6-1. 赤毛のアン (1)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-2. 赤毛のアン (2)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-3. 赤毛のアン (3)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-4. 赤毛のアン (4)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-5. 赤毛のアン (5)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの『赤毛のアン』をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-6. 赤毛のアン (6)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-7. 赤毛のアン (7)

監督 ケヴィン・サリヴァン
出演 ミーガン・フォローズコリーン・デューハーストリチャード・ファーンズワース
1986年・カナダ、アメリカ、西ドイツ(松竹富士)

解説
ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアン」をTVムーヴィー化した作品の劇場公開版。エグゼキュティヴ・プロデューサー・製作・監督・脚本はケヴィン・サリヴァン、共同製作はイアン・マクドゥゲル、共同脚本はジョー・ワイゼンフェルド、撮影はルネ・オーハシ、音楽はハーグッド・ハーディが担当。出演はミーガン・フォローズ、コリーン・デューハーストほか。

ストーリー
カナダのプリンス・エドワード島に住むマシュウ(リチャード・ファーンズワース)とマリラ(コリーン・デューハースト)の独身の老兄妹は、農場の跡を継がせるべく、孤児院からやって来る男の子を養子にしようと考えていた。しかしふたりの前に現われたのは赤毛の少女アン(ミーガン・フォローズ)だった。兄妹は、おせっかいであけすけなレイチェル・リンドン夫人(パトリシア・ハミルトン)や、同級生のギルバート(ジョナサン・クロンビー)に、赤毛をひやかされて癇癪を爆発させたアンに手を焼くが、やがてふたりはこの少女が自分たちの生活になくてはならない存在になっていることに気づくのだった。ある日アンは、親友のダイアナ(シュイラー・グラント)を誤って酔っ払わせ、彼女の母親バーリー夫人(ローズマリー・ランドクリフ)から絶交を命じられるが、やがてそれは喉頭炎にかかったダイアナの妹を看病で助け、誤解をとくことで、許されるのだった。その頃アンは、ギルバートへのほのかな思いを抱き始めるが、互いに競争心を募らせ、やがてふたりはクィーン学院に入学し、恋心を確認する。アンが休暇で島に戻ってきたある日、マシュウが死んだ。一人残されたマリラのために、アンは島に残って教師になるつもりであることを告げる。そしてそれを助けたのはギルバートだった。こうしてふたりの間には共に進むべき明るい道が広がるのだった。




6-8. 冬休みの情景

監督 リー・ホンチー(李紅旗)
出演 バイ・ジュンジエジャン・ナーチーバオ・ジンフェン
2010年・中国

解説
中国北部、内モンゴル。今日は冬休み最後の日。思春期の若者たちがなんということもなく集まって過ごしている。時が止まったかのような退屈な日常。新しいことは永遠に起こらないように思えるが、果たして……? 計算された構図の美しい映像と、そこに流れる独特のユーモアが新鮮な中国映画。2010年スイスのロカルノ映画祭で、最高賞である金豹賞を受けた。 脚本・監督のリー・ホンチーは詩人、作家でもあり、「冬休みの情景」は「So Much Rice(好多大米)」(2005)、「Routine Holiday(黄金周)」(2008)に続く長編映画3作目となる。

ストーリー





6-9. ミリキタニの猫

監督 リンダ・ハッテンドーフ
出演 ジミー・ツトム・ミリキタニジャニス・ミリキタニロジャー・シモムラ
2006年・アメリカ(パンドラ)

解説
NYで暮らす80歳の日系人路上画家ジミー・ミリキタニの姿を捉えたドキュメンタリー。第2次大戦中に受けた、彼の心の傷跡をたどる旅を映し出していく。

ストーリー
2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ。世界貿易センターが瓦解し緊張状態に包まれたその日でも、彼は平然と路上で絵筆を動かしていた。彼の名前はジミー・ツトム・ミリキタニ。「戦争ではなくアートを創りだす」をモットーに路上画家をしている80歳の日系人ホームレス。彼自身とその絵にリンダ監督は興味を持ち、彼を自宅に招く。そこで、今まで語られることのなかったミリキタニの数奇な過去を知る。カリフォルニアで生まれ米国籍を持ちながら、戦争中は日系人強制収容所に入れられた。アメリカそのものに抵抗するべく、自ら市民権を捨てた。そのときから彼の反骨人生はスタートした。癒えない傷と怒り、そして平和への願いが、彼が絵を描く原動力となっていった。そこからリンダ監督の家にミリキタニが引っ越してきて、少し奇妙な共同生活がはじまる。インタビューを進めていくと、ミリキタニはこうも言った。9.11テロの後、アラブ系移民に対する迫害や偏見が増していく中、かつてアメリカにも同じようなことがあった、と。少年時代を日本の広島で過ごしたミリキタニは、戦争によって収容所に押し込められ、思い出の街を原爆で失ってしまった──戦争や差別の怖さをよく知っていてもなお、彼は負けることなく、アメリカで生き続ける道を選んだ。路上画家として絵を描く彼の作品には、多くの猫が登場する。もちろん彼が猫好きというのもあるのだが、さらに話を聞いていくうちに、収容所で猫の絵をよくせがんできた少年の思い出が影響していることがわかってくる。




6-10. マザーテレサ 母なることの由来

監督 アン・ペトレー
1986年・アメリカ(ジョイパック・フィルム)

解説
マザー・テレサの、5年間10カ国における精力的な活動と、彼女の生いたちから現在の活動にまで至った経過を描くドキュメンタリー映画。製作・監督はアン・ペトレーとジャネット・ペトレー、撮影はエド・ラックマンとサンディ・シセル、音楽はスザンヌ・シアーニ、語りはリチャード・アッテンボローが担当。46年9月10日、ダージリンヘ向かう汽車の中で、“神の声”を聞いたマザー・テレサは、“貧しい人々の中でも最も貧しい人々”の世話をするために生きることを誓う。彼女が修道服を脱ぎ、サリーを身につけ、僅かなお金と共にカルカッタのスラム街へ入っていったのは48年のこと。映画は、彼女が54年に開いた、誰にも知られず、必要とされることもなく惨めに死んでゆく人々が、安らかな死期を迎えることのできる“死を待つ人の家”での活動と、アメリカや西ベイルートでの献身と祈りを描いて、マザー・テレサという女性の姿を浮き彫りにしてゆく。






6-11. イマジン

監督 アンドリュー・ソルト
出演 ジョン・ブレノンオノ・ヨーコシンシア・レノン
1988年・アメリカ

解説
80年12月8日狂信的なファンの凶弾に倒れたジョン・レノンの生涯を描くドキュメンタリー映画。製作はデイヴィッド・ウォルパー、共同製作・監督・脚本は「ジス・イズ・エルビス」 のアンドリュー・ソルト、共同脚本はサム・イーガン、編集はバド・フリージェンが担当。オノ・ヨーコから提供された大半は未公開であるレノンの生前のフィルムやヴィデオを始めとしたインタヴュー・テープ、写真、作品を基に構成され、ナレーションはレノン自身からなる。作品はソングライターでありアーティストであるジョン・レノンの生涯−−イギリス、リヴァプールでの不遇な少年時代から、史上最高のポピュラー・グループ、ビートルズの結成・解散、ポスト・ビートルズ時代、そして死の時までを、生前のレノンを最もよく知っていた人々であるオノ・ヨーコ、息子のジュリアンとション、先妻のシンシア、そしてレノンの叔母で彼の育ての親でもあるアーント・ミミたちのインタヴューによって浮き彫りにしてゆく。また自宅のスタジオや台所、ヨーコとの寝室にまで入りこむカメラの写し出す映像は、ミュージシャン、ソングライター、芸術家としてだけでなく、活動家、夫、父親としてのレノンのあらゆる側面を効果的に伝えてゆく。

ストーリー





6-12. ウォー・ダンス 響け僕らの鼓動

監督 ショーン・ファイン
出演 ドミニクローズナンシー
2007年・アメリカ(IMAGICA TV)

解説
紛争が続くウガンダの避難民キャンプにある学校の生徒たちが、全国音楽大会での上位入賞を目指して奮闘する姿を描く。2007年アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門候補作。

ストーリー
パトンゴ避難民キャンプには60,000人を超す避難民が生活している。このキャンプ内にある、銃弾で穴だらけにされた学校の壁の内側で、密かに奇跡が起こっていた。愛情と才能に溢れる教師たちの手によって、歌が、踊りが、音楽が子どもたちのもとに戻ってきたのだ。先祖伝来のリズムにのって体を揺らし、足を鳴らし踊る生徒たちの姿。彼らの踊り、それは祖国を思う願い。そして未来への祈り。そして[子どもであるべき時間] を取り戻す儀式だ。「音楽が生徒らの辛い思いを忘れさせてくれる」と教師は言う。が、本当は音楽による癒し以外に、彼が生徒たちに与えられるものがないのだ。「戦争がすべてを奪ってしまった。家、家族、そして子どもたちの夢を。」と彼は嘆く。しかし、この教師は自分が生徒たちに与えた『もの』の重大さに、まだ気づいていない。【全国音楽大会】ウガンダで、この大会を知らない生徒はいないであろう。国中の20,000校を超す学校が参加を賭けて挑む大会。そこでは、歌、踊り、楽器演奏など様々な部門で、生徒たちの技能が審査される。不安定な政治と貧困との命がけの戦いにあけくれるこの国の生徒にとって、大会は喜びと興奮と達成することの充実感を与えてくれる、必要不可欠なイベントである。年に一度行われるこの大会に、北部で最も危険地域とされるパトンゴにある学校が初出場を決めた。紛争地域にあるキャンプ内の学校からの参加が認められたのは歴史上初めてのことであり、記念すべき事件だった。その大事な大会での優勝を目指して、生徒と教師による猛練習が始まった。大会2週間前。首都カンパラから2人の音楽専門家が学校にやって来た。生徒たちのパフォーマンスを全国レベルに引き上げるため、厳しくも愛のある特訓が始まった。音楽教師のジョリーは、伝統舞踊、聖歌合唱、器楽の3部門を重視し、特に練習を重ねる。伝統舞踊は祖先からの大事な文化であり、代々受け継がれていく大切な踊り。伝統舞踊の部門で優勝することは、部族の誇りであり生徒にとっても大きな名誉なのである。生徒たちは、酷暑の中で、埃にまみれて練習に熱中する。南部の恵まれた子どもたちと違って、パトンゴの生徒たちは、制服はリサイクルだし楽器もしばしば手製のものを使う。しかし、才能と情熱、さらには戦争で奪われた人生を取り戻そうという熱意に支えられて練習を続ける。ドミニク、ナンシー、そしてローズ。練習で見せる真剣な眼差しやふと見せる笑顔とは裏腹に、彼らが背負っているものはあまりに悲惨だ。忘れたいであろう過去の悲しい出来事を、彼らは自分に言い聞かせるように語りだす。音楽を通して、彼らは少しずつ変わり始めていた…。何ヶ月にも渡る練習の末、大会の日がやってきた。いざ会場となるカンパラへ。手づくりの衣装と楽器を持ち、武装兵士に守られながらの2日間のバスを乗り継いでの旅路。初めて訪れるカンパラには高層ビルが立ち並び、兵士もいない。その平和な光景も、避難民キャンプから出たことのない子どもたちにとっては、まるで異国。「この子たちは電気を知らないし、水道水も飲んだことがないから」と同行した校長は言う。「キャンプを離れるのはこれが初めて、という生徒がほとんどなのです。」この大会で生徒たちは持てるすべてをぶつけて演じることができるはずだ。勝ち負けは問題外。パトンゴの子どもたちがウガンダ中に、挫けない心を見せつける時がきた。大会では、全国各地から参加する生徒たちのハイレベルなパフォーマンスに圧倒されながらも、奮闘するパトンゴの子どもたち。彼らは全身全霊で技能を披露した。そこには、まるで紛争地域で暮らしていることを感じさせないほど、純粋で子どもらしい笑顔が広がっていた。そして、部族の名誉である伝統舞踊を踊る彼らには、自信が満ち溢れていた。




6-13. ワン・オー・ツー

監督 ケヴィン・リマ
出演 グレン・クローズジェラール・ドパルデューヨアン・グリフィス
2000年・アメリカ(ブエナ ビスタ インターナショナル)

解説
「102」 の日本語吹き替え版。ブチ模様のない1匹のダルメシアン犬が、仲間を助けようと大活躍! 毛皮マニアの怖いオバサン、クルエラの声を前作に引き続き山田邦子が担当。

ストーリー
101匹のダルメシアンと毛皮マニアの クルエラ・デ・ヴィル(グレン・クローズ)の世紀の対決から3年。小犬誘拐の罪で服役中だったクルエラが模範囚として出獄した。刑務所内ですっかり愛犬家になったという彼女は、捨て犬シェルターを支援し、一躍動物愛護のシンボル的な存在となる。だが、ロンドン塔の鐘の音がきっかけで、再び毛皮に執着する邪悪な欲望を目覚めさせたクルエラは、フランス人デザイナーで闇毛皮商人のジャン=ピエール・ルペル(ジェラール・ドパルデュー)と手を組み、究極の毛皮コートを作るため、再びロンドン中のダルメシアンの小犬を狙い始める。この危機を救えるのは、たった1匹、ブチなしのオッドだけ。かくしてオッドは、クルエラに誘拐されパリの毛皮工場へ連れ去られてしまった101匹のダルメシアンを救出するため、列車に飛び乗る。そして国境を越えた102匹の大脱走が始まるのだ った。




6-14. ヤング@ハート

監督 ボブ・シルマン
出演 アイリーン・ホールグローリア・パーカージーン・ハッチ
2007年・イギリス(ピックス)

解説
平均年齢80歳の老人たちによる型破りなコーラス隊の活動を追った音楽ドキュメンタリー。元気いっぱいにロックを歌い上げる彼らの生きる喜びを感動的に映し出す。

ストーリー
アメリカ・マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトン。1982年に“やんちゃな年金生活者たち”こと“ヤング@ハート”と呼ばれるコーラス隊が誕生した。世界中を飛び回るこのシンガーたちは、平均年齢80歳。花形スター、アイリーン・ホールは、ロンドン生まれの92歳。癌を患って3回も手術をした83歳のジョー・ベノアは、医者に止められてもヨーロッパ・ツアーに参加する頑固な歌好き。76歳のスタン・ゴールドマンは、音程がとれなくて指揮者のボブに怒られてもめげることなく課題曲を歌い続ける。そんな彼らが年に1回のコンサートに向けて、ソニック・ユース、ラモーンズ、ボブ・ディラン、トーキング・ヘッズ、ザ・クラッシュらの曲の練習を重ねていく。そんな中、メンバーの一人、76歳のボブ・サルヴィーニがが他界。彼は友人のフレッド・ニトルと共にコールドプレイの“Fix You”を披露する予定だった。さらにその4日後、ジョー・ベノアが亡くなる。その衝撃の大きさにもかかわらず、メンバーたちはショーを開催して亡くなった二人の友人を音楽で追悼することを決意する。そして遂に、歌うことは生きること、生きることが歌うことという彼らのコンサートがはじまった……。




6-15. HACHI 約束の犬

監督 ラッセ・ハルストレム
出演 リチャード・ギアジョアン・アレンサラ・ローマー
2008年・アメリカ(松竹)

解説
日本人にはおなじみの忠犬ハチ公の物語をリチャード・ギアを主演に迎え、ハリウッドで映画化。アメリカ東海岸に舞台を移し、大学教授と彼に拾われた秋田犬との絆を描く。

