13-1. ミシシッピー・バーニング

監督 アラン・パーカー
出演 ジーン・ハックマンウィレム・デフォーフランシス・マクドーマンドブラッド・ドゥーリフR・リー・アーメイ
1988年・アメリカ (オライオン映画=ワーナー・ブラザース) 128分

解説
公民権運動の嵐が吹き荒れる64年のミシシッピー州ジュサップを舞台に、3人の公民権運動家の失踪事件を捜査する2人のFBI捜査官の姿を通して、アメリカの南部における人種差別問題を描く。製作はフレデリック・ゾロとロバート・F・コールズベリー、監督は 「エンゼル・ハート」 のアラン・パーカー、脚本はクリス・ジェロルモ、撮影は 「ワールド・アパート」 のピーター・ビジュー、音楽はトレヴァー・ジョーンズが担当。出演は 「傷だらけの青春」 のジーン・ハックマン、 「最後の誘惑」 のウィレム・デフォーほか。

ストーリー
全米にフリーダム・サマー(自由の夏)が吹き荒れる64年6月、ミシシッピー州ジュサップの町で起きた3人の公民権運動家の失踪事件を重要視するFBIは、2人の腕きき捜査官を現地に派遣した。元郡保安官でたたきあげのルパート・アンダーソン(ジーン・ハックマン)とハーバード大出のエリート、アラン・ウォード(ウィレム・デフォー)、この全てに対照的で時には対立さえする2人に対し、町の人々は非協力なだけでなく敵意さえも明らさまにする。そして少しでも彼らに協力的な態度を見せた人々は、何者かに家を焼かれたり、リンチにあい、再び口を重く閉ざすのだった。遅々として捜査は進まず、大掛かりな遺体の捜査も行われたが、手掛かりひとつ見つけることができない。焦立つウォードに対しアンダーソンは、保安官スタッキー(ゲイラード・サーテイン)とその助手ペル(ブラッド・ダリフ)の仲間たちが事件に関わっているという確信を抱き、ペルの妻(フランセス・マクドーマンド)を訪ねる。アンダーソンは、夫とこの町に嫌悪している彼女から事件の糸口を探ることができるのでは、と感じていたが、その間にもフリーダム・サマーの行進に参加した黒人青年が瀕死の重傷を負うリンチをうけ、またある黒人の家が焼き打ちにあった。だがこの現場を目撃した1人の少年の証言から、3人の容疑者が裁判にかけられるが、結果は不平等を極め判決は無罪同然、その直後、町のあちこちで焼き打ち行為が起き、目撃証言をした少年の家も焼かれ、彼の父親はリンチにあい木に吊るされる。この事件をきっかけに、アンダーソンはペルの妻から彼が失踪事件に関わっていること、そして彼ら3人の遺体が埋められた場所などを聞き出すが、彼女はそのことを知ったペルにめった打ちにされ重傷を負う。怒りに逆上するアンダーソンをなだめるウォードは、やがて彼の提案するプロの脅し屋を雇い、陰で糸を引く町長を痛めつけて口を割らせる、という思いきった手段に同意する。そして次々と町長の口から明かされる事件に関与した人物たちの名前とその動機。ついに事件の核心は姿を見せた。しかしそれで全てが終わったわけではない。




13-2. 危険がいっぱい

監督 ルネ・クレマン
出演 アラン・ドロンジェーン・フォンダローラ・アルブライトオリヴィエ・デスパカール・ステューダー
1964年・フランス (MGM)

解説
デイ・キーンの小説「喜びの家」をルネ・クレマンが「バナナの皮」 の原作者チャールズ・ウィリアムズ、パスカル・ジャルダンと共に脚色、「生きる歓び」 のクレマンが演出したサスペンスドラマ。撮影は「シベールの日曜日」 のアンリ・ドカエ、音楽はラロ・シフリンが担当した。製作は「地下室のメロディー」 のジャック・バール。出演は「黒いチューリップ」 のアラン・ドロン、「ニューヨークの休日」 のジェーン・フォンダ、「恋のKOパンチ」 のローラ・アルブライト、ほかにオリヴィエ・デスパ、カール・ステューダー、ソレル・ブルック、ニック・デル・ネグロなど。黒白・フランスコープ。

ストーリー
マーク(アラン・ドロン)はいかさまカード師。あるホテルで休暇を過していたが、ある日、四人のアメリカのギャングに連れ去られた。マークがボスの妻君に親切過ぎたためだ。だがマークは上手く逃げのび、救世軍施設に逃げ込んだ。ギャングはそこも嗅ぎつけた。マークはその追求を逃れるため、たまたまここを訪れ、食物を施すアメリカ未亡人バーバラ(ローラ・アルブライト)の運転手として雇われ、別荘に住むようになった。ところがこの家には彼女のいとこのメリンダ(ジェーン・フォンダ)の他に、秘密の部屋に住むバーバラの愛人ビンセントがいた。彼女がマークを雇ったのも、実は殺人犯のビンセントと逃げるためのパスポートが目的だったのだ。メリンダはマークを深く愛した。だが、彼はバーバラに想いを寄せている。彼がバーバラとこの家を逃げ出そうとしていることを知ったメリンダは二人の仲をさこうとした。彼女の打った一通の偽電報は、バーバラの裏切りを示すものだった。マークは激怒して、密室からのビンセントの看視も忘れて難詰した。彼女は彼を逃れるため、秘密の廊下に入った。が、二人の激しい話を盗み聞きしたビンセントが、バーバラを殺してしまった。そして運転手の姿をしたビンセントがマークに迫った。だが、銃声と共に倒れたのはビンセントであった。マークを追うギャングが間違えたのだ。マークとメリンダは二つの死体を処理しなければならない。車に死体を積み、二人は捨て場所を探しに出た。途中、メリンダは警官にその死体のことを告げた。彼はうまく脱出、別荘に逃げ帰った。しかし、お尋ね者になったマークはこの家を出ることは出来ない。メリンダの、愛する男を止めておく唯一の方法に、まんまとひっかかったのだ。マークはビンセントになり代り、秘密室の住人になった。




13-3. ゆりかごを揺らす手

監督 カーティス・ハンソン
出演 アナベラ・シオラレベッカ・デモーネイマット・マッコイアーニー・ハドソンジュリアン・ムーア
1992年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
夫の自殺が原因で、子供を流産した女性が、ベビーシッターとして幸せな家庭に忍び込み復讐劇を繰り広げる。監督は「窓 ベッドルームの女」 のカーティス・ハンソン、製作はデイヴィッド・マデン、製作総指揮はテッド・フィールド、ロバート・W・コート、リック・ジャファ、脚本はアマンダ・シルヴァー、撮影はロバート・エルスウィット、音楽はグラエム・レヴェルが担当。

ストーリー
優しい夫マイケル・バーテル(マット・マッコイ)と幼い娘エマ(マデリン・ジーマ)に囲まれ幸せな日々を過ごすクレア(アナベラ・シオラ)は2人目の子供を身ごもり、産婦人科へ診療に訪れたが、医師のモットは診察するふりをして猥雑な行為に及んだ。事情を知ったマイケルの助言により、彼女は警察に訴えるが、これがマスコミに大きく取り上げられ、他に数人の女性が被害に遭ったことが判明。次々と真相が明らかになるなか、モットはピストル自殺し、各種の保険は州に没収された。残された彼の妻ペートン(レベッカ・デモーネイ)は衝撃を受け昏倒、妊娠中の彼女は流産し、生命の危機から子宮を除去摘出されてしまった。一方クレアは無事に男児を出産、ジョーイと名付けられた。6カ月後クレアのもとへやって来たペートンは、過去を隠しベビー・シッターとして雇われることに成功、引っ越して来た夜から彼女は自分の乳房をジョーイに含ませるなど自らの子供のように扱い始めた。さらにエマにも好かれるように振舞い、マイケルの論文をこっそり破り捨てクレアの持病である喘息を促進させ、自分を訝しげに見る精神障害を持つ使用人ソロモン(アーニー・ハドソン)を罠にはめ追い出し、マイケルとクレアの仲を裂くため、マイケルが初恋の相手であり現在は友人の妻であるマリーン(ジュリアン・ムーア)と浮気しているように画策し、バーテル家を崩壊へと追い込んでいった。そんなある日、マリーンはペートンがモットの妻であることを偶然知りバーテル家へ駆けつけるが、ペートンの罠にはまり絶命、それを発見したクレアも発作により病院へと運び込まれた。退院したクレアはマリーンの足跡を追い、遂にペートンの正体を突き止める。追い出されたペートンだが再び家の中に侵入、マイケルやクレアを倒し、エマとジョイを奪いにかかるが、間一髪でソロモンが救出。立ち直ったクレアによりペートンは庭の柵に叩きつけられ息絶えるのだった。




13-4. フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白

監督 スティーヴ・マイナー
出演 メル・ギブソンジェイミー・リー・カーティスイライジャ・ウッドイサベル・グラッサージョージ・ウェント
1993年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
事故で昏睡状態に陥った恋人の回復を待つため、人工冬眠の実験台になった男が、現代に目覚める姿を描いたファンタジー・ドラマ。監督は「ミスター・ソウルマン」 のスティーヴ・マイナー、製作はブルース・デイヴィ、エグゼクティヴ・プロデューサーは「グリーン・カード」 のエドワード・S・フェルドマンと、脚本も執筆した「心の旅」 のジェフリー・エイブラムス。撮影は「燃えつきるまで」 のラッセル・ボイド、音楽は「ミスター・ベースボール」 のジェリー・ゴールドスミスが担当。主演は「リーサル・ウェポン3」 のメル・ギブソン、「マイ・ガール」 のジェイミー・リー・カーティス、「ラジオ・フライヤー」 のイライジャ・ウッド、舞台出身で一流のタップ・ダンサーとして知られるイザベル・グラッサー。

ストーリー
1939年、アメリカ空軍のテスト・パイロット、ダニエル(メル・ギブソン)は、ある雨の日、恋人のヘレン(イザベル・グラッサー)にプロポーズしようとするが、うまく言葉にできない。仕事へ戻ろうとしたヘレンは、交通事故に遭い、死の重傷を負い、昏睡状態に陥ってしまう。6ヶ月が過ぎ、ダニエルは親友の科学者ハリー(ジョージ・ウェント)が開発した人間冷凍装置の実験台に志願した。もしヘレンが目覚めたら起こしてくれと言って…。時は流れ1992年、2人の少年ナット(イライジャ・ウッド)とフィーリックス(ロバート・ハイ・ゴーマン)は、偶然紛れ込んだ空軍の倉庫で、埃をかぶったカプセルを発見し、固く凍った男の身体が横たわっているのを見た。それは50数年前と変わらぬダニエルの姿だった。目覚めたダニエルは、ナットの母クレア・クーパー(ジェイミー・リー・カーティス)を暴漢から救い、クーパー家に迎え入れられる。一方、軍とFBIはダニエルを追っていた。やっとハリーの消息を知り、彼の居所を訪ね、暴発事故でハリーが死んでしまったために、自分が置き去りにされたこと、ヘレンが生きていることを知ったダニエルは、急速な勢いで老化する体で、かつて自分が操縦したB-25でヘレンのもとへ飛び立った。岬の灯台に住むヘレンのもとへ降り立ったダニエルは、老人の姿になっていた。ダニエルは、ヘレンにやっと愛を告白することができたのだった。




13-5. あの日の指輪を待つきみへ

監督 リチャード・アッテンボロー
出演 シャーリー・マクレーンクリストファー・プラマーミーシャ・バートンスティーヴン・アメルネーヴ・キャンベル
2007年・イギリス、カナダ、アメリカ (松竹)

解説
名匠リチャード・アッテンボロー監督が手がけた感動のラブ・ストーリー。実話をもとに、ある指輪をめぐる、50年の時を越えた壮大な愛の軌跡を叙情的に紡いでいく。

ストーリー
1991年、ミシガン州ブラナガン。エセル・アン(シャーリー・マクレーン)はアイルランドのジミーと名乗る青年から、ベルファストの丘で、エセルとテディという名が刻まれた指輪を発見したという電話を受ける。しかし指輪を送るという申し出をエセルは断る。彼女は最近、夫チャックを亡くしたが、その死を淡々と受け止めていた。1人娘のマリー(ネーヴ・キャンベル)はそんな母を責めるが、エセルは「私の人生は21歳で終わった」と言い放つ。マリーは両親の親友ジャック(クリストファー・プラマー)に何があったのか尋ねるが、過去を掘り返すなと忠告される。1941年、若き日のエセル(ミーシャ・バートン)は、航空学校に通うテディ(スティーヴン・アメル)と恋に落ちる。テディの友人、チャック(デイヴィッド・アルペイ)とジャック(グレゴリー・スミス)も美しい彼女に密かに惹かれていたが、テディとの友情のために2人の恋を応援した。テディは爆撃機に搭乗する日を控え、エセルのために建てた家にチャックとジャックを招き、もし自分が戦死したらどちらかにエセルの面倒を見てほしいと願い出る。ジャックは自分は恋多き男だからと辞退し、チャックがその約束を交わす。それから数日後、エセルとテディは挙式する。結婚指輪は、テディからもらった指輪にエセルが2人の名前を彫った指輪1つ。テディはその指輪を胸に戦地へ赴く。彼の乗った爆撃機は悪天候のため、ベルファスト上空から丘へ墜落する。遺体は発見されなかった。やがて帰還したチャックとジャックはエセルに頼まれ、テディの遺品を家の壁に封印した。しかし今、ジミーが指輪を届けに来ると、エセルは封印を解く決意をする。50年前、ジミーの祖母エレノア(ブレンダ・フリッカー)は、ジャックら米兵たちと毎夜ダンスに興じていた。そしてエレノアの旧友で元消防士のクィンラン(ピート・ポスルスウェイト)が墜落以来、この指輪を探し続けていた。エセルはテディの死の真相を知るため、ベルファストへ旅立つ。




13-6. キャスト・アウェイ  

監督 ロバート・ゼメキス
出演 トム・ハンクスヘレン・ハントニック・サーシージェニファー・ルイスジョフリー・ブレイク
2000年・アメリカ (UIP)

解説
ロバート・ゼメキス監督&トム・ハンクスという「フォレスト・ガンプ 一期一会」コンビ再び。長い年月を無人島で過ごすことになる男の苦悩をドラマティックにつづった感動作。

ストーリー
宅配便フェデックスのシステム・エンジニア、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、恋人ケリー(ヘレン・ハント)と久しぶりに時間を過ごした後、南米行きの飛行機へ乗り込んだ。しかしその飛行機は、太平洋上で墜落。ふと気がつくと、チャックは無人島に流れ着いていた。近くを通る船はなく、彼はたった一人で、さまざまな工夫を凝らし、無人島で生活する術を身につけていく。友達はバレーボールのウィルソンだけだった。それから4年。原人のような姿になった彼は、ついにいかだを作って島を脱出する。荒れ狂う波でいかだは半壊になってしまうが、危機一髪で近くを通りかかった大型船に救出された。それから4週間後、彼は地元のメンフィスへ帰る。しかしケリーは、歯科医のジェリー(クリス・ノス)と結婚して、子供まで作っていた。チャックとケリーはまだお互いに愛し合いながらも、それぞれの道を歩むことを決意するのだった。




