j22-1. 釣りバカ日誌2

監督 栗山富夫
出演 西田敏行石田えり谷啓中本賢戸川純
1989年 (松竹) 96分

解説
釣りを通して親しくなった鈴木建設社員浜崎伝助と社長鈴木一之助との珍騒動を描く。やまさき十三と北見けんいち原作の同名漫画の映画化第2弾で、脚本は、 「ハラスのいた日々」 の山田洋次と堀本卓が共同執筆、監督は同作の栗山富夫、撮影は同作の安田浩助がそれぞれ担当。

ストーリー
鈴木建設のグータラ社員浜崎伝助は、社内では内緒だが社長の鈴木一之助と大変親しい釣り仲間であった。ある日、自らの老いと会社の問題に悩んだ一之助は、ふらっと旅に出てそこで弥生という女と出会い愛しさをつのらせていった。一方一之助の身を案じて居所を探し当てた伝助は女連れの一之助に腹を立てる。困った一之助は弥生を自分の娘だとごまかしてしまった。東京に帰った一之助は思わぬ所で弥生と再会した。弥生が一之助の娘だと信じ込んでいる伝助は、二人を釣りに誘い親子みずいらずの姿に満足するのだった。ところが、そのことが一之助の妻の耳に入ったため一之助の嘘を知った伝助は再びカンカン。そしてそんな時、弥生は他の人との結婚を決意していたのだった。すっかりさめきった一之助は、なんとか伝助とも仲直りし、また二人で釣りを楽しむのだった。





22-2. 社長繁盛記

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ松本めぐみ池戸良子宮口精二
1968年 (東宝) 87分

解説
「てなもんや幽霊道中」 のトリオの笠原良三がシナリオを執筆し、松林宗恵が監督した“社長”シリーズ第二十七作目で、撮影は長谷川清が担当。

ストーリー
高山物産社長の圭太郎はある日、妻の父伝之助に説教された。圭太郎をはじめ、会社の重役たちがすっかり老化しているというのだ。伝之助は七十歳の高齢ながら、四国で製塩会社を経営し、少林寺拳法を学ぶカクシャクたる老人だった。圭太郎は早速、若返り策をとることにした。会社でこのとばっちりを受けたのが、第一営業部長の本庄、第二営業部長赤間、総務部長の有賀である。本庄は西ドイツから輸入した特殊鋼をアトラス自動車に売り込むこと、赤間は香港バイヤー范と敏速に取引きをまとめることを、圭太郎から指示された。有賀もまた、会社内の若返りのために具体的な対策をたてるよう命令された。一方、圭太郎の秘書田中は、まだ独身の若い男で、中年男どものそんな動きを、横目でみていた。しかし、その田中も日曜日だというのに圭太郎について名古屋に出張させられ、美人社員めぐみとのデートを邪魔されてしまった。そんな時、圭太郎はアトラス自動車の社長藤川と会い、高松にある伝之助の持っている古い建物を明治村に寄贈すると約束してしまった。藤川は明治文化の保存に情熱を燃やしていたのである。特殊鋼の契約をとるために、圭太郎は田中を伴なつて四国へ飛んだ。伝之助に会う前に、圭太郎は若返りには浮気が必要と、芸者小花を連れだしたのだが、それを伝之助に見つかって、ほうほの態で四国を離れた。圭太郎から、伝之助との交渉を頼まれた田中は、残って伝之助と会った。伝之助は一応返答を保留したが、田中は近くにあるめぐみの実家を訪ねた時めぐみに婚約者がいるのを知って失望した、一方、帰社した圭太郎は、本庄が独力で特殊鋼の契約を結んだことを知った。そこへ、范に欺された赤間と、失恋にもめげずに少林寺拳法を身につけた田中が帰ってきた。圭太郎は赤間を慰めたものの、また田中の若さに羨望の念を感じざるを得なかった。





j22-3. 釣りバカ日誌4

監督 栗山富夫
出演 西田敏行三國連太郎石田えり尾美としのり佐野量子
1991年 (松竹) 96分

解説
釣りバカ・コンビ浜ちゃんとスーさんの奮闘を描いた、やまさき十三、北見けんいち原作の同名コミックの映画化第4作で、脚本は 「男はつらいよ 寅次郎の告白」 の山田洋次と堀本卓、関根俊夫の共同執筆。監督は前作と同じく栗山富夫。撮影は同作の安田浩助がそれぞれ担当。

ストーリー
仕事よりも釣りが大好きという気楽なサラリーマン、浜ちゃんこと浜崎伝助。子宝に恵まれないのが唯一の悩みだったが、愛妻・みち子が待望の懐妊を果たして大喜び。一方、浜ちゃんと釣り仲間でもあるスーさんこと社長の鈴木一之助は、甥の和彦の積極性のなさに頭を悩ませていた。そんなある日、浜ちゃんの家に招待された和彦は、そこで釣り船屋の八郎の妹、町子と出会い、彼女に一目ボレ。何とか町子のハートをつかむものの、周囲は二人の結婚に大反対。遂に二人は和歌山のとある漁師町に駆け落ち。浜ちゃんは、これはチャンスとばかりに二人を連れ戻すという口実で会社から特別休暇をもらい、釣りを楽しむ始末。しかしそれを見越していたスーさんも和歌山へ。そこで和彦と町子の堅い決意に脱帽してしまう。数日後、二人の結婚式が盛大に開かれた。そんな時、浜ちゃんのもとへみち子出産の知らせが届き、式をほっぽりだして病院に駆け込む。そして、みち子は元気な男の子を産んだのだった。





22-4. インシテミル 7日間のデス・ゲーム

監督 中田秀夫
出演 藤原竜也綾瀬はるか石原さとみ阿部力武田真治
2010年 (ワーナー・ブラザース映画)

解説
米澤穂信のミステリー小説を「リング」の鬼才・中田秀夫監督が映画化。巨額の報酬を求め、とある館にやってきた10人の男女による生き残りをかけた究極のゲームが始まる。

ストーリー
謎の施設、暗鬼館を訪れる10人の男女。フリーター青年の結城(藤原竜也)、倒産した元会社社長の安東(北大路欣也)、専業主婦の渕(片平なぎさ)、経歴不明の岩井(武田真治)、リストラされた中年の西野(石井正則)、研修医の大迫(阿部力)、ネイリストの若菜(平山あや)、WEBデザイナーの関水(石原さとみ)、元OLの祥子(綾瀬はるか)、大学生の真木(大野拓朗)。それぞれに大金を必要とする理由があり、時給11万2千円という常識はずれな高額のバイト料に誘われてやってきたのだ。アルバイトの内容は“7日間にわたる心理学の実験”に参加すること。ルールは極めてシンプル。ここで体験する事件を解決するだけ。発生した事件の犯人を参加者全員で推理し、多数決で犯人を決定、監獄へ投獄するというものだった。その目的は、人間心理のサンプルデータ収集。うまくいけば、わずか7日間で億万長者になれるはずだった。だが実験2日目、1人が死体となって発見され、参加者たちはパニックに陥る。とはいえ、あと6日はここを出ることができない。彼らは、ルールに従って犯人を決定するしかなかった。また、この実験では犯人と死体にもボーナスが出ることになっていた。それは、金のために殺人が起きる可能性を示すものだった。さらに、欲望を後押しするかのように、それぞれの部屋にはアイスピック、斧、毒薬などの凶器が……。残る6日間をどう過ごすか?殺されるか?殺すか?それとも制限時間まで逃げ切るのか?閉ざされた館の中、誰が襲ってくるかわからない状況に、全員が疑心暗鬼に陥ってゆく。実験が終了するのは、タイムアップを迎えるか、生存者が2名となり、実験不可能と判断された時だけ。参加者はひとり、またひとりと殺されてゆく……。やがて、ゲームに隠された恐ろしい真実に気づく結城。果たして誰が、最も高額の報酬を手に暗鬼館を出るのだろうか……?




22-5. 緋牡丹博徒 花札勝負

監督 加藤泰
出演 富司純子嵐寛寿郎石山律林彰太郎山本麟一
1969年 (東映) 98分

解説
石本久吉の原案に基き、 「緋牡丹博徒 一宿一飯」 の鈴木則文と 「待っていた極道」 の烏居元宏が英同で脚本化、監督は 「みな殺しの霊歌」 の加藤泰。撮影は 「緋牡丹博徒 一宿一飯」 の古谷伸があたったシリーズ第三作。

ストーリー
明治の中頃。渡世修行を積むお竜は、熊虎親分からの添書を持って、名古屋の西之丸一家へ草鞋を脱いだ。その頃、西之丸一家は熱田神宮大祭の勧進賭博をひかえ多忙をきわめていた。金原一家の組長金原鉄之介は、国会議員の古田と結託し、勧進賭博を仕切る名古屋一の貸元の座を狙っていた。そんな折、お竜は金原一家の賭場で自分の名を名乗る女賭博師お時を捕えた。お時は、盲目の子お君の目を直したい一心にイカサマをやり、金原にその腕を利用されていた。西之丸一家の親分杉山の息子次郎は、金原の義理の娘八重子と恋仲だった。次郎が、八重子との結婚を申し出ると、金原はサイコロで事を決めようと持ちかけ、お時を相手に当らせた。お時は勝負に勝ったものの、人質にされた次郎を、恩を受けたお竜が、探していることを知り、次郎と八重子を逃した。この一件によりお時は斬られ、次郎と八重子はお竜に守られて大阪へ逃げた。金原一家に草鞋を脱いでいる一匹狼の渡世人花岡は、二人を追ったが、お竜から事情を聞いて見逃すのだった。やがて金原一家を尋ねたお竜が監禁された。杉山は勧進元とお竜の命の決着を勝負で決めようと提案。杉山の代人お竜は金原の代人バケ安との一本勝負に勝ったが難癖をつけられ熊虎にその場を救われた。彰吾が金原に杉山を斬り捨てるよう命ぜられたのは、そんな折だった。彰吾は、金原にあいそをつかせていたが、一宿一飯の義理から杉山を斬った。重傷を負った杉山は、勧進賭博の挨拶を終えると息をひきとった。やがて、熱田神宮へ奉納金を修めに行った西之丸一家の代貸久保寺ほか数人が、金原一家に殺され、金も奪われた。お竜の拳銃と彰吾の白刃が金原一家の息の根を止めたのはそれから間もなくのことだった。




22-6. カイジ 人生逆転ゲーム

監督 佐藤東弥
出演 藤原竜也天海祐希香川照之山本太郎光石研
2009年 (東宝) 129分

解説
福本伸行による人気コミックを藤原竜也主演で映画化したサスペンス・ドラマ。莫大な借金を抱え、命をかけて行なう究極のゲームに参加するはめになった男たちの運命を描く。

ストーリー
自堕落な日々を送るフリーター、伊藤カイジ(藤原竜也)のもとに、金融会社の女社長・遠藤(天海祐希)が借金の取立てにやって来る。借主本人が夜逃げをして、保証人になっているカイジが法外に膨れ上がった借金を背負っているというのだ。だが、カイジには返済能力はない。そこで遠藤は、一夜にして借金を返済できるどころか、大金を手に入れるチャンスがあるという船に乗ることをカイジに勧める。“エスポワール(希望)”と名付けられたその船の中では、人の心理を巧みに利用したジャンケンのようなカードゲームが行なわれようとしていた。ひとつ乗り越えても、次々とカイジの前に立ち塞がるゲームの数々。カイジは自身の人生を逆転するため、命を懸けた戦いに挑むことになる……。






22-7. 座頭市血笑旅

監督 三隅研次
出演 勝新太郎高千穂ひづる金子信雄加藤嘉天王寺虎之助
1964年 (大映) 87分

解説
眠狂四郎女妖剣」 の星川清司と 「ど根性一代」 でコンビの吉田哲郎、松村正温が共同でシナリオを執筆 「悪名太鼓」 の三隅研次が監督した座頭市シリーズ八作目。撮影もコンビの牧浦地志。



ストーリー
甲州路を行く座頭市を見えがくれに追う五人組の殺し屋、文珠の和平次、島蔵、猪蔵、菊蔵、鶴蔵らは、市が乗った駕を先廻りして刺した。だが駕の中は赤ん坊を抱いた若い女おとよであった。市は途中で、急病に苦しむおとよに、駕をゆずったのだった。おとよの死を知った市は、その亭主信州宮本村の宇之助の許まで、赤ん坊を届けることにした。赤ん坊を抱いて、"めくらの市"は、駕かき土平と馬助を連れて子守旅を始めた。だが、五人組は、そんな市に襲いかかった。市の居合斬りで、一人を斬られた五人組。土平、馬助は退散して、市は赤ん坊と二人の旅を続けた。仲間を殺されて怒った殺し屋は、顔みしりの麻古女の半五郎を味方にして、おしめを替えている市に斬りかかった。だがそこでも市の刀は半五郎一家十人の命を奪っていた。盲目の市が、赤ん坊の世話をしながらの、やくざ旅は、苦労の連続であった。一夜賭博で金を作った市は、翌朝、田舎侍に追われる女巾着切り、お香を助け、子守り代りにお香をやとった。市の気っぷに惚れたお香は、市と口喧嘩をしながらも、よくめんどうをみた。ある日、お香が赤ん坊を二階からおしっこさせたのが、通りがかった相撲取り小手丑にかかり、市との間に乱闘が起きた。丁度通りがかった四人組は仕込杖を持たない市に、襲いかかったが、お香の機転でのがれることができた。市とお香が、お互い離れ難い愛情が湧いたころ、市は、今ではやくざの親分となっている宇之助を訪ねた。しかし宇之助は、子分に命じて赤ん坊を抱いた市を追い払った。宇之助の態度に怒った市は、赤ん坊をおとよの遺髪と共に菩提寺瑞光院の和尚に預けた。時しも寺の外では、宇之助を味方にした殺し屋、和平次らが竹槍の先に火をつけて、市を包み討うと襲った。市の居合破りを考えた和平次の作戦であった。振りかかる火と刃の中で四人組と子分を倒した市は、可愛いい赤ん坊の父親、宇之助だけは命を許した。赤ん坊と別れる市とお香の眼に涙が光った。




22-8. 柳生一族の陰謀  

監督 深作欣二
出演 萬屋錦之介松方弘樹西郷輝彦山田五十鈴千葉真一
1978年 (東映)

解説
権力に生きる柳生一族の存続を賭けた陰謀が、骨肉の争いへと展開していく姿を描く。脚本は「トラック野郎 度胸一番星」の野上龍雄と「仁義と抗争」の松田寛夫と「ドーベルマン刑事」の深作欣二の共同執筆、監督も同作の深作欣二、撮影は「仁義と抗争」の中島徹がそれぞれ担当。

ストーリー
元和九年五月十一日、徳川二代将軍秀忠が江戸城大奥にて病死した。将軍秀忠の死は、発病後わずか二時間というもじどおりの急死であり、そこに不自然な異変の匂いを嗅ぐ者もいたが、大奥御典医は、食あたりによる中毒死として発表する。三代将軍の座は秀忠の長男の家光が継ぐべき筈であった。しかし亡き秀忠は次男の駿河大納言忠長を溺愛し、秀忠夫人崇源院於江与も、また時の天皇御水尾帝の妃となっていた長女の和子も、次期将軍には忠長を切望していた。熱心な忠長擁立派の老臣たちも多かったが、若手老中松平伊豆守信綱や春日局の一派は、あくまでも家光を推してゆずらず、大阪夏の陣以来十余年の安定に馴れた天下は、再び動乱の兆を見せ始めた。家光を推す松平伊豆守は、今後の策を相談するため将軍家剣法指南役の柳生但馬守宗矩を訪ねた。そして、但馬守は長男の十兵衛三厳を忠長のいる駿府城下にもぐらせ、又土井大炊頭の近辺を見張らせる。数日後、駿府に戻った大納言忠長のために自由の身となって尽くすべく、土井大炊頭は病気保養という名目で老中職を退く。一方、家光側では対抗策として松平伊豆守を老中に、柳生但馬を大目付に据えて、家光陣営の強力をはかった。家光と忠長の争いは将軍職争奪の一点に絞られる。松平伊豆らは御所を訪れ、家光への将軍宣下の詔勅を待ち受けるが、京都宮中の思惑がからみ、返事は得られなかった。そんなある夜、江戸城西丸大奥で家老は、侍女に化けた玄信斎の弟子、歌舞伎役者の雪之丞に襲われる。この事件を機に、但馬守の忠長派打倒は急がれた。但馬守は十兵衛を京都ヘ仕わし、宮中一のきれ者といわれる文麿を討たせる。文麿の死に戦慄した朝廷は、直ちに勅使を江戸に下らせ、弁明と慰撫に当らせる。そして、間もなく家光の上洛が決まった。衝撃を受けた忠長は重臣と策を練り、家光より先に京都へ入り、朝廷と話し合うことを決意する。その頃、家光の行列が、駿府城下の浪人軍に襲われ、三条大納言実条が殺された。この襲撃は、忠長の仕業に見せかけようと、但馬守が根来衆を使って仕組んだものであった。家光は諸大名に檄をとばし、忠長との一戦も辞さずと、決意を披瀝する。忠長は、一戦を混じえる覚悟であったが、信頼を寄せる大納言義直の説得で開城に承知する。そして忠長は上州高崎へ配流された。数日後、家光襲撃は但馬守の陰謀であったとの報を耳にした義直は、但馬守を問いただすが、彼は強く否定する。その直後、但馬守は息子又十郎に命じ、根来衆を惨殺させる。根来衆と十余年を共に過ごした十兵衛はそれを知り、父・但馬守への復讐の念に燃える。その怒りは三代将軍についた家光の首をとることによって示された。そして、柳生一族の陰謀の渦中に展開した闘争も、但馬守と十兵衛の宿命の対決を迎えるに至った。それはまさしく、徳川家の輝しい歴史の中に消えていこうとする、父と子の姿でもあった。




22-9. ゴジラ FINAL WARS 

監督 北村龍平
出演 松岡昌宏菊川怜ドン・フライ水野真紀北村一輝
2004年 (東宝) 125分

解説
あずみ」 の北村龍平監督が、スタイリッシュな映像で魅せるシリーズ28作目。4か国の海外ロケを敢行し、異星人の脅威と人類の命運を賭けた死闘が展開する。日本語に吹き替えられた外国人キャストのセリフを、オリジナル言語のまま日本語字幕付で公開した 「ワールドプレミア・ヴァージョン」 もあり。

ストーリー
20XX年。突如、世界各地で一斉に怪獣たちが暴れ始めた。地球防衛軍及び新人類ミュータント兵士、通称・M機関は迎撃を開始するが、事態を収めたのは、地球に飛来したX星人と名乗る異星人であった。友好的な彼らに、歓迎ムードの地球人。しかし、X星人の真の目的は地球の支配、人類の家畜化だった。それをいち早く見破ったM機関兵士の尾崎と、分子生物学者・音無美雪、彼女の姉でテレビ・キャスターの杏奈は、X星人の計画を阻止すべく立ち上がる。ところが、本性を現したX星人の統制官は、サイボーグ怪獣・ガイガンを目覚めさせると、次々に他の怪獣も投下、地球侵略に乗り出した。そこで、尾崎たちは地球防衛軍が誇る海底軍艦・新 轟天号の艦長・ゴードン大佐の下、あるとんでもない作戦に打って出る。それは、地球の最終兵器とも言える南極の氷海に眠るゴジラを蘇らせ、怪獣たちと戦わせるのだ!果たして、海底より復活したゴジラは、ガイガンを倒すと、立ち塞がるジラ、クモンガ、カマキラス、アンギラス、ラドン、キングシーサー、エビラ、ヘドラを次々に撃破。更に、パワーアップしたガイガンやモンスターX=カイザーギドラをもやっつけ、最後にX星人を倒した尾崎たちと対峙するが、現れたミニラの制止によって海へと帰って行くのだった。





22-10. 新しい靴を買わなくちゃ

監督 北川悦吏子
出演 中山美穂向井理桐谷美玲綾野剛アマンダ・プラマー
2012年 (東映) 115分

解説
脚本家として数々のラブストーリーを送り出し、“恋愛の神様”と呼ばれる北川悦吏子が前作「ハルフウェイ」に続き、岩井俊二のプロデュースで手がけた監督第2作。中山美穂&向井理を主演に迎え、パリで出会った男女の3日間の物語が描かれる。向井演じる千の妹役に桐谷美玲、その恋人役に綾野剛とフレッシュな顔ぶれが揃った。

ストーリー
カメラマンのセン(向井理)は、妹スズメ(桐谷美玲)に付き添ってパリ観光にやって来たものの、単独行動を希望するスズメに置き去りにされる。宿泊先のホテルの場所もわからず途方に暮れていたところ、落としたパスポートが女性に踏まれて、破れてしまう。その女性は、フリーペーパー編集者の日本人アオイ(中山美穂)だった。“泣き面にハチ”のセンだったが、パスポートを踏んだ拍子に折れてしまったアオイの靴のヒールを接着剤で修理してあげたことが縁で、困ったときのためにと彼女の連絡先を教えてもらう。その後もスズメと連絡が取れないセンは、やむなくアオイに電話。こうしてディナーを一緒に取ることになった2人だったが、思いがけず話が弾み、アオイが酔いつぶれてしまう。彼女を自宅まで送り届ける羽目になったセンは、ホテルにも戻れず、彼女の部屋で夜を明かすことに。その頃、スズメもパリに住む恋人のカンゴ(綾野剛)と久々の再会を果たしていたが、彼の態度はどこかぎこちない。一方、カメラマンとしてアオイの取材に同行することになったセンは、パリを満喫していた。ヒールが壊れた靴のまま歩き、“新しい靴、買わなくちゃ”と呟くアオイを、優しく見つめるセン。やがて2人は、誰にも言えなかった思いも互いに打ち明ける。なぜ1人でパリに暮らしているのか……。これからもカメラの仕事を続けるべきなのか……。抱きしめ合う2人の気持ちがひとつになってゆく。このまま離れたくない……。




j22-11. 続社長えんま帖

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ岡田可愛東野英治郎小林桂樹
1969年 (東宝) 85分

解説
社長えんま帖」 の笠原良三が脚本を執筆し、松林宗恵がメガホンをとったシリーズ第三十一作目。撮影はトリオを組んだ鈴木斌。

ストーリー
マルボー化粧品社長大高長太郎は、国内市場はもとより、外国市場にも手を拡げ、今やライバルの椿堂も抜いてご機嫌な毎日を送っていた。ところが、ひとたび家庭に戻れば、女房の悦子には老人病対策を迫られ、全学連デモ隊救護班の娘春江には、負傷学生のモデルをやらされ散々だった。そんな折、長太郎に大社長就任の命令が下った。長太郎は、早速大社長の「えんま帖」の採点を預かる祇園の芸者香織を挨拶方々訪れたものの、一生の大事を抱えては、誘惑の機会を次に持越すほかはなかった。さて、帰京した長太郎は、西条企画宣伝部長、石山総務部長、富田林営業部長に大社長の意を伝え、西条を社長代理に任命した。そして、社内は未曽有の人事異動と新大社長の新方針に大混乱。まず、秘書兼“空とぶ社長室”の操縦士中沢が社長に八ツ当り。というのは、恋人章子との仲がうまくゆかない上に、大坂への早朝出勤の関係で、社長宅への宿泊勤務を命令されたからだった。ところが、これに喜んだのは宴会好きの富田林だった。長太郎宿願の新販売計画を好機到来とばかり宴会に結びつける始末。西条は、富田林のペースにまき込まれ毎日毎夜の接待係に明け暮れていた。お蔭で仕事も家庭も大混乱、妻栄子のご機嫌を伺うのが勢いっぱいだった。社長の椅子は見かけによらず重いもの、やがて西条は、新ショールーム開設に発憤するのだった。




22-13. 社長千一夜

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ小林桂樹司葉子英百合子
1967年 (東宝) 93分

解説
「赤い天使」 の笠原良三がシナリオを執筆し、 「てなもんや東海道」 の松林宗恵が監督した“社長”シリーズ二十五作目。撮影は新人長谷川清。

ストーリー
今や万国博を目の前にして、上潮ムードいっぱいの庄司観光会社は、目下社長を中心に猛ハッスル中。東京オリンピックでガッチリ儲け、次なる万国博では、観光客誘致事業の手始めとして、木村開発部長を現地調査につかわし、天草五橋プラン、つまり大阪→別府→熊本という、新ジェット・コース完成事業に着手した。ところが、道は敷いても、いざ外国人の宿泊施設の段になると、さすがやり手の社長、常務、部長、秘書の面々も思案投首の態、そこへトテモ信じられない話が飛びこんできた。自称、南米の大富豪の三世、ペケロ・ドス・荒木が登場し、天草に超近代的なホテル建設の為に来日したというのだ。半信半疑ながらも、渡りに舟とさっそく、庄司建設会社の現地案内珍道中と相なった。例により、南米男特有の雰囲気をムンムンさせるくだんの三世氏と、この時とばかり浮気を目論んでいる社長の間に、大阪のバーのマダム、鈴子が加わり、お色気合戦の大風呂敷が展開された。一行は瀬戸内海を経て、別府で一泊、車で快適に九州を横断し、ついにめざす天草に到着するや、案のじょう、ペケロ・ドス・荒木は仕事なんかソッチのけで、御婦人にのみ執心の態。そこへ何処でかぎつけたか、荒木の親類と名のる連中が押しかけ、天草ホテル建設計画を横どりしようとした。防戦する社長、常務、秘書路線の苦心を後目に、当の御曹子、荒木は女の方ばかりといったありさま。そのうちに南米の富豪の三世というのもホラだという噂も出る始末。一方、社長は楽しみにしていた浮気も、つぎつぎに失敗はするし、ホテル建設計画も、もはやこれまでと、皆で帰京の相談をしているところへ、青天のへきれき、ペケロ・ドス・荒木が事業計画書と仮調印書を、皆の前に差し出した。 一同は来るべき万国博を夢見るのであった。





22-14. ギターを持った渡り鳥

監督 斎藤武市
出演 小林旭浅丘ルリ子中原早苗渡辺美佐子金子信雄
1959年 (日活)

解説
「0番街の狼」 の山崎巌に原健三郎が加った脚本を、 「人形の歌」 の斎藤武市が監督したもので、小林旭主演のアクション・ドラマ。撮影も 「人形の歌」 の高村倉太郎が担当した。

ストーリー
神戸に近いある港町にギター背中に流れて来た伸次は、喧嘩で危い流しのサブを救ったことから親分の秋津にひきあわされた。秋津は自分の娯楽センター拡張のため、親切ごかしに金を貸し利子の期限切れを種に暴力的に土地を立退かせていた。伸次の腕力と嚇しはマーケットの住民をふるえあがらせた。秋津は沖合にある小島にもセンターを作る関係上丸庄漁業に伸次を使にたてた。しかし丸庄の女房澄子が秋津の実妹と知るとこの仕事を断った。会った時から伸次に惹かれていた秋津の娘由紀は叔母のために手を引いた彼に一層の好意を寄せた。ある日神戸の田口組のジョージがヤクの密輸を沖合で取引きするので舟をかりに来た。秋津の用心棒馬場は丸庄のあかつき丸を担保にとりあげた。秋津組とジョージは取引きのため沖合に出た。挨拶がわりのダイス遊びで見せた伸次の手さばきに、ジョージは彼とどこかで会ったような感じを持った。そこで厭がる伸次にむりやり拳銃を弾たせた。“判ったお前は神戸市警のデカだ。昔俺の舎弟を殺してサツを首になった奴だ”二人が拳銃を構えた時巡視艇が廻って来た。決闘は明晩までのばされることになった。その夜丸庄が溺死体となって発見された。サブの口から秋津の仕業と知った伸次は秋津と手を切る決心をした。翌晩再び海に出た。密輸取引きが終り二つの影が向い合った。その瞬間を狙って馬場の拳銃が二人に向って火を吐いた。伸次は海に消えた。ジョージは傷つきながら馬場を倒した。組のことを知り過ぎた伸次を消し密輸を一人占めしようとする秋津のたくらみであった。秋津の事務所へ伸次は飛び込んでいった。が秋津は拳銃を構えて待っていた。しかし何時の間にか裏口よりやってきたジョージに倒された。パトカーのサイレンが近づいた。ビリヤード場で対峙する二人。二人の拳銃が火を噴く。バシッとジョージの拳銃がフッ飛んだ。負けを認めたジョージを沼田刑事が逮捕に来る。別の日、復職を進める沼田に伸次は死んだ女の墓参りに佐渡に向かうと告げる。伸次の旅立ちに由紀たちが見送りに来る。また戻ってくると言って旅立つ伸次だが、由紀はそれが嘘だと判っていた…。




22-15. 忍者狩り

監督 山内鉄也
出演 近衛十四郎佐藤慶山城新伍河原崎長一郎田村高廣
1964年 (東映)

解説
「江戸犯罪帳 黒い爪」の高田宏治のオリジナル・シナリオを新人山内鉄也が監督した忍者もの。撮影は赤塚滋。

ストーリー
徳川三代将軍家光は、幕府の体制を不動のものにするため豊臣恩顧の外様藩取潰しを計った。そのころ伊予松山二十万石、蒲生家では城主式部太夫忠和の死病を理由に、嫡子種丸の家督相続を願い出、老中久世大和守より将軍家のお墨付を下付された。種丸の将軍家初御目見得の儀は六月十日に決った。儀式の後ではいかに幕府といえども蒲生家を取潰す事は出来ない。大和守は、忍者、闇の蔵人らにお墨付け奪還を命じた。一方蒲生家城代家老、土佐は幕府の腹を見抜き、五郎左衛門、八右衛門、新蔵、弥次郎の四人を忍者狩りに当てた。その内の一人五郎左衛門は、かって闇の蔵人との闘いに破れ主家を失った浪人で、蔵人への憎しみは激しかった。蔵人の手口を知る五郎左は、新規召抱えの家臣八人を巧みにわなにかけ、苛酷な拷問の末一人残らず首をはねた。しかし罪のない家臣の命迄も奪った五郎左の執念に蒲生家の人々は激しい反感を抱いた。一方弥次郎は御用商人天満屋の動きに疑問を抱き、尾行したが、かえって蔵人の手にかかり命を落した。さらに蔵人は、使者到着二日に控え、最後の手段として幼君殺害を計った。第一次暗殺計画は失敗した。が折りも折藩主忠知が死去、葬儀は使者到着以前に行われることになった。五郎左は、この機に蔵人が必ず種丸の命をねらうことと思い、葬儀の列にまぎれこんで蔵人を待った。葬儀当日、霊廟に入った五郎左、八右衛門らは蔵人の策略で霊廟にとじこめられ、蔵人の吹き針に次々と倒されていった。しかし八右衛門が、蔵人を腕の中に抱きこみ、五郎左の刃は八右衛門ごと蔵人を突きさした。しかしあまりにも犠牲は大きく、五郎左の心は空しかった。




j22-16. 釣りバカ日誌6

監督 栗山富夫
出演 西田敏行石田えり喜多嶋舞中本賢戸川純
1993年 (松竹) 96分

解説
釣りバカ日誌」 シリーズ六作目。講演会で岩手県・釜石にやってきた浜ちゃんが、社長に間違われ、珍騒動が持ち上がるというもの。マドンナ役は 「キャッツ」 などのミュージカルで活躍してきた舞台女優の久野綾希子。その娘役に喜多嶋舞が抜擢された。

ストーリー
鈴木建設・営業三課の浜崎は相変わらず釣りに明け暮れる毎日を過ごしていた。一方、社長の鈴木は、バブル崩壊などの影響で諸問題に囲まれ釣りを楽しむ暇もない。その上、妻の海外旅行でやもめ生活を余儀なくされていた。そんな鈴木を家に招待した浜崎は、釜石に行ってアイナメを釣ろうと提案した。奇遇にも週末、釜石で講演会を行うことになった鈴木は喜び勇んで、浜崎を半ば誘拐するように連れ、岩手県へと出掛けた。釣りざんまいの一日を過ごした鈴木は大満足。疲れ切った浜崎を車の後部座席に乗せて講演会のために用意された宿へ向かった。しかし、出迎えた市職員は浜崎を社長と間違えてしまい、逆に運転手と間違えられた鈴木は、美しい仲居の澄子に世話をやかれることになるのであった。澄子が結婚間近の一人娘を持つ未亡人なのを知った鈴木は、彼女にほのかな恋心を抱く。一方社長に仕立てられた浜崎は、無事講演会を努め、市職員たちや澄子を騙し通した。東京に帰ってくると、娘の結婚式のために東京にやってきた澄子が、鈴木を訪ねてきた。結婚式にも身分を偽って出るつもりであった二人だが、ちょうど居合わせた記者の橘が浜崎の身分を暴露してしまい、鈴木はついに自分が社長であることを白状した。





