティン・スミス。
ストーリー
ホームレスのストリート・ミュージシャンから一躍ベストセラー作家に転身したジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)と、茶トラ猫のボブは出版社のクリスマスパーティーに出席した帰り、路上演奏の違反で警察官に取り押さえられているホームレスを助ける。自暴自棄になったその若者にジェームズは、生計を立てるために路上で過ごした最後のクリスマスの話を始める……。それはジェームズにとって、最も困難で苦しい選択を迫られた忘れられないクリスマスだった。かけがえのないパートナーになったボブとジェームズが直面した最大の危機。はたしてボブはいかにしてジェームズを人生の挫折から再び立ち直らせたのか……。
39-14. 8月の家族たち ( AUGUST: OSAGE COUNTY)
監督 ジョン・ウェルズ
出演 メリル・ストリープ,
ジュリア・ロバーツ,
ユアン・マクレガー,
クリス・クーパー,
アビゲイル・ブレスリン
2013年・アメリカ (アスミック・エース(提供 アスミック・エース=WOWOW)) 121分 (G)
解説
ピュリッツァー賞とトニー賞に輝いた傑作舞台を映画化したヒューマンドラマ。父親の失踪をきっかけにひさしぶりに実家へと戻ってきた家族の悲喜こもごものドラマが繰り広げられる。メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツらアカデミー賞受賞の名優たちが顔をそろえ、物語に深みを与えている。監督は 「カンパニー・メン」 のジョン・ウェルズ。
ストーリー
父親の突然の失踪を機に、実家に集まった3姉妹と家族たち。毒舌家の母親は病に伏し、長女のバーバラは夫と別居し反抗期の娘に手を焼く毎日。次女のカレンは空気を読めずに新しい婚約者を連れ、三女のアイヴィーは恋に悩んでいた。そんな彼女らを取り巻く4人の男たちも交え、それぞれが抱えていた秘密が少しずつ明らかになっていく。
39-15. いちご白書 ( The Strawberry Statement)
監督 スチュアート・ハグマン
出演 ブルース・デイヴィソン,
キム・ダービー,
バッド・コート,
マーレイ・マクロード,
ボブ・バラバン
1970年・アメリカ (MGM) 109分 (G)
解説
アメリカの学園紛争の中に描かれたある青春。製作は 「汚れた7人」 のアーウィン・ウィンクラー、とロバート・チャートフのコンビ。監督はテレビ出身の新人スチュアート・ハグマン。ジェームズ・クーネンの原作を新進劇作家イスラエル・ホロヴィッツが脚色。撮影はマイク・マークィリーズ、音楽はジョニー・ミッチェルほか、美術はジョージ・W・デイヴィス、プレストン・エイムズ、編集はマージョリー・ファウラー、フレドリック・スタインカンプ、ロジャー・J・ロスがそれぞれ担当。出演は 「去年の夏」 のブルース・デイヴィソン、 「勇気ある追跡」 のキム・ダービー、ほかにバッド・コート、マーレイ・マクロード、ボブ・バラバン、ダニー・ゴールドマン、エドラ・ゲール、それに原作者のジェームズ・クーネン、脚色のイスラエル・ホロヴィッツなど。1970年(第23回)カンヌ映画祭で審査員賞を受賞。メトロカラー、メトロスコープ。1970年作品。
ストーリー
サイモン(ブルース・デイヴィソン)の大学は、目下ストライキ中だ。学校当局が、近所の貧しい子供たちの遊び場になっている土地に、予備将校訓練隊のビルを建てようとしたのが、そもそもの始まりだった。これに社会不安、政治状況がからみあって、騒ぎは深刻の度を加えていった。サイモンはボート部員で、学校友だちのチャーリー(ダニー・ゴールドマン)と同居していたが、ある日、見物がてら警備線の張りめぐらされた、構内に入って行った。チェックを受けて本館に入ると、内は占拠学生で賑わっていた。総長室で用を足すカップル、天井から入り込むベントン博士(イスラエル・ホロヴィッツ)、オルガナイザーのエリオット(ボブ・バラバン)、議長役の学生(ジェームズ・クーネン)、など、サイモンの好奇心を刺激してやまなかった。そこで、偶然、校門のところで魅かれた女の子に出会った。彼女はリンダ(キム・ダービー)といい、女性解放委員をしていた。