13-7. ドリームガールズ 

監督 ビル・コンドン
出演 ジェイミー・フォックスビヨンセ・ノウルズエディ・マーフィダニー・グローヴァージェニファー・ハドソン
2006年・アメリカ (UIP)

解説
ブロードウェイの大ヒット・ミュージカルを、歌手のビヨンセ、 「Ray レイ」のジェイミー・フォックス主演で映画化。女性コーラスグループの波乱の道のりを描く感動ドラマ。

ストーリー
1962年。デトロイトのヴォーカルトリオ「ドリーメッツ」は音楽業界に打って出ようとしている野心家・カーティス(ジェイミー・フォックス)にスカウトされた。彼女たちはソウル界のローカルスター、ジミー・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスとしてツアーに参加するようになる。だが一番の歌唱力を誇るエフィー(ジェニファー・ハドソン)はいつまでも脇役でいることに不満だった。マネージャーのマーティー(ダニー・グローバー)を追い出したカーティスはドリーメッツを独立させて売り出そうとする。その名も「ザ・ドリームズ」として。ようやくリードシンガーになれると思ったエフィーだが、カーティスはディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)をリードにする決断を下した。テレビ向けに一番の美人であるディーナをフューチャーしようというのだ。しかも今までエフィーと付き合っていたカーティスは私生活でもディーナに鞍替えしていた。グループの活動に支障をきたすようになったエフィーはついにクビを言い渡された。こうして新メンバーになったザ・ドリームズは瞬く間に人気を獲得していく。それから8年の歳月が流れディーナは世界的なスーパースターとなり、カーティスと結婚していた。一方でカーティスの子を産んだエフィーはマーティーの協力を得てクラブシンガーとして再出発を始めていた。やっとの思いで出したエフィーの新曲を盗んでザ・ドリームズに歌わせてしまうカーティス。怒ったエフィーやマーティーらはカーティスのレコード会社に乗り込み、怒りをぶつけた。そして独善的なカーティスに対する不信感を抱えてきたディーナも、ついに離婚を決意するのだった。こうしてバラバラになってしまったザ・ドリームズの解散コンサートが地元で行われる。最後の曲でエフィーが現れ、四人になったザ・ドリームズは感動的なパフォーマンスを繰り広げるのだった。




13-8. 9デイズ

監督 ジョエル・シュマッカー
出演 アンソニー・ホプキンスクリス・ロックガブリエル・マクトピーター・ストーメア
2002年・アメリカ (ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン)

解説
パール・ハーバー」のジェリー・ブラッカイマー製作によるサスペンスアクション。新型核爆弾を追うCIA局員と、おとり捜査に協力する青年の奔走がスリリングに展開!

ストーリー
チェコの首都プラハで、一人の男が殺された。彼はCIAの諜報員、ケヴィン・ポープ(クリス・ロック)。彼は古美術商マイケル・ターナーと称しロシアン・マフィアのヴァス(ピーター・ストーメア)からアタッシュケース型ポータブル核爆弾P.N.Bを購入するという囮作戦の最中だったが、同じくP.N.Bを狙う国際的テロリスト・ドラガンによって暗殺されたのだ。P.N.Bの使用を食い止めなければならないCIAは、ケヴィンの双子の弟・ジェイク(クリス・ロックの二役)に白羽の矢を立てる。その日暮しで恋人のジュリー(ケリー・ワシントン)も見捨てるようなジェイクをターナーに仕立てるため、ヴァスとの取引までの9日間、同じく諜報員のオークス(アンソニー・ホプキンス)がターナーの性格から諜報員としてのノウハウまで叩き込む。その甲斐あって、ヴァスとの取引は成功。が、ドラガン一味に襲撃されP.N.Bを奪われてしまった。取引中にジェイクの網膜をスキャンさせ起爆装置のロックをかけていたため、ドラガンはジュリーを人質に取りジェイクをおびき出す。起爆コードがドラガンの手に渡るが、追跡調査でP.N.Bが駅に仕掛けられたのを掴む。P.N.Bを奪還し爆発寸前に起爆コードを解除。無事生還したジェイクはジュリーと結婚。オークスも姿を見せ祝福するのだった。




13-9. エル・シド

監督 アンソニー・マン
出演 チャールトン・ヘストンソフィア・ローレンラフ・ヴァローネジョン・フレーザーゲイリー・レイモンド
1961年・アメリカ (コロムビア映画)

解説
11世紀スペインの救国の闘将エル・シドの生涯を描いた70ミリ映画で、「キング・オブ・キングス(1961)」 のサミュエル・ブロンストンが製作。監督は「シマロン」 のアンソニー・マン。脚本は「地上最大のショウ」 のフレドリック・M・フランクと「キング・オブ・キングス(1961)」 のフィリップ・ヨーダン。撮影は「びっくり大将」 のロバート・クラスカーが、音楽は「ベン・ハー」 のミクロス・ローザがそれぞれ担当。出演は、「ベン・ハー」 のチャールトン・ヘストン、「ふたりの女」 のソフィア・ローレン、ラフ・ヴァローネ、ジュヌヴィエーヴ・パージュ、ジョン・フレイザーなど。

ストーリー
狂信的な回教徒ベン・ユーサフ(ハーバート・ロム)は、アフリカからヨーロッパ侵略の機会を窺っていた。彼はムーア人の諸公を煽動しては、カスティール国境の村を脅かした。ある小競り合いの折、ムーア人の大公たちはカスティールの若き武将ロドリーゴに捕らえられたが、彼の思いやりから全員釈放された。感激した大公の1人は彼にエル・シドの称号を贈った。だが、ムーア人を釈放したことから、彼は王をはじめ恋人シメン(ソフィア・ローレン)からさえ非難を受けた。そのことでエル・シドと争ったシメンの父ゴルマスは、彼の剣にかかって死んだ。息をひきとる父から復讐を頼まれたシメンは苦しんだが、父を殺された憎しみは愛を押し流すのだった。それからのエル・シドは、戦うごとに勝利を勝ち取り勇名を馳せるのだったが、ことごとにシメンが自分をおとし入れようとするのを知り心が重かった。だが、シメンを思いきれないエル・シドは、王に彼女との結婚を願い出た。婚儀の日、心を固く閉ざしたままのシメンは夫にすべてを許さないことこそ復讐と、翌朝修道院へこもってしまった。そのころ、王の急逝により王子サンチョとアルフォンソ(ジョン・フレイザー)の間で王位継承の争いが起こった。やがて王位に就いたアルフォンソは、事の真相を知るエル・シドを追放しようとはかった。追われたエル・シドは寂しく城を旅立ったが、彼の偉大さを知ったシメンは後を追った。それから数年、エル・シドは再び勇将として返り咲いた。一方、バレンシアでは、ベン・ユーサフが侵略に余念がなくアルフォンソ王にも挑戦してきた。旗色の悪くなった王は、エル・シドを呼び戻した。彼の働きでバレンシアは陥落し、エル・シドはバレンシアの大公から王冠を受けた。城外ではベン・ユーサフの率いる一隊が待ちかまえていた。やがてエル・シドの軍と戦闘が始まり、愛馬にまたがり指揮するエル・シドは胸に矢を受けた。英雄エル・シドはついに生涯を閉じたのだが、その翌朝馬上にまたがる彼の勇姿をみた敵は浮足立った。彼の遺言により死体が馬上にすえられていたのだ。かくて戦いは勝利に終わり、スペインの国土からは侵略者が一掃された。そして、エル・シドの名は歴史の流れに輝かしく残ったのであった。




13-10. ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー

監督 ケニー・オルテガ
出演 ザック・エフロンヴァネッサ・ハジェンズアシュレイ・ティスデイルルーカス・グラビールコービン・ブルー
2008年・アメリカ (ディズニー)

解説
ティーンからの絶大な支持を受け、世界的ヒットを記録したミュージカル・ドラマの劇場版。ハイスクールの最終学年を迎えた主人公たちが歌とダンスにあふれた青春模様を繰り広げる。

ストーリー
イースト高校4年のトロイ(ザック・エフロン)はアルバカーキ大のバスケチームに内定し、ガブリエラ(ヴァネッサ・ハジェンズ)はスタンフォード大に合格したが、2人は離ればなれになることを悩んでいた。シャーペイ(アシュレイ・ティスデイル)は、転校生ティアラをパーソナルアシスタントにする。そんなころ、クラス全員がスプリング・ミュージカルのオーディションを受けることになる。演劇部のダーバス先生(アリソン・リード)は、その舞台がジュリアード奨学生の選考になることを発表する。候補になっているのはシャーペイ、ライアン(ルーカス・グラビール)、ケルシー(オリシア・ルーリン)と、申し込んでもいないトロイだった。翌朝、トロイはガブリエラにプロムの申し込みをする。ガブリエラは、トロイがバスケより舞台に惹かれていることを見透かしたように問いかける。トロイは自分の心の変化を認めながら、決断できないでいた。ガブリエラは母親と進路のことで言い争う。そして親友テイラー(コービン・ブルー)の説得も聞かず、スタンフォード大をやめてアルバカーキ大を受講してもいいと言い出す。トロイもまた、アルバカーキ大に行くことを喜んでいる父を裏切り、ジュリアードに進むべきか迷っていた。テイラーは、ガブリエラのことをトロイに相談する。トロイに説得されたガブリエラは、プロムの前にスタンフォードへ行く。トロイは学校の舞台で、練習してきた歌を歌う。それを偶然聞いたダーバス先生は、ジュリアードの志願書をトロイの名前で出したことを告げる。ガブリエラのいないミュージカルはバラバラに壊れていたが、みんなは彼女が戻ってくると思っていた。しかし、2週間かけて仲間から離れていることに慣れたガブリエラは電話で、もう戻らないと言う。トロイはそれを聞き、ある決断をする。ミュージカル“Senior Year”が上演されるプロムの日、トロイはタキシードにバスケット・シューズという姿で、スタンフォードの中庭にいた。




13-11. 冬のライオン

監督 アンソニー・ハーヴェイ
出演 ピーター・オトゥールキャサリン・ヘップバーンジェーン・メロウジョン・キャッスルティモシー・ダルトン
1968年・アメリカ (アブコ・エンバシー)

解説
ヘンリー2世一族の複雑な家族関係を通して人間の権力欲、色あせた恋、陰謀などを描いた、舞台劇の映画化。監督は、これが監督第2作目のアンソニー・ハーヴェイ。自らの舞台劇を脚色したのはジェームズ・ゴールドマン、撮影はダグラス・スローカム、音楽は 「華やかな情事」のジョン・バリー、編集はジョン・ブルームがそれぞれ担当。製作はマーティン・ポール、製作指揮はジョセフ・E・レビンが当っている。出演は、 「チップス先生さようなら」のピーター・オトゥール、 「招かれざる客」のキャサリン・ヘップバーンの二大スターのほかに、ジェーン・メロウ、ジョン・キャッスル、ティモシー・ダルトン、アンソニー・ホプキンズ、ナイジェル・テリー、 「将軍たちの夜」のナイジェル・ストックなど。カラー、パナビジョン。1968年作品。

ストーリー
1183年のクリスマスも近い日。後継者問題で落着かぬ日々を送っているイギリス国王ヘンリー2 世(ピーター・オトゥール)は、忠臣マーシャル(ナイジェル・ストック)に命じ、例年のごとく一族−−幽閉の身の王妃アキテーヌのエレナー(キャサリン・ヘップバーン)、長子リチャード(アンソニー・ホプキンズ)、次男ジェフリー(ジョン・キャッスル)、末子ジョン(ナイジェル・テリー)−−を集めさせた。それぞれの野望に燃えるこの4人に加えて今年は、フランス国王フィリップ(ティモシー・ダルトン)とその姉で、王の愛人であるアレース(ジェーン・メロウ)が加わっていた。全員が集まるやいなや、ジョンを溺愛するヘンリーと、リチャードを嫡子であると主張するエレナーは口先の言葉にかくして互いの憎しみをぶつけあった。また、ジェフリーとフィリップはこの葛藤を利用して、漁夫の利を狙うべく、ひかえていた。そしてこの一族の有様に心悩ますアレースをよそに、王室一族の策謀はめまぐるしく変転。リチャードに愛情を押し売りし、それを盾にアキテーヌの領地返還をヘンリーに迫るエレナー。フィリップと組んで、王と王妃の排撃を計るジェフリーは、ジョンをも仲間に誘い込んでしまった。この茶番劇に失望したアレースは、皆をはげしくののしるが、そんな言葉が、ますます内紛に油をそそぐことになってしまった。問題解決の鍵を、フィリップとの同盟に求めたエレナーは、リチャードを彼の部屋に行かせた。政治家としての術策にたけるフィリップは、先にやって来ていたジェフリーとジョンをカーテンの陰にかくし、リチャードの背徳を二人に示した。そこへ現れたヘンリーは、フィリップの底意を知って、これをなじった。だが逆にフィリップは、リチャードの堕落ぶり、ジェフリーの裏切り、ジョンの不実をことごとく王の眼前に並べたてた。傷心の王は冬の冷気につつまれた屋上に出て、孤独をかみしめ、やがて、3人の息子を地下牢に閉じ込めてしまった。そして、求婚したアレースの求めで、ヘンリーは3人の息子を処刑するため、自ら地下牢へ入っていった。そこには、3人の息子の他に、危機を知って短剣をしのばせ3人を助けに来たエレナーがいた。剣を手にして向い合った親子。ヘンリーはリチャードを斬ろうと剣をふりかぶる。だが、ついにわが子を斬ることはできない。くず折れるヘンリーを残し、3人の息子はそれぞれの領地へもどって行った。そして、宮廷のクリスマスは終った。アレースが去り、再びソールズベリー塔に幽閉されるエレナーも、ヘンリーと、2人の奇妙な愛のかたちを確かめ合いながら。去っていった。あとには人生の冬を迎えたヘンリーが、ほえることを忘れたライオンのように、ひとり川辺にたたずんでいるのみであった。川面をそよ風が渡っていった。




13-12. バッドボーイズ

監督 マイケル・ベイ
出演 マーティン・ローレンスウィル・スミスティア・レオーニチェッキー・カリョジョー・パントリアーノ
1995年・アメリカ (コロンビア トライスター映画)

解説
麻薬盗難事件を追う2人の黒人刑事の活躍を描いたポリス・アクション。主演コンビのノリのよさ、ど派手なアクション演出、テンポのよい展開が小気味よい。監督はCM界の鬼才で、これが初の映画となるマイケル・ベイ。ジョージ・ギャロの原案を、「オスカー(1991)」 のジム・マルホランドとマイケル・バリーのコンビと、「ダイ・ハード2」 のダグ・リチャードソンが脚色。製作は「48時間」「クリムゾン・タイド」 のコンビ、ドン・シンプソンとジェリー・ブラックハイマー、撮影は「危険な情事」「幸福の条件」 のハワード・アサートン。音楽は「スピード」 のマーク・マンチーナがスコアを書き、ダイアナ・キング、キース・マーティン、2Pacなどのヒット曲が全編に散りばめられている。また、「スピード」 のスタント・コーディネーター、ケン・ベイツと同じく爆破コーディネーターのマイク・マイナーダスが参加。主演は「ドゥ・ザ・ライト・シング」「ブーメラン」 などにも出演した全米で人気のコメディアン、マーティン・ローレンスと、ラッパーで「私に近い6人の他人」 のウィル・スミス。共演は「プリティ・リーグ」「ワイアット・アープ」 のテア・レオーニ、「カンヌ映画祭殺人事件」 のチェッキー・カリョ、「赤ちゃんのおでかけ」 のジョー・パントリアーノ、「シュガー・ヒル」 のテレサ・ランドルほか。

