15-1. 明りを灯す人

監督 アクタン・アリム・クバト
出演 アクタン・アリム・クバトタアライカン・アバゾバアスカット・スライマノフアサン・アマノフスタンベック・トイチュバエフ
2010年・キルギス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ (ビターズ・エンド)

解説
カンヌ国際映画祭をはじめ、世界中の映画祭で高い評価を得ている、心温まるドラマ。中央アジア・キルギス共和国出身の監督が自ら主演を兼任。同国の小さな村を舞台に、“明り屋さん”として親しまれる純朴な電気工の姿を見つめる。かつて遊牧民族だったキルギスの人々の穏やかな生活ぶりや、慎ましく生きる姿に引き込まれる。

ストーリー
キルギス共和国。天山山脈の麓、聖なるイシク・クル湖のほとりの小さな村。アンテナの調節や電気の修理から、時には貧しい家が無料で電気を使えるような細工まで行い、誰からも愛される“明り屋さん”(アクタン・アリム・クバト)と呼ばれる男がいた。彼は、妻のベルメット(アライカン・アバゾバ)と4人の娘に囲まれ、慎ましく暮らしていた。ラジオからは都会での政治的混乱のニュースが流れているが、村の暮らしは穏やかそのもの。そんなある日、都会から親友マンスール(スタンベック・トイチュバエフタリブ・イブライモフ)の親類ベクザット(アスカット・スライマノフ)がやってくる。目的は、国会議員に立候補するための票集め。エセン村長(アサン・アマノフ)は長老たちに、彼が土地を狙っていると警告する。ある夜、マンスールとともに酔っ払った明り屋さんは、電柱に登って感電してしまう。意識を取り戻すと、目の前で美女が微笑んでいた……。村長はベクザットからの票集めの協力を拒否したものの、明り屋さんはベクザットに“川向こうの渓谷に風車を設置して村の電力を賄う”という自分の夢を打ち明ける。その計画に力を貸す約束をするベクザット。やがて、エセン村長が亡くなると、ベクザットの推薦もあってマンスールが新村長に就任。マンスールとベクザットが中国の投資家を招くことになり、明り屋さんは大型テントに照明を設置する。だが、マンスールとの関係は以前と違ってギクシャクしていた。明り屋さんは、感電したときに出会った美女が村の老女の孫娘で、生活費のために身を落として働いていることを知る。その彼女が投資家の接待に現れ、裸にされる姿を見て、堪らず止めに入る。だが、彼女はそれを拒否。明り屋さんはベクザットの部下に殴られ、川に捨てられる。強い風が吹き、明り屋さんの風車が力強く回り出し、電球に明りが灯る。勢いよく自転車を漕ぐ人影があった……。




15-2. アイ・アム・レジェンド (吹替)

監督 フランシス・ローレンス
出演 ウィル・スミスサリー・リチャードソンアリシー・ブラガダッシュ・ミホクチャーリー・ターハーン
2007年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
コンスタンティン」 のフランシス・ローレンス監督によるSFサスペンス。 「幸せのちから」 のウィル・スミス扮する科学者が、廃墟と化したNYで孤独なサバイバルを展開する。

ストーリー
2012年。廃墟と化したマンハッタンを、赤いムスタングが駆け抜けてゆく。運転しているのはロバート・ネビル(ウィル・スミス)、助手席には愛犬サムがいる。…3年前、ガン細胞を撲滅するため開発されたウイルスの暴走によって人類は滅亡の危機に瀕してした。ネビルの妻と娘も、その犠牲となった。ウイルスの感染者は凶暴化したダーク・シーカーとなり、太陽の光を避けながら闇の世界に蠢いている。ネビルは要塞化させた自宅の地下にある研究室で、生体実験を繰り返しながら抗体ワクチンの完成に勤しんでいた。ただひとりの生存者かもしれないネビルは、同じように免疫を持って生き延びている者の存在を信じて、ラジオ放送で自身のメッセージを流し続けている。「もし誰かこれを聞いているなら、応えて欲しい。あなたは、独りじゃない」しかし今日も返答はなく、ワクチン完成への道も険しく、ニューヨークでたったひとりという凄まじい孤独にネビルは耐えていた。そんなある日、ダーク・シーカーたちに襲われるネビルを、ひとりの女性が救助した。彼女の名前はアナ(アリーシー・ブラガ)。サンパウロの赤十字の避難船で感染を免れてひとりの少年と共に生き延び、ネビルの放送を聞いてマンハッタンにやってきたのだ。敬虔なクリスチャンである彼女は、バーモント州にある生存者たちの村に避難することを勧めるが、ネビルは同意しない。ウイルスの発生地であるニューヨークに留まって、抗体ワクチンの完成に彼は賭けているのだ。それだけが、人類を救出する道だから。ネビルの住居をつきとめたダーク・シーカーは、最後の闘いを挑んでくる。必死に抗戦するネビルだが、圧倒的なその数の前では歯が立たなかった。地下の研究室に逃げ込むネビルたち。そのとき、生体実験が成功して抗体ワクチンが完成していた。最後の手段として、ネビルは自身の命と引き換えにアナと少年を守り、抗体ワクチンを託す。そして、ネビルの名前は伝説に刻まれたのだった。




15-3. カティンの森

監督 アンジェイ・ワイダ
出演 マヤ・オスタシェフスカアルトゥル・ジミイェフスキヴィクトリャ・ゴンシェフスカマヤ・コモロフスカヴワディスワフ・コヴァルスキ
2007年・ポーランド (アルバトロス・フィルム)

解説
巨匠アンジェイ・ワイダが、第2次世界大戦下、ソ連軍によりポーランド軍将校らが虐殺された実在の事件を映画化。戦争に引き裂かれた家族たちそれぞれの思いが痛切に胸に響く。

ストーリー
1939年9月、クラクフのアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)は娘を連れ、夫のアンジェイ大尉(アルトゥル・ジミイェフスキ)を探しに行く。一方、東から来た大将夫人(ダヌタ・ステンカ)はクラクフに向かう。アンジェイや仲間のイェジ(アンジェイ・ヒラ)たちは、ソ連軍の捕虜となっていた。アンジェイは、見たことすべてを手帳に書き留める決意をする。アンナはクラクフに戻ろうとするが、国境を越えられない。11月、アンジェイの父はドイツ軍の収容所に送られる。翌年初め、アンナと娘、アンナの義姉と娘は、ロシア人少佐の家に匿われていた。義姉親子は強制移住のため連れ去られるが、アンナたちは逃げ延びる。春、アンナと娘は義母のいるクラクフへ戻り、義父の死を知る。アンジェイはイェジから借りたセーターを着て、大将、ピョトル中尉らと別の収容所に移送される。1943年4月、ドイツは一時的に占領したソ連領カティンで、多数のポーランド人将校の遺体を発見したと発表する。犠牲者リストには大将、イェジの名前が記され、アンジェイの名前はなかった。大将夫人はドイツ総督府で夫の遺品を受け取り、ドイツによるカティンの記録映画を見る。1945年1月、クラクフはドイツから解放される。イェジはソ連が編成したポーランド軍の将校となり、アンナにリストの間違いを伝える。イェジは法医学研究所に行き、アンジェイの遺品をアンナに届けるよう頼む。イェジは大将夫人から“カティンの嘘”を聞き、自殺する。国内軍のパルチザンだったアンナの義姉の息子タデウシュは、父親がカティンで死んだことを隠すよう校長から説得されるが、拒否する。その帰り道、国内軍を侮辱するポスターを剥がした彼は警察に追われ、大将の娘エヴァと出会う。校長の妹はカティンで遺体の葬式を司った司祭を訪ね、兄ピョトルの遺品を受け取る。そして兄の墓碑にソ連の犯罪を示す言葉を刻み、秘密警察に狙われる。法医学研究所の助手グレタはアンナに、アンジェイの手帳を届ける。





15-4. アメリ

監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 オドレイ・トトゥマチュー・カソヴィッツリュフュヨランド・モローアルチュス・ド・パンゲルン
2001年・フランス (アルバトロス・フィルム(ニューセレクト=テレビ東京=博報堂 提供))

解説
仏で社会現象的な大ヒットを飛ばしたファンタジー。好奇心旺盛で愛くるしいヒロインの奇妙な冒険を、 「エイリアン4」 の鬼才ジャン=ピエール・ジュネがカラフルな映像でつづる。

ストーリー
少女の頃から空想の世界で遊ぶのが好きだった22歳のアメリ(オドレイ・トトゥ)。古いアパートで一人暮らししながらモンマルトルのカフェで働く彼女は、他人を少しだけ幸せにするお節介を焼くのが楽しみ。そんなある日、遊園地のお化け屋敷とセックスショップで働く不思議な青年ニノ(マチュー・カソヴィッツ)に出会う。彼の、スピード写真のブース周辺に捨てられた写真をストックしたアルバムを拾ったアメリは、悪戯を仕掛けようとするうち、ニノに恋してしまう。しかし内気なアメリは恋に真正面から向き合うことができず、かくれんぼのような駆け引きが続くのだが、やがて素直になり、ニノの腕の中に飛び込んで自分の幸せを見つけるのだった。




15-5. LOVERS

監督 チャン・イーモウ
出演 金城武ソン・タンタンチャン・ツィイーアンディ・ラウ
2004年・中国、香港 (ワーナー)

解説
「HERO」 のチャン・イーモウ監督が、金城武、チャン・ツィイーら豪華キャストを主演に迎えた歴史ロマン。唐の時代を舞台に、国の存亡を巡る男女3人の劇的な運命を描く。

ストーリー
〜牡丹坊の戦い〜。中国・唐の時代。国政は腐敗し、反政府組織が乱立していた。中でも朝廷をおびやかす存在であったのが、最大勢力・飛刀門。その重要人物が牡丹坊に踊り子として潜入しているとの情報を、捕吏の劉(アンディ・ラウ)がつかむ。踊り子の名は小妹(チャン・ツィイー)。生まれつき目の見えない娘であった。客になりすました捕吏の金(金城武)が騒ぎを起こし、機をみて乗り込んだ劉は、小妹の非をとがめて逮捕を言いわたす。女将(ソン・タンタン)の必死のとりなしで、小妹が上手に舞うことができれば許すことにした劉は、鼓打ちの舞を命じる。小妹は動じることなく、絶技をつくして華麗な舞を繰り広げるが…。その後、突如として小妹が取った行動は、誰もが目を疑うものだった! あでやかに飾りたてられた牡丹坊が、今、修羅場と化す! 〜原野の戦い〜。金と劉が酒を酌み交わし、小妹は獄につながれている。牡丹坊での彼女の振る舞いに、彼らは小妹を捕らえるだけの理由を得たのだった。その晩、金が牢に忍び込み小妹を救い出す。実は、小妹と共に逃走し、劉と示し合わせて飛刀門の本拠地をつきとめる策略だったのだ。彼は随風と名乗り、飛刀門の味方であることを小妹に告げる。劉の放った朝廷からの追っ手が、二人のすぐ後ろに迫りつつあった。辿り着いた花の咲き乱れる草原で、二人は窮地に追い込まれる! 〜竹林の戦い〜。二人は、霧におおわれた竹林の中にいた。どこまでも深い竹林を進む。次第におそろしい気配があたり一面を包み込んでくる。突然、鷹が獲物を狙うように攻撃が開始された。手に手をとって疾駆する二人。上空から次々と襲いかかる無数の追っ手。虚空を切り裂きながら竹槍が雨あられと降り注ぎ、金と小妹は絶体絶命の危機に陥る。




15-6. 羊たちの沈黙 

監督 ジョナサン・デミ
出演 ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンススコット・グレンテッド・レヴィンアンソニー・ヒールド
1991年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
出演はジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンスほか。FBIアカデミーの若き女性訓練生が、精神病院に監禁中の天才精神科医の遠隔捜査を受け、連続誘拐殺人事件の解明に挑むサイコ・スリラー。トーマス・ハリスのベストセラー小説の映画化。アカデミー賞5部門を獲得。2001年3月7日にニュープリントで再上映。

ストーリー
FBIアカデミーの訓練生クラリス(ジョディ・フォスター)は、若い女性の皮を剥いで死体を川に流す連続殺人犯バッファロー・ビルの捜査に手詰まりを感じたFBI上司ジャック(スコット・グレン)の密命を帯び、州立の精神病院を訪れる。それは、患者を9人も殺してそこに隔離される食人嗜好の天才精神科医ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)に、バッファロー・ビルの心理を読み解いてもらうためだった。初めはレクターの明晰さに同居する薄気味悪さにたじろいだクラリスも、自分への相手の興味を利用し、自分の過去を語るのとひきかえに、事件捜査の手掛かりを博士から少しずつではあったが、抽き出すことに成功するようになる。曰く、犯人は自分がかつて手がけた一患者を想わせる、犯人は2階建ての家を持っている、最初に殺害された女の身辺に手掛かりはないか…。そんな時、捜査態勢が急転直下、変貌する。上院議員の愛娘キャサリン(ブルック・スミス)が、バッファロー・ビルと思われる者に誘拐されたのだ。また、精神病院院長のチルトン博士(アンソニー・ヒールド)も、クラリスがレクター博士と接触する理由に気づき、自分の出世欲のために、レクター博士を牢内から出し、彼の陣頭指揮の下に、大々的に捜査を始めることに協力する。やがてレクターは捜査官に最後の手がかりを語った後、隙を見て精神病院職員を襲い、まんまと脱獄に成功、姿をくらましてしまう。一方、クラリスも最初に殺害された女性の親交関係を洗ううち、犯人を確定、犯人の所在を確認したという上司ジャックの連絡を受け、自分も現場に急行すると応える。だが、クラリスが赴いた不気味な一軒家には、FBIの仲間はいなかった。しかし彼女は勇を鼓して犯人の家に単独で入る。が、ちょっとしたスキに犯人に家の奥へと逃げられてしまう。クラリスが犯人を追って奥へ奥へと進むうち、家の地下室の古井戸の底深くに閉じ込められた娘を発見、じき救出すると約束して犯人を追う。やがて入り込んでゆく暗闇。だが犯人は既に赤外線眼鏡を装着し、息を呑んで自分を捜す彼女の一挙手一投足を手中にしている。緊迫の持続。だが犯人が銃を装着する音をさせた瞬間に、クラリスは犯人の位置を確認、見事な連続射撃によって犯人を射殺する。そしてFBI訓練生の卒業式。バッファロー・ビル事件解決の功労者として栄誉の只中にいるクラリスは、いまだ行方不明のレクター博士から犯行予言の電話を受けるのだった。




15-7. アース

監督 マーク・リンフィールド
出演 
2007年・ドイツ、イギリス (ギャガ・コミュニケーションズ)

解説
「ディープ・ブルー」 の製作陣や英国BBCのスタッフらが、全世界200ヶ所以上で撮影したドキュメンタリー。北極や赤道直下、そして深海で、さまざまな生き物の生態に迫る。

ストーリー
冬の間、1日中闇が支配する北極。3月になり太陽が姿を見せるようになる。ある日、一冬を雪の下で過ごしたホッキョクグマの親子が目覚める。親子は足元の氷が溶け出すのに往生しながら、餌を求めて歩き出す。カナダでは300万頭のカリブーの群れが、牧草を求める3200キロの旅をしている。しかし、腹を空かせたオオカミたちが彼らを狙っている。オオカミたちは連携して、カリブーの子供を親から引き離すことに成功する。北極から2900キロ南下すると、樹木限界線に到達する。地球上の3分の1の樹木を有するタイガは背の低い潅木からなり、北半球を途切れることなく取り巻いている。雪解けのあと、これらの木々が吐き出す酸素が世界中の酸素濃度を上昇させる。北極から4000キロ南下すると、広葉樹の森が現れる。春にはオシドリのヒナが、樹上の巣穴から巣立つ瞬間に立ち会う。冬になると、世界で最も絶滅が危惧されているアムール豹の親子の貴重な姿をとらえる。赤道付近の熱帯雨林地帯は、面積は地球上の3パーセントに過ぎないが、全動植物の半数以上の生物が生息する。その1つであるパプアニューギニアの多様な鳥たちは、ユニークな求愛行動を見せる。一方降雨量の少ない砂漠地帯のカラハリでは、生まれたばかりの子供を連れたアフリカ象の家族と出会う。食料と水を求めて何日もさまよった彼らは、小さな水たまりを見つける。しかしその水を、ライオンの群れと分け合わなければならない。太陽の恵みは海にも降り注ぐ。最後に出会うのはザトウクジラの親子。彼らは熱帯から南極まで、6000キロの旅に出る。




15-8. 二つの祖国で 日系陸軍情報部

監督 すずきじゅんいち
出演 ハリー・アクネグランド・イチカワノーマン・ミネタダニエル・井上ジェイク・シマブクロ
2012年・アメリカ、日本 (フイルムヴォイス)