22-17. 怪獣大戦争

監督 本多猪四郎
出演 宝田明ニック・アダムス田崎潤沢井桂子水野久美
1965年 (東宝) 94分

解説
「風来忍法帖」 の関沢新一がシナリオを執筆、 「宇宙大怪獣 ドゴラ」 の本多猪四郎が監督したS・Fもの。撮影もコンビの小泉一。

ストーリー
一九××年−−宇宙に新惑星X星が出現した。宇宙パイロット富士一夫とグレンはX星探険に派遣された。X星には地球よりはるかに科学の進んだX星人がいた。が、今X星は宇宙怪獣キングギドラのために地上には住めなくなり地中に身を隠していた。X星の統制官は富士たちに、キングギドラを退治するために、地球に住むゴジラとラドンを貸してくれと申しいれた。そのころ地球上では富士の妹ハルノの恋人で発明狂鳥居がつくった不協和音を発する女性用護身器を、世界教育社員と称する波川女史が買いたいと申し出ていた。それから数日後、X星人は地球上に現われ、眠っていたゴジラを湖底から、ラドンを火口から、それぞれ無重力コースにのせてX星に運び去った。ところが、これはX星人の謀略であった。X星人にとって最大の敵ゴジラとラドンを連れ去ったX星人は直ちに地球に宣戦布告をしてきた。キングギドラもX星人の発する誘導電波であやつられていたのだった。そして今やゴジラもラドンもX星人の誘導電波にあやつられ地球を攻撃してきたのだ。そのころ地球上の科学者桜井博士は、怪獣をあやつるX星人の誘導電波を断ち切るための妨害電波の完成を急いでいた。一方のグレンと哲男は、ふとしたことから波川女史がX星人であることを知った。が、波川女史は、X星人の誓いにそむいて、グレンに恋をし、X星人のために抹殺されてしまった。だが波川女史はグレンに哲男がつくった女性用護身器が発する不協和音が宇宙人のウィーク・ポイントであることを知らせた。桜井博士の妨害電波も完成し、荒れ狂う三匹の怪獣にあびせられた。哲男の発明した不協和音も拡大されてX星人に送られた。苦心の研究は実り、誘導電波を断ち切られたゴジラとラドンは、再びキングギドラと対決して、見事に撃退した。不協和音のためにX星人も全滅した。ゴジラとラドンは海底に沈み、地球上にはまた平和がよみがえった。




j22-18. 釣りバカ日誌

監督 栗山富夫
出演 西田敏行石田えり谷啓山瀬まみ戸川純
1988年 (松竹) 93分

解説
釣りキチの会社員と初老の社長とのふれあいを描く。やまさき十三、北見けんいちの同名漫画の映画化で、脚本は 「ダウンタウンヒーローズ」 の山田洋次と、桃井章が共同で執筆。監督は 「愛しのチィパッパ」 の栗山富夫、撮影は安田浩肋がそれぞれ担当。

ストーリー
釣りキチのサラリーマン・浜崎伝助は、ある日高松から東京本社へ転勤を命じられた。伝助が愛妻みち子と共に引っ越したのは北品川の釣り宿の2階だった。伝助を迎えた鈴木建設の営業三課では、なんとなく彼の怠慢病が蔓延してきている。昼に伝助は食堂で社長の鈴木一之助と知り合ったが、お互いに素姓は知らない。二人は意気投合し、釣りに行く約束をした。釣りの日一之助は伝助の家でもてなしを受けた。伝肋もみち子も一之助を孤独であまり裕福ではない老人と錯覚したのだ。一之助は教えてもらった電話番号から伝助が自分の会社の社員であることを知る。ある日、みち子は伝肋の忘れ物を会社へ届けに行き一之助の正体を知った。伝助とみち子は複雑な気持だった。やがてまた転勤の季節になり伝助は高松へ戻ることになった。伝助は車中から一之助に電話を入れて友情を誓うのだった。





22-19. 海賊とよばれた男 

監督 山崎貴
出演 岡田准一吉岡秀隆染谷将太鈴木亮平野間口徹
2016年 (東宝) 122/145分

解説
明治、大正、昭和という激動の時代を舞台に、大胆な発想や行動力で大事業を成し遂げていく男の姿を描いた、実話がベースの百田尚樹の小説を岡田准一主演で映画化した人間ドラマ。 「ALWAYS 三丁目の夕日」 シリーズの山崎貴監督が、VFXを駆使した映像で、それぞれの時代をリアルに映し出し、物語を盛り上げる。

ストーリー
1945年。B29の群れが東京上空を覆いつくし無数の焼夷弾が落下。燃え盛る東京をバックに離陸していく戦闘機「月光」だったが、機数も少なく上昇力も弱いためあえなく敵に迎撃されてしまう。その地獄のような光景を国岡鐡造(岡田准一)はただ見つめているしかなかった……。玉音放送が響く中、銀座歌舞伎座裏に奇跡的に焼け残った国岡商店ビルから聞こえる鐡造の声。「愚痴をやめよ、戦争に負けてすべてを失おうとも日本人がいる限りこの国は再び立ち上がる。日本は石油を求め、石油をめぐる戦いに敗れた。今後この国が復活するためには石油が必要になる。だからこそ我々が働かなければならない」主要燃料が石炭だった時代から、石油の将来性を予感して石油業に邁進してきた鐡造は、戦後、石油の販売ができない時にも誰一人クビにすることなく、ラジオ修理などあらゆる業種に仕事を見出しながら店員たちを鼓舞。GHQや官僚的な石油公団にも屈することなく独自の経営哲学とその行動力により、石油販売網を拡大していくのだった。だが、やがてアメリカ石油資本のメジャーは鐡造を警戒し敵視するようになり、その圧倒的な包囲網で国岡商店の石油輸入ルートはすべて封鎖されてしまう。そんな八方塞がりの状況の中、鐡造は国岡商店の至宝である「日承丸」をイランに送ろうとしていた。しかし、イラン石油を輸入することは英国を完全に敵に回すことでもあった。英国の圧力により貧困にあえぐイランと自らを重ね合わせ、既得権益に胡坐をかく米英らメジャーとの本当の意味での戦いに突入する国岡商店。果たして、日承丸は英国艦隊の目をかいくぐり無事に日本に帰還することができるのか……。





22-22. トラック野郎 男一匹桃次郎

監督 鈴木則文
出演 菅原文太愛川欽也夏目雅子浜木綿子左とん平
1977年 (東映) 104分

解説
マドンナに夏目雅子を迎えたシリーズ六作目は、舞台を九州に移し、剣道三段の女学生に恋する桃次郎の活躍を描く。脚本は 「空手バカ一代」 の掛札昌裕と 「トラック野郎 度胸一番星」 の鈴木則文、監督も同作の鈴木則文、撮影も同作の飯村雅彦がそれぞれ担当。

ストーリー
熊本の青果市場で桃次郎と金造は、C調トラックを運転する電吉と知り合う。電吉のおごりでフグ料理を食べるが、桃次郎はフグ中毒にかかってしまう。この地方に伝わる解毒法といわれ、土の中に埋められた桃次郎の目の前に、女子大生の小早川雅子が現れる。一方、金造は築地の酒場の仲居和代の気をひこうとしているのを女房に見つかり、離婚を訴えられる。剣道の九州大会に出場する雅子を会場まで送ろうとする桃次郎の前に、タンクローリーを運転する袴田太一が現れ、雅子を連れ去った。袴田は雅子の姉の夫であった。友人の借金の保証人となった袴田は、借金を返すことができなかった友人のために生活に破綻をきたし、妻と別れたのであった。捜しあてたものの、意地をはり、太一のところへ戻ろうとしない由紀を桃次郎は説得し、彼と再会させる。一方、雅子は、結婚を誓った恋人・村瀬が不運の連続から海外に旅立とうとしていたため、心中は穏やかではなかった。桃次郎が雅子に求婚するが、村瀬の存在を知らされる。そして、村瀬は六時間後に鹿児島空港から出発するという。愛する人の元へ向うように桃次郎は雅子に話すと、彼女をトラックに乗せ、鹿児島空港へと驀走していった。




22-22. 次郎長富士

監督 森一生
出演 長谷川一夫市川雷蔵京マチ子若尾文子山本富士子
1959年 (大映)

解説
「若き日の信長」の八尋不二の脚本により同じく「若き日の信長」の森一生が監督した、おなじみ次郎長もの、オールスター・キャスト映画。撮影は「魔笛若衆」の本多省三。

ストーリー
武井安五郎の賭場へ次郎長は子分・桝川仙右衛門の兄を殺した小台小五郎の身柄引渡しを頼みに行った。ちょうど居合せた黒駒の勝蔵は含むところがあって小五郎と仙右衛門の一騎討ちを計った。仙右衛門は小五郎を倒した。が、神域を血で汚したという理由で次郎長の身辺に役人の手が回った。次郎長は旅に出た。夫の身を案じるお蝶も石松を供に後を追った。その道中、酒に酔いしれた石松は、道中師お新に胴巻を盗まれた。折悪しくお蝶は発病、途方にくれたとき通りかかったのが、以前世話をした豆狸の長兵衛で、彼の家に厄介になることになった。そのころ次郎長の泊った旅籠・大野鶴吉の家では、鶴吉の許婚・お妙に土地の代官が横恋慕、妾によこせとの無理難題。怒った鶴吉が代官屋敷に乗り込むという事件が起っていた。次郎長は早速、宿を飛出した。その彼のただならぬ姿を見たのが、お蝶の薬をとりに行った石松、後を追って代官所へ。次郎長らの大暴れに代官は平あやまりに謝った。日ましに上る次郎長の人気に業をにやした黒駒勝蔵は、浜松の大貸元・和田島太左衛門の跡目相続の席で憤まんを爆発させた。華やかな宴席が修羅場となりかけたとき、和田島の二代目おかつが割って入り仲裁した。勝蔵の憤りはつのった。彼は武井安五郎に府中の盆を盗ませた。これを知った清水の二十八人衆は安五郎の賭場になだれこみ、民家にかくれた安五郎を斬り倒した。が、このとき勢い余ってその家を焼き、これが次郎長の怒りにふれ、大政らは、お蝶の配慮で吉良の仁吉のもとへワラジをぬぐことになった。仁吉の家では、荒神山の盆割りを無法にも安濃徳に奪われた弟分の神戸の長吉が泣きついてきていた。仁吉は恋女房おきくが安濃徳の妹であるため、おきくを離縁、長吉に力をかすことにした。仁吉は大政ら二十八人衆とともに荒神山に乗り込み大乱闘を展開した。仁吉は鉄砲で討たれた。安濃徳の敗北を知った黒駒勝蔵は自ら次郎長と対決しようと富士川を場所に果し状をつきつけてきた。が、これもやはり次郎長の勝利に終った。




22-22. ダイナマイトどんどん

監督 岡本喜八
出演 菅原文太宮下順子北大路欣也嵐寛寿郎金子信雄
1978年 (東映) 142分

解説
昭和二十五年、北九州一円でエスカレートしたヤクザの抗争を民主的に解決しようと開かれたヤクザ組織の野球大会を描く。脚本は 「アラスカ物語」 の井手雅人と古田求の共同執筆、監督は 「姿三四郎(1977)」 の岡本喜八、撮影は 「青春の門 自立篇(1977)」 の村井博がそれぞれ担当。

ストーリー
昭和二十五年、北九州一円ではヤクザ組織の抗争がエスカレートして、まさに一触即発の状態であった。特に小倉では昔かたぎの岡源組と新興ヤクザの橋伝組がしのぎを削っていた。この事態に小倉警察署長は、ヤクザ抗争を民主的に解決するために野球大会を提案した。岡源組、斬り込み隊長の加助は“タマ遊び”でカタをつけることにのれず、割烹「川太郎」で飲んだくれていた。加助は店のおかみ、お仙にゾッコンまいっていた。岡源組のシマを狙う橋伝組は、一気に決着をつけようと、札束にものをいわせ、全国から野球上手な渡世人を集めた。一方、岡源組はドシロウトばかり、わずかに戦争で片足を失った五味を監督に迎えただけだった。ジョーカーズとの一回戦、あわや敗退かという時、途中から出場した加助の劇的な長打で逆転した。勝利に酔う岡源組の前に、岩国の貸元から送られてきた、助っ人、銀次が現われた。銀次の投げる魔球で二回戦は楽勝だった。しかし加助は銀次がお仙の惚れている男とわかって身を引く。橋伝組は、岩国に手を延ばして銀次を寝返えらせてしまった。このことが加助の怒りを一層あおり、岡源組は一人一殺の殺人野球に活路を求めスパイクを尖らせ、バットに鉛を埋めた。双方の応援団も盛り上がり、岡源組には小倉の芸者衆が、赤いけだしをまくってカンカン踊り、橋伝組には地元のストリッパーのラインダンスとボルテージは最高頂に達した。サイレンの音とともに試合は始まった。次々と負傷する両軍選手、審判も例外ではない。二転、三転する血みどろの試合展開。六対三で迎えた九回裏、岡源組の攻撃、二死満塁で加助がバッターボックスに入った、そして加助の打った打球は……。




22-23. 続次郎長富士

監督 森一生
出演 長谷川一夫市川雷蔵勝新太郎本郷功次郎月田昌也
1960年 (大映)

解説
「大江山酒天童子」の八尋不二の脚本を「濡れ髪三度笠」の森一生が監督した娯楽時代劇。「銭形平次捕物控 美人蜘蛛」の牧田行正が撮影した。

ストーリー
黒駒の勝蔵を倒して清水へ引上げてきた次郎長に、新しい押しかけ子分七五郎が待っていた。七五郎は、石松も顔まけの短気な男だ。石松と七五郎は、桝川の仙右衛門の仇討を買って出、八角一家を斬りまくった。次郎長の命で、三人は旅に出た。七五郎は旧友のお役者の政に会い、政の女出入りの傍杖をくった。反次郎長派の親分平親王の勇蔵は、政のまちがいを利用し、次郎長陣営の仲間割れを図った。勇蔵の背後には、黒駒の弟分黒竜屋亀吉や、軍師格の新助らが糸を引いていた。石松の報告で彼らの奸計を知った次郎長は、二十八人衆を連れて勇蔵の家へ乗りこんだ。大喧嘩が予想されたが、青年代官山上藤一郎の裁きで治まった。次郎長と別れた石松は、三河の為五郎から次郎長へ二百両の金を預って帰途についた。が、その二百両を道で会った都鳥の吉兵衛に貸してしまった。折から都鳥にワラジを脱いだ新助たちが、吉兵衛をそそのかし石松をだまし討ちにかけた。石松は手傷を負い、一度七五郎の家に逃げこんだが、また躍り出して殺された。勇蔵が都鳥兄弟をかくまった。吉兵衛を追って来た小政も生捕りにされるハメになった。勇蔵は小政を生きながら棺桶へ入れて清水へ送り、石松の死骸を引取りたいなら次郎長一人で来いと挑戦した。黒竜屋、勇蔵の連合軍の真只中へ、同勢わずか四人で次郎長が進んだ。同じ頃、清水で留守を守る大攻、七五郎らは、かつて七五郎に救われたことのある幸助から勇蔵の奸計を聞いた。みんな親分と一緒に死のうと駈け出した。死闘。やがて、勝どきは清水方にあがった。




22-24. ゴジラVSデストロイア

監督 大河原孝夫
出演 辰巳琢郎いしのようこ林泰文小高恵美大沢さやか
1995年 (東宝) 103分

解説
おなじみゴジラとゴジラジュニア、そして最強最大の敵デストロイアとの壮絶な戦いを描くモンスターパニック映画。東宝の96年度お正月作品で、ゴジラのハリウッド進出を前に日本版ゴジラ終焉が話題となった。監督は 「ヤマトタケル」 の大河原孝夫。脚本は 「緊急呼出し エマージェンシー・コール」 の大森一樹。主演は 「大失恋。」 の辰巳琢郎と、 「夜逃げ屋本舗」 の石野陽子。

ストーリー
バース島に異変が起き、ゴジラもリトルもその行方を消してしまった。それから一カ月後、ゴジラが香港に出現する。だが、その姿は以前のものとは違い、赤く発光していた。ゴジラの異変に、Gサミットは初代ゴジラを退治した山根博士の養子の子・山根健吉という大学生を加えたメンバーを招集して会議に入った。一方、国際物理学賞受賞者の伊集院博士は、ミクロオキシゲンの研究に余念がなかったが、それをテレビの自分の番組で取り上げた健吉の実姉・山根ゆかりは、彼女の叔母・恵美子からそれが芹沢博士が発明したオキシジェンデストロイヤーではないかとの相談を受ける。果たして、ミクロオキシゲンはオキシジェンデストロイヤーの一歩手前のものだと判明するが、伊集院は人間的倫理でそれを作ることはしないと言う。台湾沖に出現したゴジラは、ますますその体温を上昇させていた。健吉の調べでゴジラはメルトダウンを起こすのではないかという予測が立てられる。これをくい止めるには、オキシジェンデストロイヤーを使うしか方法がない。ゆかりや恵美子の心配をよそに伊集院博士にオキシジェンデストロイヤーの開発を依頼する健吉。その頃、水族館で魚が一瞬にして骨になってしまうという快事件が発生した。原因は42年前に東京湾に沈んだオキシジェンデストロイヤーによって異常成育した微生物が、東京湾海底トンネル工事で地上に出現したことにあった。その微生物は急速に巨大化し、ついに人間を襲うほどまで成長した。謎の生物が逃げ込んだ臨海副都心は地獄の様相を呈する。政府も自衛隊を派遣して、デストロイアと名づけられたその怪獣を攻撃するが、全く歯が立たない。そこでGサミットは、デストロイアとゴジラを戦わせるために、未希と芽留のテレパシーを使ってゴジラジュニアをデストロイアの囮にすることにした。ジュニアが来ればゴジラも後を追って来るはずだ。ジュニアとデストロイアの壮絶なバトルが展開される。だが、デストロイアはジュニアのエネルギーを吸ってパワーアップした。そこへゴジラが現れ、一旦はデストロイアを倒したかにみえたが、デストロイアは完全体へと変身し、さらに巨大化する。デストロイアはジュニアを倒し、ゴジラへと向かう。だが、最強の敵と目されたデストロイアも、ジュニアを殺されたゴジラの怒りには勝てなかった。デストロイアを倒したゴジラはジュニアの亡骸のそばに立つと、自衛隊の冷凍兵器攻撃も空しく、ついにメルトダウンを始める。それが人々を恐怖に陥れたゴジラの最期だった。しかし次の瞬間、もうもうと立つ蒸気の中にすっくと立ち上がるゴジラジュニアの姿があった。




22-25. ひばりの花笠道中

監督 河野寿一
出演 美空ひばり里見浩太朗近衛十四郎花房錦一
1962年 (東映) 83分

解説
観世光太の原作を 「勢揃い関八州」 の結束信二と 「歌う明星 青春がいっぱい」 の若井基成が共同で脚色、 「よか稚児ざくら 馬上の若武者」 の河野寿一が監督したコミカル時代劇。撮影もコンビの山岸長樹。

ストーリー
江戸は両国の盛り場、矢場の娘お君と天下の素浪人、緋鯉の寛太はイイ仲である。その寛太が突然姿を消した。浜松からやってきた娘が、凶刃を受け死を代償にして携えてきた密書が寛太出奔の原因とは、お君の弟新太、金次も気付く筈がない。だが家探しにきた刺客辰巳典膳たちの話から寛太の行く先を知ったお君は、新太と金次をつれてすぐさま旅に出た。一足先に小田原で寛太と巡り合った新太に、寛太が打ち明けた話が、浜松七万石のお家騒動に捲きこまれたというのだ。藩主が病死して起った後継ぎ問題、長男松千代は出奔して行方知れず、次男梅千代は乱心して幽閉の身、三男竹千代は幼少過ぎる。家老松江伝兵衛は松千代を藩主とするのが常道と主張したが、竹千代の後見として浜松藩乗っとりを策する飯田左京は頑強に竹千代を推した。固苦しい武家生活を嫌い城を飛び出した松千代の行方を知る伝兵衛は娘の浜路を使者に江戸へ送ったのだが……。寛太と新太は浜松城へ急いだが、途中刺客に襲われたところを浪人伊丹隼人に救われた。だがこの隼人は、典膳から金を貰うと浜松へさしかかった寛太達に銃を向けた。……浜松城では、無念の涙にくれる伝兵街をよそに竹千代と並んだ左京を上座に祝宴がたけなわである。仕官の身となった隼人も、控えていた。座が進み、お京太夫一座の踊りが最高潮に達した時、颯爽と現われたのは新太と若様姿の寛太。「松千代君!」と驚きのあまりに左京は絶句したが、すぐに「構わぬ、斬れ」と叫んだ。すると隼人が“御公儀大目付”と名のりを上げ、寛太をかばって剣を構えた。たちまち広間は大乱闘の場と化したが、悪の栄えようはずがない。逆臣共を斬って捨てた寛太は、再会を喜ぶ梅千代、伝兵衛が「城に残って下さい」と頼むのに、「俺らは両国無宿の寛太だぜ」と振り切って、お君の肩を抱いて江戸へ戻るのだった。




22-26. 眠狂四郎魔性剣

監督 安田公義
出演 市川雷蔵瑳峨三智子長谷川待子明星雅子穂高のり子
1965年 (大映)

解説
柴田錬三郎の原作を 「眠狂四郎炎情剣」 の星川清司が脚色 「座頭市関所破り」 の安田公義が監督した 「眼狂四郎シリーズ」 第六作目。撮影もコンビの竹村康和。

ストーリー
武家育ちの娘・佐絵は、狂四郎の辱かしめをうけて自殺した。翌日、狂四郎のもとに、大工の娘・お糸が佐絵の遺書と共に、その子鶴松を連れてきた。鶴松は、岩代藩の城主と、そのころ御殿女中であった佐絵との間にできた隠し子で、城主は一度は邪魔者扱いにして追放したものの世継ぎの出来ぬ今は、力づくで連れ戻そうとしていた。狂四郎は、お家のためには、幼い子供の将来をふみにじる武士道に激しい、いきどおりを覚えた。そんな狂四郎は、以前ふとしたことから斬りすてた伴蔵の妹おりんにつきまとわれていた。一方岩代藩の江戸家老・菊村外記は、そんな狂四郎の動勢を察して、いちはやく鶴松を捕え、岩代藩随一の使い手・赤石群兵衛を狂四郎にさしむけた。また狂四郎を亡きものにしようと殺意に燃えるおりんは、蛇使いの女・お艶や比丘尼の青華院に色仕掛けで狂四郎を誘い殺そうとしたが果せず、爆薬を狂四郎の持つ提灯に仕掛けた。が寸前、狂四郎はこれを見破った。一方、狂四郎より一足早く城に辿りついた鶴松は、老臣の娘綾路の手引きで町はずれの五重の塔に身を潜めた。しかしこれを知った岩代藩の追手に綾路は斬られ、ちょうど通りかかった狂四郎に鶴松を託した。が、そんな狂四郎に、おりんの知せでかけつけた岩代藩の刺客が、人質としたお艶を先頭にしてとりかこんだ。さすがの狂四郎もお艶に刃を向けることが出来ず剣を捨てた。だが危機一髪、鶴松は刺客の手をかいくぐり剣を狂四郎に手渡した。剣をとりもどした狂四郎必殺の円月殺法がうなり、群兵衛をはじめとする刺客は地にはった。すべてを終えた狂四郎は鶴松に、武士の悲しさを説き、また一人どこへともない旅にでていった。




22-27. 水戸黄門

監督 山内鉄也
出演 東野英治郎里見浩太朗大和田伸也中谷一郎高橋元太郎
1978年 (東映) 88分

解説
東映での映画化十七回目の今回の 「水戸黄門」 は、人気テレビ・シリーズのしギュラーキャストをそのままスクリーンに起用したもので、加賀百万石のお家騒動の解決に乗り出す黄門一行の活躍を描く。原案・脚本は葉村彰子、監督は 「祇園祭」 の山内鉄也、撮影は 「日本の首領 完結篇」 の増田敏雄がそれぞれ担当している。

ストーリー
水戸黄門が悠々自適の生活を送っている常陸の国西山荘の近くで、二人の武士が黒覆面の一団に襲われていた。通りがかった風車の弥七が、そのうちの一人を救った。西山荘に担ぎこまれた若侍の胸には豊かなふくらみが……実はその若侍は、加賀百万石前田家城代家老奥村作左衛門の息女由美であった。由美の話によると加賀百万石は次席家老村井主水の悪企みで、お家騒動の渦中にあり、黒覆面は主水の放った刺客とのことである。村井は城主前田綱紀の愛妾百合の方が自分の妹であることから、その子松千代を立て、嫡子新之助を廃し、加賀百万石を握ろうとしていた。話を聞いた黄門一行は、加賀藩を救いに出発した。越後へさしかかった黄門一行は、とある旅篭に“水戸御老公様御宿”と書かれた看板を見た。何とニセ黄門の逗留である。悪気のないことから、ニセ黄門一行を許し、さらに敵の目をくらませるために江戸に向かわせた。一方、国許では、綱紀の江戸からの帰国を真近に控え村井一派が最後のツメに入っており、しかも奥村に心を寄せていた石川隼人が村井に寝返ってしまった。いよいよ、帰国した綱紀お目見えの日、作左衛門、由美、黄門一行も奉納の御神乗太鼓一行に変装して城内へ潜入する。綱紀の前にズラリと居並ぶ家臣達。家臣を代表して口上を述べる主水。“新之助君病弱故、お家のため、松千代君こそ御跡目にふさわしき御方と家臣一同願っております”家臣一同平伏する中、村井に寝返っていたはずの石川隼人が一人頭を上げ、凛とした声で、“松千代君を推すはお家のためにあらず、加賀百万石を手中にせんとする陰謀なり。汝等に加担したと見せかけたはその企みを知るためなり”最早これまでと太刀を抜いて切りかかる村井一派。繰り広がる大乱闘。突如、轟き渡る御神乗太鼓に乗って現われいでた助さん、格さん、弥七、御老公。「静まれ! この紋所が眼に入らぬか! ここにおわすをどなたと心得る。畏れ多くも前の副将軍水戸光圀公にあらせられるぞ、控えい!控えい!」助さん、格さんの大活躍で無事、事件解決。幸せそうな隼人と由美、そして作左衛門らに別れを告げ、黄門一行は加賀を後にした。




22-28. 釣りバカ日誌20 ファイナル

監督 朝原雄三
出演 西田敏行三國連太郎浅田美代子松坂慶子吹石一恵
2009年 (松竹)

解説
ハマちゃん&スーさんコンビでおなじみの、22年に及ぶ国民的人気シリーズがついに完結。シリーズ初の北海道ロケを敢行し、物語のファイナルを涙と笑いで盛り上げる!

ストーリー
リストラに倒産、不況の波は一流ゼネコン・鈴木建設にも押し寄せていた。近年の業績悪化の中で、スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は会長としての責任を感じ、業績が回復するまで無期限で給料を全額返還すると申し出て、堀田社長(鶴田忍)や秋山専務(加藤武)ら役員たちを驚かせる。その噂は社内外に広まり大騒ぎ。常にマイペースの万年ヒラ社員、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)も、妻・みち子(浅田美代子)からはっぱをかけられ、スーさんのために人肌脱ごうと奮起、得意の釣り人脈から思いがけない大型受注に見事成功する。ハマちゃんは会長賞を貰い、スーさんいきつけの小料理屋に招待される。そこの女将・沢村葉子(松坂慶子)は、スーさんの亡き親友の娘だという。会社の経営状況や自身の老後、財産分与問題など、悩み多きスーさんにとって、優しく労わってくれる葉子やその娘の裕美(吹石一恵)が、実の娘や孫以上に可愛く思えるのだった。そんな中、会長賞のご褒美“釣り休暇”によって堂々と会社を休めることになったハマちゃんは、スーさんと共に久々に釣り旅行に出かける。行き先は、裕美が獣医として働く北海道。道東の雄大な自然の中、久しぶりの渓流釣りを楽しむハマちゃんとスーさんだったが、旅館に戻ると、葉子から思いがけない相談を持ちかけられる。見知らぬ土地でひとり頑張っているとばかり思っていた裕美が、牧場の跡取り息子・久保俊介(塚本高史)と同棲しており、しかも突然結婚したいと申し出たというのだ。スーさんは混乱する葉子をなだめ、ハマちゃんに両家の仲介を頼む。翌朝、スーさんは葉子を伴い、亡き親友・沢村の墓参りに向かうが、それは北海道旅行のもうひとつの目的でもあった。経営者として、家庭人として人生の分岐点に立つスーさんは、亡き親友の墓前で、今までの自分の人生、そしてこれからに思いを馳せるのだった……。




22-29. 釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪

監督 朝原雄三
出演 西田敏行三國連太郎金子昇伊東美咲浅田美代子
2005年 (松竹)

解説
名コンビ、ハマちゃん&スーさんの釣りバカ珍道中を描く人気シリーズ最新作。今回は伊東美咲や、バラエティ番組などで活躍中のボビー・オロゴンをゲストに迎えて、長崎を舞台に、またまたハマちゃんが騒動を繰り広げる。

ストーリー
第二西海橋の連結式出席の為、長崎県佐世保へ出張することになったハマちゃんとスーさん。しかし、ハマちゃんは長崎営業所に赴任中の“鈴建フィッシング・クラブ”の後輩で、大会社・久保田業の御曹司でもある達也に船の手配をさせると、偶然知り合った米軍基地に勤めるアメリカの釣りバカ、ボブと、仕事そっちのけで釣りを楽しむのだが、夜、お酒を飲みに街へ繰り出したのを最後に、消息を絶ってしまう。実はハマちゃん、米軍のイージス艦に迷い込み、ハワイへ向かっていたのだ!そんなこととは露知らず、ハマちゃんと連絡の取れないまま帰京したスーさんは、ハマちゃん行方不明の一報にみち子さんと大騒ぎ。だが数日後、ふたりの心配をよそに、ハマちゃんはハワイからの帰国を果たすのであった。それから一ヵ月後、ハマちゃんとスーさんは再び佐世保を訪れていた。達也と恋人・美鈴の結婚式に参列する為である。そして、ハマちゃんの計らいで、ふたりの結婚に反対していた美鈴の頑固者の父・輝男の出席も叶い、無事、式を終えた釣りバカ・コンビは、佐世保の港で釣りを楽しむのだった。




22-30. 憎いあンちくしょう

監督 蔵原惟繕
出演 石原裕次郎浅丘ルリ子芦川いづみ小池朝雄長門裕之
1962年 (日活)

解説
上を向いて歩こう」 の山田信夫のオリジナル・シナリオを 「銀座の恋の物語」 の蔵原惟繕が監督した青春ドラマ。撮影はコンビの間宮義雄。

ストーリー
北大作はマスコミから追いまわされる「現代のヒーロー」で、映画出演、テレビ座談会、司会、原稿執筆等々、一分一秒まで予定で埋っている。そんな彼を支配するのは、マネジャー兼恋人の榊典子という近代娘。二人は二年前から「ある瞬間」がくるまで、指一本ふれないという約束をかわしている。時間で動く機械のような生活に倦怠を感じている大作の前に、井川美子が現れて情勢は一変した。「ヒューマニズムを理解できるドライバーを求む。中古車を九州まで連んでもらいたし。但し無報酬」という奇妙な三行広告が、大作の受け持つテレビ番組とりあげられたのが事の始まり。美子の恋人で医師の敏夫は、九州の片田舎に住んでもう二年も離れたままだが、今なお二人の間には純愛が続いている。大作の体中の血がたぎった。「僕が運びます!」彼が本番最中のテレビ・スタジオを飛び出したので、典子やディレクターの一郎は大あわて。典子はスポーツ・カーで、ジープを飛ばす大作を追った。いち早くこの事件から新番組を企画した一郎たちの取材班、新聞社の車がそれに続いた。静岡、豊橋、名古屋、京都−−。典子は愛する大作の突飛な行動を正当化し、話題の焦点にしようと一芝居打つが、それは失敗に終った。大作の心には、井川美子の純愛をたしかめることしかないのだ。幾多の困難を排してジープは一路九州へ。福岡の山笠まつりの混乱の中で、群衆にもまれた典子は大作に救い出された。大作は典子との間にあった倦怠が崩れ、ついに「ある瞬間」がやってきたのを知った。阿蘇の大噴火口を越えると、目的地は近い。洗川村では美子と敏夫が大作を待っていた。ジープを渡した大作は、東の空にのぼる太陽を見つめて、典子に叫んだ。「さあ、きょうから僕たちの第一日目だ!」と−−。




22-31. 眠狂四郎無頼剣

監督 三隅研次
出演 市川雷蔵天知茂藤村志保工藤堅太郎島田竜三
1966年 (大映)

解説
座頭市地獄旅」 の伊藤大輔がシナリオを執筆し 「大魔神怒る」 の三隅研次が監督した“眠狂四郎”シリーズ第八作目。撮影は 「続・酔いどれ博士」 の牧浦地志。

ストーリー
眠狂四郎は武部仙十郎から、大塩忠斎の残党が不穏な動きを企てていると聞かされた。江戸一番の油問屋弥彦屋と一文字屋が押込み強盗にあい、町辻では角兵衛獅子兄妹、女芸人勝美太夫なるものが現われ、不思議な火焔芸を披露しているが、これは大塩一味と関係があるという仙十郎の狙いだった。というのは、越後の地下水から油精製(石油)を研究した大塩忠斎・格之助父子が、その権利を一万両でゆずり貧民救済資金にしようと計画したが、義挙は商人の裏切りによって、挫折し、大塩父子が処刑されていたからだ。その帰途、狂四郎は弥彦屋お抱えの用心棒、日下部玄心の一党に襲われた勝美を救った。勝美は狂四郎の顔をみて驚いた。狂四郎と格之助が似ていたためであった。勝美の口から、一文字屋と弥彦屋を襲ったのは愛染と名乗る浪人一味で、中斎の恨みを晴らさんため、老中水野忠邦をも狙っており、しかも、格之助から油精製の図録を盗んだのは、一文字屋巳之吉に命じられた勝美であり、商人たちは図録を盗んでおいて大塩を幕府に売ったのだ。勝美はその後で自分の罪の深さを知って、巳之吉に恨みを返さんため動いていると聞かされた。勝美を銀杏長屋に送った狂四郎は、そこで愛染一味に襲われた。愛染一味は図録を盗んだ勝美を殺そうと狙っていたのだ。愛染と対決した狂四郎は驚いた。愛染は狂四郎と全く同じ円月殺法を遣ったからだ。それは狂四郎を鏡に写したごとく正確で、勝負は持ちこされた。亥の子祝いの日、愛染一味は弥彦屋と一文字屋を焼き払い、忠邦を襲った。そこには狂四郎が待ちうけていた。愛染と狂四郎の一騎打ち。同じ円月がゆっくり廻っていった。静かに倒れふしたのは愛染の方であった。