ストーリー
マイアミ市警の奥深くに保管されていた1億ドル相当の押収ヘロインが、ある夜、何者かに盗まれた。外部に漏れる前=72時間以内の解決が至上命題となり、麻薬特捜班のハワード警部(ジョー・パントリアーノ)は、その任をマーカス(マーティン・ローレンス)とマイク(ウィル・スミス)の両刑事に命じた。家族主義者のマーカスとプレイボーイのマイクは正反対の性格だが、パートナーシップは抜群。が、勢い余っての暴走が悩みの種だった。彼らはまず窃盗団の侵入経路となった換気口の取り付け業者を洗ったが、すでに殺されていた。そこへホテルでコールガールが殺されたとの報が入る。被害者はマイクの元恋人マックスで、現場にはもう一人の女がいたらしい。マイクはマックスがいた売春クラブへ足を運ぶが、時すでに遅くマダムも何者かに殺されており、彼も襲撃を受ける。その頃、警察にジュリー(テア・レオーニ)と名乗る女から通報が入った。彼女はマックスの親友で、ホテルで殺しの現場を目撃したのだった。マックスは強盗団一味の一人がヘロイン・パーティーを開こうとして呼び出され、仲間うちの争いのとばっちりで殺されたらしい。マーカスは保護を求める彼女を一味の手から救う。ジェリーの証言でマックスの殺害現場にいた一味の一人の面が割れた。男はノアという退職警官で、マーカスとマイクは逮捕のためディスコ・クラブに向かう。ところが、彼らの作戦は復讐に燃えるジュリーの突然の闖入で台無しに。逃げるノアを追う2人の前で、男は車もろとも爆死してしまう。やがて、マーカスたちは暗黒街に精通する情報屋のジョジョを締め上げ、秘密のヘロイン精製アジトの存在と全容を聞き出すことに成功。だが、黒幕フーシェ(チェッキー・カリョ)の率いる一味がジェリーをさらい、全市に非常警戒体制が敷かれた。完全武装でフーシェ一味を追撃するマーカスとマイク。壮絶な戦いの果てにフーシェを追いつめた二人は、見事敵を倒した。




13-13. ハート・オブ・ウーマン

監督 ナンシー・マイヤーズ
出演 メル・ギブソンヘレン・ハントマリサ・トメイローレン・ホリーマーク・フューステイン
2000年・アメリカ (ギャガ・コミュニケーションズ、東宝東和)

解説
メル・ギブソン&ヘレン・ハントが共演したおしゃれなラブ・ストーリー。華やかな広告業界を舞台に、ライバル同士の男女の複雑な恋愛模様がせつなくユーモラスに描かれる。

ストーリー
広告代理店のクリエイティブ・ディレクター、ニックは次期部長とウワサされ、公私共に絶好調。ところが、その椅子を獲得したのはライバル社からヘッドハンティングされたキャリアウーマン、ダーシー。すっかり落ち込んでしまった彼は、ひょんなことから女性の心の声が聞こえる不思議な能力を身に付ける。ニックはダーシーの不安や孤独を知り心惹かれ、ダーシーも気持ちを理解してくれるニックに安らぎを見出す。ライバルの二人はいつしか恋に落ちていくが……。




13-14. あなたになら言える秘密のこと

監督 イザベル・コイシェ
出演 サラ・ポーリーティム・ロビンスハヴィエル・カマラエディ・マーサンスティーヴン・マッキントッシュ
2005年・スペイン (松竹)

解説
死ぬまでにしたい10のこと」 のイザベル・コヘット監督とサラ・ポーリーが、再び手を組んだ感動作。秘密を抱えた男女が出会い、少しずつ互いの心を開いていく愛の物語だ。

ストーリー
工場に従事するハンナ(サラ・ポーリー)には誰にも打ち明けられない“秘密”があった。友達も作らず何の楽しみも持たず、アパートと勤め先を行き来するだけの日々を送っていた彼女は無理矢理とらされた長期休暇を持て余していたが、これといった目的も持たずに長距離バスに乗り、見知らぬ街を訪れた。そこで出会った男から、期限付きで看護士として雇われる事になったハンナ。海の真ん中にぽつんと浮かぶ油田掘削所に連れていかれ、ベッドに寝たきりのジョゼフ(ティム・ロビンス)の看護をすることになる。数日前に起きた事故で重傷を負い、目も見えなくなってしまっていたジョゼフは塞ぎ込む様子もなく、明朗で、いたって気さくに話しかけて来るが、ハンナはとりあわずに黙々と看護作業に勤しんだ。事故の影響で操業を休止している工場は静まり返っていたが、ここでは様々な人々が暮らしていた。黙々と看護をしつつもジョゼフのジョークに和まされ、会話に引き込まれていくハンナ。二人は「相手の秘密を知りたければ自分の秘密を一つ教える」という契約を結び、ハンナは実は耳が悪くて補聴器をしている事を教えるが、その原因は明かさなかった。ジョークとも嘘とも分からない“秘密”を教え合って日々を過ごす二人。やがて、ジョゼフのジョークに声を上げて笑うようにまでなったハンナに、ジョゼフは最後の秘密を打ち明ける。さきの事故の唯一の死者は彼の無二の親友であり、本当は事故死などではなく自ら炎に飛び込んで自殺したのだと言う。そして最後に、それは男の妻とジョゼフの浮気が原因なのだと付け加えた。数日後、陸の病院がジョゼフを迎えに来る日を明日に控え、ハンナは今まで誰にも打ち明けることの出来なかった最大の“秘密”をジョゼフに語り始めるのだった。




13-15. すべて彼女のために

監督 フレッド・カヴァイエ
出演 ヴァンサン・ランドンダイアン・クルーガーランスロ・ロッシュオリヴィエ・マルシャルアムー・グライア
2008年・フランス (ブロードメディア・スタジオ)

解説
ミリオンダラー・ベイビー」のポール・ハギスによるリメイクも進行中のフランス発のサスペンス。殺人容疑で投獄された妻と、彼女を信じ抜く夫。強い絆で結ばれた夫婦の愛の行方を描く。

ストーリー
フランス、パリ。国語教師のジュリアン(ヴァンサン・ランドン)と出版社に勤める妻のリザ(ダイアン・クルーガー)は、一人息子・オスカル(ランスロ・ロッシュ)とともに平凡ながらも幸せな生活を送っていた。だが、ある朝、突然警察が家に押し入り、リザを上司殺人容疑で逮捕、投獄してしまう。やがて、3年の時が経ち、リザに禁固20年の刑が宣告される。無実の罪を必死に主張するリザであったが、状況証拠などから、誰もが彼女の罪を確信していた。夫のジュリアンを除いては……。しかし、リザの人生に残されたのは絶望だけだった。リザは次第に衰弱し、精神も不安定になっていく。そんな妻を支えながらも、ジュリアンは絶対に諦めようとはしなかった。再び3人の生活を取り戻すため、リザに生きる希望を与えるためにジュリアンはある決意をする。それは、正義、道徳、地位、信頼、そして未来、人生の全てをなげうってしまうことであった。果たして二人が迎える究極の結末とは……。




13-16. マーサの幸せレシピ

監督 サンドラ・ネットルベック
出演 マルティナ・ゲデックセルジオ・カステリットマクシメ・フェルステジビレ・カノニカカーチャ・シュトゥット
2001年・ドイツ (アミューズピクチャーズ)

解説
ドイツの新進女性監督による、ほのぼの感漂うヒューマン・ドラマ。現代の食文化を背景に、愛に不器用な女性シェフの自分探しと成長を、生き生きと描いた珠玉作だ。

ストーリー
ドイツのフランス料理店で働くマーサ(マルティナ・ゲデック)は絶対味覚を持つ一流シェフだが、自分の殻に閉じこもっている女性だ。ところが、急逝した姉の8歳の娘リナ(マクシメ・フェルステ)と一緒に暮らすことになり、生活が大きく変わり始める。マーサの料理も子守の女性も拒むリナだったが、陽気なイタリア人シェフのマリオ(セルジョ・カステリット)に心を許し、休日はマーサの家で彼の料理を食べたいと言い出す。当初彼を嫌っていたマーサも、マリオの優しさと愛情のこもったイタリア料理に心が和み、次第に彼を愛し始めていた。そんな矢先、マーサはリナが学校をさぼって徘徊している事を知り、さらには父のいるイタリア行きの切符を買おうとして補導されてしまい、自分が母親代わりになれないと知り落ち込む。その夜、料理を持って家にきたマリオと遂に結ばれるのだった。翌朝、マーサが探してあげていたリナの父ジュゼッペ(ディエゴ・リボン)が現れ、リナを引き取って行く。マーサはリナを失って心を痛め、マリオにきつくあたり、店では店長と口論の挙句に辞めてしまう。そんなマーサは決心し、マリオと共にリナの元へ向かうのだった。そして2人は結婚する。




13-17. シカゴ

監督 ロブ・マーシャル
出演 レニー・ゼルウィガーキャサリン・ゼタ=ジョーンズリチャード・ギアクイーン・ラティファジョン・C・ライリー
2002年・アメリカ (ギャガ=ヒューマックス)

解説
ブロードウェイの名作ミュージカルを豪華キャストで映画化。スキャンダルを逆手にとり人気を得る2人の歌姫と、その運命を握る敏腕弁護士の愛と欲望が華麗に交錯する。

ストーリー
1920年代、シカゴ。ヴォードヴィルのスターを夢見るロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)は、人妻でありながら、自分をショーに売り込んでくれるというケイスリー(ドミニク・ウェスト)と浮気していたが、その言葉が嘘だったことを知り、彼を撃ち殺し逮捕されてしまう。一方、ロキシーの憧れの歌姫、ヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)も殺人罪で逮捕されていた。しかしヴェルマは女看守長ママ・モートン(クイーン・ラティファ)を買収して敏腕弁護士ビリー・フリン(リチャード・ギア)を雇い、夫と姉に裏切られた被害者として自分を演出し、スターとしてのステイタスをさらに上げている。それを真似ようとしたロキシーは、お人好しの夫エイモス(ジョン・C・ライリー)を使ってビリーを雇う。かくしてロキシーはマスコミの同情を買い、シカゴ史上最もキュートな殺人犯として獄中から一世を風靡する。スターの座を得たロキシーはヴェルマを見下すが、社交界の花形令嬢キティー(ルーシー・リュー)が殺人事件を起こした途端、マスコミの関心はそっちに移った。ロキシーは巻き返しを図り、ビリーと共に無罪判決を勝ち取る賭けに出る。見事無罪になったのだが、しかしその途端、マスコミや世間は彼女から離れてしまった。あっという間に落ちぶれたロキシーに、やはりくすぶっていたヴェルマが、自分と組まないかと話を持ちかける。かくしてロキシーとヴェルマは、コンビとなり華やかな舞台で歌い踊るのだった。




13-18. ラスト・ソング

監督 ジュリー・アン・ロビンソン
出演 マイリー・サイラスリアム・ヘムズワースボビー・コールマンケリー・プレストングレッグ・キニア
2010年・アメリカ (ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン)

解説
人気アイドル、マイリー・サイラス主演の青春ストーリー。ティーンエイジャーの少女が初めて知る恋と、余命わずかの父親と暮らすひと夏の物語が情感豊かに描き出される。

ストーリー
ニューヨークの女子学生ロニー(マイリー・サイラス)は、母と離婚した父スティーブ(グレッグ・キニア)と夏休みを過ごすため、弟とともに小さな海辺の町を訪れる。かつては音楽好きの親子として、ピアノの前で一緒に楽しい時間を過ごした元ピアニストの父と娘。だが、離婚によって関係がギクシャクしていた2人の久しぶりの再会は、ぎこちないものだった。娘との関係修復を図ろうとするスティーブだったが、その意図に反してロニーはコテージに居づらさを覚える。その一方で彼女は、海岸で知り合った青年ウィル(リアム・ヘムズワース)と次第に親しくなってゆく。それが初めての恋だと気付く頃、ロニーは父が隠していた秘密を知る。父と一緒に過ごすことができるのは、この夏が最後だったのだ……。




13-19. 天国の約束

監督 ジェームズ・フォーリー
出演 ジェリー・バローンメアリー・エリザベス・マストラントニオアル・パチーノパトリック・ボリエロアンディ・ロマーノ
1995年・アメリカ (パイオニアLDC=メディアボックス=シネセゾン配給(提供*パイオニアLDC))

解説
大恐慌時代のアメリカの田舎町を舞台に、少年と祖父の心温まる交流を描いた感動作。監督は「摩天楼を夢みて」のジェームズ・フォーリー。製作は「ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー」のアーサー・コーン。製作総指揮はウィリー・ベアーとデイヴィッド・コーダ、そしてTVシリーズや「サイコ」の脚本家として知られるジョゼフ・ステファーノ。脚本はステファーノ。撮影は「摩天楼を夢みて」のファン=ルイス・アンキア。音楽は「チェンバー 凍った絆」のカーター・バーウェル。美術は「摩天楼を夢みて」のジェーン・マスキー。編集はハワード・E・スミス。衣裳はクラウディア・ブラウン。主演は「フェイク」のアル・パチーノ。共演は「訴訟」のメアリー・エリザベス・マストラントニオ、全米から集まった730人のオーディションから選ばれたジェリー・バローンほか。

ストーリー
1933年、南フィラデルフィア。12歳のジェンナーロ(ジェリー・バローン)は、新装の映画館〈ラ・パロマ〉に入場するための25セントが欲しくて仕方がない。自宅の裏庭で毎日座って暮らしている祖父ガエタノ(アル・パチーノ)は、自分が死んだら25セントやるという約束をジェンナーロと立てていたが、ジェンナーロは大好きな祖父に死んでもらいたくない。苦しい家計を一人で支えている母ルイザ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)に頼んでも無駄であった。そこで自分で稼ぐことを決意する。その過程で少年は、貧困にあえぐ中年女性がジャガイモを盗む現場と遭遇したり、ブルーナ医師(アンディ・ロマーノ)の妻(ドナ・ミッチェル)から誘惑されたあげく彼女の首吊り死体を発見するというショッキングな出来事を体験したりする。やがて祖父の容態が悪くなり、ジェンナーロは彼を見舞いに裏庭へ行く。そして祖父が静かに息を引き取ると、彼の手から25セント硬貨が転げ落ちてくる。ジェンナーロをそれを持って、憧れの<ラ・パロマ>に入場するのだった。




13-20. 僕の彼女を紹介します

監督 クァク・ジェヨン
出演 チョン・ジヒョンチャン・ヒョクキム・テウクチャン・ホビンキム・スロ
2004年・韓国、香港 (ワーナー)