解説
「東洋宮武が覗いた時代」 「442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」に続く、すずきじゅんいち監督による日系史ドキュメンタリー第3作。米国陸軍の秘密情報機関=MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス)の中心メンバーであった日系二世の元兵士たちの証言を基に、太平洋戦争時の米国極秘情報に迫る。長い間、秘密情報部員という性格上、MISの存在自体が国家の最高機密として極秘扱いであった。米国の国籍を持ちながら、国内で人種差別と戦い、父母の祖国・日本と戦う運命を受け入れた日系二世の兵士たちは、祖国米国に忠誠を誓い、勝利に貢献、戦後は日米の架け橋として日本再建に尽力した。彼らは長い沈黙を破り、二つの祖国への想いを語り始める………。そして米国では大統領、副大統領の次の地位にある長老上院議員ダニエル・イノウエ、元ハワイ州知事のジョージ・アリヨシ、共和党と民主党政権で大臣を務めたノーマン・ミネタなど80名にも及ぶ多数の元兵士たちにインタビューを敢行。また、日米両軍や民間人に多数の死傷者を出した沖縄でもロケを行い、沖縄戦の悲劇も映し出す。日系四世の世界的ウクレレ奏者ジェイク・シマブクロ、沖縄出身の国際女優で 「ベストキッド2」のタムリン・トミタも出演、若い世代からのメッセージを語る。

ストーリー
※ドキュメンタリーの為、ストーリーは割愛します。




15-9. サーカスの世界

監督 ヘンリー・ハサウェイ
出演 ジョン・ウェインクラウディア・カルディナーレリタ・ヘイワースロイド・ノーランリチャード・コンテ
1964年・アメリカ (コロムビア)

解説
ローマ帝国の滅亡」 のフィリップ・ヨーダンと「北京の55日」 のニコラス・レイの共同オリジナル・ストーリーを、ベン・ヘクト、ジュリアン・ヘルヴィ、ジェームズ・エドワード・グラントらが共同で脚色、「西部開拓史」 のヘンリー・ハサウェイが演出したサーカスドラマ。撮影は「北京の55日」 のジャック・ヒルドヤード、音楽は「ローマ帝国の滅亡」 のディミトリ・ティオムキンが担当した。出演は「マクリントック」 のジョン・ウェイン、「ブーベの恋人」 のクラウディア・カルディナーレ、「コルドラへの道」 のリタ・ヘイワース、TV「ララミー牧場」 のジョン・スミス、「スーザンの恋」 のロイド・ノーラン、「オーシャンと十一人の仲間」 のリチャード・コンテ、ほかに猛獣調教師のアアンリ・ダンテスや有名サーカス団の協力がある。製作は「ローマ帝国の滅亡」 のサミュエル・ブロンストン。

ストーリー
19世紀のサーカス黄金時代。マット(ジョン・ウェイン)はアメリカ最大のサーカス団を持っている。14年前、仲間のアルフレッドが墜死したが、それは空中曲芸をやる妻のリリー(リタ・ヘイワース)がある男との仲を悩んで心が動揺したためだったという噂があった。リリーは娘のトニ(クラウディア・カルディナーレ)をマットに託し姿を消した。今はトニも成長し、一座のスティーヴ(ジョン・スミス)と恋を語るほどだった。マットはヨーロッパ巡業に旅立った。リリーを探すのも目的の1つだった。ところが、船旅を終えたある港で大事故が起こり、船は転覆、マット一座はほとんどを失った。マットはヨーロッパでの再起を決意、3流サーサスでウェスタン・ショウをやることにした。パリの興行では大成功を収め、マットは芸人のスカウトをはじめた。ベルリンのあるサーカスでアルフレッドの弟アルドと会い、仲間にもどした。彼の助言で、マットはついにリリーを見つけ、トニへの告白をするようすすめた。だがリリーは名前をかえ、1人の芸人としてサーカスにかえって来た。トニはもちろん気づかない。サーカスは大きくなった。あるドレスリハーサルの朝、何者かの細工で、トニは自分の母のことを知らされ、怒って出て行った。そのとき、どうしたわけか天幕が燃えだした。延焼を防ぐため、天幕を切り離さなければならない。リリーは炎にのまれながら類焼を防ぎ、いつのまにか帰って来たトニも一生懸命に消火につとめた。大部分が焼け、リリーの火傷の手当てに精をだすトニに、憎しみは見られなかった。大天幕とともに燃えてしまったのだった。その夜のうちにサーカスは幕をあけ、リリーとトニの演技は華やかに展開していった。




15-10. ユー・ガット・メール

監督 ノーラ・エフロン
出演 トム・ハンクスメグ・ライアンパーカー・ポージージーン・ステイプルトンスティーヴ・ザーン
1998年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
インターネットで知り合った男女の運命的な恋を描いたラブ・ストーリー。 「めぐり逢えたら」 のノーラ・エフロン監督、主演のトム・ハンクスとメグ・ライアンが再び顔を合わせた作品。監督は 「マイケル」 のノーラ・エフロンで、脚本は同作に続いて姉デリア・エフロンとの共同。製作はノーラ、 「ボルケーノ」 のローレン・シュラー・ドナー。製作総指揮はデリア、 「陰謀のセオリー」 のジュリー・ダーク、 「マイケル」 のG・マクブラウン。撮影も同作のジョン・リンドレイ、音楽は 「カルラの歌」 のジョージ・フェントン、美術は 「マイケル」 のダン・デイヴィス、編集は 「恋愛小説家」 のリチャード・マクス、衣裳は 「ジャッカル」 のアルバート・ウォルスキー。主演は 「プライベート・ライアン」 のトム・ハンクスと 「シティ・オブ・エンジェル」 のメグ・ライアン。共演は 「フラート」 のパーカー・ポージー、 「マイケル」 のジーン・ステイプルトン、 「恋愛小説家」 のグレッグ・キニアほか。

ストーリー
ニューヨーク。亡き母から受け継いだ小さな絵本の店を経営するキャスリーン(メグ・ライアン)には同棲中の恋人フランク(グレッグ・キニア)がいるが、インターネットで知り合った見ず知らずの相手と交信していると心ときめく。二人は互いに相手のスクリーンネームしか知らない。ある日、すぐ近くに大手書店チェーンが進出することになり、彼女はそこの御曹司ジョー(トム・ハンクス)と反目し合うが、彼こそ例の交信相手だった。彼もまた編集者の恋人パトリシア(パーカー・ポージー)よりも、未知の相手との交信に安らぎを覚えていた。そうとも知らず、彼らはEメールで現実の恋人以上に心を通わせる。やがてキャスリーンの店は倒産するが、ジョーは偶然から彼女が「Shoppgirl」であることを知る。やがて、自分が本当に求めている相手が誰かを知った二人は、互いに結ばれるのだった。





15-11. レオン 

監督 リュック・ベッソン
出演 ジャン・レノゲイリー・オールドマンナタリー・ポートマンダニー・アイエロ
1994年・アメリカ、フランス (日本ヘラルド映画(日本ビクター=日本ヘラルド映画 提供))

解説
凄腕の寡黙な殺し屋と12歳の少女の純粋な愛を、スタイリッシュなアクション・シーンを交えて描いた一編。初長編 「最後の戦い」 以来、 「サブウェイ」 「グラン・ブルー」 「ニキータ」 「アトランティス」 と、1作ごとに注目を集める現代フランス映画界の寵児、リュック・ベッソンが初めてアメリカを舞台に選び、ワールド・ワイドな展開を試みた(台詞は英語)。脚本・監督はベッソン、エグゼクティヴ・プロデューサーは実父のクロード・ベッソン。撮影は、監督とは 「ニキータ」 に続いて2作目となるティエリー・アルボガスト、音楽は 「最後の戦い」 から全作品に参加しているベッソンの盟友エリック・セラで、主題歌はスティング&ドミニク・ミラーの「The Shape of my Heart」。美術はダン・ウェイルが担当。主演は 「最後の戦い」 以来、ベッソン作品には欠かせぬ俳優であるジャン・レノと、オーディションで2000人を越える中から選ばれてデビューした、13歳のナタリー・ポートマン。 「ドラキュラ(1992)」 「トゥルー・ロマンス」 「蜘蛛女」 と出演作が相次ぐゲイリー・オールドマンが悪徳麻薬取締官に扮して怪演するほか、アカデミー助演男優賞候補の 「ドゥ・ザ・ライト・シング」 や 「ジャック・ルビー」 のダニー・アイエロが手堅い助演ぶりを見せる。後に22分長いディレクターズカット版が製作されている。

ストーリー
ニューヨーク。レオン(ジャン・レノ)は完璧に仕事を遂行する一流の殺し屋。一日2パックの牛乳と肉体のトレーニングを欠かさない彼の唯一の楽しみは、安アパートで自分と同じように根っこを持たない鉢植えの観葉植物に水を与えることだった。彼の隣の部屋に住む12歳のマチルダ(ナタリー・ポートマン)もまた、家族から疎ましがられる孤独な少女。ある日、不気味な男スタンフィールド(ゲイリー・オールドマン)と部下たちが彼女の父親を訪ねて、預けたヘロインをかすめ取った奴がいると言い、明日の正午までに盗んだ奴を捜せと告げて帰る。翌日、スタンフィールドと仲間たちはマシンガンを手にアパートを急襲し、たった4歳の弟も含めてマチルダの家族を虐殺した。ちょうど買い物に出掛けて留守だったマチルダは帰ってみて、何が行われたか気づいた。彼女は涙をこらえながら部屋を通り過ぎると、レオンの部屋のドアベルを鳴らし続けた。突然の訪問者にとまどうレオンに、マチルダはしばらく匿ってほしいと頼む。さらに彼が殺し屋だと知ったマチルダは、最愛の弟を殺した相手に復讐するために、自分も殺し屋になりたいと懇願する。始めは断ったレオンだが、自分の正体を知った少女を殺すことも追い出すこともできず、彼女との奇妙な共同生活を始めることになる。安ホテルに移り住んだ彼らは、互いに心の扉を開き始める。レオンは少女に殺しのテクニックとセオリーを教え、マチルダは彼に読み書きを教えた。2人の間には父娘とも親子ともつかない新しい感情が芽生えていく。初めて誰かのために何かをしたくなったと言うレオンに、殺し屋の彼を育て、仕事の仲介をするトニー(ダニー・アイエロ)は不吉な予感を覚える。そんなある日、マチルダは偶然、スタンフィールドの正体がDEA(麻薬取締局)の汚職捜査官であることを知る。復讐を固く決意した彼女はレオンが留守の間にスタンフィールドを付け狙うが、逆に取り押さえられてしまう。レオンは急いで彼女を救い出すが、汚職仲間を殺されたスタンフィールドは怒り狂う。スタンフィールドはトニーを通じて彼の居場所を突き止め、何百という警官隊を率いてホテルを完全包囲した。レオンは一緒に残ると泣くマチルダを逃がす。少女は殺し屋に愛を告白し、レオンの気持ちも同様だった。傷ついた彼は辛くも外に逃れるが、スタンフィールドに背後から撃たれた。瀕死のレオンの仕掛けた爆弾で、スタンフィールドは爆死した。マチルダはトニーを訪ね、殺し屋として雇ってと頼むが断られる。ひとりぼっちになった彼女は厚生施設に入り、レオンが残したあの鉢植えの観葉植物を庭に植えた。




15-12. Shall we Dance?

監督 ピーター・チェルソム
出演 リチャード・ギアジェニファー・ロペススーザン・サランドンスタンリー・トゥッチボビー・カナヴェイル
2004年・アメリカ (ギャガ)

解説
周防正行監督&役所広司主演で1996年に大ヒットしたダンス映画を、ハリウッドでリメイク。シカゴを舞台に、生きる情熱を取り戻そうとする中年男の奮闘を描く。

ストーリー
ジョン・クラーク(リチャード・ギア)は、遺言書の作成を専門にするシカゴの弁護士。高級デパートに勤める妻ビヴァリー(スーザン・サランドン)と2人の子供に囲まれた、幸福な暮らしを送っている。しかし心のどこかに空しさを感じていた彼は、ある日、通勤電車の窓を通して、社交ダンス教室の窓辺にたたずむ美しい女性の姿に目を留める。そして衝動的に電車を途中下車。ダンス教室へと足を踏み入れたジョンを迎えたのは、その女性、ポリーナ(ジェニファー・ロペス)だった。成り行きで入門クラスの一員になったジョンは、競技ダンスの世界で活躍していたポリーナが、1年前のトーナメントで挫折を経験し、パートナーだった恋人とも破局していたことを知る。それ以来、ジョンはレッスンの日を心待ちにするようになり、日常生活では味わえない達成感をダンスにより経験していく。やがて教室には、ジョンと同じ法律事務所に勤めるリンク(スタンリー・トゥッチ)が長髪のカツラを被って現われ、彼と奇妙な絆で結ばれたりも。しかし夫の変化に気づき、浮気を疑ったビヴァリーは、ディヴァイン探偵(リチャード・ジェンキンス)に調査を依頼。ジョンのダンス通いは妻にバレてしまう。そんな時、ジョンは教室の主宰のミッツィー(アニタ・ジレット)の勧めで、コンテストに出場することになる。彼はポリーナからの猛特訓を受け、コンテストの当日、パートナーのボビー(リサ・アン・ウォルター)と共にダンスフロアに立つ。しかし客席に来ていた娘の声援に動揺したジョンが、ボビーのスカートを引きずり降ろして、ダンスを中断させてしまう。それ以来、ジョンはダンスをやめてしまうが、仲間からの暖かい誘い、そしてビヴァリーとの和解を経て、再び踊る決心をする。そして正装したジョンは、ビヴァリーの仕事場であるデパートに出向き、彼女と共にパーティーへと向かうのだった。




15-13. マーヴェリック

監督 リチャード・ドナー
出演 メル・ギブソンジョディ・フォスタージェームズ・ガーナーグラハム・グリーンアルフレッド・モリーナ
1994年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
自慢のカードさばきで開拓期の西部を渡り歩くギャンブラー、美貌の女スリ、謎の保安官の珍道中を、アクションとユーモア豊かに描いた西部劇。50年代の人気TVシリーズ「マーベリック」を企画も務めたメル・ギブソンの主演で映画化したもので、彼がパートナーのブルース・デイヴィーと主宰するアイコン・プロ作品。どんでんがえしの連続に 「駅馬車(1939)」 をほうふつさせるスタントなど、見どころは多い。監督は 「リーサル・ウェポン」 シリーズでギブソンと組んだリチャード・ドナー。脚本は 「ミザリー」 のウィリアム・ゴールドマン、製作はデイヴィーとドナーの共同。ダイナミックな野外ロケを展開した撮影は 「わかれ路(1994)」 のヴィルモス・ジグモンド。 「夕陽のガンマン」 「大いなる西部」 の主題曲も取り入れた遊び心たっぷりの音楽は 「レナードの朝」 のランディ・ニューマン。主演は 「顔のない天使」 のメル・ギブソンと 「ジャック・サマースビー」 のジョディ・フォスター、そしてTV版で主人公を演じたジェームズ・ガーナー。助演に 「天使にラブソングを2」 のジェームズ・コバーン、 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 のグレアム・グリーンら。

ストーリー
19世紀、開拓期の西部。賭博師のマーヴェリック(メル・ギブソン)は、4日後に開かれる史上最大のポーカー大会に出場するべく、参加費用の2万5千ドルを集めるのに躍起になっていた。クリスタル・リヴァーの町を訪れた彼は、美貌の女ギャンブラー、アナベル(ジョディ・フォスター)と出会う。銀行頭取の友人に借金を取り立てるが、ままならず町を出る。連邦保安官を名乗るゼイン・クーパー(ジェームズ・ガーナー)も加わり、同じポーカー大会を目指す3人の奇妙な道中が始まった。町でマーヴェリックに一杯食わされたならず者のエンジェル(アルフレッド・モリーナ)も後を追う。3人組の乗った駅馬車の老御者が頓死するが、マーヴェリックは断崖絶壁の直前で暴走馬車を停車させる。3人は次に、インディアンに襲われたという幌馬車隊に出くわす。だが、真犯人は白人の強盗団だった。マーヴェリックとクーパーは、早撃ちで一瞬のうちに彼らを倒した。そこへ本物のインディアンが現われた。リーダーのジョゼフ(グレアム・グリーン)とマーヴェリックは旧知の中で、2人は大芝居を打ち、マーヴェリックはアナベルやクーパーと別れることに成功。2人はロシアの大公をペテンにかけて金を手に入れたが、彼はエンジェル一行の罠にかかり、縛り首にされる。悪運強く無事だった彼は、大会が開かれるミシシッピー河に浮かぶ船、ローレン・ベル号に向かった。出場資格には2000ドルたりなかったが、彼は乗客の中にあのロシアの大公を見つけ、再びペテンにかけて金を巻き上げた。船主で大会主催者の提督(ジェームズ・コバーン)の開始を告げ、大会が始まる。参加者の中にはアナベルやエンジェルもおり、監視役はクーパーだ。マーヴェリックは勝ち進み、ついに優勝する。ところが、クーパーは賞金の50万ドルを持ち逃げした。逃げ延びたクーパーの前に、提督が現われる。2人は最初からグルだったのだ。しかし、提督は金を独り占めしようとする。そこへマーヴェリックが現われ、2人から金を奪った。しばらくして、マーヴェリックとクーパーは宿で落ち合う。なんと2人は親子だったのだ。そこへアナベルが現われて形勢はまたまた逆転、銃を突きつけて金の入ったバッグを持ち去った。だが、半分はマーヴェリックのブーツに隠してあり、彼は「追いかける楽しみができた」と笑った。




