34-1. ブラジルから来た少年 (THE BOYS FROM BRAZIL)
監督 フランクリン・J・シャフナー
出演 グレゴリー・ペック,
ローレンス・オリヴィエ,
ジェームズ・メイソン,
ユタ・ヘーゲン,
リリー・パルマー
1978年・アメリカ、イギリス (20世紀フォックス) 125分
解説
寡作のスリラー作家アイラ・レヴィンの同名小説を映画化したスリラー。アウシュビッツ収容所で死の天使と言われたメンゲレ博士が、ナチスの残党と共にある計画を発動した。それは、アメリカとヨーロッパにいる、94人もの人物を殺害する、というものだった。そしてそれは、ナチスの復活を告げる悪魔の計画でもあった……。
ストーリー
パラグアイでナチスハンターの若者が旧ナチス党員の不可解な動きを察知する。追跡で実績のあるリーバーマンに情報提供するが相手にされない。ついにアウシュヴィッツの主任医師だったメンゲレ博士が招集した会議を盗聴するのに成功するが、気づかれてリーバーマンへの電話の途中に殺される。メンゲレの計画は約65歳の公務員などを94人暗殺するというもので、事故に見せかけ、家族に危害を加えてはならないというものだった。 リーバーマンは通信社の友人に60代の不審死があったら、教えてくれと頼む。 西ドイツのグラドベック。郵便局長が最初の犠牲者になる。リーバーマンが調査に訪れると、黒髪で色白で青い瞳の少年がいて、利口だけと怠け者だといわれ、夫とは年齢のかけ離れた母親は息子を溺愛していた。 ロンドンでもスウェーデンでも似たような事故が起きる。マサチューセッツの事件を調べにいくと、グラドベックの男の子と双子以上に声までそっくりの子を見つける。不安から奥さんが養子だったことを打ち明けてしまう。 昔捕まえたナチスの女から養子斡旋会社の話を聞く。北欧系の家族を優先し、夫が1910年から14年の生まれで、妻が1933年から37年生まれの夫婦という条件だった。子どもたちはヴァリグ航空で、つまりブラジルから送られてきていた。最後に犬を飼っていたペンシルベニア州ランカスター・ニュープロビデンス(en)のウィーラーから70日でもらったという犬の誕生日を聞く。12月11日生まれだから2月20日で後4日。 メンゲレは上部から作戦中止の命令を受けるが、続けると主張。 リーバーマンは生物学研究所の学者に話を聞く。メンゲレが「博士号を持ったサディスト」だというと「それが科学者の定義だそうですよ」といなされる。更に、クローンだとモーツァルトやピカソが大勢生まれるが、環境も同じでなければいけないといわれる。リーバーマンは「こわい父親を持った陰気な子、税官吏だった父が52の時に生まれ、彼を甘やかして育てた母親は29 歳。父親が65歳で死んだ時、彼は14歳になるところ」だった男のクローンだと悟る。 ニュープロビデンス。ドーベルマンがいっぱいの家にメンゲレが先に着き、リーバーマンに成り代わって中に入り、殺してしまう。 メンゲレがやって来て優位に立って話す。血液と皮膚の一片を採取しておいたのだ。「偉大すぎる父の子は不幸だから」といってヒトラーは子を作らなかったが、メンゲレの計画に興奮したのだという。ドーベルマンが入ってきてかみ殺されそうになった時に息子が帰ってくる。血だらけの二人を見てまず趣味の写真を撮る。嘘をついたと殺されそうになったメンゲレが君はヒトラーだと教えるが、父親の死体を見つけ、ドーベルマンに殺させる。 入院したリーバーマンはナチスハンターたちに少年の名簿を渡すように要求されるが、名簿に火をつけた。罪もない少年を殺すなど、ナチスと同じだ、と。 その頃、少年は暗室で写真を現像し、「いい出来だ」と言いながらメンゲレの死を見つめる。目は冷たく光り、口には残酷な笑みが浮かぶ。
34-2. トレマーズ (Tremors)
監督 ロン・アンダーウッド
出演 ケヴィン・ベーコン,
フレッド・ウォード,
フィン・カーター,
マイケル・グロス,
リーバ・マッキンタイア
1990年・アメリカ (ユニヴァーサル=UIP) 96分
解説