解説
猟奇的な彼女」 の監督&主演女優コンビが放つラブ・ファンタジー。無鉄砲な婦人警官と心優しい高校教師の恋が呼び起こす奇跡を、ドラマチックにつづる。

ストーリー
正義感は強いが思い込みの激しい熱血女性巡査ヨ・ギョンジン(チョン・ジヒョン)は、犯人逮捕に協力しようとしていた女子高の新米物理教師コ・ミョンウ(チャン・ヒョク)を誤認逮捕してしまう。とんだ災難に遭ったミョンウだったが、ある日、青少年の非行防止のために訪れた交番で、再びギョンジンと遭遇してしまう。思わず逃げ出そうとする彼を、素早く手錠で捕まえる彼女。そのまま夜間パトロールに連れ出されたミョンウは、ギョンジンのせいで麻薬密売組織による銃撃戦にまで巻きこまれ、命がけの一夜を過ごす。そんな出会いにもかかわらず、2人はまもなく恋に落ちた。しかし幸せな日々は長く続かず、危険な撃ち合いの現場に来てしまったミョンウを、皮肉にもギョンジンが犯人と間違って射殺してしまう。絶望に沈むギョンジンだったが、やがてミョンウは、風になってギョンジンのもとを訪れる。そして魂が天国へ昇ってゆく直前に、ミョンウはギョンジンに新しい出会いがあることを示唆する。そしてギョンジンは、駅のホームで出会った男(チャ・テヒョン)に運命を感じるのだった。




13-21. ウォール街  

監督 オリヴァー・ストーン
出演 チャーリー・シーンマイケル・ダグラスマーティン・シーンテレンス・スタンプショーン・ヤング
1987年・アメリカ (20世紀フォックス)

解説
ニューヨーク・ウォール街を舞台に一獲千金を狙う男たちの世界を描く。製作はエドワード・R・プレスマン、監督は「プラトーン」 のオリヴァー・ストーン、脚本はストーンとスタンリー・ワイザー、撮影はロバート・リチャードソン、音楽はスチュワート・コープランドが担当。出演はチャーリー・シーン、マイケル・ダグラス、マーティー・シーン、ダリル・ハンナほか。専門用語監修は寺沢芳男(野村証券取締役副社長)。

ストーリー
若き証券セールスマン、バド・フォックス(チャーリー・シーン)は、貧乏人から巨万の富を築いた成功者ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)をいつか追い抜こうという野望に燃えていた。ゲッコーと5分間の面会時間をとるのに数カ月もかかった。バドはブルースター航空に技師として働く労働者階級の父(マーティン・シーン)から会社の経営状況に関する情報を入手し、それをゲッコーに流した。彼はバドをすっかり気に入り、バドの証券会社を通して取り引きするようになった。バドはゲッコーのやり口を徹底的に研究し、実績をあげていき期待に応えた。バドが流したインサイダー情報を利用した取引は違法行為だが、莫大な報酬を手に入れたバドは成功の甘い香りに酔っていた。ゲッコーの家で行なわれたパーティーで、バドはインテリア・デザイナーのダリアン(ダリル・ハンナ)と知り合い恋におちた。実はゲッコーが彼女のパトロンだったが、彼は2人を結びつけ同棲させた。バドは豪華なマンションに2人の愛の巣を築いた。ゲッコーはブルースター航空を乗っ取るべく組合員を懐柔しようとしたが、バドの父は拒否、父子で激しく喧嘩した。ゲッコーの狙いは、バドをかいらい社長として送り込み、会社を解体し、合併会社に買いとらせようというもので、会社を再建するつもりなど毛頭なかった。バドはやっと自分がゲッコーに利用されていることに気がついた時、父が心臓発作で倒れた。労働の喜びとともに誠実に生きた父を見たバドは、自分のあさましさに気づき、ブルースター航空会社を組合つきでゲッコーのライヴァル、ワイルドマン(テレンス・スタンプ)に買い取ってもらう交渉をした。バドの裏切りを知らないゲッコーとワイルドマンの激しい攻防戦の末、ワイルドマンの勝利となり、ブルースター航空は生き残ることになった。ゲッコーの恐ろしさを知っているダリアンはバドのもとを去った。証券取引委員会はブルースター航空の株取引を調査、インサイダー取引の罪でバドを逮捕した。仮出所したバドを呼びだしたゲッコーは彼を殴りつけた。だが、その時に怒りにまかせて話した言葉をバドはテープに録音していた。それはゲッコーがインサイダー取引で逮捕されるに充分な証拠だった。元気になった父とバドは会った。バドは罪をつぐなうため検事局の階段を昇っていった。




13-22. テラビシアにかける橋

監督 ガボア・クスポ
出演 ジョシュ・ハッチャーソンアナソフィア・ロブズーイー・デシャネルロバート・パトリックベイリー・マディソン
2007年・アメリカ (東北新社)

解説
児童文学の名作を 「ナルニア国物語」の製作陣が映画化。貧しい少年と転校生の少女が空想する王国をVFXを駆使して幻想的に映し、彼らの友情と悲しい運命を描く感動ドラマだ。

ストーリー
田舎町の貧しい家庭で育つ小学5年生の少年、ジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)。世界のどこにも自分の居場所を見出せないジェスだったが、唯一の慰めは、奇妙な生き物を空想し、それをスケッチブックに描くことだった。ある日、校内の短距離レースでトップを走っていたジェスは、思わぬライバルの出現に大敗を喫してしまう。それは裕福な芸術家夫妻の娘で、転校生のレスリー(アナソフィア・ロブ)だった。第一印象こそ悪かったが、田舎町には珍しい個性的なファッションに身を包み、偏見を持たないレスリーに、ジェスは次第に心惹かれていく。やがて共に遊ぶようになった二人は、森の中にトゥリー・ハウスを発見する。レスリーの導きによって、二人はそこに美しい空想上の王国「テラビシア」を創り上げていく。不思議な生き物と城、美しい自然に囲まれた秘密の王国で、王と女王として君臨するようになる二人。「テラビシア」での冒険を通して、ジェスとレスリーは友情を育んでいく。そしてこの冒険は、灰色だったジェスの人生を虹色に彩り、彼を生き生きとした少年に変えていく。密かに憧れていた音楽教師のエドマンズ先生も、ジェスの芸術的才能に気づいて目をかけるようになっていた。しかし、そんなある日、突然の悲劇がジェスとレスリーを襲う……。




13-23. サブウェイ

監督 リュック・ベッソン
出演 イザベル・アジャーニクリストファー・ランバートリシャール・ボーランジェミシェル・ガラブリュジャン=ユーグ・アングラード
1984年・フランス (シネセゾン)

解説
パリの地下鉄構内に棲息する若者たちの風変りな生活を背景に犯罪に捲き込まれる一人の若者を描く。製作・監督・脚本はリュック・ベッソン。共同製作はフランソワ・ルジェリ、共同脚本はピエール・ジョリヴェ、アラン・アンリ、ソフィー・シュミット、マルク・ペリエ、撮影にカルロ・ヴァリーニ、音楽はエリック・セラ、編集はソフィー・シュミット、美術はアレクサンドル・トローネが担当。出演はイザベル・アジャーニ、クリストファー・ランバートなど。

ストーリー
大都市の下に縦横に走るパリの地下鉄。その軌道のさらに地中深くを地下溝が迷路のようにはりめぐらされている場所があった。そこを拠点に勝手きままに生活する若者フレッド(クリストファー・ランバート)は、パンク・ファッションを思わせる逆立てた金髪に黒いタキシードという妙な出立ちをしている。彼は、自ら引き起こしたトラブルで男たちに追われ、盗んだ車でパリの街中を疾走する。彼は美しい人妻エレナ(イザベラ・アジャーニ)に招待されたパーティで、金庫を爆破しエレナの夫の重要書類を盗んだのだ。フレッドから、書類を引きかえに現金を持って来るように指示されたエレナは、約束の地下鉄のホームにやってくる。フレッドは、エレナに一目惚れし、彼女もフレッドに興味を覚えていた。地下の迷路には風変わりな若者たちがいっぱいいる。ローラースケートを自在に乗りこなす男(ジャン・ユーグ・アングラード)、ボディビルに励む怪力男、花売り男(リシャール・ボーランジェ)等々。子供の頃の事故で歌を歌えなくなったフレッドは、コンサートを開くという大きな夢があった。彼は地下に潜む若者たちを集めて地下鉄でロックコンサートを開こうとする。一方、エレナは、金持ちだが、気取った性格の夫にイヤ気がさしていた。そして、夫よりフレッドとの生活を選んだ。彼女は夫の手下からフレッドを守るため、ジェズベール警部(ミシェル・ガラブリュ)にフレッドを探し出すよう依頼する。追手を煙に巻きながらフレッドと仲間たちは着々とコンサートの日を迎える。盛況のうちにコンサートが進行する中、エレナが近づき、彼に手をさしのべる。その途たんフレッドの背後から銃口が火をふいた。倒れるフレッド。しかし、一度閉じた彼の目が、再び大きく見開かれるのだった。




13-24. イングリッシュ・ペイシェント  

監督 アンソニー・ミンゲラ
出演 レイフ・ファインズジュリエット・ビノシュウィレム・デフォークリスティン・スコット・トーマスコリン・ファース
1996年・アメリカ (松竹富士配給(松竹=アミューズ=デジタル・メディア・ラボ提供))

解説
第二次大戦を挟む激動の時代、二つの大陸にまたがって繰り広げられる愛のロマンを描く、官能的な映像叙事詩。世界で最も権威ある文学賞といわれるイギリスのブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの長編小説「イギリス人の患者」(邦訳・新潮社)を、「最高の恋人」 のアンソニー・ミンゲラの監督・脚本で映画化。製作は「アマデウス」「存在の耐えられない軽さ」 のソウル・ゼインツ、製作総指揮は「ファーゴ」 のボブとハーヴェイのワインステイン兄弟、スコット・グリーンステイン。エロティックに砂漠の映像をとらえた撮影は「アメリカン・プレジデント」 のジョン・シール、音楽は「愛と勇気の翼」 のガブリエル・ヤーレ、衣裳は「バードケージ」 のアン・ロスが担当。主演は「ストレンジ・デイズ 1999年12月31日」 のレイフ・ファインズ、「ミッション:インポッシブル」 のクリスティン・スコット=トーマス、「カウチ・イン・ニューヨーク」 のジュリエット・ビノシュ。共演は「愛しすぎて 詩人の妻」 のウィレム・デフォー、「カーマ・スートラ 愛の教科書」 のナヴィーン・アンドリュース、「サークル・オブ・フレンズ」 のコリン・ファース、「対決」 のユルゲン・プロホノフほか。第69回アカデミー賞で監督賞、助演女優賞(ジュリエット・ビノシュ)、美術賞、撮影賞、衣裳デザイン賞、編集賞、オリジナル作曲賞、音響賞の9部門を受賞。第54回ゴールデン・グローブ賞で作品賞、オリジナル作曲賞を受賞。97年キネマ旬報外国映画ベスト・テン第5位。

ストーリー
44年、イタリア。砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶の大半を失って生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。戦争で恋人も親友も亡くして絶望にかられていた看護婦のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は移動する部隊を離れて、爆撃で廃墟と化した修道院に患者を運び込み、献身的な看護を続ける。男は断片的に甦る思い出をハナに聞かせる。彼の名はアルマシー(レイフ・ファインズ)。ハンガリーの伯爵の家柄に生まれた冒険家の彼は、英国地理学協会に加わり、アフリカはサハラ砂漠で地図作りに没頭していた。38年、協会のスポンサーとして夫ジェフリー(コリン・ファース)と共に参加していたキャサリン(クリスティン・スコット=トーマス)は、夫が英国情報部のカイロに戻った後も砂漠に居残った。アルマシーはたちまち彼女に心奪われる。猛烈な砂嵐に見舞われた一夜、2人きりで過ごしたジープの中で互いの心を知った彼らは、カイロに戻ってアルマシーの宿舎で結ばれた。人目を忍び密会を重ねる日々に、キャサリンは愛し愛される喜びと、夫に対する罪悪感の狭間で揺れる。折りしも戦争の機運が高まり、彼女アルマシーと別れて帰国しようとするが、彼には彼女のいない人生は考えられなかった。2人の関係はやがてジェフリーに知れ、彼は嫉妬に狂った復讐の決意を胸に、小型機の助手席にキャサリンを乗せ、ジルフ・ケビールの“泳ぐ人の洞窟”近くでキャンプの引き上げ作業にあたるアルマシーの元へ向かった…。ハナと患者の前にカナダ人のカラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)が現れ、納屋に居候する。戦前のカイロで英国情報部に出入りしていた彼は、スパイ容疑でドイツ軍将校(ユルゲン・プロホノフ)に親指を切り取られ、その原因がアルマシーと思い込み、報復を果たそうと行方を探していたのだ。さらに、爆弾処理専門のインド人中毒キップ(ナヴィーン・アンドリュース)が修道院の中庭にテントを張って住み始め、ハナとキップの間に愛が芽生える。やがて迎えた終戦の日。人々が祝うさなか、キップの部下が事故で爆死し、ハナは悲しみを分かち合おうとする。一方、カラヴァッジョが敵意を剥き出しにして言った「アルマシーがスパイだと知って、おまえの親友マドックス(ジュリアン・ワドハム)は拳銃自殺したんだぞ」という言葉に、アルマシーの記憶が一気に甦った。あの日、キャサリンとアルマシーもろとも自殺をもくろんだだジェフリーは、地上のアルマシーに向かって飛行機を突進させるが失敗。ジェフリーは絶命し、アルマシーは瀕死の重傷を負ったキャサリンを洞窟に運ぶと「必ず戻ってくる」と約束し、三日三晩、砂漠を歩き続ける。だが、ようやくたどり着いた町で彼はスパイと疑われ、護送列車から脱走したアルマシーは愛する人の命を救いたい一心で、地図をドイツ軍に売り渡し、飛行機でキャサリンの元へ急いだ。だが、時既に遅く、彼女は息絶えていた。アルマシーは彼女の亡骸を乗せ、飛行機で彼女の故国イギリスを目指して砂漠を飛び立つ。やがて、彼の機は撃墜され、彼は英国人の患者として収容されたのだった…。話を聞き終えたカラヴァッジョの胸からは、報復の決意は消えていた。やがて、アルマシーの最後を看取ったハナの心にも、死を乗り越えて存在する愛の奇跡が深く刻み込まれた。




13-25. 若草の萌えるころ

監督 ロベール・アンリコ
出演 ジョアンナ・シムカスカティーナ・パクシーシュザンヌ・フロンジョゼ・マリア・フロタスポール・クローシェ
1968年・フランス (ユニヴァーサル)

解説
フランスの女流作家リュシエンヌ・アモンのオリジナル・ストーリーを、彼女と「オー!」 のピエール・ペルグリ、ロベール・アンリコの三人が脚色、ロベール・アンリコが監督した青春抒情篇。撮影のジャン・ボフティ、音楽のフランソワ・ド・ルーベは共に「オー!」 のチーム。出演は、「オー!」 のジョアンナ・シムカス、「戦争は終った」 の新星ジョゼ・マリア・フロタス、「若者のすべて」 のギリシャの名女優カティーナ・パクシー、「太陽のならず者」 のシュザンヌ・フロンほか。製作はルネ・ピニエール、ジェラール・ベイトー。

