21-1. ロビンとマリアン

監督 リチャード・レスター
出演 ショーン・コネリーオードリー・ヘップバーンロバート・ショウリチャード・ハリスニコル・ウィリアムソン
1976年・イギリス (コロムビア) 106分

解説
悪徳代官に立ち向かうロビン・フッドの恋と戦いを描く。製作総指揮はリチャード・シェファード、製作はデニス・オディール、監督は 「四銃士」 のリチャード・レスター、脚本はジェームズ・ゴールドマン、撮影はデイヴィッド・ワトキン、音楽はジョン・バリー、編集はジョン・ヴィクター・スミス、衣裳デザインはイボンヌ・ブレイクが各々担当。出演はオードリー・ヘップバーン、ショーン・コネリー、ロバート・ショウ、ニコル・ウィリアムソン、ロニー・バーカー、デンホルム・エリオット、イアン・ホルムなど。

ストーリー
ある事情で十字軍の一員としてヨーロッパに渡ったロビン・フッド(S・コネリー)と親友リトル・ジョン(N・ウィリアムソン)の二人は、獅子王(R・ハリス)の死によって、十八年ぶりに故国イギリスに帰ることになった。久しぶりにイギリスに戻った二人を出迎えたのは、緑したたる森と田園、そしてシャーウッドの森の仲間たちだった。すべてが十八年前のままで、ロビン・フッドとリトル・ジョンの心をなごませた。一方、変わっていないといえば、ジョン王(I・ホルム)のもと、イギリス国民はふたたび悪政に苦しんでいたこと、ロビン・フッドの宿敵ノッチンガム(R・ショウ)が未だ権力をふるい、良民を苦しめていたことだった。ただひとつ、ロビン・フッドの美しい恋人マリアン姫(A・ヘップバーン)が、今はカークリーの近くの修道院長になっていたのが思いがけないことだった。しかし、長い歳月の隔りも、二人の深い愛を妨げることはできなかった。しばらくして、マリアンは尼僧たちとともにシャーウッドの森に移り、ロビンとの愛の日々を送るのだった。森林の木もれ陽の下に、小川の流れのほとりに、黄金色に輝く花畑の中に、寄りそったふたりのみちたりた姿があった。だが、その間にも民衆の、ロビン・フッドを待つ声は大きくなる一方だった。そして、村の、町の有志たちが森へやってきた。少年もいた。老人もいた。ロビン・フッドは来るべき日のために、彼らを訓練した。マリアンと尼僧たちにとっても忙しい毎日だった。国王と教会とが正面からぶつかった日、ついにロビン・フッドはマリアン、シャーウッドに集まった人々と共に立ち上った。ジョン王とノッチンガムの軍勢に立ち向かうシャーウッドの男たち。ノッチンガム代官とロビン・フッドの一騎打ちは凄絶だった。両軍の見守る中、ロビン・フッドはついにノッチンガムを倒した。だがロビン・フッドも深手を負ってしまう。マリアンはリトル・ジョンの助けを得て、重傷のロビン・フッドを修道院へ連れ帰った。ロビン・フッドの命が明日をも知れぬことは、マリアンが見ても一目瞭然だった。彼女は意を決した。毒入りのワインをロビン・フッドにふくませたマリアンは自分も一気にそのワインを飲みほした。




21-2. イエスマン “YES”は人生のパスワード

監督 ペイトン・リード
出演 ジム・キャリーズーイー・デシャネルブラッドリー・クーパージョン・マイケル・ヒギンステレンス・スタンプ
2008年・アメリカ (ワーナー) 104分

解説
人生をポジティブに変えるためのユニークなアイデアを盛り込んだコメディ。ジム・キャリーが“ノー”を封印してすべてを肯定する主人公に扮して笑いを誘う。

ストーリー
ロサンゼルスの銀行に勤務するカール・アレン(ジム・キャリー)の生活は、毎日ほとんど変わりない。ローンの申請を却下し、何かと口実を作って友人からの誘いを拒み、家のソファでひとりテレビを見ている日々。親友の婚約パーティーまですっぽかし、「生き方を変えないかぎりお前はひとりぼっちになる」と脅されたカールは、勇気を振り絞り、とあるセミナーに参加する。セミナーの主催者テレンス・バンドリー(テレンス・スタンプ)は「意味のある人生を送るための唯一のルールは、全てのことに“イエス”と言うだけ」と説く。最初は猜疑心でいっぱいのカールだったが、とりあえずあらゆることにイエスと言ってみようという気になっていった。カールの上司ノーム(リス・ダービー)は、カールが仕事により積極的に取り組み始めただけでなく、ノームが計画するパーティーへも興味を示したことをとても喜ぶ。そんなある日、深夜にガス欠になったカールは車を残し、ガソリン・スタンドへ歩いて向かった。重いガソリン缶を持つ彼に、スクーターで来ていたアリソン(ゾーイ・デシャネル)が「送っていこうか」と声をかけると、カールはもちろん“イエス”と答える。それをきっかけに、アリソンはカールの積極的でユーモアのある人柄に惚れ込んでいくのだった。人が変わったようにますます運気を上げていくカール。だが、全てが好転し始めたとき、思わぬどんでん返しが待っていた……。





21-3. アザーズ

監督 アレハンドロ・アメナーバル
出演 ニコール・キッドマンフィオヌラ・フラナガンクリストファー・エクルストンアラキナ・マンジェームズ・ベントレー
2001年・アメリカ、スペイン、フランス (ギャガ=ヒューマックス(ポニーキャニオン=ギャガ・コミュニケーションズ 提供)) 104分

解説
全米でロングランヒットを記録した本格派ゴシック・ホラーが上陸。正体不明の存在が潜む屋敷を舞台に、家族を命がけで守ろうとする母親の姿をドラマチックにつづる。

ストーリー
1945年、第2次世界大戦末期の英国、チャネル諸島のジャージー島。グレース(ニコール・キッドマン)と、アレルギー体質のため太陽光線を浴びることのできない娘アン(アラキナ・マン)と息子ニコラス(ジェームズ・ベントレー)は、広大な屋敷の中で親子3人の閉ざされた日々を送っていた。そんなある日、ミセス・ミルズ(フィオヌラ・フラナガン)と言葉を喋ることのできないリディア(エレーン・キャシディ)、庭師のミスター・タトル(エリック・サイクス)が、使用人として招き入れられる。まもなく屋敷の中で、他人の足音や話し声が響き渡り、ピアノが独りでに鳴りだすという怪奇現象が頻繁に起き始める。誰かが勝手に侵入していると怯えるグレースに、アンは一枚の絵を描いてみせる。そこには全く見覚えのない、老婆と男の子とその両親が描かれていた。やがて使用人3人が、半世紀以上も前に死んだ幽霊だと判明する。そして実は、グレースとアンとニコラスも幽霊で、彼女らはこの屋敷を守るべく死んだあとも住み着いていたのだった。アンが描いた家族は新しく入居してきた実在の人間たちであり、屋敷の怪しげな気配に恐怖した彼らは去っていくのだった。




21-4. チャンス

監督 ハル・アシュビー
出演 ピーター・セラーズシャーリー・マクレーンメルヴィン・ダグラスジャック・ウォーデンリチャード・ダイサート
1979年・アメリカ (松竹=富士映画)

解説
数十年間ひたすら庭いじりだけを仕事としてきた俗世間を知らない庭師が、その純真無垢な精神故に知らぬ間に大統領にまでなるという社会諷刺、皮肉を含んだコメディ映画。製作はアンドリュー・ブランスバーグ、監督は 「帰郷」 のハル・アシュビー。イェジー・コジンスキーの原作( 「預言者」 /角川書店刊)を基にコジンスキーが脚色。撮影はカレブ・デシャネル、音楽はジョニー・マンデル、編集はドン・ジンマーマン、美術はジェームズ・L・ショップ、製作デザインはマイケル・ホーラーが各々担当。出演はピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、メルビン・ダグラス、ジャック・ウォーデン、リチャード・ダイサート、リチャード・ベースハート、ルス・アタウェイなど。

ストーリー
ワシントンの古い屋敷の主人が、ある朝突然死んだ。残されたのは中年の庭師チャンス(ピーター・セラーズ)と黒人のメイドの2人。チャンスは、ここ数十年屋敷の外へは一歩も出たことがなく、読み書きもできず、ひたすら庭いじりとテレビを観る楽しみだけで生きてきた男だ。やがて管財人に屋敷を出て行くように言われたチャンスは、街の喧騒の中に飛び出すことになる。見るもの、出合ううものが珍しく、それらに気をとられていたチャンスは、1台の高級車にぶつけられ、中に乗っていた婦人に手当てを受けるため家に寄って欲しいと言われた。車の中でその美しい貴婦人イブ・ランド(シャーリー・マクレーン)に名を問われ、庭師チャンスと名のるが、彼女はそれをチョンシー・ガーディナーと聞き違えた。やがてその車が着いたのは経済界の大立物ベンジャミン・ランド(メルビン・ダグラス)の邸で、貴婦人は彼の妻だった。ランドは高齢で健康状態もすぐれなかったが、チャンスの子供のような無垢さに接していると気持ちが安らぐのを感じた。数日後、ランドを見舞いにやって来た大統領(ジャック・ウォーデン)は、そこでチャンスと会い、庭の手入れに例えた極めて楽観的な意見に耳を傾けた。大統領はさっそくTV放送のスピーチでチャンスの言葉を引用し、それをきっかけにチョンシー・ガーディナーの名は一躍全米に知れ渡るようになる。それからチャンスのTV出演などの奇妙な生活がはじまるが、彼の本当の正体を知る者はいなかった。やがてランドが大往生を遂げ、その葬儀の際チャンスはイブから愛の告白を受けた。そして大統領の葬送の辞で新大統領候補がチョイシー・ガーディナーであることが明らかにされるのだった。




21-5. ブラック・ライダー

監督 シドニー・ポワチエ
出演 シドニー・ポワチエハリー・ベラフォンテルビー・ディーキャメロン・ミッチェルデニー・ミラー
1972年・アメリカ (コロムビア映画)

解説
南北戦争直後のテキサスを舞台に、自由の天地を求めてやってきた黒人移住者が、白人の偏見や暴力と戦いながら目的を達するまでの物語。製作はジョエル・グリックマン、監督はこれが第1回作品となるシドニー・ポワチエ、アーネスト・キノイとドレイク・ウォーカーの原案をアーネスト・キノイが脚本化した。撮影はアレックス・フィリップス・ジュニア、音楽はベニー・カーター、編集はペンブローク・J・へリングが各々担当。出演はシドニー・ポワチエ、ハリー・ベラフォンテ、ルビー・ディー、キャメロン・ミッチェル、デニー・ミラーなど。

ストーリー
南北戦争が終わって間もなく、アメリカに新しい時代の夜明けが近づいている。しかし北軍の勝利によって奴隷制度は廃止されたものの、偏見は根づよく残り、南部を逃れて西部に渡る幌馬車の黒人たちの心を暗くしていた。そんな彼らの心の支えになったのは、黒人ガイドの元北軍騎兵隊軍曹バック(シドニー・ポワチエ)だった。黒人の移住者を目の仇にする白人は多く、中でもディシェイ(キャメロン・ミッチェル)に率いられる無法者たちの行動は目にあまった。今夜も、ルイジアナからきた幌馬車隊のテントが襲われ、リーダーが射殺された。そして、久しぶりに我が家に向かうバックを先回りして、彼の家でバックの帰りを待ちうけた。編み物をする妻ルース(ルビー・ディー)の表情がなぜかかたい。「逃げろ!」銃をかまえて飛び出すと、バックは妻に呼びかけた。銃弾の雨をかいくぐり、敵をけん制しながら、バックは追手をまいた。翌朝、疲れ果てたバックは砂漠の中で人影を見た。そっと忍びよると、自分の馬とひきかえに彼の馬を盗む。その男、ミシシッピーのルサフォード牧師(ハリー・ベラフォンテ)は、あっという間に遠ざかっていくバックの後ろ姿を見ながら地団駄を踏んだ。数日後、彼はディシェイ一味に追われているという幌馬車隊に同行していた。同じ頃、ルサフォードはやっとの思いで近くの町にたどりついた。彼がひいている馬を見た一味は、ルサフォードに、バックの居所を教えれば500ドルやるという話を持ちかけた。なまぐさ牧師のルサフォードにとって、こんなうまい話はまたとない。そのチャンスは意外に早くきた。フラリとまぎれこんだ幌馬車隊にバックがいたのだ。バックは、インディアン領の通行税を払うために隊を離れた。その後を追うルサフォード。やがて2人は奇妙な友情で結ばれる。その2人が隊に帰ると、悲しい知らせが待っていた。ディシェイ一味の襲撃で何人かが殺され、血と汗の結晶である1400ドルが盗まれのだ。2人は一味を追い、町の酒場まで追いつめた。バックの散弾銃が、ディシェイを壁にたたきつけた。金を取り返したものの500ドルそこそこしか残っていなかった。そして今度は2人が追われる番だった。距離はどんどん縮まったが、その時前方にインディアンが現われ、彼らのために退路を開くと、追手の前に立ちふさがった。しかしインディアンの力は借りられない。彼はルースを幌馬車隊に連絡に行かせると、ルサフォードと敵を迎えうったが多勢に無勢、傷ついたバックとルサフォードに最後の時が迫った。と、遠回しに見ていたインディアンたちが2人を援護した。ルースにひき連れられた黒人たちもかけつけ一味は逃走した。何日か後、幌馬車隊は目的地につきバック、ルース、ルサフォードは自由を求めて旅立った。




21-6. 海洋天堂

監督 シュエ・シャオルー
出演 ジェット・リーウェン・ジャングイ・ルンメイドン・ヨンジュー・ユアンユアン
2010年・中国 (クレストインターナショナル) 98分

解説
脚本に惚れ込んだジェット・リーが、ノーギャラで出演を熱望。一切のアクションを封印し、自閉症の息子を持つ父親役を繊細に演じ、俳優としての新たな魅力を開花させた感動ドラマ。脚本は 「北京ヴァイオリン」 で観客の涙を絞ったシュエ・シャオルー。撮影にクリストファー・ドイル、音楽に久石譲と一流スタッフが顔を揃える。

ストーリー
中国、チンタオ。妻に先立たれたワン・シンチョン(ジェット・リー)は、自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで育てていた。シンチョンは自身が癌で余命わずかと知り、21歳になったターフーと心中を試みる。2人で海に飛び込むが、ターフーは足かせをほどいて水面へ上がっていく。向かいの家に暮らす女性チャイ(ジュー・ユアンユアン)はそんな事情を知らず、帰宅した2人を温かく迎える。シンチョンは水族館の仕事の合間に、自分の死後息子を預かってくれる施設を探す。同時に、ターフーに1人で生きていくために必要なことを、ひとつひとつ教えていく。一方チャイは、父子の留守中にシンチョンの主治医が訪ねてきたことから、シンチョンの病気や心中のことを知る。シンチョンに想いを寄せていたチャイは、彼の力になろうとする。かつて世話になった養護施設のリュウ先生のお陰で、ターフーを受け入れてくれる施設を確保する。シンチョンは最期の日まで、息子と施設で暮らすことにする。そのころターフーは、水族館に巡業で来ていたサーカス団の女ピエロ・リンリン(グイ・ルンメイ)と仲良くなっていた。シンチョンは死期が近づき、あることをターフーに教える決意をする。




21-7. スター誕生

監督 フランク・R・ピアソン
出演 バーブラ・ストライサンドクリス・クリストファーソンゲイリー・ビジーOliver ClarkVanetta Fields
1976年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
トップ歌手を夢見る女性がその座を得、ロック界のスーパースターとの悲劇の愛を描いたリメイク作品。77年ゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞、主演女優賞、主演男優賞、作曲賞、主題歌賞を受賞。製作総指揮はバーブラ・ストライサンド、製作はジョン・ピータース、監督は 「狼たちの午後」 の脚本家でこれがデビューのフランク・R・ピアソン、脚本はジョン・グレゴリー・ダン、ジョーン・ディディオン、フランク・R・ピアソン、音楽及びライブ・レコーディング製作はフィル・ラモン、音楽監修はポール・ウィリアムス、舞踊振付はデイヴィッド・ウィンタース、撮影はロバート・サーティースが各々担当。出演はバーブラ・ストライサンド、クリス・クリストファーソン、ゲイリー・ビジーなど。

ストーリー
ジョン(クリス・クリストファーソン)は、ロック界のスーパースター。最近うまくいかない彼は、安クラブでエスター(バーブラ・ストライサンド)のすばらしいステージを発見する。翌日、ジョンはコンサートで酔いどれメチャメチャにしてしまい、傷を負い、エスターとははぐれ、財政的危機にも追い込まれてしまった。公演のキャンセルは続き、あの公演の損害賠償をと、関係者はジョンの邸に集まる。そこへ放送局がヘリコプターよりインタビューを求めるが、怒ったジョンは発砲してしまった。後日謝罪に局を訪れたジョンは、エスターと再会する。家財道具も何もないジョンの邸で、愛を確認し合う2人。ジョンは彼女のために曲を作る。そしてある日、ジョンは自分のコンサートで、観客に彼女を紹介し、コンサートは大成功。マスコミは連日、彼女を追い、レコードは売れ、全国巡演も決定した。2人は結婚する。グラミー賞発表の日が来た。受賞するエスター。今や2人の人気は逆転していた。式のステージに酔ったジョンが上がり、彼女をほめたたえ、自分を卑下する。今や大スターのエスターにとってジョンは邪魔な存在だ。人々はそういい、ジョンは気づくが、エスターはわからない。2人は愛し合っているのだ。ある日、ジョンはフェラーリに乗って死ぬ。自殺? そして数日後彼を追悼するコンサートが催され、偉大な歌手ジョンの死を一流ロック・グループが惜しんだ。静かにイントロが流れ、悲しみからまだ立ち上がれないエスターの歌が流れてくる。愛しいジョンのあの想い出の歌が、今満員の聴衆の中にも大きくひろがっていった。




21-8. ダイヤルMを廻せ!