正体不明の地底生物の恐怖に立ち向かう町の人々の活躍を描くアクション映画。エグゼクティヴ・プロデューサーはゲイル・アン・ハード、監督はロン・アンダーウッド、製作・脚本はブレント・マドックとS・S・ウィルソンの共同。ストーリーはウィルソンとマドック、アンダーウッド、撮影はアレクサンダー・グルジンスキーが担当。出演はケヴィン・べーコン、フレッド・ウォードほか。
ストーリー
ネバダ州の小さな町“理想郷”で便利屋をしているヴァル(ケヴィン・ベーコン)とアール(フレッド・ウォード)はある日、地震学を研究しているロンダ・ル・ベック(フィン・カーター)という大学院生と出会い、数日前から異常な地中の震動が記録されていることを知らされる。そしてその日から、町の人々が次々と不審な死を遂げるという事件が起きる。やがてヴァルたちは、その原因が巨大な地底生物の仕業であることを知るが、その頃町は、電話が不通となり、道路も寸断されるなど、すっかり陸の孤島と化してしまった。その地底生物に襲われたヴァルとアールは、それを退治するが、ロンダからまだ3匹いると教えられる。町の人々は、このままでは襲われるのが時間の問題であると判断し、怪物たちに立ち向かってゆく決心をする。力を合わせて町の人々は、1匹、1匹と苦心の末、怪物たちを退治してゆく。そして最後の1匹をヴァルの機転で倒し、ようやく町には平和がよみがえった。そしてヴァルはロンダとの愛を成就させるのだった。
34-3. カプリコン・1 (Capricorn One)
監督 ピーター・ハイアムズ
出演 エリオット・グールド,
ジェームズ・ブローリン,
ブレンダ・ヴァッカロ,
サム・ウォーターストン,
O・J・シンプソン
1977年・イギリス (東宝東和) 129分
解説
人類初の有人火星宇宙船カプリコン計画をめぐるNASAの国家的陰謀と、それに対する男達の姿を描く。製作はポール・N・ラザルス3世、監督・脚本は 「破壊!」 のピーター・ハイアムズ、撮影はビル・バトラー、音楽はジェリー・ゴールドスミスが各々担当。出演はエリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、ブレンダ・ヴァッカロ、サム・ウォーターストン、O・J・シンプソン、ハル・ホルブルック、テリー・サヴァラス、カレン・ブラックなど。
ストーリー
東の空が赤く染まり、やがて朝日が1日の始まりを告げようとしている中、人類史上初の有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫っていた。カプリコン・1には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り組んでいる。発射5分前、突然カプリコン・1のハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出し、ヒューストンより3人をジェット機で連れ去った。そして5分後、カプリコン・1は、人々の見守る中、有人宇宙船の名の下に火星へ向かって飛び立つ。一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある格納庫のわきに着陸した。そしてそこには、NASAのケラウェイ所長(H・ホルブルック)がいた。驚く3人に向かって、彼はカプリコン・1の生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を今一度宇宙計画へ目を向けさせるには、今さら計画の中止は出来なかった、という事実を告げる。そして3人は、もしさからえば家族の安全は保証出来ないという脅迫の中、格納庫にある火星表面のセット・ステージで世紀の大芝居を決行する。そしてそれが宇宙中継の形で、全世界にTV放送された。よろこぶブルーベーカーの妻(ブレンダ・ヴァッカロ)達。だが、家族と3人の宇宙飛行士との交信の内容に疑問を持ち出した男が1人いた。新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)だ。