22-32. トラック野郎 望郷一番星

監督 鈴木則文
出演 菅原文太愛川欽也島田陽子土田早苗小倉一郎
1976年 (東映) 100分

解説
“トラック野郎”シリーズ第3作目。桃次郎・ジョナサンのトラック野郎コンビが捲き起こす珍事件と恋を描いた喜劇。脚本は 「超高層ホテル殺人事件」 の野上龍雄と 「トラック野郎 爆走一番星」 の澤井信一郎、監督は 「お祭り野郎 魚河岸の兄弟分」 の鈴木則文、撮影も同作の飯村雅彦がそれぞれ担当。

ストーリー
九州方面の旅から一週間振りに帰って来た桃次郎とジョナサンこと金造は、北海道行きのカーフェリーの出発時間を待つ間、川崎の金造の自宅に立ち寄った。ところが金造の妻・君江と9人の子供たちは、現在の6畳一間の家では狭すぎるので金造にもっと頑張って家を建ててほしいと要求した。おかげで金造は、カーフェリーに乗ってもラウンジでアルバイトするはめになった。一方、桃次郎は暇をもてあましていたのだが、美貌の女性・三上亜希子に一目惚れしてしまった。釧路に着いた桃次郎は、亜希子の顔が頭にこびりついてしまい他の女には目もくれないばかりか、港の魚市場で女トラック運転手の涼子を罵った。ところが涼子に惚れているカムチャッカの熊こと大野田太郎左衛門がこの事を聞いて怒り、熊と桃次郎はたちまち大喧嘩になった。しかし喧嘩の腕は互格のため、トラックで勝負することになった。だが、地の利に明るい熊に軍配が上り、桃次郎は北海道を直ちに去る約束をした。その帰り道、桃次郎は亜希子と再会した。亜希子は静内の牧場の娘で、両親を亡くし女の身一つで牧場を経営していた。亜希子にすっかり心を奪われた桃次郎は、熊との約束を忘れて、トラックはそっちのけで乗馬入門書にかじりつく始末。そんなある日、亜希子が一番可愛がっていた仔馬が病気になり、獣医も見離してしまった。そこで看病をかって出た桃次郎は、仔馬とともに一夜を明かし、その甲斐があって奇跡的に元気を取り戻した。亜希子は桃次郎のひたむきな献身振りに心を打たれるのだった。桃次郎は亜希子の感謝の言葉を背に釧路に戻った。というのも、桃次郎が北海道に居すわったのは涼子との仲が原因、と熊が勘違いしていたからだ。だが、涼子が自ら熊に愛を告白したため大事には至らなかった。桃次郎は金造夫婦のすすめもあり亜希子にプロポーズしようとしたのだが、彼女には既に結婚を約束した相手がいることを知り、ガックリしてしまう。そんな時、金造のアルバイト先の運送ブローカー・鮫田が金を持ち逃げしたため、荷が滞貨し、金造が困り果てていた。見るに見かねた桃次郎は、金造を勇気づけると、自らハンドルを握って、驀走するのだった。




22-33. 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 

監督 富野喜幸
出演 古谷徹鈴置洋孝飯塚昭三井上瑤白石冬美
1981年 (松竹) 134分

解説
アムロを中心とする少年少女たちと、ジオン軍の戦いを描くシリーズ第二弾。原作は矢立肇、富野喜幸、脚本は 「機動戦士ガンダム」 の星山博之、荒木芳久、山本優、松崎健一の共同執筆、総監督も同作の富野喜幸がそれぞれ担当。

ストーリー
宇宙世紀0079年。地球総人口の半数が宇宙を故郷にして五十年。サイド3というスペースコロニーがジオン公国を名乗って地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。建設途上にあったスペースコロニー・サイド7に住むアムロを初めとする少年少女たちは、ジオン軍の攻撃の中、連邦軍の新型強襲揚陸艦ホワイトベースを駆ってサイド7を離れ、地球にある連邦軍本部シャブローへ向った。彼らの背後を、ジオン軍の“青い巨星”ランパ・ラル率いる独立部隊が追う。少年たちは疲労し、アムロは指揮官ブライトと対立、ガンダムと共に艦を降りた。しかし、ラルの攻撃に再び船に戻るアムロ。凄絶な戦いでラルは自爆した。ジオン軍の攻撃は続き、リュウ、マチルダが戦死、少年たちは悲しみに沈む。戦いは連邦軍の優勢で進み、ホワイトベースはヨーロッパ基地へ辿り着き、そこで修理することになった。少年たちの一人カイは街でジオンの女スパイ、ミハルと恋に陥た。修復なったホワイトベースは、シャブローへ向けて飛び立ったが、艦内にはミハルが潜入していた。しかし、ミハルは自分の妹弟と同年齢の少年たちの姿に非を悟り、ジオンの攻撃に立ち向かうが、不幸にもその身を大西洋に沈めた。なんとかシャブローにホワイトベースは到着した。その頃、地球連邦軍本部は宇宙戦略を急ぐことを決定、囮としてホワイトベースが地球を飛び立った。それを追う、シャア。少年たちは、本部の決定にもはや逆らうことも許されず、激化の一途をたどる戦争に以前にも増して深くかかわっていく。その中で、アムロ、ミライ、カイの戦士としての素質が開花しつつあった。





22-34. 嵐を呼ぶ男(2257)  

監督 井上梅次
出演 石原裕次郎青山恭二小夜福子北原三枝岡田眞澄
1957年 (日活)

解説
小説サロン所載の井上梅次の小説を、彼自身と西島大が脚色し、「鷲と鷹」に続いて、彼が監督した娯楽映画である。撮影は「美徳のよろめき」の岩佐一泉が担当した。主演は「俺は待ってるぜ」の石原裕次郎、北原三枝のコンビである。ほかに青山恭二、岡田眞澄、芦川いづみ、白木マリなどの若手に、小夜福子、金子信雄らベテランなどが助演している。また笈田敏夫が特別出演する。色彩はイーストマンカラー。

ストーリー
音楽学校の生徒国分英次は、銀座の流しギターで評判の暴れん坊である優しい兄の正一を売り出そうと思っていた。それをジャズ・バンド「福島慎介とシックスジョーカーズ」の女支配人美弥子にたのみ込んだ。バンドのNO1ドラマー、チャーリー・桜田は、美弥子と結ばれた仲だったが、最近ステージ・ダンサーのメリーに引かれていた。そして、ついに美弥子と別れてメリーの属する持永興行と契約してしまった。NO1を失った美弥子は正一のことを思い出した。「彼を日本一のドラマーとして育て上げよう」桜田への競争心も手つだって彼と契約したのである。正一も懸命になった。父を失い、母から冷たくあつかわれて来た彼は、「おふくろの鼻をあかしてやる」という気持もあった。正一が初出演する日、表面、ジャズ評論家で、実は情報屋の黒幕左京徹が現れ、美弥子との仲をとりもつことを条件に、君を売り出してやろうと正一に持ち出した。正一の人気は次第に上ってきた。もちろん左京の運動もあったが、彼の猛練習、それに美弥子の厳格な指導でメキメキと力をつけたのだった。そのうち、二人の間に淡い恋心が芽生えた。いよいよ桜田と正一がドラム合戦をすることになった。その前夜、正一はメリーをめぐる紛争から、桜田の取巻きの与太者と喧嘩して右手を傷つけられた。当日、繃帯をまいた手の痛々しい彼は、遂にマイクをにぎると荒々しい一曲を唄い、満場の拍手をあびた。だが、母は正一に冷たかった。絶望して泥酔した彼は、はじめて美弥子と結ばれた。ところが、たまたま弟英次が新人リサイタルに推薦されることになり、それには左京の力が必要となった。正一は以前の左京との約束を守ろうと、美弥子から離れるつもりになったが、左京と桜田一味の襲撃にあい、右手を完全につぶされてしまった。英次の晴れての演奏会の夜がやってきた。客席では今は正一を理解した母、美弥子、そして英次を恋するみどりが、喜びにあふれてかがやかしい英次の姿にながめいっていた。その時正一は、バーのラジオで英次のうたごえをききながら、一人で涙を流していた。自分はダメだが、弟が……と思いながら。




22-35. 名探偵コナン 世紀末の魔術師

監督 こだま兼嗣
出演 高山みなみ山口勝平藤田淑子山崎和佳奈
1999年 (東宝) 100分

解説
ロマノフ王朝の財宝を巡って繰り広げられる謎解きと殺人事件に、おなじみ少年探偵・コナンが挑むミステリー・アニメーションのシリーズ第3弾。監督は前作 「名探偵コナン 14番目の標的」 に続いてこだま兼嗣があたっている他、脚本も青山剛昌による原作キャラクターを基に前作に引き続きの古内一成が執筆。撮影も前作と同じく野村隆が担当している。声の出演に高山みなみ。

ストーリー
ある日、コナンの好敵手で世界を股にかける・世紀末の魔術師・キッドから警視庁に謎めいた犯行予告状が届いた。キッドが狙っているのは、大阪の鈴木財閥の会長・鈴木史郎の蔵から発見されたロマノフ王朝の秘宝であるインペリアル・イースター・エッグ。1885年から1916年にかけて50個、皇后への復活祭の贈り物として時のロシア皇帝が宝石細工師・ファベルジェに作らせたとされる、51番目の代物であった。鈴木会長の依頼で警視庁に協力することになった毛利小五郎について、蘭と共に大阪へ飛ぶコナン。彼らを出迎えたのは、蘭の親友で鈴木会長の令嬢・園子と秘書の西野だった。ふたりに連れられ鈴木会長を訪ねたコナンは、そこでロシア大使館のセルゲイ、美術商の乾、ロマノフ王朝研究家の青蘭、映像作家の寒川らと会う。彼らは、商談や撮影の為に鈴木会長の元を訪れていた。さてその夜、予告通りキッドがエッグを狙って大阪の街に出現した。警察の裏をかく大胆な手口で、まんまとエッグを盗み出したキッド。コナンは、関西の高校生探偵・服部平次の協力の下、ハンググライダーを駆って逃げるキッドを追跡するが、途中、キッドは何者かに狙撃されてしまう。墜落現場にコナンが急行すると、そこにはキッドの忠実なしもべで怪我をした純白のクジャクバトと、キッドが右目にしていた片眼鏡、盗まれたエッグが落ちていた。果たして、キッドを狙撃したのは何者なのか、そしてキッドは何処へ消えてしまったのか? さて、取り戻されたエッグは傷を調べる為に、急遽、鈴木財閥の船で東京に運ばれることになった。その豪華客船にはコナンを初めとする面々の他に、香坂夏美というファベルジェの工房で細工職人として働いていた曾祖父・喜市を持つ少女と、香坂家の執事である沢部が乗り込んでいた。船上で、夏美は喜市がロシア革命の翌年、ロシア人夫人と共に持ち帰ったエッグの設計図面を披露。それにより、52番目のエッグの存在と51番目と52番目のエッグの製作者が喜市であったことが明らかになり、更にコナンがエッグに仕掛けられた鏡を見つけたことによって52番目のエッグの在処が横須賀に喜市が建てた香坂家の城であることが判明する。ところがその日の夕方、客室で寒川が右目を撃ち抜かれて殺されているのが発見された。寒川の部屋から西野のボールペンが見つかり一時は西野が疑われも、コナンは世界中でロマノフ王朝の財宝を専門に盗み、右目ばかりを狙って人を殺害するスコーピオンなる人物の情報を阿笠博士からゲットしたことから、西野の容疑は晴れる。翌日、東京に到着した一行は、早速、横須賀の香坂家へ向かった。城内を案内されるコナンたち。そこでコナンは、城に地下室があることに気づく。潜入すると、隠し部屋があった。そして、そこには喜市の妻であるロシア人女性の遺体が、大事そうに52番目のエッグを抱いて安置されていた。コナンは、そのエッグを側にあつらえてあった台座に設置。すると、天井一杯にロシア皇帝一家の仲睦まじい想い出の写真の数々が展開された。その仕掛けと言ったら、まるで魔術でも見ているかのようであった。ところがそこへ、エッグを狙ってスコーピオンが出現した。乾を殺害したスコーピオンは、エッグを奪うとコナンたちを地下室に閉じ込めたまま城に火を放つ。しかし、コナンはその正体が青蘭であることを既に見抜いていた。実は、青蘭はロマノフ王朝を破滅に導いたとされる怪僧ラスプーチンの末裔だったのである。非業の死を遂げた先祖の復讐の為に、世界に散らばったロマノフ王朝の財宝を盗んでいた青蘭。彼女が寒川と乾を殺害した動機は、ふたりが彼女の正体を知りそうになったからだ。青蘭と対峙するコナンに、突如現れ助太刀するキッド。キッドは白鳥刑事に化けて、ずっとコナンの側にいたのである。キッドのお陰で、コナンは青蘭を逮捕することに成功。更に、地下室に閉じ込められていた人たちも助かる。さて、キッドが今回の事件に一枚噛んだのには訳があった。それは、・19世紀末の魔術師・と呼ばれた細工師・喜市への想いからであった。喜市は、日本へ渡ってきたロシア人の妻、実は彼女はロシア皇帝一家のたったひとりの生き残りである三女のマリアだったのであるが、その生い立ち故に正式に日本の墓に埋葬されることのなかった彼女の遺体を子孫が見つけて弔ってくれることを祈ってエッグを手がかりに残したのだ。そして、キッドはその手助けをしたのだった。さて、事件も一件落着して事務所に戻ったコナンと蘭。ところが、蘭は今回の事件を通してコナンに新一の面影を見ていた。コナンが新一でないかと疑う蘭に、真実を伝えなければと思うコナン。その時、ふたりの目の前に新一が現れたのである!だが、実はそれはキッドが化けていた偽の新一であった。お陰で窮地を切り抜けることが出来たコナン。その後、新一に化けたキッドは姿をくらましてしまうが、コナンはそれがキッドが狙撃された時に怪我をしたクジャクバトをコナンが手当したことへの、キッドなりの礼だということに気づいていた。





j22-36. 釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?

監督 朝原雄三
出演 西田敏行三國連太郎江角マキコ筧利夫浅田美代子
2004年 (松竹) 106分

解説
釣りバカコンビの活躍を描く、人気シリーズ最新作。ヒロインに江角マキコを迎え、彼女が秋田県で出会う同級生との恋の行方や、リストラを巡る大騒動が展開。

ストーリー
人事制度改革に着手することになった鈴木建設。しかし、経営コンサルタント会社“オメガ・コンサルティング”の合田と薫の提案に、スーさんだけは早急な改革が安易なリストラに繋がらないか不安を覚えていた。一方その頃、スーさんの心配など露知らず、新課長の舟木を丸め込み、まんまとリフレッシュ休暇をゲットして秋田へ釣り旅行に出かけたハマちゃんは、水産試験場で働く青年・哲夫と意気投合。新幹線の中で偶然知り合った薫が哲夫の同級生だったことから、彼の家で楽しい酒宴を繰り広げるのだが、その席でハマちゃんが鈴木建設の社員であることを知った薫は、型破りな社員がいることが鈴木建設をここまで発展させて来たのだと悟る。そして帰京後、かねてより自分の仕事に懐疑的だったこともあって、会議の場で今回の提案は鈴木建設に適していないと意見を翻した彼女は、責任を取って辞職すると、故郷で哲夫との結婚を決意するのだった。そんなふたりの仲人に選ばれたのはハマちゃん夫婦。秋田の水族館の落成式に出席することになっていたスーさんのお供と言う名目で秋田に向かったハマちゃんは、しかし結納そっちのけで釣りを楽しんでしまう。






22-37. ゴジラ対メカゴジラ

監督 福田純
出演 大門正明青山一也田島令子平田昭彦松下ひろみ
1974年 (東宝) 84分

解説
ゴジラ誕生20周年記念映画。地球侵略を企む宇宙人が、地球最強の怪獣ゴジラを徹底的に分析して造り上げたサイボーグ“メカゴジラ”を日本に出現させ、ゴジラをピンチに追いやる。他にアンギラス、新怪獣キングシーサーも登場。脚本は山浦弘靖、監督は脚本も執筆している 「ゴジラ対メガロ」 の福田純、撮影も同作の蓬沢譲がそれぞれ担当。

ストーリー
沖縄海洋博の建築技師・清水敬介は、工事現場の洞穴から不思議な壁画と怪物の置物を発見した。壁画には偉大なる予言が刻まれていた。“大空に黒い山が現われる時、大いなる怪獣が現われこの世を滅ぼさんとする……しかし、赤い月が沈み西から陽が昇る時、二頭の怪獣が現われ人々を救う”。予言は的中した。ある日、真っ黒に見えた富士山が大爆発を起し、その火口からゴジラが現われたのだ。そして、アンギラスを激退して暴れ回るゴジラの前に、突如、もう一頭のゴジラが出現。すると、富士山から出てきたゴジラの肌が燃え上り、中からメカニックな姿が現われた。それは宇宙金属で造られたメカゴジラだった。闘いの途中で、計器が故障したメカゴジラは夜空に姿を消した。ゴジラも傷つき、血を流しながら海中に没した……。メカゴジラの体から飛び散った宇宙金属を調べた宮島博士は、それが、敬介の弟・正彦が沖縄の玉泉洞で拾った金属と同じであることをつきとめた。玉泉洞奥には謎の秘密基地があると考えた博士は、娘・郁子、正彦とともに玉泉洞へ向った。秘密基地はあった。しかし、メカゴジラを操るブラックホール第三惑星の地球征服司令官・黒沼が三人を待ち受けていた。博士は郁子の命とひきかえに、メカゴジラの修理を強制された。修理が終ると黒沼は三人を殺そうとするが、その時、敬介と恋人の冴子が、国際警察の南原の力を借りて、秘密基地に乗り込んで来て、三人を救出した。怪物の置物を持って安豆味城跡に向った敬介は、西の空から昇る太陽を見た。それは蜃気楼だった。“西から陽が昇る時、この置物を安豆味城の石祠の上に置け”敬介は置物に刻まれた言葉通りに実行した。すると置物の眼が太陽の光を浴びて弾き始め、その光線が突き当った海岸の絶壁が大音響とともに崩れ落ち、中から全身朱銅色の鱗に包まれた伝説怪獣・キングシーサーが現われた。しかし、なぜかキングシーサーは眠っているだけだった。その時、メカゴジラが動き出しキングシーサーに迫り、キングシーサーを再び土に埋めてしまった。キングシーサーを目覚めさせられるのは、安豆味王族の継承者・那美しかいない。那美は浜辺で全身全霊で祈祷を始めた。そして、ついにキングシーサーの瞼が開き、もうもうたる土煙の中から立ち上った! その時、沖の方で異様な海鳴りとともに、ゴジラが巨体を見せた! 人類を救う二頭の怪獣、ゴジラとキングシーサーは、見事にメカゴジラを壊滅させるのだった。




22-38. 新選組始末記

監督 三隅研次
出演 市川雷蔵若山富三郎松本錦四郎小林勝彦成田純一郎
1963年 (大映)

解説
子母沢寛原作から、 「星の瞳をもつ男」 の星川清司が脚色、 「青葉城の鬼」 の三隅研次が監督。撮影もコンビの本多省三。

ストーリー
浪人山崎蒸は恋人志満の反対にも拘らず、当時京都で活動を起しはじめていた壬生の新選組へ入った。そこには彼が惚れ込んだ武士らしい男、近藤勇がいたからである。だが局長の芹沢はとかく粗暴の振舞いが多く、苦言する近藤らは無視されがちだった。土方歳三は、或る夜芹沢の寝込みを襲って惨殺した。そして、近藤が局長、土方が副長におさまった。蒸は土方の陰険な策謀に反発した。蒸のそのような純粋さを危険視していた土方は罠をかけた。そのため蒸は公儀役人を斬ってしまった。土方はそれを口実に切腹を主張したが、近藤は逃亡の形で蒸に勤皇方の探索を命じた。母方に帰った蒸は志満と結ばれた。蒸は百姓上りの少年隊士彦平を助手に勤皇浪士の動静を探った。そして勤王方の黒幕古高俊太郎のかくれ家をみつけた。新選組に捕えられた古高は、土方の残酷な拷問にあい、同志の集合場所を四国屋と白状した。時を同じくして、蒸の情報は池田屋と知らせてきた。土方は蒸の情報に疑いを抱き、全員の四国屋襲撃を主張したが、近藤は蒸に賭け、斬込み隊を二手にわけた。そんな頃、挙動を怪しまれた彦平は人斬り久蔵に池田屋に引きずりこまれ、蒸が池田屋に飛びこんだ時は、彦平は斬殺されたところだった。蒸と久蔵の激しい斬りあいがはじまった。そこへ新選組がかけつけて来た。三十余各の浪士たちと新選組の凄烈な血戦がはじまった。一時は苦戦におちいった新選組であったが、誰もいない四国屋から引返して来た土方隊の応援に勝利は新選組に帰した。かくて土方は蒸の功労に潔よくカブトをぬいだ。近藤と蒸の信義が美を結んだのであった。




22-39. 眠狂四郎炎情剣

監督 三隅研次
出演 市川雷蔵中村玉緒姿美千子中原早苗西村晃
1965年 (大映)

解説
柴田錬三郎の原作を 「眠狂四郎女妖剣」 の星川清司が脚色 「座頭市血笑旅」 の三隅研次が監督した“眠狂四郎”シリーズ第五作目。撮影は 「黒の凶器」 の森田富士郎。

ストーリー
冬のある日狂四郎は、夫の仇討ちと称する武家の妻、檜垣ぬいに手を貸して一人の浪人を斬った。浪人は今はの際“助太刀すればおぬしの恥”という謎の言葉を残して死んでいった。ぬいは代償にその白い身体を自ら狂四郎にあたえた。翌日盃を傾ける狂四郎のもとに役人に追われる伝吉と名乗る男が助けを求めにきた。だが狂四郎は自分に関りのないことと冷く突ぱねた。捕えられた伝吉は“鳴海屋”と口走って去っていった。そんなある日狂四郎のもとに鳴海屋が訪ねてきた。豪家の子女という小笹に色の道を教えて欲しいというのだ。狂四郎は、ただちに小笹が、生娘でない事を悟り、化けの皮をひんむいた。果して小笹の膚にはくまなく刺青がされてあった。問いつめる狂四郎の前に鳴海屋はことのすべてを白状した。鳴海屋は藤堂家の江戸家老に威かされ、幕府に献上すべき海賊の財宝を横領していた。そしてさらに将監は、財宝の秘密を握る海賊の末裔を一人残らず抹殺しようとしていた。その探索役がぬいであった。この冷酷さを恐れた鳴海屋は、将藍と手を切りたいと狂四郎に助けを求めた。そして鳴海屋は、鳥羽水車の総帥の娘で、今は将藍にねらわれるおりょうの身の上も話して聞かせた。狂四郎はおりょうを南の国へ逃がしてやった。さらに将藍の魔手は海賊の末裔の一人で、今は守田菊弥と名乗る人気役者をも殺し、鳴海屋で働くその娘かよをも狙っていた。狂四郎は、まだ世間のきたなさも知らぬ清純な少女までも狙う将藍に激しい憎しみを感じた。狂四郎は将藍が参列する菩提寺の法要の席に乗りこみ、将藍の罪状を素っ破抜いた。狂四郎は必死に縋り寄るぬいをも斬り捨て、墓場と化した菩提寺を去っていった。




22-40. 社長外遊記

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子桜井浩子岡田可愛
1963年 (東宝) 98分

解説
「続社長漫遊記」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを、 「太平洋の翼」 の松林宗恵が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの鈴木斌。

ストーリー
丸急デパートの社長風間圭之助はなかなかのフェミニスト、愛妻幸子と五人の娘のよきパパだ。秘書課長の中村が英会話の勉強に通い始めたのは、恋人会田春江とのデイトを楽しむのが本心らしい。おっとり刀で飛び込んで来たのは大島常務。今月の売上げがライバルの福助屋に負けてしまったのだ。早速営業のおトボケ珍田部長を呼び出し、対策を練るがサッパリ効果なし。ある日、圭之助の旧友でハワイの雑貨商人ジョージ・沖津がやって来て、その夜は盛大な宴会が開かれた。アルコールの入ったジョージは床の間の活花を食べたり襖をあけて立小便、果ては裸になってシコを踏む始末であった。ジョージがハワイへ帰って数日後、大島常務がまた血相かえてとび込んで来た。福助屋が香港に支店を出したという。海外発展の先弁をつけられては男がスタルと圭之助は一大発奮、ハワイに丸急の支店を出そうとグッド・アイデアだ。ハワイの市場調査と建設敷地買収の大使命をおびて、中村が春江への思いを残して出発した。三カ月が夢のように過ぎた。ハワイは素晴らしいし、気候はいいし食事もうまい。海岸や街には、楽しいアベックやビキニスタイルの美人が一杯で、若い中村は頭にきた。圭之助たちがハワイへ来る日が来た。ホノルル空港には中村をはじめジョージとジョージの店のNO1売り子のキャサリン岡田が、出迎えた。ミス・キャサリンの熱いキスで、圭之助、大島、珍田の三人はその場でボーとなってしまった。その夜、日本料理屋さくら亭で、圭之助達の大歓迎会が開かれた。イカス女将紀代子のお酌で悦に入る圭之助、ハワイのそよ風は甘くくすぐったい。




22-41. 大海原を行く渡り鳥

監督 斎藤武市
出演 小林旭藤村有弘浅丘ルリ子白木マリ楠侑子
1961年 (日活)

解説
小林旭の渡り鳥シリーズの第七作で、三原貞修の原作を、 「風に逆らう流れ者」 の山崎巌が脚色し 「でかんしょ風来坊」 の斎藤武市が監督した。撮影も 「でかんしょ風来坊」 の高村倉太郎。

ストーリー
雲仙高原を馬に揺られながら行くのは、ギターを抱えた渡り鳥の滝伸次だ。伸次の眼下を行く観光馬車が覆面をした三人組に襲われた。伸次は得意のムチで三人を追いはらった。馬車の乗客は、大洋貿易の社長磯部と雲仙観光の経営者信夫の妹・由紀、それに長崎にいる父親を訪ねてきた三木みどりという少女だった。由紀の持っていた観光事業資金一千万円が強奪されていた。みどりの父親三木が、佐世保のキャバレー“バタフライ”のボスであることを知った伸次は、みどりを連れ佐世保に行った。が、三木は知らぬとみどりをつっぱねた。伸次は地下の賭場におりた。外国人・竜のカードはイカサマだった。伸次は側で見ている三木の乾分・哲をしめあげた。馬車強盗の一人だったのだ。哲は平和運輸から頼まれたと口をすべらした。伸次は長崎の平和運輸に乗りこみ、金は無事に由紀に戻った。伸次が帰った後、三木のところに磯部が現われた。磯部は「哲を殺せ、馬車強盗の証拠をなくすんだ」と命令した。さらに三木の後姿を見ながら竜に命令した。「三木を殺せ」と。が、竜はあんな三ン下を殺したら名前にかかわるとはねつけた。その夜、伸次の許へ外国人なまりの電話があり、第三岸壁に行けば面白いものが見られると言った。駈けつけた時は三木も哲も殺されていた。磯部は、雲仙観光の事務員に、竜が惚れている踊子リエを応募させた。信夫はリエの美しさにひかれた。伸次は磯部の手が雲仙観光にのびると察し、鉱石運送員として由紀の許で働くことにした。リエが運搬の路を知らせ、磯部一味が邪魔をするという計画が何度も続いた。ゲルマニューム鉱を満載した馬車が雲仙高原を行く。磯部一味の馬が取り囲んだ。大乱闘。逃げる磯部を、伸次は“バタフライ”まで追った。磯部は由紀に拳銃をつきつけた。竜のツブテが磯部を倒した。長崎の祭、三木とみどり、由紀は楽しそうに踊っている。貨物船の甲板で、伸次の後に立った竜が言うのだった。「おたがいに渡り鳥だせ」−−。




22-42. ガメラ3 邪神覚醒

監督 金子修介
出演 前田愛中山忍藤谷文子福沢博文大橋明
1999年 (東宝) 108分

解説
ガメラによって両親を殺された少女の憎しみが生んだ怪生物と、ガメラの壮絶な戦いを描いたモンスター・パニック映画の新シリーズ第3弾。監督は 「F[エフ]」 の金子修介。特技監督は 「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)」 の樋口真嗣。脚本は、 「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊/インターナショナル・ヴァージョン」 の伊藤和典と金子監督自身が執筆。撮影を 「元気の神様」 の戸澤潤一が担当している。主演は、 「新生トイレの花子さん」 の前田愛と 「ガメラ 大怪獣空中決戦」 の中山忍。

ストーリー
4年前の1995年、東京を舞台としたガメラとギャオスの戦いで最愛の両親を失った中学生の綾奈は、今は弟と共に奈良県南明日香村の親戚の家にひきとられ暮らしていた。彼女のガメラに対する憎悪は日増しに膨らむ一方で、そんな中、彼女は村に古くから伝えられている伝説の神獣「柳星帳」が眠る・社の沢・の祠の封印を解いてしまう。ある日、渋谷上空にガメラと数頭のギャオスが出現した。激しい戦いの末、ガメラはギャオスを倒すも、渋谷駅周辺は壊滅状態。テレビ中継でその模様を見ていた綾奈は、ガメラに対する憎しみを一層強くする。綾奈が封印を解いた社の沢の祠で、奇妙な生物が覚醒した。綾奈のクラスメイトで彼女に秘かな想いを寄せている龍成は、その生物が柳星帳ではないかと不安になるが、綾奈はそれにイリスと名づけ育てるようになる。ところが、その過程で綾奈はイリスの繭に取り込まれてしまった。龍成のお陰で彼女は病院に運ばれ一命を取り留めるも、成長したイリスは村人たちを襲い巨大化していく。ところで、4年前のギャオス大量発生以来、その生態研究を続けていた鳥類学者の真弓は、明日香村で起こった事件を聞きつけ、今はホームレスとなった大迫元警部補とかつてガメラと心を通わせた浅黄と奈良に飛んだ。調査を進めていくうち、どうやらギャオスの変異体らしき怪生物が現れたことをつきとめる真弓。そして、その誕生に綾奈という少女が拘わっていることを知った彼女は、綾奈が入院している病院へ急行。彼女の弟から、綾奈がガメラに非常に憎悪を抱いていたことを知る。ところがその後、綾奈が病院から姿を消してしまう。政府の内閣情報調査官の朝倉が彼女を京都へ移送したのだ。綾奈を追って京都に向かう真弓と浅黄。そんな彼女たちの前に、朝倉のブレーンである推測統計学に精通したゲーム作家の倉田が現れ、かつて浅黄がガメラと心を通わせたように、ギャオスの変異体であるイリスは綾奈との融合を試みているのだと告げた。実は、美都は倉田を使ってギャオスによる人類破滅をシュミレートさせており、その為に綾奈を京都に連れ去ったのだった。真弓は、そんな美都のやり方に猛烈に抗議。綾奈の命を救うべく、彼女を東京の病院に移すことを決める。だが、イリスが嵐の京都に現れてしまった。綾奈を探して、京都中を破壊するイリス。しかし、そこへガメラが登場。イリスと激しい死闘を繰り広げ、見事にイリスを倒してみせると、綾奈の身を案じ駆けつけた龍成の家に伝わる剣の効果で、イリスに融合されそうになった綾奈をも助けるのであった。ガメラに命を救われ、ガメラが地球の守護神であることを知る綾奈。だがその時、日本上空には世界中から集まったギャオスの群れが飛来していた…。




22-43. 渡り鳥いつまた帰る

監督 斎藤武市
出演 小林旭宍戸錠浅丘ルリ子南田洋子中原早苗
1960年 (日活)

解説
小林旭の渡り鳥シリーズの第三篇で、原健太郎の原作を 「海から来た流れ者」 の山崎巌と大川久男が脚色 「白銀城の対決」 の斎藤武市が監督したアクション・ドラマ。撮影も 「白銀城の対決」 の高村倉太郎。

ストーリー
佐渡の島にギター一つの渡り鳥滝伸次がやって来た。そして伸次を弟の仇と狙うハジキの哲と伸次を慕う踊り子ユリも……。島のボスは高見鉱山の支配人榊原で到着早々伸次が暴走する馬車から助けたのは鉱山の女主人静江の妹則子と静江の子利夫だった。則子は榊原の横暴を訴えて伸次を頼ったが一蹴された。榊原は廃坑を掘り始めた。伸次は榊原の秘密を知るため、そして哲は伸次の弟殺しの証拠を探るため、揃って榊原の乾分になった。廃抗の中には戦争中国民から集めた貴金属があるという話だった。廃坑にバリケードを張って対抗する伸次を殺せと榊原は哲に命じたが、哲は引受けない。東京から殺し屋ジョウがやって来た。伸次の活躍で鉱山の仕事は静江や則子の期待通りに進んだが、榊原の横暴さは増した。伸次は榊原と静江の間を疑った。伸次を襲って失敗した榊原の手下ノブがジョウに殺された。ノブの額にペタリと吐かれたガムを見た哲は、これが弟を殺したのと同じ手口だと叫んだ。榊原から伸次の手口だと瞞された哲は断崖で伸次と対峙した。しかし二人は揃ってどこからともなく狙われた。伸次は海へ落ちた。廃坑は貴金属類を発見して大騒ぎだった。しかし宝を満載したトラックは死んだ筈の伸次に妨げられた。榊原は利夫を人質にした。しかし榊原は宝を狙うジョウの拳銃に倒れペタリとガムを額にはりつけられた。利夫を抱いて溝に人った伸次を榊原一味の銃が狙った。助太刀は弟の仇をジョウと知った哲だ。パトカーの近づく頃、一味は倒れた。一人、哲がジョウに近づいた。その胸板をぶちぬいた哲は伸次に会釈すると淋しくパトカーに近づいて行った。則子の涙をギターに秘めて、渡り鳥滝伸次はいずこへともなく立ち去った。