ストーリー
アニー(J・シムカス)にとってジタ伯母さん(K・パクシー)は、実の母のイベットよりも親しく、そしてやさしい存在だった。父はスペイン戦争の闘士だったが、アニーが二歳の時、消息をたち、以後、女ばかり三人で暮している。そのジタ伯母さんが倒れた。かけつけた医師ベルナールは回復はむずかしいという。翌日になっても、伯母さんの意識は回復しない。−−あんなに私を愛してくれた、ジタ伯母さんが死んでしまうかも知れない−−アニーは眠れなかった。そして、眠れぬままに、夜の街にさまよい出た。初めて、一人歩くパリの夜の裏街はまるで別世界のよう。やがてチェロをかついで行く青年の後を、意味もなくついて行く。そして若者たちの集まる酒場へ入って行った。そのチェロの青年は、シモン(J・M・フロタス)といい、モデル・カーのレースに夢中。再び彼女は街にとび出した。そこで出逢った浮浪者のような男。彼は、のら猫を追いまわしている。ジタ伯母さんの死を前にしたアニーにとっては、猫一匹殺すことも許せない。悲鳴をあげるアニー。そして、浮浪者ともども警察に保護されてしまった。その浮浪者はスペイン人だった。自分の父も自由スペインのために身をていした闘士。何か心の通うものがあった。やがてベルナールが身柄を引きうけにやってきた。そして彼女を慰めようとナイトクラブにつれて行く。そこで、先の酒場で知りあった黒人青年と、ピレネー山地の羊飼いボニーと再会。アニーはボニーに送られて家へ。彼には心惹かれるものがあったが何事もなく別れた。しかし彼女は家の中に入ることが出来ない。また一人で街へそして再びチェロを持った青年シモンと出逢った。彼の車で郊外へ。夜が白々と明けてくる。一度は、シモンから逃げだしたアニーだったが道の真ん中で、チェロを弾いて待ち伏せている彼の姿。何故か彼女は感動する。そして二人は、かつてアニーたち一家が住んでいた郊外の邸へ行ってみた。住む人もなく、荒れはてていたが、アニーはそこに無限の幸福の幻影をみる。元気だった、ジタ伯母さん!翌朝目がさめるとアニーはシモンの下宿のベッドに横たわっていた。彼を起こさないように、そっと身支度をするアニー。家にもどった時、ジタ伯母さんは死んでいた。アニーが、初めての愛の一夜を過したその同じ夜、ジタ伯母さんは息をひきとったのだ。アニーは再び幻影をみる。それはまだ幼い日の頃、邸の庭で遊ぶ自分とジタ伯母さんの姿だった。まるで、かくれんぼのように姿を消してしまった伯母さん。“ジタ、ジタ”と探し求める、幼い日のアニーの声が聞えてくる。




13-26. 50回目のファースト・キス

監督 ピーター・シーガル
出演 ドリュー・バリモアアダム・サンドラーロブ・シュナイダーショーン・アスティンダン・エイクロイド
2004年・アメリカ (ソニー・ピクチャーズ)

解説
アダム・サンドラー&ドリュー・バリモア共演のラブ・コメディ。常夏のハワイを舞台に、奇妙な記憶障害をもつ女性に恋した青年の奮闘を、コミカルかつせつなくつづる。

ストーリー
常夏のハワイの小さな島。行きつけのカフェ、フキラウ・カフェで朝食をとるルーシー(ドリュー・バリモア)に、男が声をかけてきた。シーライフ・パークで動物たちの面倒を見るプレイボーイの獣医ヘンリー(アダム・サンドラー)だ。ルーシーの大好きなワッフルや海洋生物について話すうち意気投合した2人は、翌朝もカフェで一緒に朝食を食べようと約束する。翌日、ルーシーの前に約束通りヘンリーが現れるが、彼女はなぜか冷たい態度をとって他人のふり。混乱するヘンリーに、カフェのオーナーがルーシーの抱える病気について教えてくれた。1年前の10月、ルーシーは交通事故に遭い、その後遺症で記憶障害になってしまったのだ。短期の記憶を保持することができず、一晩寝ると前日起きたことを全部忘れてしまうという。父親のマーリンと弟のダグ(ショーン・アスティン)の影ながらの努力もあって、彼女は毎日、そうとは知らずに同じ一日を繰り返し生きていた。ルーシーにすっかり恋してしまったヘンリーは、この日を境に恋のアプローチを開始する。毎日、彼女との初対面から始め、少しだけ心が通じたり、フラれたりの繰り返し。それでもヘンリーはメゲずに、ルーシーの笑顔見たさにアプローチを続ける。そんなある日、ルーシーに変化が起こる。毎朝ヘンリーのことは忘れてしまっているはずなのに、彼と話した日は楽しそうに両親の思い出の曲『Wouldn't It Be Nice』を歌うようになっていた。記憶の深いところでは、ヘンリーに好意を抱きその想いは持続しているのか…。ある日、ルーシーはハプニングで、時間が一年間自分の中で止まったままなことを知る。マーリンとダグは、こんな時いつも行く病院にルーシーを連れて行く。主治医のDr.キーツ(ダン・エイクロイド)から「あなたの記憶障害は一生治る見込みはない」と、衝撃的な事実を告げられたルーシーはショックを受けるが、翌日には忘れてしまう。ヘンリーは、毎日がお膳立ての繰り返しであるルーシーの人生を変えるため、病気の事実と愛の告白を綴ったビデオを作る。以来、ルーシーの一日はヘンリーの告白ビデオを見てから始まることになった。ビデオを見た直後は絶望の淵に追い詰められるが、心からの愛の言葉を語り続けてくれるヘンリーの優しさと深い愛に触れ、毎日毎日、彼と恋に落ちるルーシー。一日も欠かすことなくヘンリーとデートをし、最高のファースト・キスを重ねていく幸せな日々が続いた。そんな幸せの絶頂の中、ルーシーは、ヘンリーがセイウチの生態研究の為にアラスカに行く夢を、自分のために断念したことを知る。ルーシーは、「私と一緒にいたら彼の未来はない」と思い、自分が愛する人の重荷にならない為、別れを決意するが……。




13-27.

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ロッド・テイラージェシカ・タンディティッピー・ヘドレンスザンヌ・プレシェットヴェロニカ・カートライト
1963年・アメリカ (ユニヴァーサル)

解説
鳥が人間を嫌い、食いちぎるという残酷な恐怖ドラマ。原作は女流作家ダフネ・デュ・モーリアの 「」 であり、それを 「逢うときはいつも他人」 のエヴァン・ハンターが脚色した。監督は 「ロープ」 のアルフレッド・ヒッチコック、撮影は 「結婚泥棒」 のロバート・バークス、特殊撮影はアブ・アイワークス、音楽はレミ・ガスマンとオスカー・サラの2人。出演者は 「海賊魂」 のロッド・テイラー、 「40ポンドのトラブル」 のスザンヌ・プレシェット、 「青年」 のジェシカ・タンディ、チャールズ・マグロー、新人女優ティッピー・ヘドレンなど。製作は前記ヒッチコック。

ストーリー
突然、舞い降りてきた1羽のかもめが、メラニー・ダニエルズ(ティッピー・ヘドレン)の額をつつき飛び去った。これが事件の発端だった。不吉な影がボデガ湾沿いの寒村を覆った。若い弁護士ブレナー(ロッド・テイラー)は異様な鳥の大群を見て、ただならぬ予感に襲われた。そして、ほどなくブレナーの予感は現実となった。鳥の大群が人間を襲い始めたのだ。アニー(スザンヌ・プレシェット)の勤める小学校の庭では、無数のかもめが生徒を襲撃した。メラニーが恋人ブレナー家へ夕食によばれた夜、暖炉の煙突から、突然、すずめに似たフィンチが何百羽となく舞い込んできた。が、ブレナーがやっとのことで追い払った。どこからともなく飛来してくる鳥の群れは、ますます増える一方だった。そして、ついに鳥による惨死者が出た。農夫が目玉をくり抜かれて死んでいたのだ。授業中のアニーは、ふいにメラニーの来訪を受け、外を見て足がすくんだ。おびただしい鴉の群れが校庭の鉄棒を黒々とうずめていたからだ。鋭い口ばしをとぎ、鴉の大群が小学生を襲った。ブレナーの妹をかばったアニーは、無残にも鴉の群れにつつき殺された。この襲撃を機に、今まで不気味な動きを見せていた鳥の大群が、せきを切ったように人家に殺到してきた。顔といわず手といわず彼らの襲撃は凄絶をきわめた。もはや一刻の猶予もない。ブレナーは失神したメラニーを家族と一緒に車に乗せサンフランシスコへの脱出を決心した。




13-28. ミート・ザ・ペアレンツ

監督 ジェイ・ローチ
出演 ロバート・デ・ニーロベン・スティラーテリー・ポロブライス・ダナージェームズ・レブホーン
2000年・アメリカ (UIP)

解説
恋人の父親に苦戦する青年を描くラブ・コメディ。娘のボーイフレンドをいびる厳格な父親と、彼に気に入られようと苦戦する青年との関係をつづる爆笑作だ。

ストーリー
シカゴの病院で働く看護士グレッグ(ベン・スティラー)は、小学校の教師をしているパム(テリー・ポロ)との結婚を許してもらうため、彼女の両親、父ジャック(ロバート・デ・ニーロ)と母ディーナ(ブライス・ダナー)が住むロング・アイランドの高級住宅地へと向かう。なんとかジャックに気に入られようと努力するグレッグだったが、猫好きのジャックは彼が猫嫌いなのも、また姓がファッカーに似たフォッカーなのも気に入らず、全ては仇となるばかり。そして、ジャックは嘘発見器なるものを持ち込み、グレッグを質問責めにする。実はジャックは元CIAで、心理尋問のプロだったのだ。しかも翌日、貸し衣裳屋で、ジャックはグレッグが脱いだ上着のポケットにマリファナパイプを見つけて、彼の麻薬疑惑を深めてしまう。さらにパムの前の婚約者だったケヴィン(オーウェン・ウィルソン)の豪邸で、ジャックは空港から届いたスーツケースの中にあったSM道具をグレッグのものだと勘違いして、身元調査まで始めてしまった。やがてさんざんな目に遭い、家を追い出されてしまったグレッグは、一人寂しく空港に向かう。しかし娘が本当に彼を愛していると気づいたジャックは、空港まで車を走らせグレッグを引き止めに行った。かくしてグレッグとパムの結婚は許されたのだが、先の滞在中に隠しカメラで撮られた、グレッグがジャックに悪態をつく姿の映像を、ジャックが一人見つめるというオチがつくのだった。




13-29. ミート・ザ・ペアレンツ2

監督 ジェイ・ローチ
出演 ロバート・デ・ニーロベン・スティラーダスティン・ホフマンバーブラ・ストライサンドブライス・ダナー
2004年・アメリカ (アスミック・エース)

解説
米国で実写コメディの歴代1位となる大ヒットを記録。前作で恋人のパパにイジメられた青年が、両家の対面によって新たな危機に直面する姿を描いた爆笑作だ。

ストーリー
看護士のグレッグ・フォッカー(ベン・スティラー)は、ようやく恋人パム(テリー・ポロ)の父親で元CIAの堅物ジャック・バーンズ(ロバート・デ・ニーロ)から結婚の承諾を得て、ホッと一安心。パムと共に結婚式の準備を進めていた。あと一つだけ、二人が結ばれるためにやらなければいけない儀式が残されていた。それは互いの両親を引き合わせ、共に週末を過ごす、日本でいう結納である。グレッグとパムは、パムの両親ジャックとディナ、甥のリトル・ジャック、愛猫のジンクスらバーンズ一家と共に、防弾加工が施され、厚さ5センチの強化ガラスがはめこまれた最新鋭のキャンピングカーで、グレッグの両親バーニー(ダスティン・ホフマン)とロズ(バーブラ・ストレイザンド)の住むマイアミへの旅に出ることになった。しかし、両家のご対面を前に、問題はすでに山積みだった。グレッグの両親は陽気で愛情深く素晴らしい人間だが、息子からみてもやや変わっていると言わざるを得ない。だからグレッグはことをスムーズに運ぶため、父は弁護士で、母は医者とジャックにその場しのぎの言い方をしてしまっていた。しかし実際は、バーニーは確かに弁護士だったがグレッグの誕生を機にとっくに休業して専業主夫に、ロズは医者は医者でも高齢者向けの性生活カウンセラーなのだ。グレッグは両親に事情を説明して口裏を合わせてもらおうと、何度も電話をかけていたが、いつも留守電なってしまう。そして、結局なんの説明もできないままついに当日を迎えてしまった。キャンピングカーが南国情緒溢れるフォッカー家の敷地に入ってくると、まず目に飛び込んで来たのはバーニーの奇妙なダンス。本人はブラジルの格闘技カポエラと言うのだが。陽気でジョークが大好きなバーニーと、ユーモアのセンスがゼロのジャック。挨拶こそ無事クリアしたものの、負けず嫌いな二人はことあるごとに大激突! そんな親たちに、グレッグとパムは常に気を揉み、気が休まることはない。バーニーとロズは息子たちの為、彼らなりにニューヨークからの客人たちをもてなそうと努めるが、結局はグレッグの恥をさらしたり、秘密をバラしてしまったりと、何もかも裏目に出てしまう。そして、ついには、グレッグのついた嘘もバレてしまい、ジャックは怒り心頭。さらには、フォッカー家の犬モーゼとバーンズ家の猫ジンクスが激闘を繰り広げ、大変なことに。ジャックが溺愛する孫リトル・ジャックも、グレッグが思わず口にした悪い言葉を覚え、みんなの前で汚い言葉を連発する始末。そんな中、パムは妊娠したことをグレッグに告げる。新しい命の芽吹きに喜びを隠せない二人だったが、結婚前に子供ができたとは頭の堅いジャックには口が裂けても言えない。そして、絶対にバレてはいけない。その一方で、ジャックは15年前にグレッグが迎えた初体験の相手がフォッカー家の元メイドだと知る。さらには、その女性に15歳になる、グレッグに瓜二つな息子がいることがわかった。鬼の首を取ったかのごとく、ジャックはグレッグの身辺調査を始める。秘密が誤解を呼び、誤解が疑惑を招き、事態はとんでもない方向に…。果たして、愛し合うグレッグとパムは無事結婚式まで漕ぎつけることができるのか?