リンダと知り合ってから、サイモンは積極的に闘争に参加するようになり、舵手のエリオット(バッド・コート)を、篭城組にひき入れてしまった。しかし、リンダには、闘争に対するサイモンの態度が気に入らず、またボーイフレンドのいる身で、いつもサイモンと一緒にいることにもたえられず、彼から去って行ってしまった。リンダのいなくなった篭城生活は、サイモンにとって、バラ色の光を失ってしまったが、反対にゲバルト闘争に対する本質的な眼が開きはじめた。そして、右翼のボート部員ジョージ(マーレイ・マークロード)に殴られたことから、急速に、運動の渦中へ入っていった。その彼の意識の高揚を待ち受けていたかのように、リンダが彼のところへ戻って来た。彼女と同じ目的のため、手をたずさえて行動することに、彼ははじめて、すがすがしい生き甲斐のようなものを感じた。時が経つにつれて、当局の腐敗が暴露され、学生の怒りは、奔流となってあふれ出した。ついに、当局は実力行使を決定。武装警官隊は州兵の応援を得て、バリケードを破り、屋内に突入して来た。講堂に数百名の学生たちが集結していた。侵入者たちは、大義名分を盾に、暴力をふるい、襲いかかった。学生たちは、学内いっぱいに波紋のような輪をつくり、怒りをころして抗議をつづけていた。しかし、棍棒はようしゃなく振りおろされ、輪はたちまち寸断されてしまった。学生たちは、次々に排除され、サイモンとリンダもその中にいた。2人は、たがいにかばい合い、権力の暴力に抵抗した。棍棒がリンダの顔を鮮血で染めた。サイモンは純粋な怒りをもって、警官に躍りかかっていった。だがやがて、学生の反抗は、圧倒的な武力の前に鎮圧されてしまった。しかし、いま、沈黙をよぎなくされた、これら若き怒りたちは、明日の反乱の日を求めるかのように、学内を彷徨い続けていた。
39-16. サムライ (Le Samourai) 
監督 ジャン・ピエール・メルヴィル
出演 アラン・ドロン,
ナタリー・ドロン,
カティ・ロジエ,
フランソワ・ペリエ,
ミシェル・ボワロン
1967年・フランス (日本ヘラルド映画) 107分
解説
ゴアン・マクレオの原作を、 「ギャング」 のジャン・ピエール・メルヴィルが脚色・監督したギャングもの。撮影は、 「パリの大泥棒」 のアンリ・ドカエと、直弟子のジャン・シャルヴァンの二人。音楽はフランソワ・ド・ルーベが担当している。出演は、 「冒険者たち」 のアラン・ドロン、ドロン夫人のナタリー・ドロン、 「シェラマドレの決斗」 のカティ・ロジエ、 「奇襲戦隊」 のフラソワ・ペリエ、 「アイドルを探せ」 の監督であるミシェル・ボワロンなど。製作はジョルジュ・カサテイ。
ストーリー
ソフト帽にトレンチ・コートのいでたちでジェフ(A・ドロン)は、仕事に出かけた。駐車してある一台のシトロエンにのりこみ、合鍵でスタートさせ、郊外のガレージに乗り込んだ。ガレージの親爺は、車のナンバー・プレートを取りかえ、拳銃を、大金とひきかえにジェフに渡した。その後、コールガールをしている恋人ジャーヌ(N・ドロン)を訪ね、アリバイを頼むと、仕事場のクラブへ向った。ジェフの仕事は、クラブの経営者を殺すことだった。仕事は、いつものように、寸分の狂いもなく完了した。だが、廊下へ出た時、黒人歌手のバレリーにはっきりと顔をみられてしまった。警察は動き出し、クラブの客や目撃者の証言で、ジェフも署に連行され、面通しが行なわれた。目撃者の大半は、ジェフが犯人だと断定したが、バレリーだけはなぜかそれを否定し、それに、ジェフのアリバイは完全だった。だが、主任警部(F・ペリエ)は、依然ジェフが、怪しいとにらんで、尾行をつけた。そのことを知ったジェフは巧みに尾行をまくと、仕事の残金を受けとるために、殺しの依頼を取りついだ金髪の男と会ったが、男はいきなり巻銃を抜いて、ジェフは左手を傷つけられた。残金をもらえぬどころか殺されそうにさえなったジェフは、殺しの依頼主をつきとめるべく、偽証をして彼をかばってくれたバレリーを訪れた。だがバレリーの口は堅く、「二時間後に電話を」とだけ言った。約束どおりジェフは電話したが、誰も出てこなかった。やむなく帰ったジェフの部屋に、金髪の男がいた。男はうって変った態度で、殺しの残金を渡すと、さらに新しい仕事を依頼した。