22-44. ガメラ 大怪獣空中決戦

監督 金子修介
出演 伊原剛志中山忍藤谷文子小野寺昭螢雪次朗
1995年 (東宝) 95分

解説
宇宙の守護神ガメラと超遺伝子獣ギャオスの壮絶なバトルを描いた特撮怪獣映画。本作品は、65年に 「大怪獣ガメラ」 として登場したシリーズの9作目にあたり、80年の 「宇宙怪獣ガメラ」 に続く14年ぶりの作品である。最新のSFXを駆使して、迫力の映像を展開。監督は 「毎日が夏休み」 の金子修介。脚本は 「ネクロノミカン」 の伊藤和典。特技監督に 「未来の想い出 Last Christmas」 の樋口真嗣がそれぞれあたっている。主演は 「四姉妹物語」 の伊原剛志、 「ゴジラVSメカゴジラ」 の中山忍、スティーヴン・セガールの娘・藤谷文子ら。封切り代表館である日比谷映画では、上映期間中 「ガメラシアター」 と館名を変更し、ポスター展などを場内で開催して話題を呼んだ。95年度キネマ旬報ベストテン第6位。同・読者選出ベストテン第2位。

ストーリー
プルトニウム輸送船「海竜丸」の警護にあたっていた海上保安庁の巡視船に、「海竜丸」が座礁したとの連絡が入った。海底ははるか下方だったが、確かに環礁に乗り上げているのが確認される。だが、その環礁はまもなくまるで生き物のように「海竜丸」から離れて行った。その頃、福岡市の動物園に勤める鳥類学者・真弓は、五島列島の姫神島で消息を絶った恩師・平田を心配して県警の大迫とともに島に飛んでいた。彼女がそこで見たものは、巨大な鳥によって破壊しつくされた島の変わり果てた姿だった。その後の調査により、人を食糧としている巨大な謎の鳥型生物が生息していることが判明。しかもそれは3匹だった。事態を重く見た内閣は鳥を捕獲することを決定した。一方、「海竜丸」の座礁事件の謎を追う保安庁の米森は、海上保険会社の草薙を頼って調査船に乗り込む。太平洋上で環礁を発見し上陸した米森たちは、そこで不思議な金属片と、碑文の書かれた大きな石碑を見つける。ところがその瞬間、環礁は再び生き物のように動き出し、上に乗っていた調査隊は海中に投げ出されてしまった。その時、米森は海中で環礁の正体を見る。それは、巨大な亀の形をした生物だった。巨大鳥捕獲のためにかりだされた真弓は、福岡ドームに罠を仕掛け、鳥の飛来を待った。果たして、3匹の鳥はドーム内の餌に食らいつき、まんまと作戦に嵌まったように見えたのだったが、狙撃隊の発砲が一瞬早かったために鳥が暴れ出し、ドーム内はパニックに陥る。そこへ、あの環礁と思われていた生物が正体を現して飛来して来た。亀の恰好をしたその巨大生物は、鳥の1匹を殺すと、逃げて行く他の2匹を追って、ジェット噴射を噴き出して空の彼方へ消えた。1万2000年前、一夜にして海底に沈んだ伝説の大陸アトランティスで使われていた未知の金属オリハルコンと推定された石碑の文字を解読した米森は、「最後の希望ガメラ、時の揺籠に託す。災いの影、ギャオスとともに目覚めん」という文章に今回の事件を重ね合わせて見ていた。古代文明人は、遺伝子の操作によって自らが誕生させたギャオスによって滅亡の危機に遭い、さらにその手から逃れるためにガメラを誕生させたのだ。そして今、永い眠りから目覚めたギャオスと共にガメラもまた目覚めたのである。木曾山中に現れたガメラは、そこで1匹のギャオスを退治。残りの1匹を追って、さらに富士の裾野へ飛行を続けるのだった。ところが、ガメラがギャオスを倒すために蘇ったということを信じられない政府は、ガメラにもミサイルを発射。ガメラは、深い傷を負ってしまう。ところが、ガメラが傷つくと、草薙の娘・浅黄もまたガメラと同じところから血を流して倒れてしまうのであった。どうやら、米森がガメラの背中から拾って浅黄にあげた金属片がマガタマとなって、ガメラと浅黄の心が通じてしまったようだった。ガメラは海底深くに身をひそめ、回復を待っていた。ガメラの攻撃から逃れた最後のギャオスは、東京に出現。次々に人々を襲っては、より凶悪に、より巨大に成長していく。ギャオス退治に躍起になる自衛隊。東京タワーなどが破壊され、東京はその機能を失っていく。だがその時、昏睡状態になっていた浅黄が目覚め、ガメラの復活を告げるのだった。その言葉通りガメラは復活し、ギャオスと大バトルを展開する。その末に、ガメラの放ったプラズマ火球がギャオスをとらえ、断末魔の叫びと共にギャオスは粉々に砕け散った。役目を終えたガメラは、米森や真弓、そして浅黄らが見守る中、海の彼方へ消えて行くのだった。




22-97. 社長洋行記

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子加東大介西条康彦
1962年 (東宝) 89分

解説
「続サラリーマン清水港」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを 「銀座の若大将」 の杉江敏男が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの完倉泰一。

ストーリー
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジアで敵会社椿パスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と本田社長は原因究明にのりだした。営業部長の話では、国外販売は加藤清商事にまかせきりだという。それなら加藤社長に直接談判と、本田はマダム悦子のいる香港亭へ彼を招待した。だが相手は、たかがアンマ膏と頭から相手にしない。業を煮やした本田は、自らの手で国外に売り出そうと決心した。随行員は南と中山。初めての洋行に有頂天の中山は、あやしい英語で人をケムにまき、はてはお手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに本田社長ももてあましたが、そんな時、東海林の愛人あぐりの義兄が、香港で商事会社にいることがわかり、中山のかわりに彼を随行員にした。送別会の当日、そのことを知った中山はションボリうなだれ、一同もホロリとする始末。いよいよ香港出発となり、ジェット機にのり込んだ本田たちは、香港亭の悦子にばったり会った。彼女も香港支店へ行くところだ。香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道をまよった本田は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。その夜、三人は同じ女性とも知らずめぐり会った香港美人の話でもちっきり。ところが夜中に本田社長は蛇の食べ過ぎでのたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去るのだった。




22-46. あいつと私

監督 中平康
出演 石原裕次郎宮口精二轟夕起子芦川いづみ清水将夫
1961年 (日活) 104分

解説
週刊読売連載の石坂洋次郎の原作を 「都会の空の非常線」 の池田一朗と中平康が脚色、 「あした晴れるか」 の中平康が監督した裕次郎回復後の第一作。撮影は 「ろくでなし野郎」 の山崎善弘。

ストーリー
都心から離れた専明大学。ここには若さと明かるさと太陽だけがあった。黒川三郎はそういう学生の中にあって特に野放図でくったくのない男だった。だから、授業中にうっかり「夜の女を買った」と喋ったため、女生徒の吊し上げにあい、プールに投げこまれてしまった。びしょ濡れの三郎を家が近くだという女生徒浅田けい子が父の服をかしてくれることになった。けい子の家は、父親の他は女ばかり七人。三郎を大いに歓迎してくれた。三郎の家は反対に父母と三人暮し、母親のモト子は有名な美容師で、することなすことが並はずれてスケールの大きなスーパーレディ、園城寺という恋人もいる。父親の甲吉はその偉大な夫人のヒップの後にかくれているような気の弱い男だった。だが、みんな型にはまらず個性的でカラッとしていてけい子は感激した。三郎とけい子はこの機会を通じて仲良くなっていった。夏休みが来た。三郎やけい子たち五人のクラスメートは東北地方を廻って軽井沢にある三郎の別荘までドライブを決行した。軽井沢についた晩、突然、モト子が円城寺と弟子の松本みち子を連れてやって来た。けい子は、みち子の三郎に対する態度にふと不審の念を抱いた。女の愛する者への直感だった。問いつめられた三郎は、みち子と以前に関係のあったことを告白した。けい子は泣きながら外へとびだした。後を追った三郎は、泣きじゃくるけい子を強引に接吻した。二人の仲はこれがもとでもっと強力となった。二学期が始まり秋風が吹く頃、モト子の誕生日がやって来た。けい子、円城寺、そして、モト子の昔の友達というアメリカでホテルを経営する阿川が久し振りに日本に帰って来て出席していた。楽しかったパーティも、阿川が三郎に“アメリカでホテルの後を継いでくれ”といったことからパーティはメチャメチャとなった。三郎はモト子と阿川の間に出来た子供だったのだ。翌日、モト子はすっかり元の陽気さを取り戻し、三郎も出生の秘密を知った暗さなどどこにもみられなかった。三郎はけい子と婚約した。将来、三郎とけい子はアメリカに行くかも知れないのだ。




j22-47. 釣りバカ日誌9

監督 栗山富夫
出演 西田敏行三國連太郎小林稔侍風吹ジュン浅田美代子
1997年 (松竹) 115分

解説
おなじみの釣りバカコンビ、浜ちゃんとスーさんが繰り広げる騒動を描いたコメディ・シリーズの通算第10作。監督は 「釣りバカ日誌8」 の栗山富夫。脚本は 「虹をつかむ男」 の山田洋次と朝間義隆の共同。撮影を 「スペインからの手紙 ベンポスタの子どもたち」 の花田三史が担当している。主演は 「虹をつかむ男」 の西田敏行と 「釣りバカ日誌8」 の三國連太郎。ゲストとして 「あぶない刑事リターンズ」 の小林稔侍と 「恋と花火と観覧車」 の風吹ジュンが出演している。

ストーリー
万年平社員の浜ちゃんこと浜崎伝助の所属する鈴木建設営業部に、同期の馬場が新任の部長として配属されてきた。スーさんこと鈴木社長からも一目置かれている仕事人間の馬場は、家庭生活では妻と別れ、息子・誠との関係もうまくいっていない。部長就任後、浜ちゃんと得意先への挨拶まわりに出かけることになった馬場は、どっちがお客か分からない浜ちゃんの態度に驚かされたり、釣りを通して繋がった取引先との太い信頼関係に感心させられたりした。そんなある日、会社の経営に関わる大口の取引を失う危機が鈴木建設を見舞う。上司から対処するように命じられた馬場は、浜ちゃんの人脈で救われ、お礼がしたいと彼を小さなバーへ連れていった。実は、馬場はそこのママ・茜に秘かな想いを寄せていたのだが、生来の生真面目さゆえに気持ちを告白できないでいる。浜ちゃんに励まされ、ようやく告白しようとした矢先、馬場は茜が店を畳んで田舎の仙台に帰ってしまうことを知って、ショックを受けた。数日後、鈴木建設が工事を請け負っている鹿児島県川内市の“まごころ文学館”の鍬入れ式に、馬場と浜ちゃんはスーさんのお供として同行することになる。傷心の馬場を気遣いながらも、浜ちゃんは仕事が終わった後の釣りに想いを馳せていた。ところが、そんな彼らの前になぜか茜が現れる。宮城県の仙台と思っていたのは間違いで、彼女の故郷は鹿児島県の川内だったのだ。この再会に最後のチャンスを賭けることにした馬場は、ついに茜に想いを告白する。そして、馬場と茜の婚礼の日、お祝いのために甑島に駆けつけたはずの浜ちゃんとスーさんは、婚礼そっちのけで釣りを楽しんでいた。






22-48. レッツゴー!若大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三有島一郎中真千子飯田蝶子星由里子
1967年 (東宝) 90分

解説
「三匹の狸」 の田波靖男がオリジナルシナリオを執筆、 「パンチ野郎」 の岩内克己が監督した若大将シリーズの第九作目。撮影は 「あこがれ(1966)」 の逢沢譲。

ストーリー
京南大学サッカー部の主将田沼雄一は、リーグの王座をライバル西北大にとられ、来シーズン目指して猛練習に励んでいた。すきやき屋田能久を経営している父久太郎は、雄一を店の支配人にする腹なので、雄一のサッカー好きを喜んでいない。ふとしたことから雄一は宝石店に勤める澄子と知合った。全日本学生選抜メンバーとして香港遠征に行くことになり、メンバーに選ばれなかった友人の石山こと青大将も、父の会社の仕事を理由に加わり、一方澄子も専務の坂本の香港出張に同行することになった。香港の中華レストランで開かれた歓迎レセプションで、雄一は店の令嬢美芳を紹介された。澄子が雄一の宿舎を訪れた時、入口に美芳の姿を見て何故か気になった。石山は父親の仕事などソッチのけで女とマカオを遊び回った挙句、父から頼まれた金まで女にとられてしまい、試合を明日に控えていた香港の雄一に助けを求めてきた。雄一は美芳の飛行機でマカオに飛んだが、帰途天候不順で飛行機が出ず、雄一は試合に間に合わなかった。澄子も雄一と市内観光もできず、淋しく日本に帰り、石山は美芳の父から金を借りて帰国した。雄一には新・田能久の開店が待っていた。新帝劇に日本支店を開いた美芳が、偶然雄一の店を訪れているのに出会った澄子は、またもや淋しい思いをするのであった。陶芸の研究に来日している婚約者呉隆に逢いに京都に向う美芳に、雄一は西北大との再試合前の休みを利用して同行したが、彼の心は澄子のことでいっぱいだった。いよいよ試合の当日、澄子のことが気がかりな雄一は元気がなく、試合も苦戦。澄子の店にエンゲージ・リングを買いにきた美芳と呉隆から、訳をきいた澄子はグランドに駈けつけた。一方スタンドにその澄子の姿を見つけた雄一は闘志満々、みごとに西北大を破った。




22-49. 三大怪獣 地球最大の決戦

監督 本多猪四郎
出演 夏木陽介小泉博星由里子若林映子伊藤エミ
1964年 (東宝) 93分

解説
「宇宙大怪獣 ドゴラ」 の関沢新一のオリジナル・シナリオを、すでにコンビの本多猪四郎が監督した空想科学映画。撮影もコンビの小泉一。1971年に 「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦」 に改題され、 「東宝チャンピオン祭り」 で公開。

ストーリー
一九××年。日本は異常な温暖異変に襲われていた。××放送「20世紀の神話」取材班進藤、直子は、この異常現象をテーマにキャンペーンをしようと連日大奮闘。そんなとき、金星人を自称する女予言者、サルノ王女が現れ、地球の大変動を告げた。サルノ王女の予言は当った。阿蘇火山からラドンが復活し、北極海からはゴジラが眠りからさめ行動を開始した。そして、さらに金星を死の星とした宇宙怪獣キングギドラが現れ、地球は大混乱におちいった。キングギドラの誕生をまのあたりに見た帝都工大の村井助教授は、キングギドラを撃退するには、モスラ、ゴジラ、ラドンらの力を借りる以外にないと考え、モスラの支配者、インファント島の小美人に協力をたのんだ。一方横浜に上陸したゴジラは横浜を全滅させ、ラドンと松本市で対決し、さらに小競合を続けながら富士山頂近くでにらみあっていた。が、そこに割って入ったのが小美人の要請でインファン島からやって来たモスラである。モスラの仲裁にもかかわらず、ゴジラとラドンの敵対心を柔らげることはできなかった。モスラは単身キングギドラに向った。しかしモスラもキングギドラの敵では無く、危機におちいった。が、モスラ危しとみたゴジラとラドンは、力を合せてキングギドラにむかった。さすがのキングギドラも、この三怪獣の攻撃に降参して地球を去っていった。




22-50. クローズEXPLODE

監督 豊田利晃
出演 東出昌大早乙女太一勝地涼KENZO矢本悠馬
2013年 (東宝) 94/129分  (PG12)

解説
高橋ヒロシの人気コミックのエピソードゼロをオリジナルストーリーで映画化した 「クローズZERO」 シリーズ2作の続編。前作から1か月後の鈴蘭高校を舞台に、3年生の卒業で空席となった“頂点”を巡る新たな戦いが、他校を巻き込んで繰り広げられる。 「桐島、部活やめるってよ」 の東出昌大、早乙女太一ら若手俳優が多数共演する。

ストーリー
「クローズZERO II」から1カ月後。滝谷源治、芹沢多摩雄らが卒業し、新年度を迎えた鈴蘭高校では、空席になった“頂点”の座を狙って、新3年生達が次々と名乗りをあげていた。頂点に最も近い男でケンカ偏差値第1位の強羅徹(柳楽優弥)、そのライバルと目されるNo.2の高木哲次(KENZO)、お調子者を装うキレ者・小岐須健一(勝地涼)、凶暴凶悪なる一匹狼の転校生・山下甲平(ELLY)、そして無敗の最強伝説を持つ男=リンダマンこと林田恵(深水元基)。だが二人の男の登場によって、鈴蘭の勢力図は大きく変わることになる。「自由気ままに生きたいだけ」と頂点争いに興味を示さない3年転入生・鏑木旋風雄(東出昌大)と、本能のまま好戦的に暴れる新1年生・加賀美遼平(早乙女太一)。およそ接点が無く対照的な二人が、互いを宿敵と認めたとき、鈴蘭史上例を見ない内部抗争が幕を開けるのだった……。一方、鈴蘭の近隣校・黒咲工業高校を束ねる柴田浩樹(岩田剛典)は、暴行事件でドロップアウトした藤原一(永山絢斗)の存在に頭を悩ませていた。バイクチームO・D・Aのリーダー織田政志(柳俊太郎)とともに、鈴蘭の生徒達に次々と襲撃を仕掛ける藤原。その真の狙いは、黒咲と鈴蘭を対立させて、両校に潰し合いをさせることだった。やがて、加賀美と結託した藤原は、一大勢力に膨れ上がった軍勢を率いて、ついに本丸・鈴蘭高校への侵攻を開始する……。





22-97. 社長洋行記

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子加東大介西条康彦
1962年 (東宝) 89分

解説
「続サラリーマン清水港」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを 「銀座の若大将」 の杉江敏男が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの完倉泰一。

ストーリー
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジアで敵会社椿パスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と本田社長は原因究明にのりだした。営業部長の話では、国外販売は加藤清商事にまかせきりだという。それなら加藤社長に直接談判と、本田はマダム悦子のいる香港亭へ彼を招待した。だが相手は、たかがアンマ膏と頭から相手にしない。業を煮やした本田は、自らの手で国外に売り出そうと決心した。随行員は南と中山。初めての洋行に有頂天の中山は、あやしい英語で人をケムにまき、はてはお手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに本田社長ももてあましたが、そんな時、東海林の愛人あぐりの義兄が、香港で商事会社にいることがわかり、中山のかわりに彼を随行員にした。送別会の当日、そのことを知った中山はションボリうなだれ、一同もホロリとする始末。いよいよ香港出発となり、ジェット機にのり込んだ本田たちは、香港亭の悦子にばったり会った。彼女も香港支店へ行くところだ。香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道をまよった本田は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。その夜、三人は同じ女性とも知らずめぐり会った香港美人の話でもちっきり。ところが夜中に本田社長は蛇の食べ過ぎでのたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去るのだった。




22-52. ズンドコズンドコ全員集合!!

監督 渡辺祐介
出演 いかりや長介加藤茶荒井注高木ブー中尾ミエ
1970年 (松竹) 89分

解説
ドリフターズ“全員集合”シリーズ五作目。脚本は 「アッと驚く為五郎」 の田坂啓、撮影は 「たぬき坊主」 の荒野諒一が当り。監督は脚本にも参加している 「たぬき坊主」 の渡辺祐介。

ストーリー
ちっぽけな漁村を根城に暴れ廻る、碇鮫吉をリーダーとする不良グループは村の鼻つまみ者である。グループの一人加藤岩四は恋人である村の漁業組合長浅利磯右衛門の娘鮎子と駆け落ちするため鮫吉の手から逃れる手段として、ちょうど村で興行していた“市川あかね一座”の座長あかねに弟子入りするが鮫吉の巧妙な戦法にかかり元の木あみになってしまう。そんな鮫吉が何を思ったか子分の岩四だけをともない一旗あげようと冷凍車に乗りこみ東京へいってしまう。それから数カ月、鮫吉らの夢は無残にも破れ二人は今や焼きトウモロコシをつんだオンボロリヤカーを引っぱり夜の盛り場をほっつき歩く身となり、薄汚れたベッドハウスさえも家賃未納で追い立てを喰うというていたらくぶりであるが、それでも故郷に残した子分たちには一端の親分にのし上ったという葉書きを出していた。明けて、鮫吉にとって大事件が起った。故郷に残した子分たちが黄金の東京生活を夢み、突然上京してしまったのだ。上京した風太たちは葉書きとは裏ハラの現実をみて鮫吉のインチキぶりに怒り狂い、岩四ともどもたたきだしてしまう。数日後、風太達の目の前に岩四が黒木という子分をつれて表われ、形勢一変、岩四はグループのボスになってしまうのだが、そんなある日、岩四にシマとマダムの早苗を寝とられたと思いこむ鬼熊が刑務所から出てきた。殺気にはやる鬼熊のために数日後決闘させられる破目に落ちいる岩四は、今は子分である鮫吉に芝居ごっことだまし、対峙させる。その時、早苗が現われ事の真相を打ち明けたために決闘は中止。命びろいをした鮫吉たちはすごすごと、故郷の漁村へ帰っていった。







22-53. 日本一の若大将

監督 福田純
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子中真千子星由里子
1962年 (東宝) 94分

解説
大学の若大将」 「銀座の若大将」 についで 「若大将」 シリーズの第三弾。 「銀座の若大将」 のコンビ、笠原良三と田波靖男が共同で脚本を執筆、 「女性自身」 の福田純が監督した青春明朗編。撮影は 「愛のうず潮」 の飯村正。

ストーリー
われらが若大将・田沼雄一はスキヤキ屋“田能久”の一人息子。京南大学四年生でマラソン部のキャプテンだ。秋の全日本マラソン大会を控えてトレーニングに余念がない。マネジャーの江口が実家からの仕送りがストップして弱っているのを見て、雄一は、“田能久”へ住み込みアルバイトをさせてやった。ある日、マネジャーをバトンタッチされた青大将ことブルジョアの石山と銀座へ出た若大将は、メトロ運動具店の女店員中里澄子をカミナリ族から助け、澄子にひと目惚れした石山は四百万円のモーターボートを注文してしまう。一方、“田能久”で働く江口は若大将の妹照子に首ったけ。それを知った若大将は父のお膳立てした照子の見合いをブチこわし二人を結ばせてやる。そこへ青大将が小遣いを使いすぎて勘当されたといって転がり込んできた。青大将がボートの残金を払わないので澄子が困っているのを知って、若大将が払ってやった。気前のよいおりき婆さんが父の銀行預金をこっそりおろしてくれた金だ。しかし、それがバレて若大将は勘当をいい渡された。夏休みがきて、芦ノ湖畔で合宿生活が始まった。月明の夜、近くのホテルへ仕事にきた澄子と若大将のボートが、愛の波紋を描いた。水上スキー・コンテストで優勝した若大将は、スポンサーの社長令嬢美幸から十万円の賞金をもらうが、悪質な週刊誌のトップ記事になったことから若大将と美幸の仲を誤解した澄子は、本当は大好きな若大将にそっぽを向いて、青大将とデートを重ねるのだった。やがて、全日本マラソン大会の日がきた。澄子への失恋の痛手のため、若大将の足はスタートから重かった。がすべてが誤解と知った澄子、父、おりき婆さんの必死の声援で、若大将は猛然とピッチをあげ、ゴールに飛び込んだのである。




22-54. 眠狂四郎多情剣

監督 井上昭
出演 市川雷蔵水谷良重中谷一郎五味龍太郎毛利郁子
1966年 (大映) 84分

解説
柴田錬三郎の原作を 「眠狂四郎炎情剣」 の星川清司が脚色、 「ザ・ガードマン 東京用心棒」 の井上昭が監督した“眼狂四郎”シリーズ第七作目。撮影は 「眠狂四郎魔性剣」 の竹村康和。

ストーリー
眠狂四郎は、ある日“菊”とだけ署名のある書状に呼ばれて、江戸の岡場所“井筒”という娼家へやって来た。そこで狂四郎はたまたま、はるという少女の水揚げに出喰わした。はるは何故か恐怖と憎悪の眼で狂四郎を見た。その時、突然狂四郎は、下曽我典馬を始めとする、武州疾風組の一隊に襲われた。狂四郎は、冴えわたった剣さはきで、それらの敵をなぎ倒すと、その内の一人をつかまえ、敵の正体を証した。はたして、彼らをあやつる首領は、将軍家息女菊姫であった。狂四郎の脳裏に数年前の菊姫との出会いが甦えった。??淫虐な遊びに明け暮れ、遊びあきた男どもを次々と殺していた能面をつけた菊姫。狂四郎はその能面をひきさき、その下にかくされた、菊姫の醜貌を世間にさらしたのだ??。“井筒”での突然の襲撃は、その復讐の前ぶれであった。狂四郎は、難をのがれると、何かいわくありそうな少女はるを引きとり、住いの浄関寺へ連れもどった。はるは、父親を侍に殺されたため、侍すべてを憎むようになっていたのだ。狂四郎は、そんなはるの気持が不憫でならなかった。が、そんなうちにも菊姫の魔の手はのび、馬庭念流指南赤松勘兵衛の妻志乃を殺し、その罪を狂四郎にきせた。狂四郎は仕方なく、菊姫におどらされて彼を襲ってきた勘兵衛を斬ってすてた。その間も、狂四郎の命を狙って、菊姫の息のかかったお酒落狂女や、伝法な女おひさが、手をかえしなをかえ罠をはっていた。そして狂四郎が一筋縄では命を奪えぬとみるや、ついに狂四郎のもとに一緒に住むはるを奪い、狂四郎を菊姫屋敷におびき入れ、総攻撃をかけた。が、狂四郎の円月殺法は、そんな菊姫の執念を断ら切るかのように冴え、ついに菊姫が頼りとする、典馬をも斬った。今やこれまでと観念した菊姫は、狂四郎の剣をまたずに、自害し果てた。狂四郎は、はるを連れて風の鳴る武蔵野を後にした。





j22-55. 社長えんま帖

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ岡田可愛東野英治郎小林桂樹
1969年 (東宝) 90分

解説
「若者よ挑戦せよ」 の笠原良三がシナリオを執筆し、 「続社長繁盛記」 の松林宗恵が監督した社長シリーズ(第一作は昭和三十一年、千葉泰樹監督の 「へそくり社長」 )の第三十作目。撮影は 「社長忍法帖」 の鈴木斌が担当した。

ストーリー
マルボー化粧品社長の大高長太郎は、海千山千のつわもの社員の指揮に大わらわだった。議論百出、新製品のネーミング会議は、いつも時間切れ。家に帰っても心の休まることがなかった。そんな折、親会社の梅原大社長の古稀の祝賀会が開かれることになった。大阪へ向った長太郎は機内で祇園の芸妓香繊と再会し、胸をときめかせた。祝賀会は盛況だった。だが、長太郎は、大社長に看護婦を装って付添っている花丸が気にかかり落着かなかった。大社長に呼ばれた長太郎は、そこで“攻撃は最大の防禦なり”の精神を吹きこまれた。その時、長太郎の脳裡に浮んだのは、日米合資会社設立を願っているという日系三世のポール花岡だった。翌日からポールとの提携作戦に乗出した長太郎は、いつになく積極的で、“新製品の名前はアタック。セスナ機を購入し、空とぶ社長室から販売の攻撃命令を発する”と発表した。宣伝部長の西条は、ポスター作成に忙殺され、秘書の中沢は飛行機操縦免許を持っており、営業の新政策に喜んだが、時が移るにしたがい困ることばかり。社長の行動範囲が拡がるにつれ、章子とのデートもままならなくなってしまったからだ。ある日、長太郎は執拗な香織の呼出しに応じ、大阪へ出掛けた。ところが、そこで支店を視察中のポールと富田林に出くわしてしまった、長太郎は、その場をうまく胡魔化したものの九州でまた帰省中のポールと鉢合わせ。しかもポールが病気で倒れ、てんてこ舞の忙しさだった。




22-56. 劇場版 進撃の巨人 前編〜紅蓮の弓矢〜

監督 荒木哲郎
出演 梶裕貴石川由依井上麻里奈谷山紀章小林ゆう
2014年 (ポニーキャニオン) 119分

解説
巨人が人類を捕食する世界で、生き残りをかけて戦う人類の姿を描いた、諫山創の人気コミック 「進撃の巨人」 。同作を基にしたテレビアニメを2部作として再編集した劇場版。前編となる本作では、巨人との遭遇を機に調査兵団入りを決意する主人公エレンが秘められた能力を発揮するまでを描いた、1〜13話までの物語が繰り広げられる。

ストーリー
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、高さ50メートルの巨大な壁を築き、 壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。まだ見ぬ壁外の世界を夢見る10歳の少年エレン・イェーガー(声:梶裕貴)は、仮初めの平和に満足し、外の世界へ出ることを諦めた人々に違和感を覚える。彼らを“家畜”と呼ぶエレンと、エレンを“異物”と感じる人々。だが、壁を越える超大型巨人の出現により、エレンの“夢”も人々の“平和”も、突如として崩れ去ってしまう……。





22-57. 独眼竜政宗

監督 河野寿一
出演 萬屋錦之介月形龍之介岡田英次宇佐美淳也片岡栄二郎
年 () 87分

解説
「絞首台の下」 の高岩肇のオリジナル・シナリオを、 「紅だすき喧嘩状」 の河野寿一が監督し、 「お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷」 の坪井誠が撮影した娯楽時代劇。

ストーリー
戦国乱世の頃、陸奥の麒麟児伊達政宗は、知勇ともに勝れた若き武将として知られていた。豊臣秀吉は彼を恐れて、腹臣石田三成の縁つづきにある和田斉之を政宗の隣国に派遣した。政宗はこうした秀吉の意図を察して、鷹狩りでとらえた鶴を聚楽第の竣工祝いとして秀吉におくることによって、彼との親睦をはかった。そのような政略を離れて、山野を勇壮にかけまわる時が、政宗にとって一番心楽しい時だった。そんな時秀吉と対立関係にある北条家とつながりをもつ、奥羽路の名家田村家から、息女愛姫を政宗にめあわせたいとの申し出があった。政宗は愛姫と対面し、その清らかな美しさにうたれたが、政略のにおいの濃いこの縁組みを断わった。ちょうどその頃、秀吉の命をうけて隣国の和田斉之が政宗に対して挑発行為にでた。だが彼は逆に斉之を術中におとし入れて難を避けた。ますます脅威を感じた秀吉は暗殺団を送って政宗殺害を計った。だが、一味の矢を右眼にうけて重傷を負いながら、政宗は強胆な精神力をもって危機を脱出した。彼は、以前に狩の途中で木こりの勘助から聞いた“白蛇の湯”という温泉郷に身をやすめた。彼の身分を知らぬ勘助と、その娘千代の素朴な愛情につつまれて、彼には、両眼がそろっていた時には知らなかった新しい世界がひらけてきた。政宗の消息を案じた愛姫が“白蛇の湯”にたずねてきた。折しも、秀吉の軍勢が北条家討伐のため小田原に向って進撃をはじめたとの報が入った。そして同時に北条派の畠山軍が、政宗の父輝宗を人質にさらう事件が起った。所詮助からぬ父を、涙をのんで敵畠山もろとも射殺して、政宗は世の習いとはいえ政情に支配される自分の運命に泣いた。悲壮な心を抱いて、政宗は自分の右の眼をうばった秀吉と対面するため、粛然と兵を小田原に進めた。




22-58. 座頭市あばれ凧 (The Sword of Zatoichi)

監督 池広一夫
出演 勝新太郎久保菜穂子渚まゆみ五味龍太郎中村豊
1964年 (大映) 82分

解説
子母沢寛の原作を 「座頭市兇状旅」 の犬塚稔が脚色 「座頭市千両首」 の池広一夫が監督した座頭市シリーズの七作目。撮影は 「日本名勝負物語 講道館の鷲」 の竹村康和。

ストーリー
甲州の宿場外れで功名心に燃えた旅のやくざ清六から、鉄砲で射たれた座頭市は、彼を救い治療費までおいて行った名も知らぬ恩人を追って鰍沢へと旅発った。鰍沢は富士川を挟んで、津向の文吉と竹屋の安五郎が対立していた。文吉は、今年も河原で花火をあげて近在の人々を喜ばせようと、江戸の花火師久兵衛を招き、姉娘お国を迎えにやったのだが、市を救ったのはこのお国であった。鰍沢についてこれを知った市は、お国に厚く礼を言い、自分はしがない按摩として文吉の家に厄介になった。吃安と仇名さる安五郎は、妹お仙が代官の妻、という立場を利用して、文吉の縄張りを狙い、ことある毎に文吉に因縁をつけていた。だが、柔和な文吉は取り合わず、血気にはやる乾分をなだめていた。そんなところに清六が文吉の家に帰って来た。清六は文吉の息子で、親姉妹にさんざんの迷惑をかけて出奔していたのだった、清六は市をみてびっくりした。彼は渡世人の中で名高い座頭市を討って、男をあげようとしたのだ。だが、盲目の市は清六と会っても己を射った人間だとは、知る由もなかった。この清六が、吃安の罠にかかって捕えられた。縄張りをよこすか、清六の命かというかけあいに、市は密かに吃安宅に侵入し無事清六を救出した。吃安は、風のごとく清六を擢っていった按摩が、兇状持で有名な座頭市と知って、代官所に座頭市召捕りの願いを出した。それを知った文吉は、市の身辺を慮って、事情を明かさず早立ちさせた。邪魔者の市が去ったとみるや、吃安一家は、用心棒の天玄を先頭に、文吉宅に殴り込みをかけた。不意討ちをうけた清六、文吉はてもなく倒された。だが、戦勝に酔う吃安宅に疾風のごとく現われたのは、怒りに身をふるわせた座頭市の姿であった。





22-59. アルプスの若大将

監督 古澤憲吾
出演 加山雄三有島一郎中真千子飯田蝶子星由里子
1966年 (東宝) 93分

解説
「じゃじゃ馬ならし」 の田波靖男がシナリオを執筆、 「日本一のゴリガン男」 の古沢憲吾が監督した 「エレキの若大将」 につづく“若大将”シリーズ第七作目。撮影は 「大冒険」 の飯村正。

ストーリー
若大将こと京南大学スキー部の主将田沼雄一は、建築学の論文がヨーロッパの学会に認められヨーロッパ旅行に招待された。そびえたつマッターホルンを颯爽と滑降する雄一は、アルプスの若者の人気を一身に集めた。一方、財閥の父親を口説いて自費で雄一を追ってきた青大将こと石山新次郎はパリジェンヌの尻を追っかけまわし、雄一や山下教授に迷惑のかけっぱなしだ。そんな或る日、雄一はツェルマットの町でパンアメリカン航空のローマ事務所員澄子と知りあった。雄一に好意を持った彼女は一日、ローマを案内してくれた。わずかな時間だが、その日の想い出は二人の胸に深く刻みこまれた。帰国した雄一を迎えてスキー部はさっそく合宿の準備にとりかかった。勉強にスポーツに忙しい若大将に、パリ娘リシェンヌを彼の家すき焼屋「田能久」に下宿させてくれと青大将が頼みにきた。それというのも青大将は自分の父親がだいの青い目嫌いにもかかわらず、パリにいた時、彼女を口説くため東京での再会を約束したのだった。羽田空港にリシェンヌを迎えた雄一は、ぐうぜんにも日本に転勤した澄子と出会った。しかし実情を知らない澄子は、リシェンヌを見てすっかりへそをまげてしまった。そうはいっても、雄一のことが忘れられぬ澄子は合宿所へ彼を追った。捜す途中彼女は、女タラシの赤田にだまされ人気のない山小屋に連れこまれた。危機一髪、雄一に助けられたがショックと口惜しさで澄子は山を降りた。さらに澄子がヨーロッパへ帰るというしらせに雄一はすっかり元気を失くしてしまった。周りの心配をよそに、練習に身の入らぬ彼に、選手権の優勝者はヨーロッパに派遣されるという吉報がまいこんだ。澄子に会いたい一心の雄一は、死にものぐるいになって練習した。そして雄一は優勝した。今度こそ誰にも邪魔されない二人は、白銀に輝くマッターホルンを背に愛を確認しあうのだった。




22-60. ももドラ momo+dra

監督 佐々木敦規
出演 百田夏菜子玉井詩織佐々木彩夏有安杏果高城れに
2011年 (テレビ朝日) 93分

解説
エネルギッシュなパフォーマンスで人気のアイドルグループ、ももいろクローバーZ。そのメンバー5人が主演し、ネット限定ながら好評を博したショートムービーを1本の映画として編集。個性あふれる5人のメンバーが、思春期の少女が抱える恋などの悩みを等身大の魅力で演じる。監督は彼女らのライブなどの演出を手がける佐々木敦規。

ストーリー
<episode.1 神様だって、>ある男性に想いを寄せる詩織(玉井詩織)。彼女が取った行動とは?神様って大変!<episode.2 姉カレ>姉の結婚に戸惑う彩夏(佐々木彩夏)。嬉しいはずなのに、気持ちの整理ができずにいた……。<episode.3 コトダマ>落ち込む杏果(有安杏果)の前に現れたのは、もう一人の自分。それはドッペルゲンガーなのか……?<episode.4 色恋 〜colorful Love〜>れに(高城れに)は、県展の高校生の部に出展するために、夏菜子(百田夏菜子)をモデルに絵を描くが、果たしてその結果は……?<episode.5 お願い! DJ>すれ違う夏菜子と詩織。仲直りのきっかけは映画のチケットだった。しかし、そのチケットの行方は!?