13-30. チャップリンのニューヨークの王様

監督 チャールズ・チャップリン
出演 チャールズ・チャップリンドーン・アダムスオリヴァー・ジョンストンマイケル・チャップリンマクシーヌ・オードリー
1957年・イギリス (東急=大和フィルム)

解説
ライムライト」 につぐチャールズ・チャップリンの製作・脚本・監督・音楽・主演のワンマン・ショウ作品。ニューヨークに亡命した欧州の一小国の王様がくりひろげる行状記を通して、現代アメリカ批判がなされている。撮影は「チャタレイ夫人の恋人(1955)」 のジョルジュ・ペリナール。編曲ボリス・サーベック。出演するのはチャップリンの他に「第五戦線・遠い道」 のドーン・アダムス、オリヴァー・ジョンストン、マクシーヌ・オードリー、チャップリンの息子マイケル・チャップリン、ジェリー・デスモンド、シドニー・ジェームズ、ジョーン・イングラム等。撮影はロンドンのシェパートン撮影所で行われた。

ストーリー
王様シャドフ(チャールズ・チャップリン)はヨーロッパの小国エストロヴィアからアメリカへ亡命した。革命のため国を追われたのだ。ニューヨーク空港に着くと、王様は指紋をとられた。自由の国のはずなのに。ホテルに落着き、散歩に出たが、街の騒音、ロックンロール、性転換映画、西部劇の射ち合いなど、散々な目にあった。翌朝、目覚めたら、王様は一文なしになっていた。総理大臣が王様の財産をそっくり持ち逃げしたのだ。王様は生活問題に直面した。隣の部屋から歌声が流れてき、王様が鍵穴からのぞくと、美女が風呂に入っていた。テレビ・アナウンサーのアン・ケイ(ドーン・アダムス)が、王様を自分のショウ“パーティめぐり”に出演させるために近づこうとしたのだ。王様は彼女が気に入り、クロムウェル夫人のパーティに出席し、ごきげんになって大はしゃぎした。放送されていたと知って、王様は怒ったが、もう全米の人気者になってい、いろんなスポンサーが出演を申しこんできた。みんな断ったが、財政が底をついてき、ついにウィスキー会社の申し出を受けた。本番のとき、王様は生れて始めてのウィスキーにむせかえったりして大騒ぎになる。みごとに酔っぱらった。失敗と思ったら、最高の宣伝とスポンサーは大喜びした。−−王様は学校を訪問した。乱暴者ぞろいの生徒の中で、学校雑誌の編集をしているルパート少年だけは変っていた。この十歳の少年がマルクスの本を読んでいたのだ。王様はいろいろ論じあい、二人は仲よしになった。数日後、雪の中を少年が通りかかったので、ホテルにあげて話をきくと、両親が共産主義者として非米活動委員会に調査され、少年も追われているといった。少年は捕り、王様も彼をかくまったかどで委員会に呼びだされた。エレベーターの中で消火ホースにいたずらしたら、指が抜けなくなり、王様はそのまま証言台に立った。委員会を侮辱するもの、−−立場は不利になった。消防夫が火事と思って消火栓につなぎ、水がふき出、王様はやっと指が抜けた。委員たちは頭から水を浴びた。しかし王様の嫌疑は晴れた。−−王様は自由の国アメリカを去り、ヨーロッパへ帰ることにした。王様はアンと少年に見送られ、飛行機に乗った。見る見るニューヨークが遠去かった。




13-31. チャップリンの殺人狂時代

監督 チャールズ・チャップリン
出演 チャールズ・チャップリン, マディー・コレル
1947年・アメリカ (松竹洋画部)

解説
原案はオーソン・ウェルズ「第三の男」 のサジェストである。撮影はローランド・トセロー。助演に「ワイキキの結婚」のマーサ・レイ、マリリン・ナッシュ、マディー・コレル、イゾベル・エルソム、チャールズ・エヴァンスほか。戦後初の作品となる本作はそれまでのコミカルな色が薄れ、反戦思想を打ち出している。

ストーリー
30年間忠実な銀行員であったアンリ・ヴェルドゥ(チャールズ・チャップリン)は不況のため馘首されたが、以後彼が足なえの妻(マディー・コレル)と息子のために選んだビジネスは、金持ちの中年女を誘惑してその夫となり、彼女を殺害して保険金を奪うことであった。彼はヴァルネイと称して中年の未亡人グロネイ(イゾベル・エルソム)を口説く傍ら、土木技師フロレエに扮して妻の1人リディア(マーガレット・ホフマン)を訪れ、一夜のうちにこれを殺して5万フランを強奪する有様である。しかし彼も本妻や息子に対しては善良な、道徳的な夫であり父だった。彼は友人のボテロ(ロバート・ルイス)から証拠の残らぬ毒薬の製法を聞き出し、街で拾った女(マリリン・ナッシュ)で実験しかかったが、不具の夫のため盗みをした過去を持っていることを聞くと、殺す気が起こらなくなってしまった。彼は更に船長ボヌースに化け、妻の1人アナベラ(マーサ・レイ)を毒殺しようと苦心したが失敗、最後の手段とグロネー夫人を口説いて成功しかかったものの、結婚式場にアナベラが現われたので万事画餅に帰した。警察当局は女たちの家族の密告でヴェルドゥに捜査の手を延ばし、探偵の1人は彼の毒薬のため最後をとげたが、遂に彼も寿命がつき、今や軍需王の囲い者として成功した、かつて街で拾った女と会食中、逮捕された。既に彼は30年代初期ヨーロッパを襲った恐慌のため、破産していたのである。彼は法廷で、自分のした行為は小さなビジネスに過ぎず、人類はそれより残虐な戦争戦争を賛美し、大ビジネスとして実行しているではないかと叫び、ギロチンへ引かれて行った。




13-32. インドシナ

監督 レジス・ヴァルニエ
出演 カトリーヌ・ドヌーヴヴァンサン・ペレーズリン・ダン・ファンジャン・イアンヌドミニク・ブラン
1992年・フランス (ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画)

解説
仏領インドシナを深く愛したフランス人女性が母として支配者として悲しい運命を辿っていく姿を描く一大歴史絵巻。監督・脚本は「罪深き天使たち」 のレジス・ヴァルニエ、製作はエリック・ウーマンとジャン・ラバディ、共同脚本はルイ・ガルデル、エリック・オルセンナ、カトリーヌ・コーエン、撮影は「夏に抱かれて」 のフランソワ・カトンネ、音楽は「ヘンリー五世(1989)」 のパトリック・ドイルが担当。

ストーリー
1930年代仏領インドシナ。この地で生まれ、祖国を見たことがないフランス人女性エリアーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はゴム園を切り回していた。彼女には死んだ友人の娘でアンナンの皇女であるカミーユ(リン・ダン・ファン)という養女がいた。フランス人将校ジャン・バチスト(ヴァンサン・ペレーズ)が2人の前に現れる。以前、絵画オークションで落札の権利を譲ってくれと頼み、断られたエリアーヌに恋をした彼は、激しく愛を伝えた。彼と愛し合うようになったエリアーヌに、父エミール(アンリ・マルトー)は別れを強要する。脅かされたジャン=バチストは彼女を避けるようになる。しかし、ある雨の日、彼は訪ねてきたエリアーヌを一度はつれなく帰らせかけるが、走り出した車に飛び乗り彼女を抱くのだった。そんな折り、皇帝が暗殺された。共産党が国の独立を願い決起したのだ。カミーユは町での発砲事件に巻き込まれ、倒れ込む。それを救ったのはジャン=バチストだった。彼女は彼に恋をし、館でのパーティに招く。事情を知らないカミーユの目前で、2人は口論し、ジャン・バチストはエリアーヌを叩く。この事件がもとで彼は離れ島ドラゴン島の警備に左遷され、カミーユは許婚のタン(エリック・グエン)と結婚させられる。カミーユは全てを捨て、ジャン・バスチトに会いに行く。長く苦しい旅の末、島に辿りつき奴隷として列に座らされている彼女を、ジャン・バチストは見つけ出す。仲良く立ち去ろうという瞬間、母子が、引き離されるのを拒否したことで処刑されている姿を見つける。怒ったカミーユは、フランス人の上官将校を撃ち殺してしまう。旅の一座にまぎれ逃げる2人は、一級の政治犯、共産党のジャンヌ・ダルクとして指名手配される。一方エリアーヌは、彼女を口説き続けてきた小ずるい警部ギイ(ジャン・イアンヌ)に捜査を依頼するが徒労に終わり、かえって彼女はギイの裏の卑猥な姿だけを記憶に残し彼と離れることになる。ジャン・バチストとカミーユの事件は民衆を勇気づけ、芝居として各地で上演された。一児エティエンヌをもうけ、逃亡を続けるのも束の間、ジャン・バチストはつかまり、銃殺されてしまう。カミーユは牢にとらわれる。エティエンヌは、出所したカミーユの願いで、エリアーヌとともにフランスに帰る。そして54年、ジュネーヴ会議に独立国ヴェトナムの代表として渡欧してきたカミーユに息子エティエンヌは面会しない意志を伝える。エリアーヌは愛しき地インドシナとその思いは平行線を辿り、その地に自身のアイデンティティを見出すことができなかったかわりに、インドシナの申し子エティエンヌを傍らに、遥かな思いにふけるのだった。




13-33. ラスト サムライ

監督 エドワード・ズウィック
出演 トム・クルーズティモシー・スポールビリー・コノリートニー・ゴールドウィン渡辺謙
2003年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之ら日米の豪華キャストが集結して贈る話題の歴史スペクタクル。日本の侍たちの生き様に感銘を受けたアメリカ人の心の変化を描き出す。

ストーリー
明治維新の1870年代。西洋式の戦術を日本政府軍に教えるため、南北戦争の英雄ネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)が来日する。だが彼はアメリカ政府のやり方に失望、また自分が果たしたインディアン討伐を悔いており、魂を失っていた。一方、武士の勝元盛次(渡辺謙)も、近代化の波により、自分の信じる武士道が崩壊しかけていることを感じていた。勝元や彼の妹たか(小雪)らと共に武家で生活することになったオールグレンは、外国文化を嫌う武士の氏尾(真田広之)らと対立しつつも、武士道に惹かれ、やがて侍たちとの絆を深めていく。そして侍たちが、政府軍を相手にした最後の戦いに臨む時、オールグレンもそこに参加。侍たちの反乱軍は圧倒的な数の政府軍に対し善戦するものの、結局は壊滅させられる。戦いの中で倒れた勝元は、名誉の死を望み、オールグレンに腹を刺してもらい息絶えた。そして生き残ったオールグレンは、亡き勝元の刀を明治天皇(中村七之助)の下に届けるのだった。




13-34. ラッシュ・ライフ

監督 マイケル・エライアス
出演 ジェフ・ゴールドブラムフォレスト・ウィッテカーキャシー・ベイカードン・チードルロイス・チャイルズ
1993年・アメリカ (劇場未公開・ビデオ発売)

解説
 脳腫瘍に侵されたミュージシャンと、彼を見守る同じジャズマンの男同士の友情を描いた感動ドラマ。自らもジャズマンだった、近年のイーストウッドの映画音楽を担当しているニーハウスの音楽。そして演奏シーンと、なかなかジャズ・ファンを魅了してくれる作品である。

ストーリー
トランペット奏者のバディ(ウィッテカー)とサックス奏者のアル(ゴールドブラム)は古い付き合いのどこへでも行くミュージシャンで、お互いの仕事を世話し合うほどの仲のよい男達だった。しかしバディが体の不調を訴え、検査の結果、脳腫瘍であることが判り、残り数か月の命だと言う。落ち込むバディをなんとか励まそうとするアルはとある事を彼と話し合い、準備を始めるのだった。二人の友情を深く--とまでは行かないものの、ミュージシャンの持つ雰囲気を生かした心暖まるストーリー。





13-35. 新しい人生のはじめかた

監督 ジョエル・ホプキンス
出演 ダスティン・ホフマンエマ・トンプソンアイリーン・アトキンズジェームズ・ブローリンキャシー・ベイカー
2008年・アメリカ (クロックワークス)

解説
ハリウッド&イギリスの演技派共演による、大人のラブ・ストーリー。人生を半ばあきらめた男女が巡り合い、迷いながらも新たな一歩を踏み出そうとするさまが心に染みる。

ストーリー
CM音楽家ハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、離婚後、ニューヨークで気ままな1人暮らし。そんなある週末、イギリスで働く一人娘の結婚式でロンドンを訪れることになる。だが、宿泊先のホテルが最悪な上にトラブルで仕事は完全に干され、その挙句、娘は義理の父とバージンロードを歩くと言い出す始末。社会人としても父親としても人から必要とされていないと思い込み、絶望的な気持ちでヒースロー空港のバーでヤケ酒をあおるハーヴェイ。一方、空港の統計局で働くケイト(エマ・トンプソン)は、婚期を逃した40代。独身の彼女を心配して、周囲も良い相手を紹介しようとするが、いつも楽しい場の雰囲気に馴染めず孤立してしまう。過干渉な老いた母親マギー(アイリーン・アトキンス)を抱え、未来に期待することもなく、諦めて楽に生きる道を選んだケイト。そんな2人が偶然にも空港で出会い、ロンドンの街で一緒に過ごすことになる。人生の折り返し地点を過ぎた男女が、ともに過ごす中で見つけ出すものとは……?




13-36. ペリカン文書

監督 アラン・J・パクラ
出演 ジュリア・ロバーツデンゼル・ワシントンサム・シェパードトニー・ゴールドウィンロバート・カルプ
1993年・アメリカ (ワーナー・ブラザース)

解説
自分の書いた論文が、偶然にも政界の暗部を突いていたために国家的規模の陰謀に巻き込まれ、命を狙われる女子大生の危難を描いたサスペンス・ミステリー。 「ザ・ファーム 法律事務所」 のジョン・グリシャムの同名小説を、 「大統領の陰謀」「推定無罪」 のアラン・J・パクラの製作・監督・脚本で映画化。共同製作は監督の前作 「隣人」 でも組んだピーター・ジャン・ブルッグ。撮影は 「リーサル・ウェポン」 シリーズのスティーブン・ゴールドブラット、音楽は 「顔のない天使」 のジェームズ・ホーナーが担当。主演は 「プリティ・ウーマン」 のジュリア・ロバーツ。共演は 「から騒ぎ」 のデンゼル・ワシントン、 「ロンリー・ハート」 のサム・シェパード、 「カフス!」 のトニー・ゴールドウィン、 「クリフハンガー」 のジョン・リスゴーら。

ストーリー
ワシントンD.C.で、一夜のうちに2人の最高裁判事が暗殺された。なぜ彼らが殺害されたのかは謎だった。ニューオリンズの法学部の女子大生ダービー・ショウ(ジュリア・ロバーツ)は事件に興味を覚え、ある仮説を打ち立ててレポートに書き上げた。彼女は恋人の大学教授キャラハン(サム・シェパード)にレポートを渡すが、それを読んだ彼は驚き、友人のFBI特別法律顧問ヴァーヒーク(ジョン・ハード)に渡す。それは24時間もたたぬうちにFBI長官(ジェームズ・B・シッキング)、CIA長官(ウィリアム・アサートン)から大統領補佐官(トニー・ゴールドウィン)、そして大統領(ロバート・カルプ)の手に渡った。論文はペリカン文書と呼ばれて厳重に保管された。そうとは知らぬダービーの眼前で、キャラハンの自動車が爆発炎上して彼は死亡した。車を降りていて危うく難を逃れたダービーは、何者かに命を狙われていることを確信する。論文は偶然にも事件の真実を突いていた。ヴァーヒーク、そして暗殺事件の実行犯の男(スタンリー・トゥッチ)が彼女のそばで殺されるに及んで、ダービーは敏腕新聞記者グレイ(デンゼル・ワシントン)に、何もかも話す。事件の裏には、ペリカンなどの野鳥が生息する湿地帯の開発を巡る訴訟問題があり、環境保護派の2人の判事は、開発推進派の支持者の手によって殺されたのだ。だが黒い影は、執拗に彼女とグレイの後を追う。2人は政府の高官と取り引きし、彼女の命を保証してもらう。グレイのスクープがTVをにぎわしている頃、彼女は南の島でその模様を見ていた。




13-37. デンジャラス・ビューティー2

監督 ジョン・パスキン
出演 サンドラ・ブロックレジーナ・キングエンリケ・マルシアノウィリアム・シャトナーアーニー・ハドソン
2005年・アメリカ (ワーナー)