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 レイ・ミランドグレース・ケリーロバート・カミングスジョン・ウィリアムスアンソニー・ドーソン
1954年・アメリカ (ワーナー・ブラザース日本支社)

解説
私は告白する」 に次いでアルフレッド・ヒッチコックが監督したミステリイ・ドラマ1954年作品。フレデリック・ノットの戯曲およびテレビ劇を作者自身が脚色した。撮影のロバート・バークス、音楽のディミトリ・ティオムキンも 「私は告白する」 と同じスタフ。主演は 「午後の喇叭」 のレイ・ミランド、 「モガンボ」 のグレイス・ケリー、 「逃走迷路」 「恐怖時代」 のロバート・カミングスで、ジョン・ウィリアムス(1)、アンソニー・ドーソン( 「鷲の谷」 )らが助演する。ワーナーカラー作品、3D立体映画であるが、日本公開は平面版になる。

ストーリー
ロンドンの住宅地にあるアパート。その1階に部屋を借りているトニー(レイ・ミランド)とマーゴ(グレイス・ケリー)のウエンディス夫妻は、表面平穏な生活を送っているように見えたが、夫婦の気持ちは全く離ればなれで、マーゴはアメリカのテレビ作家マーク・ホリデイ(ロバート・カミングス)と不倫な恋におちており、それを恨むトニーは、ひそかに妻の謀殺を企てていた。トニーはもとウィンブルドンのテニスのチャンピオンで、金持ち娘のマーゴはその名声にあこがれて彼と結婚したのだが、トニーが選手を引退してからは、彼への愛情が次第にさめていったのである。トニーは大学時代の友人でやくざな暮らしをしているレスゲートに、巧みに持ちかけて妻の殺人を依頼した。計画は綿密で、トニーはマークと一緒に夜のパーティーに出かけてアリバイをつくり、レスゲートにアパートへしのびこませる。約束の時間にトニーはアパートへ電話をかけ、マーゴが電話に出たとき、かくれていたレスゲートが後ろから絞殺するというてはずだった。しかし、実際には絞められたマーゴが必死にもがいて鋏でレスゲートを刺殺してしまった。トニーは、マーゴがマークとの不倫をレスゲートにゆすられていたので彼を殺したという印象を警察に与え、マーゴを罪におとし入れた。マーゴは死刑を宣告され、処刑の前日までトニーの陰謀は発覚しそうにもなかった。だが、ひそかに調査を進めていたハバード警視は、レスゲートが使ったアパートの鍵のことから事件解決の緒口をつかみ、遂にトニーの犯罪をあばいた。




21-9. パニック・ルーム

監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ジョディ・フォスターフォレスト・ウィテカードワイト・ヨーカムジャレッド・レトクリステン・スチュワート
2002年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 113分

解説
鬼才デビッド・フィンチャー監督&主演ジョディ・フォスターで贈る密室サスペンス。侵入不可能な避難用小部屋を舞台に、凶悪な強盗団に挑む母と娘の奮闘がスリリングに展開!

ストーリー
ニューヨーク。夫と離婚したメグ(ジョディ・フォスター)は、11歳の娘サラ(クリステン・スチュワート)を連れ、ある富豪が遺した豪邸に入居。その夜、遺族の一人であるジュニア(ジャレッド・レト)、正体不明のラウール(ドワイト・ヨーカム)、屋敷に設置された緊急避難用の鋼鉄製の密室パニック・ルームの設計者バーナム(フォレスト・ウィテカー)という3人の男が邸内に侵入してきた。パニック・ルームに隠されたと目される遺産を盗みにきたのだ。メグとサラはパニック・ルームに逃げ込むが、男たちは邸内を破壊しはじめ、パニック・ルームへと魔の手を伸ばしてくる。そんな中、糖尿病を患っているサラが、発作を起こしてしまう。一方、3人組は仲間割れを起こし、ラウールがジュニアを射殺。メグは電話線を自らつなぎ、別れた夫スティーヴン(パトリック・ボーショー)に連絡するが、彼は1人でのこのこやってきて男たちに捕らわれてしまう。メグはサラにインシュリンの注射をしようとパニック・ルームの外に出るが、それが災いして、ラウールとバーナムにパニック・ルームに入られてしまう。サラへの注射はバーナムがしてくれたが、そのサラを人質に2人は脱出しようとする。やがてラウールの余りの残虐ぶりを見かねたバーナムは、彼を射殺。そして邸内に警察が乗り込んできて、バーナムは逮捕されるのだった。




21-10. 白い肌の異常な夜

監督 ドン・シーゲル
出演 クリント・イーストウッドジェラルディン・ペイジエリザベス・ハートマンジョー・アン・ハリスパメリン・ファーディン
1971年・アメリカ (CIC)

解説
女性特有の愛憎の心理構造を鋭くえぐった作品。製作・監督は 「刑事マディガン」 のドン・シーゲル、トーマス・カリナンの原作をジョン・B・シェリーとグライムス・グリスが共同脚色、撮影はロバートの息子ブルース・サーティーズ、音楽はラロ・シフリン、編集はカール・ピンジトアが各々担当。出演は 「真昼の死闘」 のクリント・イーストウッド、ジェラルディン・ペイジ、エリザベス・ハートマン、ジョー・アン・ハリス、パメリン・ファーディンなど。

ストーリー
南北戦争末期、南部のある深い森の中にファンスワース女子学院があった。戦火を避け自給自足の生活をおくる女たちは、院長のミス・マーサー(ジェラルディン・ペイジ)、教師のエドウィーナ(エリザベス・ハートマン)、キャロル(ジョー・アン・ハリス)、ドリス、ジャニー、亀の子をペットにしている10歳のエミー(パメリン・ファーディン)などであった。ある日、きのこ採りに森の奥に入ったエミーは、血みどろで倒れている兵士を発見して悲鳴をあげた。女たちは学院にその男をかつぎ込んだものの、兵士が敵方の北軍の軍服を着ているのに気づき困惑した。しかし、傷ついた男を敵側に渡すこともできず、女たちは手当てをして看病を続け、南軍の巡視隊の目をうまくかわした。間もなく生気を回復した兵士ジョン・マクバーニー伍長(クリント・イーストウッド)に、しかし女たちの欲望が渦巻き始めたのだ。成熟した体を持て余すキャロル、精神的に傾斜するエドウィーナ、そして院長もマクバーニーに心惹かれた。そして、彼女たちの嫉妬と憎しみが頂点に達した時、逆上したエドウィーナはマクバーニーを階段の上から突き落としてしまった。その傷が化膿すると、院長は自ら指示してナイフとノコギリを持ち出し、彼の脚を切断してしまった。麻酔から覚めたマクバーニーは、脚を切断したのは院長の嫉妬心からだと喚きたて、院長の近親相姦の秘密を知ると、それをたてにとって、学院の支配者はオレだとうそぶいた。憎しみを抱いた院長たちは毒きのこで彼を殺害しようと思いついた。マクバーニーに亀の子を殺されたエミーが毒きのこを採ってきた。しかし夕食の時、マクバーニーの態度は一変し皆に無礼を謝り、学院を出て行くといって、好物のきのこ料理をうまそうに食べた。その彼の手からフォークがポトリと落ちた。




21-11. 血と怒りの河

監督 シルヴィオ・ナリッツァーノ
出演 テレンス・スタンプジョアナ・ペテットカール・マルデンリカルド・モンタルバンアンソニー・コステロ
1968年・アメリカ (パラマウント) 113分

解説
ロナルド・M・コーエンの原案を、彼とミード・ロバーツが脚色、 「ジョージー・ガール」 のシルビオ・ナリッツァーノが監督した西部劇アクションで 「ベン・ハー(1959)」 のヤキマ・カナットがアクション・シーンを担当している。撮影はスタンリー・コテルス、音楽は 「日曜日はダメよ」 のマノス・ハジダキスが担当した。出演は 「遥か群衆を離れて」 のテレンス・スタンプ、 「007/カジノ・ロワイヤル」 のジョアンナ・ペティット、 「ホテル」 のカール・マルデン、 「追いつめて殺せ!」 のリカルド・モンタルバン、 「アメリカ アメリカ」 のスタチス・ヒアレリスほか。製作はジャッド・バーナードとアーウィン・ウィンクラー。

ストーリー
1850年のメキシコ。アスール(スペイン語で「青」という意味)と呼ばれている若者ブルー(テレンス・スタンプ)は、アメリカ人だったが、幼い頃、両親がメキシコの革命家に殺され、盗賊の首領オルテガ(リカルド・モンタルバン)に育てられた。オルテガにはカルロス、ザビエル、アントニオ、マヌエルの4人の息子がいたが、ブルーをも、わが子同様にかわいがった。だがオルテガ一味は、貧しい農村を襲うほどに落ちぶれ、北上して豊かなテキサスを襲うしか生きる道がなかった。テキサスの小さな開拓者集落は、祭の最中。雑貨屋の店先で美しい娘ジョアンヌ(ジョアンナ・ペティット)を見つけたマヌエルは彼女を犯そうとした。そこへ現れたブルー。やはり彼は白人の血をひいている男だ。本能的にジョアンヌを助け、マヌエルを撃ち殺した。そこへ駆けつけたザビエルとアントニオ。ブルーを逃がしてやろうとするアントニオをザビエルは殺した。ブルーも瀕死の重傷。ジョアンヌの家へかくまわれ、やがて彼女の愛を受けた。だが彼女の父ドク(カール・マルデン)はブルーを、快く思わない。一方、オルテガは、息子ザビエルの説得で、今ではすっかり白人の生活をしているブルーを探しに行くことにした。だが対面したとき、オルテガの自尊心は、いたく傷つけられ、テキサスの開拓者全員を殺すといきまいた。そしてブルーは開拓者たちのリーダーとなり、心ならずも、育ての親と対決するはめとなった。開拓者側の損害も大きかったが、盗賊団は、いっそう、ひどかった。ザビエルは死に、カルロスは重傷を負い、オルテガはブルーと対決。ブルーの方が一瞬早かった。苦しい息の下からオルテガは、メキシコ側で死にたいと訴えた。ブルーはこの育ての親を運んだ。だが、この時、重傷のカルロスが最後の1弾を放った。ついにブルーも倒れた。オルテガに育ててもらったメキシコの地で……。




21-12. アジャストメント

監督 ジョージ・ノルフィ
出演 マット・デイモンエミリー・ブラントアンソニー・マッキージョン・スラッテリーマイケル・ケリー
2011年・アメリカ (東宝東和) 106分

解説
人気SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説を、マット・デイモン主演で映画化したサスペンス・アクション。なにげない日々の出来事もすべてが謎の集団“運命調整局”によって操作されているという奇妙な世界で、その事に気付き、誰にも支配されない運命を手に入れようと奔走する男の姿を描き出す。

ストーリー
選挙で敗れた上院議員候補デヴィッド・ノリス(マット・デイモン)。敗戦会見の準備をしていた彼は、見知らぬ女性エリース(エミリー・ブラント)と出会い、たちまち意気投合する。さらに、会見を無事に切り抜けたデヴィッドは全米一のベンチャー企業に役員として迎えられ、次回上院選の有力候補として再浮上する。だが、そんな彼の行動を逐一モニターする謎の集団があった。社会の裏で超人的な能力を駆使して、人間の運命を操作する運命調整局のエージェントたちだった。その1人、ハリー(アンソニー・マッキー)は、出勤するデヴィッドがバスを乗り過ごすように操作を試みるが、手違いから失敗。バスに乗り込んだデヴィッドは車内でエリースと再会し、彼女の携帯番号が書かれたメモを手に入れる。出社したデヴィッドは、調整局から派遣された干渉班が社員の意識改変を実施する現場に遭遇し、捕えられてしまう。エリースとは2度と会わないようデヴィッドに忠告したエージェントたちは、携帯番号のメモを燃やす。さらに、調整局の背後にはすべての運命を司る“チェアマン”の存在が……。それから3年。デヴィッドはエリースと偶然再会。それを知って2人を引き離そうと様々な策を講じる調整局。繰り返し再会する彼らに疑問を持ったリチャードソン(ジョン・スラッテリー)は、2人を調査。過去に2度も結ばれる運命にあった2人が、その運命に引きずられて互いに呼び合っていたことが明らかになる。一方、デヴィッドの元には調整局が派遣した“ハンマー”の異名を持つトンプソン(テレンス・スタンプ)が現れ、彼が政治家になった理由は真のリーダーとして人類を統率させるためだったと説明。さらに、これ以上エリースと接触すると、彼女のダンサーとしての夢も消えると告げる。選択を迫られたデヴィッド。果たして彼はどのような決断を下すのか……?




21-13. クリフハンガー (吹替)

監督 レニー・ハーリン
出演 シルヴェスター・スタローンジョン・リスゴーマイケル・ルーカージャニン・ターナーレックス・リン
1993年・アメリカ (東宝東和) 112分

解説
標高4 000メートルの山中で、1億ドルのトランクを巡って国際的犯罪組織と争奪戦を繰り広げる男の超人的な活躍を描く、山岳冒険活劇。監督・製作は 「ダイ・ハード2」 のレニー・ハーリンが当たり、共同製作は 「氷の微笑」 のアラン・マーシャル。エグゼクティヴ・プロデューサーは 「ターミネーター2」 のマリオ・カサール。脚本はジョン・ロングの原案を元に、本作でデビューのマイケル・フランスと主演のシルヴェスター・スタローンが執筆。映画用ストーリーはフランス。撮影は 「エイリアン3」 のアレックス・トムソン。音楽は 「ラスト・オブ・モヒカン」 のトレヴァー・ジョーンズ。SFXはボス・フィルムが担当。クライミング・コーディネーターを 「K2 ハロルドとテイラー」 「ザ・スタンド」 のマイク・ワイスが手掛けている。主演は 「オスカー(1991)」 「刑事ジョー ママにお手あげ」 とコメディが続いたが、久々にアクションに復帰したシルヴェスター・スタローン。共演は 「リコシェ」 のジョン・リスゴー、 「ヘンリー」 のマイケル・ルーカー、 「マグノリアの花たち」 のジャニン・ターナー、 「推定無罪」 のポール・ウィンフィールドほか。

ストーリー
天才的なクライマーのゲイブ・ウォーカー(シルヴェスター・スタローン)はロッキー山脈でレスキュー隊の仕事についていたが、同僚の親友ハル(マイケル・ルーカー)とその恋人サラの救出に向った際、ハルの目前でサラの救出に失敗し、彼女を死なせてしまう。ハルはゲイブを憎み、ゲイブは自責の念から山を下りる。8か月後、事故以来、別れてしまった同僚で恋人のジェシーの前に、ゲイブが姿を現した。彼女はあなたは最善を尽くしたと慰めるが、彼は耳を傾けなかった。そのころ、1億円を3個のトランクに詰めた財務省造幣局の秘密輸送機が、クエイルン(ジョン・リスゴウ)を首領とする国際的犯罪組織の小型ジェット機に襲われた。組織に内通する造幣局のトラヴァース(レックス・リン)の手引きだった。だが計画は失敗し、ジェット機は不時着、3個のトランクも山中へ消えた。クエイルンはにせの救難信号を発し、現場に向かったハルとゲイブを脅してトランクを探すように強要する。ゲイブは追ってきたジェシーと協力して厳寒の山岳地帯で一味に戦いを挑み、壮絶な死闘の果てに、ついにクエイルンを倒すのだった。