22-61. 彼女が水着にきがえたら

監督 馬場康夫
出演 原田知世織田裕二伊藤かずえ竹内力田中美佐子
1989年 (東宝) 103分

解説
マリン・スポーツが好きなOLとヨットマンの恋と冒険を描く。ホイチョイ・プロダクションの原作を元に 「ほんの5g」 の一色伸幸が脚本を執筆。監督は 「私をスキーに連れてって」 の馬場康夫、撮影は同作の長谷川元吉がそれぞれ担当。主題歌は、サザンオールスターズ( 「さよならベイビー」 )。

ストーリー
朝鮮戦争時、ある韓国人富豪のチャーター機「ドラゴンレディ」が、宝石を積んだまま相模湾上空で墜落し海底に沈んだ。22歳のOL・田中真理子と同僚の恭世はゴールデンウィークに金持ちのプレイボーイ・山口に誘われ、豪華クルーザーのアマゾン号に乗り込んだ。目的はスクーバ・ダイビングである。翌日二人は三戸浜沖の海底でドラゴンレディを見つけたが、深く潜りすぎて、ヨットのツバメ号を操る年輩の大塚と若い吉岡に助けられた。その晩、アマゾン号のパーティで二人は突然襲ってきた大塚らに連れ去られるが、これはアマゾン号とツバメ号の恒例の女の子争奪ゲームだった。ふとしたことから真理子が海底の飛行機のことを話すと皆はびっくり、山口と大塚はその宝探しのライバルだったのだ。真理子と吉岡はお互いに好意を持つが、なかなか素直に心を打ち明けることができない。大塚が何者か怪しいパワーボートに襲われて入院。その間に飛行機も引き上げられてしまった。真理子と吉岡は「山口の仕業に違いない」と腹を立てるが、犯人は恐るべき第3の敵だった。しかし、宝の箱は流されて別の場所にあり、その韓国人グループの手にも渡っていなかった。宝が見つからず腹を立てた一味は海に潜った真理子と吉岡が奪ったとにらみ、二人を追いかけ始めた。ジェット・スキーなどで逃げる真理子と吉岡は、間一髪のところで、裕子のヘリコプターに無事救出されたのだった。




22-62. 劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日

監督 中尾浩之
出演 要潤夏帆上島竜兵時任三郎
2013年 (ギャガ) 102分

解説
タイムワープ技術を駆使し、過去のあらゆる時代へ旅し、歴史に埋もれた名もなき人々の姿を後世に残そうとする未来世界のジャーナリスト、沢嶋雄一。その活躍を描くNHKの異色ドラマが初の映画化。完成からわずか3年で焼失した織田信長の居城、安土城の消失の謎に挑む。テレビ版同様、沢嶋を要潤が演じるほか、夏帆、杏、上島竜兵らが出演。

ストーリー
タイムワープ技術を用いて様々な時代を取材し、その時代の暮らしや営みをアーカイブすることを推進するタイムスクープ社。今回時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)が派遣された先は、本能寺の変から11日後の京都。人々に混乱と動揺が走る中取材をするうちに、沢嶋は織田家の侍・矢島権之助(時任三郎)と博多の豪商、島井宗叱(上島竜平)と出会う。優れた茶器『楢柴』を持つ島井の護衛に就く権之助を同行取材しているうちに、一行は謎の人物に襲われ、『楢柴』は滝壺へと消えてしまう。襲撃してきた人物がこの時代のものではない武器を手にしていたのを見た沢嶋は、歴史が変わらないようにするため、新人ジャーナリスト細野ヒカリ(夏帆)とともに『楢柴』奪回へ向かう。二人は奪回のために安土桃山時代からバブル期の1985年、第二次世界大戦中の1945年を経て、織田信長の居城・安土城の最後の一日にまでタイムワープする。謎に包まれたその最後の日に、一体何が起きたのか……。




22-63. ゴジラVSメカゴジラ

監督 大河原孝夫
出演 高嶋政宏佐野量子小高恵美原田大二郎宮川一朗太
1993年 (東宝) 107分

解説
人類の科学の粋を集めて作られた最終兵器メカゴシラと、ゴジラの闘いを描く、ゴジラ生誕四十周年、シリーズ二十本記念作。監督は 「ゴジラVSモスラ」 の大河原孝夫。製作はゴジラ・シリーズの全作品を手掛けている田中友幸。プロデューサーは 「ゴジラVSビオランテ」 から四作連続で担当する富山省吾。脚本は 「リトル・シンドバッド 小さな冒険者たち」 の三村渉。音楽はゴジラ音楽の生みの親・伊福部昭。特撮監督は 「ゴジラVSモスラ」 の川北紘一が担当。

ストーリー
一九九二年、筑波の国連G(ゴジラ)対策センターで、対ゴジラ用最終兵器“メカゴジラ”が開発された。その前身である試作機“ガルーダ”の開発チームにいた青木一馬は、精鋭部隊Gに出向させられメカゴジラの操縦を習得すべく厳しい訓練を受けていた。一方、使用済み核燃料の廃棄場であるベーリング海の島に赴いた調査隊が、巨大な巣と、翼竜のものと思われる孵化前の卵を発見する。彼らは放射能によって巨大化した翼竜・ラドンに襲われるが、海中から現われたゴジラによって、ラドンは倒された。卵は京都の国立生命科学研究所に運ばれ研究が開始される。そしてそれが六五〇〇万年前のものであること、その時の心理状況で変色し、研究所員・五条梓が近くにいると安静状態を示すことがわかった。卵の表面に付着していた太古の植物が“音楽”を発していることに気づいたGの超能力者三枝未希は、その音楽をテレパシーによって卵に伝える。すると突然卵は孵化を始めた。誕生したのは翼竜ではなく、ゴジラザウルスの赤子“ベビーゴジラ”であった。ゴジラは自分が産み落した卵を、ラドンの巣に託卵していたのだ。その頃、伊勢湾にゴジラが出現し、四日市に上陸。Gはメカゴジラで迎え撃つが、想像を絶するゴジラのパワーによって、機能停止に陥る。京都へ向かったゴジラはベビーゴジラを捜すが、ベビーは細胞保存室に隔離されており見つからず、ゴジラは大阪湾へと去っていく。ベビーは筑波の国連Gセンターへ移送され、梓が付き添うことになる。Gセンター作戦会議は梓の反対を無視して、ベビーをおとりにゴジラをおびき出す作戦を決行する。だが蘇ったラドンが突如飛来、ベビーと梓の乗った輸送途中のコンテナを奪い、幕張のベイエリアへと向かった。修理を終えたメカゴジラが幕張に到着し、激しい交戦の末、ラドンを倒してコンテナを取り戻す。が今度はそこへゴジラが出現、一馬は秘かに改良していたガルーダに乗り込み幕張へ。ゴジラは、ガルーダと合体しバージョン・アップした“スーパー・メカゴジラ”によって、致命的な打撃を受けるが、三度蘇ったラドンの力でもとに戻る。Gがベビーをゴジラに返すと、ゴジラは破壊を止め、ベビーを連れて海へと去っていった。




22-64. 赤穂城断絶 

監督 深作欣二
出演 萬屋錦之介島英津夫藤岡琢也峰岸徹千葉真一
1978年 (東映) 159分

解説
日本人にとって民族の大ロマンとして語り継がれ、小説、演劇、映画など多くのジャンルで数々の名作を生んできた“忠臣蔵”の25回目の映画化。原作・脚本は 「野性の証明」 の高田宏治、監督は 「宇宙からのメッセージ MESSAGE_from_SPACE」 の深作欣二、撮影監督は宮島義勇、撮影は仲沢半次郎がそれぞれを担当している。

ストーリー
元禄十四年三月十四日早駕篭が“浅野内匠頭長矩は、吉良上野介に対し、場所がらもわきまえず、刃傷に及び不届につき、即刻切腹なり”の報を持って赤穂に向かった。三月十九日、赤穂に入ったお家断絶、ご領地お召し上げの報に、即刻城中で大評定が行なわれ、篭城、殉死、仇討、解散と話は続いた。そして大石内蔵助は、お家最後の評定に集まった家臣の者から覚悟の上の誓紙血判を集め、時節到来まで隠忍自重することを約し、ひとまず開城のむねを発表する。六月二十四日、亡君百ケ日の法要を営んだ大石は翌二十五日、一介の素浪人として山科へ立った。表向きは遊興三昧に明け暮れつつも、大石の画策は続いていた。また江戸へ散った浪士たちは、それぞれ吉良の動きをさぐろうと、飛び廻った。元禄十五年二月中旬、亡君一周忌を済ませた大石は、妻子と別れ、十六歳の長男のみを元服させ主税とし、手元に置く。そして同年十月七日、大石は江戸へ発ち、仇討決行への第一歩を踏み出した。十月二十三日には鎌倉に、十月二十六日には川崎平間村に、そして十一月五日、日本橋石町三丁目、小山屋弥衛方に大石父子は偽名を使って討入当日まで滞在した。同年十二月十四日、赤穂浪士四十七名は、敵吉良邸へ討入る。一同は、上野介を炭小屋で発見、ただちに首を打ち落し、吉良邸を引き上げた。一同は泉岳寺に入り、浅野内匠頭長矩の墓前で礼拝した後、細川、毛利、久松、水野家のそれぞれ大名家へ、お預けの身となった。元禄十六年二月四日、一同それぞれお預け大名邸にて切腹。尚吉良家一統このたびの仕方不届につき、領地召し上げ、お家断絶。この知らせを聞いた一同の顔に感動の涙が伝わり落ちた。そして浪士全員作法通り立派に死んでいった。




22-65. モスラ対ゴジラ

監督 本多猪四郎
出演 宝田明星由里子小泉博藤木悠田島義文
1964年 (東宝) 89分

解説
「海底軍艦」 の関沢新一のオリジナル・シナリオを 「海底軍艦」 の本多猪四郎が監督した空想怪奇映画。撮影もコンビの小泉一。

ストーリー
南海の孤島インファント島沖に台風X号が発生、大暴風雨となった。新産業計画として発足した倉田浜干拓工事現場も、壊滅してしまった。新聞記者酒井と中西純子は、流木の中から、放射能を含んだ異様な牙を発見した。その頃、静の浦の海上に、三〇メートルもある巨大な卵が漂着した。この巨大な卵を囲んで三浦博士以下学界の面々が調査したが、正体がつかめなかった。そして巨卵は興行師熊山と政界ボス虎畑が買い取り、商売に利用しようとたくらんでいた。三浦博士らは、酒井、純子らと対策を練ったが、そこえ妙なるメロディと共に小美人がインファント島からモスラの卵を返して欲しいとやって来た。しかしこの小美人をも商売の対象とした熊山らのために、人間社会に失望してインファント島へ帰っていった。一方倉田浜干拓地では、大音響と共に海底が地割れし、不死身の大怪獣ゴジラが出現した。恐ろしい放射能を吐き、蓄積したエネルギーをぶちまける巨竜に、何ら防禦の道はなかった。三浦博士と酒井、純子の三人は、モスラを頼ってインファント島へ行った。願を聞いたモスラは、大きく羽ばたいて静の浦へと進撃した。巨大な孵化装置の上にのっている卵を間にゴジラとモスラの対戦が始った。放射能を吐くゴジラと、金色の猛毒粉をふりまくモスラだが、遂に老蝶モスラは、ゴジラの放射能で消滅した。しかし卵からかえった二匹のモスラは、毒糸でゴジラをからめとり、海底深くしずめていった。




22-97. 社長洋行記

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子加東大介西条康彦
1962年 (東宝) 89分

解説
「続サラリーマン清水港」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを 「銀座の若大将」 の杉江敏男が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの完倉泰一。

ストーリー
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジアで敵会社椿パスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と本田社長は原因究明にのりだした。営業部長の話では、国外販売は加藤清商事にまかせきりだという。それなら加藤社長に直接談判と、本田はマダム悦子のいる香港亭へ彼を招待した。だが相手は、たかがアンマ膏と頭から相手にしない。業を煮やした本田は、自らの手で国外に売り出そうと決心した。随行員は南と中山。初めての洋行に有頂天の中山は、あやしい英語で人をケムにまき、はてはお手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに本田社長ももてあましたが、そんな時、東海林の愛人あぐりの義兄が、香港で商事会社にいることがわかり、中山のかわりに彼を随行員にした。送別会の当日、そのことを知った中山はションボリうなだれ、一同もホロリとする始末。いよいよ香港出発となり、ジェット機にのり込んだ本田たちは、香港亭の悦子にばったり会った。彼女も香港支店へ行くところだ。香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道をまよった本田は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。その夜、三人は同じ女性とも知らずめぐり会った香港美人の話でもちっきり。ところが夜中に本田社長は蛇の食べ過ぎでのたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去るのだった。




22-67. 初春狸御殿

監督 木村恵吾
出演 市川雷蔵若尾文子勝新太郎中村玉緒
1959年 (大映) 84分

解説
「歌麿をめぐる五人の女(1959)」 の木村恵吾が自らの脚本を監督した狸御殿映画。撮影も 「歌麿をめぐる五人の女(1959)」 の今井ひろし。主な出演者は 「浮かれ三度笠」 の市川雷蔵、 「美貌に罪あり」 の若尾文子、勝新太郎。

ストーリー
狸の国、カチカチ山の村娘お黒は大の孝行者だ。父の泥右衛門がカチカチ山で兎にしてやられた火傷の古きずの手当てに薬を売りに来る栗助を、憎からず思っていた。栗助もお黒が好きだった。ある日、猟師に追われて森へ逃げ出したお黒と泥右衛門は、番傘に化けた。同じく逃げこんできた狸御殿の腰元たちが、折からのにわか雨にこの番傘をさして帰った。狸御殿では、隣国の若君狸吉郎がきぬた姫との見合いにやって来るというので大騒ぎ。しかしきぬた姫は人間の夫を持ちたいと狸吉郎の到着と同時に人間社会へ家出してしまった。老女の狸路はお黒がきぬた姫と瓜二つなのを利用し、お黒を姫の身代りに立てた。狸吉郎はこのお黒にすっかり魅せられてしまった。きぬた姫の行方は一向に分らなかった。狸吉郎とお黒の恋愛はどんどん進行した。家老の狸右衛門は、お家安泰のために結婚させようと決心した。ところが、姫が人間たちから相手にされず悄然と狸の国へ帰って来たのだ。泥右衛門はいま帰られては折角の玉のコシがと、姫の帰路を襲った。これを知ったお黒は、姫の姿に代り、泥右衛門の一刀を浴びた。しかしお黒も栗助の薬で奇跡的に助かった。かくしていまはしとやかな娘に帰ったきぬた姫と狸吉郎、お黒と栗助という二組の祝言がめでたく取り行われることになった。





22-68. ガメラ2 レギオン襲来

監督 金子修介
出演 水野美紀永島敏行石橋保吹越満藤谷文子
1996年 (東宝) 100分

解説
誉田哲也の警察小説を竹内結子主演で映像化し、人気を博したテレビドラマの初の劇場版。左目が縦に切り裂かれた4つの死体が発見され、その犯人と目される謎の男を巡って、警察内部でのトラブルに巻き込まれていく警視庁捜査一課の刑事・姫川玲子とそのチームの運命を描く。染谷将太が事件の鍵を握るミステリアスな青年を演じる。

ストーリー
雨の夜、中野東署管内で男の死体が見つかり、警視庁捜査一課・姫川玲子(竹内結子)のもとに、入院中の上司・今泉(高嶋政宏)から連絡が入る。被害者は29歳の小林充(金子ノブアキ)という男性。龍崎組傘下“仁勇会”の下部組織“六龍会”の構成員だった。体中の多数の刺し傷、縦に切り裂かれた左目という犯行方法が、5日前に起きた三鷹の殺人事件、3日前の業平橋の殺人事件と一致。連続殺人事件と見た警察は、姫川班の管轄である中野東署に合同特別捜査本部を設置。三鷹、業平橋との合同捜査となる。姫川班の他、玲子のライバル・日下(遠藤憲一)、組対四課、昇任で異動したはずの井岡(生瀬勝久)など捜査員たちが次々と会議室に集まる。各事件の被害者がすべて広域指定暴力団・龍崎組の構成員だったため、事件は内部抗争の可能性が高いとされた。会議終了後、玲子は偶然“小林充を殺したのは柳井健斗(染谷将太)”という不審なタレコミを受ける。3つの事件は果たして連続殺人事件なのか?玲子の頭を疑問がよぎるが、管理官の橋爪(渡辺いっけい)からは、“捜査線上に柳井健斗の名前が出てきても一切触れるな”という命令が下る。納得できない玲子は、姫川班と井岡を部下の菊田(西島秀俊)に託し、単独捜査を開始。菊田は石倉(宇梶剛志)、葉山(小出恵介)、湯田(丸山隆平)ら姫川班のメンバーとともに玲子の単独行動をサポートする。やがて玲子が辿り着いたのは、柳井健斗の家族を襲った9年前の悲しい事件。数日後、玲子は柳井の知り合いで成稜不動産の営業部長を名乗るマキタ(大沢たかお)という男に出会う。だが、その正体は龍崎組若頭補佐・極清会会長の牧田勲。連続殺人事件の渦中の人物だった。この出会いが玲子の人生を大きく変えてゆくことになる。一方、複雑に絡まった一連の事件は、警察の威信を揺るがし、捜査は思いがけない方向へ……。辿り着いた真実の先に玲子が見たものとは……?




22-69. 新選組

監督 沢島正継
出演 三船敏郎小林桂樹北大路欣也三國連太郎中村翫右衛門
1969年 (東宝) 121分

解説
「女賭博師」 の松浦健郎の脚本を、 「ボルネオ大将 赤道に賭ける」 の沢島忠が監督し、三船プロが 「赤毛」 に続いて発表した時代劇。撮影は 「地獄変」 の山田一夫が担当。

ストーリー
文久三年一月。武州多摩で然理心流の試衛館道場を開く近藤勇は、相談相手の土方歳三や、門弟沖田総司らと浪士隊に応募し、京に向った。隊には水戸浪士芹沢鴨らも参加していた。江戸逆戻りの命に背いた近藤らと芹沢ら十三名は、松平肥後守御預けになり、同年三月、新選組が誕生した。島原の大夫・お雪とその妹お孝が近藤に心を寄せた。近藤と共に実権を持つ芹沢の乱暴狼籍は、目に余り、遂に近藤は、土方、沖田らと、芹沢を暗殺した。新見錦ら芹沢派も、次々と斬られ、新選組の実権は完全に近藤が握った。新選組の名は洛中に鳴り響いた。元治元年六月五日、政変で失墜した長州派の志士たちは池田屋に集っていた。これを探知した近藤らは、僅か五名で、突入した。乱闘二時間余り、凄絶な斬り合いの末、志士の即死七名、生補りなど二十余名を数えた。新選組の圧倒的勝利だった。以来、新選組は、幕臣の信頼を集め、羽振りもよくなった。しかし幕府は衰亡の一途を辿っていた。近藤は、幕府の危機を悟ったが、節を曲げず、最後まで幕府のために働く初心を変えなかった。近藤とはそういう男だった。鳥羽・伏見の戦いに敗れた近藤らは、江戸へ帰った。そして、甲陽鎮撫隊を率いた近藤は、戦い利あらず、下総流山で官軍にくだった。慶応四年四月二十五日、板橋の刑場で、近藤勇の首は胴を離れた。




22-70. 潮騒(1964)

監督 森永健次郎
出演 吉永小百合浜田光夫清川虹子石山健二郎菅井一郎
1964年 (日活) 81分

解説
三島由紀夫の同名小説を 「浅草の灯 踊子物語」 の棚田吾郎と 「真白き富士の嶺(1963)」 の須藤勝人が共同で脚色 「こんにちわ20才」 の森永健次郎が監督した文芸もの撮影もコンビの松橋梅夫。

ストーリー
歌島は伊勢海に面する周囲一里にもみたない小島である。そこでは、男達は漁に出、女達は海女となって貝をとった。漁師の息子新治は、今日も太平丸に乗って浜に帰ってきた。そこで新治は舟を引きあげようとする船主照吉の娘初江に会い、手をかして舟を引きあげてやった。新治は浜にあがると、山の手にある灯台長のところに魚を届けにいった。しかしそこで新治は、もらったばかりの給料を浜で落したことに気づき、あわてて引きかえした。浜には、そんな新治を、笑いながらも、給料袋をひろって家に届けてくれた初江がまっていた。家に帰っても新治は、初江の美しい瞳が忘れられなくなっていた。そんな新治の様子を察した母トミは、初江が高嶺の花であることを言いきかせた。だが新治は、初江のことを想いぼんやりする日が多くなった。そんなおり、弟の十吉から、初江の婿になるのは、東京の大学を出て島に帰って来た安夫だという噂を聞いた。ある日新治は林の中の“観的哨跡”でマムシにかまれた初江を助けてやり、漁の休みの日に再会を約した。やがて漁が休みの嵐の日に、二人は観的哨で会った。ずぶぬれになった二人は互いに着物を脱いで焚火をかこみ自然に唇が触れ合った。数日後初江は水くみにいった林の中で、安夫に襲れた。新治に好意を寄せる灯台長の娘千代子が、新治と初江の仲のいいのをみて、あることないこと安夫につげ口したのだった。噂は島中にひろがり、二人は会うことを禁じられた。しかし一人前の漁師になるために、歌島丸に乗りこんだ新治は、嵐の中を、海にとびこみ、ロープで船をつなぎとめて、船を救った。照吉も、もはや二人の仲をさこうとはしなかった。




22-71. ゴジラ(1984)

監督 橋本幸治
出演 小林桂樹田中健沢口靖子宅麻伸小沢栄太郎
1984年 (東宝) 103分

解説
「メカゴジラの逆襲」以来9年ぶりに製作された本作は、「ゴジラvsデストロイア」まで続く新しいゴジラシリーズのスタート作品ともなった。劇中では、「1954年のゴジラ出現から30年ぶりにゴジラが現れた」という設定であり、俗に「昭和ゴジラ」と呼ばれるシリーズ第2作から第15作とはストーリーがつながっていない。そのため、本作以降ゴジラは再び「人類の敵」として描かれている。次作「ゴジラvsビオランテ」以降は平成の作品であるため、本作は昭和期に公開された最後のゴジラ映画である。

ストーリー
伊豆諸島の大黒島で巨大な噴火が発生。噴火から3か月後、大黒島近海で操業していた漁船「第五八幡丸」が嵐によって航行困難となり、なぜか島へと引き寄せられていく。乗組員はSOSを発信するが、その後に消息を絶った。
一夜明け、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧吾郎は漂流していた第五八幡丸を発見して船内へ乗り込むが、そこにはミイラ化した船員の死体が連なっており、しかもその中にはモリやマキリなどを握っている者もいた。ようやく唯一の生存者である奥村宏を見つけたその時、体長1メートルほどもある巨大なフナムシに襲われ絶体絶命に陥るが、意識を取り戻した奥村に助けられる。
奥村は、遭難の際に光り崩れた大黒島の中から咆哮と共に現れた巨大な怪物を見たことを牧に語ると、海上保安庁に保護され、治療及び調査・確認のために警察病院へ入院させられる。そんな中、奥村を見舞った林田信は30年前の写真を見せ、その際の反応から奥村が目撃したという巨大生物がゴジラであることを確信し、内閣安全調査室長の辺見に告げた。大黒島の爆発でゴジラが目覚め、寄生したフナムシが放射能を浴びて巨大化し、今回のような事件が起きたという。報告を受けた内閣総理大臣の三田村清輝と官房長官の武上弘隆は、ゴジラ出現の報道は国民のパニックにつながると考えて報道管制を敷き、第五八幡丸は未だ遭難中、奥村は病院で軟禁状態にして、それぞれ現在も行方不明と発表する措置を執った。
謎の巨大生物の特ダネをものにしようとしていた牧は、報道管制により出鼻をくじかれる。また、林田の研究室で手伝いをしていた奥村の妹の尚子に好意を感じた牧は、奥村が既に救助されていながらゴジラの情報隠蔽のために軟禁されている事実を流すが、病院での兄妹の感動の再会を「取材」してしまったため、尚子の反感を買う。
その頃、日本近海を航行中のソ連原子力潜水艦が撃沈されるという事件が発生。アメリカは攻撃を否定したが、ソ連はアメリカの攻撃と断定し、両国軍は臨戦態勢に突入する。東西関係に緊張が走る中、自衛隊のP-3C哨戒機が捉えていたソ連原潜の撃沈された際の海面写真を分析した結果、原潜の撃沈はゴジラの襲撃によることが判明。このことを受けた日本政府は東西陣営の衝突を防ぐため、ついにゴジラ報道の全面解禁に踏み切った。
その直後、静岡県の井浜原子力発電所にゴジラが出現。ゴジラはヘリコプターで現地へ赴いていた林田の目の前で原発施設を破壊し、原子炉の炉心を取り出して放射能を全て吸収すると、頭上を飛んでいた渡り鳥に吸い寄せられるように海へ去っていった。林田は渡り鳥の発する超音波にゴジラの体内の磁性体が反応して帰巣本能を刺激されたと考え、合成した超音波によってゴジラを三原山へ誘導した後に人工的に噴火させた火口へ落とすという作戦を日本政府に提案する。
一方、アメリカとソ連は日本政府に対し、ゴジラへの戦術核兵器の使用を強く要請していた。特にソ連は原潜撃沈の報復を主張し、アメリカもソ連に同調していたものの、三田村首相は非核三原則の立場からそれを頑なに拒み続ける。首相の尽力で米ソによる対ゴジラ戦術核攻撃の危機は回避されたが、日増しにゴジラ東京上陸の可能性が強まる中、自衛隊も新兵器のスーパーXをはじめとする対ゴジラ兵器や、林田の提案した超音波によるゴジラ誘導作戦を準備していた。
やがて、東京湾沖の太平洋上で北上するゴジラが発見され、東京湾上陸必至との政府報道が流れると、東京中はパニックに見舞われた。そして自衛隊の厳重な警戒下、遂にゴジラが東京港に出現する。待ち構えていた自衛隊の航空部隊を放射熱線で撃ち落とし、陸上部隊のミサイル攻撃や戦車砲撃を蹴散らして東京へ上陸した。その戦闘の最中、東京湾に停泊していたソ連の貨物船に密かに積み込まれていた地上攻撃用衛星の核ミサイル制御装置がゴジラの攻撃により誤作動し、核ミサイル発射のカウントダウンが始まってしまう。
30年前の悪夢をたどるかのごとく、ゴジラは街を破壊していく。都民の避難誘導以外にゴジラへの有効な対策手段を持たない政府はスーパーXの発進を急ぐが、カドミウム弾の搭載に手間取り、未だ発進できずにいた。新宿の研究所でゴジラを誘導する超音波の開発に苦心していた林田は、目の前にまで到達したゴジラで実施テストを行い、超音波発信装置を完成させる。しかし、大島へ向かおうとした林田らは、ゴジラと自衛隊の戦闘の巻き添えによりビル内に閉じ込められてしまう。
そして、ついに出撃を果たして期待通りゴジラの熱線に耐えたスーパーXは、核物質の活動を抑えるカドミウム弾を使用してゴジラを昏倒させることに成功した。林田もこの隙に大島へたどり着ければと安堵するが、カウントダウンを刻んでいたソ連の衛星が新宿のゴジラに向けて核ミサイルを発射してしまう。ソ連から核ミサイルの発射や、自国では撃墜不可能との連絡を受けた日本政府は、アメリカに核ミサイルの迎撃を急遽依頼した。
新宿では奥村が自衛隊のヘリコプターで林田らを迎えに来るが、不安定な新宿の高層ビル街の乱気流により、林田と超音波発信装置を引き上げるのがやっとだった。残された牧と尚子は目の前で眠るゴジラと、迫り来る核ミサイルの恐怖に戦慄する。
その頃、アメリカ軍が発射した迎撃ミサイルがソ連の核ミサイルを捕捉し、撃墜に成功する。新宿都心での核爆発という最悪のシナリオは回避されたが、成層圏での核弾頭撃墜により発生した高高度核爆発が電磁パルスを引き起こし、東京は大規模停電に陥る。ようやく停電の混乱から復旧しようかと思われたそのとき、高濃度の電磁雲により発生した落雷のショックでゴジラが目覚めてしまう。再びスーパーXが応戦するが、カドミウム弾を失い通常兵器でしか攻撃の手段がないスーパーXにもはやゴジラを止める術はなく、遂に撃破されてしまう。辺りが炎の海と化す中、戦いの最中にビルが破壊されたために脱出していた牧と尚子に迫るが、その時三原山で起動された超音波発生装置によりゴジラは東京を後にし三原山へと向かう。そして作戦通り、ゴジラは人工的に噴火させられた三原山火口へ咆哮を上げながら落下していった。





22-72. 大学の若大将

監督 杉江敏男
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子中真千子星由里子
1961年 (東宝) 82分

解説
続社長道中記 女親分対決の巻」 の笠原良三に 「女家族」 の共同執筆者・田波靖男のオリジナル・シナリオを 「黒い画集 ある遭難」 の杉江敏男が監督した青春映画。撮影担当は 「続社長道中記 女親分対決の巻」 の鈴木斌。

ストーリー
京南大学水泳部の田沼雄一は、明治時代からの歴史を誇るすきやき屋「田能久」の若旦郡である。父久太郎は昔気質の頑固者で、最近は商売仇のステーキハウス「黒馬車」がぐんぐんのしてくるので機嫌が悪い。おまけに雄一が黒馬車で歌手のはるみと仲良く歌っているとあってカンカンに怒った。そんな時、祖母のりきがいつも雄一の味方となって父と子の仲を円くおさめていた。水泳部主催のパーティの日。雄一は同級生の団野京子や、はるみとばかり踊るので石山製菓のキャンデー・ガール中里澄子は面白くない。その夜、雄一は店の肉を持ち出して部員達にオゴってしまったためとうとう久太郎に勘当されてしまった。雄一は夏季休暇をさいわいに、芦ノ湖へアルバイトに出かけた。親友多湖もアルバイトでデパート会社の社長野村家の別荘の管理人をしていた。雄一は、ボート小屋に泊りこみ、ボートの貸し出しと看視人をやっていた。澄子も出張で「ビーチハウス」に来ており、はるみも湖畔ホテルで歌っていた。石山製菓社長のドラ息子で、雄一の同級生石山新次郎は澄子に惚れていて、澄子をヨットに誘った。ヨットの中で新次郎が澄子にケシカラン振舞いに出た時、雄一が澄子を救った。雄一は自分が本当に愛しているのは澄子だとその時悟った。カラリと晴れたある日、雄一は転覆したボートから野村父子を救った。夏休みが終り、水泳部の合宿が始ったある日、野村社長より娘の千枝子を貰ってくれるよう雄一はいわれた。多湖が千枝子を愛していることを知った雄一は、見合いの劇場に多湖を連れて行き、野村社長に千枝さんの相手にふさわしい人はこの人ですといって多湖を紹介した。そんなことを知らない澄子は大むくれである。そんな澄子に新次郎が言い寄った。澄子を乗せた新次郎の車は、通りがかりのりきをはねとばした。雄一の輸血でりきは危機を脱した。そして、澄子の誤解もとけた。雄一は急いで、対抗戦の始っているプールへ帰っていくのだった。