解説
人気女優、サンドラ・ブロック主演のコメディの続編。ミスコンに続き、今度はセレブとなったFBI女捜査官が、勝気な相棒の女性と共に誘拐事件の解決に奔走する。

ストーリー
「ミス・アメリカコンテスト」への潜入捜査で爆破事件をみごと解決したFBI捜査官グレイシー・ハート(サンドラ・ブロック)。いまや全米中の人気者となった彼女は、イブニングドレスとハイヒールから解放されるや、地味なスーツとスッピンに戻って、意気揚々と現場に復帰。ところが銀行での張り込み中にファンに駆け寄られ、せっかくの潜入捜査が台無しに。顔が知れ渡ってしまった以上、もはや大好きな潜入捜査にも加われない。失意のグレイシーに追い討ちをかけるように、始まりかけていたロマンスもあえなく消滅。すべてを失いどん底まで落ち込んだグレイシーに、FBI長官から示された新たな任務、それは誰もが憧れる”スター捜査官”として、FBIのPR活動に従事すること。グレイシーに選択の余地はない。こうして専属スタイリスト、ジョエル(ディートリッヒ・ベイダー)のもと、グレイシー・セレブ化計画が始まった! 10ヶ月後、セレブ・ファッションに身を包み、テレビのトーク番組で”営業用スマイル”を振りまくグレイシーの姿があった。華麗なる犯人逮捕歴を綴った自伝の出版、笑顔と握手のサイン会、ヘアメイク担当の一団を引き連れてリムジンで移動するPRツアーは、どこへ行っても賞賛の嵐。次第に新しい任務にのめり込んでいくグレイシーに、誰よりも冷たい視線を浴びせ、敵意をむき出しにする新しい相棒サム・フラー(レジーナ・キング)。そんなある日、グレイシーのもとに飛び込んできた「ミス・アメリカ」誘拐の報せ。一緒に戦ったミスコンで栄冠をつかんだ大切な親友なシェリル(ヘザー・バーンズ)が、ラスベガスで何者かに拉致されたのだ。広報活動の一環でグレイシーも現地へ向かうことになったが、事件には絶対手を出すなとの長官命令。勝手な行動をとることで悪名高いグレイシーのお目付け役を命じられたのは、天敵のサム。シェリルのことが心配でたまらないグレイシーは、監視の目をかいくぐり情報収集に乗り出すが、せっかくつかんだ手がかりも現地の指揮官によって握りつぶされ、捜査はどんどん間違った方向へ。もはやグレイシーにできることはただひとつ。自分の手で事件を解決し、親友を救い出すことだけだ。グレイシーの暴走を阻止しようとしていたサムをも巻き込んで、ついにグレイシーが走り出した!




13-38. ポーとミーのチャチャ

監督 ヤン・イーチェン
出演 ホアン・ペイジアポール・チャンオウヤン・ルンジャン・シーインリー・チーチ
2012年・台湾

解説
2012年台湾映画界の話題をさらった青春ラブコメディ。 双子のポーとミーを一人二役で熱演したのは第49回金馬奨新人賞にもノミネート された新星ホアン・ペイジア。 初恋に揺れ動く乙女心や、アイデンティティを認めてもらえず葛藤する姿を ハツラツと演じ、見る者の共感を呼ぶ。 ふたりに恋する男子生徒役には、『台北の朝、僕は恋をする』のポール・チャン、 そして新人のオウヤン・ルンを起用。 次世代のスターたちが、初恋の苦しさや大人の階段を上る姿を等身大の魅力で 表現した。本作は『星空』『LOVE』(いずれもOAFF2012)、『GF*BF』(OAFF2013) を抑え、2012年台北映画祭でグランプリのほか最優秀脚本賞・編集賞を受賞。 双子だからこそ浮かび上がる個性と互いへのけん制、そして共に成長していく 姿がまぶしい感動作だ。

ストーリー
17歳の双子の姉妹ポーとミーは、身長も成績もバスケのポジションも同じ。 両親以外は誰もふたりの見分けがつかず、学校ではいつも「どちら?」と 聞かれ、ウンザリの毎日。 しかし、好きだという男子生徒がポーとミーそれぞれに出現し、ふたりも 初恋モードになっていく。 好きな男子に一人の人間として自分を認めてほしい姉のポーは、ある作戦に 打って出るのだったが・・・。




13-39. 怒りの用心棒

監督 トニーノ・ヴァレリー
出演 ジュリアーノ・ジェンマヴァン・ジョンソンウォーレン・ヴァンダースフェルナンド・レイレイ・ソーンダース
1969年・イタリア

解説
原題名は"Il Prezzo del Potere "、英語では"The Price of Power"、「権力の代償」と訳されます。何やら難しい題名ですが、TV放映時には「怒りの用心棒」のタイトルが付けられて反響を呼び、劇場未公開作品にもかかわらず「ダラスブリット/怒りと復讐の果て」の題名で国内版ビデオが発売され、その後「復讐のダラス」という題名で再発もされたぐらいの人気作です。イギリスやフランスでも、"TEXAS"の題名でよく知られています。この題名からも推測できるとおり、1963年にテキサス州ダラスで起こったケネディ大統領暗殺事件を題材とした、いわゆるポリティカル・ウエスタンです。しかし内容は決して難解なものではなく、主演のジュリアーノ・ジェンマの魅力も存分に発揮された快作に仕上がっており、マカロニの傑作の1本として記憶に残る作品です。

ストーリー
 1881年のダラス。南北戦争の遺恨がくすぶるこの街にガーフィールド大統領が遊説にやってくるが、彼の政策を快く思わない保守派連中はならず者を雇い大統領を暗殺。その生贄に選ばれたのが黒人青年ジャック。彼を大統領狙撃犯に仕立て白人の黒人に対する憎悪を煽ろうとする。かつてジャックと共に北軍兵士として戦った戦友のウィリアム(ジュリア―ノ・ジェンマ)はこの企てに父を殺したならず者のウォレス一派が加わっている事を掴み、ジャックの救出と共に真相を公にすべく奔走。しかしジャックは殺され真相も闇の中に葬られようとする最中、副大統領補佐官も真相究明に乗り出し…。




13-40. エデンの東 

監督 エリア・カザン
出演 ジュリー・ハリスジェームズ・ディーンレイモンド・マッセイバール・アイヴスリチャード・ダヴァロス
1955年・アメリカ (ワーナー・ブラザース日本支社)

解説
 名匠カザンがシネマスコープをドラマ表現において見事に使いこなしたことや、J・ディーンのあるがままの“演技”、L・ローゼンマンによる忘れらない主題曲……。秀作の要素が嫌味なくらいに揃った、しかし、やるせない宿命に喘ぐ青春を描いて、これほどの達成はなかろう。原作は言わずと知れた旧約聖書のカインとアベルを下敷きにしたスタインベックの長篇で、映画はその一部を元にしただけだが、小説のエッセンスが全て凝縮されている。温厚な兄だけが父に可愛がられ、冷たくされる自分の出生に疑問を持った、大農場を経営するトラスクー一家の問題児キャルは、彼らを捨てて出奔した母(凄みのある名演J・V・フリート=オスカー助演賞)の行方を突きとめ、予想に反する答えを聞く……。そして、涙なしには観られない結末も素晴らしい。兄の婚約者で次第にキャルに魅かれてゆくエイブラに扮するJ・ハリスの母なる包容力も印象的だ。しかし、それにしてもジミー・ディーンである。

ストーリー
1917年、カリフォルニア州の小都市サリナス。農場を経営するアダム・トラスク(レイモンド・マッシー)には、双児の息子があった。兄のアーロン(リチャード・ダヴァロス)は真面目な青年で、アブラ(ジュリー・ハリス)という美しい娘と恋仲。弟のキャル(ジェームズ・ディーン)は兄とちがって何かかたくななところがあり、家族から嫌われていた。父からは母親は死んだと聞かされていたが、キャルは近くのモンタリー郊外で酒場を経営しているケートが、実の母にちがいないと思っていた。そして自分は水商売のふしだらな母の血をついでいるから不良なのだと信じこんでいた。アダムは母の生きていることをキャルに告白したが、彼は去った妻がいまどこにいるのか知らなかった。アダムは、野菜を冷凍して東部へ送り込む新しい計画に夢中になっていた。ある夜、キャルはケートの酒場に忍び込み、彼女を「お母さん」と呼んだが忽ち用心棒に叩き出されてしまった。しかし保安官のサムからケートは実の母であることを聞かされた。彼女がアダムを見捨てたあと、アダムはすっかり気力がなくなってしまった経緯も知った。キャルは野菜冷凍の仕事を一生懸命てつだって父の愛を得ようと決心した。アダムは財産の大部分をかけて冷凍野菜の貨車を東部へ送りこんだ。しかし貨車が途中なだれで立ち往生したため、氷がとけ計画は失敗に終わった。その頃、ヨーロッパの戦火はますます激しく、アメリカの参戦は必至となった。キャルは父の損失を償おうと、豆の値上がりに目をつけ、ウィルという男と組んで豆の買い占めを策した。資金に5千ドル要ると聞いて、キャルはケートに頼みこんで融資してもらった。遂にアメリカは参戦した。キャルは豆が着々と値上がりするので喜んだが、平和主義者のアーロンは、はっきり戦争反対を主張した。アブラは看護婦になって働き、アーロンとの恋は変わりなくつづいていたが、一夜、遊園地でキャルに会い、ふと唇をかわしてからというもの、キャルに惹かれる気持ちを押しとどめることができなかった。優しいが何か強さの足りぬアーロンに比して、キャルのたくましい行動力は、アブラにとって頼もしく思われた。キャルは父の誕生日に、豆で儲けた金をそっくりプレゼントした。アーロンは父への贈りものとしてアブラとの婚約を報告した。父はその婚約をとても喜んだが、キャルの贈りものは受けとろうともしなかった。それどころか戦争で暴利を得るとは怪しからぬと、激しく叱りつけた。絶望したキャルを優しくなぐさめたのはアブラだった。アーロンまでが罵しるのを聞いて、キャルは憤満を爆発させた。彼はアーロンをケートの酒場へつれて行き、母親の秘密を暴露した。アーロンはひどいショックをうけて人が変わったようになり、酔いしれて、そのまま軍隊に志願して列車にのりこんだ。停車場へかけつけたアダムは、信頼していた息子の変わりはてた姿を見て、驚きのあまり卒倒し、半身不随になって明日を知れぬ命となった。アブラは病床のアダムに、キャルを許すよう哀願した。アダムはそれを聞き入れ、苦しい息の下からキャルに看病をたのんだ。キャルはやはり父が自分を愛していたと知って、ようやく絶望から救われた。




13-41. 遠距離恋愛 彼女の決断

監督 ナネット・バースタイン
出演 ドリュー・バリモアジャスティン・ロングチャーリー・デイジェイソン・サダイキスクリスティナ・アップルゲイト
2010年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)

解説
プライベートでも交際中である、ドリュー・バリモア、ジャスティン・ロング共演のロマンチック・コメディ。音楽業界で働く男性と、インターン先で彼に出会い、思いがけずして遠距離恋愛をする女子大生カップルの物語。監督は長編ドキュメンタリー「On the Ropes」 でアカデミー賞候補になったナネット・バースタイン。

ストーリー
最近離婚して独身に戻ったギャレット(ジャスティン・ロング)。ある日、エリン(ドリュー・バリモア)とバーでビールを飲みながら他愛ない話をするうちに、彼女のちょっとひねくれたウィットと、裏表のない率直さに強く惹かれていく。翌朝まで楽しく過ごし、2人は意気投合。軽い気持ちから始まった付き合いが、予想外の発展を見せる。それでも、2人ともひと夏のロマンスがそれ以上に発展するとは考えていなかった。エリンがサンフランシスコへ戻れば、ニューヨークで働くギャレットとのロマンスも終わるはずだった。ところが、6週間もの間、一緒に楽しく過ごした経験は、思いもしなかった結果をもたらす。別れの時期が来ても、2人は互いに関係に終止符を打つことができなくなっていた。だが、気持ちの変化とは裏腹に、周囲の人間関係が2人を妨げる。ギャレットの悪友、ボックス(ジェイソン・サダイキス)とダン(チャーリー・デイ)は、エリンに会いに行く前にダイエットし、携帯電話を肌身離さずにいるギャレットをからかう一方で、ロマンスのために飲み友達を失うことを心配している。神経質で過保護なエリンの姉コリーン(クリスティナ・アップルゲイト)も、妹が先の見えた関係に突っ走るのを止めようとする。西海岸と東海岸に離れて、親友や家族も大反対。加えて、ちょっとした誘惑も……。それでもエリンとギャレットは数え切れないほどのメールをやり取りし、プライベートな写真も交換、さらに深夜の電話と、関係をより深めていく。果たして2人は、様々な障害を乗り越え、恋を成就させることができるのだろうか……。




13-42. ママの遺したラヴソング

監督 シェイニー・ゲイベル
出演 ジョン・トラヴォルタスカーレット・ヨハンソンガブリエル・マクトデボラ=カーラ・アンガーデイン・ローズ
2004年・アメリカ (アスミック・エース)

解説
ハリウッドの人気スター共演による文学的な味わいの感動作。ニューオリンズを舞台に、人生に迷う少女と心に傷を抱えた中年男の交流をつづる人間ドラマだ。

ストーリー
長年会っていなかった母のロレーンが死んだ。突然の訃報を受け取った娘のパーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、生家のあるニューオーリンズへと向かう。そこで彼女を待っていたのは、二人の見知らぬ男、元大学文学部教授のボビー・ロング(ジョン・トラヴォルタ)と彼を慕う若者ローソン(ゲイブリエル・マック)だった。彼らは母の友人だという。遺言によると、この家はパーシーを含めた三人に残されており、自分たちも住む権利があると男たちは主張した。冗談じゃない、とフロリダの自宅に帰ろうとするパーシー。しかし、ふと母の形見であった小説を読み始め、その登場人物に母の面影を認めた彼女は、もっと母のことを知りたいと思い、生家に留まる事にした。こうして三人の生活が始まった。最初は反りが合わなかったボビーとパーシーだが、やがてパーシーの心の奥に孤独が潜んでいることを知ったボビーは、彼女が学校に行けるだけの金を工面してやるようになる。母が暮らした街で生活し、みんなに愛されていた母の姿をなぞっていくパーシー。いつしか、そのささくれだった心も癒されていた。そして一年間に渡る暮らしの中で、三人の間にはかけがえのない絆が生まれていたのだった。しかし、別れは唐突にやってきた。パーシーの昔のボーイフレンドが、本当はこの家がパーシーひとりのもので、ボビーたちが嘘をついていたことを暴き立てたのだ。憤りを感じたパーシーは二人を追い出し、家を売りに出してしまう。そして、家の中を整理していたパーシーは母の遺品から自分に宛てた一通の手紙を発見する。そこにはたくさんの愛と驚きが詰まっていたのだった……。




13-43. 推定無罪 

監督 アラン・J・パクラ
出演 ハリソン・フォードブライアン・デネヒーラウル・ジュリアボニー・ベデリアポール・ウィンフィールド
1990年・アメリカ (ワーナー・ブラザース映画)104/127分