何かがある、と探る彼。そんな彼に忍びよるNASAの魔の手…。しかし、無事、“火星着陸”をやってのけたカプリコン・1が、大気圏再突入の際、事故で消滅するという事態が発生…。これに感づいたブルーベーカーら3人は、消滅(=3人の死)に身の危険を感じ、格納庫より脱出する。そして3人を生かしておいては、と、NASAの刺客が放たれた。三方に分れて砂漠を逃亡する3人、そして事件の核心にふれ、友人のジュディ(カレン・ブラック)に金を借り、この世紀のスキャンダルをスクープしようとするコールフィールド。灼熱の砂漠の中、NASAのヘリは、ウィリスを、ウォーカーを発見し、ブルーベーカーにも魔の手はのびた。と、その時、アルバイン(テリー・サヴァラス)の複葉機をチャーターしたコールフィールドが、追われるブルーベーカーを助ける。追うNASAのジェット・ヘリ。逃げる複葉機。やがて、追撃戦の末、ヘリは爆破した…。そして、今、大統領臨席の下、3人の宇宙飛行士の壮厳な葬儀が始まったその時、ブルーベーカー夫人の瞳に、車からおり、こちらにかけてくる死んだはずの夫の元気な姿が映った…。
34-4. 男と女 (Un Homme et Une Femme)
監督 クロード・ルルーシュ
出演 アヌーク・エーメ,
ジャン・ルイ・トランティニャン,
ピエール・バルー,
ヴァレリー・ラグランジュ,
シモーヌ・パリ
1966年・フランス (UA) 103分
解説
「女を引き裂く」 のクロード・ルルーシュが、製作・脚本(ピエール・ユイッテルヘーヴェンと共作)・監督・撮影を担当した恋愛篇。音楽はフランシス・レイ、劇中の歌は、ピエール・バルー(作詞も担当)とニコール・クロアジール。出演は 「81/2」 のアヌーク・エーメ、 「マタ・ハリ(1965)」 のジャン・ルイ・トランティニャン、ピエール・バルーほか。2016年10月15日より製作50周年を記念したデジタル・リマスター版を上映(配給:ドマ、ハピネット)。
ストーリー
アンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。夫をなくして、娘はドービルにある寄宿舎にあずけてある。年はそろそろ30歳。その日曜日も、いつも楽しみにしている娘の面会で、つい長居してしまい、パリ行きの汽車を逃してしまった。そんなアンヌに声をかけたのはジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)彼も30歳前後で、息子を寄宿舎へ訪ねた帰りだった。彼の運転する車でパリへ向う途中、アンヌは夫のことばかり話しつづけた。その姿からは夫が死んでいるなどとは、とてもジャン・ルイには考えられなかった。一方、彼はスピード・レーサーで、その妻は彼が事故を起したとき、ショックから自殺への道を選んでいた。近づく世界選手権、ジャン・ルイは準備で忙しかったが、アンヌの面影を忘れられなかった。次の日曜も自分の車でドービルへ…と電話をかけた。肌寒い日曜日の午後、アンヌ、ジャン・ルイ、子供たちの四人は明るい笑いに包まれていた。同時に、二人はお互いの間に芽生えた愛を隠し得なかった。血と汗と泥のレースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受けとった。それには、愛してます……と書いてあった。彼はすぐに車を駆ってパリへ、そしてドービルへ。二人は砂浜で身体をぶっつけ合い、その夜は安宿のベッドに裸身をうずめた。だが、愛が高まったとき、思いもかけずアンヌの脳裡に割りこんできたのは死んだ夫の幻影だった。二人は黙々と着物を着た。アンヌは汽車で、ジャン・ルイは自動車でパリへ向った。しかしアンヌを忘られぬ彼は、彼女を乗換え駅のホームに待った。思いがけぬ驚きと喜びをひとつにして、アンヌはジャン・ルイに飛びついた。凍てついた空気の中での口づけ。それは最後の口づけかも知れなかった。だが二人には、そんなことはどうでもよかった。