15-14. ワイアット・アープ

監督 ローレンス・カスダン
出演 ケヴィン・コスナーデニス・クエイドジーン・ハックマンジェフ・フェイヒーマーク・ハーモン
1994年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
西部開拓史の伝説のヒーロー、ワイアット・アープの波乱万丈の生涯を描いた西部劇の大作。従来のアープものと異なり、史実に忠実で重厚な人間ドラマとして描かれている。監督は「シルバラード」 に続き西部劇を手掛けたローレンス・カスダン。脚本はカスダンとジム・ウィルソンのオリジナル。製作はカスダン、ウィルソン、主演のケヴィン・コスナーの共同。撮影はオーウェン・ロイズマン、美術のアイダ・ランダム、編集のキャロル・リトルトンら主要スタッフはカスダン作品の常連揃い。ほかに、音楽に「わかれ路(1994)」 のジェームズ・ニュートン・ハワードら。「シルバラード」 やカスダン脚本の「ボディガード(1992)」 に主演したケヴィン・コスナーが堂々たる風格でアープを演じるほか、親友ドク・ホリデイ役のデニス・クエイドをはじめ、「ジェロニモ(1994)」 のジーン・ハックマン、「フィアレス」 のイザベラ・ロッセリーニほか多彩なキャスト。

ストーリー
1800年代、アイオワ。ワイアット・アープ少年は厳格な父ニコラス(ジーン・ハックマン)に家族の絆の強さと正義を教え込まれて育った。成長したワイアット(ケヴィン・コスナー)は、ミズーリ州で法律を学び、美しい娘ウリラ(アナベス・ギッシュ)と恋に落ち、結婚した。だが幸せは長く続かず、彼女は彼の子を身ごもったまま若くしてチフスで亡くなる。思い出の家に火を放ち、街を出たワイアットは酒浸りの日々を送り、ついに馬泥棒で拘置所に入れられる。保釈金を積んで彼を助けてくれた父によって彼は目を覚まし、以後は酒は一滴も口にせず真面目に働く。数年後、兄ジェームズを訪ねてウィチタにやって来たワイアットは、誰も手が付けられぬ酔っぱらいを持ち前の豪胆さと銃の腕前で取り押さえた。それがきっかけで、彼は保安官のバッジを与えられる。やがてダッジ・シティの連邦副保安官となったワイアットは、兄ヴァージル(マイケル・マドセン)、弟モーガン(リンデン・アシュビー)と共に、法の執行者として町に尽くす。ある時、彼は肺病病みだが銃の腕は確かな男、ドク・ホリデイ(デニス・クエイド)と知り合い、2人は親友となる。ワイアットは、誰も自分に銃を向けてこない生活を望み、兄弟たちとアリゾナ州トゥームストーンに移った。この町で彼は、ジョージー(ジョアンナ・ゴーイング)という美しい踊り子と結ばれた。一方、町は凶悪なクラントン一家とマクローリー一家のために無法状態となっていた。アープ兄弟は力を合わせて戦うが、ついに決闘の日を迎え、ドクを加えた4人はOKコラルへ向かう。至近距離での銃撃戦が展開した末に勝利するが、最愛の弟モーガンが殺された。復讐を誓うワイアットはジョージーの制止を振り切り、ドクと共に死地へ向かう。死闘の末に一味を倒したワイアットは、ジョージーとの愛を育んだ。




15-15. フォー・ルームス

監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ティム・ロスキャシー・グリフィンローレンス・ベンダーポール・ヘラーマンクィン・トーマス・ヘラーマン
1995年・アメリカ (松竹富士)

解説
大晦日の夜、一軒のホテルを舞台に、4つの部屋で繰り広げられる騒動を描いた4話オムニバスのコメディ。 「レザボア・ドッグス」 1本でアメリカ映画界の寵児となったクエンティン・タランティーノが、各国の映画祭で知り合ったインディペント系の若手映画作家たちと意気投合し、企画が実現した。各人各様の演出スタイルと映像世代ならではのマニアックな視点、豪華キャストの共演など、見どころは多い。製作はタランティーノ作品でおなじみのローレンス・ベンダー(助演も)。エグゼクティヴ・プロデューサーは、タランティーノとアレクサンダー・ロックウェル。音楽はコンバスティブル・エディソンとエスクィヴェル、美術はメイン・スキューラー。衣装はメアリー・ハナンとスーザン・バートラム。タイトル・バックのカートゥーン・アニメをボブ・カーツが担当。全編の狂言回したるベルボーイ役でクールな怪演を見せるのは 「パルプ・フィクション」 「ロブ・ロイ ロマンに生きた男」 のティム・ロス。また第3話と4話をつなぐパートに、 「忘れられない人」 「オンリー・ユー」 のマリサ・トメイがホテルの上司役で、プロデューサーのローレンス・ベンダーがヤッピー屑野郎で、それぞれ特別出演している。 〈ルーム321/お客様は魔女〉魔女たちの集会を、個性派女優の競演で描く。監督・脚本は 「ガス・フード・ロジング」 の女性監督アリソン・アンダース。撮影はロドリゴ・ガルシア。出演は 「ホット・ショット」 「ホット・ショット2」 のヴァレリア・ゴリノ、 「スネーク・アイズ」 のマドンナ、 「プレタポルテ」 のリリ・テイラー、 「チャイナ・シャドー」 のサミ・デイヴィス、 「ガス・フード・ロジング」 のアイオン・スカイほか。 〈ルーム404/間違えられた男〉間男に間違えられ、殺されそうになったテッドの災難を描く。監督・脚本は 「イン・ザ・スープ」 のアレクサンダー・ロックウェル。撮影も同作のフィル・パーメット。出演は、監督夫人でもある 「親愛なる日記」 のジェニファー・ビールス、 「ショーシャンクの空に」 のデイヴィッド・プローヴァル。 〈ルーム309/かわいい無法者〉ヤクザ者に子供たちのお守りを頼まれたテッドが、その悪ガキたちのためにまたしても災難に巻き込まれる姿を、スピード感溢れるスラップスティック調で描く。監督・脚本・編集は 「エル・マリアッチ」 「デスペラード」 のロバート・ロドリゲス。撮影は 「デスペラード」 のギレルモ・ナバロ。出演は 「デスペラード」 のアントニオ・バンデラス、 「ジョイ・ラック・クラブ」 のタムリン・トミタほか。 〈ペントハウス/ハリウッドから来た男〉往年のテレビシリーズ「ヒッチコック劇場」の1話 「リオから来た男(日本放映題/指)」 (原作はロアルド・ダールの「南から来た男」)に登場する賭けを再現しようとする男たちのエピソード。手持ちカメラの長回し撮影が効果的。監督・脚本・主演は 「パルプ・フィクション」 のクエンティン・タランティーノ。撮影も同作のアンジェイ・セクラ。共演は 「パルプ・フィクション」 「ダイ・ハード3」 のブルース・ウィリス、第2話に続いて再登場のジェニファー・ビールスほか。

ストーリー
〈ルーム321/お客様は魔女〉ロサンゼルスのホテル・モンシニョールに風変わりな女性客が次々と到着した。ジプシー風の美女アシーナ(ヴァレリア・ゴリノ)、妖艶なエルスペス(マドンナ)と、どうやら彼女のレズビアン相手らしいパンク少女のキヴァ(アリシア・ウィット)、猫を連れたゴージャスなジゼベル(サミ・デイヴィス)、箒を持ったインディアン風のレイヴン(リリ・テイラー)、そして素朴で可愛いイヴァ(アイオン・スカイ)の6人は、301 号室にチェックイン。キヴァを除く女たちは実は魔女で、40年前にこの部屋で呪いをかけられた魔女ダイアナを復活させようとしていた。儀式が始まり、魔女たちは母乳、処女の血、5人の男の太ももの汗、1年分の涙をそれぞれ捧げるが、男の精液を捧げるはずだったイヴァは、それをつい飲んでしまったと告白。リーダー格のアシーナは、1時間以内に精液を調達することを命じる。そこへベルボーイのテッドが現れた。イヴァはテッドをなだめたり、すかしたりして、やっとお目当てのものを手に入れる。再び儀式が始まったが、果して……。 〈ルーム404/間違えられた男〉404号室へ氷を届けたテッドは、中年男シグフリード(デイヴィッド・プローヴァル)にいきなり拳銃を向けられる。彼の背後には、椅子に縛りつけられ、猿ぐつわを嵌められた美女アンジェラ(ジェニファー・ビールス)の姿が。シグフリードは、テッドの正式名称、テオドアと呼びかける。どうやらテッドを、妻の間男テオドアだと思い込んでいるらしい。やばい雰囲気に彼は慌てふためくが、その時、心臓の持病があるシグフリードが発作を起こして倒れた。薬を取ってこいと命じられ、浴室に駆け込んだテッドは窓から逃げだそうとするが、果たせない。あきらめて戻ってみると、目を覚ましたシグフリードはすっかり態度を軟化させていた。彼は妻を激しく愛していて、彼女の愛を試してみたかったらしい。テッドがホッと胸をなで下ろしたのも束の間、今度は何とアンジェラが「テッドにファックされた」と言う。再びシグフリードの形相が変わった。危うくそこから逃げだした彼と入れ違いに、本物のテオドアが部屋を訪れた……。 〈ルーム309/かわいい無法者〉ラテン系のヤクザ(アントニオ・バンデラス)とその妻(タムリン・トミタ)が外出している間、9歳の姉サラと6歳の弟ファンチョの世話を頼まれたテッドだが、子供たちはとんでもない悪ガキだった。ファンチョはテレビのアダルト・チャンネルをつけ、サラとケンカになる。足が臭いと言ってはまたケンカ。彼らはシャンパンを飲んですっかり酔っぱらう。引き出しにあった注射器でダーツをしている時、テッドが見回りにやってきた。子供たちのまぶたにメンソレータムを塗って寝かしつけるが、彼が去ると洗い流してしまった。そして、サラはこの悪臭が足のせいではないと気づき、ベッドのマットレスを引き剥がしてみると、そこには腐乱死体が! サラの報せで駆けつけたテッドは、急いで始末をつけようとするが、焦って深みにハマるだけ。そこへ両親が帰ってきた。部屋の中は悲惨な有り様。テレビではアダルト番組が流れ、テッドは死体の腕を掴み、サラは注射器を持ち、ファンチョは酒をラッパ飲み。しかも床にこぼしたブランデーに火がついて火災が発生、部屋は炎に包まれた。物凄い形相にテッドは震え上がるが、父親はひと言、「いい子にしてたか?」。 〈ペントハウス/ハリウッドから来た男〉夜明け前、いい加減キレそうになったテッドにまたしてもベルが鳴る。注文の品を持ってペントハウスに上がってみると、そこには喜劇俳優チェスター・ラッシュ(クエンティン・タランティーノ)と取り巻きのレオ(ブルース・ウィリス)とノーマン(ポール・カルデロン)がいた。おまけに、なぜかアンジェラの姿もあった。チェスターは、斧1本、木切れ一枚、釘3本、紐ひと巻き、氷にドーナツとクラブサンドと、注文の品を確かめる。彼らは懐かしのテレビ番組にあったエピソードを再現しようというのだ。それはジッポー・ライターで10回連続で点火できるかというもので、勝てば車が貰えるが、負ければ小指が飛ぶことになる。ノーマンは指を、チェスターは愛車を賭けることになったが、チェスターは札束を積んでテッドに、失敗した時に指を切る役を頼む。逡巡する彼にチェスターは、「たった1秒の仕事を引き受けずに1 000ドル逃したか、たった1秒の仕事で1 000ドルせしめたか、これからの人生でどっちの記憶を引きずって生きていくんだ?」と囁く。テッドは決断して引き受けた。ついに賭けが開始され、ノーマンはジッポーを手にする。一同は緊張に包まれた。だが、1回目からあっさり失敗、すかさずテッドは斧を降り下ろして指を切断し、1 000ドルを手にした。慌てふためく皆を尻目に、テッドは悠然と去っていく。




15-16. コップランド

監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 シルヴェスター・スタローンハーヴェイ・カイテルレイ・リオッタロバート・デ・ニーロピーター・バーグ
1997年・アメリカ (松竹富士)

解説
警官の町という特殊な共同体内部の腐敗を描いた社会派ドラマ。監督・脚本は「君に逢いたくて」(V)のジェームズ・マンゴールド。製作は 「スウィンガーズ」 のケイリー・ウッズ、キャシー・コンラッド、エズラ・スウェルドロウの共同。製作総指揮は 「ハッピィブルー」 のボブとハーヴェイのワインステイン兄弟、メリル・ポスターの共同。撮影は 「アメリカの災難」 のエリック・アラン・エドワーズ。音楽は 「ゲーム」 のハワード・ショア。美術はレスター・コーエン。編集はクレイグ・マッケイ。衣裳はエレン・ルッター。出演は 「デイライト」 のシルヴェスター・スタローン、 「バッド・デイズ」 のハーヴェイ・カイテル、 「乱気流 タービュランス」 のレイ・リオッタ、 「スリーパーズ」 のロバート・デ・ニーロほか。

ストーリー
ニューヨークに隣接した小さな町ギャリソン。住人のほとんどはNY市警の警官で、「コップランド」と呼ばれている。フレディ(シルヴェスター・スタローン)は平穏なコップランドの保安官としてくすぶった日々。ある夜NYとギャリソンを結ぶ橋の上で警官バビッチ(マイケル・ラパポート)が誤って黒人を射殺する事件が発生。甥であるバビッチをかばうために、ギャリソンの創始者レイ(ハーヴェイ・カイテル)は仲間たちと共謀して擬装工作。罪の意識にさいなまれたバビッチが橋から身を投げ自殺したと見せかけて密かに匿ったのだ。次の日、レイの乗る車と知らずにスピード違反で職務質問したフレディは町の顔役である彼をいつも通り見逃したが、車内に自殺したはずのバビッチが乗っているのを見てしまう。疑惑の多い事件にとうとう警察の内部監察部が動き出した。調査官モー(ロバート・デ・ニーロ)は警察学校時代のレイの同級生。背後にはマフィアと馴れ合うコップランド全体の腐敗があると睨んだ彼は、保安官事務所を訪れてフレディに協力を要請するが、フレディは仲間たちを裏切る証言はできない。マフィアの大物の裏工作で内部捜査は打ち切られた。そんな中、フレディの唯一の友人フィッギス(レイ・リオッタ)が酒場でレイと激しく口論。数日後、フィッギスの家が全焼し、同棲していた彼の恋人が死亡する。フレディはレイたちを疑う。バビッチの葬儀が行われたが彼が生きていることはコップランドの住人たちにとって公然の秘密だった。バビッチはどこか別の土地で再出発するつもりだったが、レイはマフィアのボスに命じられ彼を殺そうとするが、バビッチは逃げ出す。レイの計画が少しずつ狂い始めていた。彼らの邪魔をした警官がまた不審な死に方をする。フレディはやっと意を決し内部監査部に出頭して告発しようとするが、モーは「すでに捜査は打ち切られた」と相手にしない。彼はフレデイが何か行動を起こすのを待っていたのだ。監査部の捜査ファイルを盗んできたフレディは、レイたちの過去の悪行や麻薬取引を見逃す見返りにマフィアから融資を受けてコップランドが発展してきたことを知り愕然とする。さらに彼はフィッギスが保険金欲しさに自ら火事を起こしたことにも気づき、とうとう腐敗しきったコップランド全体を敵に回す決意をした。バビッチを見つけて連行したフレディにレイの仲間たちが襲いかかる。利き耳を撃たれたフレディは無音の世界の中、バビッチが連れ去られたレイの家に討ち入りする。レイたちを射殺したフレディだが、彼も無傷ではいられなかった。危機を救ってくれたのはフィッギスだった。数カ月後、聴力が戻りまた元の平凡な保安官勤務に戻ったフレディの顔には満ち足りた表情があった。






15-17. オリバー!