ストーリー
アメリカ東海岸の郊外。寒い冬の夜、ベッドリッジ駅に降り立った大学教授のパーカー・ウィルソン(リチャード・ギア)は、道に迷っていた秋田犬の子犬を偶然保護する。日本から送られてきたと思われるその子犬の受取人は、いつまでたっても現れない。パーカーは、妻のケイト(ジョーン・アレン)の反対を押し切って、その子犬を飼うことにする。首輪のタグに刻まれていた漢字から“ハチ”と名づけられた子犬は、パーカーの溢れるような愛情を受けて、すくすくと成長していく。いつ頃からか、夕方5時になると、ベッドリッジ駅で帰宅するパーカーを出迎えるのがハチの日課となっていた。その仲睦まじい姿は、駅で働く人々の心も和ませていく。娘のアンディ(サラ・ローマー)の結婚式から孫の誕生まで、幸せな時を過ごすパーカーの横にはいつもハチがいた。1人と一匹の間に育まれた深い愛情と信頼が、ずっと続いていくと思われたある日。パーカーは大学の講義中に倒れ、そのまま息を引き取ってしまう。飼い主を失ったハチは、アンディの家に引き取られるが、やがて姿を消す。そして数日後。夕方5時を迎えたベッドリッジ駅にハチの姿があった。出入りする人々の姿をじっと見つめ、笑顔のパーカーを待ちわびるハチ。翌日も、その翌日も……。季節が変わっても毎日夕方5時になるとハチは姿を現した。町の人々が見守る中、ハチは待ち続けるが……。




6-16. スライディング・ドア

監督 ピーター・ハウィット
出演 グウィネス・パルトロウジョン・ハンナジョン・リンチ
1997年・アメリカ、イギリス(KUZUIエンタープライズ)

解説
電車のドアが閉まった場合と閉まらなかった場合という、ふたつの運命による恋の行方を並行して綴っていくユニークなラヴ・ストーリー。監督・脚本は、「父の祈りを」 などの俳優として知られるピーター・ホーウィット。これが劇映画の長編デビュー作となる。製作は、「トッツィー」「愛と哀しみの果て」 などの監督として知られるシドニー・ポラックとフィリッパ・ブレイスウェイト、ウィリアム・ホルバーグの共同。撮影はレミ・エイドファラシン。音楽はデイヴィッド・ハーシュフェルダー。美術はマリア・ジャーコヴィック。編集は「リービング・ラスベガス」 のジョン・スミス。衣裳デザインはジル・テイラー。出演は「セブン」「大いなる遺産」 のグウィネス・パルトロウ、「フォー・ウエディング」 のジョン・ハンナ、「モル・フランダース」 のジョン・リンチ、「ウォーターワールド」 のジーン・トリプルホーンほか。97年サンダンス映画祭オープニング作品。

ストーリー
ヘレン(グウィネス・パルトロウ)は広告代理店の管理職。作家志望のジェリー(ジョン・リンチ)と同棲している。今日も彼をベッドに残してあわてて出勤するが、遅刻してミーティングに出た途端、クビを言い渡される。最悪の気分で駅に向かった彼女は電車に乗ろうとするが、乗り込む寸前にドアが閉まってしまう。だが、もしこの電車に間に合っていたら? この時からヘレンの人生は、2つの運命に分かれて展開されていく。電車に乗っていた場合……ヘレンは隣に座った男性ジェームズ(ジョン・ハンナ)に話しかけられる。ユーモアたっぷりに励ます彼に慰められたものの、家に帰りついてみればジェリーは昔の恋人リディア(ジーン・トリプルホーン)とベッド・インの最中。ヘレンはショックで家を飛び出し、友人の家に転がり込んだ。そして偶然とあるバーでジェームズと再会し、彼の助言でヘレンは小さな事務所を構えて成功する。こうして2人は仲を深めていくが、実はジェームズには妻がいた。それにショックを受けるヘレンだが、妻とは離婚の手続き中だというジェームズを信じ、彼のもとへ走り出す。が、その時、車が彼女を跳ね飛ばす。病院に運ばれたヘレンは命を失ってしまった。一方、電車に乗れなかった場合……ヘレンが不機嫌そうに帰宅すると、ジェリーはあわてて浮気の跡を隠していた。ジェリーの浮気を知らないヘレンは、ウェイトレスとして働き始めるが、冴えない日々。やがてジェリーの浮気に気づき、ショックで階段から転げ落ち、病院に運ばれる。無事ケガは回復するが、ジェリーとは別れを決意する。そしてヘレンは退院し、病院のエレベーターに乗り込んだ。そこにいたのは電車に乗っていた場合のヘレンを失って意気消沈している、あのジェームズであった。




6-17. 泥棒成金

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ケーリー・グラントグレース・ケリージェシー・ロイス・ランディス
1955年・アメリカ

解説
デイヴィッド・ドッジの探偵小説を「裏窓」 のジョン・マイケル ・ヘイスが脚色し、同じくアルフレッド・ヒッチコックが監督、「私は告白する」 のロバート・バークスが撮影を担当する。主なる出演者は「汚名」 のケーリー・グラント、「喝采」 のグレイス・ケリー、「麗しのサブリナ」 のジョン・ウィリアムズ、「悪魔のような女」 のチャールズ・ヴァネル、「巴里の空の下セーヌは流れる」 のブリジット・オーベール、「愚かなり我が心」 のジェーン・ロイス・ランディスなど。1955年作品。

ストーリー
パリの大警視ルピックが南仏リヴィエラにやってきたのは、戦前 「猫」と異名をとった、稀代の宝石泥棒のジョン・ロビー(ケーリー・グラント)がまたまた活躍をはじめたという情報が入ったからであった。しかし当のロビーは、戦後は堅気になり、リヴィエラに別荘を買いこんで呑気な暮しをしていたので、急に警官に追われる身となり、おどろいてしまった。彼は旧友のベルタニ(チャールズ・ヴァネル)の経営する料理店に相談に行った。ベルタニとロビーは、第二次大戦中、ドイツの飛行機により爆撃されたフランスの刑務所から脱走した仲間同志であった。ベルタニの指示でロビーはニースに行き、そこで保険会社の調査員ヒュースンに会った。ヒュースンはロビーに宝石気違いの母親と一緒に来ているアメリカ娘、フランセス・スティーヴンス(グレイス・ケリー)を紹介した。ロビーは木材商バーンズという仮名を使っていた。彼はフランセスに一目で参ってしまった。ロビーはヒュースンの会社の保険契約の名簿から南仏の金持の名前を調べあげた。「猫」が彼等の持つ宝石に目をつけて行動をはじめれば、その正体をあばくことができると考えたのである。ロビーをドライヴに連れ出した彼女は、自動車の上で彼の正体をあばいた。彼女は彼の本名を知っていたのだ。ある日、フランセスの母親の宝石が盗まれた。彼女のロビーに対する態度は冷たくなった。ロビーはそのうちにベルタニが犯人であることを臭ぎつけた。ベルタニはロビーを殺そうとして間違って部下の1人を殺してしまった。やがてサンフォード家の仮装舞踏会の夜、ロビーは集まる紳士淑女の宝石を狙う「猫」の手下を捕えた。賊の口からベルタニの名が叫ばれた。「猫」は捕えられた。ロビーとフランセスは結ばれた。




6-18. フレンジー

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ジョン・フィンチアレック・マッコーウェンバリー・フォスター
1972年・アメリカ(ユニヴァーサル=CIC)

解説
アルフレッド・ヒッチコック監督が、生まれ故郷のロンドンに帰ってつくったサスペンス編。製作・監督はアルフレッド・ヒッチコック。アーサー・ラ・バーンの原作をアンソニー・シェーファーが脚色。撮影はギル・テイラー、音楽はロン・グッドウィン、編集はジョン・シンプソンが各々担当。出演はジョン・フィンチ、アレック・マッコーエン、バリー・フォスター、バーバラ・リー・ハント、アンナ・マッセイ、ヴィヴィアン・マーチャントなど。

ストーリー
ロンドンを流れるテムズ河岸に、首に縞柄のネクタイをまきつけた全裸の女の死体が打ちあげられた。その頃、リチャード・ブラニー(ジョン・フィンチ)は勤め先の酒場をクビになり、友人のラスク(バリー・フォスター)のところにやってきた。それから2年前に離婚したブレンダ(バーバラ・リー・ハント)の経営する結婚相談所にきて、自分の不遇を訴えた。翌日、ブレンダのオフィスにロビンソンという偽名を使ってラスクがやってきてブレンダを凌辱し、ネクタイで絞殺した。ラスクが帰って数分後、ブラニーが訪れたが、鍵がかかっていたため引き返そうとする姿をブレンダの秘書が目撃した。そのために彼は殺人犯として追われる身になった。ブラニーは酒場で一緒に働いていたバブスを誘ってホテルに泊まったが、支配人に通報され危機一髪で脱出した。その途中、戦友のポーターに会いパリ行きを持ちかけられ、翌日ビクトリア駅で落ちあうことにした。酒場をやめたバブスは、ラスクに自分の部屋があくから自由に使えと勧められ、彼女もラスクの手によってネクタイで絞殺された。彼は、バブスの死体をジャガイモ袋につめてトラックに投げ込んだが、殺す間際にネクタイピンをもぎとられたことを知り、発車したトラックに飛び乗った。かろうじてトラックを脱すると、開かれた袋からジャガイモが続々ころがり、深夜の路上にバブスの裸の死体が転がり落ちた。オックスフォード警察は続々証拠固めを進め、ブラニーを追っていた。バブスが殺されたことを知り、戦友からも見はなされたブラニーは救いをラスクに求め、青果市場へやってくる。ラスクはブラニーを自分の部屋にかくまい、彼のバッグにバブスの服をつめ、警察に密告した。ブラニーの無罪は立証できず判決を受けるが、オックスフォード警部は、最後まで“覚えていろラスク”とわめき続けるブラニーを思いだし、何かしっくりこなかった。刑務所内で頭を打って病院に送られたブラニーは、ラスクに復讐するために病院を脱走。この頃ラスクを調べ、証拠をつかみ始めた警部は、ブラニーの脱走を聞きラスクのアパートに向かった。ブラニーは、ラスクのベッドを鉄棒でなぐりつけた。しかし毛布の下には全裸の女の死体があるだけだった。警部が部屋に足をふみ入れる。その時、死体をつめ込むために箱を持ってきたラスクが部屋に入ってくる……。これでやっとブラニーは無罪が立証され、晴れて自由の身になった。




6-19. ひまわり

監督 ヴィットリオ・デ・シーカ
出演 ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニリュドミラ・サベーリエワ
1970年・イタリア(ブエナ ビスタ)

解説
ソフィア・ローレン&マルチェロ・マストロヤンニ主演の不朽のメロドラマ。戦争によって引き裂かれた夫婦の悲恋物語を、ヘンリー・マンシーニによる情感豊かな音楽が哀感たっぷりに盛り上げ涙を誘う。

ストーリー
貧しいお針子のジョバンナ(S・ローレン)と電気技師のアントニオ(M・マストロヤンニ)は、ベスビアス火山をあおぐ、美しいナポリの海岸で出逢い、恋におちた。だが、その二人の上に、第二次大戦の暗い影がおちはじめた。ナポリで結婚式をあげた二人は、新婚旅行の計画を立てたが、アントニオの徴兵日まで、一四日間しか残されていなかった。思いあまった末、アントニオは精神病を装い、徴兵を逃れようとしたが、夢破ぶられ、そのために、酷寒のソ連戦線に送られてしまった。前線では、ソ連の厳寒の中で、イタリア兵が次々と倒れていった。アントニオも死の一歩手前までいったが、ソ連娘マーシャ(L・サベーリエワ)に助けられた。年月は過ぎ、一人イタリアに残され、アントニオの母(A・カレナ)と淋しく暮していたジョバンナのもとへ、夫の行方不明という、通知が届いた。これを信じきれない彼女は、最後にアントニオに会ったという復員兵(G・オノラト)の話を聞き、ソ連へ出かける決意を固めるのだった。異国の地モスクワにおりたった彼女は、おそってくる不安にもめげす、アントニオを探しつづけた。そして何日目かに、彼女は、モスクワ郊外の住宅地で、一人の清楚な女性に声をかけた。この女性こそ今はアントニオと結婚し、子供までもうけたマーシャであった。すべてを察したジョバンナは、引き裂かれるような衝撃を受けて、よろめく足どりのまま、ひとり駅へ向った。逃げるように汽車にとびのった彼女だったが、それを務めから戻ったアントニオが見てしまった。ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過したが、ある嵐の夜、アントニオから電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で、苦しみぬき、いまマーシャのはからいでイタリアにやってきたとのことだった。まよったあげく、二人はついに再会した。しかし、二人の感情のすれ違いは、どうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレ(G・ロンゴ)の話と、二人の間に出来た赤ん坊(C・ポンテイ・ジュニア)を見せられたアントニオは、別離の時が来たことを知るのだった。翌日、モスクワ行の汽車にのるアントニオを、ジョバンナは見送りに来た。万感の思いを胸に去って行く彼を見おくるこのホームは、何年か前に、やはり彼女が戦場へおもむく若き夫を見送った、そのホームだった。




6-20. 戦場にかける橋  

監督 デイヴィッド・リーン
出演 ウィリアム・ホールデンアレック・ギネスジャック・ホーキンス
1957年・アメリカ(コロムビア)

解説
第2次大戦下、タイ、ビルマ国境の日本軍捕虜収容所を舞台に日英両軍兵士の人間愛を描いた一篇。フランスの作家ピエール・ブウルの小説「クワイ河の橋」 を原作に、ブウルと作家のカルダー・ウィリンガム、それに「旅情」 のデイヴィッド・リーンが脚色を書き、リーンが監督した。撮影監督は「追想」 のジャック・ヒルドヤード、音楽は「嵐の中の青春」 のマルコム・アーノルド。主演は「ロケットパイロット」 のウィリアム・ホールデン、「白鳥(1956)」 のアレック・ギネス、「ピラミッド(1955)」 のジャック・ホーキンス、「東京暗黒街 竹の家」 の早川雪洲。