34-5. ベニスに死す (Death in Venice)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 ダーク・ボガード,
シルヴァーナ・マンガーノ,
ビヨルン・アンデルセン,
ロモロ・ヴァッリ,
マーク・バーンズ
1971年・イタリア、フランス (ワーナー・ブラザース) 131分
解説
純粋な美の具現と思えるような美少年に、魅入られた芸術家の苦悶と恍惚を描いた作品。製作総指揮はマリオ・ガッロ、製作・監督はルキノ・ヴィスコンティ、脚色はルキノ・ヴィスコンティとニコラ・バダルッコ、原作はトーマス・マン、撮影はパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はグスタフ・マーラー(第3・第5交響曲より)、衣装デザインはピエロ・トージが各々担当。
ストーリー
1911年のヴェニス(ヴェネチア)。ドイツ有数の作曲家・指揮者であるグスタフ・アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は休暇をとって、ひとりこの水の都へやってきた。蒸気船やゴンドラの上で、さんざん不愉快な思いをしたアシェンバッハは、避暑地リドに着くと、すぐさまホテルに部屋をとった。サロンには世界各国からの観光客があつまっていた。アシェンバッハは、ポーランド人の家族にふと目をやった。母親(シルヴァーナ・マンガーノ)と三人の娘と家庭教師。そしてアッシェンバッハは、母親の隣りに座った一人の少年タジオ(ビヨルン・アンデルセン)に目を奪われた。すき通るような美貌と、なよやかな肢体、まるでギリシャの彫像を思わせるタジオに、アシェンバッハの胸はふるえた。その時からアシェンバッハの魂は完全にタジオの虜になってしまった。北アフリカから吹きよせる砂まじりの熱風シロッロによってヴェニスの空は鉛色によどみ、避暑にきたはずのアシェンバッハの心は沈みがちで、しかも過去の忌わしい事を思い出し、一層憂鬱な気分に落ち込んでいった。ますます募るタジオへの異常な憧憬と、相変らず重苦しい天候に耐え切れなくなったアシェンバッハは、ホテルを引き払おうと決意するが、出発の朝、朝食のテーブルでタジオを見た彼の決意が鈍る。だが駅に着くと、自分の荷物が手違いでスイスに送られてしまったため、アッシェンバッハはすぐにホテルに引き返した。彼の心は、タジオと再会できる喜びでうちふるえていた。彼はもう、タジオへの思いを隠そうともしなかった。タジオの行く所には、常にアシェンバッハの熱い眼差しがあった。タジオもそのことに気づき始めているようだ。しかしこの頃、ヴェニスには悪い疫病が瀰漫しはじめていたのだ。街のいたる所に、消毒液の匂いが立ちこめ、病いに冒され、黒く痩せ衰えた人々が、行き倒れになっていた。しかし、観光の街ヴェニスにとって旅行者に疫病を知られることは死活問題であり、地元民はそれをひた隠しにした。そのことを何とか聞き出したアシェンバッハは、それが真性コレラであることを知った。それでも彼はヴェニスを去ろうとはしなかった。彼は身も心もタジオの姿を追い求めて彷徨っていた。タジオのために、化粧をほどこし、若づくりをするアッシェンハッハだったが、コレラに冒され、極度の精神的疲労も加わり、彼の肉体は急速に衰えていった。浜辺の椅子にうずもれたアシェンバッハの目に、タジオのあの美しい肢体が映った。海のきらめきに溶け込んでゆくかの如きタジオの姿に、アシェンバッハの胸ははりさけんばかりとなる。そうして最後の力をふり絞って差しのべた手も力尽き、アッシェンバッハは、タジオの姿を瞳に焼き付けながら、遂に息絶えるのだった。
34-6. 緑の光線 (Le Rayon Vert)
監督 エリック・ロメール
出演 マリー・リヴィエール,
Amira Chemakhi,
Syrvia Richez,
リサ・エレディア,
Basile Gervaise
1986年・フランス (シネセゾン) 99分
解説
