14-1. シービスケット

監督 ゲイリー・ロス
出演 トビー・マグワイアジェフ・ブリッジスクリス・クーパーエリザベス・バンクスゲイリー・スティーヴンス
2003年・アメリカ (UIP)

解説
伝説の名馬“シービスケット”を巡る実話を映画化した感動のドラマ。大恐慌時代の米国を舞台に、シービスケットと3人の男たちの希望と勇気を繊細なタッチで描き上げる。

ストーリー
1910年、チャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)は自動車の将来性に目をつけ、数年後には西海岸で最も成功した自動車ディーラーとなる。ところが、最愛の息子フランキーを15歳の若さで皮肉にも自動車事故で失う。ハワードは失意のどん底に陥り、妻も彼のもとを去っていった。その頃、孤高のカウボーイ、トム・スミス(クリス・クーパー)は、折からの自動車産業の発展によって馬の需要がめっきり減り、食いぶちを稼ぐため西部劇の馬の調教師として各地を転々としていた。一方、カナダでは16歳の少年ジョニー・ポラードが、乗馬の才能を磨いていた。何不自由なく暮らしていた彼だったが、大恐慌時代の幕開けとともに無一文となった両親は、ジョニーの乗馬の才能に将来の夢を賭け、草競馬の世界に愛息を託す。ポラードはその赤毛から愛称《レッド》と呼ばれ、競馬の騎手として身を立ててゆく。6年後、レッド(トビー・マグアイア)は馬上で騎手が殴りあう格闘技にも等しい過酷な地方競馬のレースにいた。しかし彼が手にする賞金はごくわずか。仕方なく、アマチュア・ボクシングの試合で生活費を稼ぐ日々だった。1933年、時は禁酒法下、多くの人々がメキシコのティファナに歓楽を求めて押しかけていた。酒、女、そして競馬。ハワードもそんな男のひとりだった。そこで彼はマーセラ(エリザベス・バンクス)という若く美しい女と電撃的に結婚。乗馬の愛好家であるマーセラの影響もあり、やがてハワードは競馬の世界にその身を投じてゆく。そんなある夜、ハワードは森で、骨折した馬を治療しているスミスを見かける。「けがしたからといって、命あるものを殺すことはない」と呟く彼に感銘を覚えたハワードは、馬の調教師としてスミスを雇うことにする。3ヵ月後、ニューヨークのサラトガ競馬場で、スミスは、《シービスケット》と呼ばれる鹿毛の馬の目に、言いしれぬ資質が潜んでいることを見抜いた。気性の荒いこの馬は、数多くの調教師からさじを投げられていた。しかしスミスは、ハワードにシービスケットを購入するよう勧める。そしてスミスは、競馬場でまさに“暴れ馬”さながら大喧嘩していたレッドに、騎手として目をつける。レッドはこのサラブレットから記録的な走りを引き出し、シービスケットは連戦連勝。困窮に苦しむアメリカの庶民たちは、小柄ながらも逆境に立ち向かうシービスケットの活躍に、時代のヒーローとして熱狂的な歓迎ぶりをみせる。意気揚がるハワードは、史上最高額の賞金10万ドルのレースを決行する。果たしてレースはシービスケット優位のまま進むが、レッドは右後方から迫ってきた馬の存在に気づかず、まんまとゴール前で逆転されてしまう。実はそのとき、ボクシング時代の怪我の後遺症で、すでにレッドの右目の視力は失われていたのだった……。




14-2. フィクサー

監督 トニー・ギルロイ
出演 ジョージ・クルーニートム・ウィルキンソンティルダ・スウィントンシドニー・ポラックマイケル・オキーフ
2007年・アメリカ (ムービーアイ)

解説
ジョージ・クルーニーが熱演する社会派サスペンス。「ボーン・〜」シリーズの脚本家トニー・ギルロイが初監督を務め、社会の不正に直面した人間の姿を描く。

ストーリー
マンハッタンにあるケナー・バック&レディーン法律事務所。そこに所属する元検察官のマイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)は、裏で仲介に立って交渉をまとめる“もみ消し屋”=“フィクサー”として長年にわたって活躍していた。しかし、最近の彼の身の回りでは、物事が思うに任せないでいた。別れた妻と親権を争う10歳の息子ヘンリーと会う時間もままならず、病気療養中の父親に面会する暇もない。その上、従兄弟と共同で始めたベンチャー・ビジネスも失敗し、8万ドルの借金を背負っていた。その返済期限は一週間後。そんな時、全米を震撼させた3000億円にのぼる集団薬害訴訟で、被告の農薬会社U・ノース社の弁護を担当していた同僚のトップ弁護士アーサー・イーデンス(トム・ウィルキンソン)が突然、訴訟の妨害工作に出る。被告有利に進んでいた訴訟における突然の事態を収集するため、マイケルに声がかかる。留置所に拘留されていたアーサーと面会するマイケル。そこで彼は、アーサーが全てを覆す秘密を握っている事を知る。これによって良心の呵責に耐えられなくなったアーサーは、公衆の面前で服を脱ぐという奇行を見せ、留置所に送られたのだった。だが、事実の暴露を目論んでいたアーサーはマイケルに詳細を語る前に死亡。その不審な死の真相を追究するうちに、マイケルも何者かに命を狙われる。さらに、U・ノース社の訴訟担当者カレン・クラウダー(ティルダ・スウィントン)が現れ、マイケルと対立。やがて、彼はこの事件が単なる企業の隠蔽工作にとどまらない、巨大な陰謀の一部である事に気付くが……。




14-3. レナードの朝

監督 ペニー・マーシャル
出演 ロバート・デ・ニーロロビン・ウィリアムズジュリー・カヴナールース・ネルソンジョン・ハード
1990年・アメリカ (コロムビア・トライスター映画)

解説
30年にわたる昏睡から目覚めた患者と、彼を何とか救おうとする医師の必死の闘病生活を、自らも精神科医のオリヴァー・サックスの実体験による著作を基に描いたヒューマン・ドラマ。 「ビッグ」 のペニー・マーシャルがアーン・シュミット、エリオット・アボットと共同でエグゼクティブ・プロデューサlも兼ね、製作はウォルター・F・パークスとローレンス・ラスカー、脚本はスティーヴン・ザイリアン、撮影は 「ガープの世界」 のミロスラフ・オンドリチェク、音楽はランディ・ニューマンが担当。出演はロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズほか。

ストーリー
1969年、ブロンクス。慢性神経病患者専門のベインブリッジ病院に赴任してきたマルコム・セイヤー(ロビン・ウィリアムズ)は無口で風変わりな男だったが、患者に対する態度は真剣で、彼らが話すことも動くこともできないものの、まだ反射神経だけは残っていることを発見すると、訓練によって患者たちに生気を取り戻すことに成功し、その熱意は治療をあきらめかけていた看護婦のエレノア(ジュリー・カブナー)の心をさえ動かしていった。そんなセイヤーの患者の中でも最も重症なのがレナード・ロウ(ロバート・デ・ニーロ)だった。彼は11歳の時発病し、30年前にこの病院に入院して以来、意識だけはあるものの半昏睡状態で寝たきりの生活なのである。何とか彼を救おうとしたセイヤーはまだ公式に認められていないパーキンソン氏病患者用のLドーパを使ってレナードの機能回復を試みる。そしてある朝、ついにレナードはめざめを迎えた。ベッドから起き上がり、セイヤーに連れられて30年ぶりに街に出たレナードにとって見るものすべてが驚きだった。その効果に意を強くしたセイヤーは上司に他の患者にも新薬を使うことを申し出て、病院のスタッフの協力によって投薬が始まョった。そしてある夜のこと、セイヤーはベッドから次々と起き上がる患者たちの姿を見るのだった。一方、完全に機能を回復したレナードだったが、彼が病院に見舞いにきたポーラ(ペネロープ・アン・ミラー)に生まれて初めての恋をしたことから問題が起こる。1人だけで外出したいというレナードに医師団は反対し、それに反発したレナードは怒りからか、再び病状の悪化が始まってしまう。しだいに狂暴になるレナードをセイヤーですら押さえ切れなくなる。そして、ついにレナードを始め、目覚めた患者たちは、すべて元の状態に戻ってしまう。自分のしたことは間違いだったのだろうかと悩むセイヤーにエレノアは優しい言葉を投げかけるのだった。




14-4. サブウェイ123 激突

監督 トニー・スコット
出演 ジョン・トラヴォルタデンゼル・ワシントンジョン・タトゥーロルイス・ガスマンマイケル・リスポリ
2009年・アメリカ (ソニー)

解説
1974年に映画化された傑作犯罪小説を、デンゼル・ワシントン&ジョン・トラボルタ主演で再度映画化。地下鉄の乗客と引き換えに金を要求する犯人と地下鉄職員との頭脳戦が展開する。

ストーリー
午後2時00分、ニューヨーク地下鉄運行指令室のガーバー(デンゼル・ワシントン)は、ペラム発1時23分の列車が緊急停車しているのに気づく。しかも止まっていたのは、切り離された1車両だけだった。胸騒ぎを覚えたガーバーは、無線で列車にコンタクトを取る。すると回答してきたのは、ライダーと名乗る男(ジョン・トラヴォルタ)だった。ライダーは車両に乗っていた19人を人質として、地下鉄をジャックしていた。ライダーは人質の解放の条件として、59分以内に1000万ドルの身代金を用意するよう要求する。しかも、身代金を用意するのはニューヨーク市長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)、交渉相手にはガーバーを指名する。地下鉄のことを熟知しているガーバーは、犯人が逃げ切ることは不可能だと確信する。しかしライダーは、圧倒的な自信で要求を重ねていく。




14-5. ガントレット

監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッドソンドラ・ロックパット・ヒングルウィリアム・プリンスマイケル・カバナー
1977年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
警察上司の立場がまずくなる裁判の証人を護送するはみだし刑事(でか)の活躍を描くアクション映画。製作はロバート・デイリー、監督は 「アウトロー」 のクリント・イーストウッド、脚本はマイケル・バトラーとデニス・シュラック、撮影はレックスフォード・メッツ、音楽はジェリー・フィールディングが各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ウィリアム・プリンス、マイケル・カバナーなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。デラックスカラー、パナビジョン。1977年作品。

ストーリー
朝陽がフェニックスの町を包む−−。夜明けだ。酒場より出てきた男は、酒くさい息をはきながら車を運転して市警の前に着く。男の名はショックリー(C・イーストウッド)。ヒラの市警警官だ。重要な事件の担当も今までなく、大きな昇進もしてない彼は今、ブレイクロック(W・プリンス)警部補より呼び出しを受けたのだ。同僚で今はデスク仕事に出世したジョゼフソン(P・ヒングル)に酒くさいのを注意されたショックリーの今回の仕事は、組織のからんだある事件の検事側証人としてある人物を、ラスベガスからフェニックスまで連行するという、ごくありふれたものだった。ところが、ラスベガスに着いてショックリーの驚いたのは、何と証人はマリー(S・ロック)という女だったということ。この売春婦は知的な女で、彼女はショックリーとの旅を拒絶する。行けば殺される! と。馬鹿なことを言う奴だ、と思っていたショックリーも、空港へ向かう途中で起こった待たせてあったレンタカーの爆発や、正体不明の車の追跡等に出合っては、信じずにはいられない。ようやくマリーの言うことにある程度納得した彼は、彼女のいうとおりひとまず彼女の家に身をひそめた。そしてブレイクロックに保護をたのむ彼。警官の来る間、マリーは風呂へ、彼は空港に次の便のチケットを予約した。やがて、パトカーがやって来る。しかも、たのんだ1台ではなく数十台も……。何か事態はおかしかった。警官隊や狙撃隊が家を包囲し、一斉射撃を始める。壁が床が天井がズタズタの穴だらけと化し、マリーは地下室より脱出通路を逃げ、ショックリーもあとを追って脱出に成功。同じ頃、家はくずれ落ちた。再び2人の旅が始まった。途中でパトカーを1台ジャックし、州境へ向かう。そしてその警官より彼は意外なことを聞いた。彼は警官殺しの犯人にされ、マリーも暗黒組織より命を狙われているというのだ。ショックリーは再び、ブレイクロックに電話して保護の確約を取るが、マリーは、ブレイクロックがあやしい、彼こそ張本人だ、という。そういわれてみれば思いあたる点もいくつかある。ショックリーは、ブレイクロックのさしむけた保護隊の待つ州境の手前で、マリーと共にパトカーを下車した。そしてそのまま州境に向かったパトカーは待っていた一団のマシンガンにもちろんハチの巣に……。敵はブサイクロックだ! ショックリーはそう確信した。マリーと共に砂漠の洞穴で一夜をあかしたショックリーは、朝近くにやってきたヘルス・エンジェルのバイクを1台奪い、電話でジョゼフソンにブレイクロックの策謀をつげる。が、その時、頭上にヘリがやって来て、電話ボックスの彼を狙う。マリーを乗せ、彼の逃亡が始まった。執拗に追ってくるヘリ。逃げるバイク。やがてヘリは高圧線に接触して爆破、ショックリーとマリーは、貨物列車に飛び乗った。しかし、そこには先程のエンジェルの男達が……、マリーの必死のオトリ作戦がものをいい、2人は助かった。そして、2人はキングマンという町に着く。フェニックス行きのバスの発車時刻までの間、モーテルに入り、休息する2人。マリーはショックリーに愛を告白。ショックリーもそれを静かに受けとめた。そして再び、ジョゼフソンに今から町に乗り込むことを告げた。マリーは反対するが、こうなれば、男としての意地だ。一方、ジョゼフソンは、友の危険を救うため地方検事フェイダースピール(M・カバナー)に協力を求めるが、彼もまたブレイクロックの仲間だったのだ。早速、ショックリーの計画はブレイクロックにも知れ、警官隊は町へ入ってくるバスのコースの街路に並ぶ。手に銃を持って−−。その頃、ショックリーはバスをジャックし、運転席を鉄板で囲むと、マリーと共にフェニックスへ向かった。青空の下、バスはフェニックスへ近づく。街路には銃を片手の警官隊以外1人もいない。やがて、街に入って来たバスにジョゼフソンが近より、ショックリーの計画をやめさせようとするが、彼も狙撃され死亡。ショックリーの怒りは爆発する。ただマリーという証人を連れて前進するのみだ。バスは街角をまがった。と、同時に無数のいやそれ以上の弾道がバスに吸い込まれていく−−。やがてバスは止まり、ショックリーとマリーが下車。警官は2人を囲み、ブレイクロックが2人の前にやって来た。そして彼はショックリーを撃つ。傷つき倒れるショックリー。だがマリーがショックリーの銃をとり、ブレイクロックに向け引金を静かに引くのであった−−。(ワーナー・ブラザース映画配給1時間50分)




14-6. ミッション:インポッシブル  

監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 トム・クルーズジョン・ヴォイトヘンリー・ツァーニージャン・レノヴィング・レイムス
1996年・アメリカ (UIP)  147分

解説
不可能な任務に挑むスペシャリストの活躍を描いたスパイ・アクション大作。TVドラマ「スパイ大作戦」(66〜73)を基に、主演のトム・クルーズが初の製作も兼ね、映画化権の交渉から3年に及ぶ準備期間を経て、自身のプロダクション〈クルーズ‐ワグナー・プロ〉の第1回作品として完成させた。監督は「カリートの道」 のブライアン・デ・パルマ。「今そこにある危機」 のスティーヴン・ザイリアンと「カリートの道」 のデイヴィッド・コープの原案を、コープとクルーズ主演の「ザ・ファーム 法律事務所」 のロバート・タウンが共同で脚色。製作はクルーズとパートナーのポーラ・ワグナー、エクゼクティヴ・プロデューサーは「トゥルーナイト」 のポール・ヒットコック。撮影は「カリートの道」 など、監督とは6作目となるスティーブン・H・ブラム、美術は「生きてこそ」 のノーマン・レイノルズ、編集は「レイジング・ケイン」 など、監督とは10本目となる「アイ・ラブ・トラブル」 のポール・ハーシュ、衣裳は「心の地図」 のペニー・ローズ、特殊メイクは「セブン」 のロブ・ボッティンが担当。音楽は「バットマン リターンズ」 のダニー・エルフマンがスコアを書き、ロックグループ〈U2〉のアダム・クレイトンとラリー・ミューレンがアレンジ・演奏したTV版のテーマ曲(ラロ・シフリン作曲)を使用している。主演は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」 のトム・クルーズ。共演は「ヒート」 のジョン・ヴォイト、「とまどい」 のエマニュエル・ベアール、「フレンチ・キス」 のジャン・レノ、「湖畔のひと月」 のヴァネッサ・レッドグレーヴほか。また、エミリオ・エステヴェスがノー・クレジットで友情出演している。