ストーリー
第2次大戦下のビルマ・タイ国境近くにある日本軍捕虜収容所。所長の斎藤大佐(早川雪洲)は教養の深い武人だった。ここに収容されているアメリカの海軍少佐シアーズ(ウィリアム・ホールデン)らは激しい労役に脱出の機会を狙っていたが、そんなある日、収容所にニコルスン大佐(アレック・ギネス)を隊長とする英軍捕虜の一隊が送られてきた。バンコック・ラングーン間を結ぶ泰緬鉄道を貫通させるためクライ河に橋梁を建設せよとの命が司令部から斎藤大佐に下り、その労役に送られてきた捕虜である。橋梁完成期日は5月12日、日は幾ばくもない。斎藤大佐は捕虜全員に労役を命じた。が、ニコルスン大佐はジュネーブ協定に背反すると将校の労役従事を拒否したため、営倉に監禁された。その夜シアーズは仲間2人と脱走し、1人だけ助かってコロンボの英軍病院に収容された。一方、収容所では担当者の三浦中尉の工事指導が拙劣なためと捕虜のサボタージュのため架橋工事が遅れていた。斎藤大佐は焦慮の余りニコルスンら将校の翻意を促したが彼らは応じない。やがて3月10日、陸軍記念日となった。斎藤大佐はニコルスンらの頑固さに負け、彼らの恩赦を伝えた。ところがこのとき、意外にもニコルスンは自ら架橋工事に当ろうと申し出た。彼は、サボタージュが軍紀の弛みだとみて捕虜たちに建設の喜びを与えることによって本来の軍人の姿へ鍛え直そうと考えたのである。そして架橋方法にも積極的な意見を述べた。架橋の主導権はニコルスンに移った。期日までに橋を完成するために、斎藤大佐はあえてその屈辱に甘んじた。その頃英軍病院にいるシアーズのもとにワーデン(ジャック・ホーキンズ)という英軍少佐が訪れ、意外な申し入れをした。バンコックーラングーン間の橋が完成、鉄道が敷かれれば日本軍はインドへ迫るだろうし、それを阻止するためには落下傘で挺身隊を降下させ橋を爆破するより方法がない。シアーズに道案内を頼む、というのである。シアーズは、ワーデンの説得を承知した。ワーデン、チャップマン、ジョイス、シアーズの4人からなる橋梁爆破挺身隊は輸送機からタイの密林地帯に降下した。この時チャップマンは巨木に激突、落命した。残る3人は難行軍を続けた。携帯ラジオで、橋は5月12日に完成、13日には初列車がクワイ河を渡るとの日本軍の情報を知った。事実、クワイ河の架橋工事は進み、捕虜兵士の士気は上がり、彼らは橋梁建設に生きる意義を見出していた。ニコルスンはこの橋に英軍の誇りをかけていた。5月12日がきた、夕刻、ワーデンら挺身隊はクワイ河を見下ろす陸の上に辿りついた。夕陽に映えて巨大な橋が見事完成されていた。夜影に乗じ、ジョイスは橋脚に爆薬を装置、シアーズとワーデンは迫撃砲を備えて彼を援護、橋梁爆破の準備はなった。朝がきた。斎藤大佐とニコルスンは最後の点検にと橋を上へ上った。そのとき、ニコルスンは橋脚の爆薬を発見した。と、その矢先斎藤大佐はジョイスに後から刺し殺された。折しも列車の汽笛が聞こえた。ジョイスは発火装置に迫ろうとしたがニコルスンに遮られた。シアーズがジョイスを助けるため出てきたがジョイスとともに、日本兵に射殺された。その瞬間、丘の上のワーデンが放った迫撃砲の1弾はニコルスンの傍らに落下、ニコルスンの体は発火装置の上に崩折れた。捕虜たちが苦心の末に完成した橋は列車とともに粉砕した。ゆるやかに流れるクワイ河の水面に、「本橋梁は英軍将士によって建造されたものなり」と書いた1枚の板が漂うばかり……。




6-21. ベリッシマ

監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 アンナ・マニャーニワルター・キアーリティーナ・アピチッラ
1951年・イタリア(日本ヘラルド映画)

解説
ローマの下町を舞台にわが子を映画スターにしようと奔走する母親の夢と絶望を描く。製作はサルヴォ・ダンジェロ、監督は「ルードウィヒ 神々の黄昏」 のルキノ・ヴィスコンティ。チェザーレ・ザヴァッティーニの原作を基にスーゾ・チェッキ・ダミーコ、フランチェスコ・ロージ、ヴィスコンティが脚色。撮影はピエロ・ポルタルーピとポール・ロナルド、音楽はフランコ・マンニーノ、編集はマリオ・セランドレイ、衣裳はピエロ・トージ、助監督はフランチェスコ・ロージとフランコ・ゼフィレッリが各々担当。出演はアンナ・マニャーニ、ワルター・キアーリ、ティーナ・アピチッラなどの他、監督役としてアレッサンドロ・ブラゼッティ監督が特別出演。

ストーリー
ローマ郊外の名高い撮影所チネチッタでは、ある映画会社が募集した子役少女のコンテストが行なわれている。わが子を未来のスターにと夢見る母親たちが娘を伴ってつめかけ、行列をなして順番を待っていた。マッダレーナ(アンナ・マニャーニ)も、そんな涙ぐましい母親のひとりだ。彼女は、大の映画ファンで、野外上映されているハリウッド映画を見ては、スターたちに憧れ、ぐうたらな亭主との貧しい生活の中で、わずかながらの楽しみを味わっていたのだ。チャンスとばかり、娘マリア(ティーナ・アピチッラ)をスターにするための彼女のあらゆる努力が開始した。女優だったという派手な女性の演技指導を受けたり、衣裳を購入したり、果ては撮影所の下っぱを務めるアルバート(ワルター・キアーリ)をコネにつけようと近づくが、調子にのった彼が彼女を誘惑すると、ぴしっとつき放つマッダレーナ。見事第一次選考を通過したマリアだったが、第二次選考では、カメラを前にして泣きだしてしまう。そのフィルムを見て監督たちスタッフが笑いころげている様子を試写室の裏から見たマッダレーナは、その時はじめて、自分のしてきたことの愚かさを悟った。マリアを連れてチネチッタ撮影所を出たマッダレーナは、人のいない夜の道をとぼとぼと歩き、ベンチに坐って眠りこけるマリアを抱いてしみじみ泣いた。しかし、撮影所では、なんとそのマリアが一位に選ばれ、助手らがその知らせを伝えにマッダレーナの家を訪れていた。そこヘ彼女が帰ってくるが、彼女は契約書にはサインせず、大事な娘を非情な大人たちの手には渡せないときっぱりと言った。そして、疲れきった身体をベッドに横たえた。そんな彼女を夫はあたたかく抱擁するのだった。




6-22. ダントン

監督 アンジェイ・ワイダ
出演 ジェラール・ドパルデューヴォイツェフ・プショニャックパトリス・シェロー
1982年・ポーランド、フランス(ヘラルド・エース)

解説
フランス革命の中心的人物、ダントンとロべスピエールのそれぞれの〈革命〉における信念と葛藤を描く。製作はアラン・ドパルデュー、監督は「戦いのあとの風景」 のアンジェイ・ワイダ。女流作家スタニスワヴァ・プシビシェフスカ原作の「ダントン事件」を基にブニュエル作品などでおなじみのジャン・クロード・カリエールが脚色、A・ワイダ、アグニエシュカ・ホランド、ボレスワフ・ミハレク、ヤツェク・ガシオロフスキが脚本協力として加わっている。撮影はイゴール・ルター、音楽はジャン・プロドロミデス、美術はアラン・スタルスキ、編集はアリナ・プリュガル・ケトリング、衣装はイヴォンヌ・サシノー・ド・ネスルが担当。主演はジェラール・ドパルデュー。ヴォイツェフ・プショニャック、パトリス・シェロー、ロジェ・プランション、ジャック・ヴィルレ、アンゲラ・ヴィンクラー、ボグスワフ・リンダなど。

ストーリー
1793年、夏。イギリス、オランダなど対仏同盟を結んだヨーロッパ諸国との戦争で混乱状態にあったフランスは国内では革命派の分裂、王党派の反乱などといった大きな悩みをかかえていた。九月五日、革命の敵を制圧するためにロべスピエール(ヴォイツェフ・プショニャック)中心の公安委員会は、恐怖政治を行ないはじめた。この時以来、政治非常処置の権限を持った公安委員会は、ギロチンにかける処刑者を増やし、犯罪者、穏健派などが次々にギロチンの犠牲になっていた。マリー・アントワネットまでが処刑され、一時的に政治から離れていたダントン(ジェラール・ドパルデュー)が革命に不安を抱き、パリに戻った。パリの民衆は彼を大歓迎した。その中に彼の親友でジャーナリストのカミーユ・デムーラン(パトリス・シェロー)がいた。彼はダントンと共に『ヴュー・コルドリエ』紙を発行し、〈平和〉を主張した。食料不足で苦しむ民衆は、ダントンの現実的な政策に傾いていった。しかし、ロべスピエールと公安委員会は、ダントンと正反対の政策を考えていた。勝利による終戦、さらに彼らに反対する敵対分子の一掃による革命の遂行だった。ダントンとロべスピエールの距離はどんどん広がっていった。二人はすべてに対する考え方が反対だった。1794年3月。ダントンは、国民公会で協調精神の必要性を熱弁した。そして二人の決定的な対立の前に、最後の和解を賭けてホテルの一室で会った。しかし、それは、二人の絶対的な対立を改めて決定的にする会合に終わった。ロべスピエールはその場を去った。3月30日、ロベスピエール独裁を打ちたてようと、公安委員会に集まったサン・ジュスト(ボグスワフ・リンダ)らは、ダントン逮捕を打ちたてる。公安委員会から派遣された軍隊が、たちどころにダントン、デムーラン、フィリポー(S・セルラン)ら、ダントン派を逮捕した。4月2日からダントン派を裁く革命裁判が開始された。裁判官フーキエ(ロジェ・プランション)は、「政府に対する陰謀を企んだ」という罪でダントンたちを告発。それに対しダントンは民衆に語りかけた。「私は民衆の幸福と正義を望んでいるのだ」。傍聴人たちはダントンを支持したが、裁判官たちは慌てた。さらにダントンの熱弁は続いた。事態に驚いたロベスピエールは、新たな法令を設けてその発言を禁止してしまう。ダントン派の運命は決まった。1794年4月5日、ダントンらは革命広場でギロチンにかけられた。それから二カ月後、ダントンが処刑前に予言したとうり、恐怖政治は終わり、ロべスピエールらは処刑されるのだった。




6-23. サクリファイス

監督 アンドレイ・タルコフスキー
出演 エルランド・ヨセフソンスーザン・フリートウッドアラン・エドヴァル
1986年・スウェーデン、アメリカ、フランス(フランス映画社)

解説
言葉を話せなかった少年が話せるようになるまでの1日を、その少年の父の行動を通して描く。製作はカティンカ・ファラゴー、エグゼキュティヴ・プロデューサーは、アンナ・レーナ・ウィボム、監督・脚本は「ノスタルジア」 のアンドレイ・タルコフスキーで、これが彼の遺作(86年死去)となった。撮影はスヴェン・ニクヴィスト、音楽はJ・S・バッハ(マタイ受難曲BWV244第47曲)他スウェーデン民族音楽と海音道宗祖の法竹音楽 、美術はアンナ・アスプ、編集はタルコフスキーとミハウ・レシチロフスキーが担当。出演はエルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッドほか。

ストーリー
スウェーデンの南、バルト海をのぞむゴトランド島。誕生日を迎えたアレクサンデル(エルランド・ヨセフソン)が息子の少年(トミー・チェルクヴィスト)と枯れた松の木を植えている。かつて「白痴」のムイシキン公爵の役等で大成功をおさめた名優だったアレクサンデルは今は評論家、大学教授として島で静かに暮らしている。「昔、師の命を守って3年間、若い僧が水をやり続けると、枯木が甦った」という伝説を子供に語るアレクサンデル。そこに郵便夫オットー(アラン・エドヴァル)が祝電をもってやってくる。無神論者というアレクサンデルに、オットーは、ニーチェの永却回帰の話をもちだす。喉の手術をしたばかりの少年は、言葉が言えない。親友の医師ヴィクトル(スヴェン・ヴォルテル)を案内して妻のアデライデ(スーザン・フリートウッド)が来るが、アレクサンデルは子供との散歩を続け独白をくり返す。ヴィクトルのプレゼントのルブリョフのイコン画集にみとれるアレクサンデル。妻は、舞台の名声を捨てた夫に不満をもっている。娘のマルタ(フィリッパ・フランセン)も、小間使のジュリア(ヴァレリー・メレッス)も魔女と噂される召使いのマリア(グドルン・ギスラドッティル)も、夫婦の不仲には慣れている。急に姿が見えなくなった子供を探していたアレクサンデルは、突然失神する。白夜の戸外。アレクサンドルは、自分の家とそっくりな小さな家を見つける。通りかかったマリアが、自分で作ったのだという。子供は2階で眠っていた。アレクサンデルが階下へ降りると、テレビでは核戦争の非常事態発生のニュースを報じているが、途中で通信が途絶えた。電話も電気も通じない。パニックに陥る人々。いつも自分の願望とは逆な結果に終わってきたと嘆くアデライデ。子供に気を使う小間使のジュリアを、感謝の気持ちを込めて抱き寄せる彼女。アレクサンデルはヴィクトルのカバンの中にピストルをみつける。隣室ではヴィクトルを誘って服をぬぐマルタ。アレクサンデルの口から、初めて神への願いが発せられる。「愛する人々を救って下さい。家も、家族も、子供も、言葉もすべて捨てます」と誓う。ソファーに眠り込んだアレクサンデルをオットーが起こしにくる。そして彼は、マリアの家に行き愛せ、という。マリアを訪れたアレクサンデルは、彼女に母の思い出を話し、抱き合った。朝、目ざめたアレクサンデルは、光の中、神との契約を守るべく、自らを犠牲に捧げる儀式をはじめた。




6-24. 海の牙

監督 ルネ・クレマン
出演 マルセル・ダリオポール・ベルナールアンリ・ヴィダル
1947年・フランス

解説
抗戦映画の傑作と称せられる「鉄路の戦い」 を作ったルネ・クレマンが戦後監督した作品で、「どん底」 の脚色者ジャック・コンパネーズがヴィクトル・アレクザンドロフと協力執筆したストーリーを、クレマンがジャック・レミーと協力脚色し、「望郷(1937)」「格子なき牢獄」 のアンリ・ジャンソンが台詞を書いている。撮影は「美女と野獣」 のアンリ・アルカンが指揮し、音楽はイヴ・ボードリエが作編曲している。出演者は「あらし(1939)」 のマルセル・ダリオ、「高原の情熱」 のポール・ベルナール、新進のアンリ・ヴィダル、「リビア白騎隊」 のフォスコ・ジアケッチ、フロランス・マルリイ、ミシェル・オークレール、新人アンヌ・カンピオン、ジャン・ディディエら。

ストーリー
今次大戦の末期、ドイツの一潜水艦がオスロの基地を出発した。秘密の命令を帯びたフォン・ハウザー将軍、ゲシュタポのフォルスター、その部下のウイリイ、イタリア人のガローシ、その妻で将軍の妾であるヒルデ、ノルウエーの学者エリックセン、その娘イングリッド、フランスの新聞記者クーテュリエらが乗っている。潜艦は敵に遭遇し、短い戦闘をまじえて危地を脱したがヒルデがかなりの重傷を負った。軍医がいないので、その夜フランスの海岸から、一人の医師を無理に連れて来る。医者はギベールといい、ヒルデを介抱するのにも潜艦は南米へ向け走りつづけた。ギベールはヒルデが全快した時、自分は殺されるのだと覚悟する。航海は続けられて潜艦生活になれない客人達は、神経異常となり、中にもヒルデは夫のガローシを面はする有様である。ラジオでベルリン陥落、ヒットラー死亡の報を得るや、絶望したガローシは投身自殺した。燃料が尽きかけた時、艦は南米の某小港に到着した。フォルスターはウイリイを遣し、ラルガに連絡させた。ところがドイツが降伏したので、ラルガは何の指令も受取っておらぬから油はないと、シラを切った。ウイリイも脱走しようとしたが、フォルスターにつかまり、二人はラルガを事務所に訪れ、その場でウイリイはラルガを射殺させられた。潜水艦が出航準備中、クーテュリェも逃亡を企てたが、フォルスターに射殺された。エリックセンも娘イングリッドを残したまま、ゴム製救命艇で逃げ出した。燃料不足のまま潜艦は出港し、何も知らぬ乗組員は最初に出合った船から燃料を奪い、その時はじめてドイツ降伏の事実を知った。将軍等はその船に捕虜として乗うつったが、フォルスターはナチ狂信者の本領を発揮し、その船を撃沈してしまう。ところが潜艦内でも暴動が起り、フォルスターはウイリイに殺され、ギベエルはなぐられて失神した。生き残った乗組員は燃料のない潜艦をすて、ウイリイ、イングリッドと共にボートに乗った。眼が覚めるとギベエルは、ただ一人潜艦に乗っていた、かくて漂流十二日、飢渇で死にひんした時英国船に出合って救われた。ボートで逃れた連中の生死は全く不明であった。