22-73. シン・ゴジラ

監督 樋口真嗣
出演 長谷川博己竹野内豊石原さとみ市川実日子犬童一心
2016年 (東宝) 120分  (IMAX)

解説
日本の怪獣映画史に名を残す“ゴジラ”が、 「新世紀エヴァンゲリオン」 の庵野秀明が総監督、 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」 の樋口真嗣が監督を務め、シリーズ初のフルCGで復活。巨大怪獣の出現で未曽有の危機にさらされた人々の物語が描かれる。長谷川博己、竹野内豊、石原さとみをはじめ、総勢328名のキャストが出演。

ストーリー
現代の日本。東京湾に突如として巨大不明生物が出現、政府首脳、官僚を中心に緊急対策会議が招集されるが、予測不能な事態に対応が追いつかない。やがて、上陸した巨大不明生物“ゴジラ”に対し、自衛隊に防衛出動命令が下る。一方、世界各国もこの未曾有の事態と日本の対応を注視、米国は大統領特使を日本に派遣し、対“ゴジラ”戦の主導権を握ろうとするのだが……。





22-74. 海の若大将

監督 古澤憲吾
出演 加山雄三有島一郎中真千子飯田蝶子星由里子
1965年 (東宝) 99分

解説
花のお江戸の無責任」 の由波靖男がシナリオを執筆、 「日本一のゴマすり男」 の古沢憲吾が監督した“若大将シリーズ”五作目。撮影は、 「沙羅の門」 の梁井潤。

ストーリー
浅草で老舗のすき焼き屋田能久の若大将こと田沼雄一は、京南大学水泳部のエースだ。スーパー・マーケットのレジスター芦野澄子、ミュージカル・スター秋山悦子、同級生の大町英子などみんなが若大将の大ファン。若大将の父親久太郎は、息子を商科へ入学させたのだが、雄一は内証で水産科に籍を置き、遠洋航海を目標に航海学と水産学を勉強中だ。その若大将が級友の江口と共に三カ月間の停学になってしまった。理由は江口が試験の当日青大将こと石山新次郎のカンニングに協力したのを発見され、関係のない若大将がまきぞえをくってしまっただ。学校に呼び出された久太郎は、雄一が無断で水産科に入ったことを知って激怒、勘当を宣言した。若大将はこれを機会に航海術を勉強するため、船長の青大将や事務長江口らと共に小さな船“光進丸”に乗りこむことになった。ところがこの光進丸に、悦子への意地から澄子がこっそり乗りこんでしまった。やがて船は八丈島に着いた。島では若い連中はほとんど東京へ行き、島はじいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんだけの“三ちゃん漁業”で細々と生計をたてていた。人手不足を知った若大将は、青大将、江口らを動員して漁業を手伝った。そこで若大将は、漁師左平の孫娘昌江を知った。やがて船は島を離れ、青大将たちは東京に帰った。ところが昌江は若大将のことが忘れられなくなり父親の左平が昌江の思慕を若大将に伝えに東京にやって来た。一方の澄子もこれを察し、なかばヤケ気味に青大将とドライブに出かけた。が、澄子の心情を察した青大将は、そのまま車を競技場に走らせた。そのころ“日豪対抗水泳競技大会”は始っていたのだ。苦戦だった若大将も、澄子の応援で盛り返し優勝した。若大将はオーストラリア留学が決り、澄子との愛を誓いあった。




22-75. 銀座の若大将

監督 杉江敏男
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子中真千子星由里子
1962年 (東宝) 94分

解説
「サラリーマン 権三と助十」 の田波靖男と 「サラリーマン清水港」 の笠原良三が共同で脚本を執筆。 「ベビーギャングとお姐ちゃん」 の杉江敏男が監督した明朗喜劇篇。

ストーリー
京南大学の音楽部員田沼雄一は、スキヤキ屋田能久の若大将。大学の人気者でけんかも大好き。ふとしたことから、雄一はファッションバンドの出演をたのまれた。いよいよ当日、きらびやかな舞台では雄一がバンドをひきいて歌っている。そんな雄一の若々しい姿に目をとめたのは中里澄子である。彼女はラベル洋装店のお針子、雄一が新聞部の団野京子と広告とりでラベルに行ったときから心をひかれていたのだ。だが、今日もまた雄一が京子と一緒にいるのをみてがっかりする。一方、雄一の留守中、家には祖母の幼な友達京南大学の石脇教授が、雄一を拳闘部へ入れるよう説得に来ていた。意気投合したりきは、父久太郎に内証で雄一をくどいた。翌日から雄一の激しいロードワークが始まった。雄一が無断で拳闘部に入ったのを知った久太郎はかんかん。身のためと、雄一をついにあるレストランの見習コックに出した。ある日、ラベルで仕事中の澄子の耳に聞きおぼえのある調べが−−。ライバルがあってはと、雄一のことをすっかりあきらめていた澄子ではあったが、みると路地向うの窓辺でコック姿の雄一がギターをかかえていた。窓をへだてて心を通わせる二人−−。やがて新学期。京南大学では、待望の拳闘部の対抗試合が始まった。リングの上では、雄一が下馬評の高い熊田と苦闘を演じている。リングサイドでは必死の声援を送る澄子。そしてついに雄一の手が高々と挙げられた。喜びに我を忘れた澄子は、恥らいも忘れて雄一の胸にとびこむのだった。




22-76. トラック野郎 故郷特急便

監督 鈴木則文
出演 菅原文太愛川欽也石川さゆり森下愛子大坂志郎
1979年 (東映) 110分

解説
お馴染、桃次郎とジョナサンのコンビが土佐路を舞台に走り回るシリーズ第十作目。脚本は 「天使の欲望」 の中島丈博と松島利昭の共同執筆、監督は 「堕靡泥の星 美少女狩り」 の鈴木則文、撮影は 「暴力戦士」 の出先哲也がそれぞれ担当。

ストーリー
銚子市場から次の荷を高知へ運ぶことになった桃次郎とジョナサンは、カーフェリーで高知に何かった。同じ船に乗り合せた地方廻りの歌手、小野川結花が楽譜を海に落としてしまい、桃次郎は海に投び込んでかき集める。高知についたところで、ジョナサンは目がくらんで蛇行運転、診断を受けると、脳血栓の疑いとか。悲観したジョナサン、足摺岬で自殺を企るが、ドライブインの店員、風美子に助けられる。美人の出現で桃次郎は大ハリキリ、彼女を家に送っていく。家では中気の母が寝ていた。隣の家に住む老人、垣内清馬は六年前に行方不明になった息子、竜次を待ち続け、その嫁に風美子を迎えようとしていた。数日後、土佐犬をわきに座らせたトラック野郎、竜次に出会った桃次郎は、そのことを告げに清馬のところへいくと、風美子の母が危篤で、彼女は「南国土佐」を聞かせたいという。風美子の願いに、桃次郎はキャバレーで唄っている結花を、ヤクザの岩瀬が止めに入るのを無視して連れ出し、臨終にはなんとか唄を聞かせることができた。一方、ジョナサンは病気も全快して川崎へ戻った。清馬の家では竜次が六年ぶりに帰ってきていた。そんなとき、闘犬大会が開かれることになった。竜次の竜馬号と岩瀬の犬が闘った。トラック仲間や風美子が応援にかけつけ、竜馬号は不利な形勢から逆転勝ち。幸せそうに肩を寄せ合う竜次と風美子、桃次郎もドサクサにまぎれて結花にプロポーズ。その時、桃次郎が乗せたことのある外国人のヒッチハイカーがやって来た。彼はアメリカのレコード会社のディレクターで、結花を大阪梅田コマに出演させると言う。しかし、結花は好きな人と一緒になれるなら、歌は諦める決心をしていた。「あなたのお嫁さんにして」という結花をのせて、一番星は自慢のトラックをスタート。




22-77. 銀座旋風児

監督 野口博志
出演 小林旭浅丘ルリ子宍戸錠渡辺美佐子青山恭二
1959年 (日活) 83分

解説
南国土佐を後にして」 の共同執筆者・川内康範の原作・脚本を 「東京警部」 の野口博志が監督した、小林旭のアクション・ドラマ。撮影も 「東京警部」 の永塚栄。

ストーリー
銀座の“旋風児”とは、二階堂卓也のことである。神出鬼没の行動のせいだろう。職業は装飾デザイナー。男らしくて、粋だそうだから、女どもが大騒ぎするという。卓也はボス王徳宝が大粒のダイヤを売りさばき、キャバレー“モナコ”の建築資金にしているのを知った。情報屋の政の報せで香港へ発った王の後を追った。香港で、王を狙撃しようとした明子という女と知り合う。彼女の父は戦時中、軍属だった王(実は堀田という日本人)中村、木原、丸山の一味にスパイだと無実の密告をされ、殺されたのだ。堀田は国民の強制献納品のダイヤを大量に奪って、外国人になりすまし銀座のボスになったという。卓也は明子を男装させ、羽田へ連れ戻った。彼は一味に対する挑戦広告を東都タイムズに載せた。モナコの奥の一室に、丸山を除く三人が集った。東タイの荒木は木原の娘久美子の婚約者だった。彼が話を聞こうとした時、木原は何者かに殺された。むろん、王一味の仕業である。彼らは更に荒木殺しを俵藤組に依頼した。が、荒木は卓也から真相を聞かされ、行方の知れぬ丸山を探しはじめた。生証人だ。卓也を好きなおでん屋お春の店の常連が、丸山だった。彼は王一味を脅迫しようとして、モナコの地下室に閉じこめられる。政の報せで、卓也はモナコへ乗りこんだが、地下道へ落しこまれた。−−モナコが開店の夜、司会者になりすましていたのは、卓也だった。明子もバンドの一員に加っていた。彼女と丸山とをつきつけられ、王一味は一網打尽とあいなった。<数億円の貴金属、国民の手にもどる>と東タイが、卓也の活躍を報じた。彼の行きつけの喫茶店へ、女どもが押しかけた。が、テーブルに紙片れが一枚残っているきりだった。<風ノ如クマタカエリ来ム>それにはこう書いてあったという。




22-78. 沓掛時次郎 遊侠一匹

監督 加藤泰
出演 萬屋錦之介池内淳子中村錦之助弓恵子高松錦之助
1966年 (東映) 90分

解説
長谷川伸の原作を、 「宮本武蔵 巌流島の決斗」 の鈴木尚之と掛札昌裕が共同で脚色、 「明治侠客伝 三代目襲名」 の加藤泰が監督した股旅もの。撮影は 「花と竜 洞海湾の決闘」 の古谷伸。

ストーリー
街道を行く渡世人沓掛時次郎。助ッ人稼業の時次郎に身延の朝吉は説得されながらも、時次郎を兄のように慕っていた。佐原の勘蔵一家に助ッ人として迎えられた二人だが、時次郎は喧嘩の当日、勘蔵の娘お葉から草鞋銭をうけとると、朝吉を連れて勘蔵一家を後にした。助っ人稼業のむなしさを知りつくしている時次郎の行動に、納得のゆかぬ朝吉は、単身牛堀一家に乗り込み殺された。時次郎の怒りは爆発した。牛堀一家を叩っ斬った時次郎は、鴻巣一家にわらじをぬぎ、助っ人を頼まれた。相手は落ち目の中ノ川一家を守り抜く代貸の六ツ田の三蔵であった。勝運は時次郎にあった。三蔵は死にぎわ時次郎に女房おきぬと太郎吉の二人を、伯父のもとに届けてくれるよう頼んで息をひきとった。時次郎はおきぬに自分が三蔵を殺したことを打明け三人の苦難の道中が始まった。おきぬも憎みながらもいつか時次郎のやさしさにひかれ、時次郎も秘かに愛の炎を燃やした。だがそのうち、おきぬは過労から労咳で倒れた。時次郎は、金をつくるため馴れぬ仕事に精を出した。やがて病も癒えおきぬ母子が沓掛の叔父のもとへ旅立つ日が来た。だが旅立ちの日、親子の姿はどこへともなく消えていた。そして一年が過ぎた。時次郎ははからずも高崎宿でかど付けをする母子に再会した。複雑な気持のおきぬは、雪の上に倒れた。木賃宿におきぬを置き、時次郎は薬代をかせぐため、土地の八丁徳一家と聖天一家の喧嘩を聞き助っ人を買って出た。医者に行くといつわって出る時次郎を送るおきぬには、死相がただよっていた。時次郎の働きで八丁徳一家は勝利を治めた。金を手におきぬのもとへかけつけた時次郎は、おきぬの美しい死顔に息をのんだ。残された太郎吉をつれ、時次郎は故郷の沓掛へ向った。




22-79. トラック野郎 熱風5000キロ

監督 鈴木則文
出演 菅原文太愛川欽也せんだみつお小野みゆき前川清
1979年 (東映) 106分

解説
おなじみ、一番星の桃次郎、ジョナサン、玉三郎のトリオが活躍するシリーズ九作目の今作のマドンナには、化粧品CM“燃えろ、いい女”で人気の小野みゆきがむかえられた。脚本は 「トラック野郎 一番星北へ帰る」 の掛札昌裕、同作の中島信昭、同作の鈴木則文の共同執筆、監督も同作の鈴木則文、撮影は 「喧嘩道 けんかみち」 の中島芳男がそれぞれ担当。

ストーリー
桃次郎、遠くに浅間山を見ながら疾走していると、パトカーがやってきて停車を命令。桃次郎は当て逃げの犯人と間違われたのだ。被害者である西沢夏の野性美に見とれる桃次郎だが、当て逃げなんて、まったく覚えがない。結局、桃次郎が腹痛のとき頼んだ代走屋の仕業と分った。一方、玉三郎は、塩尻近くのドライブイン藤村食堂で、そこの娘恵子のハートを射止め婿養子になるといって働いていた。善光寺にやって来た桃次郎とジョナサン、そこで、娘の陽子が迷子になったと捜し廻る仲間のトラック野郎小林(通称・安曇野)と出会う。三人は陽子を見つけてホッとする。ジョナサンは、子供部屋の増築費を稼がなければならず、安曇野のすすめで、木曽運送の材木輸送に切りかえる。数日後、藤村食堂で寝ころんでいた桃次郎に、ジョナサンが大怪我との知らせが入り、玉三郎と共に、取るものも取りあえず木曽へ向かった。哀れな姿で寝ているジョナサンに代って桃次郎が仕事を引き継いだ。木曽運送のトップドライバー、ノサップと二人で山の中を往復する。ところが、木曽運送の娘があの夏だった。桃次郎の腕を見込んでずっと働いてくれという夏に、女に使われるのはまっぴらと断るが、どぶろくの呑みくらべで決着をつけようということになり、桃次郎は負けてしまう。翌日、夏とノサップが牛の乳絞りをしていると、桃次郎、何を勘違いしたのかノサップに飛びかかっていき、格闘となり、壮絶な戦いは勝負がつかず、最後は、どちらともなく笑いあう二人。その頃、安曇野が材木の下敷きになって死んでしまった。桃次郎はひとりぼっちの陽子を母はる恵の元へ届けるが、彼女は陽子を引き取ろうとしない。桃次郎は陽子を連れて木曽へ戻った。怪我の直ったジョナサンは川崎の家に帰ると、ベニア板の粗末なものだが、子供部屋が増築されており、大感激。玉三郎は、食堂の売り上げアップのために、安物のインベーダーを仕入れ、故障の続出で食堂をお払い箱となってしまった。夏はノサップの持っていた子供時代の写真から、彼が、幼ない頃、北海道の開拓村にいた時の命の恩人、黒田勝也と知る。勝也は、木曽運送の社長、重蔵が大企業と手を組んで、開拓村の人人を貧乏に追いやった張本人ということで、怨み続けていた。夏は両親に死なれ施設にいる自分を引き取ってくれた重蔵がそんな悪人とは思えなかった。数日後、重蔵一世一代の大仕事の山出しの日、桃次郎が先頭を走っていると、勝也がダイナマイトを仕掛けて待っていた。そして、重蔵の全財産は一瞬のうちに木端みじんとなってしまった。一方、ジョナサンから、故郷の石垣島に帰ろうとするはる恵が後悔していると電話が入った。桃次郎は陽子を乗せて車を飛ばした。車は出船寸前に間に合った。はる恵は陽子をしっかりと抱きしめる。桃次郎の顔は、命より大事な荷を届けた喜びに溢れていた。




22-80. 座頭市(2003)

監督 北野武
出演 北野武浅野忠信橘大五郎大家由祐子ガダルカナル・タカ
2003年 (松竹=オフィス北野) 116分

解説
時代劇史上に残る名作シリーズ 「座頭市」 を、世界的人気を誇る北野武監督が大胆にリメイク。町を牛耳る悪党を相手に大暴れする盲目のヒーローの姿を描いた痛快アクションだ。

ストーリー
ある宿場町に現れた、金髪頭に朱塗りの杖を持った盲目の按摩・座頭の市(ビートたけし)。居合の達人でもある彼は、そこで知り合った博打好きの新吉(ガダルカナル・タカ)やその叔母で野菜売りのおうめ(大楠道代)から、町民を苦しめるヤクザ・銀蔵(岸部一徳)一家の悪行の数々を聞かされる。更に、流しの芸者に身をやつし、両親の命と財産を奪った“くちなわの親分”を探す旅を続ける姉弟・おきぬとおせいの仇が銀蔵たちであると知った市は、彼らの為に一肌脱ぐことを決意。銀蔵とともに暴利を貪る扇屋、そして病身の妻の薬代を稼ぐ為に用心棒として雇われた浪人・服部源之助(浅野忠信)と戦い、一家を壊滅させる。こうして、平和が戻ったかに見えた宿場町。だが、市はくちなわの親分が飲み屋の雇われ爺さんを装っていたことを、見抜いていたのである。町民が祭りで盛り上がる中、飲み屋に押し入った市は、実は市が盲目ではないことを見破っていたくちなわの親分(柄本明)の目を斬ると、「一生盲で暮らせ」と言い残し、町を後にするのだった。




22-81. エレキの若大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三有島一郎中真千子飯田蝶子田中邦衛
1965年 (東宝) 94分

解説
「馬鹿と鋏」 の田波靖男がシナリオを執筆、 「恐怖の時間」 の岩内克己が監督した“若大将”シリーズ第六作目。撮影は 「血と砂」 の西垣六郎。

ストーリー
京南大学対西北大学のアメリカン・フットボール対抗試合は、若大将田沼雄一の奮闘もむなしく、青大将石山の作戦無視のために京南大学が敗れた。やがて卒業期となり、後任の主将に雄一が選ばれた。部員を売収して、なんとか主将の地位を得ようとしていた石山は、部員を相手に大荒れしたが、中にわってはいった雄一のとりなしでおさまり、仲直りのパーティが開かれた。その帰途、石山の運転する車が、ライトバンと衝突し、ライトバンに乗っていた若い女澄子は気絶してしまった。石山は一緒に乗っていた雄一を拝みたおし身代りをたのみ、雄一は事故を示談にして解決した。しかし車の修理代を父親に断られた石山は大弱り。仕方なく雄一の発案でテレビのエレキ合戦に出て賞金を稼ごうということになった。ところが、いざ本番となってエレキのメンバーが一人足りず、近所のソバ屋の出前持ちでエレキ狂の隆を誘って仲間入りをさせた。雄一と隆のギターは冴え、不良バンド赤田の脅迫にもめげず、見事優勝した。ところが、その夜赤田を応援に来ていた令嬢路子や澄子らとともにクラブに行った雄一は、うさ晴らしにきた赤田とふとしたことがら喧嘩し大乱闘となり、警察沙汰になって一カ月の停学処分になってしまった。おまけに赤田は雄一の家業のすきやき屋「田能久」が融資をたのんだ銀行の頭取りの息子で、融資は差しどめになってしまった。怒った雄一の父久太郎は雄一に勘当をいいわたした。一方、隆はエレキ合戦の審査員をしていたプロモーター石原和子に認められ、雄一とともに日光へ演奏旅行へ出かけた。そんな時、澄子は石山をだまして交通事故の真相を聞き、誤解をあやまろうと、日光へ向った。ところが、石山をだましたことをとがめられた澄子は、ふてくされて東京へ帰った。が、そのころ東京では「田能久」が営業不能になり、家族はマンションに引っこしていた。帰ってこれを知った雄一は、隆の協力を得てエレキバンドを再編成して「田能久」再建の資金を稼いだ。この雄一の努力で見事「田能久」は再建された。再建祝賀パーティの夜今は仲直りした石山と雄一の顔は底抜けに明るかった。




22-82. 歌う若大将

監督 田口豪孝
出演 加山雄三志摩夕起夫
1966年 (東宝) 71分

解説
加山雄三の日劇におけるワンマンショー 「加山雄三ショー」 を中心にして構成された映画。内容は○開幕を待つ日劇○南の島タヒチに遊ぶ若大将○若大将シリーズ名場面−− 「大学の若大将」 「銀座の若大将」 「日本一の若大将」 「海の若大将」 から抜粋。○加山雄三のヒット曲(君といつまでも)(お嫁においで)(夕陽は赤く)など。○自宅における加山雄三。という“歌う若大将”加山雄三の魅力集。

ストーリー





22-83. 丹下左膳 百万両の壺

監督 津田豊滋
出演 豊川悦司和久井映見野村宏伸麻生久美子武井証
2004年 (エデン) 119分

解説
ユーモアと痛快さを兼ね備えた名匠、山中貞雄監督のヒーロー時代劇を38年ぶりにリメイク。情にもろい片目片腕の剣豪・左膳を、豊川悦司がクールに好演。

ストーリー
江戸、徳川吉宗の時代。主君の密命を受けた丹下左膳(豊川悦司)は、ある名刀を盗みに入るが失敗。さらに主君に裏切られ、右目と右腕を失ってしまう。それから数年後、左膳は、窮地を救ってくれたお藤(和久井映見)の伴侶となり、彼女の営む射的場の用心棒として暮らしていた。一方、こちらは柳生の里。当藩藩主は、以前、実弟・源三郎(野村宏伸)の結婚祝に贈った“こけ猿の壺”に、莫大な隠し軍資金の場所が隠されていると知り大慌て。しかも、源三郎の妻、萩乃(麻生久美子)は、壺を廃品回収屋に売ったと言う。こうして壺の秘密を知った源三郎は、その日から壺を探して江戸をウロウロさまようことに。その頃左膳とお藤は、ある事情から親をなくした5歳の少年・ちょび安(武井証)を預かることに。最初は快く思っていなかったが、次第に本当の親子以上の情が芽生えてくる。しかし、何故かちょび安が“こけ猿の壺”を持っていたことから、事態は思いもよらない方向に転がってゆく。




22-84. 極道の妻たち 三代目姐

監督 降旗康男
出演 三田佳子かたせ梨乃坂上忍田中隆三小西博之
1989年 (東映) 119分

解説
極道とその妻たちとの愛や権力争いを描く。 「極道の妻たち」 シリーズの第3弾。家田荘子の同名ノンフィクションの映画化で、脚本は 「死線を越えて 賀川豊彦物語」 の高田宏治が執筆。監督は 「将軍家光の乱心 激突」 の降旗康男、撮影は 「姐御(1988)」 の木村大作がそれぞれ担当。

ストーリー
関西のヤクザ、坂西組の三代目組長・坂西武雄が倒れて入院、妻の葉月が一万五千人余の組員を抱えて切り盛りしていた。組長代行の舎弟頭・寺田は組の企業化を進めて四代目を狙っている。そんな時、坂西のためなら命もいとわない子飼いの若頭補佐・赤松が出所してきた。赤松には権力志向はないが、一部の幹部に推す者がおり、三代目の死をきっかけに主導権争いが起こった。また、赤松をめぐって葉月とクラブ“ローズタトウ”のママ、野方操は激しく女の情念の火花を散らす。赤松は瀬戸にある坂西の生家に葉月を訪ね、寺田が入れ札で四代目組長に決まったことを報告した。葉月は赤松に3億円を渡し「寺田との戦争に勝て!」と言い放つ。赤松は寺田の知恵袋・木曽を射殺して宣戦布告、アリバイ工作のために清美という女を利用するが、健気に生きる姿に惚れていった。寺田は赤松を破門するが、葉月から三代目の遺書があることを聞かされ、焦りから赤松と清美を射殺した。しかし、遺書には寺田を四代目組長に、赤松を組長補佐に指名していた。葉月はその遺書を破り、坂西組を自らの肩に負うことを決心したのだった。




j22-85. 釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!

監督 朝原雄三
出演 西田敏行三國連太郎高島礼子三宅裕司浅田美代子
2003年 (松竹) 116分

解説
西田敏行&三國連太郎扮するハマちゃん&スーさんの釣りバカコンビの活躍を描く人気コメディ・シリーズの最新作。今回は高島礼子をゲストに迎え、四国・高知県で大騒動を巻き起こす。

ストーリー
佐々木課長の次長昇進に伴い営業三課に着任した上海帰りのやり手課長・岩田は、問題社員・ハマちゃんを再教育しようと意気込むも、以前みち子さんに片思いしていたことがバレて立つ瀬無し。あえなくハマちゃんのペースに飲み込まれてしまう。一方、お疲れ気味のスーさんはリフレッシュ休暇を利用して念願の四国八十八箇所巡礼の旅に出発していた。岩田の許しで休暇をゲットしたハマちゃんもその後を追うが、勿論、彼の目的は釣り。四万十川の鮎に足摺岬の石鯛と、仏の道を求めるスーさんと別れ、魚の道を極めるのであった。巡礼の旅も終盤、ハマちゃんとスーさんは柏島の民宿でそこの娘でバツイチのみさきと知り合う。女手ひとつで息子を育てるトラック運転手の彼女は“土佐のハチキン”と称されるほどの気丈な性格。しかし、心を閉ざす息子・良介にはほとほと手を焼いていた。そんな母子を釣りに誘い出したハマちゃん。やがて良介の心は解れ、久しぶりに息子の笑顔を見ることの出来たみさきはハマちゃんの優しさに感謝する。それから数日後、仕事で上京したみさきが鈴木建設を訪れた。しかし、あいにくハマちゃんは出張中。代わって岩田が東京案内を買って出るのだが、みさきの美しさに一目惚れした彼は、彼女を追って高知へ。決死のプロポーズの結果、ふたりは結婚することとなる。






22-86. いい湯だな 全員集合!!

監督 渡辺祐介
出演 いかりや長介荒井注高木ブー仲本工事加藤茶
1969年 (松竹) 89分

解説
「猛烈社員 スリゴマ忍法」 の森崎東と 「日本ゲリラ時代」 の渡辺祐介が脚本を共同執筆し、渡辺がメガホンをとったシリーズ第三作。撮影は荒野諒一が担当した。

ストーリー
ある日、ある銀行に五人組の強盗が押入り数億円が奪われた。賊は隣りのサウナ風呂から侵入したという。当局は、サウナ嬢たちの証言から、長吉、忠治、風太、工介、ヒデオの五人組逮捕に踏みきった。だが、身に覚えのない五人こそいい迷惑、釈放されたものの世間の風は冷たかった。そこで五人は、人生を太く短かく生きようと協議、ハードボイルド学の特訓を始めた。この噂は北海道にまで流れ、五人はホテルの女主人お玉に雇われた。その頃、お玉は高校生芸者を売りものにしたことから物議をかもし、町は真二つに割れて対立していた。さて喧噪の温泉町に乗込んだ五人は早速、反対派をつぶしにかかった。ところがお玉の養女美代に心を奪われ、逆に数億の財産を持つお玉を殺し、美代をわがものにしようと計画する始末。反対派に内密で和解に来た、千枚通しの鉄を抱えこみ、お玉の暗殺決行の日を待った。そして当日お玉が、強電流の仕掛けられた電機アンマ機に座り、計画は秒読みの段階に入った。が、ちょうどその時、お玉が警察に呼び出され、折角の計画も水の泡。一方そうとはしらない五人組は、鉄からお玉が数億円の借金を背負っていると聞かされ失望。かくなるうえはと警察に自首して出た。ところが、そこで殺したものと信じていたお玉と出会いびっくり仰天。お玉は、逮捕された銀行強盗五人組の母親として、呼び寄せられていたのだった。





j22-87. 続社長学ABC

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ東野英治郎小林桂樹司葉子
1970年 (東宝) 91分

解説
前作 「社長学ABC」 のコンビ笠原良三と松林宗恵が脚本、監督を担当したシリーズ第三十三作。撮影も 「社長学ABC」 の長谷川清が担当。

ストーリー
大日食品KKの新社長丹波久はヤング・パワーの起用を策し、網野前社長の秘書井関を営業本部課長心得に、成績優秀な新入社員三浦、花井両名を直属の部下として配した。、ところが、取引先の汪滄海の姪、梨花が東京の駐在員として、机を並べてからというもの、彼女をめぐっての恋の珍作戦が展開した。その上、井関は梨花の歓迎パーティを開いたことから、恋人の未知子から梨花との間を疑われる始末。一方、親会社の郷司大社長のひと言で大社長の椅子のおあずけをくい、丹波の隣で会長を務める参太郎だが、仕事がなくて、毎日が退屈の連続。そこへ、郷司大社長から広島・福山の珍味海産物の「阿藻珍味KK」と提携協力して、海外輸出の促進を計れという耳よりな話が持ち込まれた。女房厚子の浮気の封じ込め作戦を巧みにかわして参太郎は福山に向ったがどうも様子がおかしかった。仙酔島には東京にいるはずの梨花がいたり、目ざす阿藻珍味の会長は不在、社長の阿藻次郎も宴会が終ると姿を消していたり、不思議なハプニングの連続。しかし、丹波はそんなことには無頓着で、美人の芸者とイチャイチャ。すっかりあてられた参太郎に井関が、どうやら汪滄海が阿藻珍味と内密に話を進めていると報告。帰京後、参太郎は巻き返し作戦に出た。その特命をうけた井関は汪滄海と直接交渉し、彼に手を引いてもらうことに成功した。さらに梨花にはフィアンセがあることを聞かされ、愕然とするが、しかしこれで未知子とも万事うまくいはずであった。





22-97. 社長洋行記

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子加東大介西条康彦
1962年 (東宝) 89分

解説
「続サラリーマン清水港」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを 「銀座の若大将」 の杉江敏男が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの完倉泰一。

ストーリー
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジアで敵会社椿パスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と本田社長は原因究明にのりだした。営業部長の話では、国外販売は加藤清商事にまかせきりだという。それなら加藤社長に直接談判と、本田はマダム悦子のいる香港亭へ彼を招待した。だが相手は、たかがアンマ膏と頭から相手にしない。業を煮やした本田は、自らの手で国外に売り出そうと決心した。随行員は南と中山。初めての洋行に有頂天の中山は、あやしい英語で人をケムにまき、はてはお手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに本田社長ももてあましたが、そんな時、東海林の愛人あぐりの義兄が、香港で商事会社にいることがわかり、中山のかわりに彼を随行員にした。送別会の当日、そのことを知った中山はションボリうなだれ、一同もホロリとする始末。いよいよ香港出発となり、ジェット機にのり込んだ本田たちは、香港亭の悦子にばったり会った。彼女も香港支店へ行くところだ。香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道をまよった本田は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。その夜、三人は同じ女性とも知らずめぐり会った香港美人の話でもちっきり。ところが夜中に本田社長は蛇の食べ過ぎでのたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去るのだった。




22-89. 南太平洋の若大将

監督 古澤憲吾
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子中真千子星由里子
1967年 (東宝) 106分

解説
「クレージー黄金作戦」 の田波靖男がシナリオを執筆し、 「クレージー大作戦」 の古沢憲吾が監督した“若大将”シリーズ第十作目。撮影はコンビの永井仙吉。

ストーリー
水産大学の学生雄一は、級友の青大将こと石山や江口と共に、練習船で遠洋航海の最後の港ハワイに来た。雄一たちはハワイの日本料理店「京屋」で食事をしたが、そこでチンピラに絡まれているスチュワデス澄子を助けた。雄一は、彼女と親しくなり、再会を約して別れた。練習航海を終って大学に戻った雄一たちは、大学最後の年を迎え、雄一は柔道部の、石山はレスリング部の新入部員を勧誘するのに大わらわだった。人気のあるレスリング部に比べて、新入生が一人も現われない柔道部の有様を見た雄一は、女子学生を入部させることで男子学生の勧誘に成功した。そんなある日、澄子が大学を訪れ、雄一と再会したのだが、彼女に熱を上げる石山は、澄子と二人きりになろうと、しつこくつきまとった。雄一が家に帰ってみると、「京屋」の有田一家が日本に来ると知らせがあった。やがて、有田一家が娘の美奈子を連れてやってきたが、雄一の家がすきやき屋「田能久」であると知ると、「京屋」に支店を出せばハワイの日本人が喜ぶだろうともちかけてきた。一方、四年生になった江口は就職口を探すのに懸命だったが、石山は父親の会社に専務として入りこむことが決っているので、澄子の飛行機が日本に来るたびに彼女の後を追い回していた。ある日雄一は、父久太郎の代りとしてすきやきの指導に、再びハワイへ行くことになった。その前夜澄子と二人きりで会った雄一は、自分の未来を語り、二人は急速に親しみの度を増していった。「京屋」で始めた「田能久」のすきやきは好評だった。雄一は美奈子とハワイ見物を楽しんだが、澄子を追ってきた石山も同道していた。石山のしつこさにたまらず澄子はタヒチの地上勤務になったと石山に嘘の手紙を書いたが、驚いた石山と雄一は美奈子と共にタヒチに向った。勿論、澄子はいず、そこの海で溺れそうになった美奈子を助けた雄一は、軽い潜水病になった。病院でうなされる雄一はしきりに澄子の名を言いつづけた。雄一を愛しはじめていた美奈子はそれを知ると、自分の恋を諦らめるのだった。日本に帰った雄一には日本柔道選手権試合が待っていた。一方、澄子は雄一が美奈子を愛していると誤解して雄一から離れていったが、ハワイで美奈子と会い、雄一が自分を愛していることを知った。選手権試合の日、決勝に進んだ雄一はオランダからの留学生ヘイスティングと対し、その巨体を武器にした寝業に苦戦していた。しかし、試合場に駆けつけた澄子の声援に奮起した雄一は、ヘイスティングを破って見事優勝したのだった。夏の一日、雄一が澄子をヨットに乗せて帆走してはやぶさいる姿が見られた。