ストーリー
極秘スパイ組織IMFのリーダー、ジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)の元に当局から指令が入った。任務は、東欧に潜入しているCIA情報員のリスト“NOC”を盗んだプラハの米大使館員ゴリツィンと情報の買い手を捕らえること。だが盗まれたのは暗号名の情報だけで、本名のリストは別にある。ゴリツィンはそれを入手するため、明日の大使館のパーティに現れるらしい。ジムの作戦に従い、イーサン・ハント(トム・クルーズ)をはじめとするIMFのメンバーは大使館に向かった。しかし、作戦は敵に筒抜けで、ハッカーのジャック(エミリオ・エステヴェス)、工作員のサラ(クリスティン・スコット・トーマス)、監視役のハンナ(インゲボーガ・ダプクテイナ)にゴリツィンまでが殺され、ジムも銃弾に倒れてしまう。辛くも逃れたイーサンはCIAのキトリッジ(ヘンリー・ツァーニー)に会い、彼からIMFに内通者がいると聞かされる。今回の作戦はそれを暴くために仕組まれたもので、ゴリツィンは囮だったのだ。生き残ったイーサンは彼に内通者と見なされ、愕然とする。彼はキトリッジとの会合の場であるカフェを爆破して逃走し、本当の裏切り者を探そうとする。大使館の作戦で生き残ったジムの妻、クレア(エマニュエル・ベアール)も無事アジトに戻り、イーサンは今までの状況を説明。キトリッジは、内通者にNOCリストを盗ませたのは武器商人のマックスだと言っていた。内通者の暗号名が“ヨブ”だと知ったイーサンは、その名を騙ってマックス(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)に会い、ヨブのリストはCIAが用意したニセ物だと伝える。さらに彼はマックスに取り引きを持ちかけ、全世界のNOCリストをヨブと交換することが決まった。イーサンとクレアは、CIAを解雇されたタフガイのクリーガー(ジャン・レノ)と天才ハッカーのルーサー(ヴィング・レイムス)を仲間に加えて、次の作戦を開始。何と世界一厳重に警備されたCIA本部の1室に侵入し、NOCリストを入手しようというのだ。クレアの陽動作戦が成功し、天井にあるダクト口から、クリーガーが支えるケーブルに吊るされながら入室したイーサンは、見事、NOCリストのダウンロードに成功した。これを知ったキトリッジは、イーサンの母と叔父を麻薬密売容疑で逮捕し、彼をおびき出そうとする。イーサンはキトリッジに電話をかけてわざと逆探知させ、自分がロンドンにいることを知らせる。ところが、そこへ死んだはずのジムが現れた。驚くイーサンに、彼は黒幕はキトリッジであると教える。すでにイーサンはマックスとの取り引き場所を、ロンドン発パリ行きの特急列車TGVユーロスターの車内と設定していた。そこには裏切り者のヨブも現れるはずだ。列車は走り出し、イーサンはマックスにリストを渡す。車内にはなぜかクレアも乗り合わせており、彼女は貨物車両に潜伏していたジムと会う。だが、それは得意の変装で彼に化けたイーサンだった。そこへ本物のジムが現れた。ヨブの正体はジムであり、プラハで仲間たちを殺したのも、全ては彼とクレア、そしてクリーガーの仕業だった。ジムは冷戦後の世界情勢を鑑み、自分のようなスパイが用済みになることを察して、今回の行動に出たのだ。イーサンは間一髪で危機を脱出するが、その際クレアがジムの銃弾に倒れる。ジムは車外に逃れ、追尾していたクリーガーの操縦するヘリコプターに乗り込んだ。イーサンは屋根にへばりついたまま、ヘリコプターをワイヤーで列車に繋ぎ止め、もつれ合ったままトンネル内に突入。機銃掃射するジムたちの眼前で、イーサンはガム型爆弾を使い、ヘリコプターは吹っ飛ぶ。イーサンの連絡で車内で待機していたキトリッジは、マックスを逮捕した。イーサンの母と叔父は釈放され、ルーサーは晴れてCIAに復帰することに。しかし、イーサンはスパイ稼業に嫌気が指し、空の旅の人となった。そこへジムの後任と認めた当局より新たな指令が届いた……。




14-7. 特別な一日

監督 エットーレ・スコラ
出演 ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニジョン・ヴァーノンフランソワーズ・ベールPatrizia Bass
1977年・イタリア (ヘラルド・エース)

解説
第二次大戦勃発直前のローマを舞台に、ヒトラーが訪れた歴史的な日に、一人の主婦が体験する特別な一日を描く。製作はカルロ・ポンティ、監督は 「パッション・ダモーレ」 のエットーレ・スコラ、脚本はエットーレ・スコラ、ルッジェーロ・マッカリ、マウリツィオ・コスタンツォ、撮影はパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はアルマンド・トロバヨーリ、編集はライモンド・クロチアーニ、美術はルチアーノ・リッケリ、編集はライモンド・クロチアーニ、衣裳はエンリコ・サバッティーニが担当。出演はソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、ジョン・ヴァーノン、フランソワーズ・ベールなど。

ストーリー
第2次大戦の影がしのびよる一九三八年、ローマ。ドイツの権力者ヒトラーがローマにやって来るという記念すべき日。式典が行なわれるその日は市民の殆どが広場ヘと赴いた。アントニエッタ(ソフィア・ローレン)は、六人の子供を持つ主婦。夫のエマヌエレ(ジョン・ヴァーノン)は、ムーソリーニの信奉者。悪い人間ではないが、妻に子供たちの面倒をまかせ、自分は友だちづき合いに忙しい。夫や子供たちを見送るアントニエッタ。静まりかえったアパートに一人残された彼女は、まだ残された山ほどある仕事を、うんざりしたような表情でやりはじめた。九官鳥のロスモンドにエサをやるのも仕事の一つだ。そのロスモンドが鳥かごから飛び出し向かいの階段にとまった。そのすぐそばの部屋に男の背中が見え、彼女は大急ぎで彼の部屋を訪ねた。彼の助けをかりて、ロスモンドをつかまえた。男はガブリエレ(マルチェロ・マストロヤンニ)と名のり、陽気に彼女に話しかけてきた。コーヒーの誘いをことわったアントニエッタにダンスを誘い、二人はルンバを踊った。その時、外からは、式典の実況を放送するラジオの音が響いてきた。ガブリエレは、顔をかすかにくもらせ、アントニエッタは、家にあわてて戻った。信じられないひとときであった。彼女は興奮している自分を感じた。気になって向かいの窓をのぞくアントニエッタ。ガブリエレは誰かに電話をかけていた。彼女が掃除にかかった時、ドアのべルが鳴った。ガブリエレだ。とまどいながらも彼を中に入れると共にコーヒーを飲んだ。そんな時、べルが鳴った。訪れた管理人の老女が「あんな売国奴とつきあうなんて」とアントニエッタを非難して帰っていった。不安になってきた彼女は、仕事があるからと、洗濯ものをとりこむために屋上へ上がった。なだめるように追って来たガブリエレと屋上で抱きあう彼女。しかし次の瞬間には、ガブリエレは彼女を自分から離し暗い表情になった。恥ずかしくなったアントニエッタは言った。「男なんて、みんな同じよ」。その言葉に、ガブリエレが口走った。「ぼくは違う。ぼくはホモなんだ」……思いがけない告白に狼狽し、彼女は彼の頬を打って部屋にかけおりた。しかし、時がたち心が静まると、いつも侮辱をうけてきたであろう男の心が痛いほど彼女にわかってきた。彼女も同じように、冷たい夫との生活の中で、知らぬ間に心が閉ざされていたのだ。彼女は彼の部屋を訪れ、お互いに、いたわり合うように愛しあった。この特別な日に、二人は特別の時を過ごした。夜、家族とのいつもの夕食を済ませた後、窓辺に立つアントニエッタ。外には、連行されてゆくガブリエレの姿があった。




14-8. 美女と野獣 (吹替)

監督 カーク・ワイズ
出演 ペイジ・オハラロビー・ベンソンリチャード・ホワイトレックス・エヴァーハートジェリー・オーバック
2010年・アメリカ (ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン)

解説
1991年に公開されたディズニーの名作アニメが19年の時を経て3D化。美女と醜い野獣との純粋な愛を描き、当時、アニメーション映画として初めてアカデミー賞最優秀作品賞にノミネートされ大ヒットを記録した。最新技術により、美女と野獣が愛を誓うかのように踊るダンスシーンのほか、可愛らしくてユニークなキャラクターたちが復活。

ストーリー
森の中の城に、わがままな王子(声:山寺宏一)が住んでいた。ある晩、城を訪ねてきた貧しい身なりの老婆が、一輪のバラと引き替えに一晩泊めてほしいと頼む。王子が冷たく拒否すると、老婆は魔女に変身し、王子を醜い野獣に変える。魔女はバラを渡しながら、このバラが散る21歳の誕生日までに心から人を愛し、相手の愛を獲得しなければ、一生野獣のままだと告げる。王子には下界を映す鏡と、呪いで家財道具に変えられた家来たちが残された。村一番ハンサムで逞しいガストン(松本宰二)は、発明家モーリス(あずさ欣平)の娘ベル(伊東恵里)を射止めようとするが、ベルは心を動かさなかった。ある日、森の中で狼の群れに襲われたモーリスは、古びた城を見つける。野獣はモーリスを牢に閉じ込める。父を捜してきたベルは、自分と引き替えに父を出すよう野獣に頼む。野獣はベルの美しさと勇気に驚き、願いを聞き入れる。気の強いベルと野獣は何かと対立し、心を開こうとしない。ある吹雪の日、ベルが禁じられた西の塔にいるのを野獣が見つけ、ベルを追放する。ベルが狼の群れに襲われそうになると、野獣が助けに来る。ベルは城に戻り、重傷を負った野獣の看病をする。この事件をきっかけに2人は打ち解ける。下界の映る鏡でモーリスのやつれた姿を見たベルに、野獣は帰るよう勧める。ベルとモーリスは再会する。しかし、娘を野獣から救ってくれと願い出たモーリスを異常扱いした村人たちが、大挙してやってくる。ガストンは村人を説得する代わりにベルとの結婚を要求するが、ベルは野獣の素晴らしさを伝える。ガストンは逆上し、ベルとモーリスを地下室に閉じ込め、村人たちとともに城に向かう。ベルとモーリスは地下室を脱出し、城に駆けつける。野獣とガストンが争っていたが、優しい心に目覚めた野獣は、なかなかとどめを刺せないでいた。そのとき、ガストンの剣が野獣に突き刺さる。ベルが瀕死の野獣を胸に抱くと、バラの花びらの最後の1枚が散ろうとする。




14-9. ベガスの恋に勝つルール

監督 トム・ヴォーン
出演 キャメロン・ディアスアシュトン・カッチャーロブ・コードリートリート・ウィリアムズデニス・ミラー
2008年・アメリカ (20世紀フォックス)

解説
キャメロン・ディアス主演のロマンチック・コメディ。ラスベガスで酔った勢いから結婚してしまったヒロインが、大金を手に入れようと離婚を画策する姿を痛快に描く。

ストーリー
パーティー好きの大工のジャック・フラー(アシュトン・カッチャー)と、お堅い貿易商のジョイ・マクナリー(キャメロン・ディアス)。ニューヨークから休暇を過ごしにラスベガスを訪れていた2人は、酔った勢いで結婚式を挙げてしまう。そしてジョイがプレイしていたスロットで、ジャックが300万ドルを当てる。2人はマンハッタンに戻り、ジャックの親友で顧問弁護士のスティーヴ(ロブ・コードリー)を交えて、婚姻解消と300万ドルの権利を法廷で争う。しかしワッパー判事(デニス・ミラー)は300万ドルを凍結し、半年間の強制結婚と、週1回のカウンセリングという判決を下す。この結婚を成功に導くための努力をしたと証明すれば300万ドルが手に入り、それができなければ長い裁判の末、全て弁護士に持っていかれるというのだ。ヘーダーのほか、ジョイの女友達ティッパー(レイク・ベル)、ジャックの父親ジャック・シニア(トリート・ウィリアムズ)、ジョイの上司バンガー、ジョイの元婚約者メイソン、精神科医のトゥイッチェルを巻き込み、半年間の夫婦ごっこが始まる……。




14-10. 黄色い星の子供たち

監督 ローズ・ボッシュ
出演 メラニー・ロランジャン・レノガド・エルマレラファエル・アゴゲユーゴ・ルヴェルデ
2010年・フランス=ドイツ=ハンガリー (アルバトロス・フィルム)

解説
第2次大戦中の1942年、フランス政府によって行われたユダヤ人一斉検挙。粘り強い取材と綿密な時代考証によって実際の出来事を限りなく事実のままに再現した、骨太の人間ドラマ。懸命に生きる子供たちの姿と、撮影中あまりの辛さに帯状ヘルペスを発症し痙攣を起こしたというメラニー・ロランの熱演が涙を誘う。

ストーリー
1942年、パリ。少年ジョーの家は貧しく、ユダヤ人の印である黄色い星を胸につけていたが、父(ガド・エルマレ)や母(ラファエル・アゴゲ)、親友のシモンやシモンの弟ノノらと幸せな日々を送っていた。そのころユダヤ人迫害政策を推し進めていたヒトラーは、ナチス・ドイツ支配下のフランスに、ユダヤ人を引き渡すよう要求する。ラヴァル首相はパリ地区の外国籍のユダヤ人2万4000人の検挙を決定する。ドイツ側は子供の除外を提案するが、孤児の面倒を見切れないことから、ラヴァルが反対する。ユダヤ人の間で検挙の噂は流れていたが、兵器工場に必要な男だけだと信じられていた。しかし7月16日午前4時、女子供もあわせて1万3000人のユダヤ人が検挙され、ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)に移送される。赤十字から派遣された看護師アネット(メラニー・ロラン)が、ヴェル・ディヴにやってくる。数千人の患者に対し、医師は自身も検挙されたシェインバウム(ジャン・レノ)だけ、看護師はアネットを入れて6人しかいなかった。シモンとノノの母親(シルヴィー・テステュー)は、流産が原因で亡くなっていた。しかしノノは母の帰りを待ち続ける。劣悪な環境で5日間を過ごしていたユダヤ人に対し、ホースの点検に来た消防団の責任者が1度だけ消火用の水を振る舞った。人々は親戚や友人に宛てた手紙を消防士に託す。突然、彼らはロワレ県ボーヌの収容所へ移送される。共に移動したアネットは、不潔で食料も乏しい環境に愕然とする。ユダヤ人と同じ食事を続け痩せ細ったアネットはその姿で知事を訪ね、食料の配給を受ける。ある日、ユダヤ人しか行くことのできない別の収容所への移送が決まる。今回は子供を残して、大人だけが出発することになる。残されジョーは、ノノをおぶって脱走しようとシモンを誘う。しかし子供たちには過酷な運命が待ち受けていた。