ジェフは、男のスキをみると、いきなりとびかかり、巻銃をつきつけて、依頼主の名を聞き出した。大がかりな尾行網をぬけジェフは、男から聞き出したオリエビなる依頼主を訪ね、有無をいわさず射殺した。オリビエの部屋はバレリーのすぐ隣であり、オリビエはバレリーを通じて自分の正体がばれるのをおそれて新しい仕事として、バレリー殺しをジェフに依頼したのだった。クラブでピアノを弾くバレリーの前にジェフがあらわれた。ジェフが拳銃を握った瞬間、張り込んでいた刑事たちの銃声がひびいた。主任警部が調べた、死んだジェフの拳銃には、一発も弾が入ってなかった。
39-17. 老人と海 (TheOldManandtheSea) 
監督 ジョン・スタージェス
出演 スペンサー・トレイシー,
フェリペ・パゾス,
リーランド・ヘイワード,
ジョン・スタージェス,
ピーター・ヴィアテル
1958年・アメリカ (ワーナー・ブラザース) 86分
解説
「武器よさらば」 「陽はまた昇る」 の原作者アーネスト・ヘミングウェイの、1952年に書かれた小説の映画化。監督は 「OK牧場の決斗」 「ゴーストタウンの決斗」 のジョン・スタージェス。 「陽はまた昇る」 のピーター・ヴィアテルの脚本を、 「成功の甘き香り」 のジェームズ・ウォン・ホウが撮影した。音楽はディミトリ・ティオムキン。海上における老人と1匹の魚の闘争の物語という異色の構成は、キューバのコヒマル湾一帯に2ヵ月のロケを行なって撮影され、ヘミングウェイ自らも助言を与えた。演技者は 「山」 「東京上空三十秒」 のスペンサー・トレイシーと、現地少年フェリペ・パゾスの2人のみが主要な役を演じる。製作リーランド・ヘイワード。
ストーリー
彼(スペンサー・トレイシー)は年をとっていた。メキシコ湾流に小船を浮かべ、魚をとる漁師だ。しかし、もう84日も1匹も釣れない日が続いている。はじめは少年(フェリペ・パゾス)がついていたが、不漁が続くので親のいいつけで別のボートに乗り組んでしまった。海と同じ色をたたえた瞳、やせこけた手足、深い皺の刻みこまれた首筋、彼の舟の帆そっくりにつぎはぎだらけのシャツ。しかし少年は老人が好きだ。5つの時生まれてはじめて漁につれていってくれたのは彼だった。お爺さんは世界一の漁師だと少年は考える。一緒に漁には行けないかわり、明日の餌にする鰯や、今夜の晩ご飯を揃えてやろう。少年が帰ってしまうと老人はすぐ眠りにおちた。アフリカの夢を見る。この頃は毎晩だ。もう昔のように暴風雨や、女のことや、死んだ妻の夢は見ない。輝く砂浜、白い海岸に、ライオンの戯れる夢をみるのだ。老人はそれを愛した??あの少年を愛しているように。眼をさますと老人は少年を起こすために小道を上がる。少年と老人は小舟を水の中に押し出す。朝が近い、今日は遠出だ。沖に出て1人になると、老人は餌のついた4本の綱を水中に下し、汐の流れに船を任せた。太陽が随分高くなった。綱がぐっと引かれる。信じられぬほどの重みだ。「畜生め!」老人は大声をあげると綱をひいた。しかし魚は1吋も引寄せられない。魚と、それに引かれる老人の舟は、静かな海を滑っていく。「あの子がいたらなあ」??老人は声に出した。陽が沈んでからは流石に寒い。魚はその晩中進路をかえなかった。老人は急に自分の引っかけた魚が可愛そうになってきた。??お互いに1人ぼっちだ。夜明け前、魚は1度大波のうねりのように動いて、老人をうつむけに引倒した。そして午後になると、魚はその姿を海面に現わした。バットの様な口ばし、舟より2吋も長い全身。だがそれはダイビングの選手のような鮮やかさで、再び水中に消えてしまった。夜、老人は突然眼が覚めた。魚は物凄い勢で海上に跳ね上がる。ボートは引きずり廻される。こうなるのを待っていたのだ。戦等開始だ。3度目の太陽が上る。一晩中続いた死物狂いの暴れようが落ちついて、老人は綱をたぐりはじめる。そして両手を血だらけにしながら、銛をぐさりと魚の胴体に打ちこむ。??気がつくと海は一面に血汐で真赤だ。頭をへさきに、尻尾を艫先に結びつける。1500ポンドはあるだろう。しかし、人間たちにこいつを食う値打ちがあるだろうか。あの堂々たる振舞い、あの威厳。最初に鮫が襲ってきたのは、1時間後のことだった。剃刀のような歯ががぶりと魚の尾に噛みついた時、老人は身を抉られる苦痛を感じた。夕暮近く2匹、日没前に1匹、また2匹、銛をふるっての応戦に老人が力尽きた時、魚の身に、もう喰う所は少しも残っていなかった。港にたどりつくと、老人は5度も腰を下ろして休んでから、小屋にもどった。朝、老人が目を覚ますと少年がコーヒーを持って座っていた「また2人で一緒に行こうよ」「だめだ、俺はもう運に見放されちゃった」「運なんか何だい運は僕が持ってくよ」。老人は再び眼りにおちた。彼はライオンの夢を見ていた。