22-90. ゴー!ゴー!若大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三飯田蝶子有島一郎中真千子星由里子
1967年 (東宝) 94分

解説
「クレージーの怪盗ジバコ」 の田波靖男がシナリオを執筆し、 「レッツゴー!若大将」 の岩内克己が監督した“若大将”シリーズ第十一作目。撮影は 「佐々木小次郎(1967)」 の斎藤孝雄。

ストーリー
京南大学陸上競技部のホープ雄一は、町内会の夜まわりにかり出され、その晩起こった小さな事件からガソリンスタンドに勤める澄子を知った。彼女の可れんさに雄一はすっかり心を奪われてしまった。澄子の方も、大学祭で歌い踊る雄一に、次第に惹かれていった。ある日、自動車部の江口が全日本学生ラリーに出場するはずの石山の事故の代りとして、雄一に出場を頼んできた。雄一は早速スタート地点である京都に向った。そんな雄一を祇園の芸者京奴が、何かと世話をやき、応援に来ていた澄子の嫉妬心をかきたてるのだった。間もなく、ラリーが始まった。澄子たちの声援を背に、雄一はスタートし、快調に車を進めたが、途中、雄一の車はダンプの悪質な妨害を受けてしまった。そのため、雄一は五位に終ってしまった。東京に帰った雄一は、京奴との誤解をとくため澄子を招待したが、雄一の父久太郎は、ちょうど家に訪ねてきた京奴を雄一の恋人と勘違いしてしまい、大袈裟に歓待し澄子を玄関払いするという、失敗をやってしまった。正月の琵琶湖一周駅伝をひかえた雄一はすっかりヤケを起してしまった。一方、雄一との恋に破れた澄子は、親切にしてくれる石山との結婚を考えてはみるが、雄一が忘れられず、京奴を訪ねて、真相を尋ねてみた。京奴は澄子に、雄一が愛しているのは澄子だと言い、澄子を励ましてくれた。澄子は、ちょうど駅伝に出場している雄一のもとに駆けつけた。雄一はライバルの西北大に大差をつけられ、苦戦しているところだった。そこへ、誤解をといた澄子が、晴ればれとした声で雄一に声援を送った。勇躍した雄一はたちまち、ライバルとの差をつめ、ゴール寸前のデッド・ヒートで、ついに西北大を破ってゴールにとび込んでいった。




22-91. 柳生武芸帳 剣豪乱れ雲

監督 内出好吉
出演 近衛十四郎松方弘樹島田兵庫北竜二徳大寺伸
1963年 (東映) 106分

解説
前作 「柳生武芸帳 片目水月の剣」 に続く“柳生十兵衛シリーズ”の七本目。五味康祐原作“柳生武芸帳”から 「伊賀の影丸」 の高田宏治が脚色、 「てなもんや三度笠」 の内出好吉が監督した剣豪もの。撮影は 「八州遊侠伝 男の盃」 の三木滋人。

ストーリー
三代将軍家光の治世。京の朝廷で俊秀の名も高い青年公卿飛鳥井時光は、幕府創設期の三十三年前、反徳川の公卿らが行方不明になった事実を知るや、家康が指令したに違いないこの暗殺事件を明るみに出し、幕府の弱味を押えようと考えた。そしてこの暗殺者−−柳生一門の四人の剣客の名は“柳生武芸帳”なるものに記してありそれはその四人・柳生石舟斎、柳生新次郎、佐々木左内ともう一人“寒夜に霜を聞く太刀”を使う謎の剣客のうちの誰かに伝わっているはずであった。時光はこの証拠の武芸帳を、柳生打倒を叫ぶ疋田陰流の使い手山田浮月斎の協力で手に入れようとする。他方、柳生家の危機をさとった独眼の剣豪柳生十兵衛も一門の但馬守、青年剣士兵庫ともに必死の働きを示す。左門の娘登世、一葉浮水の構えの使い手登世が住む伊勢の佐々木家や尾州の柳生家で、柳生一統と山田浮月斎の一味は激突するが、発見された武芸帳は、乱世の最中、急変した飛鳥井時光の手に入る。時光を追う十兵衛は、そこへ現れた浮月斎と対決、“寒夜に霜を聞く太刀”の謎の男と知り驚く一瞬、太刀をはね折られ、時光をとりにがしてしまった。勅使として江戸に着いた時光は、武芸帳を将軍家光につきつけ、幕府の朝廷優遇を確約させた。勅使歓迎の御前試合で、登世、兵庫らも活躍するが、十兵衛対浮月斎の試合は吹上御苑の木立ちの奥で真剣勝負となり、ついに十兵衛の“無刀取り”が、浮月斎の“寒夜に霜を聞く太刀”を破ったのだった。




22-92. プロゴルファー織部金次郎2 パーでいいんだ

監督 武田鉄矢
出演 武田鉄矢財前直見阿部寛柴俊夫小倉久寛
1994年 (東映アストロ) 101分

解説
腰を痛めてスランプに落ちるプロゴルファーが、シニア・ゴルファーを指導していくうち覇気を取り戻していく姿を、彼を見守る仲間たちの姿を交えて描く人情ドラマ。武田鉄矢原作による同名漫画(高井研一郎・作画、小学館・刊)の映画化第2作で、武田の初監督、及び脚本、主演作。撮影は矢田行男が担当。

ストーリー
スナック″バーディ″の店長・周と妹・桜子ら下町の仲間たちに応援されて関東ブロック予選にチャレンジするプロ・ゴルファー、織金こと織部金次郎だったが、長年の苦労と無理がたたってついに腰を痛めてしまう。桜子らの助けもかえって逆効果になって落ち込む織金。だがそんな彼に下に40年来優勝したことのないシニア・ゴルファー勝又勝成が指導を申し込んでくる。その熱意にほだされ、松葉杖をつきながらも勝又を連れ自分の故郷・種子島へ。一時は廃業しようと思っていた織金も、彼を追って来た仲間たちの応援も手伝いまたトーナメントに臨む決心をする。そして今までで最高の順位を得た織金は、続いて勝又のシニアトーナメントへ向かい、彼のキャディとなる。そのかいあって、勝又は見事な最後の池越えを成し遂げるのだった。



22-93. リオの若大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子中真千子田中邦衛
1968年 (東宝) 104分

解説
ゴー!ゴー!若大将」 のトリオの田波靖男が脚本、岩内克己が監督、斎藤孝雄が、撮影をそれぞれ担当した。昭和三六年 「大学の若大将」 でスタートしたシリーズの最終作。

ストーリー
京南大学の若大将田沼雄一は、恩師平山博士の助手としてリオ・デ・ジャネイロの造船所に招待され、ご機嫌な毎日を送っていた。その上リオ滞在最後の晩、技師長谷村に案内された日本料理店で押田澄子に出会った。澄子は東京極東観光の営業部員で、在留邦人に日本旅行のPRに来ていた。そして接待中の客が急病で倒れた時、それを救ってくれた雄一に好意をもつようになった。東京に帰った雄一は、谷村の娘江美子に谷村から預った手紙を届けた。江美子は清明女子大に在学中で、大学バンド合戦を前に闘志を燃やしていた。二人は負けた方が食事をおごる約束をした。だが、雄一のバンドは青大将の演奏ミスで江美子のバンドに敗退。声援にかけつけた澄子を前に、江美子と約束のデートに出かけなければならなかった。夏休み、雄一は平山教授の代理で再びリオに行くことになった。ところが機内で、父親のもとに帰る江美子とバッタリ。雄一に気のある江美子は、豪華な観光旅行に招待した。コパカバーナの浜辺にやって来た二人は、そこでランチャーズの面々に出会ってビックリ仰天。青大将が演奏旅行と称し、連中を連れてきていたからだった。無一文のランチャーズ。雄一はリオのクラブでアルバイトをはじめた。そこで澄子と再会したか、ハレンチな青大将の横やりが入って、二人のデートもむちゃくちゃ。心と心は結ばれながら、雄一には江美子、澄子には現地の有力者宇野の孫一郎と別のカップルが出来上ってしまった。ある日、雄一に造船会社から就職試験の合格通知が届いた。「田能久」の跡とりが店をつがないと父親の久太郎は烈火のごとく怒ったが、おばあちゃんが雄一の肩をもちその場はおさまった。雄一の学生生活最後の試合のフェンシング大会が近づいてきた。雄一は邪念をはらうため豪海和尚の寺にこもり修業、見事優勝の栄誉に輝いた。やがて卒業式がやってきた。そこには、田能久の婿養子を決意した江口、それに澄子から愛をうちあけられた雄一の。晴れやかな顔があった。




22-94. フレッシュマン若大将

監督 福田純
出演 加山雄三飯田蝶子有島一郎中真千子江原達怡
1969年 (東宝) 89分

解説
「空想天国」 の田波靖男がシナリオを執筆し、 「100発100中 黄金の眼」 の福田純が監督した若大将シリーズ第十三作。撮影は 「街に泉があった」 の逢沢譲が担当した。

ストーリー
田沼雄一は、老人を連れた高木節子にタクシーを譲ったために、日本自動車の就職試験に間にあわなかった。受験を拒否された雄一に話しかけたのは、社長の猪股だった。そこで雄一は、理由も聞かず追いたてた試験官の態度を非難した。それから間もなく、雄一は彼が社長と知ったが後の祭だった。が、猪股は、率直な雄一に好感を持ち、彼を採用した。一方、田沼家では婿養子の江口が、“田能久”の暖簾を継ぎ、祖母のリキは大張切りだった。お蔭で、すっかり影のうすれた久太郎は、うっぷん晴らしにスナック通いに明け暮れるのだった。さて、雄一が配属されたのはサービス課。早速、取引先東西オートの副社長就任祝いに出かけた。ところが、その副社長が落第生の石山だったのには驚いた。それから雄一は、日曜毎に自動車の修理工場に通いはじめた。それは整備士の免許をとることと節子に会える楽しみからだった。石山が節子に求婚したのは、そんな折りだった。それからの雄一は、何をやってもヘマばかり、心の動揺はぬぐえなかった。そんなある日、東北オートの得意先、北斗観光の竹内社長が上京した。雄一は、石山と空港に出向いたものの、石山は途中で出会った節子と雲隠れしてしまった。その結果は、さんざんだった。顔を知らない雄一は、お得意先を商売仇にさらわれ途方に暮れてしまった。そこへ、石山が竹内を連れて戻って商取引きは万事順調に運んだ。それから数日、竹内から取引き停止の知らせが東西オートに届いた。日東製の車が、車輌不良による事故を起したというのだ。これに驚いた日東自動車は雄一を、東西車輌は石山を派遣し、不良車の調査に当らせた。事故は、商売仇の陰謀によるものだった。意気揚々と羽田に降り立つ二人。そこで節子は、石山の求婚を断り、雄一と肩を並べて去って行った。




22-95. やくざ戦争 日本の首領

監督 中島貞夫
出演 鶴田浩二成田三樹夫松方弘樹菅原文太千葉真一
1977年 (東映) 132分

解説
全国制覇を目指す暴力団・中島組。政界・財界・右翼の大物とコネをつけ、組織強化を計る半面、二人の娘に手を焼く父親でもある組織の首領を描く。脚本は 「沖縄やくざ戦争」 の高田宏治、監督も同作の中島貞夫、撮影は 「夜明けの旗 松本治一郎伝」 の増田敏雄がそれぞれ担当。

ストーリー
西日本最大の組織を誇る中島組。その事務所に、新興企業グループの専務・島原が訪れたのは、昭和四十一年秋のことであった。首領である、佐倉に、社長のスキャンダル問題の解決を依頼。その代償として、西日本優良企業による、半永久的な献金組織を申し出たのであった。企業と暴力組織の相互依存。しかし、中島組の若頭・辰巳は、あくまでも暴力による全国制覇の夢を抱きつづけているのであった。そして、この資金を基に、いつか佐倉を日本の首領にしてみせると。一方、佐倉にとっての泣き所は、そのファミリーであった。姉娘・登志子は青年医師・一宮恭夫との恋に父親の存在が障害であることを口にし、妹娘・真樹子は先天的な淫乱癖から青春の軌道をしばしば外していた。佐倉は、姉娘を島原の養女として、一宮との結婚にこぎつけた。結婚式には党人派の小野伴水、右翼の大物の大山規久夫も顔を出した、盛大な結婚式であった。だが、その裏側では、中島組の武力進攻はつづいていた。西から東へ、辰巳の意図を受けた暴力部隊は日本地図を血でそめた。辰巳の若者から、佐倉の若衆にとりたてられた松枝の胸に、ファミリーと組織の両方に生きる佐倉の像が、いつか不気味なものに映り出していた。進攻の行きつくところ、それはいつか東京の組織との決定的な対立になることは、明白であった。大山の政治結社の申し出を、やくざであることを自認する佐倉が拒絶したことで、いつか事態は決定的となっていた。どこまでも武力に頼る辰巳の限界、妹娘の麻薬事件、そして組織暴力壊滅へとのびてくる警察権力。中島組傘下の各組は、追いつめられつぎつぎと解散声明を発表した。そして、今まで決して後退したことのない辰巳までも持病の悪化と下部からの突き上げに、佐倉を救い得る唯一の道は、解散しかないと覚悟した。辰巳が佐倉の許しを得ずして、自分の解散声明を松枝に手配させた。今はファミリーの一員となった一宮がそれを知った時、彼は辰巳に多量すぎるモルヒネを注射した。その夜、辰巳は息を引きとった。




j22-96. DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?

監督 高橋栄樹
出演 AKB48
2014年 (東宝映像事業部) 120分

解説
国民的人気を誇るアイドルグループ、AKB48の2013年と2014年6月に行われた37thシングル選抜総選挙までの活動に迫ったドキュメンタリー。2013年12月31日の紅白歌合戦で突如発表された大島優子の卒業、荒天のため中止となった国立競技場での卒業セレモニー公演の舞台裏など、激動の1年半の活動を、インタビューを交えて描き出す。

ストーリー
2013年12月31日、大島優子がAKB48から卒業することを発表。秀でた表現力とサービス精神でAKB48の看板を担い引っ張り続けてきた大島の卒業に、後輩たちはどのような思いを持っているのだろうか。各チームのメンバーを組み直した大組閣、シングルの選抜メンバーやカップリングメンバーをファンからの投票で選ぶAKB48選抜総選挙の舞台裏を通し、さらに前進しようとするAKB48の姿を、カメラはつぶさに見つめる。





22-97. 社長洋行記

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子加東大介西条康彦
1962年 (東宝) 89分

解説
「続サラリーマン清水港」 の笠原良三のオリジナル・シナリオを 「銀座の若大将」 の杉江敏男が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの完倉泰一。

ストーリー
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジアで敵会社椿パスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と本田社長は原因究明にのりだした。営業部長の話では、国外販売は加藤清商事にまかせきりだという。それなら加藤社長に直接談判と、本田はマダム悦子のいる香港亭へ彼を招待した。だが相手は、たかがアンマ膏と頭から相手にしない。業を煮やした本田は、自らの手で国外に売り出そうと決心した。随行員は南と中山。初めての洋行に有頂天の中山は、あやしい英語で人をケムにまき、はてはお手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに本田社長ももてあましたが、そんな時、東海林の愛人あぐりの義兄が、香港で商事会社にいることがわかり、中山のかわりに彼を随行員にした。送別会の当日、そのことを知った中山はションボリうなだれ、一同もホロリとする始末。いよいよ香港出発となり、ジェット機にのり込んだ本田たちは、香港亭の悦子にばったり会った。彼女も香港支店へ行くところだ。香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道をまよった本田は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。その夜、三人は同じ女性とも知らずめぐり会った香港美人の話でもちっきり。ところが夜中に本田社長は蛇の食べ過ぎでのたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去るのだった。




22-98. ニュージーランドの若大将

監督 福田純
出演 加山雄三飯田蝶子有島一郎江原達怡中真千子
1969年 (東宝) 85分

解説
「クレージーの大爆発」 の田波靖男が脚本を書き、 「フレッシュマン若大将」 の福田純が監督したシリーズ第14作。撮影は宇野晋作が担当。

ストーリー
日東自動車のシドニー駐在員田沼雄一は、日本から来る代議士の観光案内が大の苦手だった。今日も、太田黒議員と秘書の案内をするはめになり、空港へ向った。すると、乗客の中から学生時代のポン友で、今は世界航空の社長となった青大将こと石山新次郎が現われた。オーストラリアとニュージーランドの観光ルート開発のために来豪したのだった。折から、雄一のところに本社から帰国命令がきて、名山と共に帰国した。帰国早々、ひょんなことからニュージーランド振興会の森川節子と知合い、彼女を自宅まで送った。本社に帰った雄一は、海外普及部の宣伝課に配属された。その夜、歓迎会が開かれ、雄一は、節子にまた偶然会い、それ以来二人はたびたびデートをする仲になった。そんな時、オーストラリアでセールスNO1となったエリザベスが、日本に招待された。その頃、ニュージーランドでの新型車発売のデモンストレーションを提案した雄一は、入れられて、準備のため早早に出発した。節子も、すぐ後から出発。オークランドの街でのパレードは成功したが、エリザベスとあまりに親しそうにしている雄一を見て節子は失恋したと思って、姿を消した。それを聞いた雄一は、あとを追った。雄大なタスマン氷河の上には、誤解のとけた雄一と節子のスキーをする楽しそうな姿があった。




22-99. 帰ってきた若大将

監督 小谷承靖
出演 加山雄三田中邦衛坂口良子アグネス・ラム有島一郎
1981年 (東宝) 99分

解説
六〇年代にスクリーンを賑した“若大将シリーズ”が加山雄三芸能生活二十周年記念作品として蘇った。現在西太平洋のある島で大統領の片腕として活躍する若大将の活躍と、青大将をはじめ昔の仲間の元気な姿を描く。脚本は 「Alice THE MOVIE 美しき絆」 の田波靖男、監督は 「愛の嵐の中で」 の小谷承靖、撮影は 「影武者」 の上田正治がそれぞれ担当。

ストーリー
西太平洋、サザンクロス諸島上空をヘリコプターで取材していたTVプロデューサー皆川純子が機内から放り出された。そこへ、セスナ機から一人の男がスカイ・ダイビング、純子を捉えパラシュートで降下。その男こそ、御存知若大将、田沼雄一。今、サザンクロス島の大統領の片腕、自治政府顧問になっている。その島は近く平和国家としてアメリカから独立しようとしていた。東京に戻った純子は取材したフィルムにクレームがつき、スポンサーである三丸商事副社長、石山新二こと青大将に抗議に出かけた。そこは青大将、純子を見るなり、クレームを撤回、デートに誘った。その晩、青大将が純子にキスしようとしたとき、そこへ若大将が通りかかった。若大将に飛びつく純子、青大将はガックリ。雄一はおばあちゃんの七回忌の法事で帰国していたのだ。法事を済ませた夜、大統領から雄一に国際電話が入り、島からアメリカに向かう使節団の目的が達成するようニューヨークで外務書記官のフローラと打ち合せをするようにとのことだった。ニューヨークへ飛ぶ雄一。一方、青大将は石油買付けのために書いた中東宛の手紙を、アメリカのメジャー系石油会社のリーガン社長に出してしまった。手紙を取り戻そうと、青大将もニューヨークへ向かう。郵便車を追う青大将は、途中で強盗に会い、身ぐるみ、車を盗まれてしまう。若大将はフローラと会ったが大統領補佐官シュナイダーと連絡がとれず、仕事は難行。そこへ青大将の捜索を頼まれた。ニューヨーク・シティマラソンの取材に来ていた純子は、ホテルで仲の良い雄一とフローラに出会い、嫉妬し、ホテルを出てヨットで暮し始めた。青大将は何とかリーガン社長の別荘に辿りつき、手紙を取り戻すが、パトカーに追われ、偶然、純子のヨットに逃げ込んだ。雄一はシュナイダーがシティマランンに参加すると聞き、セントラルパークで練習中のところを接近した。そこで雄一はマラソンに勝てば使節団の意向を大統領に伝えると、シュナイダーに約束させた。一万数千人が参加するマラソンで、雄一は見事にシュナイダーを破るのだった。




22-100. 難波金融伝 ミナミの帝王31 賠償金の行方

監督 萩庭貞明
出演 竹内力岩崎ひろみ桐谷健太天田益男ゆうき哲也
2005年 74分

解説
大阪・ミナミの高利貸し、萬田銀次郎が活躍する物語を描いた、天王寺大・郷力也原作のコミックをもとに実写映像化したシリーズ作品。民事損害賠償金をめぐって、傷つけられた者たちの苦悩を聞いた銀次郎が、のぅのうと生きる悪の輩に鉄槌を下す!!出演は竹内力、岩崎ひろみほか。

ストーリー
仕事をクビになった石橋隆一は、銀次郎に借金をして始めたラーメン屋が大繁盛店に。だが三年前に怪我を負わされ、その入院費や店の家賃などに充てるため、隆一は再び銀次郎から借金をすることに。一方、加害者の母親は、ぼったくりスナックの経営で汚い手口を使って荒稼ぎをしているのに、未だに隆一には損害賠償金を支払ってなかった。傷つけられた者達の声無き叫びを聞きつけた銀次郎が、賠償金をめぐる駆け引きに出た!





22-101. 切られ與三郎

監督 伊藤大輔
出演 市川雷蔵淡路恵子冨士眞奈美中村玉緒大和七海路
1960年 (大映) 94分

解説
「ジャン・有馬の襲撃」 の伊藤大輔が自らの脚本を監督したおなじみの時代劇。 「ぼんち」 の宮川一夫が撮影を担当した。

ストーリー
江戸の蝋燭問屋“伊豆与”は跡目をつぐ子供がいないところから与三郎を養子に迎えたが、間もなくお金と与之助の実子が生れた。このため総領養子の与三郎はみずから放蕩三昧にふけって家を飛出し、得意の三味線を抱えて中村座の舞台裏から手弁当さげての道楽勤めをしていた。病気の父の与左衛門は家督を与三郎に譲ろうと考えていたが、妻のお菅は大阪から縁つづきの山城屋文左衛門を呼んで与之助が跡目をとれるよう策動していた。すべてを知った与三郎は、お金の切ない願いをよそに一人旅に出てしまった。そして木更津へ−−与三郎は、新内の取り持つ縁で網元、源左衛門の囲い者料亭“きさらず”のお女将お富と結ばれたが、旅先から帰った源左衛門にかぎつけられた。覚悟したお富と与三郎は墓場の井戸へ身を投げた。しかし二人は源左衛門の子分に発見され、与三郎は全身三十数カ所の生キズを受けるリンチにあったうえ、簀巻にされて海へ投げ込まれたが、幸にして田舎まわりの女歌舞伎“芝村あやめ”一座の女たちに助けられ、座頭のあやめ、女役者のかつらから好意を寄せられた。それから一年−−与三郎ははからずも湯の町でかつらに出会った。彼女は一座の借金のかたに、大貸元・佐々良三八のめかけになっていた。“ここから自分をつれ出してほしい”というかつらの願いに迎えに行った与三郎は三八を殺したかつらから犯人に仕立てられ、怒りに燃えた与三郎はかつらを刺してしまい牢につながれた。その夜、牢を破った与三郎は、牢破りとして関八州のお尋ね者になるとともに三八一家の子分たちに追われながら、お金の安否を気づかって江戸に帰った。そして、“伊豆与”は与之助がついだが、すべては山城屋を後見役とするお菅の思い通りに切りまわされ、そのうえ、十七歳になったばかりのお金はお城のご用商人係、飯沼左門のもとへめかけに出されそうになっているのを知った。与三郎は、同じ安宿の蝙蝠ノ安五郎をさそって、多左衛門の別邸に乗り込んだが、意外にもそこにはお富がいた。“お富久しぶりだな……”とタンカを切る与三郎に多左衛門は小判の紙包みを差出した。与三郎はお富を使ってお金を助けようとするがだまされ、また仲間の蝙蝠安にも裏切られ、三八の子分とご用提灯の群に追われることになった。“自分さえつかまれば……”−−兇状持ちの妹として左仲との話もこわれる。こう決意した与三郎のふところにお金がとびこんで来た。“私−−お兄さまが好き”。流転の果てに生涯で初めての恋をつかんだ与三郎のあとにはご用提灯の波が追って来た。“お金、お前は俺ひとりのものだ”−−こう叫んだ与三郎はお金を抱いて海へ歩み入った。二人の顔には恍惚の微笑があった。




22-102. ブラボー!若大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三有島一郎飯田蝶子江原達怡中真千子
1970年 (東宝) 89分

解説
「日本一の断絶男」 の田波靖男が脚本を書き、 「ハーイ! ロンドン」 の岩内克己が監督したシリーズ第15作。撮影は 「華麗なる闘い」 の中井朝一が担当した。

ストーリー
三矢物産の営業部に勤務する田沼雄一は、親友の青大将こと石山丹次郎が専務をしている東西デパートと取引きのコネをつけた。そんなある日、雄一は、熊井鉄工の熊井から、住宅用鉄材の売り込みを受けた。雄一は、“住宅に関する企画案”を提出し、岩崎部長が賛成し、雄一は案の実現に猛ハッスル。ところが数日後、企画案が突然没になった。というのも、三矢物産は、熊井鉄工を無視して、裏面で大手の鉄工会社と事業提携を進めていたのだった。会社の道義に欠けるやり方に怒った雄一は、辞表を叩きつけ、単身グアムへ飛んだ。休暇で島に来た、節子、チヨコ、直江や、商用で来た石山と事業提携で同行した西岡と再会した。雄一と節子の間に恋が芽生えた。やがて帰国した雄一は、家業のすき焼き屋“田能久”の仕事に精を出したが、義弟の江口の失敗の責任を負って家を出た。ビルのガラスふきになった雄一は、偶然熊井と再会し、熊井鉄工に入社した。熊井の資金難を助けるべく、銀行家へ嫁いだ百合子に融資を頼んだ。その時、節子は、百合子の胸に雄一の贈ったブローチを発見し、雄一を責めた。一方、住宅事業が進展しない三矢物産は熊井鉄工と合弁会社をつくり、雄一は社長に就任した。休暇をとった雄一は再びグアムを訪れたが、その後を追うように、石山と節子が支店進出のため島を訪れた。誤解のとけた節子の明るい笑顔が、たくましい雄一のかたわらにあった。




j22-103. 釣りバカ日誌5

監督 栗山富夫
出演 西田敏行石田えり中本賢戸川純笹野高史
1992年 (松竹) 96分

解説
浜チャン・鈴(スー)サンのお騒がせ釣りバカコンビに、浜チャンの二世鯉太郎が加わって大騒動が起こる、シリーズ第5弾。やまさき十三原作・北見けんいち画の同名人気漫画( 「ビッグコミック・オリジナル」 連載中・小学館)の映画化で、監督は栗山富夫、脚本は山田洋次、高橋正國、関根俊夫、撮影は安田浩助が担当。

ストーリー
浜崎家の長男・鯉太郎もそろそろ満1歳、ヨチヨチ歩きを始め、みち子さんは目を離すひまもない。浜チャンこと伝助も今や釣りよりも鯉太郎というほどで、鈴(スー)サンこと鈴木一之助も困惑気味。おまけに浜チャンの母親たきが上京して来て、しばらく滞在することになった。数日後、みち子さんはたきに鯉太郎を預け、同窓会に出かけたが、たきがぎっくり腰で動けなくなり、浜チャンが鯉太郎を背負って会社へ行くはめになる。だがふとした隙に鯉太郎がいなくなってしまい、会社内は上へ下への大騒ぎ。ようやく鯉太郎は鈴サンのいる社長室で無事見つかるが、浜チャンはこの責任をとって左遷され、丹後半島でひとりすっぽん養殖場を担当することに。ひとりきりになり意気消沈する浜チャンだが、鈴サンに連れられてみち子さんと鯉太郎がやって来るとたちまち元気になり、早速鈴サンとブリ釣りに夢中になる。そしてみち子さんと鯉太郎も呼んで3人で暮らすことにする。今度は鈴サンが意気消沈するが、まさに引っ越しという日、養殖していたすっぽんが全部死んでしまったと浜チャンが戻って来た。こうしてまた浜チャンは本社に戻ることになり、釣りバカコンビは復活するのだった。





j22-104. 社長学ABC

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ東野英治郎小林桂樹司葉子
1970年 (東宝) 90分

解説
続社長えんま帖」 の笠原良三と松林宗恵のコンビが、脚本・監督を担当したシリーズ第三十二作。撮影は 「水戸黄門漫遊記(1969)」 の長谷川清が担当した。

ストーリー
大日食品社長の網野参太郎は、大日系会社の躍進をねがう大日物産の郷司社長から、大社長の椅子を与えられることになった。参太郎は、社内の動揺を考えて、後任の新社長に専務の丹波久を、総務部長の石橋を専務に、営業課長の猿渡を部長にそれぞれ昇格させた。ところが、大日物産の株主総会で、郷司の親会社社長留任が決まり参太郎は大日食品会長として丹波新社長を援助することになった。名目は会長でも実際は社長二人と同じこと社内は大混乱になった。そんな時参太郎のもとへ華僑の汪滄海が食品関係の視察を兼ねた台湾旅行の話を持ってきた。渡りに舟と、妻厚子の厳重な浮気監視の目を巧みにすりぬけ旅立った。台湾に着いた参太郎は、汪に馳走された鰻の天ぷらを気に入り大日食品で扱おうと申し出たが、考えてみると自分は会長の身、慌てて、丹波・猿渡を呼ぶ羽目になった。そんな折、参太郎は、汪に招待されてやって来たなじみの小料理屋のおかみ・庄子と再会した。その上、汪の女房の目が厳しいので、夫婦という形にしてくれと頼まれ、参太郎ますますゴキゲンになった。庄子をホテルの自室に連れ帰った参太郎は、彼女をベッドに誘ったがその時ノックの音がした。そこには、日本から着いた丹波と猿渡が立っていた。




22-105. 若大将対青大将

監督 岩内克己
出演 加山雄三大矢茂田中邦衛酒井和歌子吉沢京子
1971年 (東宝) 83分

解説
「俺の空だぜ! 若大将」 に続く“若大将シリーズ”第16作目。今回は若大将加山雄三から若大将のニックネームをバトンタッチされた大矢茂が二代目若大将として登場する。脚本は 「ひらヒラ社員夕日くん ガールハントの巻」 の田波靖男。監督は 「喜劇 ドッキリ大逃走」 の岩内克己。撮影は 「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」 の原一民がそれぞれ担当。

ストーリー
8年がかりでやっと京南大学を卒業した青大将こと石山新次郎の卒業祝いが、後輩のモータークラブ員の太田茂夫の提案で、茂夫の母春江の経営するドライブ・イン「ピット」の店内で開かれた。モータークラブ元キャプテン田沼雄一と茂夫のクラスメートの令子、悦子たちが駈けつけ、青大将も感激のあまりオイオイ泣きだした。それからほど近い、ある日、新次郎の父親の経営する石山商事株式会社の営業部に勤務する雄一のもとへ、新入社員として新次郎が配属されてきた。新次郎は出社第一日目にして、さっそく美人タイピストの節子に一目惚れ、猛アタックを開始した。しかし同僚の富士子から節子と雄一が相思相愛の仲だと知らされ、大ショックを受けた。新次郎は何とか節子を手に入れようと策略をめぐらし、たまたま、父の剛造から、英語の達者な若手を営業部からニューヨーク支店へ送るということを聞き、雄一を推薦。恋仇の転勤をまんまと成功させた。雄一は日本を留守の間、茂夫に、新次郎の手から節子を守ることを託すと、アメリカへ飛び立っていった。学期末、茂夫たちのモータークラブでは、グランプリにそなえて、鈴鹿サーキットで合宿練習をすることになった。新次郎はそのすきに節子に接近しようとするが、茂夫のために失敗する。新次郎はたびたびの邪魔に破れかぶれとなり、茂夫と恋人の圭子の仲をぶちこわしにかかった。サーキットにやってきた圭子は、新次郎から節子と茂夫の仲をほのめかされ、怒って東京に帰ってしまい、アメリカからバイヤーを案内して日本にやってきた雄一と節子の仲も新次郎にぶちこわされかかってしまう。こうしてグランプリ当日がきた。今は茂夫からことの真相を知らされた節子、そして雄一から茂夫の気持を聞いた圭子は、雄一と茂夫のいる鈴鹿サーキットヘ駆けつけた。スタートにつまづき、苦戦をしいられている茂夫を心配そうにピットで見守る雄一たち。だがレースは後半になって、圭子の姿を目にした茂夫はたちまちラスト付近から次々と他の車を追い抜いていった。遂に茂夫は先頭に立ってゴールイン。晴れてグランプリ・レースに優勝した。