14-11. マイ・ビューティフル・ランドレット

監督 スティーブン・フリアーズ
出演 ゴードン・ウォーネックダニエル・デイ=ルイスサイード・ジャフリーロシャン・セスシャーリー・アン・フィールド
1985年・イギリス (松竹富士)

解説
南ロンドンを舞台にパキスタンとイギリスの二人の青年の交流を描く。イギリスの商業TV局チャネル4が“フィルム・オン・フォー”という番組のために製作したものだが、試写を見たジャーナリストの勧めで、エジンバラ映画祭に出品したところ好評だったので、劇場公開されることになった。製作はサラ・ラドクリフとティム・ビーヴァン。監督は“Hit”(84)のスティーブン・フリアーズ。脚本はパキスタンとイギリスのハーフであるハニフ・クレイシ。撮影はオリヴァー・ステイプルトン、音楽はルーダス・トナリスが担当。出演はゴードン・ウォーネック、ダニエル・デイ・ルイスほか。16ミリを35ミリにブローアップ。

ストーリー
パキスタン青年オマール(ゴードン・ウォーネック)は、父(ロシャン・セス)とロンドンのみすぼらしいアパートに住んでいた。父はかつてボンベイで新聞記者をしていたが、妻を亡くしアルコールづけになっていた。オマールは父の弟ナセル(サイード・ジャフリー)が経営するガレージで働き始める。ナセルは金儲けを第一に考え、イギリス女性レイチェル(シャーリー・アン・フィールド)を情婦にしていた。ナセルの瀟洒な邸に招かれたオマールはいとこのタニア(リタ・ウルフ)に久し振りに再会する。いとこのサリム(デリック・ブランシュ)の車で帰宅する途中、幼ななじみのジョニー(ダニエル・デイ・ルイス)を見かけて声を掛けた。南ロンドンのコイン・ランドリーの経営をまかされるが、うまくいかない。ジョニーに手伝いを頼んだ。サリムから麻薬の運び屋の仕事を請け負い、一部をくすね、それを売って改装費に当てる。ナセルはジョニーをつかい、アパートの家賃を払わない貧乏詩人を追い出させた。パウダーズと改称したコイン・ランドリーの新装開店の日、店内ではナセルとレイチェルがダンスをし、奥では裸になったオマールとジョニーがキスし抱きあう。タニアが現われ、レイチェルを「男に囲われている女なんて寄生虫と同じよ」となじる。傷つくレイチェル。サリムはジョニーのかつてのパンク仲間が歩いているのを見て、車で追いかけ足をけがさせた。レイチェルが去り、男性優位主義のパキスタン人社会にうんざりしたタニアが家を出て、ナセルは兄のアパートに行き慰めを求める。パンク連中はパウダーズの前にとめてあったサリムの車を破壊し、サリムをなぐりつける。じっと見ていたジョニーは意を決して止めに入り、かつての仲間ともみあう。しばらくしてオマールが来て、ジョニーを介抱する。「俺は降りる」というジョニーの傷を水で洗うオマール。やがて、二人は互いの身体に水をかけあう。




14-12. バンテージ・ポイント

監督 ピート・トラヴィス
出演 デニス・クエイドマシュー・フォックスフォレスト・ウィテカーシガニー・ウィーヴァーウィリアム・ハート
2008年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

解説
大統領狙撃事件の意外な真実を映し出すサスペンス・アクション。警護官や観光客らの複数の視点で、事件の前後をリピートして描いた斬新な構成に注目!

ストーリー
スペインのマヨール広場は群衆によって埋め尽くされ、演壇ではテロ撲滅の国際サミットに参加している米国のアシュトン大統領(ウィリアム・ハート)のスピーチが始まろうとしていた。その時、何者かの凶弾によって大統領は狙撃され、続いて大爆発が起こる。その瞬間を撮影したハワード(フォレスト・ウィッテカー)をはじめ、パニック状態に陥る群衆の中で、シークレット・サービスのバーンズ(デニス・クエイド)は最も恐れていた事態が現実となったことを理解した。かつて大統領の護衛中に被弾した経験を持つ彼にとって、今回の復職は1年ぶりのものだった。バーンズの復帰に尽力した同僚のテイラー(マシュー・フォックス)からは、「犯人らしき男を西に追っている」という無線が入る。しかし、本物のアシュトン大統領はホテルの部屋にいた。反体制組織の「聖戦旅団」による大統領暗殺計画は事前に察知されて、狙撃されたのは替え玉だったのだ。しかし、その部屋にも何者かが扉を破って侵入し、大統領は誘拐された。「聖戦旅団」のメンバーには、ホテルの従業員もいたのだった。バーンズは、大統領のスピーチを中継していたアメリカのニュース番組の中継車があったことに気がつき、ディレクターであるレックス(シガーニー・ウィーヴァー)に複数のカメラで撮影されていた映像の再生を要請する。そこに映っていたのは、変装した姿でバーンズに連絡するテイラーだった。彼もまた、「聖戦旅団」の一員だったのだ! クルマに飛び乗ったバーンズは、大統領を乗せた「聖戦旅団」が運転する救急車を執拗に追いかける。激しいカーチェイスの末、どちらのクルマも事故に遭って大破してしまった。押し潰されたクルマから這い出たバーンズは、倒れた救急車へと駆け寄った。そこには、傷つきながらも命は無事だった大統領の姿があった。




14-13. NINE

監督 ロブ・マーシャル
出演 ダニエル・デイ=ルイスマリオン・コティヤールペネロペ・クルスジュディ・デンチケイト・ハドソン
2009年・アメリカ (角川エンタテインメント=松竹)

解説
シカゴ」 のロブ・マーシャル監督がブロードウェイ・ミュージカルを映像化。1人の映画監督と、彼を取り巻く女性たちの関係を、豪華キャストによる圧巻のパフォーマンスで魅せる。

ストーリー
1964年のイタリア。世界的な映画監督グイド・コンティーニ(ダニエル・デイ=ルイス)は、新作の撮影を控えていた。しかし、クランクインを目前にしながらも映画の構想はまとまらない。妻ルイザ(マリオン・コティヤール)はグイドの心の支えだったが、彼の周囲は妻だけでなく、愛人カルラ(ペネロペ・クルス)や主演女優のクローディア(ニコール・キッドマン)など、常に女性が取り巻く。やがて、カルラからは愛想を尽かされ、映画へのプレッシャーと女性たちとの関係に追い詰められたグイドは、いつしか自分の幻想世界へと溺れていくのだった……。




14-14. チャーリーズ・エンジェル

監督 マックG
出演 キャメロン・ディアスドリュー・バリモアルーシー・リュービル・マーレイティム・カリー
2000年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

解説
1970〜80年代の人気TVドラマ・シリーズを旬のアクトレス共演でリメイク。指令を受けて悪と戦う最強の美女たちの戦いがユーモラスかつスリリングに描かれる新感覚のスパイ・アクション!

ストーリー
姿を現さない謎のボス、チャーリー(声:ジョン・フォーサイス)から、ナタリー(キャメロン・ディアス)、ディラン(ドリュー・バリモア)、アレックス(ルーシー・リュー)の三人娘“チャーリーズ・エンジェル”に指令が出た。誘拐されたノックス・テクノロジー社の創立者、エリック・ノックス(サム・ロックウェル)と、完成間近だった音声識別ソフトを奪回せよというものだ。ボスレー(ビル・マーレー)と三人のエンジェルは、ノックスのライバルであるロジャー・コーウィン(ティム・カリー)に調査の的を絞り、接近。抜群のチームワークで、見事任務を遂行するのだった。




14-15. トゥルーライズ (吹替)

監督 ジェームズ・キャメロン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガージェイミー・リー・カーティストム・アーノルドビル・パクストンティア・カレル
1994年・アメリカ (日本ヘラルド)

解説
妻や子にも正体を隠し、家族思いの父親と凄腕の秘密諜報部員という二重生活を送るヒーローの珍無類の活躍を、アクションとユーモア豊かに描いたスパイアクション・コメディ。1億2000万ドルの巨費を投じ、 「ターミネーター2」 のジェームズ・キャメロン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーが3度コンビを組んだ超大作。米海軍の協力でハリアー戦闘機の実機が使用されたのをはじめ、アクションシーンの見せ場はたっぷり。フランス映画「La Totale」に目を付けたシュワルツェネッガーがキャメロンに企画を持ち込み、彼の監督・製作・脚本で実現。共同製作は 「T2」 でも監督と組んだステファニー・オースティン。撮影は 「ハード・ターゲット」 のラッセル・カーペンター、音楽は 「T1」 「T2」 に続き、監督とは3作目のブラッド・フィーデル、美術は14本の 「007」 シリーズに参加し、 「エイリアン2」 に続いて監督とは2作目のピーター・ラモント。 「アビス」 以降、キャメロン作品に参加しているジョン・ブルーノがSFXスーパーバイザーを務め、特殊視覚効果はキャメロンが設立したデジタル・ドメイン社が担当。名コメディエンヌぶりを発揮した 「マイ・ガール2」 のジェイミー・リー・カーティスほか、 「ライジング・サン」 のティア・カレル、 「コーンヘッズ」 のトム・アーノルド、 「トゥームストーン」 のビル・パクストンらが共演。

ストーリー
政府の最高機密機関オメガ・セクターの諜報員ハリー・タスカー(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、相棒のギブ(トム・アーノルド)と共に、スイスの兵器商人の邸宅からコンピュータ・ファイルの情報を奪うことに成功。彼の正体は極秘であり、家族にはコンピュータのセールスマンということになっていた。夫がスパイとは夢にも思わぬ妻のヘレン(ジェイミー・リー・カーティス)は15年目の結婚生活に退屈さを覚え始め、14歳の娘デイル(エリザ・ダシュク)は不良少女になりかけている。ハリーの入手したファイルから、武器商人よりアラブ系のテロリスト集団″紅のジハド″へ1億ドル以上もの使途不明金が流れていることが判明。上司のトリルビー(チャールトン・ヘストン)は、リーダーのアジズ(アート・マリク)の身辺を洗うよう命じる。敵には国際的な古美術商と名乗る謎めいた美女ジュノー(ティア・カレル)も加わっていた。ハリーとギブは追跡を開始するが、ショッピングモールで敵に襲撃される。ハリーは馬を駆ってアジズをホテルの屋上に追い詰めたものの、逃げられてしまう。一方、ヘレンはサイモン(ビル・パクストン)という男と密会を重ねており、妻の浮気を疑うハリーは、公私混同で組織の力を総動員して2人を追跡。彼は顔を見られぬようにヘレンを軟禁して尋問に及んだところ、彼女は夫を愛していると答えた。ハリーは妻の真意を試すため、言葉巧みにホテルの部屋に誘い出すが、その場に踏み込んできたアジズ一味によって妻共々捕らえられる。彼女は夫がスパイだと初めて知って驚く。テロリストたちは米国内で核弾頭を爆発させる計画を進めていた。ハリーはヘレンとの連携プレイで敵を倒し、核弾頭の米国内での爆破をくい止めた。だが、逃走したアジズはデイナをさらい、残る1個の核弾頭と高層ビルに立てこもる。ハリーはハリアー戦闘機を操縦して現場に急行。アジズとの死闘の末に、爆破は未然に防げた。一年後、夫婦でスパイ活動に励むタスカー夫妻の姿があった。




14-16. スラムドッグ$ミリオネア (吹替)

監督 ダニー・ボイル
出演 デーヴ・パテルアニル・カプールイルファン・カーンマドゥル・ミッタルフリーダ・ピント
2008年・イギリス (ギャガ・コミュニケーションズ)

解説
世界中で絶賛され、数多くの映画賞に輝いた感動のドラマ。貧しい若者がつかみとった一攫千金のチャンスと、その裏に隠されたせつない人生模様をドラマチックにつづる。

ストーリー
インドのスラム街に生まれ育ったジャマール(デーヴ・パテル)は、人気番組「クイズ$ミリオネア」に出演していた。司会者であるプレーム(アニル・カプール)の挑発にも反応しないで、難解な問題の数々に冷静な対応するジャーマルは、とうとう最後の1問というところにまでたどりついた。正解すれば、賞金は2000万ルピー。18歳のジャーマルにとって、一生かかっても手にできない大金である。 危機を感じたプレームは、1日目の収録が終わったところで警察に通報してジャマールを拘束させた。拷問を受けるジャマールは、これまで過ごしてきた人生を告白する。彼と兄のサリームは、幼い頃に母を亡くして孤児となった。そんな二人が出逢ったのは、孤児の少女ラティカだった。彼らは自分たちを「三銃士」に見立てて、過酷な現実を生き抜いていく。しかし、孤児たちを搾取する大人たちのもとから逃げ出す途中で、兄弟とラティカは生き別れとなってしまった。ジャマールとサリームは、金を盗んだり観光ガイドのフリをして生き延びていくが、やがてサリームは悪の道を歩みはじめる。そんな兄とは対照的な生き方をするジャマールの心の支えはラティカだった。彼女と再会したい彼は、「クイズ$ミリオネア」への出演を決意したのだ。そんなジャマールの身の上話を聞いて同情した警部は、彼を釈放した。「ファイナル・アンサー」を答えるため、テレビ局のスタジオへと戻るジャマール。同じ頃、組織に監禁されていたラティカを救うため、サリームは自分の命を犠牲にしていた。最後の問題で、ジャマールは電話を使う「ライフライン」を使う。電話に出た相手は、なんとラティカだった。まるで運命のように、二人は再会を果たしたのだ。難問にも正解して、2000万ルピーを獲得するジャマール。彼の苦難に満ちたこれまでの人生は、ようやく報われた。




14-17. ラスト・ボーイスカウト

監督 トニー・スコット
出演 ブルース・ウィリスデイモン・ウェイヤンスノーブル・ウィリンガムチェルシー・ロス
1991年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
私立探偵がフットボール賭博に絡む陰謀に巻き込まれるというアクション。脚本はシェーン・ブラックが執筆。製作はジョエル・シルヴァー、マイクル・レヴィ、監督はトニー・スコット、撮影はウォード・ラッセル、音楽はマイクル・ケイメン、編集はスチュワート・ベアード、マーク・ゴールドブラッド、マーク・ヘルフリック、美術はブライアン・モリスが担当。出演はブルース・ウィリス、ホール・ベリー、デイモン・ウェイヤンス、ノーブル・ウィリンガム、チェルシー・ロス、チェルシー・フィールドなど。

ストーリー
かつては輝かしい経歴を持っていたジョーだが、今では自暴自棄になり家庭も崩壊していた。護衛を頼まれていたダンサーのコリーが殺される。彼女の恋人ジミーはかつてはロサンゼルス・スタリオンのQBとして活躍していたが、賭博容疑で追放されてからは鬱屈した人生を送っていた。ジョーはジミーと手を組み、事件の真相を探り始める。スタリオンのオーナーのマーコーンは、フットボール賭博の合法化を狙って根回しをしていたが、それを知ったコリーにゆすられて殺害。さらに法案賛成の見返りに600万ドルを要求していたベイナード上院議員の暗殺を計画していた。スタジアムでフットボールを観戦中のベイナードを狙撃者が照明塔から狙うが、ジョーが死闘の末に倒し、その結果、妻と娘の愛と信頼を勝ち取り、自信を取り戻すのだった。




14-18. エリザベスタウン

監督 キャメロン・クロウ
出演 オーランド・ブルームキルスティン・ダンストスーザン・サランドンアレック・ボールドウィンジェシカ・ビール
2005年・アメリカ (UIP)

解説
あの頃ペニー・レインと」 のキャメロン・クロウ監督がオーランド・ブルームを主演に迎えた感動作。人生に絶望した青年が、亡き父の故郷で生きる喜びを見出す姿を描く。