21-14. リプリー (吹替)

監督 アンソニー・ミンゲラ
出演 マット・デイモングウィネス・パルトロウジュード・ロウケイト・ブランシェットフレディ・ミルス
1999年・アメリカ (松竹) 140分

解説
 名作 「太陽がいっぱい」 をM・デイモンら若手スター競演で、まったく新しい視点からリメイク。愛と富を渇望する青年が自ら招く悲劇的な運命をミステリアスに描き出す。

ストーリー
1958年、ニューヨーク。貧乏青年トム・リプリー(マット・デイモン)は、日銭稼ぎのピアノ伴奏のために赴いたガーデンパーティで、造船業界の大物ハーバート・グリーンリーフ(ジェームズ・レブホーン)と知り合う。彼はイタリアで放蕩生活を送る息子ディッキー(ジュード・ロウ)を連れ戻してほしいとトムに頼んだ。早速ナポリへ飛び、ディッキーに会うトム。作家の卵のマージ(グウィネス・パルトロウ)と豪奢な同棲生活を送っていたディッキーは、父からの命令を聞いて迷惑がるが、トムがジャズ・ファンと知るや、彼をクラブに連れ出す。全てが物珍しいトムをセイリングやジャズクラブに連れ回して遊び回るディッキー。やがて、トムはひそかにディッキーに愛情を抱くようになる。だが、ほどなくディッキーは彼を邪魔者扱いしはじめ、やがて父親からトムを解任する旨の手紙が来たのを契機に、ディッキーはトムに決別を宣言。お別れにサンレモへ小旅行に出かけたふたり。だが、ボートで海上に出たところ、言い争いになり、はずみでトムはディッキーをオールで撲殺してしまった。死体とボートを沈めた彼は、ホテルのフロントでディッキーに間違われたことで、ある計画を思いつく。自分がディッキーになりすますのだ。マージにディッキーから預かったという別れの手紙を渡し、ローマではひとり二役で別々のホテルに宿泊。そんなトムをディッキーの旧友フレディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が怪しみはじめたが、トムは彼を事故死に見せかけて殺害した。いっぽう、ローマではイタリア行きの船中でディッキーと偽って知り合った名家の令嬢メレディス(ケイト・ブランシェット)と再会。トムは彼女をエスコートしていたピーター(ジャック・ダヴェンポート)と知り合い、やがてお互いに好き合う仲に。トムがディッキーを殺したとにらみ、グリーンリーフ氏を呼んで捜査をはじめたマージの追及も逃がれ、ピーターとふたり船旅に出るトム。だが、船内でトムは何とメレディスに邂逅。彼女はいまだ彼がディッキーだと信じており、ピーターと会うと真相がばれる。かくしてトムは、愛するピーターをわが手にかけるのだった。




21-15. チェーン・リアクション (吹替)

監督 アンドリュー・デイヴィス
出演 キアヌ・リーヴスモーガン・フリーマンレイチェル・ワイズフレッド・ウォードケヴィン・ダン
1996年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 107分

解説
新エネルギー開発に絡む陰謀に巻き込まれた青年エンジニアの決死の逃避行を描いたサスペンス・アクション。監督は 「沈黙の戦艦」 「逃亡者」 のアクション派、アンドリュー・デイヴィス。 「ロボコップ」 「レナードの朝」 のアーン・L・シュミット、リック・シーマン、ジョシュ・フリードマンの原案を、フリードマン、 「沈黙の戦艦」 「ハンテッド」 のJ・F・ロートン、マイケル・ボートマンが共同で脚色。製作はシュミットとデイヴィス、エグゼクティヴ・プロデューサーはリチャード・D・ザナックとアーウィン・ストッフ。撮影のフランク・タイディ、美術のメイハー・アーマッドはデイヴィス作品の常連。音楽は 「訣別の街」 のジェリー・ゴールドスミス、編集は 「沈黙の戦艦」 「逃亡者」 のドナルド・ブロッシュとドヴ・ホウニグ、 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のアーサー・シュミット。特殊効果コーディネーターはロイ・アーボガスト、作品の大きな見どころである爆破シーンのデジタル視覚効果は 「エスケープ・フロム・L.A.」 のデジタル・ドメイン社が担当。主演は 「スピード」 「雲の中で散歩」 のキアヌ・リーヴス。共演は 「セブン」 のモーガン・フリーマンほか。

ストーリー
シカゴ大学の若きエンジニア、エディ(キアヌ・リーヴス)はバークレイ博士が率いるプロジェクト・チームの一員として、石油に代わる画期的な新しいエネルギー発生装置“ソノ・ルミネセンス”の開発に成功する。その打ち上げパーティを終え、チームのメンバーである物理学者リリー(レイチェル・ワイズ)を家まで送った後、工場に立ち寄った彼は、そこで博士の死体を発見。その直後、工場が何者かに爆破され、エディは命からがら避難。翌朝、FBIの捜査官フォード(フレッド・ウォード)と相棒のドイル(ケヴィン・ダン)による調査が始まり、エディは有力な容疑者として厳しい取り調べを受ける。家宅捜索された彼のアパートから身に覚えのない25万ドルの現金と起爆装置が発見され彼の立場は悪くなる。エディはFBIの追求をかわし、リリーと共に古い友人でマディソン天文台にいるマギー(ジョアンナ・キャシディ)の元へ向かった。エディは唯一の味方であるシャノン(モーガン・フリーマン)にだけ行き先を告げた。彼はプロジェクトに出資しているムーア基金からの派遣員で、実験にも立ち会っていた。エディはシャノンに連絡を取るが、電話が盗聴されており、警察が急行。一方、謎の組織のヘリコプターも現れてエディとリリーの眼前で警官を射殺し、彼らは警官殺しの容疑もかけられて森に逃げ込む。その頃、シャノンはヴァージニア州の広大な敷地に“C・システム”の名を掲げた、厳重警備の巨大施設に入っていった。そこで彼は、施設の共同責任者であるコリアーと激しく口論する。C・システムは何の届出もされていない謎の施設で、ムーア基金に入る資金も不透明なことからFBIはシャノンにも疑いの目を向け始め、政界とCIAとの裏取引を嗅ぎつけていた。調査を進めるうちに、フォード捜査官はエディの無罪を信じる。ソノ・ルミネセンスのエネルギー革命は世界経済を変えるほどのもので、事件の真相は、その権利を押さえて利益を独占しようと企む者たちの陰謀だった。だが、完成の鍵は、装置の周波数を知るエディが握っていた。信頼していたシャノンに疑惑を抱いたエディは、密かに彼と接触するが、その隙にリリーを連れ去られてしまった。C・システムの秘密基地を突き止めたエディはたった一人で潜入し、周波数を教える代わりにリリーの解放をシャノンとコリアーに要求する。だが、エディが細工していた装置が制御不能となり、総員退去となるが、コリアーはエディとリリーを基地に閉じ込めて逃げる。コリアーと対立するシャノンは彼を始末し、2人が逃げられるように計らう。彼らが非常用エレベーターに乗った時、装置が爆破して基地は壊滅。だが、間一髪、エディとリリーは一命を取り留め、新エネルギーの秘密を全世界に公開した。





21-16. ザ・ファイター

監督 デヴィッド・O・ラッセル
出演 マーク・ウォールバーグクリスチャン・ベイルエイミー・アダムスメリッサ・レオジャック・マッギー
2010年・アメリカ (ギャガ) 116分

解説
80〜90年代に活躍したプロボクサー、ミッキー・ウォードとその異父兄との兄弟愛を描く実話をベースにした感動ドラマ。一度はボクサーとしての大成を諦めるも、兄の支えで世界の頂点を目指すミッキーをマーク・ウォールバーグが熱演。その兄を13キロ減量し、歯並びを変えたり髪の毛を抜いて怪演するクリスチャン・ベールにも注目。

ストーリー
マサチューセッツ州の労働者の街ローウェルに、性格もファイティングスタイルも全く違うプロボクサーの兄弟がいた。兄のディッキー・エクランド(クリスチャン・ベール)は、かつては実力派ボクサーとして活躍、現在は弟のトレーナーに専念している。外向きにはユーモアとカリスマ性に溢れた男だが、実は傲慢で欲望に弱く、数年前に手を出した麻薬に今ではすっかり溺れていた。一方、父親違いの弟ミッキー・ウォード(マーク・ウォールバーグ)は、ボクシングの全てを兄から教わった。だがミッキーは、兄とマネージャー役の母アリス(メリッサ・レオ)の言いなりで、彼らが組んだ明らかに不利なカードで一勝もできず、不遇の日々を送っていた。ある日、ミッキーはバーで働くシャーリーン(エイミー・アダムス)と出会う。声をかけたのはミッキーだが、気の強いシャーリーンに押し切られるような形で二人の関係は始まった。そんな中、ディッキーが窃盗の現行犯で逮捕され、既に逮捕歴のある彼は実刑となり、監獄へ。ミッキーの父は息子の将来を案じ、別のトレーナーに話をつけ、ミッキーは家族と決別、シャーリーンと共に新しい人生へと旅立つ決意をする。スポーツ経験のある彼女の献身的なサポート、新トレーナーの訓練メニュー、そしてミッキーをスターボクサーにするための対戦カードが功を奏し、ミッキーのまさかの連勝が始まった。だがたとえ刑務所の中にいても、兄は弟の専属トレーナーのつもりだった。やがてミッキーの世界タイトルマッチへの挑戦が決定、時を同じくしてディッキーが出所する。当然のようにミッキーのトレーニングに参加しようとする兄だったが、弟は兄とはもう組まないと宣言。激しく言い争う家族とシャーリーン。だがディッキーの粗削りながら強い家族やボクシングへの想いに触れるうちにミッキーは兄に戻ってほしいと本心を伝える。そして遂に二人は、絆も新たに再び二人三脚で世界の頂点を目指し始める……。





21-17. ディア・ハンター

監督 マイケル・チミノ
出演 ロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンジョン・サヴェージジョン・カザールメリル・ストリープ
1978年・アメリカ (ユナイト映画) 183分 (PG12指定)

解説
1960年代末期におけるアメリカの若者のベトナム戦争体験を通じ、男の友情と死を絡ませて描く。製作はバリー・スパイキングス、マイケル・ディーリー、マイケル・チミノとジョン・ペバロール、監督は 「サンダーボルト(1974)」 のマイケル・チミノ、脚本はデリク・ウォッシュバーン、原案はマイケル・チミノ、デリク・ウォッシュバーン、ルイス・ガーフィンクルとクイン・K・レデカー、撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はスタンリー・マイヤーズ、編集はピーター・ツィンナー、美術はロン・ホブスが各各担当。出演はロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ、ジョン・カザール、メリル・ストリープ、チャック・アスペグラン、ジョージ・ズンザ、ピエール・セグイ、ルタニア・アルダなど。

ストーリー
1968年のペンシルベニア州クレアトン。マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スチーブン(ジョン・サベページ)、スタン(J・カザール)、アクセル(チャック・アスペグラン)の5人は町の製鋼所に勤める親友グループで、休日には山で鹿狩りを楽しむ平凡な若者たちだった。ある土曜日、ベトナムに徴兵されるマイケル、ニック、スチーブンの歓送会と、スチーブンとアンジェラ(ルタニア・アルダ)の結婚式が町の教会で合同で行なわれた。祝福する人々の中には、アル中の父親を抱える身ながら、帰還後のニックと結婚の約束をしたグループのアイドル、リンダ(メリル・ストリープ)もいた。式の後、彼らはそろってアレゲニーの山へ鹿狩りに出た。1970年、北ベトナムでの戦況は酸鼻を極めていた。逃げまどう農民を虐殺するベトコンに対し、マイケルは狂ったように撃ちまくっていたが、偶然にも、その戦場でニックとスチーブンに再会した。しかし、北側の攻勢は激しく、3人は捕虜になってしまい、床下につながれる身となった。その小屋では、ロシアン・ルーレットというゲームが行なわれていた。それは、弾丸を一発だけ込めたリボルバーを捕虜が交互にこめかみに当てて撃ち合い、それにベトコンたちが金を賭けるというものだった。3人の番になり、スチーブンが発狂寸前になったため、マイケルは一瞬のスキを窮ってベトコン数人を撃ち倒して逃走。丸太にしがみついて濁流を下った。間もなく、友軍ヘリコプターが飛来したが、マイケルとスチーブンは力尽き、3人は離ればなれになった。l年後、サイゴンの軍人病院を退院したニックが別人のようになって町をさまよっていた。それから2年後、マイケルはクレアトンに生還し人々は温かく迎えたが、マイケルは昔の明るさを失っていた。その頃、スチーブンは脚を失って陸軍病院に入っており、彼の口からニックがベトナムで生きていることを知ったマイケルは、陥落寸前のサイゴンへ飛んだ。しかし、ニックは場末の工場の2階で、あのロシアン・ルーレットの射手になっており、意識は朦朧としていた。マイケルは彼の記憶を呼び醒そうと必死に呼びかけ、最後の手段として、ロシアン・ルーレットのテーブルに向かい合った。そして弾丸はニックの番で発射されるのだった。




21-18. ファイヤーフォックス  

監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッドフレディ・ジョーンズデイヴィッド・ハフマンウォーレン・クラークロナルド・レイシー
1982年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画) 136分

解説
音速の6倍で飛行し、レーダーに影すら残さないソ連の戦闘機ミグ31を、アメリカ空軍の一軍人が盗むまでを描くクレイグ・トーマスのベストセラー小説(パシフィカ)の映画化。製作・監督はクリント・イーストウッド、製作総指揮はフリッツ・マーネイズ、脚色はアレックス・ラスカーとウェンデル・ウェルマン、撮影はブルース・サーティーズ、音楽はモーリス・ジャールが担当。出演はクリント・イーストウッド、デイヴィッド・ハフマン、フレディ・ジョーンズ、ウォーレン・クラーク、ナイジェル・ホーソーンなど。日本版字幕は戸田奈津子。デラックスカラー、パナビジョン。1982年作品。

ストーリー
イギリス秘密諜報局のケネス・オーブリー(フレディ・ジョーンズ)が、ソ連が最新鋭の戦闘機ミグ31を完成させ、近々政府首脳を前にテスト飛行をする、という情報を入手、NATO側がこの情報を基にミグ31の奪取作戦を展開することになった。そのミグ31を操縦し奪い去る任務がベトナム戦で活躍したミッチェル・ガント(クリント・イーストウッド)に課せられた。暗号名ファイヤーフォックスと名付けられたこの戦闘機は、最高速度マッハ6、アンチ・レーダー・システムを持ち、思考誘導兵器装置を装備するといった驚異的なジェット機で、NATO側がこれに匹敵する戦闘機を開発する場合、最低でも10年以上かかるというのだ。輸出代理業者になりすましてガントがモスクワのシェレメティエボ空港に降り立つ。その夜、ガントはビリアルスクヘ送り込んでくれるぺイベル・ウペンスコイ(ウォーレン・クラーク)に会う。だが、尋問してきたKGB局員をガントは殺してしまう。翌朝、トラック運転手を装ったガントらは、偽造した通行証を手に目的地へ向かう。途中でトラックを飛び降りたガントは、ファイヤーフォックス設計の中心的科学者で今回の作戦の協力者であるセミロフスキーと、ピョートル・バラノビッチ(ナイジェル・ホーソーン)、そして彼の夫人であるナタリアに会う。KGBは、中央記録コンピューターの膨大な資料をもとに、KGB局員殺害の犯人の正体がガントであることをつきとめる。だが、その報告がKGBのコンタルスキー大佐のもとへ入った頃、ガントたちも最終行動に入っていたた。格納庫の機材に火をつけ、混乱に乗じてパイロットに変装したガントがファイヤーフォックスを外へ出し、そのまま飛び立っていった。ソ連の書記長はファイヤーフォックスの国外脱出を防ぐべく、ファイヤーフォックス2号機に後を追わせる。ガントの乗ったファイヤーフォックスは計画通り、燃料のきれる直前、北極の氷原に着陸しNATO側の潜水艦から燃料の補給を受け、最終目的地へ向かおうとする。2号機は、遂に彼の機を発見、両機による壮絶なドッグ・ファイトが北極海で展開する。ガントは手に汗握る交戦の末、ファイヤーフォックス2号機を撃墜した。(ワーナー・ブラザース配給*2時間16分)




21-19. 青春群像

監督 フェデリコ・フェリーニ
出演 アルベルト・ソルディフランコ・インテルレンギフランコ・ファブリッツィレオポルド・トリエステリカルド・フェリーニ
1953年・イタリア、フランス (新外映)