解説
正義を追求するはずの検察官が、不倫関係にあった同僚の美人検事補の殺人容疑者として裁かれることになり、家庭とキャリアを崩壊させてゆく様を描く、法廷推理ドラマ。製作にシドニー・ポラックとマーク・ローゼンバーグ、監督に 「ソフィーの選択」 のアラン・J・パクラが当り、スコット・トウローのベストセラー小説をフランク・R・ピアソンとパクラ監督が共同で脚色。撮影はゴードン・ウィリス、音楽はジョン・ウィリアムス(2)が担当。出演はハリソン・フォード、ボニー・ベデリアほか。

ストーリー
ラスティ・サビッチ(ハリソン・フォード)は、優秀で堅物の首席検事補として知られ、妻バーバラ(ボニー・ベデリア)、一人息子と、平凡だが、幸せな家庭を営んでいた。仕事も家庭生活も、すべてが順調にいっているかに見えたある日、サビッチは上司の地方検事レイモンド・ホーガン(ブライアン・デネヒー)から、ある殺人事件を知らされ、担当するように命じられる。それは、他ならぬ同僚であり、部下であった美人検事補キャロリン(グレタ・スカッキ)殺人事件だった。実は、彼女こそがサビッチが密かに情事を重ねていた愛人だったのだ。ショックを押し殺して、サビッチは気心の知れた相棒のリップランザー刑事(ジョン・スペンサー)と共に事件の捜査を開始する。ポルヒーマスの死は、一見して性的変質者による暴行殺人と思われたが、検死の結果と犯行現場の状況から、通り魔殺人に見せかけた顔見知りの犯行であることが判ってくる。死体から検出された精液の血液型と、現場に残された指紋が決定的な証拠となり、サビッチは一転して容疑者として逮捕される。サビッチは、法廷での好敵手である有能なアルジャンドロ・サンディ・スターン(ラウル・ジュリア)に弁護を依頼した。裁判が進み、リップランザーとスターンの調査が進むに連れて、しだいに公判の背後に地方検事の選挙戦と収賄事件が存在することが明らかになってくる。かつてとは打って変わったようにサビッチを陥し入れようとするホーガン検事の証言や、同僚でライバルだった検事補の提出する証拠物件は、ますます彼を窮地に追いやるものばかりだったが、スターンは巧みな弁護でラレン・リトル判事(ポール・ウィンフィールド)から無罪の判決を引き出した…。裁判が終り、隠されていた真実が明らかにされる。リトル判事は賄賂を受け取っていた張本人であり、スターンはその汚職事件の鍵を握っていることをほのめかしてサビッチに有利な判決を取り付けたのだった。そして、殺人事件の真犯人が、実は失意のサビッチを陰から励まし続けていた妻のバーバラであり、すべては夫の不倫相手への強烈な嫉妬ゆえのものだったことが明らかにされるのだった。




13-44. フライド・グリーン・トマト

監督 ジョン・アヴネット
出演 キャシー・ベイツメアリー・スチュアート・マスターソンメアリー・ルイーズ・パーカージェシカ・タンディシシリー・タイソン
1991年・アメリカ (アスキー映画)

解説
20〜50年代のアラバマ州、フライド・グリーン・トマトを名物料理に賑わうカフェを切り盛りする2人の女性をめぐる出来事を、現代のジョージア州の老人ホームで、老女が中年女性に語って聞かせるという形で描く人間ドラマ。製作・監督はこれが劇場映画デビューとなるジョン・アヴネット、共同製作はジョーダン・カーナー、エグゼクティヴ・プロデューサーはノーマン・ベアー、ファニー・フラッグの原作を基に、彼とキャロル・ソビエスキーが脚色、撮影は 「グリーン・カード」 のジェフリー・シンプソン、音楽は 「ネイキッド・タンゴ」 のトーマス・ニューマンが担当。

ストーリー
エヴリン・カウチ(キャシー・ベイツ)は40代の太りぎみの専業主婦。夫のエド(ゲイラード・サーティン)は彼女よりもテレビに夢中で夫婦仲は倦怠期そのもの。エヴリンは自己啓発セミナーに通ったりして何とかしようとしていたが効果がなく、殆どチョコレート中毒で情けない毎日を送っていた。ある日エヴリンは夫と出かけたローズヒル・ホームで、そこに暮らす老女ニニー・スレッドグッド(ジェシカ・タンディ)と出会う。彼女が始めた昔話は不思議に魅力的で、エヴリンはニニーの話を聞きに頻繁にホームを訪れるようになる。その物語は今から50年も前のアラバマ州。まるで男の子のような少女イジー・スレッドグッド(メアリー・スチュアート・マスターソン)は、大好きな兄バディの突然の事故死によって、心を堅く閉ざしていた。そのイジーに唯一近づき、心を開いてくれたのはバディのガールフレンドだったルース(メアリー・ルイーズ・パーカー)。愛する者を失った傷を共有する2人は、お互いになくてはならない存在になっていた。やがてルースは結婚するが、夫フランクは彼女に暴力をふるい、イジーは身重のルースを婚家から連れ帰る。2人は大衆食堂ホイッスル・ストップ・カフェを開店、明るく気丈なイジーと女らしく心優しいルースの人柄で、店は繁盛する。そこへフランクが「子供に会わせろ」と押しかけてくる。だが村祭りの夜、フランクは車ごと姿を消し、イジーは犯人として裁判にかけられるが、無罪となり、事件は迷宮入り。まるで夫婦のように助け合って暮らすイジーとルースと仲間たち、皆に見とられてルースはわが子を気づかいながら、眠るように息を引き取る。そんな物語を聞くうち、エヴリンは触発され、生きる意味を見つけ出し、夫もエブリンを見直し始める。やがてニニーがホームを出た日、エヴリンは一緒に暮らそうとニニーを迎えにいき、ニニーはルースの夫は召使のシプシー(シシリー・タイソン)が皆を守るために殺してしまったこと、そしてイジーは実はニニー自身であることを、いたずらっぽい目をしてそっと打ちあけたのだった。




13-45. アバウト・ア・ボーイ

監督 クリス・ワイツ
出演 ヒュー・グラントトニ・コレットニコラス・ホルトヴィクトリア・スマーフィット
2002年・アメリカ (UIP)

解説
英国出身の人気スター、ヒュー・グラント主演のヒューマン・コメディ。精神未熟なグータラ男が悩み多き12歳の少年との交流を通じて人生の意味を知り成長していく感動作。

ストーリー
ノース・ロンドンに住む38歳のウィル・フリーマン(ヒュー・グラント)は、亡き父がヒットさせたクリスマス・ソングの印税のおかげで仕事をせずに暮らしている。そんな彼は頑なに独身主義を貫いていたが、シングル・マザーをナンパしようとして知り合った、学校でいじめられている12歳の少年マーカス(ニコラス・ホルト)に頼られるようになる。やがてマーカスと同じ学校の12歳の息子を持つシングル・マザー、レイチェル(レイチェル・ワイズ)に恋してしまったウィルは、彼女の勘違いに合わせ、マーカスを息子として扱うことに。しかし真相を告白し、レイチェルにフラれてしまう。マーカスとの関係も悪くなるが、そんな時、マーカスは精神不安定な母親のフィオナ(トニ・コレット)を元気づけようと、学校のコンサートで場違いな歌をうたおうとする。彼が舞台でブーイングを浴びているところに、ウィルがギターを弾きながら現われた。観客の反応は好意的なものに変わる。これをきっかけに他者へ心を開いたウィルは、マーカスたち大勢の人間と一緒に、同じ家の中で楽しげな雰囲気を作り出しているのだった。




13-46. 女と男の名誉

監督 ジョン・ヒューストン
出演 ジャック・ニコルソンキャスリーン・ターナーアンジェリカ・ヒューストンロバート・ロギアジョン・ランドルフ
1985年・アメリカ (日本ヘラルド) 130分

解説
マフィアの男が殺し屋の女に恋をしたことからまきおこるトラブルを描く。製作はジョン・フォアマン、監督は 「火山のもとで」 のジョン・ヒューストン、脚本は原作者リチャード・コンドン(早川書房刊)とジャネット・ローチ、撮影はアンジェイ・バートコウィアク、音楽はアレックス・ノースが担当。出演はジャック・ニコルソン、キャスリーン・ターナーなど。

ストーリー
ブルックリンを縄張りとするマフィアのプリッツィ家。ドンは老コラード(ウィリアム・ヒッキー)、長男はドミニク(リー・リチャードソン)、次男はエドアルド(ロバート・ロッジア)、相談役は初老のパルテナ(ジョン・ランドルフ)、パルテナの息子で殺し屋チャーリー(ジャック・ニコルソン)という面々で構成されている。ドンの孫娘の結婚式当日、チャーリーはラベンダー色の服の女アイリーン(キャスリーン・ターナー)に一目惚れ。一方で家名を汚したとして勘当の身のドミニクの娘メイローズ(アンジェリカ・ヒューストン)を慰める長年の恋人チャーリーは、帰宅すると、殺人事件のことで警察に連行される。すぐに釈放されるが、彼のほかに殺し屋がいることに気付くチャーリーは、翌日、ロサンジェルスにアイリーンに会いに行く。激しい恋におちる2人だった。数日後、一家の金72万ドルを持ち逃げしたヘラーを、ロサンジェルスで殺したチャーリーはヘラーの妻がアイリーンと知る。金は半分しかなく、彼女を問い詰めるが、知らぬという彼女を信じるチャーリー。ブルックリンに戻った彼は、メイローズの助言を得て、アイリーンとメキシ.コで結婚する。マフィアは血を重んじるが、アイリーンはイタリア系ではない。ある日、一家が株主の銀行の金を悪用している頭取を誘拐する仕事が、チャーリーにくる。アイリーンの計画で犯行は成功したが、その時、警部の妻を殺したため、警察の追及は厳しい。一方、勘当を解かれたメイローズはドミニクにチャーリーに暴行されたといったため、ドミニクは実はフリーの殺し屋であるアイリーンにチャーりー殺しを依頼、誘拐事件で保険金入手に成功したチャーリーも、アイリーンこそ72万ドルを盗んだ張本人だとつきとめたドンの命令で、アイリーン殺しをプリッツィ家の名誉のため実行せざるを得ない。かくして、チャーリーとアイリーンは互いの愛を貫くため、国外逃亡を約束するが、当日2人は自分自身を守るため殺しあいとなり、アイリーンは死亡。生き残ったチャーリーはメイローズの元へかえるのだった。




13-47. 愛する人

監督 ロドリゴ・ガルシア
出演 ナオミ・ワッツアネット・ベニングケリー・ワシントンジミー・スミッツサミュエル・L・ジャクソン
2009年・アメリカ=スペイン (ファントム・フィルム)

解説
彼女を見れば分かること」など、女性の心情を描くことに定評のあるロドリゴ・ガルシア監督が、悲しい過去をもつ女性たちが希望へ向けて歩みはじめる姿を描くヒューマンドラマ。幼くして娘と引き離された女性をアネット・ベニングが、母親を知らない女性をナオミ・ワッツが好演し、物語を盛り上げる。

ストーリー
14歳の時、カレン(アネット・ベニング)は恋人の子供を身籠るが、母親の反対で娘を手放すことになる。36年後。周囲との深いかかわりを避けてきた彼女は、介護をしながら一緒に暮らす年老いた母に対して、素直に接することができないでいた。職場で出会ったパコ(ジミー・スミッツ)はそんな彼女を理解してくれるが、関係はうまくいかない。だた、名前も顔も知らぬわが娘を密かに想い、届く事のない手紙を書き続ける日々。一方、母親の愛情を知らずに育ったエリザベス(ナオミ・ワッツ)は、弁護士として成功。孤児であることを否定するように、物事に執着せずキャリアアップの人生を歩んでいた。だが、彼女に予想外の出来事が起こる。同じ会社のボス(サミュエル・L・ジャクソン)の子供を妊娠してしまったのだ。この出来事が彼女を変える。今までのキャリアを捨て、産むことを決意したのだ。これにより、彼女はずっと閉ざしていた母の存在を意識し始める。その頃、カレンの母親が亡くなる。生前、母に対して本当の気持ちを伝えられなかったことを悔やむかのように、カレンは娘を探し始める。同じ頃、黒人女性のルーシー(ケリー・ワシントン)は、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だったが、実際に生まれると子供を手放せなくなってしまう。失意のルーシー。そこへ、登録していた教会から連絡が入る。それが、見知らぬ母と娘を結びつけることになる。若くして産んだ娘を手放したことを後悔しながら生きてきたカレン。母の愛を知らずに、拒絶することが当たり前になっていたエリザベス。母と娘の空白の36年間。決して重なるはずのない2人の人生を、一つの小さな命が引き寄せようとしていた。




13-48. 慕情

監督 ヘンリー・キング
出演 ウィリアム・ホールデンジェニファー・ジョーンズトリン・サッチャーイソベル・エルソムマレイ・マシスン
1955年・アメリカ (20世紀フォックス)

解説
「東京暗黒街・竹の家」 のバディ・アドラーが 「一攫千金を夢みる男」 についで香港ロケで製作した1955年作品。原作は1952年のベスト・セラー、女医ハン・スーインの自伝小説で、これを 「真紅の女」 のジョン・パトリックが脚色し、 「野性の女(1955)」 のヘンリー・キングが監督した。主演は 「重役室」 のウィリアム・ホールデンと 「悪魔をやっつけろ」 のジェニファー・ジョーンズで他に 「聖衣」 のトリン・サッチャー 「我が心に君深く」 のイソベル・エルソム、マレイ・マシスン、ヴァージニア・グレッグ、 「一攫千金を夢みる男」 のスウ・ヨン等が出演する。音楽は 「七年目の浮気」 のアルフレッド・ニューマン、撮影は 「足ながおじさん」 のレオン・シャムロイ。色彩はデ・ラックスカラー。

ストーリー
中国人とイギリス人のハーフで女医のハン・スーイン(ジェニフ ァー・ジョーンズ)は、国民政府の将軍の夫人だったが、良人が共産軍との戦いで戦死してからは、香港病院で働いていた。ある日、病院の理事長の家でカクテル・パーティが開かれたとき、彼女はアメリカの従軍記者マーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)と知り合った。マークにはシンガポールに妻がいるが、性格が合わないとでもいうのであろうか、夫婦仲は冷たかった。初めはスーインもマークと深入りしないように警戒していたが、何となく彼が好ましく、マークが仕事のためシンガポールに出かけたときなど、いい知れない淋しさに襲われるのだった。やがて、海へ遊びに行ってから、2人は完全な恋人同志になっていた。マークは妻と正式に離婚して、スーインと結婚すると誓った。だが彼の妻は離婚に同意しなかった。スーインはそれを聞いて、マークを優しくいたわるのだった。その後、マークがマカオに出張すると、スーインは理事長の反対を押しきってマカオに向かった。2人の楽しい週末もほんのひとときに過ぎない。朝鮮に戦争が起こったためマークは現地へ急行しなければならなかったからである。スーインは理事長にさからってマカオに行ったことから、病院に勤めることができなくなり、友達のノラの家に寄寓することになった。彼女は毎日マークに手紙を書き、また彼からの便りを読んで淋しさをまぎらしていたが、ある日マークは共産軍の爆撃で帰らぬ人となった。新聞でそれを知ったスーインは、マークと共に永遠の愛を語り合った思い出の町を歩いたが、再び病院に戻り医術に全生涯を捧げようと決心するのだった。