6-25. ライムライト

監督 チャールズ・チャップリン
出演 チャールズ・チャップリンクレア・ブルームナイジェル・ブルース
1952年・アメリカ(ヘラルド)

解説
チャップリンの殺人狂時代」に次ぐチャールズ・チャップリン作品で、自ら原作脚色監督主演したもの。撮影はカール・ストラッス、編曲はレイ・ラッシュの担当。出演者は英国生まれのクレア・ブルーム、チャップリンの息子チャールズ・チャップリン・ジュニアとシドニー・チャップリン、喜劇俳優バスター・キートンほか。

ストーリー
第一次大戦前、ロンドンでの物語である。カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)はミュージック・ホールの道化師で、かつてはイギリス最大の芸風を謳われたが、中年をすぎた今はすっかり落ちぶれてしまった。ある日、彼が酔ってアパートに帰ってみると、美しい女が自殺を企てて意識不明になって倒れていた。カルヴェロは大急ぎで医者を呼び彼女を手当てしたので幸い息を吹きかえした。彼はその女がすっかり回復するまで自室におくことにした。女はテリー(クレア・ブルーム)というバレエの踊り子で、自分の芸術に見限りをつけてしまったのだ。彼女はもう踊ることも歩くことも出来ないといい、生きる希望を全く失っていた。カルヴェロは彼女を励まし、生きるために闘わなければいけないと力説した。しかしカルヴェロが舞台にカムバックしようとして失敗したとき、テリーは再び歩くことが出来るようになり、かえってカルヴェロの失敗をはげますのだった。テリーは有名なエンパイア劇場にバレエ・ダンサーの職を得た。そして半年もたたぬうちに座主と監督に認められて、新作バレエの第一ダンサーになることが出来た。そのバレエは若い作曲家ネヴィル(シドニー・チャップリン)の作で、バレエもテリーも大好評を博した。ネヴィルはテリーに全く惚れ込んでしまったが、彼女は完全にカルヴェロに傾倒しており、彼に愛を打明けて結婚しようといいだした。しかし、カルヴェロは2人の齢の差や、自分が下り坂であるのにテリーはいまこそ順境にあることを説いて、2人の結婚など馬鹿げたことだといい、彼女のもとを離れて辻音楽師に落ちぶれて行った。テリーは欧州興行の旅にのぼり各地で絶賛を博した。その間に世界大戦が起こりネヴィルは出征した。テリーとネヴィルが再びロンドンに帰ってから、2人は会う瀬を重ねたが、やはりテリーにはカルヴェロが忘れられなかった。ある日テリーは街路でカルヴェロに会い、むかしの恩人を救おうと彼をエンパイア劇場の舞台に立てるように取り計らってやった。再生の舞台でカルヴェロは昔通りの珍芸を見せた。それは彼のこの世における最後の努力だった。彼は熱演のあまり舞台からころげ落ち致命傷を負って舞台の袖に運ばれた。そして何も知らぬテリーが華やかな脚光を浴びて踊りまくると舞台をみとりつつ息を引きとった。




6-26. ココ・シャネル

監督 クリスチャン・デュゲイ
出演 バルボラ・ボブローヴァブリジット・ブーシュヴァレンティーナ・カルネルッティ
2008年・アメリカ、イタリア、フランス(ピックス)

解説
世界に名を馳せるデザイナーの生きざまを、名優シャーリー・マクレーンが熱演。ファッションへの野心と才気あふれるカリスマ性に加え、愛に生きた女性としての姿も胸に迫る。

ストーリー
1954年、パリ。男性の下着に使われていたジャージー素材で作ったドレスや、リトル・ブラックドレス、ツイード素材のスーツ、香水“シャネルNo.5”などを発表し、ファッション界を牽引していたココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)は、第二次世界大戦のために中断していたコレクションを再開する。しかし、彼女のオートクチュール店に詰めかけた評論家や顧客たちは、“過去から脱却できていない”と復帰コレクションを酷評する。失意のココは、自分の半生を振り返る。彼女の孤独な日々は、1895年、裁縫で生計を立てていた母の死によってもたらされた。生きる手だてを失った12歳のココは、妹とともに修道院に預けられ、孤児として生きることを余儀なくされる。その後、18歳でお針子となり、帽子デザイナーを経て、ファッションデザイナーとしての道を歩き出す。ファッションデザイナーとして現在の地位を手に入れるまでの道のりは、彼女を奮い立たせ、支え、勇気づけてくれた愛の思い出に彩られた日々でもあった。最初の恋人エチエンヌと暮らしたロワイヤリュでの生活、最愛の男・ボーイ・カベルとの悲恋を回想するココは、デザイナーとしての再起を誓う。




6-27. ビッグ・ウェンズデー

監督 ジョン・ミリアス
出演 ジャン・マイケル・ヴィンセントウィリアム・カットゲイリー・ビジー
1978年・アメリカ(ワーナー・ブラザース映画)

解説
1960年代のカリフォルニアを舞台に、サーフィンを通じて結ばれた男たちの友情を中心に1つの青春を描く。製作総指揮はアレックス・ローズとタマラ・アセイブ、製作はバズ・フェイシャンズ、監督は「風とライオン」 のジョン・ミリアス、脚本はジョン・ミリアスとデニス・アーバーグ、撮影はブルース・サーティーズ、音楽はペイジル・ポリドウリス、編集はロバート・L・ウォルフ、製作デザインはチャールズ・ローゼンが各々担当。出演はジャン=マイケル・ビンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジー、パティ・ダーバンヴィル、リー・パーセル、サム・メルビルなど。

ストーリー
1960年代初め、カリフォルニアの海辺の町にはマット(ジャン=マイケル・ビンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲイリー・ビジー)を中心とする若者たちが、サーフィンを通じてグループを作っていた。彼らの夢は水曜日にやって来るという世界最大の波ビッグ・ウェンズデーに挑戦することだつた。ボイント岬で最高のサーファーといわれるマットは、待ってもなかなかやってこないビッグ・ウェンズデーにいらいらし、酒に溺れることもしばしばで、ジャック、リロイの友情と、心優しい娘ペギー(リー・バーセル)によって、何度も立ち直りのチャンスを与えられていた。1960年代も半ば、彼らにもベトナム戦争のための懲兵令状がきた。グループの大半が懲兵を免れようとしている中で、優等生のジャックは懲兵検査を受け、ベトナムへと赴任していった。ジャックの歓送会は盛大に行なわれ、マットもリロイもペギーも、そして恋人のサリー(パティ・ダーバンヴィル)も泣いた。1960年代も終り、ジャックが帰って来た。ベトナム戦争は暗く大きな傷を残しており、サリーはすでに結婚していた。そして1970年代の半ば、彼らが待ちに待ったその日がやってきた。マットは特製のロング・ボードをかかえ浜辺におりた。多くのサーファーたちがビッグ・ウェンズデーに挑戦する中、久しぶりに懐かしい青春の浜辺で顔を合わせたジャック、リロイ、マットの3人は無言のまま再会を喜び、サーフ・ボードに乗って波に向かったのだった。




6-28. ブレード・ランナー

監督 リドリー・スコット
出演 ハリソン・フォードルトガー・ハウアーショーン・ヤング
1982年・アメリカ(ワーナー・ブラザース映画)

解説
近未来のLAを舞台にして、人造人間と人間との戦いをフィルム・ノワール調で描くSF映画。ジェリー・ペレンチノ、バッド・ヨーキン提供。アメリカでは、ラッド・カンパニーがサー・ラン・ラン・ショウの協力を得て、WBを通じて配給。マイケル・ディーリーが製作し、「エイリアン」 のリドリー・スコットが監督、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 (早川書房)に基づき、ハンプトン・ファンチャーとデイヴィッド・ピープルズが脚色した。製作指揮はブライアン・ケリーとハンプトン・ファンチャー、撮影はジョーダン・クローネンウェス、音楽はヴァンゲリス、特殊視覚効果監修はダグラス・トランブル、リチャード・ユーリシッチ、デイヴィッド・ドライヤーが担当。出演はハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモスなど。

ストーリー
2019年。この頃、地球人は宇宙へ進出し、残された人々は高層ビルの林立する都市に住んでいた。休みなく雨が降っているロサンゼルスでは東洋系を始めとして、さまざまな人々がうごめいていた。その1人デッカード(ハリソン・フォード)は、ガフ(エドワード・ジェームズ・オルモス)と名乗る男に本署へ連れてこられる。そこで彼は元上司のブライアントに、レプリカント4名が地球に侵入したので、彼らを見つけ出せと命じられる。レプリカントとは、遺伝子工学の新技術によって生産された人造人間で、宇宙探索や植民地惑星での危険な労働に従事し、あらかじめ死期もセットされている。ブレードランナーはレプカリントの犯罪や叛逆にそなえ、彼らを識別し抹殺する刑事のことで、デッカードはなかでも一流だった。彼はレプカリント製造の最大手タイレル社に行き、そこでタイレル博士(ジョン・ターケル)と謎の美女レイチェル(ショーン・ヤング)に出合う。彼はレイチェルをテストし、彼女がレプカリントであることを知るが、彼女自身はそれを知らなかった。デッカードはスネーク・ダンスを踊っていたレプリカントの1人ゾーラを射殺。レプリカントのレオンに襲われるが、危ういところをレイチェルに救われた。その後、2人はアパートで結ばれる。レプリカントのリーダーであるバッティ(ルトガー・ハウアー)は、自分の死期を知ろうとしてタイレル社長と対面し、タイレルを惨殺。デッカードは、レプリカントのプリス(ダリル・ハンナ)を倒した。そして、デッカードとバッティが対決。デッカードを追いつめながら、死期を悟ったバッティは彼を見逃すのだった。デッカードはレイチェルを連れて、都市から脱出する。




6-29. 恋するシャンソン

監督 アラン・レネ
出演 アニエス・ジャウイジャン・ピエール・バクリサビーヌ・アゼマ
1997年・フランス、スイス、イギリス(コムストック)

解説
パリの空の下、家探しをきっかけに知り合った7人の男女が繰り広げる勘違いを、エディット・ピアフからジェーン・バーキンまで永遠のシャンソン、フレンチ・ポップス36曲で綴った軽妙な恋愛映画。監督は「二十四時間の情事」「去年マリエンバートで」「お家にかえりたい」 の巨匠アラン・レネ。製作はブリュノ・ペセリ。脚本は主演のアニエス・ジャウィとジャン=ピエール・バクリ(「家族の気分」 でも共演)。撮影はダニエル・シュミット作品などで知られる名手である「不倫の公式」 のレナート・ベルタ。音楽はブリュノ・フォンテーヌ。美術は「去年マリエンバートで」 以来のレネ組であるジャック・ソルニエ。編集は「死と乙女」 のエルヴェ・ド・リューズ。衣裳はジャッキー・ビュダン。録音は「とまどい」 のピエール・ルノワール。出演は他に、「私の男」 のサビーヌ・アゼマ、「カドリーユ」 のアンドレ・デュソリエ、「地に墜ちた愛」 のジェーン・バーキン、「女優マルキーズ」 のランベール・ウィルソン、「男と女、嘘つきな関係」 のピエール・アルディティほか。98年セザール賞最優秀作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞、録音賞、98年ベルリン映画祭生涯芸術貢献賞を受賞。

ストーリー
不動産会社に勤めているシモン(アンドレ・デュソリエ)は、ツアー・ガイドのカミーユ(アニエス・ジャウィ)をひそかに愛している。それで彼女に、自分はラジオドラマ作家をしていると嘘をついてしまった。中世の農民騎士に関する論文を書いているカミーユは、不動産仲介業者のマルク(ランベール・ウィルソン)に夢中である。マルクはシモンの上司であり、カミーユの姉オディール(サビーヌ・アゼマ)にアパルトマンを売り付けようとしている。オディールは夫クロード(ピエール・アルディティ)の無言の反対にもかかわらず、そのアパルトマンを買う決意をしている。そんなオディールの前に、何年も音沙汰のなかった友人ニコラ(ジャン=ピエール・バクリ)が現れる。クロードは若い女性と浮気しているが、ニコラの存在に妻の心が揺れ動いていることに我慢できなかった。ニコラは実はシモンの客で、近ごろは体の調子がおかしく毎日病院通い。妻のジェーン(ジェーン・バーキン)ともうまくいっていないが、見栄っ張りで、表向きは幸せな家族生活を装っている。そしてオディールの新居での引っ越しパーティーの日。初めて全員が顔を合わせた。クロードは来る前に愛人と別れており、妻オディールにも別れを告げるつもりだった。そんな時、マルクとカミーユの仲に嫉妬するシモンが、マルクに彼は不良物件を売り付けたのだと非難した。クロードはマルクを問い詰める。言い逃れしながら退散するマルク。クロードはオディールを慰め、ふたりの仲は戻った。ニコラは携帯電話でイギリスの妻ジェーンとヨリを戻す。そしてシモンは鬱病に悩まされているカミーユを励まし、皆から嫌われてしまったマルクはひとり自分を嘆くのだった。




6-30. ミツバチのささやき

監督 ビクトル・エリセ
出演 アナ・トレントイサベル・テリェリアフェルナンド・フェルナン・ゴメス
1973年・スペイン(フランス映画社)

解説
スペイン内戦がフランコの勝利に終結した直後、1940年の中部カスティーリャ高地の小さな村を舞台に6歳の少女アナと彼女の家族たちの日常を描く。製作はエリアス・ケレヘタ、監督・原案は「エル・スール」 のビクトル・エリセでエリセのデビュー作にあたる。脚色・脚本はアンヘル・フェルナンデス・サントスとビクトル・エリセ、撮影はルイス・カドラード、音楽はルイス・デ・パブロ、編集はパブロ・G・デル・アモが担当。出演はアナ・トレント、イサベル・テリェリアなど。

ストーリー
1940年頃、スペイン中部のカスティーリャ高原の小さな村オジュエロスに一台のトラックが入っていく。移動巡回映写のトラックで、映画は「フランケンシュタイン」。喜ぶ子供たちの中にアナ(アナ・トレント)と姉のイザベル(イザベル・テリェリア)がいた。その頃父のフェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)は、養蜂場で、ミツバチの巣箱を点検する作業をしている。母のテレサ(テレサ・ジンペラ)は、室内にこもって、内戦で荒れはてた家や人々の様子を手紙に書き綴っている。いったい誰に宛てている手紙なのか、毎週のように、駅に向かい、列車に投函する。公民館のスクリーンには、少女メアリーが怪物フランケンシュタインと水辺で出会う美しいシーンが展開している。そのシーンに魅入られたアナは姉からフランケンシュタインが怪物ではなく精霊で、村のはずれの一軒家に隠れていると聞いた。学校の帰りにアナはイサベルに村のはずれの一軒家に誘われた。そこに精霊が住んでいるというのだ。別な日に一人でそこを訪れるアナ。夕方、イサベルは黒猫と遊んでいる。アナは父母のアルバムを見る。父あての母のポートレートには、“私が愛する、人間ぎらいさんへ”とある。網の中のミツバチにささやきかけるアナ。夜ふけに一人起き上ったアナは外に出る。列車から兵士が飛び降り井戸のある家に入って行く。彼はアナに拳銃を向けるが、子供だと知るとやさしくなる。足をけがした兵士は動けない様子だ。大きなリンゴを差し出すアナ。二人はアナが持って来た父のオルゴール時計で遊ぶ。その夜、井戸のある一軒家に銃声が響いた。翌朝、フェルナンドが警察に呼ばれる。オルゴール時計のせいだ。公民館に横たえられた兵士の死骸。食事の席でオルゴール時計をならすフェルナンド。アナにはすべてが分かった。井戸のある家に行き血の跡を見つめるアナ。その日、夜になってもアナは帰らなかった。心配する家族。そのころ、森の中のアナの前に、映画で見た怪物そっくりの精霊が姿をあらわした。発見されたアナは昏睡状態に陥っていた。家族のみんなが見守る。深夜、一人起き上がるアナ。窓をあけ、夜空を見つめるのだった。