ストーリー
シューズ会社に勤めるドリュー(オーランド・ブルーム)は、責任者として進めてきた新開発プロジェクトが大失敗に終わり、社長のフィル(アレック・ボールドウィン)からクビを言い渡される。恋人のエレン(ジェシカ・ビール)にも見離され、自宅に戻ったドリューは自殺を考えるが、そこに妹のヘザー(ジュディ・グリア)から電話がかかってくる。父親が急死したという知らせだった。ドリューは遺灰を海に撒いて欲しいという父の遺言を果たすため、父の故郷であるケンタッキー州のエリザベスタウンに向かう。その途中、飛行機の中で同地に住むフライト・アテンダントのクレア(キルスティン・ダンスト)と知り合ったドリューは、積極的な彼女の存在が気になり始めていた。エリザベスタウンに着き、ホテルで孤独を感じたドリューは、方々に電話をかけまくる中で、結果的にクレアと朝まで長話することに。そして再会した2人は次第に仲を深めていくが、すでに恋人がいるというクレアは、肉体関係を持ちながらもどこか身をかわすところがあった。そして父親の葬儀の当日。何年間もケンタッキーを訪れていなかった母親のホリー(スーザン・サランドン)は、地元の人々から厳しい視線を向けられるが、感動的なスピーチとタップダンスで皆を魅了する。葬儀の後、ドリューは遺灰が入った壷と、クレアがくれた地図とCDを車に載せて旅をする。地図の指示通りに車を走らせると、やがてネブラスカの街に着き、そこにクレアがいた。再会した2人は抱き合ってキスを交わすのだった。




14-19. 上流社会

監督 チャールズ・ウォルターズ
出演 ビング・クロスビーグレース・ケリーフランク・シナトラセレステ・ホルムジョン・ランド
1956年・アメリカ (MGM)

解説
41年に、映画化されたことのあるフィリップ・バリーの戯曲“フィラデルフィア物語”の今回はミュージカル化。脚色は日米合作映画 「八月十五夜の茶屋」 のジョン・パトリック、監督は 「リリー」 のチャールズ・ウォルターズ。撮影は 「二世部隊」 のポール・C・ヴォーゲル。主題歌はコール・ポーターが担当し新曲を10曲発表している。音楽監督は 「巴里のアメリカ人」 のジョニー・グリーンと 「掠奪された七人の花嫁」 のソール・チャップリン。出演は 「夜は夜もすがら」 のビング・クロスビー、 「白鳥(1956)」 のグレイス・ケリー、 「黄金の腕」 のフランク・シナトラ、先日客死したルイス・カルハーン、久方ぶりに登場のセレステ・ホルム、 「争斗の丘」 のジョン・ランド等。特別出演としてトランペット王ルイ・アームストロングと彼のシックス・コンビが出演。

ストーリー
風光明媚なロード・アイランドの避暑地ニュー・ポート。恒例のジャズ祭に今年はアームストロングが来るというので、当市の富豪の一人デクスター・ヘイヴン(ビング・クロスビー)は彼の邸を宿に提供する。デクスターと隣家の富豪ロード家の令嬢トレーシイ(グレイス・ケリー)は、以前駈け落ちまでした仲のいい夫婦だった。だがトレーシイは近々、ジョージ・キトリッジ(ジョン・ランド)と再婚の予定。トレーシイのおしゃまな妹カロリンは前の義兄デクスターが好きで屡々不用意に口にしては姉や母親ロード夫人を悩ます。贈物の整理で忙しいロード家にゴシップ誌の記者マイク(フランク・シナトラ)がカメラマンのリズ(セレステ・ホルム)と取材に来訪。やがて新郎ジョージが現われ、午餐にはデクスターも訪れた。強引に質問を重ねるマイクにテンヤワンヤの中、とにかく取材も無事に済む。トレーシイは美しいが血の通わぬ女神、デクスターは僧侶の如く彼女に仕える中、酒とジャズに親しむようになった。故にこそ彼は、堅気一方のジョージと結婚しても巧くゆかないと強く感じている。デクスターは最後の贈物としてトレーシイにかつて2人が新婚旅行に乗ったヨットの模型“真の愛”号を贈る。過去を想起し、すっかり憂欝になったトレーシイはマイクとドライヴに出る。その夜、叔父ウィリー(ルイス・カルハーン)の邸では結婚を祝うダンス・パーティ。マイクやリズも招待されている。心の乱れをシャンペンの酔いで忘れようとするトレーシイも、アームストロングらと現われたデクスターにお別れの接吻を受けた時、心は完全にジョージを離れていた。だが2人の姿を見たジョージはトレーシイを連れ戻り、部屋に幽閉。マイクとデクスターは、隠し酒棚のシャンペンを抜く中、大いに共鳴してしまう。一方、トレーシイはマイクの手を借り邸に戻ったが、思いがけずも彼に惚れ込まれる。トレーシイを探すジョージは、正体なくなった彼女を抱えたマイクと顔を合わせ怒るが、一瞬、デクスターの鉄棒でマイクは簡単にノビる。明ければトレーシイの結婚式。昨夜の出来事を全然思い出せない彼女も、ジョージと自分が縁遠い存在と判る。皆に非難されたジョージが縁切りを申し出て帰ったので、式の時間が迫っても新郎がいない。かくてウェディング・マーチに相寄りそうデクスターとトレーシイ。テラスではルイの一党が高らかに演奏を続ける。




14-20. スウィート・ノベンバー

監督 パット・オコナー
出演 キアヌ・リーヴスシャーリーズ・セロンジェイソン・アイザックスグレッグ・ジャーマンリーアム・エイケン
2001年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
キアヌ・リーブスとシャーリズ・セロンの美男美女スターの共演によるラブ・ストーリー。仕事一筋の男と自由奔放な女の偶然から始まった恋物語が、ユーモアと共に哀切さを伝える。

ストーリー
サンフランシスコの一流広告会社に勤める仕事人間のネルソン(キアヌ・リーヴス)は、ある日、自動車免許の更新場で出会った風変わりな女性サラ(シャーリーズ・セロン)から、この11月の間、1ヵ月だけの恋人になることを唐突に提案される。彼女の強引な態度、加え一緒に住むこと、仕事を一切してはいけないことという一方的な条件に困惑するネルソンだが、まもなく承諾。そして彼は次第に彼女に惹かれ、恋におちていく。やがてプロポーズ。だがサラは、実は末期ガンであった。それを知ったネルソンは看病を申し出るが、サラは彼への愛ゆえに拒否。マフラーだけを残し、そのまま彼の前から姿を消してしまうのであった。




14-21. 誰かがあなたを愛してる

監督 メーベル・チャン
出演 チョウ・ユンファチェリー・チェンダニー・チャン
1987年・香港 (ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画)

解説
ニューヨークに住む三人の香港人の愛の行方を描く。監督は本作が日本での一般公開第一作になるメーベル・チャン、脚本はアレックス・ロウ、撮影はジェームズ・ヘイマンとデイヴィッド・チャン、音楽はローウェル・ローが担当。出演はチョウ・ユンファ、チェリー・チェン、ダニー・チャンほか。

ストーリー
演劇の勉強と留学中の恋人に会うため23歳の香港女性ジェニー(チェリー・チェン)は、そこで遠い親戚にあたるサミュエル(チョウ・ユンファ)という33歳のやくざな男の面倒になるが、特に男性として意識することなくニューヨークの生活は始まった。彼はチャイナタウンの小さなチャイニーズ・レストランで働き、下町のうらぶれた2階建てのアパートに住んでおり、ジェニーもそこに間借りすることになった。早速彼女は恋人ヴィンセント(ダニー・チャン)に会いにゆくが、彼は冷たく、他に交際している女性もいることを知りショックをうけたジェニーは、あやうくガス事故を起こしそうになる。そんな彼女を立ち直らせようと一生懸命元気づけるサミュエル。いつしか彼はジェニーを愛するようになっており、彼女もサミュエルに好意を抱いていたが、2人の仲はなかなか進展しない。自分の気持ちをうちあけようと、サミュエルはある夜パーティを開くが、そこに現われたヴィンセントの姿に勘違いした彼は、パーティを飛び出し酒を飲み、荒れに荒れた。ヴィンセントの事は過去のものと思っていたジェニーは当惑し、やがてその夜はサミュエルの34歳の誕生日であるこを知った彼女は、彼のために小さな人形を作ってやる。翌朝それを見つけジェニーの心を確認したサミュエルは感激して、以前彼女が欲しがっていた金の時計バンドを買いに行く。その頃サミュエルの心を知らないジェニーは、アパートを出てゆく決心をし荷物をまとめていた。彼女はサミュエルにプレゼントの小箱を渡し去ってゆく。サミュエルも無理矢理笑顔をつくり、自分の全財産をはたいて買ったプレゼントを彼女に差し出した。車が走り出し、ジェニーのブレゼントを開けたサミュエルは、そこに彼女の金の時計を見つける。一方サミュエルのプレゼントを見たジェニーは彼への愛を確かめるが、時はすでに遅かった。彼女はロングアイランドに移り、家庭教師を始めた。時がたち、ジェニーは昔二人で歩いたビーチを訪ねると、そこに“サミュエル”というビーチレストランを見つける。そして笑顔で彼女を見つめるサミュエルの姿も……。




14-22. ボーン・アイデンティティー 

監督 ダグ・リーマン
出演 マット・デイモンフランカ・ポテンテクリス・クーパークライヴ・オーウェンブライアン・コックス
2002年・アメリカ (UIP)

解説
「go」で名を高めたダグ・リーマン監督による本格アクション・サスペンス。若手実力派マット・デイモンが記憶喪失のスパイ役を熱演し、切れ味鋭い格闘シーンが話題の痛快作だ。

ストーリー
マルセイユ沖の海上に漂う一人の男(マット・デイモン)を漁船が救い上げるが、男は記憶喪失に。唯一の手がかりのチューリヒ相互銀行の貸し金庫を開け、パスポートに「ジェイソン・ボーン」との署名やパリ在住との記載を見つけ一安心するが、他5種類のパスポートに多額の札束、1丁の銃が入っており、自分は何者かと焦る。一方CIA 幹部・コンクリン(クリス・クーパー)の元にジェイソン・ボーンが生きていたとの報告が入り、直ちに抹殺指令を下す。追っ手に攻め入られたジェイソンは居合わせたマリー(フランカ・ポテンテ)にパリまで乗せるよう頼み、追っ手を撒くうちに二人は惹かれあう。CIA 工作員として政治家・ウォンボシ(アドウェール・アキノエ・アグバエ)暗殺に携わったと気づいたジェイソンはマルセイユに向かった。途中二人はマリーの元恋人・イーモンを訪れるが、ここにもCIA の殺し屋・“教授”(クライヴ・オーウェン)の魔の手が忍び寄り、ジェイソンはマリーをイーモンらとともに避難させる。コンクリンから過去を聞き記憶を取り戻したジェイソンは、一切自分とは関わるな、と逃れ、CIA から見放されたコンクリンは刺客により殺される。数ヶ月後、開店準備をするマリーの元を、ジェイソンが訪れるのだった。




14-23. ボーン・アルティメイタム (吹替)

監督 ポール・グリーングラス
出演 マット・デイモンジュリア・スタイルスデイヴィッド・ストラザーンスコット・グレンパディ・コンシダイン
2007年・アメリカ (東宝東和)

解説
記憶を失い、CIAから危険人物として追われる暗殺者、ボーンの復讐を描く3部作の完結編。 「オーシャンズ13」のマット・デイモンが、スピード感あふれるアクションを披露。

ストーリー
ボーン(マット・デイモン)は、モスクワの闇の中にいた。時折、過去の記憶が頭を掠めていく。ボーンは警官隊から逃げ延び、再び闇へと姿を消す。数ヶ月後、ボーンは、パリで、死んだ恋人マリーの兄を訪ねていた。その頃、新聞記者のロス(バディ・コンシダイン)は、CIAの暗殺部隊“トレッドストーン”計画と、ボーンの存在の情報を得ていた。新聞の一面を飾った自身の写真を目にしたボーンは、ロスとの接触を試みる。だが、CIAのヴォーゼン(デヴィット・ストラザーン)が放った殺し屋により、ロスは、射殺されてしまう。ボーンは、ロスが残したメモから、マドリッドのCIA支局長が情報源であることを突き止める。一方、ヴォーゼンは、過去にボーンと渡り合った経験を持つパメラ(ジョアン・アレン)を捜査班に加える。マドリッド支局に辿り着いたボーンは、過去に特別な関係にあったニッキー(ジュリア・スタイルズ)と再会する。ニッキーは、支局長がタンジールに向かったことを告げ、ボーンと行動を共にする。ヴォーゼンは、支局長とボーン、そしてニッキーの暗殺を命じるが、パメラは、ボーン達の行動には意味があるはずだと主張する。タンジールでは、支局長が暗殺されるが、ボーンは暗殺者を撃退。その後、ニッキーを逃がして、ニューヨークへと戻ったボーンは、パメラとコンタクトをとり、トレッドストーン計画の中枢である研究所の住所を知る。ボーンは、ヴォーゼンからトレッドストーン計画の機密書類を盗み出し、その告発をパメラに託すと、遂に、研究所内部で全ての過去を取り戻す。それは、洗脳を受け、暗殺者として生まれ変わった日の記憶だった。ヴォーゼンらに追われたボーンは、川へと身を投げる。数日後、計画の全容は白日の下にさらされ、ヴォーゼンを含む首謀者達は、逮捕されたが、ボーンの遺体はいまだに見つからない。その報道に、ニッキーは、ボーンの生存を確信し笑みを浮かべるのだった。




14-24. ソーシャル・ネットワーク

監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ジェシー・アイゼンバーグアンドリュー・ガーフィールドジャスティン・ティンバーレイクアーミー・ハマーマックス・ミンゲラ
2010年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

解説
ハーバード大学の青年が、世界最大のSNS“Facebook”を創設する過程を追うヒューマンドラマ。 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 のデヴィッド・フィンチャー監督がメガホンを握り、わずか数年で億万長者になった青年の葛藤や苦しみを浮き彫りにする。主演のジェシー・アイゼンバーグほか今後注目の若手俳優の共演も見どころ。

ストーリー
2003年。ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、高校時代から腕利きのハッカーだったが、人付き合いに関してはおくてで、今もガールフレンドのエリカ(ルーニー・マーラ)を怒らせ別れてきたところだ。寮の自室に戻り、やけでビールを飲みブログに彼女の悪口を書いていたが、やがてハーバード中の寮の名簿をハッキング、女子学生たちの写真を並べてランク付けするサイト作りに没頭していた。このサイト“フェイスマッシュ”はたった2時間で22,000アクセスに達し、マークの名前はハーバード中に知れ渡る。これが利用者全世界5億人以上のSNS“フェイスブック”の始まりであった……。2004年。資産家の家に育ち、次期オリンピックにも出場が期待されるボート部のトップ、双子のウィンクルボス兄弟は憤慨していた。自分たちが企画した学内男女のインターネット上の出会いの場“ハーバードコネクション” 立ち上げのためマークに協力を要請していたが、彼は“フェイスブック”を立ち上げてしまったのだ。彼らは、早速、自分の父親の会社の弁護士を介し知的財産の盗用だ、として停止警告を送る……。一方、“フェイスブック”の共同創業者&CFO、エドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)とマークはNYへ広告スポンサー候補との会合に出かけ、19歳で“ナップスター”を作ったショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)に出会う。ショーンは“フェイスブック”が目標にすべき評価額は10億ドルだとアドバイス、そこまで成長させるためカリフォルニアに来るように持ちかける。マークはスタッフを増やしサーバーを増設、ショーンは次々に投資家とのミーティングを設定するが、それに怒ったエドゥアルドは会社の口座を凍結する……。やがてウィンクルボス兄弟はアイデアを盗用されたと言い、エドゥアルドは創業者としての権利を主張、マークを告訴した……。




14-25. ヴェラクルス

監督 ロバート・アルドリッチ
出演 ゲイリー・クーパーバート・ランカスターデニーズ・ダーセルセザール・ロメロサリタ・モンティール
1955年・アメリカ (UA日本支社=松竹)