監督 キャロル・リード
出演 ロン・ムーディーオリヴァー・リードハリー・シーコムシャニ・ウォリスマーク・レスター
1968年・イギリス (コロムビア)

解説
チャールズ・ディケンズの原作小説を、ライオネル・バートが舞台化(作詞・作曲・台本)したミュージカル・プレーを、ヴァーノン・ハリスが映画用に脚色、 「華麗なる激情」 のキャロル・リードが監督したミュージカル。撮影は 「じゃじゃ馬ならし」 のオズワルド・モリス、ライオネル・バートの曲を、ジョン・グリーンが音楽監督している。振付をオンナ・ホワイト、美術監督はジョン・ボックス。出演は、舞台で活躍中のロン・ムーディー、 「ジョーカー野郎」 のオリヴァー・リード、ハリー・シーコム、シャニ・ウォリス、 「華氏451」 にも顔をみせていたマーク・レスター少年など。製作は 「年上の女」 のジョン・ウルフ。テクニカラー、70ミリパナビジョン。

ストーリー
十九世紀のロンドンは、貧富の差がはげしく、貧乏人は生活苦にあえいでいた。そんななかで、救貧院の一室で一人の女が男の子を生み、死んでいった。生まれた子供はオリバー(M・レスター)となずけられ、そこで育てられることになった。コーネイ未亡人とバンブル氏の経営になる救貧院とは名前はいいが、子供たちはいつも飢えている状態だった。みんなの意志を代表して、もう少し食べ物をくださいと言ったため、オリバーは葬儀屋サワベリーのところに、たった五ドルで売られるはめになってしまった。仕事はつらく、ある日、母の悪口をいわれたのにガマンできなくなったオリバーは、新しい居場所を求めて逃げだした。次にオリバーはスリの少年アートフル・ドッジャーと知りあい、彼の口ききで、親方のフェイギン(R・ムーディ)に紹介され、スリの仲間に加わった。仲間にはみんなのあこがれの的ナンシー(S・ウォリス)やかわいいベットなどがいた。ナンシーは悪名高いビル(O・リード)にくびったけだった。やがてオリバーの初仕事の日がきたが、あっけなく失敗してしまった。が、被害者のブラウンロウ氏は幼ないオリバーにひかれるところがあり、引きとって育てる気になった。オリバーにとって夢のような日がはじまった。が、それもつかの間、ある日おつかいに出かけたオリバーは、ビルと、ナンシーに、見つかり、フエイギンのところに連れだされた。一方ブラウンロウ氏は、オリバーをさがして救貧院を訪ね、思いがけない事実を知った。オリバーはブラウンロウ氏の孫だった。ビルの強盗の、巻きぞえにされたりの生活が、オリバーには続いていた。心優しいナンシーは、オリバーを助けるべくブラウンロウ氏に連絡をとり、真夜中にロンドンブリッジへオリバーを連れて行くことにした。が悪かしこいビルは早くも、それを察知、二人のあとをつけ彼女が、自分を密告したと感違いしナンシーを殺した。その死体をみたブラウンロウ氏の叫びで、警官がかけつけ、ビルは射殺され、フェイギンは捕えらられ、少年たちは開放された。オリバーにもやっと平和な生活が戻ってきたのだった。




15-18. セント・エルモス・ファイアー

監督 ジョエル・シュマッカー
出演 エミリオ・エステヴェスロブ・ロウアンドリュー・マッカーシーデミ・ムーアジャド・ネルソン
1985年・アメリカ (コロムビア映画)

解説
ワシントンの名門大学をそろって卒業した7人の若者のそれぞれの人生を描く青春群像劇。製作はローレン・シュラー・ドナー、エグゼクティヴ・プロデューサーはネッド・タネンとバーナード・シュワルツ、監督は 「D.C.キャブ」 のジョエル・シューマカー、脚本はシュマッチャーとカール・カーランダー、撮影はスティーブン・H・ブラム、音楽はデイヴィッド・フォスター、編集はリチャード・マークスが担当。出演はエミリオ・エステヴェス、ロブ・ロウなど。

ストーリー
ワシントンの名門、ジョージタウン大学をそろって卒業した7人の仲間が久しぶりに顔を合わせることになったのは、ビリー(ロブ・ロウ)とウェンディ(マーク・マクドウェル)が引き起こした交通事故がきっかけだった。弁護士志望のカーボ(エミリオ・エステヴェス)、ミュージシャン志望のビリー、ジャーナリスト志願のケヴィン(アンドリュー・マッカーシー)、政治家を目ざすアレックス(ジャド・ネルソン)、女性として珍しく建築の勉強を続けるレスリー(アリ・シーディ)、銀行に就職したジュールス(デミ・ムーア)、ソシアル・ワーカーのウェンディ。七人七様の生き方で社会の大海に乗り出したのだ。そんな彼らが在学中から心の拠り所にしていた溜り場であるバー・レストラン<セント・エルモ>では、法律の勉強を続けるべく、カーボがウェイターとしてアルバイトをしていた。ビリーもここでサックスを吹いていたが、女に手が早くその上酒好きという性格破綻ぶりが災いして、学生結婚した妻との間に秋風が立っていた。そんな彼に秘かな思いを抱くのがウェンディ。実業家の父(マーティン・バルサム)の過保護ぶりに反発するかのように不良青年ビリーにひかれていた。グループの中で政治家の秘書というまっとうな道を歩み出したのがアレックスだったが、同棲中のレスリーがジャーナリスト志望のケヴィンと関係を持つようになり、3人は抜きさしならない立場に追いこまれる。一方、カーボも激しい恋に身を焦がしていた。相手は大学の先輩で女医をしているデール・バイバーマン(アンディ・マクダウェル)。ビリーの事故の時に再会して以来、その美しさにまいっていたカーボは押しの一手で突進するが、不運にも彼女にはインターンの恋人がいた。しかし休暇をとって恋人と山小屋にこもっていたデールのもとに押しかけ、強引に彼女の唇を奪って白銀の道を引き返した。そんな中でまた新たな事件が起きた。勤め先の妻子持ちの上司と恋に落ち、レスリーやウェンディを心配させていたジュールスが上司に棄てられた上に会社もクビになり、自殺を計ったのだ。急を聞いて駆けつけた仲間たち。凍てつくような部屋にひとりうずくまるジュールス。そのかたくななまでの心を開かせたのはビリーの説得だった。そして変ることのない友たちの熱い友情だった。ミュージシャンとしての成功を目ざしニューヨークヘ向かうビリーの旅立ちの日。見送る仲間たちの足が自然に<セント・エルモ>へ向きかけた時誰かが言った。「もう、<セント・エルモ>じゃないぜ」。<セント・エルモの火>。嵐の大海に捲き込まれた水夫たちを導くという伝説の火。しかし、進むべき道をしっかりと見定めた若者たちに、もはやその灯は必要ではなかった。




15-19. 愛と青春の旅だち

監督 テイラー・ハックフォード
出演 リチャード・ギアデブラ・ウィンガーデイヴィッド・キースリサ・ブロントルイス・ゴセット・ジュニア
1982年・アメリカ (パラマウント映画=CIC)

解説
士官養成学校生の友情と恋を描くドラマ。製作はマーティン・エルファンド、監督は 「アイドルメイカー」 (81、日本未公開)のテイラー・ハックフォード。同じような体験を持つダグラス・デイ・スチュアートが脚本を執筆。撮影はドナルド・ソーリン、音楽はジャック・ニッチェが担当している。出演はリチャード・ギア、デブラ・ウィンガー、デイヴィッド・キース、リサ・ブロント、ルイス・ゴセット・ジュニア、リサ・エイルバッチャーなど。

ストーリー
ワシントン州、シアトル。その日の朝、ザック・メイオ(リチャード・ギア)は、全裸で寝ている父バイロンと娼婦を見ながら、少年時代を思い出していた。海軍の兵曹だった父の不実をなじって母は彼が13歳の時に自殺。ザックは父の駐屯地であるフィリピンにゆき、悲惨な思春期をすごしたのだ。目覚めた父に、彼は子供の頃からの夢だったパイロットになるため、海軍航空士官養成学校に入ると告げると、父は軍隊なんかに入って苦労するのは馬鹿げたことだという。しかし、彼の決意は固く、シアトルの近くにあるレーニエ基地内の学校に入学する。彼を含め34人の士官候補生を待っていたのは訓練教官の黒人軍曹フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)のしごきであった。34名の中にはケーシー(ルイス・アイルバッチャー)のような女性もいた。女性を除いて皆丸坊主にされ、ザックはオクラホマ出身の純朴青年シド(デイヴィッド・キース)、妻子持ちの黒人ペリーマンと同じ部屋を割り当てられた。13週に及ぶ過酷な訓練が始まった。フォーリーは皆を徹底して罵倒し、ザックはメイオではなくメイヨネーズとののしられる。4週がすぎ、候補生は市民との懇親パーティーに出席することが許された。フォーリーは「娘たちは士官候補生をひっかけようと狙っているから注意しろ」という。ザックとシドは、パーティーでポーラ(デブラ・ウィンガー)とリネット(リサ・ブロント)と知りあう。彼女らは製紙工場の女工だった。そして何となくザツクとポーラ、シドとリネットのカップルが出来あがった。週末になると2組のカップルはデートした。ポーラはザックの内面の屈折した影が気になりながら、彼を愛するようになる。フォーリーは、仲間と溶けあおうとしないザックを特別しごきにしごき、任意除隊(DOR)を申請せよと迫る。ついに、極限状態に達したザックは「ここ以外に行くところがない」と叫ぶ。それを境にザックは、チームの一員として行動するようになつた。日曜日、ポーラの家に招かれたザックは、彼女の父も士官候補生だったことを聞かされる。ポーラも士官候補生をひっかけ、あわよくば玉の輿を狙っているのかも知れぬと思うザック。ザックは翌日、ポーラがかけてきた電話に出ようとしなかつた。一方、シドはリサから妊娠したと聞かされると、DORを申請。結婚指輪を持ってリサの所へかけつけた。だが、彼女は士官としか結婚しないという。ショックを受けたシドは、モテルに行き、自殺する。シドのDORを受けつけたフォーリーに、ザックは挑戦。2人は凄絶な闘いをくり広げた。やがて、卒業式の日が来た。少尉に任官したかつての候補生1人1人に敬礼するフォーリー軍曹。「君のことは忘れない」と言うザック。彼は製紙工場に入り込むとポーラを抱きあげる。背後で拍手するリサ、ポーラの母親ら。




15-20. Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!

監督 スティーヴ・ベンデラック
出演 ローワン・アトキンソンエマ・ドゥ・コーヌマックス・ボルドリーウィレム・デフォーカレル・ローデン
2007年・イギリス (東宝東和)

解説
英国の人気テレビシリーズを映画化した第2弾。おなじみ“変なおじさん”ビーンが、至るところでトラブルを起こしながらフランスを縦断する、ロード・ムービー風のコメディ。

ストーリー
ある日、くじ引きの賞品でビデオカメラ&南仏カンヌでのバケーションを当てたミスター・ビーン(ローワン・アトキンソン)。高速列車で映画祭開催中のカンヌへ向かう道中、ロシアの映画監督エミール・ドヘスフスキー(カレル・ローデン)と知り合うが、ビーンのせいでエミールは途中の駅で置いてきぼりにされてしまう。車中でエミールの息子ステパンと一緒になったビーンは、後から来るはずのエミールを待つために途中下車する。しかし、後から来た列車は急行。エミールは2人を追い越してしまう。さらに、切符も財布もなくしたビーンはステパンとともに列車からつまみ出されてしまう。途方にくれた2人は、道行く人にでたらめなダンスを披露してカンヌまでのバス代を稼ぎだす。が、またもやビーンはバスの切符を紛失。ステパンとも離れ離れになってしまう。やむなく自転車、ヒッチハイクなどでカンヌを目指すものの、くたびれて途中の村で一休み。そこでビーンはカンヌ映画祭に向かう途中のアメリカ人映画監督、カーソン・クレイ(ウィレム・デフォー)と出会う。そして、クレイの作品に出演している女の子、サビーヌ(エマ・ドゥ・コーヌ)と一緒にカンヌへ向かうことに。途中でステパンとも再会し、3人は夜を徹して南へ車を飛ばす。ようやくカンヌに到着した一行だったが、先に到着したエミールがビーンを誘拐犯として警察に通報していたため名乗り出ることができない。ビーンとステパンはやむなくサビーヌの家族に変装して会場にもぐりこむ。ちょうど上映中だったクレイの新作“お芸術映画”にイタズラして、ビーンが撮影したビデオを上映してしまう。カンカンになって追いかけるクレイ。逃げるビーン。2人のせいで会場は大混乱に陥る……。




15-21. カンパニー・メン

監督 ジョン・ウェルズ
出演 ベン・アフレックトミー・リー・ジョーンズクリス・クーパーケヴィン・コスナーローズマリー・デウィット
2010年・アメリカ (日活)

解説
リストラを言い渡されたサラリーマンたちの挫折と再生を描く人間ドラマ。ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナーの4人のアカデミー賞スターが結集。「ER 緊急救命室」など人気テレビシリーズを手がけたジョン・ウェルズ監督のもと、それぞれが個性を生かした味わい深い演技を披露。

ストーリー
ボビー・ウォーカー(ベン・アフレック)は、ボストンに本社を構える総合企業GTX社のエリート社員。37歳にして販売部長の座に就いた彼は12年のサラリーマン人生で大邸宅に住み、ポルシェを乗りまわしゴルフに興じる生活を築きあげた。だが2008年9月15日のリーマン・ショックに端を発する不況の中、GTX社は大規模なリストラを敢行。6万人の全従業員のうち3000人が解雇を言い渡され、その中にボビーも含まれていた。彼に支給された解雇手当は12週間分。その間に新しい仕事を見つけなければ、妻のマギー(ローズマリー・デウィット)も2人の子供たちも路頭に迷ってしまう。ボビーは早速翌日から就職支援センターに出向き、職探しを始める。現実的なマギーは、自分もパートで働くことや家の売却を提案するが、エリートのプライドを捨てきれないボビーは聞く耳を持たない。しかし彼に仕事のオファーはなく、家のローンもゴルフ場の会費も払えない状態が続いた。一方、GTX社造船部門の重役ジーン・マクラリー(トミー・リー・ジョーンズ)は、自分の出張中にリストラを行った最高経営責任者ジェームズ・サリンジャー(クレイグ・T・ネルソン)に対して苦々しい思いを募らせながらも、浪費家の妻との生活を維持するためイエスマンにならざるをえなかった。現実逃避の場を求めるように人事部門責任者のサリー・ウィルコックス(マリア・ベロ)と情事を重ねるジーン。そんな中、GTX社で再び5000人のリストラが行われた。その中のひとり、フィル・ウッドワード(クリス・クーパー)は、溶接工から重役にのし上がった勤続30年のベテランだった。納得のいかないフィルは、上司であり昔からの仕事仲間でもあったジーンに詰め寄るが、ジーンも解雇されたひとりであった。同じ頃、ポルシェも家も手放すことになったボビーは、マギーの兄で小さな工務店を営むジャック・ドーラン(ケヴィン・コスナー)に「働かせてくれ」と頭を下げていた……。




15-22. ハムレット(1990)

監督 フランコ・ゼフィレッリ
出演 メル・ギブソングレン・クローズポール・スコフィールドアラン・ベイツイアン・ホルム
1990年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
デンマークの王子ハムレットの苦悩を描くヒューマン・ドラマ。ウィリアム・シェイクスピアの原作の映画化で、脚本はクリストファー・デ・ボアとフランコ・ゼフィレッリが共同で執筆。製作はデイソン・ラヴェル、監督はフランコ・ゼフィレッリ、撮影はリチャード・マーダン、美術はダンテ・フェレッティが担当。出演はメル・ギブソン、グレン・クロース、ポール・スコフィールド、アラン・ベイツ、イアン・ホルム、ヘレナ・ボナム・カーターなど。

ストーリー
中世のデンマーク。敬愛する父であり国王が死に、後を継いだ弟クローディアスによって、愛する母ゲートルードまで奪われた王子ハムレットは悲しみと絶望に打ちひしがれていた。ある夜、ハムレットの前に父の亡霊が現れ、自分は弟クローディアスに毒殺されたと告げる。復讐を誓い、その日から狂人を装うハムレットに父ポローニアスを殺された恋人のオフィーリアは次第に正気を失い、川に転落して死んでしまう。オフィーリアの兄レアティーズはハムレットを父と妹の仇と思い、クローディアスと組んでハムレットを毒殺しようとするのだった。




15-23. モリエール 恋こそ喜劇

監督 ロラン・ティラール
出演 ロマン・デュリスファブリス・ルキーニリュディヴィーヌ・サニエラウラ・モランテエドワール・バエル
2007年・フランス (セテラ・インターナショナル)

解説
17世紀のフランスで多くの喜劇作品を残した劇作家・モリエール。売れない俳優だった彼が喜劇王と呼ばれるようになっていくその半生を涙とユーモアたっぷりにつづる伝記ドラマ。

ストーリー
1644年のパリ。装飾業者の父を持つモリエール(ロマン・デュリス)は、仲間とともに演劇に熱中する22歳の青年だった。後に『タルチュフ』や『人間嫌い』などで喜劇王として成功するが、この頃の彼はそんな名声からはほど遠い、駆け出しの役者に過ぎなかった。だが、仲間たちと意気込んで旗揚げした劇団は、志に演技力が追いつかない上に、設立当初からの経営難もあって破産の危機に瀕する。債権者に訴えられたモリエールは、二度も投獄の憂き目に会うが、二度目の釈放の後、忽然と姿を消す。その後の彼に何が起こったのか?すべての伝記で空白になっているこの数ヶ月間のモリエールの姿を追う。そこには、彼が遭遇した奇妙な冒険と、マダムとの秘められた恋があった……。





15-24. NEXT ネクスト

監督 リー・タマホリ
出演 ニコラス・ケイジジュリアン・ムーアジェシカ・ビールトーマス・クレッチマントリー・キトルス
2007年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ)

解説
ニコラス・ケイジ主演によるSFスリラー。“2分先”の未来を予知できる力を持つ男が、アメリカに危機をもたらす核爆弾テロを止めようと、ハイテンションな追激戦を繰り広げる。

ストーリー
クリス・ジョンソン(ニコラス・ケイジ)は、自分に直接関係のある2分先の未来を見ることができる。そのことを周囲に隠しながら生きているクリスだったが、そんな彼にもってこいの職業がラスベガスのマジシャンであった。二流のショーは満場になることもない。しかし、余分な金が必要な時はブラックジャックで稼ぐことができた。ある夜、いつものようにひと稼ぎして、カジノの換金所で現金を受け取っていたクリスは、今歩み寄ってくる男が強盗をする2分先の映像を見る。クリスは反射的にその男を暴力で阻止するが、他人の目には、一方的に男を攻撃したクリスが悪いということになってしまう。なんとか逃げ帰ったクリスに、カリー・フェリス(ジュリアン・ムーア)というFBI捜査官が訪ねてきた。ロサンゼルスを核兵器によって爆破しようとしているテロリストの陰謀を阻止するために、クリスに協力してほしいという。しかし、クリスはそんな面倒なことに関わるつもりは全くなかった。そんな折、時々彼の頭をよぎっていた女性リズ(ジェシカ・ビール)にようやく出会うことができたクリスは、喜びに胸をときめかせる。しかし、お互いに恋心が芽生えるようになった頃、カリーがリズに近づいてくる。リズを巻き込みたくないクリスは、自分の能力をリズに告白、再会を約束して彼女をひとりで逃がす。そんな中、カリーはクリスを捕まえ、テロリストの行動を読めと強引に迫る。突然、クリスの頭に、テロリストに捕らえられたリズの姿が映った。クリスの頭に浮かぶイメージをもとに、カリー率いるFBIは場所を特定。彼らはロサンゼルスへ向かった……。