6-31. エル・スール

監督 ビクトル・エリセ
出演 オメロ・アントヌッティソンソレス・アラングーレンイシアル・ボリャン
1983年・スペイン、フランス(フランス映画社)

解説
父を自殺で失った少女が父との想い出を回想し、やがて旅立つまでを描く。製作はエリアス・ケレヘタ、アデライダ・ガルシア・モラレスの原作を基に「ミツバチのささやき」 のビクトル・エリセが監督・脚本。撮影はホセ・ルイス・アルカイネ、美術はアントニオ・ベリソンが担当。出演はオメロ・アントヌッティ、イシアル・ボリャンなど。

ストーリー
エストレリャ(イシアル・ボリャン)が、父アグスティン(オメロ・アントヌッティ)がもう帰ってこないと予感したのは15歳の時、1957年の秋の朝、枕の下に小さなまるい黒い箱を見つけた時だ。その中には父が愛用していた霊力のふりこがのこされていた。エストレリャが7歳か8歳の頃(ソンソレス・アラングーレン)、一家は“かもめの家”と呼ばれる郊外の一軒家に住むことになった。父は、家の前の道を“国境”と呼び、バイクに乗せてくれる。そして、水脈を発見する奇跡を行なって村人に尊敬される父−―そんな父と一緒にいられることだけで嬉しいエストレリャ。母フリア(ロラ・カルドナ)は、かつて教師だったが、内戦後に教職を追われ、家にいて読み書きを教えてくれる。冬の雪の日、南では雪は降らないと母に教えられ、南に想いをはせる父。父は南の出身だが、祖父と大喧嘩をして北へ出たのだ。5月になって南の人が訪れてきた。アグスティンの母ドナ・ロサリオ(ジェルメーヌ・モンテロ)と乳母ミラグロス(ラファエラ・アパリシオ)だ。エストレリャの初聖体拝受式の日の朝。教会には父は来てくれないだろうとエストレリャが諦めかけた時、アグスティンが教会の入口にいるのに気がつく。式の後、祝宴で南の曲“エン・エル・ムンド”にのって、エストレリャは父と共に、パソ・ドブレを踊った。その日、陽気に、南に帰ってゆく祖母とミラグロス。やがて、エストレリャは父がイレーネ・リオス(オーロール・クレマン)という女優を想っていたことを知る。父は、映画館でイレーネ主役の「日かげの花」に見入る。内戦の頃に別れたかつての恋人で、本名をラウラという。彼女を未だに思っているのか。アグスティンはラウラに手紙を書くが、その返事は辛らつなものだった。「8年前に別れて以来、未来に生きる決意をし、女優をやめて一年になるのに、なぜ今さら手紙など……」最後の一行がアグスティンの胸を打つ。「今でも夜の来るのが恐い」……。アグスティンが最初の家出をしたのはそんな事があった直後だった。15歳に成長したエストレリャ。孤独に沈みがちな父。クランド・ホテルで食事に誘ってくれた時、それが最後になるとは思っていなかった。隣りのサロンでは、新婚を祝って、あの“エン・エル・ムンド”のメロディーが流れていた…。




6-32. ラフマニノフ ある愛の調べ

監督 パーヴェル・ルンギン
出演 エフゲニー・ツィガノフビクトリア・トルガノヴァヴィクトリヤ・イサコヴァ
2007年・ロシア(ギャガ・コミュニケーションズ)

解説
誰もが耳にしたことのある名曲の数々を生んだピアニスト、セルゲイ・ラフマニノフの波乱の人生を映画化。彼の音楽活動の陰に秘められた愛の逸話が描かれる。

ストーリー
1880〜90年代のロシア。セルゲイ・ラフマニノフ(エフゲニー・ツィガノフ)は10歳くらいの頃、両親が離婚、厳格な名教授ズヴェレフ(アレクセイ・ペトレンコ)に引き取られる。ラフマニノフの才能をひと目で見抜いたズヴェレフは、毎日のように精魂込めて彼を指導していた。しかし数年後、ピアニストとしての精進を求めるズヴェレフと、作曲の喜びに目覚めたラフマニノフは決裂してしまう。ラフマニノフはその頃、アンナ(ヴィクトリア・イサコヴァ)という年上の女に恋をしていた。溢れる思いは壮麗な旋律となり、やがて初めての交響曲が生まれる。ところが、アンナに捧げた「交響曲第1番」の初演は大失敗に終わり、ラフマニノフは恋と名声を一夜で失くす。そんな傷心のラフマニノフに救いの手を差しのべたのは、従姉妹のナターシャ(ヴィクトリア・トルストガノヴァ)であった。1890〜1910年代。ナターシャに頼まれた医師ダール(イーゴリ・チェルニェヴィチ)の催眠療法によってラフマニノフは回復するが、今度は彼がピアノ教師を務める高校の生徒、マリアンナ(ミリアム・セホン)と恋に落ちる。彼女の魂と肉体の輝きは、ラフマニノフに旋律を生み出す力を与えた。「ピアノ協奏曲第2番」を書き上げたラフマニノフは、苦しい時に見守ってくれたナターシャの愛に気付き、プロポーズをする。数年後、ロシア革命から逃れようとした時、闘士となったマリアンヌに再会。彼女が書いた出国証明書によって、ラフマニノフの家族はアメリカに亡命する。1920年代。ラフマニノフは、主催者のスタインウェイ(アレクセイ・コルトネフ)と共に全米ツアーを敢行、行く先々で大喝采を浴びる。しかし、ラフマニノフは、新曲が生まれない苦しみから、日に日に憔悴していくのであった。そんなある日、送り主不明のライラックの花束が届く。その甘い香りはラフマニノフに切ない記憶を甦らせた……。




6-33. 三銃士

監督 スティーヴン・ヘレク
出演 クリス・オドネルチャーリー・シーンキーファー・サザーランド
1993年・アメリカ(キャラヴァン・ピクチャーズ)

解説
 ディズニーが多額の製作費を投入して造った作品で、K・サザーランド、C・シーンといった売れっ子を多数起用している。が、実写であるにも関わらず、カット割りが余りにアニメーションのようになってしまったせいか、最後まで慌ただしく落ち着いて観ていられない。映画を観るというよりは、ディズニー・ランドのアトラクションに参加しているつもりで観た方がよろしい。R・レスター監督の往年の傑作「三銃士」「四銃士」 の偉大さが再確認されてしまう映画とも言える。

ストーリー
時は17世紀。向こう見ずな若き冒険家ダルタニアン(クリス・オドネル)は、国王に使える近衛銃士隊に入ろうとパリに向かった。だが銃士隊は公式に解散させられ、国王に忠義を誓う銃士は、思慮深いアトス(キーファー・サザーランド)、雄弁なアラミス(チャーリー・シーン)、快活なポルトス(オリヴァー・プラット)の3人だけになっていた。城内では、狡猾なリシュリュー枢機卿(ティム・カリー)とロシュフォール伯爵(マイケル・ウィンコット)が、若き国王ルイ13世(ヒュー・オコナー)とアン王妃(ガブリエル・アンウォー)の失脚を企んでいた。ダルタニアンは三銃士と意気投合し、不穏な陰謀を阻止することを誓う。卿は国王失脚の重要な材料となる条約締結のため、使者として美しき悪女ミラディ・ド・ウィンター(レベッカ・デモーネイ)を派遣する。三銃士とダルタニアンはすんでのところでミラディを補らえることに成功。ミラディはアトスの元妻だった。不幸な過去からアトスの愛を拒絶されたと思い込んだ彼女は、リシュリュー卿の側に与していた。アトスの愛を知った彼女は、崖から身を投げて命を絶った。国王の誕生の祝いの席で暗殺計画が進行していることを知った4人は、元銃士隊員たちに呼びかけ、城に急ぐ。危ういところで暗殺を阻止した4人は卿や伯爵と対決し、彼らを破った。ダルタニアンは晴れて銃士と認められた。




6-34. コンドル

監督 シドニー・ポラック
出演 ロバート・レッドフォードフェイ・ダナウェイクリフ・ロバートソン
1975年・アメリカ(東宝東和)

解説
巨大な情報組織CIA(アメリカ中央情報局)の末端組織が何者かに潰滅させられたことから起こるスパイ同志の暗躍戦を描く。製作はスタンリー・シュナイダー。監督は「ザ・ヤクザ」 のシドニー・ポラック、ジェームズ・グレーディの小説「コンドルの六日間」 をロレンゾ・センプル・ジュニアとデイヴィッド・レイフィールが脚本化、撮影はオーウェン・ロイズマン、音楽はデーヴ・グルーシンが各々担当。出演はロバート・レッドフォード、フェイ・ダナウェイ、クリフ・ロバートソン、マックス・フォン・シドー、ジョン・ハウスマン、アディソン・パウェル、マイケル・ケインなど。日本語版監修は清水俊二。イーストマンカラー、シネマスコープ。1975年作品。

ストーリー
クリスマス・シーズンで賑わうニューヨーク。いつも朝のようにターナー(ロバー ト・レッド・フォード)は、いつものように愛車のオートバイを駆ってアメリカ文学史協会に出社した。このアメリカ文学史協会とは、実はCIA(アメリカ中央情報局)の下部組織で、情報部17課第9班の名称を持つ末端の秘密情報機関なのであった。CIA情報部員としてのターナーの任務は、別名“読み屋”と呼ばれ、ラップ博士ら8名のスタッフと共に世界中から収集されたミステリー関係の小説・雑誌類を解読し、コンピューターに入れることであった。昼食後、ターナーはスタッフの昼食の買出しのためにこっそり出ていった。午前11時30分、突然アメリカ文学史協会に3人の男が乱入し、マシン・ガンでスタッフを皆殺しにした。ターナーが戻ったときは、同僚の残惨死体だけが残され、3人の男の姿はなかった。ターナーは表に走り、公衆電話から自分のコードネーム“コンドル”を名乗り、CIAのパニック・センターを呼んだ。報告を受けたCIAでは、ニューヨーク支部長ヒギンズ(クリフ・ロバートソン)が調査にあたることになり、指定した場所にターナーの友人サムとワシントンの情報部17課ウィクスも同行することになった。やがて指定された劇場裏の路地にやってきたターナーはサムを確認したが、そのときウィクスがターナーめがけて発砲した。ターナーは無我夢中で護身用の45口径の引き金をひいた。弾はウィクスの右脚に命中したが、彼は倒れながらも“目撃者”サムを射殺した。ターナーは何がなんだか分からないまま、逃げた。さらにその日欠勤していたハイデッガーのアパートを訪ねたが、ハイデッガーも殺されていた。ターナーの頭は、ますます混乱するが、とにかくどこか、安全な場所に身を隠さなければならない。仲間だったCIAも既に信じられないとなれば自分の力で自分を守らなければならない。彼は通りすがりのキャシー(フェイ・ダナウェイ)という写真家をピストルでおどすと、とりあえず彼女のアパートに身を隠すことにした。その頃、ワシントンではCIAの幹部会議が招集されていた。作戦部長ワバシュ(ジョン・ハウスマン)、副部長アトウッド(アディソン・パウェル)らがニューヨークから呼びよせたヒギンズから事情聴取していた。“読み屋”と呼ばれる末端の組織にすぎないアメリカ文学史協会がなぜ狙われたのか? 生き残った逃亡中のターナーをいかにして拾うか? その夜、アトウッドは協会襲撃のリーダーだったフリーの殺し屋ジョベア(マックス・フォン・シドー)とひそかに会い、負傷したウィクスとコンドルを消すことを命令した。事件は謎に充ちていた。翌朝、ひとりの郵便配達がキャシーのアパートにやってきて、言葉巧みに部屋に入り、ターナーを襲った。男はジョベアの仲間で、協会を襲った3人のうちの一人だった。一方、CIA本部ではワバシュ部長とヒギンズも事件を洗いなおし、やがて彼らはジョベアとウィクスの関係も発見した。殺し屋がもっていた一枚のメモからようやく事件の糸口をつかみだしていたターナーも単身ワシントン郊外のアトウッドの邸宅にのりこんだ。彼の推察どうり、アトウッドたちは石油原産国での仮想石油戦争を立案し、CIA本部には独断で自分たちの計画を実現しようとひそかにその機会を狙っていたのである。ところが、ターナーがCIA本部に書き送った質問状が、この秘密計画の実現をさまたげる内容だったため、無残にも彼の同僚は皆殺しにあったのである。ターナーがアウトウッドにピストルを向けると、ジョベアが現れた。絶対絶命だった。しかし、何を思ったかジョベアはアウトウッドを射殺した。彼は驚くターナーに、この殺しがヒギンズからの依頼であることを告げる。ニューヨークに戻ったターナーは、ヒギンズを呼び出し、事件の一部始終をニューヨーク・タイムスに知らせたことを告げた。それは、突然、恐ろしい事件の渦中にほうり込まれ、仲間を失い、巨大な見えざる敵との闘いに追い込まれたターナーの、CIAに対するせめてもの抵抗だった。(東宝東和配給*1時間57分)




6-35. チャイナ・シンドローム

監督 ジェームズ・ブリッジス
出演 ジェーン・フォンダジャック・レモンマイケル・ダグラス
1979年・アメリカ(コロムビア映画)

解説
テレビ局の女性キャスターが、原子力発電所を取材中に原子炉事故を目撃したことを発端とする、明日にも起こりうる悪夢を描くサスペンス・アクション映画。製作総指揮はブルース・ギルバート、製作はマイケル・ダグラス、監督は「ペーパー・チェイス」 のジョームズ・プリッジズ、脚本はマイク・グレイ、T・S・クック、ジェームズ・ブリッジズ、撮影はジェームズ・クレイブ、音楽はスティーブン・ビショップ、編集はデイヴィッド・ローリンズが各々担当。出演はジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス、スコット・ブラディ、ジェームズ・ハンプトン、ピーター・ドーナット、ウィルフォード・プリムリー、リチャード・ハード、ダニエル・バルデス、スタン・ボーマン、ジェームズ・カレン、ドナルド・ホットンなど。