解説
悪の花園」 のゲイリー・クーパーと 「アパッチ(1954)」 のバート・ランカスターが共演するスーパースコープ方式による色彩活劇で、 「遠い国」 のボーデン・チェイスの原作より 「アパッチ(1954)」 のジェームズ・R・ウェッブとローランド・キビーが脚色、 「アパッチ(1954)」 のロバート・アルドリッチが監督した。撮影は 「アパッチ(1954)」 のアーネスト・ラズロ、音楽は 「ホンドー」 のヒューゴー・フリードホーファー。共演者は 「女群西部へ!」 のデニーズ・ダーセル、シーザー・ロメロ、メキシコ・スター、サリタ・モンティール、ジョージ・マクレディ、アーネスト・ボーグナインなどである。

ストーリー
1866年、メキシコ。ベンジャミン・トレイン(ゲイリー・クーパー)という男が奴隷農夫ジョー・エリン(バート・ランカスター)から馬を買ったが、その馬はエリンが軍隊から盗んだものだったため、トレインは後を追って来たエリンもろとも軍隊の追撃をうけた。トレインもエリンもメキシコ革命に乗じて報酬の多い軍隊に入ろうとしてこの土地に来たのだった。2人は途中アメリカ兵達が娘ニナ(サリタ・モンティール)をいじめているところを助けたがトレインはかえってちゃっかり屋のニナに財布を盗まれた。エリンはそこへ来合わせたマクシミリアン皇帝側のフランス貴族デ・ラボルデエル侯爵(シーザー・ロメロ)に海賊として雇われる交渉をはじめたが、そのとき、革命軍のアギラアル将軍が現れ、外国人に金で買われるより革命党のジュアリスタ党に加わるよう勧告した。しかし、エリンやトレインは拒絶して、将軍の部下の包囲を退けて去った。メキシコ・シティに着いたエリンとトレインはマリイ・デュヴァアル伯爵令嬢(デニーズ・ダーセル)の馬車をジュアリスタ党の出没する土地を通過して、ベラ・クルスまで護衛するよう命じられた。一行には侯爵も加わり3人共美しいマリイに気を取られながら旅を続けたが、ジュアリスタ党もエリンもトレインも、マリイの護衛だけでなく他に何かあると推測し、僧院に泊った夜トレインとエリンは馬車の中に隠された黄金を発見し、その現場を見たマリイも加わって、3人で黄金の山わけを取り決めた。しかし、それを侯爵が立ち聞きしていたことを3人共知らなかった。ジュアリスタ党一味は馬車の攻撃に失敗したが、そのときニナが馬車の中にもぐりこんでいるのが発見された。トレインは次第にニナが好きになっていた。侯爵は途中で令嬢を捕虜にし、金を持って逃げた。トレインとエリンはアギラアル将軍に包囲され、止むを得ずジュアリスタ党側についてヴェラ・クルス攻撃に加わることになった。しかし、トレインは次第に党員の正義と愛国心に感化され、本気になってヴェラ・クルス要塞の突破の先駆けをした。一方要塞に入った金が目当てのエリンは、投獄されていた令嬢を救出したが侯爵が金を持って脱出したと知り、早速後を追って侯爵を殺し、金を奪った。しかし、正義にめざめて追って来たトレインに金慾の非をなじられ、ともに得意のピストルを抜いたがトレインの早業に倒された。




14-26. みんな私に恋をする

監督 マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演 クリスティン・ベルジョシュ・デュアメルウィル・アーネットダニー・デヴィートアンジェリカ・ヒューストン
2010年・アメリカ (タッチストーン・ピクチャーズ)

解説
2010年のアメリカ映画。日本では劇場未公開作品であるが、上記の邦題で2010年7月14日にDVDが発売された。

ストーリー
ニューヨークでキュレーター(=学芸員)として働くベスは、妹の結婚式に出席するためローマを訪れていた。恋愛が上手くいかずムシャクシャしていたベスは、旅先で愛の泉と呼ばれる噴水から5枚のコインを盗み出す。するとコインを投げ入れた男性から熱烈なプロポーズを受け、一気にモテモテに。その中にはベスが想いを寄せるニックもいた。




14-27. 昼下りの情事

監督 ビリー・ワイルダー
出演 ゲイリー・クーパーオードリー・ヘップバーンモーリス・シュヴァリエジョン・マクギバーヴァン・ドード
1957年・アメリカ (ロバート・M・リューリー提供、セレクト=松竹共同配給)

解説
クロード・アネの小説「アリアンヌ(Arianne)」を原作に 「翼よ!あれが巴里の灯だ」 のビリー・ワイルダーと、I・A・L・ダイアモンドが共同脚色、ワイルダーが監督したコメディ。撮影監督は 「ジャイアンツ」 のウィリアム・メラー、編曲が 「翼よ!あれが巴里の灯だ」 のフランツ・ワックスマンの担当。編中の音楽 「昼下りの情事」 「アリイーヌ」 「ホット・パプリカ」 のジプシー・バンドの指揮者マティ・マルネック、コンチネンタル・ワルツ 「魅惑」 をフィルモ・ダンテ・マルチェッティ(作詩)とモーリス・ド・フェラウディ、 「セ・シ・ボン」 をアンリ・ベッティとアンドレ・オレネス、 「詩人の魂」 をシャルル・トレネがそれぞれ担当した。主演は 「友情ある説得」 のゲイリー・クーパー、 「戦争と平和(1956)」 のオードリー・ヘップバーン、 「王様」 のモーリス・シュヴァリエ。

ストーリー
クロード・シャヴァッス(モーリス・シュヴァリエ)はパリの私立探偵である。御依頼ともあれば、アメリカの億万長者フラナガン(ゲイリー・クーパー)とX夫人の濡れ場を盗み撮るという仕事も、やらねばならない。依頼人のX氏がその写真を見て、フラナガンを殺すといきまく。これを聞いたのが、シャヴァッスの娘アリアーヌ(オードリー・ヘップバーン)である。彼女は父の扱う事件記録を読むのを楽しみにしていたが、チェロの勉強にコンセルヴァトワールへ出かけたものの、この事件が気になってたまらない。フラナガンの泊まっているホテルへ来てみると、X氏がピストルをポケットに忍ばせているところにアリアーヌは出くわした。アリアーヌの機転でX夫人は逃れ、危ういところを助かったフラナガンは、彼女と明日の午後を約束する。翌日、あんな浮気男とデートなどすまいと思ったものの、アリアーヌは結局ホテルを訪れる。食事と美しいムードミュージック、フラナガンのお定まりの手に、アリアーヌはすっかり参ってしまう。しかし、やがてフラナガンがパリを出発する時刻が来て、2人はいかにも世慣れた遊び人同士の如く、あっさり別れた。が、車が見えなくなると、アリアーヌはしおしおと音楽院へ向うのだった。何ヵ月後のある夜、アリアーヌはオペラで恋しいフラナガンに再会し、明日の逢瀬を約束する。翌日ホテルを訪れたアリアーヌに、皮肉にも今度はフラナガンが参ってしまい、彼女がことありげに話した男たちのことに、気が揉めてたまらない。偶然出会ったX氏に相談すると、彼の答は、シャヴァッスに頼め、だった。シャヴァッスが調査してみればなんと自分の娘アリアーヌである。事実を告げることもできず、シャヴァッスはフラナガンに、あの婦人は箱入り娘で当人の言ったことは全部作り話、あの娘を愛しいと思ったら、パリを離れることだと報告する。アリアーヌがホテルを訪れた時、フラナガンは荷造りを済ませていた。世慣れた風を装い、アリアーヌはリオン駅ホームまで見送るが、お互いに別れがたい。やがて発車の時、フラナガンは、遂にアリアーヌを列車に抱えあげる。プラットホームには、ふたりを微笑んで見送るシャヴァッスの姿があった。




14-28. 尼僧物語

監督 フレッド・ジンネマン
出演 オードリー・ヘップバーンピーター・フィンチエディス・エヴァンスディム・ペギー・アシュクロフトディーン・ジャガー
1959年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
キャサリン・ヒューム女史のベストセラー小説をもとに、 「オクラホマ!」 「地上より永遠に」 のフレッド・ジンネマン監督が作った1人の修道尼の物語。脚色はロバート・アンダーソンがあたり、撮影したのは 「ローマの休日」 のフランツ・プラナー。音楽はフランツ・ワックスマンが担当している。出演するのは 「緑の館」 のオードリー・ヘップバーン、 「ダイヤモンド作戦」 のピーター・フィンチ、 「レイテ沖海空戦 永遠の海原」 のディーン・ジャガー、 「ベビイドール」 のミルドレッド・ダンノック、ディムの称号をもつ英国女優エディス・エバンスとディム・ペギー・アシュクロフト、パトリシア・コリンジ、ルース・ホワイト、パトリシア・ボスワースら。製作ヘンリー・ブランク。

ストーリー
ベルギーの都会ブルージスの家を棄てて、ガブリエル・バン・デル・マル(オードリー・ヘップバーン)は修道院に入った。医師として有名な父バン・デル・マル博士をはじめ、弟妹たちや恋人ジャンの住む俗世との縁を絶って、修道志願女としての彼女の生活が始まった。師長のシスター・マルガリタや、シスター・ウィリアム、修道院長マザー・エマニュエルのもとで、厳しい修道の日日が彼女に課せられる。沈黙、謙譲と没我、絶えざる反省と自己叱責の連続に、落伍していく修道志願女たちもあった。正式の見習尼となる前の日、ガブリエルは、俗世と自分を結ぶ唯一のきずなであるジャンに贈られた黄金の飾りのついた鉛筆を捨てた。こうして、彼女は見習尼となり、シスター・ルークの名を与えられた。彼女の望みは、やがて看護尼としてコンゴに派遣されることだった。熱帯医学の学校にやらされることになった彼女は、そこで、かつてコンゴにいたことのある、同じコンゴ行きを望むシスター・ポーリンとの反目に苦しんだ。マザー・マルセラは、彼女に謙譲の心を示すために、わざと試験に失敗することができるかと聞いた。しかし、苦しみの末、結局彼女は優秀な成績で試験に合格し、シスター・ポーリンとともに学校を卒業した。ブリュセル近郊の精神病療養所での奉仕の生活を経て、彼女は、かねて望みのコンゴに派遣された。シスター・ルークはここでヨーロッパ人病棟を受けもたされた。外科医フォルテュナティ博士(ピーター・フィンチ)の下で働くこととなった彼女は、無神論者ではあるが磊落な彼の人柄に何かひかれるものを覚えた。博士の有能な助手として、彼女の仕事は休む暇もなかった。ハンセン病患者収容所を経営するブエルミュレ神父を奥地に訪ねたり、現地民の青年イルンガを寛容の心によって信仰に帰依させたりして、彼女の生活は続いた。過労による結核菌の感染もフォルテュナティ博士の手あてによってなおった。だが、シスター・ルークはベルギーに呼びもどされた。故国はナチスの軍隊にふみにじられようとしていた。しかし聖職者は地下運動に参加を禁じられていた。父が死んだ報せを聞き、かねてから教えの道に忠実であろうとすればするほど苦しみを重ねてきた彼女は、遂に修道院を出ることに意を決した。必要書類にサインし、自室で元の衣服に着がえた彼女は、1人静かに修道院の扉をあけ、街路に歩を進めた。




14-29. いつも2人で

監督 スタンリー・ドーネン
出演 オードリー・ヘップバーンアルバート・フィニーウィリアム・ダニエルズエリナー・ブロンクロード・ドーファン
1967年・アメリカ (20世紀フォックス映画)

解説
フレデリック・ラファエルの小説 「愛情の限界」 を彼自身が脚色、 「シャレード」 のスタンリー・ドーネンが製作・監督した。撮影は 「シャレード」 のクリストファー・チャリス、音楽は 「アラベスク」 のヘンリー・マンシーニが担当。出演は 「おしゃれ泥棒」 のオードリー・ヘップバーン、 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」 のアルバート・フィニー、 「九月になれば」 のウィリアム・ダニエルス、 「皆殺しのシンフォニー」 のクロード・ドーファンほか。

ストーリー
建築家マーク(アルバート・フィニー)は、美しい妻ジョアンナ(オードリー・ヘップバーン)と自家用車をとばしていた。ふたりはフランスへの旅行を始めたのだ。マークは建築家としては名をなしたが、いわゆる良き夫、よき父ではないらしい。飛行機の中で彼はパスポートをなくしたといって騒ぎ出し、ジョアンナがすかさず、そのありかを教えてやる、といった情景がまま見られるのだ。ふたりは20年前、マークはまだ建築家志望の学生、ジョアンナは可愛い娘であった頃、ヒッチハイクをしていて知り合った。ふたりは一緒にフランス国内を歩くうち、恋におち、結ばれたのであった。その時永遠の愛を誓ったふたりではあったが、これ以後の状況を見たところふたりの愛は不変とまでは言えなかったようだ。ジョアンナが身重の時、マークは仕事で旅に出たが、その折、彼は行きずりの美しい女性とかりそめの関係を結んでしまった。やがて彼の浮気はジョアンナの知るところとなった。そんなわけで彼女はあるパーティーの席上、若い男によろめいたりしたが、結局プラトニック・ラブに終わった。さいわいふたりの結婚生活には何の破綻も起こらず、かえってこの事がヒビの入ったふたりの結婚生活をもと通りにさせるのに役立った。さてフランスに渡ったふたりは、イタリア国境へとさしかかった。するとまたもや、マークは旅券がなくなったと騒ぎ出した。




14-30. 夜の騎士道

監督 ルネ・クレール
出演 ミシェル・モルガンジェラール・フィリップジャン・ドザイピエール・デュクスジャック・フランソワ
1955年・フランス (東和)

解説
「夜ごとの美女」「悪魔の美しさ」 のルネ・クレールが監督、脚本、台詞を担当し、「悪魔のような女」 のジェローム・ジェロニミが、脚色を協力している。撮影は「青い麦」「埋れた青春」 のロベル・ル・フェーヴルと「悪魔のような女」 のロベール・ジュイヤール。音楽は「フレンチ・カンカン」 のジョルジュ・ヴァン・パリス。主演は「狂熱の孤独」 のミシェル・モルガン。「赤と黒(1954)」 のジェラール・フィリップ。助演陣は「田園交響楽」 のジャン・ドザイ。「聖バンサン」 のピエール・デュクス、「ウィーンの別離」 のジャック・フランソワ。「男の争い」 のマガリ・ノエル。「悪魔の美しさ」 のシモーヌ・ヴァレールなど。

ストーリー
世智がらい現代と、昔日のロマンチシズムの時代のほぼ中間、つまり、第一次世界大戦によって終りをつげた時代の話である。フランスの或田舎町にある第三三騎兵隊の中尉アルマン(ジェラール・フィリップ)は、ドン・ファンの名に適わしい人物だった。その彼がある時、同僚達と賭をする。一カ月以内に、偶然の選択によって選ばれた女性の恋人になってみせると高言する。その代り、大演習に出かける前の晩の豪華な晩餐会の費用はアルマンが賭に勝ったら町の人々が払い、負けたら騎兵隊の将校達が自腹をきることになる。翌日アルマンの賭の相手が決まる。マリイ・ルイズ(ミシェル・モルガン)という名前で、パリ生れの女。この町に最近やって来て婦人服店を開いている。離婚したばかりの彼女は、噂によると、この町の上流社会の名士ヴィクトル(ジャン・ドザイ)に求婚してもらおうと望んでいるということだった。アルマンはルイズを追っかけ廻すが、あくまでも素気なく、冷くあしらわれる。ドン・ファンとしては思ってもみないことだった。遂に彼は奇蹟を待つ外はなくなった。ところが、ある舞踏会の折、その奇蹟がもちあがる。ルイズとアルマンがワルツを踊っている間に彼女が自分に無関心でないことに気付く。ヴィクトルがいなければ、翌日のランデヴーの約束さえすることが出来たろう。忽ちライバル同士の争いが起り、町中が悪口の云い合いになる。スキャンダルが持上るのを恐れた連隊長はアルマンに命令して二週間ばかりこの町から遠ざけてしまう。アルマンから離れてしまったルイズは再び冷静さをとりもどす。彼女はアルマンの過去や、どうして自分に近付いたかという噂を聞き、彼が恐ろしくなり、ヴィクトルの求婚を受入れようとする。ところが折も折、アルマンは決闘して重傷を負う。ルイズはアルマンを忘れかねていたため、二人の恋は遂に実を結ぶという結果になってしまう。すでにアルマンはルイズを心から愛してしまっていた。いよいよ一ヵ月前から予定されていた晩餐会が開かれアルマンは席上で本当に彼女を愛していると語ると“またアルマンが冗談をとばしている……”といい聴衆は彼の宣告を誰も真面目にとらない。ルイズは初めて自分が賭の対象にされたことを知る。アルマンの言訳が後に立つ筈がなかった。一夜明けて、軍楽隊を先頭にアルマンの連隊は大演習に出掛けて行ったが、ルイズの窓は遂に閉じられたままだった。