15-25. 西部悪人伝

監督 フランク・クレイマー
出演 リー・ヴァン・クリーフウィリアム・バーガーフランコ・レッセルリンダ・ベラスペドロ・サンチェス
1970年・イタリア (ユナイト)

解説
“西部のジェームズ・ボンド”とも言うべきガン・マン、サバタのガン・ファイト。製作は 「サテリコン」 のアルベルト・グリマルディ、監督は 「ヘラクレスの怒り」 のフランク・クレイマー(本名ジャンフネンコ・パロリーニ)、脚本はフランク・クレイマーとレナート・イッツォの共作。撮影はサンドロ・マンコーリ、音楽はマルチェロ・ジョンビーニがそれぞれ担当。出演は 「地獄の戦場コマンドス」 のリー・ヴァン・クリーフ、 「豹/ジャガー」 のフランコ・レッセル、ほかにウィリアム・バーガー、リンダ・ベラス、ペドロ・サンチェス、ジャンニ・リッツォ、アントニオ・グランドリ、ニック・ジョーダンなど。テクニカラー、テクニスコープ。

ストーリー
闇に沈む西部の町ドハティに、精悍な顔付に孤独のかげりをみせる男、サバタ(L・V・クリーフ)が表われた。酒場に足をとめた彼が、そこの主人ファーグスン(A・グランドリ)のいかさまを見破っている時、銀行強盗現わるの報が入って来た。それと同時に、サバタの姿が消えていた。翌朝、多くの死体と無傷の金庫をもって、彼は町へ戻ってきた。警備隊長は彼に賞金を渡し、盗賊団をあくまで追求すると宣言。この時、この町の有力者、大牧場主ステンゲル男爵(F・レッセル)、オハラ判事(G・リッツォ)、ファーグスンたちの顔色が青ざめたのを、サバタは見逃さなかった。この彼に惚れこんだメキシコ人カリンチャ(P・サンチェズ)と相棒のインディオ(N・ジョーダン)が、子分になった。そのころ、サバタと面識のあるらしい旅ガラスのバンジョー(W・バーガー)が、この町に腰をすえていた。やがて、強盗事件の生き証人は、すべて消された。しかし、サバタは証拠の馬車を握ってしまった。そこでステンゲルは次々と殺し屋を送り、証拠隠滅を計ったが、サバタは何なくその刺客を片づけてしまうのだった。あせったステンゲルは、その仕事を、バンジョーに依頼した。彼がいつも持ちあるいているバンジョーにしこんだショットガンで、五人のガンマンを倒したのを知ったためだった。ステンゲルを脅し、六万ドルを受けとるためバンジョーを同行して出かけたサバタは、バンジョーの裏切りで、あやうく命を落しそうになったがその場を切り抜け、二人の手下をしたがえ、ステンゲル邸に侵入した。そこで、見事に、ファーグスンとステンゲルを倒した。そしてサバタは、残るオハラ判事に、自分とバンジョーの決闘に、六万ドルを賭けさせた。むかい合う二人。意外にも銃弾に倒れたのはサバタだった。カリンチャがなきながら遺体を馬車につみこむと、六万ドルを手にして上気嫌でバンジョーは、馬車を奪って立ち去った。やがて人里離れた場所に来た時、突然、銃声がひびき、バンジョーの手からカバンが落ちた。荷馬車に死んだはずのサバタが立っていた。バンジョーは敗れた。サバタは追って来たカリンチャたちに札束を投げ与えると、のこりの軍資金を手に、また、いづこともなく去って行った。




15-26. ボビー (吹替)

監督 エミリオ・エステヴェス
出演 アンソニー・ホプキンスデミ・ムーアシャロン・ストーンイライジャ・ウッドリンジー・ローハン
2006年・アメリカ (ムービーアイ)

解説
アンソニー・ホプキンス、シャロン・ストーンら豪華キャストが集結した群像劇。1968年のロバート・F・ケネディ大統領候補暗殺事件が発生した、とあるホテルの出来事を追う。

ストーリー
<ロビー>元ドアマンのジョン・ケイシー(アンソニー・ホプキンス)とかつて同僚だったネルソンは1階ロビーでチェスを楽しんでいる。ボビーの来訪で周囲が騒がしくなった夜、遂に時代の寵児が到着する。現れたその男にジョンは声をかける。「ようこそ、ケネディ上院議員!」。<キッチン>マネージャーのティモンズ(クリスチャン・スレーター)が従業員たちの仕事ぶりに目を光らせる。ケネディ上院議員が来訪する大事な夜なのだ。深夜、演説を終えたボビーがそこを通るが。 <選挙活動>ケネディ上院議員の大統領選を支える若い側近のウェイド(ジョシュア・ジャクソン)とドウェイン(ニック・キャノン)はカリフォルニア予備選州の結果が気になって仕方がない。ケネディ圧勝の知らせに沸き立つ陣営。2人は限界警備のなか、“勝利のスピーチ”をするためにホテルに到着するボビーを待つ。<チャペル>10代のダイアン(リンジー・ローハン)はその夜、ボビーが遊説に訪れるこのホテルのチャペルで、ウィリアム・エイバリー(イライジャ・ウッド)と結婚するのだ。<スイート・ルーム>社交界の名士ジャック・スティーブンスは、若い妻のサマンサ(ヘレン・ハント)を伴い、このホテルにチェックインする。2人は夜、正装してパーティに臨む。<美容室>ミリアムはホテル付けの美容師。夫の不実にうすうす感づいているミリアムだが、その日美容室にやって来た花嫁になるダイアンや、ボビーの前座として歌を歌う歌手のヴァージニア(デミ・ムーア)の悩みを聞かされる立場でもある。ミリアムは親身になってアドバイスをおくる。<舞台裏>ヴァージニア・ファロンはボビーが“勝利のスピーチ”をするそのパーティで前座として往年のヒット曲を歌う栄誉に浴するが、精神状態はどん底だった。<ボール・ルーム>そして、ボビーによる“勝利のスピーチ”が始まった。彼らはそのとき、いったい何を目撃したのか……。




15-27. バンク・ジョブ

監督 ロジャー・ドナルドソン
出演 ジェイソン・ステイサムサフロン・バロウズリチャード・リンターンスティーヴン・キャンベル・ムーアダニエル・メイズ
2008年・イギリス (ムービーアイ)

解説
1971年にロンドンで実際に起こった大事件を映画化したクライム・サスペンス。しがない強盗団が実行した犯罪が英国政府や王室をも震撼させていく過程をスリリングに描出する。

ストーリー
1971年9月のある日曜日。ロンドンのベイカー・ストリートにあるロイズ銀行が襲われる。強盗団がトンネルを掘って、銀行の地下にある貸金庫に侵入したのだ。彼らは数百万ポンドにも及ぶ現金と宝石類を強奪し、行方をくらませる。テリー(ジェイソン・ステイサム)ら犯人たちの手がかりはあったが、ロンドン警視庁は結局なにも見つけられず、誰ひとり逮捕することもできなかった。事件は連日、トップニュースとして報じられる。しかし数日後、突如すべての報道が打ち切られる。イギリス政府が、歴史上数回しか発したことのない“D通告・国防機密報道禁止令”を発令したためである。なぜなら犯人たちが強奪した金品の中に、イギリス最大のタブーである王室スキャンダルの証拠となる、英国王女のスキャンダル写真が含まれていたのだ。また、そのほかにも、政府高官や裏社会の顔役、汚職警官らが預けていた、決して公にすることのできない秘密の証拠もあった。こうして、実は寄せ集めの小悪党集団にすぎなかった7人の実行犯たちは、筋金入りのプロの刺客に狙われるようになる。1人、また1人と犯人たちは追いつめられ、強奪した“秘密”を巡る、命を懸けた駆け引きが繰り広げられる。




15-28. 恋におちて

監督 ウール・グロスバード
出演 ロバート・デ・ニーロメリル・ストリープハーヴェイ・カイテルジェーン・カツマレクジョージ・マーティン
1984年・アメリカ (ユニヴァーサル映画) 分

解説
ニューヨークを舞台に互いに夫、妻をもつ男女の愛を描く。製作はマーヴィン・ワース、監督は 「告白」 のウール・グロスバード、脚本はマイケル・クリストファー、撮影はピーター・サシツキー、音楽はデーヴ・グルーシン、編集はマイケル・カーンが担当。出演はロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、ハーヴェイ・カイテル、ジェーン・カツマレク、ジョージ・マーティンなど。日本版字幕は戸田奈津子。イーストマンカラー、ビスタサイズ。1984年作品。

ストーリー
ニューヨーク郊外のウエストチェスターから通勤者たちを乗せた満員の列車に、モリー・ギルモア(メリル・ストリープ)がアーズレイ駅から乗り合わせていた。もう1人、フランク・ラフティス(ロバート・デ・ニーロ)が、ダブス・フェリー駅から乗った。モリーはグラフィック・アーチストで、重病に瀕している父のジョン(ジョージ・マーティン)を看病するために、マンハッタンに通っていた。夫のブライアン(デイヴィッド・クレノン)は医者として成功していたが、モリーとの夫婦生活は順調とはいえない。一方、フランクは建築技師で、妻のアン(ジェーン・カツマレク)と息子たち(ウィリー・アール、ジェシー・ブラッドフィード)に対して変わらぬ愛情を捧げていた。通勤電車が、グランド・セントラル駅に到着し、フランクもモリーも、それぞれの目的を終えると、クリスマス・プレゼントを買うために有名なリゾート書店に足を向けた。買物を終えた2人は身体がぶつかり、買物包を床にまき散らしてしまった。お互いの包みを拾って、笑いながら別れた二人だったが、家に帰って包みを開いて、それが相手のものであることに気づいた。モリーとフランクは、通勤電車の中で、偶然に再会した。クリスマスの時のヘマを互いに笑う2人。そのまま別れたが、互いに心に残るものを感じていた。その夜、ウエストチェスターへ帰る通勤列車の中で、フランクはモリーを探し回り、ようやく彼女を見つけ、これからは、いつも同じ列車に乗ろうと提案した。翌日も朝の列車で乗り合わせた2人は、ランチもいっしょに食べることになった。それからというもの、2人はデートを重ねた。しかし、あくまで精神的なもので、お互いの身の上話しなどが中心であった。やがて、2人の想いは、だんだん抑えきれないものになっていった。フランクはテキサス州のヒューストンに1年間出張する仕事を依頼され迷っていた。モリーは、父親の病状も夫との家庭生活も悪化していた。そんな中、フランクは、2人のためにマンハッタンにアパートを借りた。しかし、モリーは、フランクと体を重ねることができない。2人は押し黙ったまま家路についた。その日、モリーは、父の死の知らせを聞いた。一方、アンは、フランクのよそよそしい態度に感づき、問い正した。モリーとの関係を白状すると、アンは、フランクのもとを去った。フランクがヒューストンに立つ日、モリーに電話するが、夫のブライアンが阻み、フランクは1人で出発する。それから1年、またクリスマスの季節がやってきた。運命に操られるかのように、2人は、あのリゾート書店で再会するのだった。




15-29. マダガスカル

監督 トム・マクグラス
出演 
2005年・アメリカ (アスミック・エース)

解説
都会育ちの動物たちが、未知の大自然に流れ着いてサバイバルを展開。愛らしい動物キャラの冒険と友情をコミカルに描き、全米で大ヒットした長編アニメだ。

ストーリー
ニューヨークのセントラル・パーク動物園の人気スターである、ライオンのアレックス(声=ベン・スティラー)、シマウマのマーティ(声=クリス・ロック)、キリンのメルマン(声=デイヴィッド・シュウィンマー)、カバのグロリア(声=ジェイダ・ピンケット・スミス)は仲良し4頭組。マーティは自分の知らない外の大自然に思いを馳せていたが、そんなある日、10歳の誕生日を迎えた彼は、偶然、4匹のテロリストのペンギンたち(声=トム・マクグラスほか)が動物園からの脱走を試みていることを知る。それに刺激されたマーティは軽い気持ちで脱走するが、彼がいないことに気づいた3頭の仲間たちは心配して都会に向かう。だがグランド・セントラル駅で、4頭は人間に捕らえられてアフリカ行きの船に乗せられてしまった。そしてペンギンたちがその船を乗っ取って壊したため、4頭は漂流し、マダガスカル島の砂浜に漂着。彼らはキツネザルのキング・ジュリアン(声=サシャ・バロン・コーエン)、モーリス(声=セドリック・ジ・エンターテイナー)たちの歓迎を受ける。マーティは野生を満喫し、メルマンとグロリアも次第に自然に馴染み出すが、ステーキ肉しか食べたことのないアレックスだけは空腹が治まらない。やがて親友たちまでステーキ肉に見えてきてしまうアレックス。共存の危機が迫るが、そこに助けの船が現われる。4頭は都会へ帰る結論を出し、アレックスはペンギンの調理した寿司を気に入るのだが、なぜか乗り込んだ船が動かないのだった。








15-30. グレート・レース

監督 ブレイク・エドワーズ
出演 ナタリー・ウッドトニー・カーティスジャック・レモンピーター・フォークドロシー・プロバイン
1965年・アメリカ (ワーナー・ブラザース) 160分

解説
「暗闇でドッキリ」 のブレイク・エドワーズがシナリオを執筆、自ら監督したアクション・コメディ。撮影は 「男性の好きなスポーツ」 のラッセル・ハーラン、音楽は 「シャレード」 などのヘンリー・マンシーニが担当した。ナタリー・ウッドの衣装デザインをイーディス・ヘッド(アカデミー賞7回受賞)が行なった。出演は 「求婚専科」 で絶妙のコンビぶりを見せたナタリー・ウッド、トニー・カーティス、 「あなただけ今晩は」 のジャック・レモン、 「おかしな、おかしな、おかしな世界」 のドロシー・プロバイン、 「キッスン・カズン」 のアーサー・オコンネル、 「博士の異常な愛情」 のキーナン・ウィン、 「求婚専科」 のラリー・ストーチ、 「追跡(1962)」 のロス・マーティンほか。製作はマーティン・ジュロー。

ストーリー
20世紀初頭。ニューヨーク・パリ間の自動車大レースを思いたった男たちがいた。対抗意識の強いレスレー( トニー・カーティス) とフェイト(ジャック・レモン)で、いつもみじめな思いをするフェイトは、こんどこそ、と悪知恵をかけて大ハリキリ。ところで、マギ( ナタリー・ウッド) という、ある新聞の取材記者を買って出た男まさりが参加者に加わった。抜け目のないフェイトがレスリー以外の参加者を原因不明の爆発事故でフッ飛ばした。彼女は同僚のヘゼカイア( キーナン・ウィン) とレスリーの車に同乗することになった。レースはスタート。一行が着いた西部のある町では、フェイトのヤリ口も悪辣になり、レスリーをリリー( ドロシー・プロバイン) とその恋人との三角関係にまき込ませ、ひと思いに放火した。その後もガソリンをなくして馬に引かせるレスリー、河を渡ろうと、水浸しになるフェイト、……坂の多いサンフランシスコ、零下40度の猛吹雪の中を珍レースを展開、ロシアに着いた。大歓迎である。キュスター将軍(ジョージ・マクレディ)に迎えられたレスリーとフェイトとヘゼガイアは、皇太子を紹介されてフェイトと瓜二つなのにおどろいた。フェイトは国を乗っとろうという悪男爵のために偽皇太子にされそうになるが、マギらの助力で事件を解決させた。2台の車はパリへ向かってフランスを走る。が、恋仲になったレスリーとマギが痴話ゲンカを始め、ゴール寸前で仲直りしたものの、フェイトの車が追い抜いた。今度は彼が承知しない。ワザと勝たせたんだ、インチキだと。やり直しをすることになった。新婚気分のレスリーとマギ、掛け値なしの勝利を狙うフェイト。さて栄冠はどちらに、再びレースがはじまった。




15-31. ファインディング・ニモ

監督 アンドリュー・スタントン
出演 
2003年・アメリカ (ブエナ ビスタ)

解説
「モンスターズ・インク」 のディズニーとピクサーによる感動のアニメーション。ダイバーにさらわれた息子を助ける冒険に出たカクレクマノミの姿をユーモラスに描いている。

ストーリー
オーストラリアのグレート・バリアリーフ。イソギンチャクの新居に住むマーリンと妻のコーラルは、やがて孵化する400個の卵を守りながら幸福にひたっていた。その時突然、凶暴なバラクーダが彼らに襲い掛かる。マーリンは気を失い、気がついたときにはコーラルの姿もなかった…。そんな中、たった一つだけ、傷つきながらも助かった卵があった。マーリンはこの子に“ニモ”と名づけ、「お前だけは何があっても守り抜く」と誓う。ニモは元気に成長していくが、ある日、人間のダイバーにさらわれてしまう。マーリンは陽気なナンヨウハギ、ドリーの助けを借りて、ニモを取り戻す旅へ出る……。