ストーリー
キンバリー(ジェーン・フォンダ)は、ロサンゼルスのKXUAテレビ局の人気女性キャスターで、ある日、彼女は、カメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)と録音係のヘクター(ダニエル・バルデス)をともなって、ベンタナ原子力発電所の取材に出かけた。厳重なチェックを受けた3人は広報担当のギブソン(ジェームズ・ハンプトン)の案内で、取材を開始した。しかし、中心部のコントロール・センターでカメラを回そうとしたリチャードが、ギブソンに禁止だからとそれを止められる。その時突然震動が起こり大騒ぎの制御室の中で技師のジャック(ジャック・レモン)が冷静に指示を与えている。やがて、放射能もれがわかり、原子炉に緊急停止の命令が出された。その様子をリチャードがカメラに収める。スタジオに帰ったキンバリーは、早速プロデューサーのジヤコビッチ(ピーター・ドーナット)に、そのことを報告した。原子炉の事故は一大スクープになるはずだ。しかし、ジャコビッチは、このニュースを流すことに反対した。調査の結果、その後の発電所に異常が認められないため、運転が再開されることになるが、ただ1人、ジャックだけは不安な予感を抱いていた。発電所の近くの酒場で、ジャックはクビを言い渡されたリチャードを探していたキンバリーと出会った。リチャードは、例のフィルムをもったまま行方をくらましているのだ。キンバリーと別れたジャックは、かすかな震動を感じ、原子炉を調べにいった。やはり、ポンプの一つにもれがあった。もう少し様子をみてから運転を再開すべきだというジャックの忠告に、しかし所長は耳をかそうともしなかった。翌日、取材に出かけたキンバリーは、偶然、リチャードに会う。彼は、例のフィルムを物理学者のローウェル博士(ドナルド・ホットン)に見せにきたのだ。フィルムを見た博士は、もう少しでチャイナ・シンドロームになるところだったと断言した。チャイナ・シンドロームというのは、原子炉の核が露出した時、溶融物が地中にのめりこんでいき、地球の裏側の中国にまで達するという最悪の事故のことだ。一方、ジャックは、発電所内の各所にあるパイプ結合部のX線写真を調べているうちに、重大なミスを発見した。それは、納入業者が製品チェックの手ぬきのために、同じ写真を何枚も焼き増ししたものなのだ。事故の原因追求に悩みぬいた末、ジャックはX線写真をキンバリーに渡し、世論に真相を訴える決意をする。しかし、その頃、何者とも知れぬ者たちが動き出し、まずX線写真をとりに行ったヘクターが車ごと崖下に突き落とされ、ジャックも彼らの追跡をうけ、命をねらわれた。そこで、ジャックは残された1つの手段を決行することにした。それは、発電所の中心部にジャックが篭城し、発電所をキンバリーに取材させ、内部の異常を世間に知らせようというもので、言うことをきかなければ、核をもらすと所長を脅した。しかし、外から中心部を操作できる発電所の人間が、発電所の動きを止めたため、ジャックは射殺され、すべて酔っぱらいのたわごととしてかたづけられることになつた。しかし、キンバリーは、追求を続け、発電所内の人間の証言をとり、ニュースで事実を発表するのだった。




6-36. ネットワーク

監督 シドニー・ルメット
出演 フェイ・ダナウェイウィリアム・ホールデンピーター・フィンチ
1976年・アメリカ(ユナイト映画)

解説
視聴率を増大させんがために血道を上げる野望の集団を描く。製作はハワード・ゴットフリード、監督は「狼たちの午後」 のシドニー・ルメット、原案・脚本は「ホスピタル」 のパディ・チャイエフスキー(ノヴェライゼーション/サム・ヘドリン著・番町書房刊)、撮影は「サウス・ダコタの戦い」 のオーウェン・ロイズマン、音楽はエリオット・ローレンス、編集はアラン・ハイムが各々担当。出演はフェイ・ダナウェイ、ウィリアム・ホールデン、ピーター・フィンチ、ロバート・デュヴァル、ウェズリー・アディ、ネッド・ビーティ、ビル・バロウズなど。

ストーリー
最盛期に28%の視聴率を誇ったUBSのビール(ピーター・フィンチ)のイブニング・ニュースも今や12%という低落。1%の伸びが年200万ドルの増収となるTV界にあって、これは致命的な敗退を意味する。ましてそれがネットワークの顔の報道番組となればなおさらだ。これが直接の引金となり、ジェンセン(ネッド・ビーティ)率いるCCAがUBS乗取りを果たし、創立者は会長に追いやられ、CCAより新しい社長が就任した。報道部長マックス(ウィリアム・ホールデン)はそんなビールに番組解任を通告する。翌日、ビールは自分が辞めさせられる事、さらに自殺予告までを本番中にしゃべり、マックス達をあわてさせた。番組がオンエアされた。八方破れの暴言に視聴率は27%と上がった。野心家で報道部大改革以来クローズアップされているダイアナ(フェイ・ダナウェイ)は反応し、ビールを現代の偽善と戦う予言者として、再び売り出しを図ろうとした。ある雨の日、突然生本番中に入りこんだビールの社会不満の言動が大ヒット。次々にかかってくる問い合せの電話。金脈を掘り当てた喜びのダイアナ。新しい『ビール・ショー』は人気を博し、48%の大台へ。真に史上画期的な報道番組だ。ダイアナのアイデアはエスカレートする。次は過激派グループと契約し、ビールをからませた衝撃シリーズ。ダイアナの狙いはズバリ当った。UBS年次総会で認められる彼女。だが成功もつかの間、彼女達の足元が崩れ始めた。現代の予言者として過激化するビールが、UBSの親会社CCAを非難しだしたのだ。当然ジェンセンは、ビールの言動変更を迫った。翌週、ビールはジェンセンの理論を滔々とぶつ。だが低下する視聴率。ダイアナと社長はあわてた。なんとかジェンセンのお気に入りロボットとなったビールを番組から降ろさなくては。切羽詰まった彼女らが最後にとった手段は、想像を絶する凄まじいものだった。




6-37. スティング 

監督 ジョージ・ロイ・ヒル
出演 ポール・ニューマンロバート・レッドフォードロバート・ショウ
1973年・アメリカ(ユニヴァーサル映画=CIC)

解説
1930年代の暗黒街のメッカ、シカゴでは血を血で洗うギャング戦争が日常茶飯事のごとく起こっていたが、一方その道のエリートと自認する連中のあいだでは、血なまぐさい暴力沙汰を軽蔑し、頭脳で相手を出し抜くことを粋とする風潮があった。これは、そのコンマンと呼ばれる詐欺師の物語。製作総指揮はリチャード・D・ザナックとデイヴィッド・ブラウン、製作はトニー・ビル、マイケル・フィリップスとその妻ジュリア・フィリップス、監督はジョージ・ロイ・ヒル、脚本はデイヴィッド・ウォード、撮影はロバート・サーティース、美術はヘンリー・バムステッドとジェームス・ペイン、編曲はマーヴィン・ハムリッシュ、ピアノ演奏はスコット・ジョプリン、編集はウィリアム・レイノルズが各々担当。出演はポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・シヨウ、チャールズ・ダーニング、レイ・ウォルストン、アイリーン・ブレナン、ハロルド・グールド、ジョン・ヘファーナン、ダナ・エルカー、ジャック・キホーなど。

ストーリー
<下ごしらえ> 1936年。シカゴに近いジョリエットの下町で道路師と呼ばれる詐欺師3人が通りがかりの男から金を奪った。これがこの物語の事件の発端である。数日後、主謀者のルーサーが死体となって見つかった。仕掛けた男はニューヨークの大親分ロネガンの手下で、賭博の上がりをシカゴに届ける途中、3人組に金を奪われた男だった。大組織に手を出した当然のむくいとしてルーサーは消されたのだが、組織の手は一味の1人フッカー(ロバート・レッドフォード)にものびていた。ルーサーの復讐を誓ってフッカーはシカゴのゴンドルフを訪ねた。だが頼みとするドンドルフは、ギャング同志の争いでFBIから追われ、今では売春宿に幸うじて身を隠している有り様だった。しかし、親友の死を知ったゴンドルフ(ポール・ニューマン)は、相手がロネガン(ロバート・ショウ)と聞き目を輝かせた。 <シナリオ> その日から2人は、ロネガンの身辺を洗い、彼がポーカーと競馬に眼がないこと、近くシカゴを訪れることなどを調べ上げた。ゴンドルフは急ぎ昔の仲間を集め、シカゴの下町にインチキノミ屋を構えた。 <ひっかけ> シカゴに向かう列車の車中で、ロネガンはいつもポーカー賭博をやると聞いたゴンドルフは、その仲間入りをし、いかさまでロネガンを大きくへこませた。しかも、ロネガンのサイフはゴンドルフの情婦にスリ取られていたために負け金を払うことも出来ない始末だった。 <吊り店> 翌日、ロネガンの宿にゴンドルフの勝金を取りにきたフッカーは、ゴンドルフのポーカーがイカサマであることを告げ、頭にきたロネガンに負け金の何十倍も稼げる話を持ち込んだ。それによると、ゴンドルフの経営するノミ屋に電送されてくる競馬の中継は、電報局の局長を組んで2分程遅らせて放送しているので、実際にはすでにゴールしている馬券を買えるから、ゴンドルフを破産させるのは訳がないをいうのだ。その代償として、ゴンドルフの縄張りを自分にくれというのがフッカーの条件だった。 <しめ出し> だが、彼らの活発な動きはFBIの目にとまり始めていた。フッカーを追うスナイダー(チャールズ・ダーニング)という悪徳警官もうろついている。ロネガンはフッカーの持ち込んだ話が信用できるのかどうか、あらゆる手を打ってフッカーをためしていた。そしてついに、50万ドルの大金を注ぎ込むことにしたロネガンは、自らノミ屋に出向いた。 <最後にぐっさり> ロネガンが50万ドル注ぎ込んだレースが始まった瞬間、ノミ屋にFBIが踏み込んできた。ゴンドルフは自分を裏切ったフッカーを射殺し、そして自らもFBIの銃弾に倒れた。店内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、ロネガンはFBIに連行された。だがこれは、FBIまでふくめたすべてがゴンドルフの書いた筋書きだったのだ。こうしてゴンドルフとフッカーは見事ロネガンを再起不能な状態に陥れた。




6-38. キリング・フィールド

監督 ローランド・ジョフィ
出演 サム・ウォーターストンハイン・S・ニョールジョン・マルコヴィッチ
1985年・イギリス(ワーナー・ブラザース)

解説
戦火にさらされた70年代カンボジアを舞台に、アメリカ人ジャーナリストと現地人助手との友情、そして流血と恐怖の戦場をリアルに描く。製作は「炎のランナー」 のデイヴィッド・パトナム、監督は新人のローランド・ジョフェ、脚本はブルース・ロビンソン、撮影はクリス・メンジス、音楽はマイク・オールドフィールド、編集はジム・クラークが担当。なお85年度アカデミー賞撮影賞、編集賞を受賞。出演はサム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール(85年度アカデミー賞助演男優賞受賞)、ジョン・マルコヴィッチ、ジュリアン・サンズなど。

ストーリー
1973年8月。ニューヨーク・タイムズの記者シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、特派員としてカンボジアの首都プノンペンに来た。当時のカンボジアはアメリカを後楯にしたロン・ノル政権と、反米・救国を旗印に掲げた革命派勢力、クメール・ルージュとの闘いが表面化した時期でもあった。カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)が、現地で彼の通訳・ガイドとして仕事を助けてくれることになった。翌74年に入って、革命派のプノンペン進攻は目前に迫った。外国人や政府関係者は、必死に国外へ出ようとかけずりまわり、プランの家族も、シャンバーグの手を借りて、無事にアメリカへ旅立った。同年4月、プノンペン解放、ロン・ノル政権はついに崩壊、新しくクメール・ルージュを率いるポル・ポト政権が誕生した。シャンバーグ、プラン、そしてアメリカ人キャメラマンのロックオフ(ジョン・マルコヴィッチ)、イギリス人記者のジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)は、病院に取材に行くが、クメール・ルージュの兵士に逮捕される。プランは三人の命の恩人となったのである。四人は最後の避難所であるフランス大使館へと逃げ込むが、やがて、カンボジア人であるプランだけが、クメール・ルージュに引き立てられ、どこかへ連行されていった。数日後、シャンバークたちは無事、国外へ避難することができた−−。ニューヨークに戻ったシャンバークは、プランの身を案じながらも、カンボジアの取材記事でピューリツッァー賞を受賞した。この栄誉はすべてプランのおかげだった。受賞式の日、ロックオフがシャンバーグを訪れ「あの賞が欲しくてプランを脱出させなかったんだな」となじるのだった。−−その頃、プランは、過去の身分を隠し、クメール・ルージュの監視下で労働していた。町の住人たちは農村で強制労働させられ、子供が親をスパイするという惨状の中で、数え切れないほどの人々が殺された。やがて、辛くも脱走したプランは累々たる屍を踏み越えて、とある村にたどりつき、村の長の家でハウスボーイとして働くようになる。しかしその主人もクメール・ルージュに殺されたため、託された少年とともに村を脱出。途中、地雷で少年は死に、プランが死ぬ思いをしながら、タイの難民キャンプにたどりついたのは、79年も秋になったころだった。プラン生存の連絡を受けたシャンバーグは、タイの難民キャンプへ飛んだ。「許してくれ」とシャンバーグ。「許すことなどないよ」とプラン。抱き合う二人をカーラジオから流れるジョン・レノンの“イマジン”が優しくつつみ込んでいた。




6-39. レイダース 失われた聖櫃  

監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ハリソン・フォードカレン・アレンウォルフ・カーラー
1981年・アメリカ(パラマウント映画)

解説
1930年代の戦乱期を舞台に謎の伝説に包まれた黄金のアークをめぐって様々な人々が暗躍するという冒険活劇。製作総指揮はジョージ・ルーカスとハワード・カザンジャン、製作はフランク・マーシャル、監督は「1941」 のスティーヴン・スピルバーグ。ジョージ・ルーカスとフィリップ・カウフマンの原案を基にローレンス・カスダンが脚色。撮影はダグラス・スローカム、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、編集はマイケル・カーン、製作デザインはノーマン・レイノルズが各々担当。出演はハリソン・フォード、カレン・アレン、ウォルフ・カーラー、ポール・フリーマン、ロナルド・レイシー、ジョン・リス=デイビス、デンホルム・エリオット、アンソニー・ヒギンズ、アルフレッド・モリーナなど。

ストーリー
時は1936年。第2次大戦勃発直前の混乱期。勢力を増しつつあるナチス・ヒトラーは、最大の武器として多大な力を発揮するという伝説的なアーク<聖櫃>の行方を執拗に追っていた。そのことを知ったアメリカ側は、阻止すべくあらゆる手段を用いる覚悟でいた。その困難な任務を受けることになったのは、インディアナ・ジョーンズ博士(ハリソン・フォード)。大学で考古学を教える教授である彼はアメリカ政府から、アーク発掘の要請を受け、早速エジプトに渡った。彼は、恩師の娘で、かつて恋人だったマリオン(カレン・アレン)とネパールで再会した。早くもナチス一派の攻撃を受けた彼らは、必然的に行動を共にすることになる。しかし、インディのかわりにマリオンが襲われ、彼女が死んで初めて彼女を深く愛していたことに気がつくインディ。ナチス側は、腹黒いフランス人の山師ベロック(ポール・フリーマン)を味方につけ、砂漠の廃城に発見されたアークの埋蔵地点発堀を開始した。現地へ急行するインディ。そこで、彼は、マリオンがまだ生きており、ドイツ軍の捕虜となっていたことを知る。そして、敵の裏をかき見事アークを手にしたインディだったが、それもつかの間、アークを奪われると、マリオン共どもヘビの群がる神殿の奥底に閉じ込められた。そこから脱出した2人は、軍用トラックを駆使して、再びアークを取り戻しカイロからアメリカへと向かった。しかし、ナチスは、Uボートでインディらの乗る貨物船を襲撃、アークとマリオンを奪い去ってゆく。彼らは、ドイツ軍基地になっている、とある島についた。ヒトラーに届ける前に、そのアークを開けることになったのだ。島に追いついたインディは、マリオンを助けようとして、敵に捕われてしまう。棒にしばりつけられる2人。夜、いよいよ、アークの蓋が開けられた。しかし、中味はただの砂だ。がっかりと顔見合わせた瞬間、すさまじい光が発し箱の中から出て一面をはうと、それは美しい女の姿になり、やがて恐ろしい骸骨に変わり、あっけにとられていた人々を襲い始めた。その寸前にインディは、マリオンに絶対見てはいけないと警告しており、2人だけは、その様子を見ることなしに目を閉じていた。嵐のような騒ぎがおさまると、インディとマリオン以外の人の姿はなく、アークの蓋はもとにおさまり、うそのように静まりかえるのだった。それから数日後、政府の倉庫に、アークが運び込まれた。そこには、同じような木箱が山と積まれているのだった。