14-31. モンキー・ビジネス (吹替)

監督 ハワード・ホークス
出演 ケーリー・グラントジンジャー・ロジャースマリリン・モンローチャールズ・コバーンヒュー・マーロウ
1952年・アメリカ (20世紀フォックス)

解説
“愛のビーナス“と呼ばれたM・モンローと、「紳士は金髪がお好き」などの作品でシャレたコメディにも手腕を発揮するH・ホークスがコンビを組んだ、モンロー初期の作品。研究所のチンパンジーが偶然若返りの薬を作り出し、科学者バーナビーとその妻エドウィナは間違ってこの薬を飲んでしまう。二人が引き起こす大騒動をウィットに富んだ会話を交えて描くファンタジー・コメディ。モンローは可愛くておっちょこちょい、そしてセクシーな秘書役で登場。子供になってしまったC・グラントの騒動につきあわされることになる。後の“モンロー・ウォーク“や、コメディ演技の冴えの片鱗が見られる。

ストーリー
バーナビー・フルトン博士(ケーリー・グラント)は、ある化学薬品会社で若返りの薬を研究している化学者。ある日、実験用の猿が檻から抜け出し、好き勝手に調合した薬を飲料水のタンクに入れてしまう。そうとは知らないフルトン博士は、自分で調合した薬を試しに飲んでみるが、あまりの苦さにそのタンクの水を飲んでしまう。すると急に10代の若者のような言動を取るようになったことから、フルトン博士とオクスレイ社長(チャールズ・コバーン)は、水を飲む前に口にした薬に若返りの効果があると勘違いする。 薬の効果が切れて元に戻ったフルトン博士が追実験を行なおうとすると、そこに同席していた妻エドウィナ(ジンジャー・ロジャース)が自分が実験台になったほうが良いと提案。実際に薬を飲んでみるが、あまりの苦さにやはりタンクの水を飲んでしまう。するとエドウィナも、フルトン博士の場合と同様、10代の少女のような言動を取り始める。しかし、エドウィナのあまりに突飛な言動にフルトン博士は振り回され、散々な目に遭ってしまう。




14-32. プライドと偏見

監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイタルラ・ライリーロザムンド・パイクジェナ・マローンキャリー・マリガン
2005年・イギリス (UIP)

解説
ジェーン・オースティンの名作小説をキーラ・ナイトレイ主演で映画化した恋愛劇。英国の上流社会を背景に、“結婚”という切実な問題に直面したヒロインの葛藤をつづる。

ストーリー
イギリスの田舎町に住むベネット家の隣に、大金持ちの貴公子ビングリー(サイモン・ウッズ)が引っ越してくる。舞踏会の夜、ビングリーは、美しく慎み深いベネット家の長女ジェーン(ロザムンド・パイク)にダンスを申し込むが、彼の親友ダーシー(マシュー・マクファディン)は気難しげな態度のまま。才気溢れる次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)はダーシーに強い反感を抱く。しかもハンサムな青年将校ウィッカム(ルパート・フレンド)に心奪われたエリザベスは、彼が幼なじみであるダーシーの悪口を言うのを聞いて、ますますダーシーが嫌いになった。まもなくして、ベネット家を相続する予定の遠縁コリンズ(トム・ホランダー)がやってきて、エリザベスにプロポーズするが、彼女はそれを拒否。しばらくして、キャサリン夫人(ジュディ・デンチ)の豪邸で、エリザベスはダーシーと再会。ダーシーは突然、彼女に愛の告白をした。厳しい言葉を返すエリザベス。だがやがて、ベネット家の末っ子リディア(ジェナ・マローン)が、ウィッカムに連れられて駈け落ちする事件が勃発。ダーシーはベネット家の代わりに持参金を用意してウィッカムに渡し、彼とリディアを結婚させた。その配慮を知ったエリザベスは、自分もダーシーを愛していることに気づく。キャサリン夫人の猛反対を受けたものの、2人は結婚することを決めるのだった。




14-33. ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 (吹替)

監督 ジョン・タートルトーブ
出演 ニコラス・ケイジヘレン・ミレンダイアン・クルーガージョン・ヴォイトハーヴェイ・カイテル
2007年・アメリカ (ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン)

解説
ニコラス・ケイジ扮する冒険家ベン・ゲイツが、歴史の謎を解いていくミステリー・アクションの第2弾。彼の祖先に大統領暗殺の汚名を着せた組織との対決をスリリングに描く。

ストーリー
歴史学者でありトレジャー・ハンターでもあるベンジャミン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)の祖父に、リンカーン大統領暗殺事件の真犯人という汚名が着せられた。それを唱えるのは、リンカーン暗殺者の日記を持つウィルキンソン(エド・ハリス)だった。先祖が被った汚名を雪ぐために、ベンは真相の究明を決意する。相棒の天才ハッカーのラリー(ジャスティン・バーサ)と破局寸前の恋人アビゲイル(ダイアン・クルーガー)、さらには離婚して険悪な関係にある父のパトリック(ジョン・ボイド)と母のエミリー(ヘレン・ミレン)の協力も得て、ウィルキンソンが博物館に寄贈した日記に隠された暗号を次々に解いていくベン。そしてたどり着いたのは、アメリカ合衆国の大統領に代々伝えられる“大統領秘密文書”の存在だった。大統領だけが読むことが許されているその書には、JFK暗殺の黒幕やウォーターゲート事件の真相など、アメリカの秘密のすべてが記されているという伝説の一冊だった。その存在を確認するため、ベンは大統領と対面する。彼の熱意を認めた大統領は“大統領秘密文書”の保管場所を教えるが、同時にベンたちは大統領誘拐犯として国防省、FBI、CIAとあらゆる機関から追われる身となる。“大統領秘密文書”を解析し、アメリカ先住民が残した最大の遺産のありかをベンたちは発見する。そこに現れるウィルキンソン。実は彼は日記の暗号を解くためにベンを利用したのだった。実在した黄金都市に驚喜するウィルキンソンだが、仕掛けられた罠に嵌って一命を落とす。彼もまた、ひとりの優れたトレジャー・ハンターだった。莫大な財宝をアメリカに納めたベンの愛国心を、大統領は讃える。そして祖父の汚名も晴らされるのであった。




14-34. 恋人までの距離(ディスタンス)

監督 リチャード・リンクレイター
出演 イーサン・ホークジュリー・デルピーErni MangoldDominik Castell
1995年・アメリカ (東宝東和)

解説
ウィーンの街に一晩の予定で立ち寄ったアメリカ人青年と、彼と列車で出会ったフランス人の女学生、14時間だけ一緒に過ごすことにした二人のあいだに芽生える真実の恋を描くロマンチック・コメディ。監督は長編第三作目の本作が日本初公開となるリチャード・リンクレイターで、原案と脚本も担当。製作はリンクレイターとは前作「スラッカー」(未)に続きこれが二本目になるアン・ウォーカー・マクベイ。エグゼクティヴ・プロデューサーに 「希望の街」 のジョン・スロス。共同脚本はキム・クリザン。撮影は「スラッカー」(未)に続いてリンクレイターと組むリー・ダニエル。編集はサンドラ・エイデアー。出演はX世代の代表的俳優と言われる 「リアリティ・バイツ」 のイーサン・ホークと、 「トリコロール 白の愛」 のジュリー・デルピー。95年ベルリン映画祭銀熊賞受賞。

ストーリー
ジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)はブダペストからウィーンに向かう列車でたまたま隣合わせに座り、なんとなく気が合う。彼女はパリに帰る途中だったが、彼は明朝にアメリカ行きの飛行機に乗るまで一晩をウィーンで過ごす、ホテルに泊まる金もないから一晩ぶらぶらするつもりだが、つきあってくれないかと誘う。彼女は彼に魅かれるものを感じて一緒に列車を下りる。夕方のウィーンをぶらつきながら二人はお互いのことをおもしろおかしく話し始める。有名な大観覧車に乗って夕陽を見ながら、二人は初めてキスを交わす。いっしょに食事をしたり、占い師にあったり、酒場にいったりしながら話しを重ねるうちに、ジェシーはスペイン留学中の恋人にふられて傷心旅行中、セリーヌも半年前に年上の恋人に深く傷つけられた過去を持つことが分かる。深夜のカフェで、二人は言葉遊びを通してお互いの気持ちを告白する。ただし明日になれば彼はアメリカ、彼女はヨーロッパと、大西洋をはさんで別々に暮らす身。行きずりの恋か、一生の思い出か、二人は公園の芝生に横たわって話すうちに感情が昂り、星空の下で愛を交わす。一刻一刻を惜しみながら、二人は早暁のウィーンの街を散策する。そしてついに別れの時がきた。セリーヌがパリ行きの列車に乗る直前、二人は二度と会わないという前言を翻し、ちょうど半年後、十二月にこの同じホームで会おうと約束する。そして彼と彼女はそれぞれの家路に旅立つ。




14-35. 英国王のスピーチ (吹替)

監督 トム・フーパー
出演 コリン・ファースジェフリー・ラッシュヘレナ・ボナム=カーターガイ・ピアースティモシー・スポール
2010年・イギリス=オーストラリア (ギャガ)

解説
イギリス女王、エリザベス2世の父であり、幼い頃から吃音に悩まされ、人前に出ることを嫌う内気な性格から王になることを望まなかった男、ジョージ6世。その実話をコリン・ファース主演で映画化した人間ドラマ。ジョージ6世がスピーチ矯正の専門家と出会い、やがて強く優しい国王へと成長していく姿を描く。

ストーリー
ジョージ6 世(コリン・ファース)は、幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えていたため、英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男という華々しい生い立ちでありながら、人前に出ることを嫌う内気な性格となり、いつも自分に自信が持てないでいた。厳格な父はそんな息子を許さず、様々な式典のスピーチを容赦なく命じる。ジョージは妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)に付き添われて、何人もの言語聴覚士を訪ねるが一向に改善しない。ある日、エリザベスはスピーチ矯正の専門家・ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていく。ライオネルは、診察室では私たちは平等だと宣言、王太子を愛称で呼び、ヘビースモーカーのジョージに禁煙させる。さらに、大音量の音楽が流れるヘッドホンをつけ、シェイクスピアを朗読するという奇妙な実験を行うが、ジョージはこの治療は自分には合わないと告げ、足早に立ち去ってしまう。だがクリスマス放送のスピーチがまたしても失敗に終わったジョージは、ライオネルに渡された朗読の録音レコードを聞いて驚く。音楽で聞こえなかった自分の声が一度もつまることなく滑らかなのだ。再びライオネルを訪ねたジョージは、その日から彼の指導のもとユニークなレッスンに励むのだった。1936 年、ジョージ5世が亡くなり長男のエドワード8 世(ガイ・ピアース)が即位する。そんな中、かねてからアメリカ人で離婚暦のあるウォリス・シンプソンと交際していたエドワードが王位か恋かの選択を迫られる。彼は恋を選び、ジョージは望まぬ座に就くが、大切な王位継承評議会のスピーチで大失敗。だがジョージはライオネルの助けを借り、戴冠式のスピーチは成功に終わる。しかし、本当の王になるための真の試練はこれからだった。ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦直前、不安に揺れる国民は王の言葉を待ち望んでいた。王は国民の心をひとつにするため、世紀のスピーチに挑む……。




14-36. 海底二万マイル 

監督 リチャード・フライシャー
出演 カーク・ダグラスジェームズ・メイソンポール・ルーカスペーター・ローレロバート・J・ウィルク
1954年・アメリカ (大映洋画部)

解説
ウオルト・ディズニーによるシネマスコープ劇映画の第1作。原 作はフランスの空想科学小説家ジュール・ヴェルヌの代表作で、1916年に、ユニバーサルで無声映画として映画化されたことがある。脚色はアール・フェルトンが担当し、物語には現代に相応しいように種々手を加えている。撮影は「ケイン号の叛乱」 のフランツ・プレイナー、音楽は「砂漠は生きている」 のポール・スミス。監督は「恐怖の土曜日」 のリチャード・フライシャーである。主な出演者は「スタア誕生(1954)」 のジェイムス・メイスン、「星のない男」 のカーク・ダグラス、「我が心に君深く」 に出演したニュー・ヨーク劇壇の名優ポール・ルーカス、「ローレンの反撃」 のピータ・ローレ、ロバート・J・ウィルク、カールトン・ヤングなど。1954年度アカデミー特殊技術賞と色彩美術賞を受けたテクニカラー、1954年作品。

ストーリー
1866年から68年、世界各地の海で怪事件が次々と起った。航行中 の船が、怪物に襲われ沈没する。米国政府は調査艦の派遣を決定し、海洋学者アロナクス教授(ポール・ルーカス)と助手コンセイユ(ピータ・ローレ)も調査団に加わった。また銛(もり)打ちの名手ネッド(カーク・ダグラス)も、怪物を仕止めんと乗艦していた。3カ月の調査が続いたが、怪物は現われなかった。一同が帰国を決意した夜、艦は怪物の体当りで沈没した。博士、コンセイユ、ネッドの3人は漂流の末、巨大な潜水艦に辿りついた。怪物の正体はこれだった。怪潜水艦の囚人となった3人は海底の旅はこうして始まった。艦長の名はネモ(ジェイムス・メイスン)、艦の名はノーチラスといった。乗組員の食事はすべて海の産物だった。或る時、3人は海底散歩に招待された。沈没船の財宝に、ネモは目もくれない。彼は電気銃でフカを1発で仕止めた。海底の旅は続いた。ノーチラスは突然浮上し、ネモは博士を或る島に案内した。大勢の囚人が苦しい労役に服していた。国の権力に逆らった奴隷達は昔のネモの姿でもあったのだ。地上の権力へのネモの憎しみ、その理由が博士にも理解出来た。その夜、艦は島を出帆し、火薬船を撃沈した。艦は根拠地へ向った。脱出の機会を覗うネッドは、指令室の海図を盗み見て、根拠地の位置を書いた紙片を瓶に封入し、海中に投じた。根拠地への途中、艦は座礁した。上陸を許されたネッドは、孤島に上陸し脱出をはかったが、島には喰人種がいた。逃げるネッドを追って、原住民は艦に来襲した。ネモは艦に電流を流して撃退した。その夜、1隻の戦艦がノーチラスを発見し砲火をあびせたので、艦は浸水、沈下した。苦斗数分、やっと機能を取り戻したが、次の危険が待っていた。大イカとの戦いでネモは、イカの脚に巻かれて危くなったが、ネッドは銛でイカを倒してネモを救った。艦は根拠地へ着いたが、島は各国軍隊によって包囲されていた。ネモは島の動力の秘密が知れるのを恐れ、単身島を爆破せんと上陸したが、全身に重傷を負った。ノーチラスは再び海へ出た。自分の命が長くないことを悟ったネモは、艦を沈める決心をした。博士等3人が艦を脱出した時、島はキノコ型の噴煙をあげて爆発した。