ひとりの女性のひと夏の体験を描く。製作はマルガレット・メネゴス、監督・脚本は 「満月の夜」 のエリック・ロメール、撮影はソフィー・マンティニュー、音楽はジャン・ルイ・ヴァレロ、編集はマリー・ルイーザ・ガルシアが担当。出演はマリー・リヴィエール、アミラ・ケマキほか。
ストーリー
夏のパリ。オフィスで秘書をしているデルフィーヌは20歳も前半、ヴァカンスを前に胸をときめかせていた。7月に入って間もない頃、ギリシア行きのヴァカンスを約束していた女ともだちから、急にキャンセルの電話が入る。途方に暮れるデルフィーヌ。周囲の人がそんな彼女を優しく慰める。いよいよヴァカンス。女ともだちのひとりが彼女をシェルブールに誘ってくれた。が、シェルブールでは独り、海ばかり見つめているデルフィーヌ。太陽はまぶしく海は澄み渡っているが、デルフィーヌの心は晴れない。彼女は、人気のないパリに戻った。しかし、公園を独りで歩いていると、見知らぬ男が付いてきて彼女を不安にさせる。8月に入り山にでかけた彼女は、その後、再び海へ行った。そこで、彼女は、老婦人が話しているのを聞いた。それは、ジュール・ヴェルヌの小説「緑の光線」の話だ。太陽が沈む瞬間にはなつ緑の光線は幸運の印だという……海で友達ができないわけではないが、彼女の孤独感は消えない。パリに戻ることにした彼女、駅の待合室で、本を読むひとりの青年と知り合いになった。初めて他人と意気投合した彼女は思いがけず、自分から青年を散歩に誘った。夕方、海辺を歩く二人は目のまえの光景に目を見張った。太陽が沈む瞬間、緑の光線が放たれたのだ。
34-7. 木と市長と文化会館 または七つの偶然 (L'Arbre, Le Maire et La Mediatheque ou Les Hasards)
監督 エリック・ロメール
出演 パスカル・グレゴリー,
アリエル・ドンバール,
ファブリス・ルキーニ,
クレマンティーヌ・アムルー,
フランソワ・マリー・バニエ
1992年・フランス (シネセゾン) 111分
解説
フランスの田舎町に文化会館を建設しようとする社会派市長の計画が呼んだ騒動を、ドキュメンタリー調も交えたユーモアとウィットあふれる演出で描いた風刺喜劇。物語は7つの章で構成され、そのすべてが 「もし・・・」 で導かれる。監督・脚本は 「春のソナタ」 「冬物語」 のエリック・ロメール。製作は 「緑の光線」 以来、ロメールの全作品についているフランソワーズ・エチェガレー。撮影はディアーヌ・バラティエ、音楽はセバスチャン・エルムス、編集は 「冬物語」 のメアリー・スティーブン、録音・ミキシングは 「冬物語」 のバスカル・リビエ。主演は 「海辺のポーリーヌ」 のパスカル・グレゴリーとアリエル・ドンバール。共演は 「満月の夜」 などロメール作品の常連ファブリス・ルキーニ、 「聖杯伝説」 (未)以来、12年ぶり2度目のロメール作品への出演となるクレマンティーヌ・アムルーら。
ストーリー
パリの南西部ヴァンデ県サン=ジュイールの市長ジュリアン(パスカル・グレゴリー)は、村の原っぱに、図書館とCD・ビデオのライブラリー、野外劇場、プールを備えた総合文化センターを建設しようと考えていた。だが、この計画は周囲の賛同を得られないでいる。ジュリアンの恋人で、根っからのパリっ子である小説家のベレニス(アリエル・ドンバール)も「文化会館なんて必要かしら」と少々懐疑的。村のエコロジストの小学校教師マルク(ファブリス・ルキーニ)は、烈火のごとく怒る。ジュリアンにインタビューした女性ジャーナリストのブランディーヌ(クレマンティーヌ・アムルー)のルポは編集長(フランソワ・マリー・バニエ)の独断で、マルクを中心としたエコロジー特集になってしまう。そんなある日、偶然にマルクの娘ゾエ(ギャラクシー・バルブット)とジュリアンの娘ヴェガ(ジェシカ・シュウィング)が出会って友達となり、ゾエは市長に「文化会館よりみんなが集まって楽しめる広場がいいわ」と訴える。結局、予定地の地盤が弱いことが判明し、建設は中止となった。代わりにジュリアンは広大な土地を開放し、そこは人々の憩いの広場となった。
34-8. デイアフター2020 首都大凍結 (ICE) (吹替)