39-18. 遠い空の向こうに (OctoberSky) 
監督 ジョー・ジョンストン
出演 ジェイク・ギレンホール,
クリス・クーパー,
ウィリアム・リー・スコット,
クリス・オーウェン,
チャド・リンドバーグ
1999年・アメリカ (UIP) 93/108分
解説
ロケットに夢を賭ける高校生の姿を描いた青春ドラマ。ホーマー・H・ヒッカム・Jr.の自伝小説 「ロケット・ボーイズ」 の映画化。監督は 「ロケッティア」 「ジュマンジ」 のジョー・ジョンストン。脚本は 「不法侵入」 のルイス・コリック。製作は 「ダイ・ハード3」 のチャールズ・ゴードンと 「マーズ・アタック!」 のラリー・フランコ。製作総指揮はマーク・スターンバーグとピーター・クレイマー。撮影は 「ネゴシエーター」 のフレッド・マーフィ。音楽は 「アフターグロウ」 のマーク・アイシャム。美術は 「ミ・ファミリア」 のバリー・ロビソン。編集は 「ジョイ・ラック・クラブ」 のロバート・ダルヴァ。出演は 「シティ・スリッカーズ」 のジェイク・ギレンホール、 「大いなる遺産」 のクリス・クーパー、 「闇に抱かれて」 のローラ・ダーン、 「どんな時も」 のクリス・オーウェンほか。
ストーリー
1957年10月5日。ウェスト・ヴァージニア州の炭鉱町コールウッド。米国民にショックを与えたこの夜、ソ連の人工衛星スプートニクを見た高校生ホーマー(ジェイク・ギレンホール)は自分でロケットを打ち上げようという夢を抱く。彼は悪友のロイ・リー(ウィリアム・スコット・リー)とオデル(チャド・リンドバーグ)、そして級友で数学の奇才だが嫌われ者のクエンティン(クリス・オーウェン)を仲間に引き入れて《ロケット・ボーイズ》を結成。だが、ロケットは何度改良を加えても失敗が続く。昔ながらの炭鉱夫で周囲の信頼も厚い炭鉱の責任者である父のジョン(クリス・クーパー)はホーマーの行動が理解できず、父子は激しく対立する。そんな彼らの味方は高校の物理教師のミス・ライリー(ローラ・ダーン)だけだった。彼女は彼らをロケット打ち上げに成功し、全米科学コンテストに出品して優勝すれば、ヴァージニア州立大学への奨学金が出ると励ました。最初は馬鹿にしていた町の人々もやがてロケットに興味を持つようになり、彼らに協力する人も出てきた。だが不運にも、落下したロケットが山火事を引き起こしたという疑いで警察が彼らを逮捕。その直後、ジョンが炭鉱で重傷を負う。家計を助けるために高校を辞めて炭鉱で働き始めたホーマーは、その生活のなかで父の生きざまを理解して懸命に働くようになり、すぐに炭鉱夫の一員として認められた。そんな折り、ホーマーはミス・ライリーが不治の病に倒れたと聞き、彼女を見舞いに訪れ、再びロケットへの夢が再燃する。彼は独力でロケットの落下地点を計算し、山火事の原因がロケットでないことを証明した。こうして《ロケット・ボーイズ》は復活し、ついにロケット打ち上げにも成功して夢をかなえるのだった。
39-19. 私は告白する (I Confess)
監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 モンゴメリー・クリフト,
アン・バクスター,
カール・マルデン,
ブライアン・エイハーン,
O・E・ハッセ
1953年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画日本支社) 95分
解説