15-32. トスカーナの休日

監督 オードリー・ウェルス
出演 ダイアン・レインサンドラ・オーリンジー・ダンカンラウル・ボヴァヴィンセント・リオッタ
2003年・アメリカ (ブエナ ビスタ) 113分

解説
イタリア・トスカーナ地方の美しい自然を背景に、夫の裏切りですべてを失った女性の心の再生を描いた人生賛歌。 「運命の女」 のダイアン・レインがヒロインを好演。

ストーリー
離婚のショックから立ち直るため、イタリアのトスカーナ地方を旅行で訪れたサンフランシスコの女性作家フランシス(ダイアン・レイン)。 “ブラマソーレ(太陽に焦がれる者)”という名を持つ築300年の荒れ果てた家を衝動買いしてしまった彼女は、いつ終わるとも知れない家屋の修復にのめり込む内に、トスカーナの住人としてこの地に溶け込んでいく。ユニークで愛すべき隣人たち、明るい光に包まれた絵のような風景、心まで満腹にするスロー・フード。人生をキラキラと輝かせるイタリア的ライフ・スタイルは、魔法のように少しずつフランシスの心を癒してゆき……。




15-33. ホワイト・プラネット

監督 ティエリー・ピアンタニダ
出演 
2006年・フランス、カナダ (東北新社=コムストック オーガニゼーション)

解説
“北極”を舞台にしたネイチャー・ドキュメンタリー。ホッキョクグマやアザラシなど、氷に閉ざされた極寒の地で暮らす動物たちの生態や、自然の神秘を捉える。

ストーリー
地球の北の果て、<白い惑星>北極を長い冬が襲う。ホッキョクグマが巣籠もりをする時が来た。雪を削って作った巣穴で、メスグマは2頭の子どもを産み落とす。手のひらよりも小さな子グマたち。北極の“長い夜”はふけ、オーロラが天空で舞い踊っている。3月、太陽が戻ってきた。世界は生まれ変わり、母グマと子どもたちは、外界へと跳び出す。母親は、真っ暗闇の中で100日間も何も食べずに、乳を与え続けてきた。光が戻ってくると、北極は生きるための闘いの場へと姿を変える。オスグマが臭いをかぎつけて近づいてきた。彼は子グマをエサとしか思わない。危険を悟った母グマは用心深くその場を離れようとする。厚い氷に覆いつくされた氷原ではメスのタテゴトアザラシが子育てにいそしみ、氷の割れ目ではズキンアザラシのオスが鼻の袋を膨らませて縄張りを主張する。そして、北極に白夜が訪れる。ホッキョクグマたちにとっては、短い狩の季節だ。6月、太陽がゆっくりと北極を温める。海を閉じ込めていた氷の殻が割れ、すさまじい音をたて、氷の塊が積みあがり、衝突し、破壊されていく。シロイルカやカリブーは繁殖期を迎える。多くの生命に輝きをあたえる夏も、ホッキョクグマにとっては大敵だ。見る見るうちに氷が消え、クマの狩場は失われてしまう。地球の温暖化が進む中、早春には氷がとけ、晩秋まで氷が張らない。ほんの僅かの栄養で生き延びる期間が長くなってしまった。9月、太陽が沈み始める。鳥たちの旅立ちが北極に夏の終わりを告げ、海がゆっくりと凍り始める。母グマは子どもたちとの別れの時がきたことを悟る。成長した子グマはたったひとり、不安げに一度だけ振り向き、氷原へと足を踏み出す。




15-34. 塔の上のラプンツェル (吹替)

監督 ネイサン・グレノ
出演 マンディ・ムーアザカリー・リーヴァイドナ・マーフィブラッド・ギャレットロン・パールマン
2010年・アメリカ (ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン) 101分

解説
グリム童話の髪長姫をモチーフにした、ディズニー発の新たなヒロインが登場。お尋ね者の大泥棒との出会いから、見知らぬ世界へと足を踏み出していくヒロインの冒険が繰り広げられるアドベンチャー。世渡り上手な泥棒と、世間を知らなすぎる主人公が次から次へとおかしな騒動を巻き起こすさまを、ディズニー伝統の手法を用いて描く。

ストーリー
深い森に囲まれた高い塔の上に暮らすラプンツェル(声:マンディ・ムーア)は、母親から「塔の外は“恐ろしい世界”だから決して出てはならない」と言われ続け、18年間一度も塔の外に出たことがなく、母親以外の人間にも会ったことがない。しかし、好奇心旺盛なラプンツェルは、塔の外の世界を見たいといつも願っていた。黄金色に輝く驚くほど長い髪を持つ彼女は、その髪を自由自在に操り、ある時は高いものを取るロープ代わりに、またある時は母親が塔を上り下りするエレベーターとして使用していた。そんな彼女の楽しみは、毎年自分の誕生日に遠くの空に浮かぶ神秘的な“灯り”を見ること。その不思議な光に魅了されたラプンツェルは、成長するにつれ、その正体を確かめたい気持ちが高まっていった。18歳になる誕生日の前日、ラプンツェルはその思いを母親に伝えるが、いままで以上に厳しく険しい口調で塔の外に出ることを禁じられる。そんな時、お尋ね者の大泥棒フリン(ザカリー・レヴィ)が追手を逃れて塔に侵入、ラプンツェルは彼を“魔法の髪”を狙う悪人だと考え、長い髪を巧みに使って捕らえてしまう。そしてフリンが盗んだ王冠を取り上げ、交換条件として“灯り”の場所まで案内させることに……。初めて塔の外に出たラプンツェル。そこは、母が言うような恐ろしい世界ではなく、美しい自然にあふれ、街にはたくさんの人々が楽しそうに暮らしていた。フリンとふたりで旅を続け、いくつもの危機を乗り越えていくうちに、ラプンツェルの心に淡い恋が芽生えていく。だがその旅の先には、彼女自身の秘密を解き明かす、思いもよらぬ運命が待ち受けていた……。




15-35. サブウェイ・パニック

監督 ジョセフ・サージェント
出演 ウォルター・マッソーロバート・ショウマーティン・バルサムヘクター・エリゾンドアール・ハインドマン
1974年・アメリカ (ユナイト映画)

解説
ニューヨークの重要な交通機関である地下鉄がハイジャックされたことから起こるパニックを描く。製作はガブリエル・カッカとエドガー・J・シェリック、監督は 「白熱(1973)」 のジョセフ・サージェント、脚本はピーター・ストーン、原作はジョン・ゴディの「ペラム123」。撮影はオーウェン・ロイズマン、音楽はデイヴィッド・シャイア、編集はジェリー・グリーンバーグとロバート・Q・ラヴェットが各々担当。出演はウォルター・マッソー、ロバート・ショウ、マーティン・バルサム、ヘクター・エリゾンド、アール・ハインドマン、ジェームズ・ブロデリック、ディック・オニール、リー・ウォーレスなど。

ストーリー
ニューヨーク地下鉄構内で、今、ありえない大事件が発生した。ローカル線ペラム駅を発車した123号が4人組の男にハイジャックされ、17人の乗客と車掌一人が人質にされたのだ。ハイジャッカーは首領株のブルー(ロバート・ショウ)が管制センターとの交渉に当り、グリーン(マーティン・バルサム)、グレイ(ヘクター・エリゾンド)、ブラウン(アール・ハインドマン)の3人が見張りに立っていた。午後2時13分、ブルーは管制センターに要求を伝えた。「少額紙幣で100万ドル。期限は1時間で、それを過ぎた時は1分に1人ずつ人質を射殺する」。地下鉄公安局警部補ガーバー(ウォルター・マッソー)は、人質保護のため警官隊に発砲はおろか姿を見せてはならぬ、犯人を刺激してはならぬと厳命した。地下鉄は全線麻痺し、駅々の出入口は閉鎖された。一方、ニューヨーク市々長(リー・ウォーレス)は犯人の要求に従い、100万ドルの支払いを承知した。残された時間はあと26分。まだ100万ドルは銀行から運び出されていない。ガーバーは必死になって15分の期限延長を頼んだが、答えはノーだった。その頃地下鉄内では、柱の陰で手も足も出ない武装警官の一人が、犯人に発砲したのが原因で激しい銃撃戦が展開されていた。報復手段は直ちにとられ、車掌が人々の前で射殺された。線路にひし伏していた巡査は暗闇の中の警官に励まされ、123号に金袋を届けた。ブルーは100万ドルの金を見て、初めてポケット・ウィスキーでノドをうるおした。彼はガーバー警部補に、警戒網を解いてトンネル内から警官を一人残らず排除、トンネル内の信号を全部青にすることを命じた。コンソールの中で123号が静かに前進しはじめた。そして突如停止したかと思うと、4人んおハイジャッカーは下車し、自動ブレーキをはずして車両を疾走させはじめた。123号車の進行にしたがって大移動を開始した警戒網は正に翻弄されっぱなしだった。追跡を開始したガーバーの頭に妙にひっかかるものがあった。なぜ妙な地点で一時停止したのか?その頃、4人のハイジャッカーは構内作業用の出入口で変装を解き、最後の打ち合せを行っていた。分け前を貰えばもう用はないと反抗的態度に出たグレイはブルーに射殺された。彼らは暴走しはじめた地下鉄からヒッピー風の男が銃を手に飛び降りたのを知らなかった。たまたまその車両に乗り合わせた私服警官だった。彼はブラウンを射ち倒した。ブルーはグリーンに早く逃げろと命じ、自分は狙撃者に突進して行った。彼が私服警官を射殺しようとしたとき、背後からガーバーの声がかかった。ブルーの最後は凄絶だった。彼は逃れる術がないことを知ると、線路脇の高圧線に足を突っ込み全身煙に包まれて絶命した。





15-36. 戦争と平和 (1956)

監督 キング・ヴィダー
出演 オードリー・ヘップバーンヘンリー・フォンダメル・フェラーヴィットリオ・ガスマンジョン・ミルズ
1956年・アメリカ (パラマウント)

解説
露の文豪レオ・トルストイの不朽の名作“戦争と平和”の映画化である。伊のポンティ=デ・ラウレンティイス・プロの作品。製作は 「ユリシーズ」 のディノ・デ・ラウレンティス。脚色はブリジット・ボーランド、ロバート・ウェスタービーに伊のマリオ・カメリーニとエンニオ・デ・コンチーニさらに監督のキング・ヴィダーと5名が協力し、 「星のない男」 のヴィダーが監督している。協力監督は 「河の女」 のマリオ・ソルダーティ、撮影は英のジャック・カーディフと伊のアルド・トンティの共同。編曲は 「平和に生きる」 のニーノ・ロータ、音楽監督はフランコ・フェラーラ。出演は 「麗しのサブリナ」 のオードリー・ヘップバーン、 「ミスタア・ロバーツ」 のヘンリー・フォンダ、 「美しのロザリンダ」 のメル・ファーラーを中心に、 「ラプソディー」 のヴィットリオ・ガスマン、 「ホブスンの婿選び」 のジョン・ミルズ、 「絶壁の彼方に」 のハーバート・ロム 「地獄の翼」 のアニタ・エクバーグ、 「ガラスの靴」 のバリー・ジョーンズ、 「エディ・フォイ物語」 のミリ・ヴィターレ、 「貴女は若すぎる」 のアンナ・マリア・フェレロ、 「水爆持逃げ道中」 のオスカー・ホモルカなど。

ストーリー
19世紀初頭、帝政ロシアの物語。進歩的な青年ピエール(ヘンリー・フォンダ)はフランス革命精神の象徴としてナポレオンを尊敬し、仏軍モスクワ侵入の噂にも他のロシア国民ほど憎悪を感じられなかった。彼が親しくしているロストフ伯爵家では、長男ニコラス(J・ブレット)の出征に、伯爵(バリー・ジョーンズ)と伯爵夫人も沈んだ面持ちだが、出征はニコラスの恋人で財産を持たないソニヤ(M・ブリット)との仲を割くことにもなるので、夫人にはせめての慰めだった。ピエールの気に入りは娘のナターシャ(オードリー・ヘップバーン)。まだ女学生だが2人は兄妹のように仲が良い。ニコラスの出征を見送ったピエールは道楽者の友人ドロコフのパーティで乱チキ騒ぎ。ベズコフ伯爵の庶子である彼は、上流の人々とつき合えないのだった。だが無二の親友アンドレイ公爵(メル・ファーラー)の知らせで、危篤に陥った父の病床へ急ぐ。アンドレイは最近、妻リーゼ(ミリ・ヴィターレ)との仲が気まずく、早く戦場へ出たいと考えていた。遺言でピエールは広大な領域を受けついだが、臨終に立ち会ったクラーギン公爵は娘のヘレーネ(アニタ・エクバーグ)に彼を誘惑させようと思いつく。アンドレイは妊娠した妻を田舎の邸へ送り戦場へ赴く。厳格な父親はリーゼに気のつまる思いをさせ、内気な娘マリア(アンナ・マリア・フェレロ)は同情しつつ父への遠慮から沈黙を守っていた。ロシア軍は戦線に到着、ナターシャが将兵の奮戦ぶりを夢みている頃、ピエールはヘレーネとの結婚準備に忙殺されていた。アンドレイは総司令官クツゾフ将軍(オスカー・ホモルカ)の幕僚としてチェコの小村アウステルリッツに出陣。結果は敗戦に終わり、ニコラスは辛うじて逃げ帰り、アンドレイは負傷する。休戦条約が結ばれ、将兵はモスクワへ戻る。リーゼはお産で死に、アンドレイは一変して気難しい人間になってきた。一方、派手好きのヘレーネはドロコフを誘惑、ピエールは決闘で彼を傷つけた上、妻と別れた。ピエールはナターシャの姿を見ることだけを慰めとしていたが彼女はアンドレイと愛し合うようになった。だがアンドレイの父の反対で結婚出来ぬまま旅立つアンドレイを見送ったナターシャは、オペラでヘレーネの兄アナトール(ヴィットリオ・ガスマン)に言い寄られ、駆け落ちをすすめられる。ソニヤの知らせでピエールは彼を追い払うがアナトールを諦め得ないナターシャに、アンドレイは再び憂鬱な人間となる。休戦も終わり、ボロディノの決戦でアナトールは戦死、アンドレイは重傷を負い、今は自らの過ちを知って戦場に立ったピエールも負傷した。クツゾフの焦土戦術でロストフ家の人々もモスクワを去り、1人残ってナポレオンを刺そうとしたピエールも実行出来ぬまま仏軍の捕虜となる。アンドレイはナターシャに抱かれつつ絶命し、恋を諦めたソニヤの計らいでニコラスは、アンドレイの子供を引き取っていたマリアと結ばれる。獄中でピエールは信仰あつい農民プラトン(ジョン・ミルズ)を知る。ナポレオンのモスクワ撤退の際、プラトンは射殺されるがドロコフ指揮のコサック騎兵にピエールは救われた。11月も末、ナポレオンは完敗してパリへ逃げ戻った。モスクワに帰ったピエールの訪れた荒廃したロストフ邸では、いまは大人になったナターシャが彼を待っていた。




15-37. かぞくはじめました

監督 グレッグ・バーランティ
出演 キャサリン・ハイグルジョシュ・デュアメルジョシュ・ルーカスクリスティーナ・ヘンドリックスヘイズ・マッカーサー
2010年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画) 114分

解説
ひょんなことから一緒に赤ちゃんを育てることになった、仲の悪い独身男女の奮闘をリアルに描く子育てコメディ。テレビドラマ「ドーソンズ・クリーク」の脚本家として頭角を現したグレッグ・バーランティが監督をつとめ、「男と女の不都合な真実」などコメディエンヌとして大活躍のキャサリン・ハイグルが主演と製作を兼任する。

ストーリー
その夜、ホリー・ベレッソン(キャサリン・ハイグル)は、親友アリソン(クリスティナ・ヘンドリックス)が紹介してくれたブラインドデートの相手を待っていた。彼の名前はエリック・メッサー(ジョシュ・デュアメル)。アリソンの恋人ピーター(ヘイズ・マッカーサー)の親友だ。約束の時間から遅れること1時間、くたびれた普段着で現れたメッサーはドレスアップしたホリーにバイクの後ろに乗れと指示するが、レストランの予約はもちろん何の計画も立てていない。更に他の女からの電話でこのあと会う約束をする始末。怒ったホリーにメッサーも逆ギレ、彼らのデートは数分で終了した。「二度とあの男に会わせないで」そんなホリーの願いもむなしく、アリソンとピーターの結婚式を皮切りに夫妻のイベントには必ず二人は招待されるのだった。月日は流れ、ホリーの人生は計画通りに進んでいた。ベーカリー経営も順調でもうすぐ念願だったレストランに改装、数年後には店舗を増やす予定だ。恋愛だけは計画通りにいかなかったホリーだったが、ある日、ベーカリーの客にサム(ジョシュ・ルーカス)と名乗る彼女の理想通りの恋人候補が現れる。だが突然、アリソンとピーターが事故で帰らぬ人となり、一人娘のソフィーが遺された。夫妻は遺言でソフィーを一緒に育てる共同後見人としてホリーとメッサーを指名していた。親族に引き取り手もなく、二人は大切な親友の最後の頼みに応えることを決意、夫妻の家に引っ越す。その日から共同生活という名の闘いが始まった。ホリーはレストランの開店準備、メッサーはスポーツ番組のディレクターを目指して修行中、しかも育児に関しては経験ゼロ。上達しない子育て、メッサーの問題アリの女性関係、サムとの再会……。様々なハプニングに直面するたびに、何度も大ゲンカと失敗を繰り返し、少しずつ心を開き始める二人。そんなある夜、二人はディナーに出かけ、互いの思わぬ素顔にときめくのだが……。