6-40. インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説  

監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ハリソン・フォードケイト・キャプショーキー・ホイ・クァン
1984年・アメリカ(パラマウント映画=CIC)

解説
冒険家インディ・ジョーンズが、ナイトクラブの歌姫、中国人少年とともにインドの宮殿でくりひろげる冒険を描く。「レイダース 失われた聖櫃<アーク>」 (81)の続編で、前作の舞台となった36年より1年前の35年から話は始まっている。製作はロバート・ワッツ、エグゼクティヴ・プロデューサーはジョージ・ルーカスとフランク・マーシャル。監督は前作に引き続きスティーヴン・スピルバーグが担当。ジョージ・ルーカスの原案に基づき、ウィラード・ハイクとグロリア・カッツの夫婦が脚本を執筆。撮影はダグラス・スローカム、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、編集はマイケル・カーンで、いずれも前作と同じ人物が手掛けている。スタント・アレンジャーはヴィク・アームストロング(撮影所)、グレン・ランドール(ロケーション)。特殊効果はILMにおいてデニス・ミュレンが監修。出演はハリンン・フォード、ケイト・キャプショー、キー・ホイ・クァン、アムリッシュ・プリ、ロイ・チャオ、ロシャン・セスなど。83年4月18日よりスリランカで撮影開始され、その後、香港、マカオ、ロンドン、カリフォルニアで製作された。

ストーリー
1935年、上海。ナイトクラブ「オビ・ワン」では歌姫ウィリースコット(ケイト・キャプショー)が「エニシング・ゴーズ」を歌っていた。あるテーブルでは、考古学者で冒険家のインディ(ハリソン・フォード)が上海の犯罪王ラオ・チェー(ロイ・チャオ)と取引をしていた。インディがラオの先祖であるヌルハチ皇帝の位牌を入手し、ダイヤと交換したのだ。だがラオは彼に毒を飲ませ、ダイヤを取り返そうとする。解毒剤とダイヤをめぐっての乱闘、銃撃騒動の末、インディはウィリーと一緒に逃げ出し、中国人少年ショート・ラウンドことショーティ(キー・ホイ・クァン)を連れて上海空港へ急いだ。3人を乗せた飛行機は、実はラオのもので、操縦士2人は、インディらが眠ってるうちにバラシュートで脱出してしまう。危ういところで気がついたインディらは救命ボートに乗り込み、飛行機から脱出。ボートは雪の斜面をくだって川へ。3人はインドに不時着したのだ。それを1人の老人が見ていて、メイアブール村に案内する。3人が神からつかわされた伝説の救い主だと信じる村人。村の畑は荒れ果てている。長老の話ではパンコット宮殿から来た者たちに、村の聖なる石を奪われ、子供たちを連れ去られたという。インディはその石サンカラ・ストーンを取り戻してくれと頼まれた。翌朝、三人は象に乗り、パンコット宮殿へ向かう。森を抜け、壮大な宮殿に入った3人は、宰相チャター・ラル(ロシャン・セス)の出迎えを受ける。インディは幼いマハラジャの支配するこの宮殿に、邪悪な空気が満ちているのを感じる。宮殿で会ったイギリス軍のブランバート大佐は、「一世紀前、この地方を恐怖に陥れたカーリ教集団は絶滅したはずだ」と言う。その夜、寝室にもどったインディを殺し屋が襲うが、逆にやっつけてしまう。壁の裏に秘密の通路を発見して、インディらは中へ入る。通路には無数の虫が蠢き、あやうく串刺しにされそうになったりした。やがて、3人はカーリ神の宮殿を見つけた。司祭モラ・ラム(アムリッシュ・プリ)は、生け贄をカーリ神に捧げ、多くの信者たちが盲目的に祈っていた。儀式が終わって皆がいなくなると、インディは祭壇に近づきそこから黄金色に輝く3つのサンカラ・ストーンを取り出し、袋に入れる。祭壇の裏では子供たちが採掘作業をやらされていた。衛兵に見つかってインディは捕われの身に。モラ・ラムは「サンカラ・ストーンは全部で5つあり、100年前にイギリス軍によって鎮圧された時、2つは埋められた。今、残る2つを子供たちに発掘させているのだ」と言う。インディはカーリの血を飲まされ、ウィリーが生け贄にされようとしても、空ろな表情をしている。ショーティは松明でインディを刺激する。正気を取りもどしたインディは反撃に出る。子供たちは逃げ出し、インディ、ウィリー、ショーティはトロッコで脱出をはかった。モラ・ラムが貯水タンクを破壊したので、奔流に襲われ、あやうく難を逃れる3人。吊り橋で、インディとモラ・ラムは対決した。モラ・ラムは川に落ち、ワニの餌食になった。インディら3人が無事にメイアプールの村に戻ると、村人は歓声をあげて出迎えてくれるのだった。




6-41. インディ・ジョーンズ 最後の聖戦  

監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ハリソン・フォードショーン・コネリーデンホルム・エリオット
1989年・アメリカ(パラマウント=UIP)

解説
キリストの血を受けたといわれる伝説の聖杯をめぐって活躍するインディアナ・ジョーンズの姿を描くシリーズ第3作。エグゼクティヴ・プロデューサーはジョージ・ルーカス、フランク・マーシャル、製作はロバート・ワッツ、監督は「太陽の帝国」 のスティーヴン・スピルバーグ。ルーカスとメンノ・メイエスのストーリーを基に、脚本は「インナー・スペース」 のジェフリー・ボーム、撮影はダグラス・スローカム、音楽は「太陽の帝国」 のジョン・ウィリアムズが担当。出演は「ワーキング・ガール」 のハリソン・フォード、「プレシディオの男たち」 のショーン・コネリーほか。

ストーリー
12年、アメリカのユタ州。中世史教授を父に持つ13歳の少年インディ・ジョーンズ(リヴァー・フェニックス)は、砂漠の岩山の下の洞窟で、3人の悪党が宝の十字架を盗もうとしているのを目撃し、それを奪い逃亡するが、結局悪党一味に丸め込まれてしまい、彼の知恵と勇気をほめる悪党の1人からカウボーイ・ハットを受け取るのだった……。それから26年後の38年、ニューヨーク大学の考古学教授で冒険好きのインディ(ハリソン・フォード)はある日、富豪ウォルター・ドノヴァン(ジュリアン・グローヴァー)のペントハウスに連れてゆかれ、責任者の失踪によって頓挫している、磔にされたキリストの血を受けた聖杯の発見を依頼される。はじめ渋るインディは、行方不明になったのが父ヘンリー(ショーン・コネリー)であることを知り、それを引き受けた。ところが友人で父の旧友の考古学博物館長マーカス・ブロディ(デンホルム・エリオット)と共に父の家に向かったインディは、家が何者かによって荒らされている事に、その理由は父から送られてきた聖杯探索の調査記録であることを直感する。インディとマーカスは、ヴェニスで父の同僚シュナイダー博士(アリソン・ドゥーディ)と合流し、古い教会を改装した図書館を訪問、父の聖杯日誌のおかげで地下墓地を発見し、聖杯のありかの手がかりをつかんだ。そしてインディは、悪者の手から聖杯を守るべく活動してきた<十字剣兄弟団>のカジムから、父がオーストリアとドイツの国境にあるブルンワルト城に閉じこめられていることを聞いた。シュナイダーと共に城に向かったインディは、ナチも聖杯を探していることを知り、幽閉されていた父との再会もつかの間、シュナイダーの裏切りによってインディ親子は残忍なフォーゲル大佐(マイケル・バーン)の捕虜にされ、聖杯日誌も奪われてしまう。何とか城から脱出したインディとヘンリーは、さまざまなトラブルの末、最後にはフォーゲル大佐との一騎打ちとなり、命からがら勝利を収めるが、聖杯が隠されている<太陽の神殿>に向かい、ウォルターやシュナイダーを始めとするナチの探検隊に捕まってしまう。インディは、ウォルターによって腹部を撃たれたヘンリーを助けるために、3つの難関を乗り越え、聖杯を手にするが、その瞬間神殿が崩れ始め、聖杯獲得に色気をみせたシュナイダーは、聖杯と共に神殿の底に沈んでいった。結局聖杯を手にすることはできなかったが、インディとヘンリーは改めて親子の愛情を確認しあうのだった。




6-42. 花嫁の父

監督 ヴィンセント・ミネリ
出演 スペンサー・トレイシージョーン・ベネットエリザベス・テイラー
1950年・アメリカ(メトロ日本支社)

解説
エドワード・ストリーターのベストセラー小説から「イースター・パレード」 のアルバート・ハケット、フランセス・グッドリッチのコンビが脚色、「踊る海賊(1948)」 のヴィンセント・ミネリが監督に当たったドメスティック・コメディで、「大草原」 のパンドロ・S・バーマンが製作する1950年度作品。撮影は「南支那海」 のジョン・アルトン、音楽は「アニーよ銃をとれ」 のアドルフ・ドイッチェが担当する。主演は「アダム氏とマダム」 のスペンサー・トレイシー、「黒騎士」 のエリザベス・テイラー、「東は東」 のドン・テイラー、「扉の蔭の秘密」 のジョーン・ベネットで、以下、ビリー・バーク、レオ・G・キャロル、モローニ・オルセン、メルヴィル・クーパーらが助演。

ストーリー
娘のケイ(エリザベス・テイラー)を新婚旅行に送り出して、弁護士のスタンリー・バンクス(スペンサー・トレイシー)は披露宴の残骸の中へがっくり身を落とした。――ケイが、バクリー・ダンスタン(ドン・テイラー)という青年と結婚したいと両親を驚かしたのは、何ヵ月前のことだったか。妻(ジョーン・ベネット)は落ち着き払っていたが、スタンリーはダンスタン家が立派な名門であり、バクリーがなかなかしっかりした青年であることを知るまでは、オチオチ眠れもしないのだった。晴れて2人の婚約がすむと、スタンリーの頭痛の種は結婚費用だった。なるべく式も内輪にすませたい彼の意志に反して、妻や娘は一生の願いとして教会で盛大な式を挙げたがった。いっそ、娘が男と駈け落ちしてくれた方が、まだ安くつくではないか。ようやく教会の式も決まり、披露宴招待の人数も折り合って、知人から続々と贈物が届くようになった頃、ケイは突然破談にしてくれと言い出した。新婚旅行の行き先について、バクリーと他愛ない喧嘩を始めたのである。所が親父が仲裁に乗り出す間もなく、若い2人はケロリと仲直りしてスタンリーに背負い投げを食わせる始末である。式の予行練習も済み、スタンリーは眠られぬ結婚式前夜を過ごした。晴れの式では、ケイは堂々たる花嫁ぶりで、逆上した親父を圧倒し去った。知人たちがただのシャンパンを飲みに集まる披露宴の混雑で、スタンリーは遂に去り行く娘に言葉をかけてやる暇さえなかった。――もの想いに沈むそのスタンリーに、その時電話がかかってきた。駅からケイが父親に送る最後の「おやすみ」であった。スタンリーは、晴れ晴れと妻を抱いて古い恋歌のレコードをかけながら踊り始めた。




6-43. ヤングガン2

監督 ジョフ・マーフィー
出演 エミリオ・エステヴェスキーファー・サザーランドルー・ダイアモンド・フィリップス
1990年・アメリカ(20世紀フォックス)

解説
88年にアメリカで大ヒットした「ヤングガン(1988)」 の続編で、西部史上のヒーロー、ビリー・ザ・キッドと新メンバーも加わった“警備団“レギュレーターズ”の活躍を描くアクション大作。エグゼクティヴ・プロデューサーはジェームズ・G・ロビンソン、ジョー・ロス、ジョン・フスコ、製作はアービー・スミスとポール・シッフ、監督はニュージーランドから初めてハリウッド進出を果たしたジョフ・マーフィー、脚本はジョン・フスコ、撮影はディーン・セムラー、音楽はアラン・シルベストリが担当。出演はエミリオ・エステベス、キーファー・サザーランドほか。日本版字幕は松浦美奈。カラー、シネスコ、ドルビーステレオ。1990年作品。

ストーリー
大いなる西部開拓時代が終焉を告げようとしていた。馬に揺られて旅して来た老人が待ちうけていると、ハイウェイを車でやって来た新聞記者が駆けつける。老人は余命いくばくもない今、ビリー・ザ・キッドの死の真実を伝えたいと、自身の青春を語り始める。1978年、ニューメキシコ南部。リンカーン軍の戦いを生き延びたビリー・ザ・キツド(エミオ・エステベス)は伝説のアウトローとなり、その首に賭けられた50ドルを狙う賞金稼ぎや軍隊に追われる日々を送っていた。“警備団”のデイヴ(クリスチャン・スレイター)やパット・ギャレット(ウィリアム・ピーターセン)と行動をともにしていたが、根城であるフォート・サムナーの町まで軍隊の追跡は及んでいた。一方、“警備団”一の教養人のドク(キーファー・サザーランド)は足を洗ってニューヨークで子供たちの教師をしているところを捕まり、留置所で仲間のチャベズ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)と再会する。ビリーたちは2人を助け農夫のヘンドリー(アラン・ラック)やビリーに憧れる孤児のトム(バルサザール・ゲッティ)が仲間入りするが、ビリーの無軌道さに愛想をつかしたパットは彼から去っていく。その結果、5人になった“警備団”は牧場王の異名をもつ権力者ジョン・チザム(ジェームズ・コバーン)に脅しをかけるが、そのためにチザムとウォーレス知事(スコット・ウィルソン)は手を組み、ビリー抹殺に本腰を入れる。彼らがそのビリー殺しを目的に保安官に任命したのは、パット・ギャレットだった。一行はビリーの恋人ジェーン(ジェニー・ライト)の営む売春宿に転がり込むが、パット一味に発見されメキシコを目指して逃走する。その途中、トムが銃弾に倒れる。小屋に隠れたものの既にパットたちに取り囲まれ、チャベズ、ヘンドリー、デイヴは逃げ切るが、ドクは倒れ、ひとり小屋に残ったビリーは捕まる。リンカーンの町に連行され、死刑判決も出たが、ジェーンの助けでビリーは逃走に成功する。フォート・サムナーの祭りの夜、出血多量でチャベズの死を見送ったビリーにパットの銃口が突きつけられ、銃声が響き渡る。全てを語り終えた老人は、自分こそそのビリーだと語り、いずこへともなく、去っていくのだった。(20世紀フォックス映画配給*1時間43分)




6-44. ジャイアンツ 

監督 ジョージ・スティーヴンス
出演 エリザベス・テイラーロック・ハドソンジェームズ・ディーン
1956年・アメリカ(ワーナー・ブラザース)

解説
「ショウ・ボート」 の原作者エドナ・ファーバー女史の筆になるベストセラー小説の映画化である。脚色はフレッド・ガイオルと「あの日あのとき」 のアイヴァン・モファットの共同、「シェーン」 のジョージ・スティーヴンスがヘンリー・ギンスバーグと共同製作の上、監督した。撮影は「カービン銃第1号」 のウィリアム・C・メラー、音楽は「ピラミッド(1955)」 のディミトリ・ティオムキン。主演は「雨の朝巴里に死す」 のエリザベス・テイラー、「理由なき反抗」 のジェームズ・ディーン、「風と共に散る」 のロック・ハドソン。他に新星キャロル・ベイカー、「理由なき反抗」 のデニス・ホッパー、サル・ミネオなど。