「見知らぬ乗客」 のアルフレッド・ヒッチコックが1953年に監督た作品で、ポール・アンセルムの戯曲の映画化。脚本はジョージ・タボリとウィリアム・アーチボルドの共同執筆。撮影は 「見知らぬ乗客」 のロバート・バークス、音楽の作曲指揮は 「吹き荒ぶ風」 のディミトリ・ティオムキンのの担当。主演は 「終着駅」 のモンゴメリー・クリフトと 「人生模様」 のアン・バクスターで、カール・マルデン( 「欲望という名の電車」 )、ブライアン・エイハーン( 「大地は怒る」 )、O・E・ハッセ、ロジャー・ダンらが助演する。
ストーリー
カナダの都市ケベックの教会。ここの神父館で働くオットー・ケラー(O・E・ハッセ)は、ある夜、神父マイケル・ローガン(モンゴメリー・クリフト)に重大な告白をした。ケラーは生活苦の末、強盗を働いて弁護士ヴィレットを殺害したのだ。この事件はラルー警視(カール・マルデン)が捜査に乗り出した。ケラーは犯行のとき僧衣をまとっていたので、マイケルに疑いがかかって来た。だが聖職にある彼は、告白の内容を洩らそうとはしなかった。そのうえ、兇行の夜、マイケルが国会議員グランドフォードの妻ルース(アン・バクスター)と逢っていたこともわかって、彼への心証は益々悪くなった。ルースは無実を明かすために良人、検事、警視、マイケルらの前で、マイケルとの過ぎし日の恋を打ちあけた。2人の仲は大戦勃発で割かれ、出征したマイケルは、牧師志望の弟が戦死したので、その志をついで神父になる決心をした。そのためルースは恋をあきらめ、グランドフォードと結婚したのだが、想いはマイケルにあった。マイケルの帰還後、ルースと彼は郊外の小島へ遊びに出かけ、お互に2人の過去を清く水に流そうとしたが、折悪しく突然の嵐のため、空家で一夜を明かさねばならなくなった。翌朝、2人の前にあらわれたのは、その家の持主ヴィレット弁護士で、彼はこの逢曳き現場をネタに、以来2人を脅喝しつづけた。マイケルとルースは堪りかねて、丁度ヴィレットが殺害された晩に、その対策を相談していたのである。ーだがルースの真実の陳述も却ってマイケルを不利にした。死体を調べた結果、ヴィレット殺害の時刻は、マイケルがルースとわかれて30分後だった。マイケルは起訴され公判に附されたが、確証がないため無罪の判決を受けた。だが大衆は承知せず、マイケルにあらゆる罵声をあびせかけた。事件の真実を知るケラーの妻は、この様に堪りかねて、真相を曝露しようとしたが、ケラーに殺された。ラルー警視はケラーがこの事件に関係していることを悟り、マイケルらとともにケラーの逃げ込んだホテルへ向った。マイケルはケラーを説得しようとしたが、逆上したケラーは自らの罪をラルーの前でぶちまけ、マイケルに拳銃を射ちかけて来た。だが、ラルーの命令で、ケラーは包囲する警官の銃弾に倒れた。
39-20. バルカン超特急 (The Lady Vanishes) 
監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 マーガレット・ロックウッド,
マイケル・レッドグレーヴ,
ポール・ルーカス,
メイ・ウィッティ,
ノーントン・ウェイン
1938年・イギリス (IP) 96分
解説
列車内で貴婦人が消えた。そして謎の事件に巻きこまれるヒロインを描いたサスペンス作品。製作はエドワード・ブラック、監督は 「ファミリー・プロット」 のアルフレッド・ヒッチコック、原作はエセル・リナ・ホワイト、脚色はシドニー・ギリアットとフランク・ローンダー、撮影はジャック・コックス、音楽はルイス・レヴィが各々担当。出演はマーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレイブ、ポール・ルーカス、メイ・ウィッティ、ノーントン・ウェイン、ベイジル・ラドフォードなど。
ストーリー