解説
「崖」 のフェデリコ・フェリーニの第二回監督作品にあたる旧作。五人の、のらくら者たちの人生が描かれている。フェリーニ自身とエンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリ共同の原案をフェリーニとエンニオ・フライアーノが脚色、撮影は 「崖」 のオテロ・マルテリ、音楽はニーノ・ロータが担当している。出演するのは、 「可愛い悪魔」 のフランコ・インテルレンギ、 「崖」 のフランコ・ファブリッツィ、 「武器よさらば」 のアルベルト・ソルディ、レオポルド・トリエステ、フェリーニ監督の弟リカルド・フェリーニ、レオノーラ・ルッフォ、ジャン・ブロシャール、アルレット・サウヴァージ等。製作ロレンゾ・ペゴラーロ。

ストーリー
彼らの仲間、五人ののらくら者たちは、何をしたらいいのか生きる目的をもっていない。最年長の色男ファウスト(フランコ・ファブリッツィ)は、仲間の一人モラルド(フランコ・インテルレンギ)の妹サンドラ(レオノーラ・ルッフォ)を妊娠させ、結婚しなければならぬ羽目になる。彼はいやおうなしに聖像や聖画を売る店につとめさせられた。だが、主人の奥さんにたわむれかけたり、妻と映画館に入れば隣席の女に手を出す始末で、仕事は馘になった。しかえしにモラルドと二人で天使の像を盗み出した彼は、それを僧院に売りつけようとしたが、どこでも相手にされない。ついには妻に愛想をつかされ、父に子供の頃のようにたたかれて、はじめて彼は妻と抱き合って泣いた。仲間のアルベルト(アルベルト・ソルディ)は、働き手の姉に小遣いをもらって暮す怠け者だが、謝肉祭の翌朝、その姉は彼と老母をのこして男とかけおちしてしまった。彼をなぐさめるのは、仲間で一番若いインテリのモラルドだった。もう一人の仲間レオポルド(レオポルド・トリエステ)は、詩人であり劇作家志望の男である。しかし彼は、ろくろく机にもむかわず、地方廻りにやってきたおちぶれた老俳優と話をしても、おじけづいてしまう男だ。歌のうまいリカルド(リカルド・フェリーニ)も、みんなといっしょに、カフェーでなすこともなく時を過したり、海辺を理由もなく歩き廻ったりして日日をくらしている。ただ若いモラルドだけが、ある日ひとり深夜の町を歩きまわって、まだ暗い町を仕事にいそぐ駅夫の少年を知った。そして、彼は、仲間たちとこの町での生活からはなれて、一人旅立つことを考えたのだ。「どこに行って何をするの?」という少年の問に、「どうにかなるさ」と答えて、モラルドは早朝の汽車で町をたった。ファウスト夫婦や、レオポルドや、リカルドや、アルベルトたちの、ベッドでのまどろみをあとに、モラルドの汽車は走りさっていった。




21-20. レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い

監督 エドワード・ズウィック
出演 ブラッド・ピットアンソニー・ホプキンスエイダン・クインジュリア・オーモンドヘンリー・トーマス
1994年・アメリカ (コロンビア トライスター映画) 132分

解説
遙かなオールド・ウエストを舞台に、愛に素直に生きられない青年と、彼を想い続けた女性の悲しい愛の軌跡を描いた大河ロマン。 「ウルフ」 の脚本も手掛けた現代アメリカ文学の人気作家ジム・ハリソンの中編小説を、 「きのうの夜は…」 「グローリー」 のエドワード・ズウィックの監督で映画化。脚本はスーザン・シリディとビル・ウィトリフ。製作はズウィック、彼のパートナーのマーシャル・ハースコヴィッツ、ウィトリフの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは 「めぐり逢えたら」 のパトリック・クロウリー。カナダ・ロケで美しい自然をとらえた撮影は 「ブルーサンダー」 のジョン・トール、音楽は 「スウィング・キッズ」 のジェームズ・ホーナー。美術は 「ザ・シークレット・サービス」 のリリー・キルヴァート、衣装は 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 のデボラ・スコットがそれぞれ担当。主演は 「リバー・ランズ・スルー・イット」 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」 のブラッド・ピット。共演は 「永遠の愛に生きて」 のアンソニー・ホプキンス、 「フランケンシュタイン(1994)」 のアイダン・クイン、 「ベイビー・オブ・マコン」 のジュリア・オーモンド、 「E.T.」 のヘンリー・トーマス、 「ザ・ファーム 法律事務所」 のカリーナ・ロンバードら。

ストーリー
20世紀初め、モンタナの牧場。元騎兵隊大佐のウィリアム・ラドロー(アンソニー・ホプキンス)は、戦いの記憶から逃れるため、この地に定住して3人の息子たちの成長を見守る。中でも狩りを好む野性児の次男トリスタン(ブラッド・ピット)に、ことのほか愛情を注いだ。ウィリアムの妻イザベルは、過酷な自然環境に耐えられず彼と別居して街に住んでいた。時は流れ、ハーバード大で学んでいた末っ子サミュエル(ヘンリー・トーマス)が、婚約者スザンナ(ジュリア・オーモンド)を連れて帰郷した。やがて第一次大戦が勃発し、3兄弟はヨーロッパ戦線に出征するが、サミュエルは戦闘中に死亡する。帰国したトリスタンは、悲しみに暮れるスザンナを慰める。その夜、2人は結ばれ、同じく彼女を愛していた長男のアルフレッド(アイダン・クイン)は、もう兄弟ではないと告げて街へ去った。アルフレッドは街で事業に乗り出して成功するが、弟を救えなかった罪の意識に憔悴しきったトリスタンは、「永遠に待つわ」と言うスザンナを残して世界各地へ放浪の旅に出た。数年後、モンタナに帰ってきたトリスタンを迎えたのは、半身付随になったウィリアムだった。今は議員となったアルフレッドとスザンナは結婚し、新生活を始めていた。トリスタンは、ネイティヴ・アメリカンとの混血で、使用人の娘であるイザベル(カリーナ・ロンバード)と結婚し、息子と娘が生まれた。その頃、トリスタンは禁酒法に逆らうように酒の販売の商売を行っていたが、ある日、警察の待ち伏せに遇い、威嚇射撃の流れ弾でイザベルが命を落とす。刑務所に入ったトリスタンをスザンナが訪ね、いまだ消せぬ彼への思いを告白する。だが、彼は拒絶し、その夜、スザンナは自殺した。トリスタンは、銃を撃った警官に復讐を遂げた。スザンナの遺体はモンタナに運ばれ、再会したアルフレッドはトリスタンに、「私は神と人間のルールに従ってきた。お前は何事にも従わなかったが、皆はお前を愛した」と言った。トリスタンは、兄に子供を預かってくれるよう頼み、現れた警察は彼に銃を向けるが、父と兄が危機を救った。トリスタンはまた野の人となり、長年の宿敵だった熊と戦って、63年に死んだ。




21-21. エアフォース・ワン  

監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演 ハリソン・フォードゲイリー・オールドマングレン・クローズウェンディ・クルーソンポール・ギルフォイル
1997年・アメリカ (ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン) 124分

解説
“空飛ぶホワイトハウス”の異名を取る合衆国大統領専用機を舞台に、機をハイジャックしたテロリストたちに単身戦いを挑む大統領の活躍を描いたサスペンス・アクション。監督は 「U・ボート」 「アウトブレイク」 のウォルフガング・ペーターゼン。撮影は 「スリーパーズ」 のミヒャエル・バルハウス、音楽は 「エグゼクティブ デシジョン」 のジェリー・ゴールドスミス。本物と同じ747型旅客機をベースに、内部を見事に再現した美術は 「トータル・リコール」 「ロボコップ」 のウィリアム・サンデル。編集は 「ザ・ロック」 のリチャード・フランシス=ブルース、視覚効果監修は 「スター・ウォーズ」 シリーズのリチャード・エドランド。主演は 「デビル」 のハリソン・フォード。共演は 「フィフス・エレメント」 のゲイリー・オールドマン、 「101」 「マーズ・アタック!」 のグレン・クローズ、 「コリーナ、コリーナ」 のウェンディ・クルーソン、 「リトル・プリンセス」 のリーセル・マシューズ、 「ファーゴ」 のウィリアム・H・メイシー、 「U・ボート」 「イングリッシュ・ペイシェント」 のユルゲン・プロホノフほか。

ストーリー
ロシア政局の混乱の隙を突きカザフスタンに非合法なテロリスト政権を誕生させた超国家主義者ラデク(ユルケン・プロホノフ)は残忍な独裁者と化し、恐怖政治を断行。新生ロシアのイワン・ペトロフ大統領の協力要請の下、正義感に溢れる合衆国大統領ジェームズ・マーシャル(ハリソン・フォード)は特殊部隊を派遣し、ラテク逮捕を成功に導いていた。ロシアで開かれた祝賀レセプションで力強いスピーチを行った彼は、大統領専用機<エアフォース・ワン>に乗り込んで帰国の途に就く。今回のロシア訪問には、ファースト・レディのグレース(ウェンディ・クルーソン)と12歳の娘アリス(リーセル・マシューズ)が同行しており、カルドウェル軍事顧問(ウィリアム・H・メイシー)ら馴染みのスタッフに加えて、6人のロシアのテレビ・クルーも搭乗した。機か離陸すると、クルーたちは逮捕されたラテクの救出を企む狂信的なテロリストの正体を現した。ヴァレリー・コルシュノフ(ゲイリー・オールドマン)をリーダーとするテロリストたちは、機内に装備された武器を手に<エアフォース・ワン>を占拠。シークレット・サービスたちは大統領をパラシュート付きカプセルで脱出させようとするが、大切な家族とスタッフを危険にさらすことはできず、彼は脱出したと見せかけて密かに機内に潜伏した。大統領本人を除く全員を人質にしたコルシュノフは、ホワイトハウスにラテクの釈放を要求。実現するまで、30分ごとに1人ずつ処刑すると通達してきた。機の進路をカザフスタンに変更させたコルシュノフは、脅迫どおりドハーティ国家安全保障会会議顧問(トム・エヴェレット)を、続いてミッチェル副報道官を射殺した。主が不在のホワイトハウス司令室では、副大統領キャサリン・ベネット(グレン・クローズ)の指揮の下、ディーン国防長官(ディーン・ストックウェル)ら政府首脳による緊急会議が開かれた。ラデクがカザフスタンに戻ればペトロフ政権は崩壊し、そして恐るべき核テロリスト国家の照準は米国に向けられることは明らかだった。ベネットは、首脳陣の政治的思惑か渦巻く中、必死に解決策を模索する。その頃、ヴェトナム戦争で優れた兵士だったマーシャル大統領は反撃を開始し、2人のテロリストを倒し、燃料の一部を投棄した。燃料補給のために機体が高度を下げれば、人質をパラシュートで脱出させる作戦たった。マーシャルは何とかホワイトハウスとの電話連絡に成功、彼の生命を確認したホワイトハウスはにわかに活気つく。たが、コルシュノフはマーシャルの存在に気づいてしまい、アリスの頭に銃口を突きつけ、マーシャルを燻り出した。しかし、国家の正義と家族への愛にバネに、彼は不屈の闘志でテロリストに立ち向かう。機は一度はカザフタンに着陸するかに見えたが、マーシャルとベネットが派遣した特殊部隊の連携で緊急離陸。「俺の飛行機から出ていけ!」とコルシュコフを粉砕したマーシャルは、失速寸前の機から救出機に飛び移り、脱出に成功した。




21-22. 白鯨

監督 ジョン・ヒューストン
出演 グレゴリー・ペックリチャード・ベイスハートレオ・ゲンジェームズ・ロバートソン・ジャスティスハリー・アンドリュース
1956年・アメリカ (ワーナー・ブラザース) 116分

解説
ハーマン・メルヴィルの名作“白鯨”の映画化。“モビイ・ディック”と呼ばれる狂暴な白鯨と老朽捕鯨船ピークォド号船長エイハブとの激闘を中心とした海洋スペクタクル。脚色は 「原子怪獣現わる」 のレイ・ブラッドベリとジョン・ヒューストン、 「悪魔をやっつけろ」 に続いてヒューストンが製作・監督を担当。撮影監督は 「しのび逢い」 のオズワルド・モリス、作曲はフィリップ・スティートン。出演者は、 「灰色の服を着た男」 のグレゴリー・ペック、 「善人は若死にする」 のリチャード・ベースハート、 「チャタレイ夫人の恋人」 のレオ・ゲン、 「ピラミッド(1955)」 のジェームズ・R・ジャスティス、 「トロイのヘレン」 のハリー・アンドリュース、 「知りすぎていた男」 のバーナード・マイルズ、 「ナポレオン」 のオーソン・ウェールズなど男性オールスター・キャスト。

ストーリー
1814年、北米捕鯨業中心マサチューセッツ州ニュー・ベドフォード。海にあこがれを求めてやってきた、風来坊のイシュール(リチャード・ベースハート)は“捕鯨館ピーター・コフィーン”に宿を求め、同室の銛打ちクィークェグ(フレデリック・レデバー)と無二の親友になる。クィークェグは全身刺青だらけの変人だが案外の善人である。翌日イシュメールは、教会で昔は銛師だったマップル神父(オーソン・ウェルズ)の説教を聴いた後、奇妙な男エリジャー(ロイヤル・ダノ)の警告にも屈せず、老朽捕鯨船ピークォド号の乗組員に傭われる。船長の名はエイハブ(グレゴリー・ペック)。鯨骨の義足を不気味に無気味に響かせ、顔面に深い傷跡を持つ彼の姿には、威厳と共に何かしら陰惨な、物に憑かれたような感じがあった。彼は以前、モビイ・ディックと呼ぶ白鯨に片足をもぎ取られて以来、復讐の一念に凝り固まっていた。今度の航海も目的は同じ。何も知らずに乗組んだ荒くれ船員達は、一日、彼の白鯨追跡宣言に驚いたが船長の狂熱ぶりに感染、賞金のスペイン金貨を得んものと夢中になる。唯一人理性を失わぬ一等運転士スターバック(レオ・ゲン)は、神を恐れぬこの行為に反対したが一蹴された。鯨群を追うピークォド号は、途中、ロンドンに船籍を持つサミュエル・エンダビイ号に出会う。船長のブーマー(ジェームズ・R・ジャスティス)が白鯨を捕り逃したというと、エイハブは怒って彼を自分の船に追い帰す。やがて同じ捕鯨仲間のレイチェル号にも邂逅。ガーデナー船長(フランシス・デ・ウルフ)は、12になる息子を先日、海で見失い、血眼になって探し廻っている。だが彼の協力の懇請も、エイハブには時間の浪費としか思えない。数刻後、嵐が船を襲う。だが強風にもエイハブは帆を下せと命じない。怒ったスターバックとエイハブは豪雨の中に対立。だがエイハブの形相と白鯨への執念に、スターバックもたじろぐうち、嵐は去る。遂に宿敵のモビイ・ディックを発見し、4隻のボートが下され、巨鯨との戦闘が開始される。しかしモビイ・ディックの背中へよじ上り憎悪の銛をぶちこむエイハブは銛綱に巻き込まれ、怒り立った鯨諸共、海中に姿を没する。ボートは白鯨の巨大な尾で砕け散り、スターバックが指揮するピークォド号も沈没。ただ一人生き残ったイシュメールは、クィークェグが船大工に作らせてあった棺桶の背で一昼夜を漂流した後、レイチェル号に救い上げられた。




21-23. アニー・ホール (吹替)

監督 ウディ・アレン
出演 ウディ・アレンダイアン・キートントニー・ロバーツキャロル・ケインポール・サイモン
1977年・アメリカ (ユナイト映画) 93分

解説
大都会ニューヨークに生きる男と女の出会いと別れをコミカルに描くラブ・ストーリー。製作総指揮はロバート・グリーンハット、製作はチャールズ・H・ジョフィ、監督は 「スリーパー」 のウディ・アレン、脚本はウディ・アレンとマーシャル・ブリックマン、撮影はゴードン・ウィリスが各々担当。出演はウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、キャロル・ケイン、ポール・サイモン、ジャネット・マーゴリンなど。

ストーリー
ニューヨークとは限らない。大都会とは少々変わり者でも生きていける所だ。山の手に住むユダヤ系のアルビー(W・アレン)もそんな1人。彼はTVやナイトクラブのトークショーで稼ぐ漫談芸人。歳の頃は40、離婚歴1回のド近眼メガネ人間だ。そんな風采の上がらない小男の彼だが、なぜか女の子には人気がいい。彼の周りにはいつも女の子がウロチョロ。そんな彼がある日、友人のTVディレクターのロブ(T・ロバーツ)達とテニスに行って、1人の美人と出会った。会話もユニークな彼女の名は、アニー(D・キートン)。どこか屈託のない童女の雰囲気の彼女に出会ってからアルビーが変わった。アニーとのデートが日課の一つになったのだ。2人が同棲生活に入ったのはそれから間もなく。お互いにのぼせあがっていた2人も時がたつにつれて、お互いのアラが目についてきた。アルビーの周りには、あいかわらずTV局の女ロビン(J・マーゴリン)や、アリソン(C・ケーン)がいて、アニーは気になり、アルビーもアニーのつかみどころのない生き方がわからない。ましてアルビーは、男の独占欲にめざめてきたのだ。行きづまった2人の関係。2人は精神分析医の所に行き、2人の溝は埋まったかに見えた。だがそんなある日、アニーがいつものようにクラブで歌っていると、プロ歌手トニー(P・サイモン)が彼女の歌をほめ、カリフォルニアにくるようにすすめる。彼女は有頂天になり、精神状態も全快へとむかったが、アルビーはまだダメ。彼はアニーとトニー、果てはロブの仲まで疑い出したのだ。もうこうなってはおしまいだ。2人は別居を決意し、アニーはカリフォルニアに飛んで行った。一方、残されたアルビーを襲う寂寥感。アニーの後を追い、カリフォルニアに行き、やり直そうとアニーに迫るアルビーだったが、今のアニーは歌手としての成功の方が気になっていた??。




21-24. 世界で一番パパが好き!