15-38. アウトブレイク

監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演 ダスティン・ホフマンレネ・ルッソモーガン・フリーマンキューバ・グッディング・Jrパトリック・デンプシー
1995年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画) 分

解説
すさまじい伝染力と死亡率を持つ未知の病原体の脅威と、それに立ち向かう人々の姿を描いたパニック・サスペンス。ベストセラー・ノンフィクション 「ホット・ゾーン」(飛鳥新社刊)でも扱われたエボラ出血熱の事件をモチーフに、科学的根拠に基づくリアルでスリリングな恐怖が展開する。監督は「U・ボート」 「ザ・シークレット・サービス」 のウォルフガング・ペーターゼン。製作はペーターゼン、 「逃亡者(1993)」 「フォーリング・ダウン」 のアーノルド・コペルソンとゲイル・カッツ。脚本はローレンス・ドゥウォレットとロバート・ロイ・プールの共同。撮影は 「クイズ・ショウ」 のミハエル・バルハウス、音楽は 「ジュニア」 のジェームズ・ニュートン・ハワード、美術はウィリアム・サンデル、編集はニール・トラヴィス、リンジー・クリングマン、ウィリアム・ホイ、SFXはボス・フィルム・スタジオ、衣装はエリカ・フィリップスがそれぞれ担当。。主演は 「靴をなくした天使」 のダスティン・ホフマンと 「ザ・シークレット・サービス」 のレネ・ルッソ。共演は 「許されざる者(1992)」 のモーガン・フリーマン、 「ジャッジメント・ナイト」 のキューバ・グッディング・ジュニア、 「ディスクロージャー」 のドナルド・サザーランド、 「摩天楼を夢みて」 のケヴィン・スペイシーほか。

ストーリー
米国陸軍伝染病医学研究所(USAMRIID)のレヴェル4(最高警戒度)研究チームのリーダー、サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)は、指揮官のフォード准将(モーガン・フリーマン)に命じられ、アフリカの小さな村に派遣された。そこで彼は、未知のウイルスによって村人たちが次々と死ぬのを目の当たりにする。サムはウイルスがアメリカにまで広がる恐れがあると判断し、警戒態勢を敷くように進言するが、フォードは“モタバ・ウイルス”と名付けられたこの病原菌の研究をやめるよう命令する。その直後、カリフォルニア州のシーダー・クリークという町で、住民たちの間に伝染病が発生した。症状はサムがアフリカで目撃したものと同じだった。彼は命令を無視して町に駆けつけ、民間の研究機関である疫病管理予防センター(CDC)で働く別れた妻のロビー(レネ・ルッソ)と共にウイルスの制圧に取り組み、ペストよりも確実に死がもたらされるという絶望的な事実を知る。陸軍から提供された血清が、ウイルスに感染した猿に劇的な効果を与えた。発見されたばかりのウイルスに効く血清をなぜ陸軍が持っていたのか、不審に思ったサムは驚くべき事実を知る。モタバ・ウイルスは60年代に米国陸軍が参加したアフリカでの局地戦の際に発見され、陸軍幹部マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)によって採取され、生物兵器として使用するためにひそかに保管されていたのだ。しかし、ウイルスは突然変異を遂げており、猿を回復させた血清は人間には効かなかった。サムは部下のソルト少佐(キューバ・グッディング・ジュニア)と共に、最初にウイルスをもたらした“宿主”がアフリカで密猟された猿であることを突き止める。その頃、少将は生物兵器の事実を隠すため、かつてアフリカで行ったのと同じようにシーダー・クリークの町を焼き払おうと画策していた。そんな時、ロビーが誤ってウイルスに感染する。猿の居場所を突き止めたサムとソルトは軍用ヘリコプターを奪って現地に向かうが、マクリントックもヘリコプターで追跡する。ヘリの追撃をかわしたサムたちは、捕まえた猿で血清を作り、ロビーに試す。だが、既に気化爆弾を搭載した爆撃機は出撃していた。ヘリに乗ったサムは無線で爆撃機の乗組員に真実を訴え、爆撃を中止するよう懇願する。乗組員たちはサムの訴えを聞き、爆弾を海上で爆破させた。正義と責任感に目覚めたフォードは、マクリントリックを逮捕する。血清は大量に合成され、ロビーをはじめとする感染者たちは快方に向かった。サムとロビーはもう一度やり直そうと微笑みあった。




15-39. 長い灰色の線  

監督 ジョン・フォード
出演 タイロン・パワーモーリーン・オハラロバート・フランシスドナルド・クリスプワード・ボンド
1954年・アメリカ (コロムビア映画会社) 138分

解説
「フォルウォスの黒楯」 のロバート・アーサーが製作し、 「コレヒドール戦記」 のジョン・フォードが監督するシネマスコープで、ウェスト・ポイント陸軍士官学校を舞台としたマーティ・マーの自伝を映画化したものである。脚色はエドワード・ホープ。テクニカラー撮影は 「彼等は馬で西へ行く」 のチャールズ・ロートン・ジュニア、音楽は 「殺人者はバッジをつけていた」 のモリス・W・ストロフ。 「壮烈カイバー銃隊」 のタイロン・パワーと 「マラガ」 のモーリン・オハラが主演し、以下 「彼等は馬で西へ行く」 のロバート・フランシス、 「愛の決断」 のドナルド・クリスプ、 「ホンドー」 のワード・ボンド、テレビ女優ベッツィ・パーマー、 「彼等は馬で西へ行く」 のフィル・ケイリーらが出演する。

ストーリー
ウェスト・ポイントの体育助教として50年間勤めて来たマーティ ・マー軍曹(タイロン・パワー)は、辞職命令に不服で、その撤回を旧友の大統領のところへ頼みに行き、昔の思い出話をする。――1903年、アイルランドからやって来たマーティ青年は、ウェスト・ポイントの給仕に雇われたが、失敗ばかりしていた。やがて、兵に志願してウェスト・ポイント勤務隊に配属され、体育主任ハーマン・ケーラー大尉に見出されて体育助教となった。そしてケーラー家の女中のアイルランド娘メアリー・オドンネル(モーリン・オハラ)と結婚した。マーティはいずれアイルランドへ帰るつもりだったが、次第にウェスト・ポイントに愛着を感じて行った。妻メアリーはマーティには内密に、彼の父と弟をアイルランドから呼び寄せた。弟がニューヨークで成功し一緒に仕事をしようと誘われたときも、やがて生れる子供をウェスト・ポイントに入学させたいと思って断った。男子が生れた。しかし、候補生たちが祝福してくれたのも束の間、その子は不幸にも死んだ。自棄になったマーティは酒に溺れたが、候補生たちの温かい忠告に自己をとり戻すことが出来た。レッド・サンドストロムという候補生が成績不良に悩んでいたのを、やさしく慰めて、学校の先生をしているキティ・カーター(ベッツィ・パーマー)を相談相手に与えてやった。この間にもウェスト・ポイントからはマックアーサー、スティルウェル、ブラッドリー、ストライトマイア、ウェンライト、ヴァンフリート、アイゼンハウアなどが卒業して行った。第一次大戦が始まった。レッドは優秀な成績で卒業し、キティと結婚したのち出征した。大戦は勝利に終わったが、レッドは戦死し、キティは幼児を抱えて未亡人となった。レッド・ジュニア(ロバート・フランシス)はマーティ夫妻の庇護の下に成長し、1938年ウェスト・ポイントに入学した。だが、卒業間際女性とのことで間違いを起こし、自省ののち自ら退学して折からの第二次大戦に一兵卒として参加した。メアリーは安らかに生涯を終えた。残されたマーティは淋しかったが、彼の周りにはいつも若い候補生たちがいた。それが彼の生甲斐だった。――マーティの話は終わった。大統領はドットスン中将(フィル・ケイリー)に善処を依頼した。中将とマーティがウェスト・ポイントへ帰ると、マーティを待っていたのは彼へはなむけのウェスト・ポイント全員の大分列式だった。思い出深い行進曲を胸にかみしめながら、マーティ老軍曹は感動の涙を拭うのだった。




15-40. (500)日のサマー

監督 マーク・ウェブ
出演 ジョゼフ・ゴードン=レヴィットズーイー・デシャネルジェフリー・エアンドクロエ・グレース・モレッツマシュー・グレイ・ガブラー
2009年・アメリカ (20世紀フォックス映画) 96分

解説
正反対の恋愛観を持った男女の恋模様を描くラブコメディ。恋した女性に振り回される繊細な青年のリアルな心情を、カラフルな映像やポップミュージックとともに映し出す。

ストーリー
グリーティングカードの会社に勤めるライター、トム・ハンセン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が、初めてサマー・フィン(ズーイー・デシャネル)に会ったのは、会社のボスが新しいアシスタントとして彼女を紹介した時だった。それがサマーとの1日目。トムは一目で恋に落ちた。4日目。エレベーターの中でトムのヘッドフォンから漏れる音を聴いたことから、次第に会話を交わすようになる二人。28日目。カラオケパーティの席で、トムはサマーに恋人がいないことを知るが、彼女は愛を信じていなかった。しかし、サマーは「友達になって」とトムにキスをする。34日目。二人は一緒にIKEAへ行き、展示されているソファに並んで腰かけたり、ベッドに寝そべったりして新婚夫婦ごっこを楽しんだ。「真剣につきあう気はない」と言うサマーに、トムは「気楽な関係でいい」と答える。109日目。サマーが初めて自分の部屋にトムを招き入れ、トムは、二人の間を隔てる壁が一気に低くなった気がした。259日目。バーでサマーに言い寄る男をトムが殴ったら、逆にやり返されてしまう。「二度とこんなことをしないで」と怒るサマー。二人の間に埋められない溝があることは確かだった。しばらくして、トムはサマーが会社を辞めたことを知る。悪友のポール(マシュー・グレイ・ガブラー)やマッケンジー(ジェフリー・エアンド)の勧めに従い、新しい恋人をつくろうとするトム。だが、トムはどうしてもサマーが忘れられない。402日目。同僚の結婚式へ向かう電車内で、トムはサマーと一緒になり、サマーからガーデンパーティに誘われる。408日目のパーティ当日、トムは彼女の心が自分から完全に離れてしまったことを悟る。その後、トムは会社を辞め、夢だった建築家の道へ進むべく就職活動を始める。お気に入りのベンチに座って、未来の自分を想うトム。と、そこにサマーが現れた。長かった“500日の夏”がようやく終わろうとしていた……。




15-41. 未知との遭遇

監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 リチャード・ドレイファステリー・ガーメリンダ・ディロンケイリー・グッフィフランソワ・トリュフォー
1977年・アメリカ (コロムビア映画) 135分

解説
人類が初めて異星生命体と接触する姿を描くSF。製作はジュリア・フィリップスとマイケル・フィリップス、監督・脚本は 「ジョーズ」 のスティーブン・スピルバーグ(ノヴェライゼーション/三笠書房刊)、撮影はビルモス・ジグモンド、視覚効果はダグラス・トランブル、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、アメリカ・シーンの追加撮影はウィリアム・A・フレイカー、インド・シーンの撮影はダグラス・スローコンヴ、プロダクション・デザイナーはジョー・アルブス、編集はマイケル・カーン、製作補はクラーク・ペイロウ、視覚効果概念はスティーブン・スピルバーグ、追加場面撮影はジョン・A・アロンゾ、ラズロ・コバックス、フランク・スタンレー、テクニカル・アドヴァイザーはドクター・J・アラン・ハイネック博士、装飾はフィル・アルヴァムソン、美術はダン・ロミノ、音響効果指導はフランク・ワーナーが各々担当。出演はリチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォ、テリー・ガー、メリンダ・ディロン、ケイリー・グッフィ、ボブ・バラバン、J・パトリック・マクナマラ、ウォーレン・ケマーリング、ロバーツ・ブラッサム、フィリップ・ドッズ、ショーン・ビショップ、エイドリアン・キャンプベル、ジョスティン・ドレイファス、ランス・ヘンリクセン、メリル・コナリー、ジョージ・ディセンゾなど。

ストーリー
砂漠。砂塵の中に第二次世界大戦に使われたらしい戦闘機の姿がみえる。それは、真新しく、20数年前の消失当時と同じ姿だ。調査団一行のリーダー、ラコーム(フランソワーズ・トリュフォ)により、発見の様子は語られる−−。又、インディアナポリスの交信コントロール・センターのスクリーンに未確認飛行物体の姿が写し出され、TWA機より、不思議な物体を見たという連絡が入る−−。同じ頃、インディアナ州のある人里離れた一軒家に奇妙な事が起こる。バリー(ケイリー・グッフィ)という少年が、周囲の物が震動するので目をさまし、何物かに引かれるように家をとびだしていったのだ。母親ジリアン(メリンダ・ディロン)は、彼のあとを追う。そして、一方、同じ町に住む電気技師ロイ(リチャード・ドレイファス)は、この一帯の停電を調べるため車を走らせていた。そこへ恐ろしい光が……。ロイは、この光を追い、バリーやジリアンに出会う。そしてUFOらしき光が空を横切った−−。やがて、ロイは怪光にに夢中となり、会社もクビとなり、妻ロニー(テリー・ガー)と子供達にまで逃げられる。またラコーム達は、UFOとのコミュニケーションの可能性を見い出す。ジリアンは失踪したバリーをさがし、一方ロイはこの異常なミステリーの原因を解こうとした。そして、ロイのイメージは『山』にひっかかり、その山の模型を作るようになる。ジリアンも自らのイメージの山の絵を描き、それは、ワイオミング州にあるデビルズ・タワーであることがはっきりした。そして今、その山は、毒ガス発生のため付近の住民に避難命令が下されていたのだ。そしてその山こそは、今までこの怪事件に出会った人々のイメージの中の山だった。そう、これこそがUFO、つまり異星人との接触が予定されていた地点なのだ。政府はこれを隠そうとしている。この出来事をひろめてはならない。だが、ロイとジリアンは追手をふりきり、ついに、このデビルズ・タワーに登る。そして、そこで見たものは。そして、ここで彼らが経験したものは、今まで人類が誰一人として経験したことのないことであった−−大きなUFOの母船(マザー・シップ)が降りてくる。その輝くばかりの船体。そして、今まで行方不明であった人々がその中より降りてくる。あの戦闘機の乗員が、あのバリーが降りてくる。やがて、ぼんやりとした中から、手の長い異星人が降りてくる。そして異星人は、今しずかに人類に向かってほほえみかける−−。人類史上初の異星人との触合−−、この一瞬に人々はたちつくす。やがて、ロイも含めた地球人の代表団は、母船に乗りこむ。彼ら異星人の星へ行くために−−。間もなく、ひかりかがやく母船は静かに上昇していく。そして今、人類は新たなる世紀の時へ歩もうとしているのだった−−。




15-42. ブロークン・アロー

監督 ジョン・ウー
出演 ジョン・トラヴォルタクリスチャン・スレーターサマンサ・マシスデルロイ・リンドボブ・ガントン
1995年・アメリカ (20世紀フォックス映画)

解説
盗まれた核弾頭を巡る、男と男の対決を描いたノンストップ・アクション。監督は 「男たちの挽歌」 シリーズで香港ノワールのジャンルを確立し、前作 「ハード・ターゲット」 でハリウッドに進出したジョン・ウー。脚本は 「スピード」 で注目されたグラハム・ヨスト。製作は 「スピード」 のマーク・ゴードン、 「妹の恋人」 のビル・バダラート、香港時代からの監督の盟友であるテレンス・チャンの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは、ジョン・ウー、チョウ・ユンファらのエージェントを務めるクリストファー・ゴドシックと、 「フリー・ウィリー2」 の監督でもあるドワイト・リトル。撮影は 「カットスロート・アイランド」 のピーター・レヴィ、音楽は 「クリムゾン・タイド」 のハンス・ジマー、美術は旧東ドイツ出身で、 「ポゼッション」 のホルガー・グロス、編集は 「ダイ・ハード3」 のジョン・ライトと 「フレンチ・キス」 のジョー・ハッシング、スティーヴ・マーコヴィッチ。特殊効果コンサルタントは 「007」 シリーズや 「クリフハンガー」 のジョン・リチャードソンが担当。主演は本格的アクションに初挑戦となる、 「告発」 のクリスチャン・スレイターと、同じく初の悪役となる、 「パルプ・フィクション」 のジョン・トラヴォルタ、 「アメリカン・プレジデント」「キルトに綴る愛」 と出演作が相次ぐサマンサ・マシス。共演は 「クルックリン」 のデルロイ・リンド、 「ショーシャンクの空に」 の悪役俳優ボブ・ガントン、 「星に想いを」 のフランク・ウェイリーほか。