バルカンの避暑地バンドリカ(仮想国)からロンドンへ帰る列車に乗ったアイリス(M・リックウッド)は、豪雪で立往生した列車から他の客と共にホテルへ避難した。客の顔ぶれはクリケット狂のカルディコット(ノーントン・ウェイン)にチャータース(B・ラドフォード)、弁護士と女、貴婦人フロイ(メイ・ウィッティ)等。アイリスがホテルで寝ようとすると客の一人のギルバート(マイケル・レッドグレーヴ)が大騒ぎを始め、二人はいがみ合う。と、聞えてくるギターの調べ。その歌声はミス・フロイの部屋の窓の下でやんだ。ギター弾きの背後に忍ぶ大きな影。翌朝、ダイヤは回復し、出発の準備をしているアイリスの頭に植木の箱が。軽い打撲傷ですんだものの、彼女の前を横切ったのはミス・フロイだった。列車で二人は偶然にも同室となる。一眠りしたアイリスが起きた時、ミス・フロイは消えていた。探し回るがみつからない。車掌や乗客達もとりあわず、ミス・フロイがいたといい張る彼女は、同乗の医師(ポール・ルーカス)に頭の怪我の後遺症と決めつけられる。ミス・フロイの消失は事故か失踪か……。アイリスは数々の妨害の中、追求を始めた。味方はギルバート唯一人。途中、列車が停止し、怪看護婦を伴い、全身包帯の病人が運びこまれる。その頃、アリスとギルバートは、荷物列車の奇術師一座の道具からミス・フロイのメガネを発見。確かに彼女はいる。二人は病人のからくりを見破り、ようやくミス・フロイを救出した。事件の全貌は明らかになる。何んと、乗務員から、医師、奇術師一座までがバンドリカのスパイ団であり、謎の暗号(メロディ)を知るミス・フロイも英国のスパイだったのだ。ロンドンへ走る列車は突然切り離され、逆方向へ暴走を始めた。バンドリカのスパイ達は、ミス・フロイの英国入国を必死ではばみ、車で追う。やがて匂配のゆるやかになった所に列軍は止り、包囲するスパイ達。激しい銃撃。ミス・フロイはギルバートに暗号を教え、一人列車より逃げるが、撃たれてしまった。その機をついたギルバートは列軍を走らせる事に成功し、二人はやがてロンドンに着く。謀報部へ急ぐ二人だが、困った事にギルバートは、ミス・フロイより教わった暗号を忘れてしまった。こうして謀報部に着いた二人は、そこで意外な光景を目撃したのだった。
39-21. バニーレークは行方不明 (BunnyLakeisMissing) 
監督
出演 キア・デュリア,
キャロル・リンレイ,
ルチー・マンハイム,
ノエル・カワード,
DelpheLawrence
1966年・アメリカ (コロムビア) 107分
解説
イヴリン・パイパーの小説を、イギリスの夫妻チーム、ジョン・モーティマーとペネロープ・モーティマーが脚色、 「危険な道」 のオットー・プレミンジャーが製作・監督したミステリー・ドラマ。撮影はデニス・クープ、音楽はポール・グラスが担当した。出演は 「リサの瞳のなかに」 のキア・デュリア、 「枢機卿」 のキャロル・リンレイ、 「嵐が丘」 のローレンス・オリヴィエのほかに、ノエル・カワード、マーティタ・ハント、アンナ・マッセイなど。
ストーリー
ロンドンの昼さがり。アメリカから来たばかりのアン(キャロル・リンレイ)は、ロンドン駐在の記者をしている兄のスティーブン(キア・デュリア)と、この日新しいアパートに入った。そしてアンは4つになる私生児の娘バニーを保育園に迎えに行ったが、バニーの姿はどこにも見えなかった。どの先生もバニーという子供など見たこともないという。アンはヒステリックになりスティーブンを呼び、スコットランド・ヤードのニューハウス警部(ローレンス・オリヴィエ)に捜索を依頼した。しかし、どこにもバニーはいなかった。アンの証言によると、料理婦に頼んで置いてきたというのだが、その料理婦の姿もみえなかった。アンが家へ戻ると、思いがけないことにバニーの服や玩具など、彼女のものがすべてなくなっていた。ニューハウスは、バニーは最初から存在していなかったのではないかとさえ考えた。その上、アンは子供の頃、バニーという空想上の女の子をつくったこともあったという。ニューハウスは船会社を訪ねたが、アンがアメリカから渡って来た日の乗客名簿に母娘の名は見当らなかった。バニーの実在を証明するために、アンはバニーの人形が修繕屋に出されている事を思い出し、深夜ひとりで出かけた。人形はあったが思いがけないことに、そこに現れたスティーブンが人形をとりあげいきなり火をつけてしまった。幼い時から、ことさら仲の良かった兄妹だったが、この時アンは兄に疑惑の目を向けた。スティーブンはアンをなぐり気絶させたうえ、精神病院に入院させてしまった。ひそかにそこを脱出したアンは、アパートに引っ越す前の住居にかけつけた。案の定、スティーブンはいた。そしてバニーは彼の車のトランクの中に隠されていた。罪の意識などないかのように、やさしくアンをいたわるスティーブン……。庭のブランコにのったアンは思いきり彼に押させた。じきに警部も来るだろう……。2人の奇妙な笑い声が、大都会の谷間にこだました。