監督 ケヴィン・スミス
出演 ベン・アフレックリヴ・タイラーラクエル・カストロジョージ・カーリンジェニファー・ロペス
2004年・アメリカ (東芝エンタテインメント) 101分

解説
「デアデビル」 のベン・アフレック主演による心温まる家族ドラマ。仕事と子育ての狭間で葛藤するシングル・ファーザーと、彼をけなげに見守る娘の成長をつづる。

ストーリー
娘の誕生と引き替えに、最愛の妻を失ってしまったオリー(ベン・アフレック)。その悲しみを忘れようと、音楽業界の宣伝マンとしての仕事に没頭するが、大切な記者会見で大失敗。仕事を失い、愛するニューヨークを離れて、ニュージャージーの実家へ戻ることに。そこで初めて我が子を腕に抱いた彼の胸にわき上がってきたのは、妻を愛した証でもある娘への限りない愛情だった。「これからは世界一のパパになる」。そう約束した日から7年。オリーの娘のガーティ(ラクエル・カストロ)は、賢く愛らしい女の子に成長。小さな町での平凡だけど幸せな娘との生活。だが、オリーがもう一度NYでの人生を取り戻そうとした時、自分にとって本当に大切なものが見えなくなってしまい……。




21-25. モホークの太鼓

監督 ジョン・フォード
出演 クローデット・コルベールヘンリー・フォンダエドナ・メイ・オリヴァーエディ・コリンズジョン・キャラダイン
1939年・アメリカ

解説
荒野の決闘」 「果てなき航路」 「駅馬車」 のジョン・フォードが監督した1939年作品。ウォルター・D・エドモンズの同名の小説を 「剃刀の刄」 のラマー・トロッティと 「育ち行く年」 のソニア・レヴィーンが協力脚色した。撮影は 「赤い家」 「駅馬車」 のバート・グレノンと色彩映画専門のレイ・レナハンが担当した、元来は色彩映画であるが輸入されたのは黒白板である。主演は 「卵と私」 「結婚五年目(パーム・ビーチ・ストーリー)」 のクローデット・コルベールと 「荒野の決闘」 「運命の饗宴」 のヘンリー・フォンダで、助演は 「若草物語」 などの故エドナ・メイ・オリヴァー、 「駅馬車」 のジョン・キャラディン、エディ・コリンズ、ドリス・ボードン、ロバート・ローリー其他である。

ストーリー
アメリカが独立戦争を始めた1770年代の初めのころ、現在ニューヨーク州オルバニイのボースト家で、娘のラナと若い開拓農夫ギルバート・マーティンの結婚式があげられた。そしてすぐモホーク河の渓谷にあるギルの農場へ出発した。途中の宿屋に1泊したとき片眼に眼帯をかけた英国人コールドウェルが、2人の行先のディアフィールド地方には、インディアンが出没しているらしいと警告した。ラナは何となしにゾッとした。楽しい新婚のホームを空想していた彼女は、粗末な丸太小屋が我が家と知ってガッカリした。おまけに1人のインディアンがノッソリと入って来たのには、たまげてしまい悲鳴をあげたが、それはブルウ・バックという味方と夫に説明されても、ラナは怖くてふるえが止まらなかった。彼女はオルバニイへ帰りたいと思ったが、ギルに言いつけられ翌日から開墾に従った。日曜日にはジャーマン・フラットの町へ行って、教会でリール夫妻と娘のメエリイ、ウィーヴア夫人とその息子ジョン等と近づきになった。そこにはハーキマー将軍もいた。16歳から60歳までの男は、英軍やインディアンの襲来にそなえて、将軍の指揮下に戦闘教練を受けるのだった。そのころは新来の開拓者には、皆が手伝う習慣で、ギルの農場も町で知り合った人達に来てもらって、耕地は拡げられ作物は豊かにみのった。しかしコールドウェルが先導するインディアン達が襲撃し、一同はジャーマン・フラットの砦に逃げ込んだが、ギルの家は焼き払われてしまった。その騒ぎでラナは流産したし、家の焼跡を見たギルは町へ引き揚げようといい出したが、ラナは落胆している夫を励ますのだった。住むに家ない2人はマックレナー夫人の農場に雇人として住み込み、まっ黒になって精出して働いた。風雲はいよいよ急となり、男は皆戦いに出て行き、ギルも負傷して帰ったが生命に別条はなかった。しかしハーギマー将軍は重傷から死んで、牧師ローゼンクランツが指揮者となった。ラナは再び身ごもり、やがて1子デーヴが生まれた。けれども平和な日は短く、ある日マックレナー夫人の家にインディアンが放火した。一同は砦に入り千人余りのインディアンと対戦した。いったんはきゆう砲の威力で撃退したが、敵は砦を遠巻きにした。矢に胸を貫かれたマックレナー夫人は、ギル夫妻に財産をゆずると遺言して死んだ。弾薬が不足して来たので、デイトン砦へ援兵を乞いにギルは赴いた。夜が明け正午となっても来援なく、敵はついに砦を破って侵入し、味方は教会に拠って死を待つ時、ギルは援車を案内して来、危敵を撃退した。コールドウェルはデルウ・バックに撃ち殺され、ギルは愛児とラナを抱いた。やがてジョージ・ワシントンが、ヨーク・タウンで英軍を降参させたという報がもたらされた。




21-26. ノウイング (吹替)

監督 アレックス・プロヤス
出演 ニコラス・ケイジチャンドラー・カンタベリーローズ・バーンララ・ロビンソンベン・メンデルソン
2009年・アメリカ (東宝東和) 121分

解説
アイ,ロボット」 のアレックス・プロヤス監督が放つディザスター・ムービー。数字で埋め尽くされた不思議な紙を入手し、やがて驚愕の事実を知る大学教授をニコラス・ケイジが熱演。

ストーリー
ジョン・ケストラー(ニコラス・ケイジ)はMITの宇宙物理学者。あるとき、息子のケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う学校で、タイムカプセルを掘り出す記念行事が行われる。カプセルの中には、50年前の生徒たちが作った未来想像図が収められていた。生徒一人一人にその中身が配られるが、ケイレブが手にしたのは一見不規則に数字が羅列された一枚の紙だった。子どもが書いたとは思えないその内容に興味を持ったジョンは、数列には意味があるではないかと、検証を行う。そして、彼が目に止めたのは”299691101”という数字。それは、米国に同時多発テロが起きた日付、そして2996人という犠牲者の数と一致していた。慌てて他の数列も確認すると、過去に起きたあらゆる大惨事の日付、犠牲者数と一致していることが判明。その中には、ジョンが妻を亡くした2年前のホテル火災も含まれていた。愕然とするジョンだったが、そこには過去だけでなく、未来の大惨事も予告されていた。それらを未然に防げないかと、81人が死亡すると予告されている場所へ向かう。そこでは、既に自動車による玉突き事故が発生していたが、死者はゼロ。自分の思い過ごしかと安心したその瞬間。頭上を通過した旅客機がすぐそばに墜落する……。仮説が確信へと変わり、ジョンは数列の解読を進めていく。だがその結果、彼が導き出した答えは“地球消滅”。未来のために、息子のために彼はどう行動するのか?そして、避けることのできない“地球消滅”のXデーに向けて、人類は一体何を残せるのだろうか……?





21-27. カウボーイ

監督 デルマー・デイヴィス
出演 グレン・フォードジャック・レモンアンナ・カシュフィブライアン・ドンレヴィディック・ヨーク
1958年・アメリカ (コロムビア) 92分

解説
沈着な牧童グレン・フォードと、西部男になろうとする若者ジャック・レモンの2人の性格対比から、カウボーイ魂とでもいうべきものを描こうとした 「決断の3時10分」 のデルマー・デイヴス監督作品。フランク・ハリスの書下ろした物語を 「誇り高き男」 のエドモンド・H・ノースが脚色。 「決断の3時10分」 のチャールズ・ロートン・ジュニアが撮影し、G・ダニングが音楽を担当した。 「Z旗あげて」 のグレン・フォードと 「海の荒くれ」 のジャック・レモンに、 「大空の凱歌」 のアンナ・カシュフィがいろどりをそえて主演。 「原子人間」 のブライアン・ドレンヴィ、 「悪魔の園」 のヴィクトル・マヌエル・メンドーサ等が助演する。製作ジュリアン・ブロースタイン。

ストーリー
1871年の秋。牛を荒原に追う時は荒くれ男でありながら、この地シカゴにつくと英国紳士のような気品を示すトム・リース(グレン・フォード)が、またシカゴにやってきた。彼はホテルの気に入りの部屋を要求するが、支配人に命じられて交渉に当たった、ボストン生まれの青年書記フランク・ハリス(ジャック・レモン)は困ってしまう。なぜなら彼は、今その部屋を使っている牧場主ヴィダルの娘マリア(アンナ・カシュフィ)に恋しているからだ。親娘は怒って出ていってしまった。オペラ見物をすませたリースは、例によってポーカーをはじめる。ハリスも仲間入りして、負けつづけのリースに金を貸してやった。翌朝、借金のためにハリスと共同で仕事をすることを約束したのを思い出したリースは慌てて金を返そうとしたが、ハリスは受け取らない。カウボーイにあこがれていたハリスは、説得もうけつけない。彼を加えた一行はカンサスにやってきて、暗い影をもつ拳銃の名手ドッグ(ブライアン・ドンレヴィ)や、悪党じみたポール(リチャード・ジャッケル)を雇い入れた。野営の夜、ガラガラ蛇にかまれて死んだ男をみたり、リースの知らぬ間に結婚していたマリアの夫との意地の張り合いから、猛牛の角にかけられるところをリースに救われたりして、ハリスも、カウボーイの生活の本当の意味を知りはじめた。仲間の1人が起こした騒ぎに、男の面目のため立ち上ろうとするハリスを殴り倒して、リースは、カウボーイにとっては人よりも牛の方が大切なのだと諭した。酷熱と埃の中を、くる日もくる日も牛を追っての行進がつづく。インディアンの攻撃で負傷したリースは、ハリスに指揮を命じた。彼はハリスをカウボーイとして鍛え上げるつもりなのだ。ウィチタで拳銃の名手ドッグは、旧友とのトラブルから誤って彼を射殺し、自殺した。荒くれ男たちの間にも掟のあることをハリスは学ぶ。こうして一行は、危難にあいながらも牛を助け、シカゴについた。目的を達してハリスは、カウボーイの喜びを改めて思い知った。逞しくなったハリスを見て、ホテルの支配人は驚いた。今やまったく西部男となったハリスには、美しい女性の微笑みが待ち受けていた。




21-28. きみに読む物語

監督 ニック・カサヴェテス
出演 ジェームズ・ガーナージーナ・ローランズジェームズ・マースデンサム・シェパードジョアン・アレン
2004年・アメリカ (ギャガ) 123分

解説
ニコラス・スパークスのベストセラー小説を映画化した正統派の青春ラブ・ロマンス。身分違いの若い男女の愛の軌跡が、ある老人の回想を通して詩情豊かにつづられる。

ストーリー
とある療養施設に暮らす初老の女性(ジーナ・ローランズ)は、アルツハイマー病によって過去の思い出を失ってしまっている。そんな彼女のもとに、デュークと名乗る男性(ジェームズ・ガーナー)が定期的に通って、とある恋の物語を読み聞かせてやっている。1940年、ノース・カロライナ州シーブルック。家族とひと夏を過ごすためにこの土地にやってきた良家の子女、17歳のアリー・ハミルトン(レイチェル・マクアダムス)は、材木工場で働く地元の青年ノア(ライアン・ゴズリング)と恋におちる。しかしアリーの両親は2人の交際を認めず、夏の終わりと共に彼らの仲は引き裂かれた。アリーは学校へ、ノアは勃発した第2次世界大戦へ出兵。やがてアリーは、戦時下にボランティアで看護した元兵士のロン(ジェームズ・マーデン)と新たな恋におちる。富裕な弁護士であるロンとの縁組に、今度はアリーの両親も大賛成。そしてロンとの結婚式が目前に迫ったある日、アリーは地元の新聞に掲載された写真にノアの姿を見つける。彼女は衝動的にシーブルックを訪れ、ノアと再び愛し合う。結局アリーは、ロンを捨ててノアを選んだ。そして現在。アリーとは、この初老の女性のことであり、ノアは彼女の夫であるデュークのことだった。アリーはデュークが聞かせてくれた自分たちの若き日の物語により、一瞬すべてを思い出すが、また忘却の彼方に。しかし2人は、まもなく同じベッドで寄り添いながら、共に静かに息を引き取るのだった。




21-29. ラッシュアワー

監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェンクリス・タッカーエリザベス・ペーニャトム・ウィルキンソンフィリップ・ベイカー・ホール
1998年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ) 97分

解説
口八丁なロス市警の刑事と腕の立つ香港警察の捜査官がコンビを組んで敵に立ち向かう、コミカルなポリス・アクション。スタンダップ・コメディアン出身のクリス・タッカー( 「フィフス・エレメント」 )の話術と、これがハリウッド映画への本格的進出の第1弾となるジャッキー・チェン( 「ナイスガイ」 )のアクションの共演が見どころ。監督はデビュー作である前作 「ランナウェイ」 でもタッカーと組んだブレット・ラトナー。 「ファースト・コンタクト STAR TREK」 のロス・ラマンナの原案を基に、彼と 「張り込みプラス」 のジム・コーフが脚本を執筆。製作は 「6デイズ/7ナイツ」 のロジャー・バーンバウムと 「ラストマン・スタンディング」のアーサー・サルキシアン、 「あなたが寝てる間に…」 のジョナサン・グリックマン。撮影は 「イレイザー」 のアダム・グリーンバーグ、音楽は 「燃えよドラゴン」 のラロ・シフリン。美術のロブ・ウィルソン・キング、編集のマーク・ヘルフリッチ、衣裳のシャレン・デイヴィスは 「ランナウェイ」 に続いて参加。共演は 「フリー・ウィリー2」 のエリザベス・ペーニャ、 「ゴースト&ダークネス」 のトム・ウィルキンソン、 「北京のふたり」 のチー・マほか。

ストーリー
ロス市在住の中国領事の娘が誘拐された。領事が香港からスペシャリストを呼び寄せたため、部外者に口出ししてほしくないFBIは、地元ロス市警察(LAPD)のカーター刑事(クリス・タッカー)に捜査協力を依頼。カーターはLAPDきってのトラブルメーカーで、上司たちの頭痛の種だった。カーターはFBI捜査官になれるチャンスと意気込むが、彼に与えられた仕事は香港から来る捜査官の“お守り”をし、捜査に介入させないようにすることだった。そのリー捜査官(ジャッキー・チェン)は無口な男で、カーターは彼を出し抜いて事件を解決しようとする。だが、リーは外見からは想像もつかない武術の達人で、誘拐された少女が彼の弟子で友達だったこともあり、救出に執念を燃やす。彼はカーターの魂胆を見抜き、捜査に加わる。犯人から身代金要求の電話が入り、FBIが逆探知で電話のあったビルに急襲するが、ビルは彼らの前で爆破された。リーは現場付近で、彼が香港で追っていた謎の人物ジュンタオ率いる国際的犯罪組織の幹部サンを発見するが、サンは逃亡。カーターはチャイナタウンの犯人一味のアジトを発見するが、乗り込んだリーとカーターのスタンドプレイで現場は大混乱。この失敗でリーは捜査から外され、香港へ送還されることに。失意のままLAを去ろうとする彼の前にカーターが現れ、LAPDの爆発物スペシャリスト、タニア(エリザベス・ペーニャ)の協力を仰いで敵地に乗り込む。ジュンタオの正体は領事の友人であるトーマス・グリフィン(トム・ウィルキンソン)だった。二人の活躍で犯人一味は逮捕され、少女は無事に救出された。