14-37. バック・トゥ・ザ・フューチャー 

監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックスクリストファー・ロイドリー・トンプソンクリスピン・グローヴァートーマス・F・ウィルソン
1985年・アメリカ (ユニヴァーサル=UIP)

解説
ふとしたきっかけで過去に戻り、両親の青春時代に巻きこまれた少年の冒険譚。エグゼクティブ・プロデューサーはスティーブン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ、製作はボプ・ゲイル、ニール・カントン。監督は 「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」 のロバート・ゼメキス、脚本はロバート・ゼメキスとボブ・ゲイル、撮影はディーン・カンディ、音楽はアラン・シルヴェストリが担当。出演はマイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァーなど。ドルビー・ステレオ。

ストーリー
1985年10月25日、音楽好きの高校生マーティ(マイケル・J・フォックス)は、知り合いの一風変った科学者ブラウン博士(クリストファー・ロイド)より、夜中の1時すぎに研究室前の広場にくるようにいわれた。ガールフレンドのジェニファー(クローディア・ウェルズ)とデートの約束もすませたマーティが夜中に広場にいくと、そこには改造車デロリアンがある。実はこれはタイムマシンで、その実験をしようとする時、燃料に使うため博士が盗んだプルトニウムを狙うリビアの過激派が襲ってきた。銃弾をあび倒れる博士を後に、マーティはデロリアンで逃げ、時速140キロをこえたため、タイムスリップしてしまった。ついた所は1955年。彼のパパのジョージ(クリスピン・グローヴァー)とママのロレーン(リー・トンプソン)が、まだ知り合う前。マーティは未来にかえろうとしたが、デロリアンの燃料がない。彼は若き博士をたずね、次の土曜の夜に街の大広場にある時計台に落雷があったことを思い出し、それを博士はデロリアンのエネルギーにしようと準備を始めた。一方、マーティはその間に昔のママとパパと出会う。ところが、そのママがマーティに一目ぼれしてしまった。ママがパパを好きにならないと、マーティはこの世に存在しなくなってしまう。過去を変えてはならない。一方、パパをいつもいじめているビフ(トーマス・F・ウィルソン)はママにモーションをかけるばかり。マーティはママとパパが結ばれるきっかけとなったダンス・パーティで、パパがビフをやっつけたのを契機にやっと2人のきっかけをつくり上げた。夜、暗雲がたちこめ、雷が鳴る。マーティはデロリアンに乗り込む。博士に、30年後の死のことを手紙にたくして、彼は間一髪でタイムスリップに成功。彼が戻ってきた1985年は、タイムパラドックスのため、強いパパのいる世界になっていた。そして博士も防弾チョッキを着ていたため、リビア過激派から身を守ることが出来た−−。




14-38. バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 

監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックスクリストファー・ロイドリー・トンプソン
1989年・アメリカ (ユニヴァーサル映画=UIP映画)

解説
時の流れを修復するために時空間を右往左往する主人公の姿を描くシリーズ第2作。エグゼクティヴ・プロデューサーはスティーヴン・スピルバーグとキャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、製作はニール・カントンとボブ・ゲイル、監督は「ロジャー・ラビット」 のロバート・ゼメキス。ゲイルとゼメキスの原作を基に、脚本はゲイル、撮影はディーン・カンディ、音楽はアラン・シルヴェストリが担当。出演はマイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドほか。

ストーリー
85年の世界に戻ってきたマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)は、未来の世界からドク・ブラウン(クリストファー・ロイド)の訪問をうけ、未来の自分の子供の身が危ないと知らされ、恋人のジェニファー(エリザベス・シュー)と共に、2015年の世界にやって来る。年老いたビフ・タンネン(トーマス・F・ウィルソン)の孫グリフ(トーマス・F・ウィルソン)にいじめられる息子のジュニア(マイケル・J・フォックス)を助け、悪の道に足を踏み入れることをとどまらせたマーティは、安心して85年の世界に戻ろうとするが、その間に、マーティがちょっとした悪戯心で手にしたスポーツ年鑑を、ビフが盗み過去の世界へ旅したことを誰も知らない。果たして戻ったマーティは、閑静な住宅地だったヒル・バレーがすっかり荒廃の地と化してしまっているのに愕然とする。おまけに父のジョージ(クリスピン・グローヴアー)は12年前に何者かによって殺され、未亡人となったロレイン(リー・トンプソン)は、何と今や全米一の大金持ちとなっているビフと再婚していた。どうやらビフは、55年のダンスパーティの日に、未来からやって来たビフからスポーツ年鑑を手渡され、これを基にスポーツ賭博で大もうけをしたらしい。時の流れをもとに戻そうと、マーティはドクと共に55年のあのダンス・パーティの日に戻る。そして大騒動の末にマーティはスポーツ年鑑を取り戻し、それを焼き捨てるが、85年の世界に戻ろうとしたその時あの稲妻が発生し、ドクを乗せたデロリアンはマーティを残し、どこかへと消えてしまう。そしてマーティは、あの時85年に帰る自分を見送ったドクを探し出し、助けを求めるのだった−−。




14-39. バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3

監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックスクリストファー・ロイドメアリー・スティーンバージェントーマス・F・ウィルソン
1990年・アメリカ (ユニヴァーサル=UIP)

解説
タイムマシーンで、未来、現在、過去を旅する少年と彼の親友である博士の冒険を描くアドベンチャー・シリーズの完結編。エグゼクティヴ・プロデューサーはスティーヴン・スピルバーグとフランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ、製作はボブ・ゲイルとニール・カントン、監督は 「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」 のロバート・ゼメキス。ゼメキスとゲイルのストーリーを基に、脚本はゲイル、撮影はディーン・カンディ、音楽はアラン・シルヴェストリが担当。出演はマイケル・J・フオックス、クリストファー・ロイドほか。日本版字幕は戸田奈津子。カラー、ビスタサイズ。ドルビーステレオ。1990年作品。

ストーリー
1955年11月12日に取り残されたマーティ・マクフライ(マイケル・J・フオックス)は、1885年からのドクの手紙を片手に、この時代のドク(クリストファー・ロイド)を訪ね、1885年にドクが鉱山の廃鉱に隠したデロリアンを壊すためそこに向かうが、デロリアンを探し出した彼が見たものは、1885年に殺されたドクの墓だった。犯人は、ビフ・タネンの曽々祖父ビュフォード・タンネン(トーマス・F・ウィルソン)。マーティはドクの危機を助けるべく、1885年の開拓時代へと向かう。マーティは、アイルランドから移住してきたばかりの先祖、マクフライ夫妻(マイケル・J・フォックス)(リー・トンプソン)の世話になるが、酒場でマーティはタンネン一味にからまれ、縛り首にされかかる。そんな危機一髪の彼を助けたのは、ドクであった。ドクはマーティから生命の危機を聞き、一刻も早く1985年に戻ろうとするが、あいにくデロリアンのガソリン・タンクは空っぽだった。そんなさ中、ドクは当地の新任女教師クララ・クレイトン(メアリー・スティーンバージェン)の命を助け、彼女と恋におちてしまう。そして9月5日のお祭りの日、ドクはクララをめぐって、タンネンと衝突してしまう。一方のマーティは、タンネンにののしられ、彼と決闘をすることになるのだった。翌日はふたりが未来へと戻る日、クララに別れを告げたドクは傷心のあまり酒場で一夜をすごす。夜が明け、そこにタンネンが姿を現わす。ドクを人質にとられたマーティは、タンネンとの決闘を余儀なくされるが、銃ではなく、拳と頭とで彼を倒すのだった。そしていよいよ出発の日、機関車にデロリアンを後押しさせ、その反動で崖からデロリアンを突き落とし、タイム・トリップしようとする。そんなふたりの前にクララが姿を現わした。失恋のショックで町を去ろうとした彼女が偶然ドクの真実の愛を聞きつけ、引き返してきたのだ。そして間一髪のところで、マーティは1985年に、ドクとクララは共にこの時代に残るのだった。やがて1985年に戻り、ジェニファー(エリザベス・シュー)の無事を確認したマーティの前に、機関車をタイムマシーンにしたドクとクララの一家が姿を現わすのだった。(ユニヴァーサル映画=UIP配給*1時間59分)




14-40. 北北西に進路を取れ 

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ケーリー・グラントエヴァ・マリー・セイントジェームズ・メイソンジェシー・ロイス・ランディスレオ・G・キャロル
1959年・アメリカ (MGM) 138分

解説
スリラー映画お得意のアルフレッド・ヒッチコックが 「めまい」 につづいて監督した、恋とスリルに満ちたサスペンス・ドラマ。脚本をアーネスト・リーマンが書下し、 「黒い蘭」 のロバート・バークスが撮影を、音楽はバーナード・ハーマンが担当している。出演は 「無分別」 のケーリー・グラント、 「愛情の花咲く樹」 のエヴァ・マリー・セイント、 「針なき時計」 のジェームズ・メイスン、他にジェシー・ロイス・ランディス、レオ・G・キャロル等。製作アルフレッド・ヒッチコック。テクニカラー・ビスタビジョン。1959年作品。

ストーリー
広告代理業者ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)は、ニューヨークのホテルから無理やり2人の男に連れ出された。給仕がキャプランという男を呼びだしていた時、電話に立ち上がったので、間違えられたのだ。海の近くの邸宅で、主人のタウンゼントと称する男(ジェームズ・メイスン)は“仕事”への協力を強いた。断ると、彼を泥酔させ、車のまま海へ突き落とそうとした。危く逃れたが、パトロールカーに酔っぱらい運転で捕まった。翌日の裁判では、彼の母からまで信用されなかった。例の邸宅の夫人は、彼をパーティに招いたと証言した。罰金刑。―ーロジャーは国連総会に出席中と夫人がいったタウンゼント氏に会いに行った。氏は昨夜の男と違っていた。こちらが本物だ。くわしくきこうとした時、氏は背中に短剣を受けて倒れた。例の2人組の仕業だ。ロジャーが犯人とされた。彼はシカゴのホテルへ移ったキャプランを追って、急行に乗った。美人の乗客が追手をかわしてくれた。女(エヴァ・マリー・セイント)はイーブ・ケンドルと名乗った。2人はひかれ、車室で恋の夜が過ぎた。彼女は偽タウンゼントの手下だ。シカゴに着くと、一味は彼女にロジャーを郊外へおびき出させた。ー―野原の真ん中で、彼は飛行機に追い回された。ー―キャプランはすでに南ダコタのラピッドシティに移っていた。ロジャーはイーブを追って、ノース・ミシガンの画廊へ行く。彼女のそばの偽タウンゼントは小さな彫刻を落札した。バンダムと呼ばれた。ロジャーは2人をののしった。せりをかき乱すことで、警官を呼び、やっと逃げだすが、車は空港へ向かう。連邦警察の「教授」と呼ばれる男が委細を話してくれた。キャプランは、バンダムのそばにいる本物のスパイから注意をそらすための架空のスパイだった。ロジャーの画廊での行為が、本物のスパイをうたがわせたのだ。ー―ラシュモア山の岩壁にはワシントンら偉人の顔が刻まれている。ふもとの食堂で、教授のいうまま、ロジャーはイーブに空弾で射殺される芝居を打った。彼女が本物のスパイなのだ。が、彼女が使命のために、バンダムについて北北西へ向けて飛び立つことを知ると、ロジャーは病院を抜け、バンダムの山荘に忍びこんだ。彼の部下が空弾のトリックを知り、イーブは海の上空で突き落とされることになった。ロジャーはやっと彼女に連絡をつけた。飛行機が着いた時、彼は女中にピストルをかざされていた。銃声で一同がふり向いたすきに、イーブは秘密のマイクロフィルム入りの例の彫刻を奪い、ロジャーが逃げてきた車に乗りこんだ。女中のピストルはイーブの空弾入りのものだった。ラシュモアの岩壁を2人は逃げ回った。教授と警官隊が危機一髪を救った。悪人たちは皆墜落して果てた。ー―2人は例の急行でニューヨークへ向かった。




14-41. ニュースの天才 (吹替)

監督 ビリー・レイ
出演 ヘイデン・クリステンセンピーター・サースガードクロエ・セヴィニーハンク・アザリアスティーヴ・ザーン
2003年・アメリカ、カナダ (ギャガ=ヒューマックス)

解説
全米を騒然とさせた実話の映画化。大統領専用機にも配布される有名雑誌のジャーナリストが、ねつ造記事を作り上げていた衝撃の事実をスリリングに描き出す。

ストーリー
1998年、権威ある政治雑誌『ザ・ニュー・リパブリック』の最年少の記者、25歳のスティーヴン・ダラス(ヘイデン・クリステンセン)は、編集長のマイケル・ケリー(ハンク・アザリア)の下、斬新な切り口で特ダネをモノにするジャーナリストとして頭角を現わし始める。彼には他誌からも執筆依頼が舞い込むようになるが、ケイトリン(クロエ・セヴィニー)やエミー(メラニー・リンスキー)ら女性の同僚の顔を立て、周囲への気配りを怠らない態度は変わることがなかった。そんなある日、かねてより会長と対立していたマイケルが編集長をクビになってしまう。後任に指名されたのはチャック・レーン(ピーター・サースガード)。同僚たちの反感の視線を浴びながら、チャックは新編集長の座に就いた。それから数ヵ月後、スティーヴンはインターネット関連の特ダネ記事を発表し、大きな反響を獲得する。その成功にライバル心をかきたてられたニョーヨークのネット・マガジン編集部は、記者のアダム・ペネンバーグ(スティーヴ・ザーン)に同じネタを追うよう命じる。ところがこの件を調べていくうち、スティーヴンの記事が捏造である疑いが高まっていった。そこでアダムは、スティーヴンとチャック編集長を追及し、真相を求める。やがてスティーヴンはそれが創作記事であることを認め、編集部をクビになり、裁判にかけられるのだった。




14-42. ビフォア・サンセット

監督 リチャード・リンクレイター
出演 イーサン・ホークジュリー・デルピー
2004年・アメリカ (ワーナー)

解説
'95年の 「恋人までの距離」 の監督&主演トリオが再結集した続編。9年前に忘れがたい一夜を過ごした男女が、恋や人生を語る姿をリアルタイムの進行で描く。

ストーリー
アメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク)と、ソルボンヌ大学に通うセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、ユーロトレインの車内で出会い、ウィーンの駅のホームで半年後に再会することを誓って別れた。あれから9年後。今や作家になったジェシーは、新刊本のプロモーションでフランスを訪れていた。ツアーの最終日、彼はパリの有名書店の会場の隅にいたセリーヌの姿に気づき息を飲む。今回出版した本は、自分とセリーヌが9年前の晩に体験した出来事を小説にしたものだったのだ。2人は再会を喜び合うが、時間はジェシーがニューヨークに発つための空港に向かうまでの85分しかない。2人は散歩に出掛け、夢中になって会話を弾ませる。ジェシーには小学校教師の妻と4歳の息子がいて、セリーヌには報道写真家の恋人がいる。9年前の約束の時に再会できなかったことを後悔する2人だが、タイムリミットは刻一刻と迫る。やがてジェシーはセリーヌを自宅まで送っていき、結局彼女の部屋の中に入る。そしてジェシーは飛行機に乗り遅れることを知りながら、セリーヌとの一時を楽しむのだった。




14-43. ラスベガス万才

監督 ジョージ・シドニー
出演 エルヴィス・プレスリーアン・マーグレットチェザーレ・ダノヴァウィリアム・デマレストニッキー・ブレア
1963年・アメリカ (MGM)