39-22. カラミティ・ジェーン (CalamityJane) 
監督 デイヴィッド・バトラー
出演 ドリス・デイ,
ハワード・キール,
アリン・アン・マクレリー,
フィリップ・ケイリー,
ディック・ウェッソン
1953年・アメリカ (ワーナー・ブラザース日本支社) 101分
解説
「二人でお茶を」 のドリス・デイが主演する色彩ミュージカル。 「勇魂よ永遠に」 のウィリアム・ジャコブスが1953年に製作した作品で、 「宇宙征服」 のジェームズ・オハンロンの脚本から 「獅子王リチャード」 のデイヴィッド・バトラーが監督に当たった。撮影は 「コマンド」 のウィルフリッド・M・クライン、音楽は 「スタア誕生(1954)」 のレイ・ハインドーフである。ドリス・デイ以下、 「掠奪された七人の花嫁」 のハワード・キール、 「謎のモルグ街」 のアリン・アン・マクレリー、 「長い灰色の線」 のフィリップ・ケイリー、 「フェザー河の襲撃」 のディック・ウェッソン、ポール・ハーヴェイなどが出演する。篇中歌われる歌曲は“TheDeadwoodStage”“SecretLove”(アカデミー歌曲賞受賞)“JustBlewinfromtheWindyCity”“AWoman'sTouch”“HigherThanaHawk”“BlackHillsofDakota”である。
ストーリー
1870年代、デドウッドという小さな町に、厄病神と仇名される射撃のうまいお転婆娘ジェーン(ドリス・デイ)がいた。彼女の親友ワイルド・ビル・ヒコック(ハワード・キール)は、女らしくないジェーンに対し単なる友だちとしてつき合っていた。ジェーンは内心ヒコックを愛していたが、彼が少しも反応を示さないのでギルマーティン中尉に近づいて行った。ジェーンは喜劇劇スターのアデレイド・アダムズを連れて来ると町の人に約束し、シカゴへ行ったが、アダムズの女中ケティ(アリン・アン・マクレリー)を本物とまちがえてしまった。かねて舞台に立ちたいと思っていたケティは、誘われるまま本物になりすまして町に乗りこんで来た。だがウソがばれ、怒った町の人たちはケティの出演する酒場を壊そうとした。ジェーンは、ケティにチャンスを与えるよう一同を説き伏せた。ケティの歌と踊りは素晴らしく、その上ギルマーティン大尉が彼女に参ったので事は面倒になった。しかし、ケティがジェーンに女らしく振舞うことをすすめたので、ジェーンは見違える程美しい娘になり、ヒコックも彼女を見直し、ヒコックとジェーン、ギルマーティンとケティの2組の新夫婦が出来上った。
39-23. ドクター・ドリトル (Dr.Dolittle) 
監督 ベティ・トーマス
出演 エディ・マーフィ
オリヴァー・プラット,
オジー・デイヴィス,
リチャード・シフ,
クリスティン・ウィルソン,
1998年 (20世紀フォックス) 84分
解説
動物の言葉が分かる医者とユニークな動物たちが繰り広げるコメディ。原作はヒュー・ロフティングの名作小説で、「ドリトル先生不思議な旅」(67、リチャード・フライシャー監督)など映画化もあったが、本作では90年代風にアレンジ。監督は「プライベート・パーツ」のベティ・トーマス。脚本は「天使の贈りもの」のナット・モールディンとラリー・レビン。製作は「デイライト」のジョン・デイヴィスとデイヴィッド・T・フレンドリー、「マーキュリー・ライジング」のジョセフ・M・シンガー。製作総指揮は「暴走機関車」のスー・バーデン・パウエルと、テレビ映画でキャリアを持つジェンノ・トッピング。撮影は「ティン・カップ」のラッセル・ボイド。音楽は「ザ・チェイス」のリチャード・ギブス。美術は「ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合」のウィリアム・エリオット。衣裳は「青いドレスの女」のシャレン・デイヴィス。SFX監修は「マスク」のジョン・ファーハット。アニマトロニック・クリーチャーはジム・ヘンソンのクリーチャー・ショップが担当。出演は「ネゴシエーター」のエディ・マーフィ、「マルコムX」のオシー・デイヴィス、「あなたが寝てる間に…」のピーター・ボイルほか。