21-30. 世界の果ての通学路

監督 パスカル・プリッソン
出演 ジャクソン・サイコンサロメ・サイコンサミュエル・J・エスターガブリエル・J・エスター
2012年・フランス (キノフィルムズ(提供 キノフィルムズ=KADOKAWA)) 77分

解説
ケニアのサバンナをはじめ、アルゼンチン、モロッコ、インドの道なき道を何時間もかけて通学する子どもたちを追ったドキュメンタリー。監督は、 「マサイ」 のパスカル・プリッソン。2013年ロカルノ映画祭正式上映作品。アンリ・ラングロワ賞2014ドキュメンタリー賞、セザール賞2014ドキュメンタリー賞受賞。

ストーリー
ケニアのジャクソンはサムブル族の11歳の少年。まだ見たこともない飛行機のパイロットになって、世界を見ることを夢見ている。長男でしっかり者の彼は毎日、6歳の妹サロメを連れて、ゾウやキリン、シマウマなど野生動物が出没するサバンナを小走りで、15km、2時間かけて学校に通う。毎年、4、5人の子どもがゾウの襲撃によって命を落とす。両親は2人が無事に学校に通えるよう、毎朝お祈りする。アルゼンチン、アンデス山脈の人里離れた牧場で暮らす11歳のカルロスは、6歳から馬に乗ってパタゴニアの山々や美しい平原を通り、18kmの道のりを1時間半で通学する。今は5歳下の妹ミカイラと一緒だ。2人が乗る馬のキベルトとは大の仲良しで、石ころだらけの崩れかけた道を進めるのも、変わりやすい山の天候をものともせず通学できるのも、冷静沈着なキベルトのおかげだ。カルロスは愛する故郷に貢献できる獣医を目指している。3000m級の山が連なるモロッコのアトラス山脈の中心部、イムリル谷近くの辺境の地に生まれたベルベル人の少女、ザヒラ。12歳の彼女は、家族のなかで初めて学校に通う世代で、字が読めない祖母や両親は、医師を目指す彼女を全力で応援している。ザヒラは全寮制の学校“アスニの万人のための教育”に通っている。毎週月曜日の夜明けに起き、友達のジネブ、ノウラと一緒に22kmの道を4時間かけて歩く。金曜日の夕方、3人は同じ道を歩いて家に帰る。インド・ベンガルの13歳の少年サミュエルは、未熟児で生まれたため足に障害がある。そこで、2人の弟が急ごしらえのオンボロ車椅子に彼を乗せて、1時間15分かけて4kmの道のりを通学する。近道しようと川を渡れば車輪が砂にはまって立ち往生したり、人通りの多い道で車輪が外れて動けなくなったり、3人は毎朝トラブルの連続だ。しかし、彼らは困難も貧乏も笑い飛ばす強い絆で結ばれている。サミュエルは、同じような障害をもつ子供を助けるために医者を目指している。





21-31. ダーティファイター 燃えよ鉄拳 (吹替)

監督 バディ・ヴァン・ホーン
出演 クリント・イーストウッドソンドラ・ロックジェフリー・ルイスウィリアム・スミスハリー・ガーディノ
1980年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
長距離トラックの運転手でケンカ好きの男ファイロ・ベドーの世紀の対決を恋と笑いで描く。製作総指揮はロバート・デイリー、製作はフリッツ・マーネイズ、監督はこれがデビューのバディ・バン・ホーン。ジェレミー・ジョー・クロンスバーグの原案を基にスタンフォード・シャーマンが脚色。撮影はデイヴィッド・ワース、音楽はスナッフ・ギャレットとスティーヴ・ドーフ、編集はフェリス・ウェブスターとロン・スパング、製作デザインはウィリアム・J・クリーバーが各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジョフリー・ルイス、ウィリアム・スミス、ハリー・ガーディノ、ルース・ゴードン、マイケル・カバナーなど。

ストーリー
長距離トラックの運転手ファイロ・ベドー(クリント・イーストウッド)はアメリカ大陸を仕事場に好きなケンカにあけくれている。ケンカといっても飛び道具を一切使わない素手の殴り合いで、ボクシングのようにお客を集めては金を賭けさせ、そのアガリを貰うという、商売つきのものだった。その商売の経済面を取りしきるのが親友のオービル(ジョフリー・ルイス)とチンパンジーのクライド。この無敵のファイロに目をつけたのが地元のヤクザやギャンブラーたち。ワイオミングでも有名なケンカのプロ、ジャック・ウィルソン(ウィリアム・スミス)とファイロを対決させてひと儲けしようというのだ。そんな彼らの計画に乗るファイロではない。彼はあっさり断った。しかし、以前から彼が夢中になつているカントリー・ソングの美人歌手リン・ホルジー・テイラー(ソンドラ・ロック)が誘拐されてしまい、リンの生命とひきかえに、ジャックとの闘いを引き受けるファイロ。そして彼を狙うグループがもう1組いる。リンにちょっかいを出したためにファイロにいためつけられた中年不良グループブラック・ウィドーの面々。いよいよ注目の1戦がジャクソン・ホールで行なわれる日、当の相手ジャックは、ファイロが以前トレーニング中に知.り合って意気投合したカッコイイ男だった。2人は賭けに利用されるのではなく、ケンカの相手に申し分のないこの試合に改めて意欲を燃やした。かくて人気のない駐車場で観客を無視してはじまったこの2人の男の死闘はそのまま大通りへとくり拡げられ、やがて、町中の人々が集まり興奮の渦へと発展するのだった。




21-32. ラッシュアワー2

監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェンクリス・タッカーチャン・ツィイージョン・ローンロセリン・サンチェス
2001年・アメリカ (ギャガ=ヒューマックス=松竹) 90分

解説
ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演によるサスペンス・アクションの第2弾。香港警察の警部リーとLA市警のカーター刑事がアジア、アメリカをまたにかけて謎の爆破事件に立ち向かう。

ストーリー
香港警察のリー(ジャッキー・チェン)とロサンゼルス市警のカーター(クリス・タッカー)は休暇で香港に来たが、アメリカ大使館の爆発事件が発生し、急きょ捜査に関わるハメに。事件の主犯、香港マフィアのタン(ジョン・ローン)を追うが、彼の右腕である殺し屋の美女フー・リ(チャン・ツィイー)に行く手を阻まれる。追っ手を振り切った2人は、タンが主催する船上パーティーに潜入するが、なんとそこで、タンは撃たれて死んでしまう。しかしそれは狂言だった。リーとカーターは事件解決へ向けてアメリカへ飛び、ロサンゼルスを経て、ラスベガスに到着。その間に、タンの一味に加わっていた謎の美女イザベラ(ロセリン・サンチェス)が、実はシークレットサービスだということも判明。やがて2人はタンを追い詰める。高層ビルでもみあった末、タンは転落死。フー・リは爆弾で自ら共々リーとカーターを爆死させようとするが、失敗。2人はなんとか脱出し、一件落着となるのだった。





21-33. ラッシュアワー3 (吹替)

監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェンクリス・タッカー真田広之ノエミ・ルノワールマックス・フォン・シドー
2007年・アメリカ (東宝東和) 100分

解説
ジャッキー・チェンとクリス・タッカーによるアクション・シリーズ第3弾。今回はパリを舞台に中国人マフィアと激しいバトルを展開する。敵役として真田広之が共演している。

ストーリー
リー(ジャッキー・チェン)はハン大使(チー・マ)の警護についていた。ハン大使が中国マフィアの“シャイシェン”の存在を突き止めたと発言した瞬間、暗殺者の放った銃弾により倒れる。暗殺者の姿を確認したリーは追跡を開始。リーは暗殺者を追い込むが、彼は旧知の仲のケンジ(真田広之)だった。そこへ無線でこの銃撃戦を聞きつけたカーター(クリス・タッカー)が暴走する車で駆け付けたため、ケンジに逃げられてしまう。大使の娘のソー・ヤング(チャン・チンチュー)も狙われていることを知ったリーとカーターが病院へ戻ると、暗殺者たちが襲撃してくる。一人の暗殺者を取り押さえて尋問するが、何故か中国人でありながらフランス語しか話さない。やっとのことで謎を解く鍵となるジュヌビエーブという人物の名前を聞き出した二人は、パリへと向かう。ジュヌビエーブを追い求める二人にマフィアが襲いかかる。二人はタクシーで市内を派手なカーチェイスを繰り広げながら逃げる。そこで再会したケンジから、リーとケンジが兄弟同然に育ったことをカーターは知らされる。リーはカーターに、ケンジと一緒に孤児院で育った仲であること、自分は11歳のときに警官である育ての父の養子になり、一方ケンジはストリートで暮らすうちにマフィアの一員になったことを話す。リーとカーターはそれぞれ、ムーランルージュで踊るジュヌエーブのもとへと向かった。舞台上の彼女をマフィアが殺そうとしていることを知った二人は、お得意のダンスと歌で、ジュヌエーブをステージから救出。彼女から“シャイシェン”が中国マフィア界を取り仕切るリーダー13人の名前が掲載されたリストであることと、その隠し場所を知らされる。その頃、ケンジは人質としてソー・ヤングの身柄を確保していた。リーとカーターの二人は、ソー・ヤングと“シャイシェン”を守り抜くことができるのだろうか…。




21-34. フェーム

監督 アラン・パーカー
出演 アイリーン・キャラリー・キュレーリローラ・ディーンアントニア・フランチェスキポール・マクレーン
1980年・アメリカ (MGM映画=CIC) 134分

解説
ニューヨークのマンハッタンに現存する芸能専門学校を舞台に、有名人になることを夢みる若者たちが入学して卒業するまでをドキュメンタリー・タッチで描く。製作はデイヴィッド・デ・シルバとアラン・マーシャル、監督は 「ミッドナイト・エクスプレス」 のアラン・パーカー、脚本はクリストファー・ゴア、撮影はマイケル・セラシン、音楽はマイケル・ゴア、編集はゲリー・ハムブリング、製作デザインはジョフリー・カークランドが各々担当。出演はアイリーン・キャラ、リー・キュレーリ、ローラ・ディーン、アントニア・フランチェスキ、ポール・マックレーン、バリー・ミラーなど。

ストーリー
ニューヨークにある芸能専門学校。音楽、ダンス、演劇の3つのカリキュラムを主体とするこの学校で、その秋、新学期を控えて、連日、入学試験が行なわれていた。そんな中には母に伴われた内気な少女や、ガールフレンドを連れだってくる青年など、さまざまな若者たちが希望と不安をみなぎらせていた。厳しいオーデションに合格した者たちが登校する。スラム街育ちのココ(アイリーン・キャラ)は美声の持ち主だ。おしゃベりのリサ(ローラ・ディーン)はダンス科である。音楽に才能を見せるブルーノ(リー・キュレーリ)は音楽科へ入学した。それぞれが、自分の志に従い励んでいる中、ココは、ダンス科のリロイに惹かれた。しかしリロイは、2学年になった時、ヒラリー(アントニア・フランチェスキ)という新入生の金持ち娘に恋をするようになる。一方、ダンス科のリサは、主任から才能がないからやめるように言われ、ショックのあまり自殺まで考える程悩むが、演劇科に移ることで再出発をめざした。第4学年を迎えココの身にも思いがけない事件がおきる。外国の映画製作者だと名のる男に、スクリーン・テストを申し込まれ、その気で出かけるが、それは罠で彼女はポルノ雑誌のモデルをやらされる羽目になってしまう。また、プエルトリコ人で演劇科の青年ラルフ(バリー・ミラー)はナイト・クラブで注目されるようになってから、いい役者になるという志を捨てはじめていた。そんな彼に、同じ科のモンゴメリー(ポール・マックレーン)が忠告する。ラルフは彼の言葉ではじめて自分の愚かさを知る。やがて、彼らも卒業式を迎える。リサ、ココ、モンゴメリーはソロで、リロイはダンスで、ブルーノはピアノで卒業生の大合唱に参加している。これから彼らの本当の意味でのスタートがあるのだった。




f21-35. 山の郵便配達 (吹替)

監督 フォ・ジェンチイ
出演 Teng Ru-Junリィウ・イエZhao Xiu-LiGong Ye-HangChen Hao
1999年・中国 (キネマ旬報社=エフ プロモーション=東宝東和) 93分

解説
山村の郵便配達人をめぐる、心暖まる人間ドラマ。郵便配達の仕事を引き継ぐ父と息子の旅をとおして、山村の生活や家族の絆を叙情豊かにつづり深い郷愁を誘う。

ストーリー
1980年代初頭、中国湖南省の山間地帯。郵便配達を長年勤め上げた男は、後継ぎとなる息子に引き継ぐため、初めて一緒に、最後の仕事となる“旅”に出る。重い郵便袋を背に山道を辿り、幾つもの村を尋ねる2人。父は手紙を運ぶ責任の重さと仕事の誇りを静かに息子に伝える。息子は寡黙で留守がちな父に対して心の隔たりを感じていたが、人々の信頼を集める父の姿に接し、徐々に尊敬の念と仕事への責任感を深めていく。




21-36. マンマ・ミーア!  

監督 フィリダ・ロイド
出演 メリル・ストリープアマンダ・サイフリッドピアース・ブロスナンコリン・ファースステラン・スカルスガルド
2008年・アメリカ (東宝東和) 108分

解説
人気グループ、ABBAの曲を全編にちりばめ、世界的ヒットを記録したミュージカルを映画化。結婚式を控えた女性が、顔すら知らぬ父親を招待しようとしたことから起きる騒動を描く。

ストーリー
エーゲ海に浮かぶギリシャのリゾート地、カロカイリ島。小さなホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)の娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)は、翌日に結婚式を控えていた。父親を知らずに育ったソフィの夢は、結婚式のヴァージン・ロードを父親と一緒に歩くこと。そこで、母の日記から3人の父親候補を洗い出し、結婚式の招待状を送る。こうしてやってきたのがニューヨークの資産家サム(ピアース・ブロスナン)、スウェーデンの冒険家ビル(ステラン・スカルスガルド)、ロンドンの銀行員ハリー(コリン・ファース)。母親に内緒で3人を招待したソフィは彼らを小屋に匿うが、ドナに見つかってしまう。突然の再会にパニックを起こすドナ。だが、親友のロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティーン・バランスキー)に励まされ、元気を取り戻す。一方、ドナの剣幕に押されて逃げ出すようにヨットで海に出た3人と話をしたソフィは、本当の父親を見分けることが出来ず頭を悩ませるのだった。その夜開かれたパーティーの最中、ビルが父親であるという確信を得たソフィは結婚式のエスコートを依頼。だが、自分が父親かもしれないと思い始めたサムとハリーもエスコートを申し入れてきて、収拾がつかなくなってしまう。翌朝、この事態を巡ってドナや婚約者のスカイ(ドミニク・クーパー)と口論になってしまい、ソフィはすっかり落ち込む。だが、そんな彼女を慰めてくれたのは、母親であるドナだった。ウェディング・ドレスを着せてもらいながら、女手ひとつで自分を育ててくれた母の深い愛情を思い出したソフィは、結婚式のエスコート役を依頼する。こうして、ソフィはドナにエスコートされてヴァージン・ロードを歩き、結婚式が始まる…。




f21-37. ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

監督 アン・リー
出演 スラージ・シャルマイルファン・カーンジェラール・ドパルデューレイフ・スポールアディル・フセイン
2012年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 126分  (IMAX)

解説
家族が経営する動物園の動物たちを乗せた貨物船が嵐に見舞われ、一命を取り留めるも、救命ボートでトラと共存するはめになった16歳の少年の過酷な運命を描くサバイバル・アドベンチャー。優れた長編小説に与えられる文学賞である、ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルの同名作を、名匠アン・リーが初の3D作品として映画化した話題作。

ストーリー
インドのボンディシェリで動物園を経営していたパテル一家は、カナダ・モントリオールに移り住むことになる。16歳の少年パイ(スラージ・シャルマ)と両親、そして多くの動物たちは貨物船に乗り込むが、太平洋上を航行中、嵐に見舞われて船は沈没してしまう。ただ一人パイは救命ボートに逃れて一命を取り留めるものの、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラが身を潜めていた。わずかな非常食で飢えをしのぎ、家族を亡くした悲しみと孤独にも耐えるパイ。そんなパイと一頭のトラとの227日間にも及ぶ太平洋上の漂流生活が始まった……。




f21-38. 少林サッカー

監督 リー・リクチ
出演 チャウ・シンチーウォン・ヤッフェイヴィッキー・チャオン・マンタパトリック・ツェー
2001年・香港 (クロックワークス=ギャガ・ヒューマックス) 109分