監督 ニック・コパス
出演 リチャード・ロクスバーグ,
フランシス・オコナー,
クレア・フォーラニ,
ベン・クロス,
サム・ニール
2010年・イギリス、ニュージーランド (ギャガ) 94分
解説
北半球を氷点下50℃の大寒波が襲い、ロンドンでも市民に避難命令が…。科学者はロンドンにいる家族救出に急ぐ!異常気象によるロンドン壊滅を描いたディザスター・パニック! 主演は「サンクタム」「M:I-2」のリチャード・ロクスバーグ、「A.I.」のフランシス・オコナー。監督はニック・コパス。
ストーリー
西暦2020年。地球温暖化が進行し多くの地域で砂漠化。一方、エネルギー危機も深刻化、石油の枯渇は目前だった。そんな中、グリーンランドの氷原で科学者トム(リチャード・ロクスバーグ)は地下で氷が大量に溶けているのを発見。ヘイロー社が北極で行っている石油掘削の影響だと会議で報告し、掘削権の更新をしないよう進言するが、ヘイロー社の顧問弁護士サラ(フランシス・オコナー)に、「因果関係の証拠なし」と指摘され却下される。そんな中、掘削現場では原因不明の爆破事故が…。しかし社長のカバナー(サム・ニール)は掘削の続行を指示する。一方、トムの妻と娘は、トムの父がいるイギリスに滞在していたが、父の農場に移民局の手入れが入り、外国籍の妻が捕まり連行されてしまう。そんなことは知らず、北極で新たな証拠を探すトム。そんな彼にも危機が迫っていた。
34-9. バベル (Babel)
監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演 ブラッド・ピット,
ケイト・ブランシェット,
ガエル・ガルシア・ベルナル,
役所広司,
アドリアナ・バラッザ
2006年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ) 143分 (PG-12)
解説
一発の銃弾をきっかけに、モロッコ、アメリカとメキシコ、日本のドラマが同時進行していく人間ドラマ。ブラッド・ピットや役所広司など各国の俳優たちの競演に注目。
ストーリー
モロッコ。幼い兄弟のアフメッド(サイード・タルカーニ)とユセフ(ブブケ・アイト・エル・カイド)は、親から一挺のライフルを手渡される。試し撃ちとして、ユセフは山道を走るバスを狙って一発の銃弾を放った。その観光バスに乗っていたのが、アメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)。彼らはまだ赤ん坊だった三人目の子供が急死してから、夫婦の絆の亀裂を修復できずにいた。そんな時、ユセフの放った弾丸がスーザンの鎖骨の上に命中する。リチャードは血まみれのスーザンを抱えて医者がいる村へと走った。アメリカに残された彼らの幼い子供たち、兄のマイク(ネイサン・ギャンブル)と妹のデビー(エル・ファニング)は、メキシコ人の乳母アメリア(アドリアナ・バラッザ)に連れられてメキシコに向かう。リチャードとスーザンが帰国できなくなったので、アメリアは息子の結婚式に子供たちを連れていくことにしたのだ。やがて問題のライフルの書類上の所有者が、日本人の会社員ヤスジロー(役所広司)だと判明。彼は最近妻が自殺したことで激しい心労を抱えており、聾唖である高校生の娘チエコ(菊地凛子)との溝が深くなっていた。チエコは友人たちと渋谷で遊び回り、自宅に若い刑事(二階堂智)を呼び出して裸で迫るが、刑事に拒否される。そんな時、息子の結婚式を負えたアメリアは、再び子供たちと国境に向かう。だが飲酒運転がバレた甥のサンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、アメリアと子供たちを砂漠に置き去りにして逃走してしまった。翌朝、灼熱の太陽に意識が薄れていくデビー。泣きながら助けを求めるアメリア。一方、リチャードは衰弱しているスーザンと久々に優しい語らいの時を過ごす。そして日本では、チエコの心の傷に気づいたヤスジローが、久々に娘を抱きしめるのだった。