ストーリー
仕事熱心で家族とすれ違い気味のドリトル先生。ある時、動物と話ができる能力がよみがえり、彼の人生は一変する。
39-24. 夕陽に向って走れ (Tell Them Willie Boy Is Here)
監督 エイブラハム・ポロンスキー
出演 ロバート・レッドフォード,
キャサリン・ロス,
ロバート・ブレーク,
スーザン・クラーク,
バリー・サリバン
1969年・アメリカ (ユニヴァーサル) 98分
解説
1909年に起きた、インディアン事件の実話をもとに、アメリカの病根を追求した作品。ハリー・ロートンの原作をもとに、 「刑事マディガン」 などのシナリオ・ライターとして知られているエイブラハム・ポロンスキーが監督・脚本を担当。撮影は 「明日に向かって撃て!」 のコンラッド・ホール、音楽は 「レーサー」 のデーヴ・グルーシン、編集はメルビン・シャピロがそれぞれ担当。出演は 「冷血」 のロバート・ブレーク、 「明日に向かって撃て!」 のキャサリン・ロスとロバート・レッドフォード、 「マンハッタン無宿」 のスーザン・クラーク、 「地獄の逢びき」 のバリー・サリヴァン、 「スパルタカス」 のチャールズ・マッグロー、 「殺しの分け前 ポイント・ブランク」 のジョン・ヴァーノンなど。テクニカラー、パナビジョン。1969年作品。
ストーリー
年に一度の祭りに、インディアン保護区に戻ってきたウイリー・ボーイ(ロバート・ブレーク)は、最愛のローラ(キャサリン・ロス)との結婚承諾を、彼女の父親に求めたが、銃で追いはらわれてしまった。固い決意を秘めていたウイリーは、それならばと、ローラをつれて駆け落ちしようとした。そのため、彼はあやまって、止めに入った彼女の父親を射殺してしまい、その時から、ウイリーとローラの逃避行がはじまったのだった。この事件を知った、保護区監督官で女医のローラ(スーザン・クラーク)は、保安官補のクーパー(ロバート・レッドフォード)に、ウイリーの逮捕を依頼した。遊説中の大統領護衛の任につくためウイルソン保安菅(チャールズ・マッグロー)のところへ出頭しようとしていたクーパーは、予定をさいて、キャルバート(バリー・サリヴァン)やチャーリー(R・リプトン)らと、追跡隊を組織した。だが、インディアンのウイリーの巧妙な逃亡法にまどわされ、クーパーは追跡を断念し、大統領護衛の任に戻った。その頃、ローラとともに岩山の砦にたてこもっていたウイリーは、追跡隊に追いつかれてしまっていた。そしてその時、ウイリーの撃った弾が、偶然にもキャルバートに命中。この第2の殺人は人の口を経るたびに大きく歪曲され、異常に拡大されて伝えられた。そして、この報を聞きつけたクーパーは、再び追跡隊に加わり、ウイリーの後を追った。その彼らの前に、ローラの死体が現れた。これは、ウイリーの足手まといになることを案じたローラの自殺か、それともウイリーの手にかかって殺されたのか、わからなかった。ついに、単独で追跡を続けていたクーパーが、ウイリーを追いつめた。銃を手に向かい合う2人。次の瞬間、クーパーの弾丸がウイリーを倒した。しかし、ウイリーの銃には、初めから弾が込められていなかったことを知ったクーパーは、ウイリーとローラの無益な逃亡と、何の意味もなく散っていった命を思い、胸に重い痛みを感じるのだった。(ユニヴァーサル配給*1時間37分)
39-25. テイラー・オブ・パナマ (The Tailor of Panama) 
監督 ジョン・ブアマン
出演 ピアース・ブロスナン,
ジェフリー・ラッシュ,
ジェイミー・リー・カーティス,
レオノラ・ヴァレラ,
ブレンダン・グリーソン
2001年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 109分
解説
世界の勢力図を左右するパナマ運河の所有権を巡って、し烈な諜報戦が展開。スパイと情報屋の個人的な駆け引きに国家間の思惑が絡むドラマは、実にスリリング!
ストーリー
パナマ在駐の英国諜報員アンディは、仕立て屋ハリーに情報提供を強要。政府の運河売却という情報を得る。気弱なハリーの嘘とは知らず、アンディはこの情報を利用して横領を画策するが、国際紛争の危機が迫る。