解説
香港歴代No.1ヒットを記録した奇想天外なサッカー映画が日本上陸。少林拳の達人たちが繰り出すスーパープレイの数々を、ワイヤーワーク&VFXで見せきる爆笑作だ。

ストーリー
20年前は黄金の右脚と呼ばれていたサッカー選手でありながら、いまはサッカー界の首領として君臨するかつてのチームメイトであるハン(パトリック・ツェー)の雑用係に身を落としてしまったファン(ン・マンタ)。自分を陥れたハンへの怒りを抱くファンは、ある日、少林拳使いの不思議な青年シン(チャウ・シンチー)に出会う。が、自分の不自由な体を指摘されてカッとなる。ファンと別れたシンは、饅頭屋の店頭で、太極拳を使って饅頭を作るムイ(ヴィッキー・チャオ)と出会う。シンは彼女に好感を持つが、ムイは顔中にできている吹き出物のせいで心を閉ざしていた。しかしシンの優しさにより、少しずつ心を開いていく。一方、ファンはシンの恐るべき脚力に気づき、サッカー・チームを作ることをシンに持ちかける。シンはメンバー集めのため、かつて少林寺で修行した兄弟たちをスカウトして回った。少林チームの誕生だ。それぞれ得意技を活かしてどんどん勝ち進む少林チームは、ついにサッカーの全国大会に出場を果たす。決勝戦の相手は、ハン率いるデビルチーム。だが、ハイテクトレーニングや筋肉増強剤の投与で不死身と化したデビルチームに、少林チームのメンバーは次々つぶされていく。代わりの選手がいなくなり、少林チームが負けを覚悟したその時、なんと坊主頭にしたムイがやってきた。彼女をメンバーに加え試合再開、少林チームは見事優勝を果たすのだった。




21-39. トイ・ストーリー (吹替)

監督 ジョン・ラセター
出演 トム・ハンクスティム・アレンドン・リックルスジム・ヴァーニーウォーレス・ショーン
1995年・アメリカ (ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン)

解説
おもちゃたちの冒険と友情を描いた、世界初の全編フルCGの長編アニメ映画。ピクサー社による驚異の映像が見どころ。監督は、これが初長編となるディズニー・スタジオ出身のジョン・ラセッターで、88年にアカデミー賞を受賞した短編CGアニメ「ティン・トイ」(日本未公開)を発展させたもの。製作はピクサーのラルフ・グッゲンハイムと 「靴をなくした天使」 のボニー・アーノルドの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーはエドウィン・キャットマルと、ピクサーのスティーヴン・ジョブス。脚本はジョス・ウェドン、アンドリュー・スタントン、ジョエル・コーエン、アレック・ソコロウの共同。作画監督はピート・ドクター、美術はディズニー作品 「グリーン・ガリー 最後の熱帯密林」 (日本では特別上映のみ)のラフ・シングルトン、音楽と主題歌・挿入歌は 「ザ・ペーパー」 のランディ・ニューマンが担当。声の出演は 「フォレスト・ガンプ 一期一会」 のトム・ハンクス、 「サンタクローズ」 のティム・アレンほか。日本語吹替版も同時公開され、唐沢寿明、所ジョージの声の出演も話題に。字幕・吹替版ともダイヤモンド★ユカイの主題歌「君はともだち」がエンド・クレジットに使用された。

ストーリー
ウッディ(声/トム・ハンクス)は昔ながらの木製のカウボーイ人形。持ち主のアンディ少年に愛され、おもちゃの仲間たちとゴキゲンな毎日を送っていた。ところがある日突然、最新式のアクション人形バズ・ライトイヤー(声/ティム・アレン)がやってきたから、さぁ大変。あっと言う間に、アンディのお気に入りの座を奪われてしまった。おまけにバズは、自分のことを銀河の平和を守る本物のスペース・レンジャーだと思い込んでいるから話もかみ合わない。そんな二人が、うっかり家の外に飛び出してしまった。運の悪いことに隣家の悪ガキ、シドに捕まってしまい、彼らの命は風前の灯火。アンディ一家の引っ越しが迫っており、いがみ合いをやめて力を合わせなければ、二度と彼に会えなくなってしまう。さらにバズは自分がおもちゃであることを知り、すっかり意気消沈。ウッディはシドの犠牲となったおもちゃたちの力を借り、シドをやっつけると脱出に成功。やっと友情が芽生えたバズと協力して、出発したアンディ一家の自動車を猛スピードで追いかけると、間一髪で滑り込んだ。




21-40. サウンド・オブ・サイレンス (吹替)

監督 ゲイリー・フレダー
出演 マイケル・ダグラスショーン・ビーンブリタニー・マーフィスカイ・マッコール・バーツシアクガイ・トリー
2001年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 114分

解説
名優マイケル・ダグラス主演のノンストップ・サスペンス。誘拐事件に巻き込まれた医師の苦闘が、心を閉ざした美少女との交流などのエピソードを絡めてスリリングに展開!

ストーリー
有能な精神科医ネイサン(マイケル・ダグラス)は、ニューヨークで妻のアギー(ファムケ・ヤンセン)と娘のジェシー(スカイ・マッコール・バーツシアク)と優雅に暮らす。ある日、エリザベス(ブリタニー・マーフィ)という10年間も閉鎖病棟に収容されていた緊張型分裂症の患者を担当する。治療を開始すると彼女は「狙いは奴らと同じ…」と意味不明の言葉を発する。次の日ジェシーが誘拐され、犯人グループのコスター(ショーン・ビーン)から「明日の午後5時までにエリザベスから6桁の数字を聞き出せ」と電話がある。彼女の父親は10年前に仲間と1000万ドル相当のダイヤを盗み殺されていた。その時の仲間がエリザベスを狙っていたのだ。ネイサンが必死でエリザベスを診断していくと、彼女は父親の死を目撃した恐怖で精神的にダメージを負っているが、心は病んでいなかった。そして父が死をかけて守った秘密を自分も守ろうと、精神病患者を装っていた。ネイサンは彼女の心を開こうと、自分の身の上に起こっていることを素直に話す。そして、彼女の父が死んだ現場である地下鉄の駅に二人で向かう。エリザベスは心を開くが、コスター達がネイサンを襲い、格闘の末、コスターを倒す。




f21-41. 父 パードレ・パドローネ

監督 ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演 オメロ・アントヌッティサヴェリオ・マルコーニマルチェッラ・ミケランジェリファブリツィオ・フォルテマリーノ・チェンナ
1977年・イタリア (フランス映画社)

解説
非識字者だった羊飼いの少年が、学間を学び、厳格な父と対立しながらもたくましい知識欲によって成長していく姿を描く。ガヴィーノ・レッダの自伝(平凡社)の映画化で、彼自身も冒頭とラストに登場し、自らを語る。脚本・監督は日本初登場のパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟。撮影はマリオ・マシーニ、美術はジョヴァンニ・ズバッラ、出演はオメロ・アントヌッティ、サヴェリオ・マルコーニ、マルチェッラ・ミケランジェリなど。この映画は、1977年のカンヌ国際映画祭グランプリと、同国際批評家大賞を受賞した。

ストーリー
原作者ガヴィーノ・レッダが登場し、一本の杖をエフィジオ(オメロ・アントヌッティ)に渡すところからドラマは始まる。サルデーニャ島で羊飼いをしているエフィジオは、6歳の長男ガヴィーノ(ファブリツィオ・フォルテ)に自分の仕事を手伝わせるため、小学校に連れ戻しに来る。家に帰ったガヴィーノに、母親は、早く一人前の羊飼いになって家に戻って来るようにと励ます。羊飼いになることは、山の番小屋に一人とり残され孤独になって、恐怖に耐えることなのだ。エフィジオはガヴィーノに自然の厳しさに負けず成長する知恵を教える。こうして、ガヴィーノの孤独で単調な山での生活が始まった。誰よりも恐い父と、厳しい自然に育てられて20歳になったガヴィーノ(サヴェリオ・マルコーニ)は、ほとんど口もきかない青年になった。ある日、通りがかりの二人の男の弾くアコーディオンの音色に魅せられ、ガヴィーノは2匹の羊と交換に古いアコーディオンを手に入れる。それ以来、父に隠れてアコーディオンの練習を続けた。ある日、羊飼いのセバスチャーノ(S・モルナール)が、敵対している家族に殺され、エフィジオは彼女からオリーヴ畑を買いとるが、冷気の襲来でオリーヴは全滅する。全財産を売り払い、その利子で生活していくことになったため、娘は町に働きに出、二人の息子は他の家に雇われる。ガヴィーノはドイツに移民しようとするが失敗、軍隊に入隊する。彼は軍隊でチェーザレ(ナンニ・モレッティ)と友人になり、イタリア語を学び、サルデーニャ方言の研究に関心を深める。高校卒業の資格を得たガヴィーノは、父の反対を押し切って大学を受験するが失敗。それがもとで殺し合わんばかりにいがみ合ったガヴィーノと父ではあったが、ガヴィーノが父の膝に頭を埋め、和解する。ガヴィーノは、その後サルデーニャ方言の研究によって言語学の学位を得、自伝を書くためにシリゴに戻ったと、原作者のガヴィーノ・レッダが登場して、説明する。




21-42. 奇跡の人 (吹替)

監督 アーサー・ペン
出演 アン・バンクロフトパティ・デュークヴィクター・ジョリーアンドリュー・プラインKathlee Comegys
1962年・アメリカ (東和)

解説
三重苦のヘレン・ケラー女史がサリバン教師によって人生に光明を見い出すまでの苦闘を描いたウィリアム・ギブソンの戯曲を彼自身がシナリオ化し、ブロードウェイの演出者アーサー・ペンが監督したもの。撮影はアーネスト・カバロス、音楽はローレンス・ローゼンタール、製作はペンと度々コンビを組むフレッド・コーである。出演者は 「シャロンの屠殺者」 などの舞台女優アン・バンクロフト、 「明日に泣く」 の子役パティ・デューク、舞台のヴィクター・ジョリー、インガ・スウェンスンなど。バンクロフトは63年度アカデミー主演女優賞、デュークは助演女優賞をそれぞれ受賞しているがゴルーデン・グローブ最優秀新人女優賞(デューク)、イギリス・アカデミー外国主演女優賞(バンクロフト)ほか各種の賞も受賞。

ストーリー
1880年代の後半、ケラー家では7歳のヘレン(パティ・デューク)の色も音もない、感触だけを頼りに生きている姿に、大きな悩みを持っていた。盲学校に依頼してその卒業生アニー(アン・バンクロフト)が少女の教育に来てくれた。彼女の苦闘が始まる。手でアルファベットを綴る方法、行儀の躾け、だがヘレンのそれは強制の結果でしかないことに気づき、深刻な懐疑に包まれた。ただ、何かを求めて成長しようとするヘレンの気持ちに支えられ、夫妻に自分とヘレンの2人だけにしてくれるよう頼み、肉親の同情と燐憫の生涯を説いた。2週間、アニーは与えられた猶予に全力を尽くした。森の中の小屋。アニーを嫌うヘレンもやがて慣れ、食事、散歩、手の綴りも上手くなった。2週間は過ぎ、あと1週間をケラー氏(ヴィクター・ジョリー)に頼んだが、家に連れ帰ってしまった。家に帰った少女を再び甘やかすに違いない肉親たちを前に、アニーは自分の無力感をかみしめた。夕食の帰宅祝の席、家に帰ったことを知ったヘレンは2人だけの生活の時とは逆にあえて手掴みで食べ、水差しを倒す。家族たちの反応を探ろうとする少女の本能的な計算がそこに感じられ、今日は特別とひきとめる母親(インガ・スウェンスン)をふりきってヘレンを井戸に引きずり出し、こぼした水を水差しに汲ませた。井戸の冷たい水、それがヘレンをとりまくカベを破った。生後6ヵ月で<水>を知り、まわらぬ舌で発音さえしたヘレンの記憶がいまここで甦ったのである。理性の光が“理解”するという形で少女に初めてさし込んだ。




21-43. テレマークの要塞

監督 アンソニー・マン
出演 カーク・ダグラスリチャード・ハリスウラ・ヤコブソンマイケル・レッドグレーヴデイヴィッド・ウェストン
1965年・アメリカ (コロムビア)

解説
クヌート・ハウケリードの“原子爆弾を阻止したスキーの男たち”とジョン・D・ドラモンドの“これらの男たちがいなかったら”を、 「大脱走」 のアイヴァン・モファットと 「ローマ帝国の滅亡」 のベン・バーズマンが共同で脚色、 「ローマ帝国の滅亡」 のアンソニー・マンが監督したセミ・ドキュメントなレジスタンス・ドラマ。撮影は 「ローマ帝国の滅亡」 のロバート・クラスカー、音楽は 「戦場にかける橋」 のマルコム・アーノルドが担当した。出演は 「危険な道」 のカーク・ダグラス、 「ダンディー少佐」 のリチャード・ハリス、 「ズール戦争」 のウーラ・ヤコブソン、 「丘」 のマイケル・レッドグレイヴ、ほかにデイヴィッド・ウェストン、アントン・ディフリングなど。製作はS・ベンジャミン・フィッツ。なお、重水とは化学名をデュートリューム・オキサイド(重水素酸化物)といい、核分裂のさいに重要な役割を演じる、中性子の減速剤で、核分裂および連鎖反応の修正をするもの。

ストーリー
1942年、雪の多いテレマーク。レジスタンスのリーダーの1人クヌート(リチャード・ハリス)は重水工場長ニールセンから極秘情報を入手、オスローへ飛んだ。オスロー大学のロルフ博士(カーク・ダグラス)はこの情報を重く見、幾多の危険を冒して英国へ。ロンドンの最高作戦室では、ナチスが原爆製造に着手したこと推測した。ロルフとクヌートは、その調査のため彼らの祖国でもある現地に潜入した。第1の秘密送信所はナチスに焼き払われていた。第2のそこにはロルフの別れた妻アンナ(ウーラ・ヤコブソン)と彼女の伯父ヒュッテ(マイケル・レッドグレイヴ)がおり、お互いにレジスタンスに入っていることに驚いた。クリスマスの夜、ロルフはニールセンから、復活祭までに1万ポンドの重水を生産するよう司政長官から厳命されているという報告を受けた。工場への道は厳重な警備がしてあり、潜入は不可能に近い。が、やらなければならない。教授のコマンド部隊も彼らの目前で全滅した。時間がない。彼ら自身を頼る以外ない。幾多の困難を乗りきって装置を爆破した。帰途、アーネは銃弾に撃たれた。その後も執拗な追撃をうけ、ロルフは一時捕まったが、護送車から脱出した。敵からうけた銃傷の手当を受けるため病院に潜伏した。何日か経過し、再びニールセンから重水の生産が再開された、という知らせをうけた。もう止むを得ない。市民の犠牲を慮って爆撃をさけての、彼らの努力だったが、それをする以外方法はない。ところが地形が幸いして殆ど無傷で済んだ。ニールセンから、また重大な情報が来た。ナチスは重水の全ストックを本国に輸送するというのだ。その船を撃沈しなければならない。一般市民も乗っている。ロルフとクヌートは計画を練り、見事に使命を果たしたのだった。




f21-44. 赤い河

監督 ハワード・ホークス
出演 ジョン・ウェインモンゴメリー・クリフトジョアン・ドルーウォルター・ブレナンコリーン・グレイ
1948年・アメリカ (松竹映画) 133分

解説
ユナイテッド・アーティスツ日本支社と松竹洋画部の提携による第1回公開作品。 「僕は戦争花嫁」 の監督者ハワード・ホークスが製作並びに監督にあたったモントレイ・プロ1948年映画で、 「炎の街」 のボーデン・チェイスが史実に基づいて書いた 「チゾルム・トレイル」 (サタデイ・イヴニング・ポスト所載)をチェイズ自身とチャールズ・シュニーが共同脚色し、撮影は 「秘密警察」 のラッセル・ハーラン、音楽はディミトリ・ティオムキン 「白昼の決闘」 、編集は 「物体」 の監督クリスチャン・ナイビイ 「秘密警察」 の担当。主演は 「黄色いリボン」 のジョン・ウェインとジョアン・ドルー、 「女相続人」 のモンゴメリイ・クリフトで、 「彼女は二挺拳銃」 のウォルター・ブレナン、 「アリゾナの決闘」 のコリーン・グレイ、故ハリイ・ケリイとその息子、ジョン・アイアランドらが助演する。