ストーリー
第1次大戦の終わった1920年頃。東部ヴァージニアで美しさを謳われた、リントン家の三姉妹の次女レスリイ(エリザベス・テイラー)は、馬好きの父ホーレスを訪ねて来たテキサス青年ビック(ロック・ハドソン)と知り合う。東部育ちのレスリイは、たくましいビックに惹かれ、2人は恋し合った末に両親の許可を得て結婚した。ビックは花嫁を連れて故郷へと戻った。広い牧場の真中にそびえるヴィクトリア朝風の大邸宅。3代に亘る開拓者の匂いのしみこんだ家を切り廻しているのは、ビックの姉ラズ(M・マッケンブリッジ)。女丈夫のため、主婦どころかお客さま扱いのレスリイの夢は無惨に打ち砕かれた。頼りにする夫も仕事のため、一緒に食事をする暇もない有様。東部とテキサスの生活の違いを感じ出したレスリイは、人種差別の激しさに驚いた。ビックの助手格のジェット・リンク(ジェームズ・ディーン)は、少年時代から一緒に育った仲なので家族同様に待遇されているが、彼女を見る眼差しから、レスリイは彼が唯の使用人にはないもの持っていると感じた。やがて落馬が原因でラズは死亡。ようやく主婦の立場をとり戻したレスリイも、愛するビックとの間の暮らし方の溝はどうにもならなかった。月日は流れ、夫婦の間には1男2女が生まれた。かねて石油発掘に夢中だったジェットは、遂に金星を射止め、千万長者として牧場を去って行った。すくすくと育つ子供達。後とりのジョーデイにビックは牧場主の心得を教え込むが、実は母に似て学問好き。医者になりたいと申し出て父親を悲しませる。程なく第2次大戦が勃発。双子の娘の1人ジュデイはボップと結婚し、医科大学を卒えたジョーデイもメキシコ娘ファナと結婚の上、貧しいメキシコ人のため診療所を開いた。ビックは怒ったが、レスリイは満足の笑いを洩らす。戦争で成金となったジェットは、ホテルの新築祝いに一家を招待し、双子の娘ラズに夢中になってしまう。人種的差別に立腹したジョーデイはジェットのために殴り倒され、ビツクは怒るが、泥酔したジェットの姿に手を加えず立ち去った。牧場王のビックも巣立つ子供たちは押さえられない。俺は失敗だったらしいというビックに、そんなことはないと答えるレスリイは、30年前の自分の花嫁姿を夢のように思い出していた。




6-45. 熱いトタン屋根の猫

監督 リチャード・ブルックス
出演 エリザベス・テイラーポール・ニューマンバール・アイヴス
1958年・アメリカ(MGM)

解説
欲望という名の電車」「バラの刺青」などで知られるテネシー・ウィリアムズのヒット舞台劇の映画化で、298回の上演記録をもつ同名の戯曲を、「暴力教室」「カラマゾフの兄弟」 のリチャード・ブルックスが監督した。脚色はブルックス自身とジェームズ・ポー。撮影を「夜の道」 のウィリアム・ダニエルズが監督。主演は「愛情の花咲く樹」 のエルザベス・テイラーに「左ききの拳銃」 のポール・ニューマン。ニューマンは1958年度カンヌ映画祭で主演男優賞を受けた。他に「楡の木陰の欲望」 のバール・アイヴス、「赤い家」 のジュディス・アンダーソン、「スタア誕生(1954)」 のジャック・カーソン、マドレーヌ・シャーウッド等が出演、アイヴスとシャーウッドは舞台でも同じ役を演じている。南部の大農園の相続をめぐって、もろもろの欲望のうずまく一家の人間像を描き出すドラマ。製作はMGM 傘下のエイボン・プロを主宰するローレンス・ウェインガーテン。

ストーリー
大おじいちゃまと家族の者から呼ばれる大農園主、ポリット家の当主(バール・アイヴス)が邸に帰ってきた。65歳の誕生日を迎える彼を、長男のグーパー(ジャック・カーソン)とその妻メエ(マドレーヌ・シャーウッド)、蛙の化物のようなふたりの5人の子供たちが、ことさらぎょうぎょうしく歓迎した。癌という不治の病を得ている当主の莫大な財産を、何とか有利に相続しようというのだ。米国各地の医師の診断を受けて帰ってきた当主には、もう1人の息子、次男のブリック(ポール・ニューマン)がいた。フット・ボール選手のブリックと、彼の妻マギー(エリザベス・テイラー)は、父にとって信頼するに足る夫婦だった。しかし、現在のブリックは酒に酔い、妻マギーとも「夫婦生活」をしようとしない焦燥の日々を送っていた。彼にはかつてスキッパーという親友があった。父よりも、妻よりも、彼はスキッパーを愛した。妻のマギーにとっては当然スキッパーは邪魔な存在だった。2人の間が親密になるほど、マギーは夫をとりもどそうと苦しんだ。そしてスキッパーのホテルを彼女が訪れた夜、スキッパーは自殺した。それから、ブリックは妻を妻として愛そうとしなくなったのだ。財産争いと夫の焦燥にはさまれたマギーは、熱いトタン屋根に追いつめられた猫のような存在となった。父の誕生日のパーティは異様な雰囲気のうちに、雨のため屋内に移った。父と喧嘩したブリックは、彼が癌に犯されているという秘密を思わず口走った。父は、やっとこのパーティの不気味な雰囲気の原因を知った。母は泣いた。居間では、長兄のグーパーが財産相続手続き書の承認を求めた。しかし、父は拒否した。父を真ん中に、ブリックとマギーは自分たちのおかれている立場と、心の問題に正面から対決した。ブリックを愛するマギーは、妊娠を告白した。父は、彼等2人に財産をゆずることを告げた。熱いトタン屋根の上の猫のような存在から、今は抜け出ることの出来たブリックとマギー。新しい出発をすべく、ふたりは今度こそ本当の夫婦として抱き合った。




6-46. いそしぎ

監督 ヴィンセント・ミネリ
出演 エリザベス・テイラーリチャード・バートンエヴァ・マリー・セイント
1965年・アメリカ(MGM)

解説
マーティン・ランソホフのストーリーを、アイリーン・キャンプとルイス・キャンプが共同で潤色、「スパルタカス」 のダルトン・トランボ、「陽のあたる場所」 のマイケル・ウィルソンが共同脚色、「けっさくなエディ」 のヴィンセント・ミネリが監督した宗教と芸術をからませたメロドラマ。撮影は「キング・オブ・キングス(1961)」 のミルトン・クラスナー、音楽は「卑怯者の勲章」 のジョニー・マンデルが担当した。出演は「予期せぬ出来事」 のリチャード・バートンとエリザベス・テイラー、「36時間」 のエバ・マリー・セイントほか。製作はベン・カディッシュ。

ストーリー
カリフォルニア海岸に建てられた一軒家に、無名の画家ローラ(エリザベス・テイラー)と、9歳になる息子ダニーが、世間に煩わされることなく、自由な生活を送っていた。ところがある日、ダニーはなかば強制的にミッション・スクールに入れられることになった。宗教家の校長エドワード(リチャード・バートン)と、彼の妻クレアー(エヴァ・M・セイント)はダニーばかりでなく、世間知らずで、自然児のような母親ローラをも教育する必要があると感じた。そしてたびたびローラと接触するうち、エドワードは彼女の裸の人間性に強い魅力を感じるようになった。ローラの過去はほとんど謎だった。ただ学校の理事ヘンドリックスによると、彼女は不幸な恋愛のすえ、私生児ダニーを生み、彼の援助で美術学校に通ったのだという。この頃、エドワードは、新しい礼拝堂を建てる計画を進めローラにも協力を求めた。しかし彼女は、その建築費を貧しい子供たちの教育費につかった方がいいというのだった。自ら無神論者だと言いきるローラの前で、エドワードの宗教観はくずれそうになった。数日後、ありあまる自由を持ちながらも、やはり孤独だったローラは、訪ねてきたエドワードに身をまかせた。罪の意識を失くした彼は、妻を偽り、傷いえたいそしぎが、大空をはばたくように、ローラと旅に出た。2人の関係がそれとなくクレアーの知るところとなった。思いあまったエドワードは真実を告白した。むろん彼女は許すことができない。一方、ローラにとっても自分たち2人だけのことを、たとえ妻といえども人に話したということは許せなかった。学校を辞めたエドワードは、もう一度考えてみるというクレアーを残し、ひとり、旅に出た。いそしぎの飛び交う海岸では、ローラが絵筆をとっていた。




6-47. シン・レッド・ライン

監督 テレンス・マリック
出演 ショーン・ペンジム・カヴィーゼルエイドリアン・ブロディ
1998年・アメリカ(松竹富士配給)

解説
太平洋戦争の激戦地であるガダルカナルを舞台に、生死の狭間に生きる米兵たちの人問模様を豊潤なイメージで綴った大作ドラマ。映画化された「地上より永遠に」「走り来る人々」 で知られる作家ジェームズ・ジョーンズの同名小説(角川書店刊)の映画化。監督・脚本は「地獄の逃避行」(74、ビデオ廃盤)「天国の日々」 (78)のテレンス・マリックで、前2作以降映画界から遠ざかり伝説的な存在となっていた彼の20年ぶりの復帰作として大きな話題となった。なお、同小説は以前にも64年に「大突撃」 (アンドリュー・マートン監督)として一度映画化されている。今回が製作はロバート・マイケル・ガイスラー、ジョン・ロバルデュー、グラント・ヒル(「タイタニック」 に参加)。製作総指揮はAFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)の創設者でもあるショージ・ステイーヴンス・Jr.。撮影は「シティ・オブ・エンジェル」 のジョン・トール。音楽は「ピースメーカー」 のハンス・ヅィマー。美術のジャック・フィスク、編集のビリー・ウェバーはマリックの前2作のスタッフ。衣裳はマーゴット・ウィルソン。ミリタリー・アドヴァイザーは「スターシップ・トゥルーパーズ」 のマイク・ストーキー。出演は「GIジェーン」 のジム・カヴィーゼル、「好きと言えなくて」 のベン・チャップリン、「エンジェルズ」 のエイドリアン・ブロディ、「ブギーナイツ」 のジョン・C・ライリー、「バジル」 のジャレッド・レトら新鋭に加えて、「シーズ・ソー・ラヴリー」 のショーン・ペン、「ナイトウォッチ」 のニック・ノルティ、「ガタカ」 のエリアス・コーティアス、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」 のウディ・ハレルソン、「真夜中のサバナ」 のジョン・キューザック、「マルコムX」 のジョン・サヴェージ、日本から「枕草子」 の光石研、「フェイス/オフ」 のジョン・トラヴォルタ、「アウト・オブ・サイト」 のジョージ・クルー二ー、紅一点として「女と女と井戸の中」 のミランダ・オットーら多彩な顔触れ。第49回ベルリン映画祭金熊賞(グランプリ)、ニューヨーク批評家協会賞監督賞・撮影賞受賞・アカデミー賞各賞にノミネート。

ストーリー
1942年、ソロモン諸島ガダルカナル島。アメリカ陸軍C中隊に属する二等兵ウィット(ジム・カヴィーゼル)はメラネシア系原住民に魅せられたかのように無許可離隊を繰り返していた。そんな彼を歴戦のつわものであるウェルシュ曹長(ショーン・ペン)は看護兵に配属した。さて、C中隊を率いるたたきあげの指揮官トール中佐(ニック・ノルティ)は、クィンタード准将(ジョン・トラヴォルタ)の見守る前で兵士を上陸させる。日本軍の守備隊がたてこもる内陸の丘の攻略にかかる中隊だが、敵の銃火の下、ケック軍曹(ウディ・ハレルソン)はじめ兵士たちは次々に命を落とす。焦るトールの強引な突撃命令を、中隊長のスターロス大尉(エリアス・コーティアス)は部下を無駄死にさせたくないと拒絶した。結局、丘は戦場にあっても故郷に残した美しい妻(ミランダ・オットー)の面影を胸に戦い続けるベル二等兵(ベン・チャップリン)の決死の偵察とガフ大尉(ジョン・キューザック)指揮の攻撃部隊の活躍でみごと陥落。トールはさらに奥の日本軍の本拠地も攻め落とさせた。作戦に成功した中隊だが、トールは命令に背いたスターロスを解任した。ひとときの休養の後、進軍を再開した中隊は今度はジャングルの中で日本軍に遭遇。看護兵から一兵卒に復帰していたウィットは自ら申し出て仲間3人で斥候に出たが、部隊をかばおうとして日本軍に包囲され命を落とした。ウェルシュは彼の墓の前にひざまづく。スターロスに代わり新たな中隊長のボッシュ大尉(ジョージ・クルーニー)が赴任したが、戦闘はなおも続く。ウェルシュやベルは様々な思いを胸に島を離れるのだった。




6-48. ランジェ公爵夫人

監督 ジャック・リヴェット
出演 ジャンヌ・バリバールギョーム・ドパルデュービュル・オジエ
2006年・フランス、イタリア(セテラ・インターナショナル)

解説
仏の巨匠ジャック・リベットが文豪バルザックの名作を映画化した文芸ロマン。男女の戯れのような駆け引きが激しい愛に転じていくさまを、繊細かつ甘美に映し出す。

ストーリー
1823年、ナポレオン軍の英雄アルマン・ド・モンリヴォー将軍(ギョーム・ドパルデュー)はスペイン・マヨルカ島で、かつて愛したアントワネット・ド・ランジェ公爵夫人(ジャンヌ・パリバール)と再会する。しかし、現在の彼女は修道女だった。5年前、パリのサンジェルマン。ある舞踏会でモンリヴォー将軍と出会ったランジェ公爵夫人は彼に興味を抱き、自分の家に来てアフリカでの冒険譚を語るように誘う。一方、公爵夫人に恋心を抱いたモンリヴォー将軍は、彼女を自分の恋人にする事を決意。翌日から、訪れてきたモンリヴォー将軍に対し、ランジェ公爵夫人は思わせぶりな態度を見せつつも自分には指一本触れさせず、彼の心を翻弄する。周囲はそんな彼女に対してモンリヴォー将軍を弄ぶことをやめるよう忠告するが、恋愛の駆け引きを楽しんでいる彼女は耳を貸さない。焦らされることに痺れを切らしたモンリヴォー将軍は、遂に“誘拐”という行動に出る。しかし、泣いて許しを請う彼女を目にして、結局そのまま解放するのだった。だが、この経験が公爵夫人の恋心を目覚めさせた。彼女はこれまでの態度を悔いて、熱烈な手紙をモンリヴォー将軍に送り始める。しかし、彼は彼女を徹底的に無視。公爵夫人は返事の来ない手紙を出すことに耐えきれなくなり、ついにモンリヴォー将軍の留守宅へ押しかける。そこで彼女が目にしたのは、封が切られていない手紙の束だった。絶望した彼女は“この手紙を読んで3時間後に自分の屋敷へ来なければ、自分は姿を消す”としたためた最後の手紙を届ける。それを読んだモンリヴォー将軍は彼女の元へ駆けつけようとするが、来客に邪魔され、出かけることができない。ついに約束の時間が過ぎ、ランジェ公爵夫人はパリを後にした。再会から数ヵ月後。モンリヴォー将軍は、修道院からランジェ公爵夫人を誘拐する計画を立て、武装した船でマヨルカ島へと向かう……。