解説
疑惑の影」 のサリー・ベンソンのシナリオを 「バイ・バイ・バーディー」 のジョージ・シドニーが演出した歌と踊りの青春ドラマ。撮影は 「バイ・バイ・バーディー」 のジョセフ・バイロック、音楽は 「けっさくなエディ」 のジョージ・ストールが担当、デイヴィッド・ウィンタースの振付。製作は 「ペペ」 のジャック・カミングスと監督のジョージ・シドニー。出演者は 「ヤング・ヤング・パレード」 のエルヴィス・プレスリー、 「バイ・バイー」 のアン・マーグレット、 「クレオパトラ(1963)」 のチェザーレ・ダノヴァ、 「山」 のウィリアム・デマレスト、ニッキー・ブレアなど。

ストーリー
ラッキー(エルヴィス・プレスリー)は自動車のレーサー。自分で設計した競争用の車体はでき上がったが、モーターを買い入れる金を稼ぐため、単身ラスベガスに来た。彼はグランプリ・ガレージでイタリアのスピード王マンチーニ伯(チェザーレ・ダノヴァ)と知り合った。伯はラッキーの腕を知っており、八百長で優勝を譲らないか、と誘ったが、勿論断った。ところがラスティ(アン・マーグレット)という美人が現れてから、レースなんかどうでもいいような気になった。それは伯とて同じだった。ラッキーは、彼女を夢中で口説いたが、そのため洋服のままプールにザブン、せっかく稼いだトラの子をなくしてしまった。エンジンどころか、ホテル代も払えない。早速彼の泊っていたホテルのボーイに早変り。だが、お陰で恒例の従業員タレント・コンテストに賞金を争う資格を得た。同じホテルで客の水泳コーチをして働くラスティもラッキーに好意を抱くようになった。コンテストの夜、ラッキーとラスティが勝ち残ったが、ラッキーがレースで優勝を獲得した。だが、賞金は現ナマではなかった。ラスティは彼を危険なレースに出したくなかった。だが、数時間前にエンジンを手に入れた。ラスティの父親が金を貸したのだ。言語を絶する荒っぽいレース、ラッキーは危険を冒してついに優勝、ラスティをもその胸に抱いた。




14-44. ニューイヤーズ・イブ

監督 ゲイリー・マーシャル
出演 ハル・ベリージェシカ・ビールジョン・ボン・ジョヴィアビゲイル・ブレスリンクリス・“リュダクリス”ブリッジス
2011年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル監督が、ニューヨークを舞台に8組の男女の運命を描き出す恋愛群像ドラマ。ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリーら豪華キャストが集結し、1年で最も華やかな一晩の物語が繰り広げられる。

ストーリー
誰にとっても特別な日である大晦日のニューヨーク。ビジネスマンのサム(ジョシュ・デュアメル)は、妹の結婚式や仲間とのパーティーなど楽しい予定が詰まっているのに、去年の大晦日に出会った女性と交わした約束が気にかかっていた。かつて恋人同士だったが、別れたおかげで大成功を収めた男女は、偶然再会してしまう。死期の迫った孤独で頑固な老人(ロバート・デ・ニーロ)は、娘とすごした幸せな大晦日のことを密かに思い出していた。25年間、仕事に明け暮れていたイングリッド(ミシェル・ファイファー)は突然会社を辞めて、“今年の目標リスト”を開始する。心配性の母親(サラ・ジェシカ・パーカー)と二人暮らしをしている15歳の少女(アビゲイル・ブレスリン)は、大晦日にある夢を叶えようとしていた。大晦日が嫌いな男ランディ(アシュトン・カッチャー)は、一人の女性(リー・ミッシェル)とエレベーターに閉じ込められてしまう。そして、大晦日に出産を予定している妊婦(ジェシカ・ビール)……。ニューヨークを舞台に、失われた絆を取り戻そうとする8組の人々。はたして彼らは、幸せな新年を迎えることができるのか?




14-45. 依頼人 (吹替)

監督 ジョエル・シュマッカー
出演 スーザン・サランドントミー・リー・ジョーンズブラッド・レンフロメアリー・ルイーズ・パーカーアンソニー・ラパグリア
1994年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
偶然自殺の現場を目撃し、ある事件について″知りすぎた″少年が過去に傷を持つ女弁護士とともに様々な利害の渦巻く社会の中で戦っていくヒューマン・サスペンス。原作は最近立て続けに 「ザ・ファーム 法律事務所」 「ペリカン文書」 が映画化されているジョン・グリシャム。今回も製作のアーノン・ミルチャンがゲラ刷りの段階で原作を読み、すぐさま監督に話を持ちかけた。監督は 「セント・エルモス・ファイアー」 「フォーリング・ダウン」 のジョエル・シューマカー。製作は 「キング・オブ・コメディ」 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 「JFK」 などを手がけているアーノン・ミルチャンとスティーヴン・ルーサー。共同製作はメリー・マクラグレン。脚本はアキヴァ・ゴールズマン、ロバート・ゲッチェル。撮影はトニー・ピアース・ロバーツ。音楽はハワード・ショアが担当している。主演は 「知りすぎた少年」 にオーディションで5000人の中から選ばれた新人ブラッド・レンフロ、 「アトランティック・シティ」 「テルマ&ルイーズ」 「僕の美しい人だから」 などのスーザン・サランドン。ほかに、 「ある愛の詩」 「JFK」 「逃亡者(1993)」 のトミー・リー・ジョーンズ、 「ラブリー・オールドメン」 「モ'・ベター・ブルース」 のオシー・デイヴィスなどが共演。

ストーリー
11歳の少年マーク・スウェイ(ブラッド・レンフロ)は、ある午後、8歳の弟リッキーと一緒に近くの森に隠れてタバコを吸いに行く。そこで2人は偶然車の排気筒にホースをつなぎ自殺しようとしている男を目撃する。恐怖でパニック状態になっているリッキーが引き留めているのもよそに自殺を防ぐためホースを排気筒から引き抜こうとしたマークは男に気づかれてしまい自殺の道連れを強いられる。男はマークにマフィアに殺された上院議員の死体の隠し場所を告げる。男の隙をついて車外に逃げ、泣きじゃくるリッキーを抱えて陰に隠れるが2人を追ってきた男がピストル自殺を遂げるのを見てしまう。リッキーは精神的ショックから植物人間状態になり入院してしまう。マークは警察の事情聴取に口をつぐんでいた。しゃべったら殺されると思ったからだ。マフィアはすでに彼をマークし出す。一方知事を目指す野心家の連邦検、察官ロイ・ファルトリッグ(トミー・リー・ジョーンズ)もFBIとともにマークを追求する。自殺したのは上院議員殺しの容疑者マルダーノ(アンソニー・ラパグリア)だった。マークは自分と家族を守るために弁護士を雇うことを思いつく。全財産の1ドルで彼が依頼人となったのはやり手の女弁護士レジー・ラブ(スーザン・サランドン)だった。レージーはファルトリッグとFBIを向こうに回して一歩もひけを取らず、マークの安産のために次々と意外な方策を考え出す。彼女は辛い過去を持つだけに人の痛みを人一倍感じるのだ。焦りを感じ始めたフォルトリッグはマークに召喚状を出して法廷で証言させようとする。真実を話せば命が危うく、証言を拒めば拘留されてしまうという状況に追い込まれたマークは自殺した男から聞いた死体の隠し場所を確かめに行く。レジーも彼の決心の固さに負け、一緒に現場に乗り込む。マフィアに見つかってしまうが2人はうまく彼らをまく。レージーはフォルトリッグに死体の隠し場所を教える代わりにマークの家族を証人保護プログラムを適用して新しい生活を営めるように取り計らうことを頼む。マークはレージーの見守る中、家族とともに新たな人生に向けて飛び立っていく。




14-46. チャーリーズ・エンジェル フルスロットル

監督 マックG
出演 キャメロン・ディアスドリュー・バリモアルーシー・リューデミ・ムーアバーニー・マック
2003年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ)

解説
セクシー探偵の活躍を描いた70年代の大ヒットTVシリーズを、キャメロン・ディアスら人気女優の共演で映画化したアクションの続編。デミ・ムーアが最強の敵としてエンジェルたちと対決する。

ストーリー
3人のエンジェル、ナタリー(キャメロン・ディアス)、ディラン(ドリュー・バリモア)、アレックス(ルーシー・リュー)は、拉致された米警察機構の要人カーター(ロバート・パトリック)を救出。だが犯人の本当の狙いは、米国政府が匿っている対組織犯罪の最重要証人リスト。カーターは、そのトップ・シークレットにアクセスするキーアイテムの指輪を奪われていたのだ。捜査を進めるエンジェルたちは、復讐のターゲットとなっている証人たちの写真を入手。ところがそこには、8年前に恋人シーマス(ジャスティン・セロウ)が犯した殺人を証言したディランの顔もあった。エンジェルたちは指輪を奪還するが、それが偽物であると気づき、影の巨大な敵がいると睨む。その敵とは、元エンジェルで、チャーリーへの復讐を企むマディソン(デミ・ムーア)だった。エンジェルたちは力を合わせて指輪を彼女から奪い返し、マディソンは火の中へと転落していくのだった。




14-47. 波止場 (吹替)

監督 エリア・カザン
出演 マーロン・ブランドエヴァ・マリー・セイントリー・J・コッブカール・マルデンロッド・スタイガー
1954年・アメリカ (コロムビア映画会社)

解説
アフリカの女王」 のサム・スピーゲルが1954年に製作したホライズン・プロ作品。悪徳ボスに支配された紐育の波止場の実態を描くマルコーム・ジョンスンの探訪記事「波止場の犯罪」(サン紙連載)を小説家のバッド・シュールバーグが脚色し、 「綱渡りの男」 のエリア・カザンが監督した。撮影はフランス出身のボリス・カウフマン、音楽はレオナード・バーンスティンの担当。主演は 「乱暴者」 のマーロン・ブランドで、新人エヴァ・マリー・セイント、舞台俳優リー・J・コッブ 「征服への道」 、カール・マルデン 「語らざる男」 、ロッド・スタイガーらが共演する。

ストーリー
紐育の波止場に働く沖仲士たちは、酒場を経営している悪らつなボス、ジョニイ・フレンドリイ(リー・J・コッブ)の暴力によって支配されていた。ある夜、沖仲士のひとりジョイが謀殺された。直接の犯人はジョニイの子分チャーリイ(ロッド・スティガー)であったが、チャーリイの弟でやはりジョニイの一味であるテリイ(マーロン・ブランド)も片棒をかついでいた。事件は波止場の正義派バリイ神父(カール・モルデン)やジョイの妹イディ(エヴァ・エヴァ・マリー・セイント)の痛憤をよそに闇から闇へ葬り去られようとしていた。神父は犯人の発見に躍起となり、それを快く思わないジョニイ一味は教会を襲った。ちょうどその場に居合わせたイディは、危いところをテリイに救けられた。彼女は、テリイが兄の謀殺に関係があるのではないかと疑ったが、彼の意外な純真さに惹かれ、2人の気持ちは次第に接近しそれとともにテリイの心はジョニイ一味から離れて行った。そこへまたまた、白昼、沖仲士が1人殺される事件が起きた。テリイはバリイ神父の忠告に従って、イディに事件の真実を告白した。チャーリイは、ジョニイに命じられて、テリイに一切の秘密を口外するなと嚇したが、彼は聞き入れなかった。テリイはイディをアパートに訪れ、激しく愛を求めた。しかしジョニイ一味に襲われて2人が危くのがれたとき、屍体となったチャーリイの姿を見つけた。テリイは憤慨して、1人ジョニイの酒場にのりこんだが、そこにジョニイの姿はなかった。間もなくジョニイ一味は、2つの殺人事件について法廷で尋問された。テリイはかれの犯罪事実を証言した。翌朝波止場にあらわれたテリイは、沖仲士仲間から卑怯者としてボイコットされた。テリイはジョニイの本拠にのりこみ、彼を打ちのめしたが、自らも子分たちの暴行をうけて半殺しにされた。しかしテリイは渾身の力をふりしぼって立ち上がり、沖仲士たちの中へ歩いていった。沖仲士たちはテリイの真の勇気を知った。労働者たちの先頭に立って仕事場へと歩を進めるテリイを、バリイ神父とイディは明るい顔で見送った。




14-48. チキ・チキ・バン・バン

監督 ケン・ヒューズ
出演 ディック・バン・ダイクサリー・アン・ハウズライオネル・ジェフリーズゲルト・フレーベアンナ・クェイル
1968年・イギリス (ユナイト)

解説
007のイアン・フレミングの童話を、ロアルド・ダールとケン・ヒューズが脚色、 「俺は殺られる!」 のケン・ヒューズが監督したミュージカル。撮影はクリス・チャリス、音楽は 「メリー・ポピンズ」 でアカデミー賞を獲得したリチャード・M・シャーマンとロバート・B・シャーマンのコンビが担当。また、振付をマーク・ブロウとディ・ディ・ウッドの夫妻、ミュージカル監督はアーウィン・コスタルと、 「メリー・ポピンズ」 のチームである。出演は、 「メリー・ポピンズ」 「ニューヨーク泥棒結社」 のディック・バン・ダイク、ブロードウェイで 「マイ・フェア・レディ」 を演じたこともあるサリー・アン・ハウズ、 「ビートルズがやって来る、ヤア!ヤア!ヤア!」 のアンナ・クェイル、ジェームズ・ロバートンン・ジャスティス、ライオネル・ジェフリーズ、ゲルト・フレーベ、エイドリアン・ホール、ヒーザー・リプレイなど。製作は007シリーズを共同製作したアルバート・R・ブロッコリ。テクニカラー、70ミリスーパー・パナビジョン。

ストーリー
夢想家で発明家のポッツ(D・V・ダイク)は解体炉へ放りこまれようとしていたポンコツ自動車のチキ・チキ・バン・バンを救い出し、これに手を加え、オンボロ車を走らせることに成功した。ある日、彼はこの車に、ジェレミーとジェニフアーの二人の子供をのせて海辺へ遊びに出かけた。途中、彼らはスクランプティアス卿の令嬢トルーリー(S・ホワイト)と出会い、一緒に出かけることにした。浜辺でポッツは、水平線上に姿をあらわした曳き舟を見て、子供たち相手に海賊の話をはじめた。話の中で、曳き舟は世界一の悪い男ボンバースト男爵の乗っているヨットとなった。ポッツが話しているうちに、彼らの周囲には潮が満ち、海中にとりのこされた。そして男爵のヨットは大砲の筒先を向けながら、こちらに向ってきた。が、彼らの乗っているチキ号は意外な魔力を持っていた。エンジンがうなり出し、車はホーバークラフトに早変りし、波の上を滑るように走り始めた。男爵はこのチキ号を欲がり、二人のスパイを浜に送った。だがこの間抜けな悪漢は子供たちのおじいさん(R・ジェフリーズ)をポッツと間違えて誘拐し、男爵の飛行船をよびよせた。ここでチキ号はまた驚異的な威力を見せ、翼とプロペラを車体から突出し、飛行船を追い続けた。ブルガリアの城へ逃げた飛行船を追って、チキ号は近くの村へ着陸した。この村では男爵夫人が、子供を憎み、みつけ次第殺せとの命令を下していた。そしてポッツが敵状偵察に行っている間に、チキ号も子供たちも彼らに捕えられてしまった。そこでポッツとトルーリーは、男爵夫人にまだ捕まっていない子供たちが隠れている洞窟に行き、子供たちと協力して、悪漢を攻撃する計画をたてた。計画は見事成功し、男爵の手下たちは敗北し、飛行船で逃げる男爵夫妻もおじいさんの傘からとびだした刺し針で、湖へ墜落した。そしてチキ号は無事帰国の途についた。−−これは全部ポッツの夢物語だった。だが、この時ポッツとトルーリーは互に恋していることに気づいた。ポッツは将来は夢ばかり見ていないで、もっとしっかりしようと決心した。ポッツは車を出発させた。ところが驚いたことに、チキ号はゆっくりと空中に浮び上り、飛行を開始したのである。