ストーリー
南北戦争の14年前。開拓者のダンスン(ジョン・ウェイン)とグルート(ウォルター・ブレナン)は、2人でテキサスの緑野に大農場を作る希望に燃え、レッド・リヴァに向かう途中、少年マシュウに会いダンスンは彼を養子とした。――南北戦争も終わって、ダンスンは広大な土地と莫大な家畜を持っていたが南部には牛肉を買う市場がなかった。今は成人したマシュウ(モンゴメリイ・クリフト)が戦争から帰って来たとき、ダンスンは北部や東部の市場へ鉄道の通っているミズーリへ家畜1万頭を移動させるという大胆な計画を打ち明けた。バスター(N・ビアリ・ジュニア)、チェリイ(ジョン・アイアランド)、ダンらの牧童たちが雇われ、大移動の旅が始まったが、旅程は非常に困難でダンスンは焦燥感が募ってあたり散らし酒に耽るようになった。レッド・リヴァ渡河の頃、3人の牧童が逃亡する事件があり、ダンスンがこれに対してとった無理解な態度に愛想をつかしたマシュウは、自ら雇人側に立って指揮をとったので、怒ったダンスンは何時かマシュウを殺すと公言した。マシュウはミズーリ行きの予定を新しく鉄道の敷かれたというカンサスに変更したので、旅程は短縮されたが道はやはり険しかった。一行は途中インディアンに襲われている馬車隊に出会い、一緒に戦って撃退したが、マシュウは馬車隊にいた美しいテス・ミレー(ジョーン・ドリュウ)と相愛の仲になった。マシュウ等は遂に鉄道のあるアビリーンの町に著き牛の大移動に成功したが、ダンスンの公言どおり彼とマシュウの大格闘が始まった。しかしテスの計いで2人は和解してダンスン農場を協同経営することになり、テスとマシュウも結ばれることになった。




f21-45. ボーン・コレクター 

監督 フィリップ・ノイス
出演 デンゼル・ワシントンアンジェリーナ・ジョリークイーン・ラティファマイケル・ルーカーマイク・マッグローン
1999年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 117分

解説
連続猟奇殺人鬼に挑む寝たきりの体の科学捜査官の姿を描くサスペンス。ジェフリー・ディーヴァーの同名ベストセラー小説(文藝春秋刊)を 「N.Y.殺人捜査線」 のジェレミー・アイアコンが脚色。監督は 「今そこにある危機」 のフィリップ・ノイス。撮影は 「フラッド」 のディーン・セムラー。音楽はクレイグ・アームストロング。出演は 「悪魔を憐れむ歌」 のデンゼル・ワシントン、 「狂っちぃないぜ!」 のアンジェリーナ・ジョリーほか。

ストーリー
リンカーン・ライム(デンゼル・ワシントン)は全米でも有数の犯罪捜査官だったが、4年前の事故で寝たきりになっていた。パトロール警官のドナヒー(アンジェリーナ・ジョリー)は男の惨殺死体を発見、証拠を残す手際のよさをライムにかわれ、助手に任命される。犯罪現場に残っていたのは奇妙な骨と紙片。それを分析するため、ライムの部屋が科学捜査班の対策本部となる。現場の証拠を元に次の犯罪を予測したライムだが、ときすでに遅く第二の犯罪が行なわれる。犯人は、ライムたちに挑戦しているようだった。無線でドナヒーに指示を送り、二人三脚で事件に挑むライム。捜査線上に浮かんだのは1900年代初頭の出版社のロゴマーク。事件はいよいよ混迷の度を深めるが、ライムは屈せず事件の解決に乗り出すのだった。




f21-46. タイガー 伝説のスパイ

監督 カビール・カーン
出演 サルマーン・カーンカトリーナ・カイフランヴィール・ショウリーロシャン・セスギリーシュ・カルナド
2012年・インド (日活) 132分

解説
世界6ヶ国を舞台に、インド諜報局のスパイとパキスタンの女スパイが愛の逃避行を繰り広げるアクションロマンス。出演は 「ミモラ 心のままに」 のサルマーン・カーン、 「人生は一度だけ」 のカトリーナ・カイフ。インド映画の都ボリウッド製作の作品をまとめて上映する“ボリウッド4 ザッツ☆エンターテインドメント!”で上映される一作。

ストーリー
インド諜報局RAWの最強スパイ“タイガー”(サルマーン・カーン)は、敵国パキスタンに寝返った元同僚を始末する。ところが新たなミッションで向かったダブリンで、ゾヤ(カトリーナ・カイフ)という女性に一目ぼれ。しかし、彼女はパキスタンのスパイだった。“タイガー”は愛に生きる道を選び、決して結ばれてはいけない相手と共に逃避行を続けるが、それは全てを敵に回す壮絶な戦いの始まりであった……。





f21-47. ジョニーは戦場へ行った

監督 ダルトン・トランボ
出演 ティモシー・ボトムズキャシー・フィールズドナルド・サザーランドジェイソン・ロバーズマーシャ・ハント
1971年・アメリカ (ヘラルド映画)

解説
戦場で両手、両足、耳、眼、口を失い、第1次世界大戦が終わってから15年近く生き続けたイギリス将校が実在したという事実をヒントに、ダルトン・トランボが1939年に発表した小説 「ジョニーは銃をとった」 を、トランボ自ら脚本・監督した反戦映画。なお1971年カンヌ映画祭審査員特別賞、日本でも72年度芸術祭大賞を受賞した。製作はブルース・キャンベル、撮影はジュールス・ブレンナー、編集ミリー・ムーアが各々担当。出演はティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド、ジェイソン・ロバーズ、マーシャ・ハント、ダイアン・ヴァーシ、エドワード・フランツなど。

ストーリー
第1次大戦にアメリカが参戦し、中西部コロラド州の青年ジョー・ボナム(ティモシー・ボトムズ)は、ヨーロッパの戦場へと出征していった。鼓膜を引き裂くような不快音をたてて落下してくる砲弾が炸裂し、大地がわれる。??ジョーはいま、<姓名不詳重傷兵第407号>として、前線の手術室に横たわっている。延髄と性器だけが助かり、心臓は動いていた・軍医長テイラリー(エドワード・フランツ)は「もう死者と同じように何も感じない、意識もない男を生かしておくのは、彼から我々が学ぶためだ」と説明した。こうして<407号>と呼ばれるようになったジョーが陸軍病院に運ばれた。出征する前夜のことを、ジョーの意識はかけめぐる??カリーン(キャシー・フィールズ)は小さくて可愛らしい娘だった。彼女の父親の許しがあって、ジョーとカリーンは残り少ない時間を寝室で過ごす。そして出征の朝。駅には愛国歌が流れ、ごったがえしていた。涙を流すカリーンを抱きしめ、ジョーは軍用列車に乗った。??ジョーはあの時、泥水のたまった穴の底で、砲弾にやられたのだ。軍医長の命令で<407号>は人目につかない場所に移されることになり、倉庫に運び込まれた。かゆかった。腕のつけ根あたりがかゆい。ところが何もないのだ。両手も、両足もないらしい。切らないでくれと頼んだのに。こんな姿で生かしておく医者なんて人間じゃない。??ジョーは少年時代を思い出していた。父(ジェイソン・ロバーズ)は貧しかったが特別な釣竿を作るのが好きで、いつも手を動かしていた。そんな平和な家庭にも不幸な出来事が起こった。ジョーが働くようになって間もなく父が死んだのだ。母(マーシャ・ハント)は気丈に耐えていたが、幼い妹たちは床にうずくまっていた。??顔をおおっているマスクを変える時、あらゆる神経を総動員してジョーはさぐってみた。舌がなかった。アゴがなかった。眼も、口も、鼻もなかった。額の下までえぐられているのだ。ある日、ジョーは何かが額にさわるのを感じた。そうだ、これは太陽だ。あのなつかしい暖かさ、そのにおい。ジョーは、野原で真っ裸で陽の光を浴びていたあの日のことを思いだした。??ジョーは悪夢のような戦場での体験を思いおこしていた。その夜、塹壕の中で悪臭を放つドイツ兵の死体を埋めていた。その最中に、あの長い砲弾のうなりがのしかかり、強烈な白熱が眼前にとび散り、それきり暗黒の世界にしずみこんでしまった。??<407号>は新しいベッドに移し変えられた。看護婦(ダイアン・ヴァーシ)も変わった。その看護婦はジョーのために涙を流し、小瓶に赤いバラを1輪、いけてくれた。やがて雪が降り、看護婦は<407号>の胸に指で文字を書き始めた。M・E・R・Y。メリー、…そうか、今日はクリスマスなのか…ぼくもいうよ看護婦さん。メリー・クリスマス!??クリスマスの夜ジョーの勤め先のパン工場は熱気にあふれていた。皆はダンスを楽しんだ。父はジョーにいった。何もいえないなら電報をうて、モースルだ。頭を使うんだ。??その日、<407号>が頭を枕にたたきつけているのを見た看護婦は軍医を呼んだ。数日して、テイラリーと神父が倉庫を訪れた。頭を枕にうちつける<407号>を見た将校は「SOSのモールス信号です。」といった。将校は<407号>の額にモールス信号を送った。「君は何を望むのか…」「外にでたい。人々にぼくを見せてくれ、できないならころしてくれ」上官は愕然とした。そして一切の他言を禁じた。それに対し神父がなじった。「こんな蛮行を信仰でかばいたくない。諸君の職業が彼を生んだのだ!」一同が去ったあと、1人残った看護婦は、殺してくれと訴えつづける<407号>の肺に空気を送り込む管を閉じた。しかし、戻ってきた上官がこれを止め、看護婦を追いだしてしまった。倉庫の窓は閉ざされ、黒いカーテンが全てをかくした。暗闇にジョーだけが残された。…ぼくはこれ以上このままでいたくない。SOS、助けてくれ、SOS…その声なき叫びはいつまでもひびいている。





f21-48. 今そこにある危機 

監督 フィリップ・ノイス
出演 ハリソン・フォードウィレム・デフォーアン・アーチャージョアキム・デ・アルメイダヘンリー・ツァーニー
1994年・アメリカ (UIP) 141分

解説
レッド・オクトーバーを追え!」 「パトリオット・ゲーム」 に続き、CIAの情報アナリスト、ジャック・ライアンの活躍を描いた大型エンターテインメント・シリーズの第3弾。原作はトム・クランシーの小説 「今、そこにある危機」 (文藝春秋刊)で、 「パトリオット・ゲーム」 も手掛けたオーストラリア出身のフィリップ・ノイスが監督に当たった。スケール豊かな原作を脚色したのは、前2作も担当したドナルド・スチュワート、 「シンドラーのリスト」 のスティーヴン・ザイリアン、 「ビッグ・ウェンズデー」 などで監督としても活躍するジョン・ミリアスの3人。製作は 「パトリオット・ゲーム」 「ビバリーヒルズ・コップ3」 のコンビ、メイス・ニューフェルドとロバート・レーメ。撮影は 「パトリオット・ゲーム」 のドナルド・M・マッカルパイン、音楽は同作のジェームズ・ホーナー、美術は 「レッド・オクトーバーを追え!」 のテレンス・マーシュ。特殊効果コーディネーターは 「ゴッドファーザー」 のジョー&ポール・ロンバルディ父子が担当し、準備に3週間を費やした爆発シーンをはじめとする場面を現出。視覚効果スーパーバイザーは 「パトリオット・ゲーム」 のロバート・グラズミアが手掛けている。名実共にアメリカ映画のトップスターとなったハリソン・フォードが前作に引き続きライアン役で主演するほか、妻役のアン・アーチャー、娘役のソーラ・バーチ、前2作にも出演したジェームズ・アール・ジョーンズらレギュラー陣に加え、 「時の翼に乗って ファラウェイ・ソー・クロース!」 のウィレム・デフォー、カナダ映画界の名優で、本作が初のアメリカ映画出演となるヘンリー・ツァーニー、 「心の旅」 のドナルド・モファット、 「グッド・モーニング・バビロン!」 のジョアキム・デ・アルメイダらが共演。

ストーリー
CIA情報担当官のジャック・ライアン(ハリソン・フォード)はベネット大統領(ドナルド・モファット)に、彼の親しい友人のハーディン一家が惨殺されているのが沿岸警備隊に発見され、逮捕された犯人2人がコロンビアの麻薬組織カリ・カルテルの人間であることを報告する。麻薬撲滅を公約してきた大統領は怒りをこらえ、「麻薬カルテルはアメリカにとり、今そこにある危機だ」と直ちに対処措置を厳命した。ライアンはガンに倒れた上司のグリーア提督(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の依頼でCIA副長官代行を引き受け、ハーディン事件の背後の捜査に当たった。その結果、実はハーディンがカリ・カルテルの資金洗浄係であったらしいことを突き止める。彼はカルテルの資金6億5千万ドルを着服し、それが判明したためにカルテルを率いるエルネスト・エスコベド(ミゲル・サンドバル)に殺害されたと推測したライアンは、大統領に報告する。その頃、彼の知らないところでカルテル撲滅の秘密軍事作戦が開始されていた。大統領補佐官のジェームズ・カッター(ハリス・ユーリン)はCIA作戦担当副長官のロバート・リター(ヘンリー・ツァーニー)に、議会の承認なしに他国に軍隊を派遣する報復作戦の承認書を与える。一方、エスコベドの部下で、かつてキューバ活動の上層部にいたフェリックス・コルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)は偽造旅券でアメリカに入国し、恋仲となったFBI長官の秘書モイラ(アン・マグヌソン)と連絡を取り、アメリカ側の動きを探る。パナマに渡ったリターはCIAの諜報員クラーク(ウィレム・デフォー)に会い、秘密作戦の指揮を取るように要請する。クラークはラミレス大尉(ベンジャミン・ブラット)や狙撃の名手シャベス(レイモンド・クルーズ)ら選りすぐりの兵士12名で組織された軍団を率いて、闇に紛れてコロンビアに潜入する。その頃、強気に転じた大統領はハーディンの6億5千万ドルを政府が運用すれば、さらに価値を発揮すると主張。それはカルテルからの金だとのライアンの推測を確かめるために、彼にコロンビアに向かうよう命令した。ライアンは、愛する妻キャシー(アン・アーチャー)に見送られ、現地に渡る。彼が首都ボゴダに到着し、政府関係者から情報を聞き始めた頃、クラーク率いる秘密部隊はカルテル関係施設の攻撃に成功する。グリーアの助言でクラークと会ったライアンはハーディンとカルテルの関係を確認し、ホワイトハウスに報告する。大統領はそれを受けて直ちに記者会見を行い、麻薬収益金の洗浄用の6億5千万ドルの口座を差し押さえたことを発表した。モイラから、ジェイコブスFBI長官が密かにボゴダ入りすることを知ったコルテズは襲撃を計画。それは大きな損害を受けて激怒したエスコベドの報復に見せかけようとして、コルテズが他のカルテルのロハスと組んだ巧妙な作戦だった。長官一行はロケット砲をはじめとする火器の猛攻を受け、同行していたライアンたちは必死に防戦するが、長官ほか幾多の犠牲を出してしまう。一方、アメリカに飛んだコルテズは、役目を果たし終えたモイラを口封じに絞殺した。手段を選ばぬカルテルに激怒したカッターは実力を行使するよう指示。電話を盗聴してカルテルの代表者の集会があることを知ったリターはパナマ湾上空に戦闘機を出撃させ、高性能ミサイルで女性や子供もろとろ会場の家を爆破させる。だが、集会に遅れたエスコベドとコルテズは命拾いした。米国政府の不法攻撃の事実を突き止めたコルテズはカッターと取り引きし、麻薬摘発と供給網のリストラを実行する見返りとして、特殊部隊の現在位置を教え、彼らとの通信回線を切ることを約束させた。その頃、モイラの電話録音と盗聴テープからようやくコルテズのことを突き止めたライアンは事件の輪郭を掴み、特殊部隊の存在を知る。ライアンはリターに迫るが、彼は大統領が始めから関与していたと言う。そんな時、グリーア提督が亡くなった。ライアンは彼が最後に残した、議会で米国民に誓った正義をまっとうするようにとの言葉を胸に、単身コロンビアへ飛ぶ。そこで、見殺しにされようとしている部隊を救出しようと必死に行方を追うクラークと出会った彼は、カルテルの本拠に向かう。裏切りが明らかになったコルテズはエスコバドを殺す。ライアンとクラークは兵士たちの救出と脱出に成功し、コルテズも倒された。ホワイトハウスに戻った彼は大統領に向かい、彼らが行ったことを告発すると言う。議会に出席したライアンは、真実のみを語ると宣言した。