ストーリー
訓練中の米空軍のステルス戦闘機がユタ州の国立公園の敷地内に墜落し、2基の核弾頭が何者かに盗まれた。主犯はベテラン・パイロットのディーキンス少佐(ジョン・トラヴォルタ)。彼は若い相棒のヘイル大尉(クリスチャン・スレイター)を機外に放り出し、手筈通り核弾頭を仲間のプリチェット(ボブ・ガントン)、兵士のケリー(ハウィー・ロング)らに向けて投下した。暗号名“ブロークン・アロー(核紛失)”が発動され、ベアード国防長官(カートウッド・スミス)以下、ペンタゴンは緊張する。一方、地上に落下したヘイルは、公園の女性監視員テリー(サマンサ・マシス)の協力を得て、ディーキンス一味を追う。ヘイルが運搬用のヘリコプターを撃ち落としたため、ディーキンスたちは核弾頭をトラックに積んで、コロラド川に向かった。ヘイルとテリーはトラックを奪い、近くの廃坑に逃れるが、核弾頭の起爆タイマーが作動したため、600mの地下坑道で爆発させようとする。だがそこへ追ってきた一味が現れ、激しい銃撃戦が展開。ディーキンスは1基の核弾頭を奪い、廃坑から去った。ヘイルとテリーは地下水脈から逃れ、間一髪脱出に成功。地下での核爆発の影響で政府の電子機器は使い物にならなくなり、犯人グループは悠然と逃亡。彼らは、2億5千万ドルを寄越さなければソルトレイク・シティを爆破する、と政府を脅迫した。ユタ基地でステルスを追っていたウィルキンス大佐(デルロイ・リンド)、ベアードの部下のプレンティス(フランク・ウェイリー)の助けを得て、ヘイルは貨物列車で移動する一味を急襲。敵に捕まったテリーを救い、一騎打ちの末、ディーキンスを倒した。列車は爆発・炎上したが、核弾頭は無事に回収された。





15-43. 汚れなき悪戯

監督 ラディスラオ・ヴァホダ
出演 パブリート・カルボラファエル・リベリエスアントニオ・ビコファン・カルボホセ・マルコ・ダボ
1955年・スペイン (東和=東宝) 分

解説
ホセ・マリア・サンチェス・シルバの同名物語を彼自身とラディスラオ・ヴァホダが共同脚色し、ラディスラオ・ヴァホダが監督したスペイン映画。撮影はエンリケ・ゲルネル、音楽はパブロ・ソロサバルが彼の息子と共同担当。主役マルセリーノを、この作品で特に抜擢された六歳のパブリート・カルボ少年が演じる他、スペイン劇団の俳優ラファエル・リベリエス、アントニオ・ビコ、ファン・カルボなど。ホセ・ニエトとフェルナンド・レイが特別出演している。一九五五年カンヌ映画祭で作品賞と特別子役賞を獲得。

ストーリー
聖マルセリーノ祭を迎えたスペインのある小さな村。楽しげに丘の上の教会へ村人達が向う頃、貧しい家で病床に伏す少女を訪れた一人の僧侶は、この日にまつわる、今は忘れられた美しい奇蹟の物語を話して聞かせる−−かつて戦争で荒れ果てたこの村が平和をとり戻し始めた頃、三人の老いた僧侶が訪れて来て丘の上の廃墟に僧院を建てたいと村長に頼んだ。やがて農夫たちの協力で僧院は建立、十年後、いつか十二人となった僧侶らは静かな生活を送っていた。ある朝、門前に幼い捨子を発見。彼等は赤児の両親が今は亡いと知ると、その日が聖マルセリーノの日であったことからマルセリーノ(パブリート・カルボ)と名付け世話を始めた。僧侶らは心をこめた愛憎を注いだが、将来を考えた僧院長は子供を引取ってくれる家庭を探した。だが結局は失敗。それは彼等が心秘かに願っていたことだった。五年の後、マルセリーノは天使のように無垢な悪戯っ子になっていた。少年は僧侶らを見たままそれぞれ仇名をつけて呼んでいたが、いつか天国にいると思われる母親のことを想う日が多くなった。ある日、野原で出逢った農家の若妻に母の姿を見た少年は、同じ年頃のマヌエルという男の子がいると知って、彼を空想の友達と考えて、一人ぼっちの遊びも楽しいものにした。祭の日、村に行った少年の僅かな悪戯は思いがけぬ混乱に発展、負傷者まで出た。村長の後を継いでいた鍛冶屋は、これを僧侶らに対する攻撃の口実とし、一ヵ月以内に僧院退去を命じた。僧侶たちは失望。何も知らぬ少年は一人、空想のマヌエルと遊ぶ中、納屋で十字架のキリスト像を発見、飢えと寒さで悩むように思われるキリストの許へパンや酒を運ぶ。ある嵐の晩、やって来た少年にキリストは好意に報いようとその願いを尋ねた。少年は天国のお母さんに会いたいと答え、古椅子に寄ったまま永遠の眠りに就いた。そのまわりには、どこからともなく光が輝く。奇蹟は村中に伝わり、葬式には鍛冶屋始め総ての村人が参加した。−−話し終った僧侶が僧院へ戻る頃、教会から村人は帰途に就き、マルセリーノの祭も暮れようとしていた。




15-44. ヒマラヤ 運命の山

監督 ヨゼフ・フィルスマイヤー
出演 フロリアン・シュテッターアンドレアス・トビアスカール・マルコヴィクスシュテフェン・シュローダーユール・ロンステット
2009年・ドイツ (フェイス・トゥ・フェイス) 104分

解説
兄弟でヒマラヤの超難関ルパール壁の初登攀に挑戦するも、弟が謎の遭難死を遂げたために様々な憶測を呼び、世間を震撼させた実話を、生還した兄ラインホルト・メスナーの著作に基づき映画化。当事者にしかわからない極限下での肉体的・精神的葛藤を生々しく再現した、見応えのある人間ドラマに仕上がっている。

ストーリー
幼い頃からヒマラヤ山脈にある標高8,125mのナンガ・パルバート登攀を夢見ていたラインホルト(フロリアン・シュテッター)とギュンター(アンドレアス・トビアス)のメスナー兄弟。成長してドイツの登山界で名を知られるようになった2人に、ナンガ・パルバートにあるルパール壁登攀のチャンスが訪れる。1970年のことだった。ラインホルトが遠征隊に招待されたのだ。兄の影に隠れることに苛立ちを覚えたギュンターだったが、欠員の生じた遠征隊に、兄の推薦を受けて参加が決まる。カール・マリア・ヘルリヒコッファー博士(マール・マルコヴィス)のもと、パキスタンへ向かう遠征隊。ルパール壁への何度もの挑戦と失敗を経験したヘルリヒコッファーはエリート登山家たちを集結させた今回こそ、難壁の制覇に燃えていた。ラインホルトのチームと、彼に対抗心を燃やすオーストリア軍隊出身のフェリックス・クーエン(シュテファン・シュローダー)の2チームを競うかのように登頂させるヘルリヒコッファー。苦難の連続の登頂にチームが分裂していく中、ラインホルトとギュンターは苦難を乗り越え、ルパール壁初登攀に成功する。だがその喜びもつかの間、ギュンターが高山病にかかり、予定の下山ルートを辿ることができなくなってしまう。やがて、弟の姿を見失うラインホルト。最後の連絡から8日後、ボロボロになったラインホルトは、メスナー兄弟の帰還を断念し、フェリックスたちの成功を持って帰国途中だった遠征隊と運よく遭遇。しかし、そこに弟の姿はなかった。帰国したラインホルトを待っていたのは、”ヘルリヒコッファー遠征隊の初登攀の成功”と”ギュンターの死はラインホルトの責任”と糾弾する新聞記事だった。身も心も深く傷ついた彼は、退院後故郷に戻り、遺体のない葬式を執り行った。そして8年後、彼は2度目の登攀に成功する。装備もなく、酸素もなく、弟の姿もなく、たったひとりで。




15-45. 大西部への道

監督 アンドリュー・V・マクラグレン
出演 カーク・ダグラスリチャード・ウィドマークロバート・ミッチャムローラ・アルブライトハリー・ケイリー・ジュニア
1967年・アメリカ (ユナイト映画) 分

解説
A・B・ガスリー・ジュニアのピュリッツァー賞を受賞した雄大な叙事詩的小説をベン・マドウが脚色、 「マクリントック」 のアンドリュー・V・マクラグレンが監督したオレゴン・トレイル踏破の壮挙を描いた西部劇。撮影は、 「騎兵隊」 のウィリアム・H・クローシア、音楽はブロニスロー・ケイパーとマック・デイヴィッドが担当した。出演は 「巨大なる戦場」 のカーク・ダグラス 「アルバレス・ケリー」 のリチャード・ウィドマーク、 「エル・ドラド」 のロバート・ミッチャム、 「捜索者」 のハリー・ケイリー・ジュニア、ローラ・オルブライトほか。製作は 「キャット・バルー」 のハロルド・ヘクト。

ストーリー
1843年、ミズーリ州インディペンデンスの町は「オレゴン熱」でわいた。おりから東部一帯には不況の嵐が吹き荒れていたから、人々が未開の土地オレゴンに豊富な資源が横たわっているという噂にとびついたのは当然であった。そんな時冒険欲にあふれた上院議員のウィリアム・J・タドロック(カーク・ダグラス)が、その土地へ移住するオレゴン・リバティ会社の幌馬車隊員を募集した。たちまち参加希望者は群をなした。そして4月、数100台の幌馬車をつらねて1000人あまりの開拓者たちが辺境オレゴンへ出発した。道案内役のディック・サマーズ(ロバート・ミッチャム)を除いて、参加者のほとんどが農夫であった。たくましい開拓精神にあふれた農場主のライジ・エバンス(リチャード・ウィドマーク)家族を筆頭に、マックビー(ハリー・ケイリー・ジュニア)夫妻と娘マーシー、新婚のジョニー、アマンダ夫妻などであった。チムニー・ロックを過ぎてから数日後、幌馬車隊はスー族のインディアンに出会ったが、サマーズの機転で無難にきりぬけたかに見えた。だがその時新妻の目をかすめて、若者たちの間で評判のマーシーとひそかに会っていたジョニーが、誤ってインディアンの少年を射ち殺してしまったため、事態は急変した。少年は酋長の息子だった。酋長は単身幌馬車にせまると、犯人の処刑を要求した。決断をせまられたタドロックは涙をのんでジョニーの首に縄をかけた。タドロックの背後では、ジョニーの妻アマンダの瞳が異様に輝いていた。やがて幌馬車隊が砂漠地帯に入った時、タドロックは10歳になる息子を失った。そんな時彼はエバンスの妻に言い寄って、エバンスとの間に心理的な対立を生み出した。上院議員の地位をかさにしたタドロックの傲慢さは次第に敵を作り、ついに私的な憤りをまじえたエバンスによって隊長の地位を奪われてしまった。そして幌馬車隊は最後の難関、断崖に直面、命綱を頼りに懸命な馬車や牛の荷おろしが始まった。最後にタドロックが命綱に身をまかせた時だった。突然綱は切れ、タドロックは激しい勢いで落下、絶命した。ジョニーの妻アマンダが復讐を果したのだった。新天地へ第1歩を踏み出す幌馬車隊を見送るサマーズの表情には、道案内を完遂させた安堵と無量の感慨が溢れていた。




15-46. ナイアガラ

監督 ヘンリー・ハサウェイ
出演 マリリン・モンロージョゼフ・コットンジーン・ピータースケイシー・アダムスデニス・オディア
1953年・アメリカ (20世紀フォックス極東) 分

解説
「サンセット大通り」 のチャールズ・ブラケットが製作し、 「砂漠の鬼将軍」 のヘンリー・ハサウェイが監督したテクニカラーのメロドラマ、1953年作品。脚本は製作者のブラケット、 「美女ありき」 のウォルター・ライシュ、 「歌う捕物帖」 のリチャード・ブリーンの3人、撮影は 「革命児サパタ」 のジョー・マクドナルド、作曲は 「狙われた駅馬車」 のソル・カプランの担当。主演は 「第3の男」 のジョセフ・コットン、いま売り出しのマリリン・モンロウ 「イヴの総て」 、 「革命児サパタ」 のジーン・ピータースで、ケイシー・アダムス 「栄光何するものぞ」 、デニス・オディア 「邪魔者は殺せ」 、リチャード・アラン 「キリマンジャロの雪」 らが助演する。

ストーリー
ナイヤガラ瀑布の近くにあるホテルに、朝鮮戦線から疲労して帰って来たジョージ・ルーミス(ジョセフ・コットン)が、妻ロース(マリリン・モンロー)と一緒に泊まっていた。ローズは最近、ほかの男ができて夫によそよそしく、世間の人に夫が発狂していると思わせようとしていた。そのホテルに泊まりに来た新婚夫婦レイ・カットラーと妻のポリイ(ジーン・ピータース)は、観光トンネルを見物に出かけた時、ローズがテッド・パトリックという若い男と密会しているのを目撃した。その時以来、ポリイはジョージに同情をよせ何かと世話をやいた。ローズはテッドと共謀してジョージを殺す計画を立て、彼を観光トンネルにおびき出した。だが翌朝死体となって現れたのはテッドであった。ローズは驚きのあまり卒倒して入院した。ジョージは傷ついてポリイに会い、テッドに襲われたことを打ち明けた。ローズは何か恐怖にいたたまれなくなって病院をとび出したが、途中でジョージに会い、彼に絞殺された。翌日、瀑布の上手にある釣場へ釣に出かけたポリイとレイは、船着場に船をおいて買物に出かけた。ポリイが一足先に船にかえるとジョージが乗っていた。彼女はジョージにローズを殺したことを自首するように勧めたが、彼は肯じなかった。2人を乗せた船は激流の中を瀑布の方へ近づいて行った。ポリイは船が崖に近づいたとき危く崖にはい上がった。船はジョージを乗せたまま、滝壷に落ち込んでいった。




15-47. プリンセスと魔法のキス

監督 ロン・クレメンツ
出演 アニカ・ノニ・ローズブルーノ・カンポスジェニファー・コーディキース・デイヴィッドジェニファー・ルイス
2009年・アメリカ (ウォルト ディズニー スタジオ) 97分

解説
ディズニーによるプリンセス・ストーリー。呪いでカエルにされてしまった王子様にキスをし、自らもカエルになってしまった女の子の冒険を描く。手描きアニメならではの温かみのある映像に注目!

ストーリー
アメリカ・ニューオリンズでウェイトレスをしているティアナ(声:アニカ・ノニ・ローズ)は、死んだ父との夢だった自分のレストランを持つことを目指して懸命に働いている。ある日、幼なじみの富豪の娘シャーロット(ジェニファー・コーディ)の家で、仮装舞踏会が開かれる。ティアナは、得意料理のベニエを振舞うよう頼まれる。そのパーティーには、マルドニア王国の王子ナヴィーン(ブルーノ・カンポス)が参加することになっていた。ナヴィーンは甘やかされて育ち、仕事もせずに遊び呆けていたので親に勘当され、一文無しだった。彼は音楽で溢れるニューオリンズを訪れ、富豪の娘と結婚することを望んでいた。しかし、魔術師のドクター・ファシリエ(キース・デイヴィッド)の策略により呪いをかけられ、カエルに姿を変えられてしまう。パーティー会場でプリンセスに仮装したティアナの前に、1匹のカエルが現われる。そのカエルは、自分は呪いによって姿を変えられたナヴィーン王子であり、その呪いはプリンセスのキスによって解けると告げる。ティアナはレストランの夢を叶えるという条件で、勇気を振り絞ってそのカエルにキスをする。しかし、ナヴィーンが元の姿に戻らないばかりか、ティアナまでカエルの姿になってしまう。




15-48. 終着駅 トルストイ最後の旅

監督 マイケル・ホフマン
出演 ヘレン・ミレンクリストファー・プラマージェームズ・マカヴォイポール・ジアマッティアンヌ・マリー・ダフ
2009年・ドイツ、ロシア (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 112分

解説
ロシアの文豪トルストイと、“世界三大悪妻”といわれる妻ソフィヤとの知られざる愛の物語を描く人間ドラマ。自らが築き上げた莫大な富が原因で起きた争いから避けるように、突然家出をしたあげく、1人で息を引き取ったトルストイの死の謎に迫る。クリストファー・プラマーとヘレン・ミレンは共に本作でアカデミー賞候補に。

ストーリー
ソフィヤ伯爵夫人(ヘレン・ミレン)は、ロシアの偉大な文豪レフ・トルストイ(クリストファー・プラマー)の妻として、50年近く結婚生活を送ってきた。ある日突然、トルストイが新しい宗教の名のもと、爵位や財産、家族も捨て、菜食主義の独身となることを決める。トルストイの弟子で、ソフィヤが忌み嫌うウラジミール・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)が、夫に新しい遺書への署名を説得したらしいことを知ったソフィヤは憤る。その遺書には、トルストイの作品に関する権利をロシア国民に与えると書かれていた。ソフィヤは自分の財産を守るため、知恵や魅力を総動員して戦う。チェルトコフはその行動がトルストイの輝かしい遺産にダメージを与えると警告するが、その通りになっていく。この関係のなかに、トルストイを崇拝する新しい助手ワレンチン・ブルガコフ(ジェームズ・マカヴォイ)が入ってくる。世間知らずな彼は、チェルトコフとソフィヤに次々と利用されそうになる。またワレンチンは、トルストイの理想主義の信奉者マーシャ(ケリー・コンドン)に惹きつけられるが、同時に彼女の型破りな考え方に困惑する。あまりに複雑になった環境に嫌気のさした82歳のトルストイは、真夜中に家出を図る。ソフィヤは取り巻きの制止を振り切り、病に伏すトルストイのいるアスターポヴォ駅へ向け、特別列車でロシアを横断する。