22-106. 極道の妻たち 情炎

監督 橋本一
出演 高島礼子杉本彩山田純大保阪尚希前田愛
2005年 (東映ビデオ) 118分

解説
おなじみ、人気シリーズ 「極妻」 が復活! 高島礼子がド迫力の姐御ぶりを見せるのに加え、今回は杉本彩が夫に裏切られる韓国人妻に扮し、凄美のエロティシズムを放つ。

ストーリー
兵庫県西宮に本部を置く、菅沼組の若者頭、西郷組組長・西郷龍二が何者かに殺された。西郷は重病の床にある、菅沼組初代組長から目をかけられ、二代目最有力と目されていた男。最愛の夫・龍二に先立たれて3年…。今では妻の波美子(高島礼子)が西郷組の姐として、龍二の実弟・恭平(山田純大)と共に一家を切り盛りしていた。菅沼組の跡目相続を巡って、組内では激しい暗闘が続いていた。舎弟頭で組長名代の山岸と幹部連は、最有力候補に今売り出しの若者頭・河本一兆(保坂尚輝)を推薦したが、ただ一人、波美子だけは夫・龍二を殺った下手人を突き止めるまでは、と反対を貫く。そんな波美子を敵視するのは、河本の妻・蘭子(未向)。菅沼組組長の娘でもある蘭子は、夫の河本を一刻も早く二代目に仕立て、自分の野心と欲望を満たそうと策略を立てる。密かに大阪の巨大組織・坂下組の若者頭・長嶺(松重豊)と通じ、超一流クラブの経営に乗り出していた。この長嶺こそは、菅沼組を支配すべく狡猾に河本を裏から操る策謀家だった。そんななか、波美子のもとに白英玉(杉本彩)という若い美貌の女が現れた。英玉は、河本の行方を探していた。かつて韓国で河本と危険な世渡りをしていた英玉は、河本の身代わりで5年間服役していた。今、長い刑期を終え河本に会いに来たのだったが、夫は日本で切れ者のヤクザとして出世していた。しかも組長の娘を日本人妻に持っていることを知り、英玉は怒りと悲しみに打ち震える。裏切りの失意の中、次第に波美子に心惹かれていく英玉。ふたりの極道の妻は、闘いの中に身を投じていく。




22-107. 大魔神怒る (The Return of Majin)

監督 三隅研次
出演 本郷功次郎藤村志保丸井太郎内田朝雄北城寿太郎
1966年 (大映) 79分

解説
大魔神」 の吉田哲郎が脚本を執筆、 「酔いどれ博士」 の三隅研次が監督した特撮もの。撮影は 「大魔神」 の森田富士郎。



ストーリー
戦国時代のころ。八雲の湖と呼ばれる美しい火口湖の岸に名越という一族と、その本家筋にあたる“千草”の一族が平和な日々を送っていた。湖の真中にある神ノ島には、一族の守護神、武神像がまつられていた。ある日のこと、千草城の若き城主千草十郎は、許嫁である名越の娘早百合と共に祖先の法要をいとなんでいた。そして、領内の平和を祈ろうと神ノ島に行った時、武神像の顔が真っ赤になっているのを見た。それは変事の前兆であった。やがて悪政をほしいままにしていた隣国の領主御子柴弾正が千草領に攻め入って来た。十郎は辛くも逃がれたが、弾正は早百合の父兵衛を殺し、兄の勝茂を人質として連れ去った。さらに弾正は、武神像をも粉々に砕いて湖に投げ捨てたが、その時、湖水は真赤に染まり、凄い雷鳴が起った。一方、十郎は傷ついていたが、早百合の看護で、身体も回復し、牢を脱出した勝茂と共に、弾正を討たんものとスキをうかがっていた。しかし、狡猾な弾正の罠にかかって、早百合ともども、捕われてしまった。弾正は、千草領の人々が大切にしている鐘を湖に沈め、十郎や早百合を火あぶりの刑に処そうとした。やがて、薪に火が点けられ、十郎たちの命は風前の灯となった。早百合は、そんな時に、必死となって神に祈るのだった。その早百合の祈りが通じたのか、突然、大地を揺がす鳴動と共に、猛り狂った武神像が現われた。そして、逃げまどう弾正方の兵を踏み潰し、危ういところで十郎と早百合を助けたのだった。弾正は武神像によって滅ぼされ、その武神像は、一瞬の間に、水滴となって湖に消えていった。そして湖の底からは、再び平和を取り戻した十郎の領地を祝福するかのように、静かな鐘の音が響いてきた。十郎と早百合は手を取り合って、長い間その音に聞き入るのだった。




22-108. 戦国自衛隊

監督 斎藤光正
出演 千葉真一中康次江藤潤速水亮にしきのあきら
1979年 (東宝) 139分

解説
四百年前の戦国時代にタイム・スリップした演習中の自衛隊一個小隊の姿を描く。半村良の同名の小説の映画化で、脚本は鎌田敏夫、監督は 「悪魔が来たりて笛を吹く」 の斎藤光正、撮影も同作の伊佐山巌がそれぞれ担当。千葉真一芸能生活20周年作品。

ストーリー
伊庭三尉を隊長とする二十一名の自衛隊員は、日本海側で行なわれる大演習に参加するために目的地に向かっているとき“時空連続体の歪み”によって四百年前の戦国時代にタイム・スリップしてしまった。東海には織田信長が勢力を伸ばし、上杉、武田、浅井、朝倉らが覇を競いあい、京へ出て天下を取ろうと機をうかがっていた時代。成行きから彼等は、のちの上杉謙信となる長尾平三景虎に加担することになり、近代兵器の威力で勝利をもたらした。戦いの中で、伊庭と景虎は心が通じあうなにかを感ずる。隊員のひとり菊池は、恋人和子と駈け落ちすることになっていたが戦国時代にスリップ、和子は約束の地で菊池を待ち続けた。三村は農家の娘みわに出会い、恋に落ちていく。そんな中で、矢野は、自分たちだけで天下を取ろうと、加納や島田を誘って反逆を起こし、魚村を襲い、手あたりしだいに女を犯すが、伊庭たちの銃撃のはてに殺される。近代兵器を味方につけた景虎は、主君小泉越後守の卑怯さに我慢がならず、春日山城で斬り殺し、天守閣からヘリコプターにぶら下がって脱出する。そして戦車が春日山城を陥落させた。その勢いで景虎と伊庭は京へ攻め上がろうとする。景虎は浅井・朝倉の連合軍と戦い、伊庭は川中島で武田信玄と戦闘をまじえることになった。「歴史がなんだっていうんだ。俺たちが歴史を書きかえるんだ」と、自衛隊員と二万人の戦いが始まった。戦車、ジープ、ヘリを駆使しての互角の勝負、そして目指す武田信玄の首を取ることにも成功するが、その激しい戦いの中で、伊庭たち隊員も死んでいった。隊員の中で生き残ったのは、農夫となってその時代に生きようと決意した根本だけであった。




22-109. ゴジラVSビオランテ

監督 大森一樹
出演 三田村邦彦田中好子高橋幸治金田龍之介高嶋政伸
1989年 (東宝) 105分

解説
大怪獣ゴジラと謎の新怪獣ビオランテの対決を描く。小林晋一郎のゴジラ・ストーリー応募作品を基に、脚本・監督は 「花の降る午後」 の大森一樹、特技監督は 「ガンヘッド」 の川北紘一、撮影は 「ピラミッドの彼方に ホワイト・ライオン伝説」 の加藤雄大がそれぞれ担当。

ストーリー
ゴジラにより破壊され尽くした新宿副都心。そこに残ったG(ゴジラ)細胞をめぐり激しい争奪戦が展開していた。G細胞は争奪戦の末、一つは日本の大河内財団に保管され、もう一つはサラジア共和国の手に渡った。そしてサラジアでは遺伝子工学の世界的権威、白神博士の手で分析がなされていた。しかし、バイオメジャーの工作により研究所は爆破され、白神は長年に渡る研究成果と共にG細胞、さらに愛娘の英理加をも失ってしまった。それから5年、ゴジラ復活の兆候ありとの情報を得た権藤一佐は、超能力を持つ少女、未希のテレパシーを頼りに三原山火口捜査を行っていた。そして、未希はゴジラが動いていることを感じ取ったのだった。英理加の友人であり、大河内誠剛の娘・明日香、その恋人であり生命科学研究所のホープである桐島一人は抗核バクテリアがゴシラに対し最も有力な武器になり得ることを説いたがその生成にはG細胞と白神の協力が必要であった。最初は断っていた白神だったが、G細胞を一週間預かることを条件に抗核バクテリアの研究に協力する。数日後、芦の湖の中央に巨大な怪植物が出現した。それは、白神が英理加とバラ、そしてG細胞を組み込んで生まれたビオランテだった。その頃、三原山火口が爆発し、ゴジラも姿を現わした。スーパーX2が他の自衛隊機と共に発進、攻撃に向かうがゴジラはビオランテに吸い寄せられるように小田原に上陸。英理加の心を持つビオランテもゴジラの熱線を吸収し狂暴になっていった。ゴジラは駿河湾から海に入った。そして、今度は大阪に向かっていった。大阪の街は破壊され、ゴジラはさらに原発の集中する福井県若狭に向かっていく。そこに再びビオランテが現われ、2大怪獣の死闘が繰り広げられる。ところが抗核バクテリアの効果が効いたのかゴジラは海岸に倒れこんだ。ビオランテも光の花に姿を変えて、夜空を高く昇っていった。その時、未希はビオランテの中に潜む英理加の「あ・り・が・と・う」というメッセージを受け取った。そして、再び動き始めたゴジラも弱々しく日本海へと去っていったのだった。


22-110. 大巨獣ガッパ

監督 野口晴康
出演 川地民夫山本陽子桂小かん雪丘恵介弘松三郎
1967年 (日活) 81分

解説
渡辺明の原案を 「放浪のうた」 の山崎巌と 「殺るかやられるか」 の中西隆三がシナリオ化し、 「日本仁侠伝 花の渡世人」 の野口晴康が監督した怪獣特撮もの。撮影はコンビの上田宗男。

ストーリー
雑誌記者黒崎浩はカメラマンの小柳糸子と共に、船津社長の命を受けて南海諸島の探検に出かけた。二人には生物学助教授殿岡が同行したが、たまたま、ある火山島に上陸した三人は薄気味悪い洞窟を見つける。その奥には巨大な卵があって、島民の話ではガッパの卵だという。ガッパとは身長七〇メートル以上、ワニのような鱗のある太い胴体と四本の足、そして前足から尾にかけて大きな羽根のある爬虫類である。ちょうど卵が割れてガッパの子供が現われたが、思わぬ獲物に喜んだ黒崎はガッパの怒りを恐れる島民の反対を押し切って、日本へ連れて行くことにした。三人が日本へ帰った後、子供が連れ去られたことを知った親ガッパは怒りに荒れ狂って島の集落を踏み潰した。一方、東京へ着いた黒崎たちは子ガッパの能力テストをしているうちに、この怪物が現在地を遠くにいる仲間に伝える能力があることを知り、不安そうに顔を見合わせた。その頃、二匹の親ガッパは凄まじいスピードで東京に向っていた。そしてある日、ガッパはその巨体を相模湾から富士五湖に現わしたのである。このニュースで日本中が大騒ぎになり、対策本部がたてられ、自衛隊が出動したが、効果はなかった。ガッパは口から吐き出す熱光線でジェット機を落し、戦車を踏み潰して東京に向う。このままでは東京は全滅してしまうと頭をかかえた対策本部や黒崎たちは、島から来たサキ少年の「子ガッパを返せは親ガッパはおとなしく帰る」という言葉通り、子ガッパを羽田空港に放した。やがて現われた親ガッパは、嬉しそうに吼えまわり、親子3匹揃って南を目指して飛び去った。




22-111. 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 

監督 本広克行
出演 織田裕二深津絵里柳葉敏郎ユースケ・サンタマリア小泉孝太郎
2012年 (東宝) 126分

解説
熱血刑事・青島俊作が次から次へと難事件に遭遇し、ユニークな仲間たちに支えられながら成長していく姿を描き、人気を博した刑事ドラマの劇場版最終作。前作で係長に昇進した青島のその後が描かれるほか、室井や同僚のすみれはもちろん、前作から登場の夏美や和久も引き続き登場し、共に難事件解決に挑む。

ストーリー
警視庁湾岸署管轄内で開催されている国際環境エネルギーサミットの会場で誘拐事件が起こり、さらに数時間後には被害者が射殺体で発見されるという事件が発生。警察が押収した拳銃が使用されたと見られ、全ての捜査情報を文面にて管理官・鳥飼(小栗旬)へ報告すること、所轄の捜査員には情報開示されないことが捜査会議にて発表される。異例と言える捜査方針が敷かれる中、第2の殺人事件が発生。さらに、今では湾岸署署長となった真下(ユースケ・サンタマリア)の息子が誘拐されるという第3の事件までも起こる。青島(織田裕二)は疑念を抱きつつも事件解明に向け懸命に捜査するが……。





22-112. 喜劇 駅前女将

監督 佐伯幸三
出演 森繁久彌伴淳三郎フランキー堺三木のり平山茶花究
1964年 (東宝) 89分

解説
「われらサラリーマン」 の長瀬喜伴がオリジナル・シナリオを執筆、 「若い仲間たち うちら祇園の舞妓はん」 の佐伯幸三が監督した風俗喜劇。撮影は 「喜劇 駅前飯店」 の黒田徳三。

ストーリー
両国駅前にある酒屋「吉良屋」の主人徳之助と柳橋に寿司屋をもつ「孫寿司」の主人孫作は兄弟の間柄で、徳之助の女房満子は孫作の妹である。この二人は大の仲良しで、いつも行動を共にしている。徳之助には、錦糸町でバーを経営するごひいきの藤子がいるが、この藤子にダブル・ベットを買ってやったことから、家庭騒動が起きそうな気配だ。或る日、徳之助は孫作から、かつての恋人景子の消息を知らされた。今は夫とも死別し両国に帰って来た景子のために、店をもたせようと徳之助は奔走した。そんな時、孫作の家では大騒動がもちあがった。孫作の家に「マゴサク」とネームの入ったガウンと「フジコ」とネームの入った下着が届いたのだ。怒った妻の千代はフジコなる女を捜す為、満子の所に走った。それがあのダブルベット事件の足立藤子と同一人と睨んだ満子は、早速錦糸町におもむき、バー「ふじ」で孫作も徳之助も現行犯でつかまえた。徳之助のおかげで全部自分の責任にされた孫作は、おさまらなかった。そこで孫作は満子に景子のこと、そして養子縁組と思っていた次郎の相手、染太郎も実は景子の妹だと告白した。とんだとばっちりをうけた次郎と染太郎は置き手紙をして駈け落ちした。行く先は、伯父の力造のいる銚子だ。徳之助と満子、孫作と千代それに景子と菊太郎の奇妙な関係の六人は呉越同舟で一路銚子へと向った。が、力造の家でも、二人を捜してもう六時間もたつという。しょんぼりした力造の家では、満子も折れて、次郎と染太郎はめでたく結婚を認められた。丁度そこえのんきに帰って来た二人。三枝の音頭で大漁節の歌声の中、次郎のかわりに養子に行く、力造の息子和男と二人のカップルが明るく出発していった。





22-113. デスノート Light up the NEW world

監督 佐藤信介
出演 東出昌大池松壮亮菅田将暉戸田恵梨香川栄李奈
2016年 (ワーナー・ブラザース映画) 93/135分

解説
名前を書いた人間を死なせる事ができる死神のノート“デスノート”を巡って、人々の思惑が交錯するさまを描き、アニメ、舞台などにもなった人気コミック 「デスノート」 。同作の実写映画版の続編となるサスペンス。キラとLとの対決から10年後を舞台に、6冊のデスノートを手に入れようとする人々による壮絶な頭脳戦が繰り広げられる。

ストーリー
デスノートを駆使して世の中に野放しになっていた凶悪犯を次々と死に追いやったキラこと夜神月と、命をかけてキラを食い止めたLとの天才同士の対決から10年。再び死神が地上にデスノートをばらまき、世界中が大混乱に陥っていた。だが亡くなった夜神総一郎の跡を継ぐべく、警視庁内にはキラ事件に精通した三島創(東出昌大)や七瀬聖(藤井美菜)といった捜査官たちを中心にデスノート対策本部が存続していた。ロシア、ウォール街そして渋谷でのデスノートによる大量殺人が行われる中、世界的私立探偵にして“Lの正統後継者”竜崎(池松壮亮)が加わり事件解明に当たる。やがて地上には6冊のデスノートが存在する事が判明。その矢先、キラウィルスと呼ばれるコンピューターウィルスが世界中に拡散される。そのメッセージには「他の所有者に告ぐ。速やかに私に差し出せ」とデスノートの提出を呼びかけていた。6冊のデスノートを全て手にした者が地上を制する。キラ復活を望む者、そしてそれを阻止する者たちとの究極の争奪戦の幕が切って落とされた……。




22-114. 寄生獣

監督 山崎貴
出演 染谷将太深津絵里橋本愛東出昌大岩井秀人
2014年 (東宝) 109分

解説
斬新な発想で人気を博した岩明均の同名コミックを、 「ALWAYS 三丁目の夕日」 シリーズの山崎貴監督が2部作として映像化したSFアクションの第1弾。空から飛来した謎の生物を右手に宿してしまった少年・泉新一と、同じく謎の生物に寄生され脳を支配された“パラサイト”や、彼らを取り巻く人間たちが繰り広げる物語がつづられる。

ストーリー
謎の寄生生物パラサイトが現れた。パラサイトは人間の脳に寄生し肉体を操り、人間を捕食していく。高校生の泉新一(染谷将太)にもパラサイトが近づき脳に寄生しようとするが失敗。パラサイトはやむなく右腕に寄生する。この信じがたい事態を周囲に話すわけにもいかず、新一は右腕のパラサイトにミギーと名前を付け奇妙な共生生活をするうちに、友情のようなものを感じるようになっていく。パラサイトは次々に現れ、新一の幼馴染の同級生・里美(橋本愛)にも危険が迫る。人とパラサイトの殺し合いが進む中、高校教師として現れたパラサイトの田宮良子(深津絵里)らはそれぞれの考えを持ち始めていた。地球を破壊する人間を淘汰するために生まれてきたというパラサイトに、生き残りをかけ戦う人間たち。価値観が揺らぐ中、新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく……。




22-115. 続社長行状記

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ小林桂樹司葉子英百合子
1966年 (東宝) 90分

解説
社長行状記」の笠原良三がシナリオを執筆、コンビの松林宗恵が監督したサラリーマンもの。撮影もコンビの鈴木斌。

ストーリー
フランスのチオール商会と技術提携して、見事不況の既製服業界を乗り切った栗原サンライズKKの社長弥一郎は、好調のときこそ、現状に甘えず、次々に新手段を打ち出して益々社運の隆盛を計ろうとチオール商会の日本支配人安中との提携を、より発展させ、安くて魅力のある婦人既製服の製造販売に乗り出すことを思い立った。ところが、この安中という男、社長の秘書原田伸子をはじめ、秘書課長小島の妻洋子、弥一郎の最愛の妻峰子、行きつけバーのマダム町子らを、口説きまわる大変な男。これには弥一郎も堅物の後藤常務も大弱り。しかし、社運の隆盛のためには、目をつぶろうと、弥一郎の心は意外な程堅く、好きな馬もみんな売り払い、浮気も、色気もなしの聖戦を展開することになった。おさまらないのは佐々営業部長。接待費は押えられるし、パッパと芸者とも遊べないとあっては、派手好きの佐々にとっては、なぶり殺しにされるのと同様の苦痛だ。そんな時、佐々部長の待ち望んでいる絶好のチャンスが廻って来た。いよいよ安中が、生地を仕入れるための実地見学に、福井に出向くというのだ。勇躍した佐々の安中らへの接待ぶりは完壁だった。そうしたある日弥一郎は小島にほろ苦い青春の想い出を語った。金沢の兼六公園は、旧四高時代に芽ばえたプラトニック・ラブのゆかりの地なのだ。やがて、この視察旅行もとどこおりなく終り、一行は東京に帰った。が、それをおっかけるように、金沢の親友・金沢大学教授富岡が、弥一郎に地元の会社への融資を申しこんできた。義理と人情にからまれた弥一郎は、無理を承知で、これを承諾してしまった。仕方なく弥一郎は、自分の私財である馬を売り払い、このピンチをきり抜けた。弥一郎は巨万の金を貯えるより、平凡な社長である方が、より幸福であることに気づいた。




22-116. アウトレイジ

監督 北野武
出演 北野武三浦友和椎名桔平加瀬亮國村隼
2010年 (ワーナー・ブラザース映画=オフィス北野) 109分

解説
北野武監督が、金と権力のためならどんな手段も厭わない男たちの姿を描くバイオレンス作。三浦友和、加瀬亮ら、北野作品初出演となる俳優たちが演じるワルっぷりに注目。

ストーリー
関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織、山王会。幹部たちが集まる総会の場で、池元組組長の池元(國村隼)は本家の加藤(三浦友和)から指示を受ける。弱小だが古参のヤクザ村瀬(石橋蓮司)との蜜月を知った本家が、村瀬組を締めるよう求めてきたのだ。だが、村瀬と池元は兄弟の盃を交わした仲。板挟みの池元は、それを傘下の大友組に命じる。いつも池元からやっかい事を押し付けられている組長の大友(ビートたけし)は命令に従い、準備を整える。ある晩、1人の男が村瀬組のぼったくりバーに引っかかる。巨額の請求を受けた男は、支払いをすると告げ、組員の飯塚(塚本高史)をある事務所に案内する。だが、そこに待っていたのは大友組の組員たちだった…。飯塚の小指を詰め、大友組に詫びを入れる村瀬組若頭、木村(中野英雄)だったが、罵倒された上に指を詰められ、顔を切られて逃げ帰る。復讐に燃える木村は、飯塚とともに大友組の組員を拉致。大友の居場所を聞き出そうとするが、口を割らぬまま暴行で死亡してしまう。“村瀬組に殺された”という事実に山王会会長の関内(北村総一郎)は激怒。大友は一連の事件にカタを付ける必要に迫られる。手始めに飯塚を射殺すると、恐れをなした村瀬は池元に助けを求める。だが、池元は大友に村瀬襲撃を指示。村瀬は重傷を負い、縄張りを大友に譲って引退することで事態収拾を図る。しかし、村瀬からの詫び金は池元に持ち去られ、大友は苛立つ。大友組は、組頭の水野(椎名桔平)と組員の石原(加瀬亮)を中心に、手に入れた縄張りで風俗業、麻薬売買、闇カジノ経営に乗り出す。やがて、村瀬が密かに麻薬売買を続けていたことが発覚。池元から村瀬の始末をそそのかされる。大友はその言葉に乗って村瀬を射殺するが、これを知った関内は、池元を通じて大友の破門を言い渡す。関内の下で調子よく立ち回る池元に堪忍袋の緒が切れる大友。そして、ついにその日がやってくる……。




22-117. アウトレイジ ビヨンド

監督 北野武
出演 北野武西田敏行三浦友和加瀬亮中野英雄
2012年 (ワーナー・ブラザース映画=オフィス北野) 112分

解説
ヤクザ社会で繰り広げられる壮絶な抗争劇を描き話題を呼んだ、北野武監督によるバイオレンス作の続編にして完結編。前作で死んだはずの、ビートたけし演じる大友が再び登場。関東VS関西の巨大組織の覇権争いや、一網打尽を狙う警察に翻弄されていく姿が描かれる。西田敏行が関西の大物ヤクザ組織の若頭役で北野監督作に初参加。

ストーリー
熾烈な下克上抗争から5年。先代亡きあと加藤(三浦友和)が会長となり、関東の頂点を極めた暴力団「山王会」は、ついに政治の世界にまで手を伸ばし始めた。だが巨大ヤクザ組織の壊滅を企てる警察組織は、山王会の過剰な勢力拡大に業を煮やし、関西の雄である「花菱会」に目を付ける。表向きは友好関係を保っている東西の巨大暴力団の対立を目論み、刑事の片岡(小日向文世)は裏で策略を仕掛けていく。そんな中、獄中で死んだと思われていた元山王会配下大友組の組長・大友(ビートたけし)が出所する。明らかに何かを企み、彼を出迎える片岡。大友はヤクザに戻る気はなかったが、かつて大友の子分だった山王会若頭・石原(加瀬亮)は大友を消そうとする。さらに、警察が仕掛ける巨大な陰謀と抗争の足音が着々と大友に近づいてくるのだった……。




22-118. 極道の妻たち

監督 五社英雄
出演 岩下志麻かたせ梨乃佳那晃子円浄順子汀夏子
1986年 (東映) 120分

解説
暴力抗争下で、様々な境遇を生きる極道の妻たちの姿を描く。 「週刊文春」 に連載された家田荘子原作の同名ルポタージュの映画化で、脚本は 「春の鐘」 の高田宏治、監督は 「十手舞」 の五社英雄、撮影は同作の森田富士郎がそれぞれ担当。

ストーリー
粟津環は堂本組若頭補佐で粟津組組長の妻である。気丈な彼女は、服役中の夫・等に変わり組を守っていた。ある日、環は貧しい工場を経営する父・保造と暮らす妹・真琴に縁談を持ちかけた。そんな時、堂本組総長が急死した。関西を拠点に全国的に勢力を持つ堂本組は、傘下組員二万人の暴力団で、粟津組はその直系である。堂本組の跡目相続人は、故人の遺言によって若頭の柿沼に決定した。これを不満とする舎弟頭の蔵川は、同補佐の小磯らを引き連れて朋竜会を結成した。環はあくまで堂本に忠誠を尽し、小磯の誘いを拒否する。小磯は傘下系列の名古屋の杉田組組長の杉田に柿沼暗殺の指揮を命じた。一方、アルバイト先のスナックで杉田にしつこく言い寄られていた真琴は、バカンスを楽しむグァム島で偶然、彼と再会。コテージで力ずくで抱かれた。杉田は兄弟分の川瀬組組長・川瀬と共に柿沼暗殺のための拳銃の試射に来ていたのだ。帰国した真琴は、環に縁談を断りやくざと関係したことを告げた。ある日、柿沼が射殺された。すぐに、愛知県常滑市の暴力団員・川瀬が自首して出た。TVでそれを知った真琴は常滑へ向かう。杉田と真琴は、子分に囲まれながら結婚式を挙げる。だが、杉田は突然踏み込んで来た刑事たちに逮捕された。真琴のもとに、杉田が柿沼を射止めた拳銃が残された。ある夜、粟津組系組長の妻たちが集まる“懲役やもめの会”で、環が小磯系組員の襲撃を受けた。このまま抗争を続ければ、双方の組織が壊滅しかねないと案じた堂本の妻、絹江は関東から手打ちの仲介を頼むと環に告げる。環は小磯の妻、泰子の手を借りて小磯と会い、戦争終結を話し合った。一方、保釈となった杉田は、朋竜会解散の真偽を確めに大阪へ。家族と海水浴を楽しむ小磯の前で、自分の腹をドスで突き刺した。服役中の粟津が堂本の三代目に決定。大阪に戻った真琴は父親の死を知る。真琴は環のもとで暮らし始めたが、ある朝、見張りの清野伴司と出かけた際、杉田の子分、花田太市と再会した。杉田のもとへ行くという真琴を環は止める。激しい喧嘩の後、「今日限り、わてらは姉妹でない」と環は妹を送りだした。杉田と真琴の久方ぶりの逢瀬の際中、伴司が飛び込んで来て杉田を刺殺した。そして粟津の保釈の日、環や組員が見守るなか、粟津は太市によって殺された。




j22-119. 釣りバカ日誌スペシャル

監督 森崎東
出演 西田敏行三國連太郎石田えり富田靖子加藤武
1994年 (松竹) 106分

解説
釣りバカ日誌スペシャル」(つりバカにっしスペシャル)は、1994年7月16日公開の日本映画。釣りバカ日誌シリーズ第7作(特別編第1作)。

ストーリー
今回の恋の行方は佐々木課長の娘・志野。 志野に恋心を抱く田園調布駅で降りる青年は実はナナ、ナント銀座の宝石屋の1人息子だった。興信所を利用して鈴木建設の社員の娘だと判明したあと、社長同士の話合いで縁談まで進む。 ところが志野に憧れる男性は身近に。なんと志野を好きになった高校の同級生が志野のデート現場に尾行するようになる。現場をめちゃくちゃにされた志野は健吾に「ごめんなさいネ(笑)」と別れる。和男は縁談がだめになってしまったのを機に、退職届を提出したが、鈴木はプライベーツはことであるとし、退職届を破棄した。落ち込んだ志野をなぐさめようと和男は渋谷で食事しようと誘った…これからオトナのラブゲーム。






22-122. 喜劇 駅前旅館

監督 豊田四郎
出演 森繁久彌森川信草笛光子藤木悠三井美奈
1958年 (東宝) 109分

解説
雑誌 「新潮」 に連載されて好評を博した井伏鱒二の原作を、 「季節風の彼方に」 の八住利雄が脚色したもので、駅前旅館のあけくれと、番頭稼業を描いた喜劇。 「負ケラレマセン勝ツマデハ」 の豊田四郎が監督、 「家内安全」 の安本淳が撮影した。出演は 「欲」 の森繁久彌・伴淳三郎、 「ぶっつけ本番」 のフランキー堺・淡路恵子 「大番 (完結篇)」 の淡島千景、そのほか草笛光子・三井美奈・浪花千栄子など。色彩はイーストマンカラー。パースペクタ立体音響。

ストーリー
“私、駅前の柊元(くきもと)旅館の番頭でございます”生野次平は三十年の経験をもつ「お帳場様」である。上野界隈も昔とはずい分変ったものだ。柊元旅館は今日も修学旅行の団体客でごったがえしている。馴染みの旅行社の添乗員・小山が忙しく中学生をさばく。次平は山田紡績の社長一行のなかの女客に二の腕をつねられた。その女客は女中のお京に伝言を残すと発っていった。次平には気の合った番頭仲間が四人いた。そのうちの高沢に尻尾をつかまれ、今度の慰安旅行の幹事にされた。その役は艶聞を立てた者に振りあてられることになっていたのだ。馴染みの飲み屋・辰巳屋のお辰のところで行先を江の島と決めた。夏の江の島には全国から番頭たちが客引の腕をみがきにくる。昔、ここで次平や高沢は芸を張り合ったものだ。次平は彼をつねった女のことをやっと思い出した。於菊−−江の島時代の旅館の豆女中だった。間もなく、例の山田紡績の女工たちの団体がやってきた。於菊が保健係の先生と共に引卒していた。次平は席を設けて於菊と会ったが、“旅の恥はかきすてというような気持……”といった於菊の言葉が彼のカンにさわった。社長の妾で工場の寮長に納って満足気な女の手前勝手だ。“お前、宿へ帰んなよ”彼には昔流の意地があった。−−下級旅館の強引な客引・カッパの連中が格元に泊った女学生三人を怪我させた。次平は主人から怒鳴られ、小山は自分の客から怪我人が出てクサった。次平は一計を案じ、上野駅前浄化運動を始め、カッパ連中を締め出す看板を一帯にめぐらした。本部は辰巳屋に置いた。カッパ連は次平を出せと柊元に押しかけた。因っているお内儀を助けようと、次平は暇乞いの口上を述べたが、主人がそれを利用し、本当に彼をクビにした。彼はさっと最後の客引きの手際を見せるとそのままを消した。その夜、小山もお京を連れて柊元を出、大阪を目指した。次平は追ってきたお辰と一緒に日光行の二等車に収っていた。住み慣れた上野の火がのろのろと二人の目前を動いていった。




22-122. 永遠の0

監督 山崎貴
出演 岡田准一三浦春馬井上真央濱田岳新井浩文
2013年 (東宝) 144分

解説
百田尚樹の同名ベストセラー小説を岡田准一主演で映画化したヒューマンドラマ。現代に生きる青年が、太平洋戦争の特攻出撃で亡くなった零戦パイロットの祖父のことを調べるうちに、祖母への思いを知るようになっていく姿がつづられる。桑田佳祐が新曲を書き下ろし、サザンオールスターズとしては23年ぶりに映画主題歌を担当する。

ストーリー
2004年。佐伯健太郎(三浦春馬)司法試験に落ち失意の日々を過ごしていた。祖母・松乃が他界し葬儀に参列するが、そこで祖父・賢一郎(夏八木勲)とは血がつながっていないことを知る。血縁上の祖父は、松乃の最初の夫で、太平洋戦争時に零戦パイロットとして出撃、終戦間近に特攻隊員となり散った宮部久蔵(岡田准一)という人物だった。健太郎は久蔵がどんな人物だったか調べようと、彼のかつての戦友を訪ねてまわる。しかしその先々で、海軍一の臆病者といった手厳しい評判を聞く。類まれなる操縦センスを持ちあわせながらも、敵の駆逐よりも生還を第一に考えていた。それは、久蔵が妻・松乃(井上真央)と娘・清子とかわした、家族の元に生きて戻るという約束があったためだった。それならなぜ久蔵は特攻の道を選んだのか。やがて久蔵の最期を知る人物に行き着き、健太郎は久蔵の懸命な思いを知る……。




j22-122. THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

監督 錦織敦史
出演 中村繪里子長谷川明子今井麻美仁後真耶子浅倉杏美
2014年 (アニプレックス) 121分

解説
プレイヤーがプロデューサーとなって、お気に入りのアイドルを育成させるゲーム 「THE IDOLM@STER(アイドルマスター)」 の世界観を再現し、人気を博したテレビアニメの劇場版。アリーナライブという大舞台を控え、ひさびさに集合し、合宿に挑む765プロダクション所属のアイドルたちの成長を描く。

ストーリー
芸能事務所765プロは、ニューイヤーライブが終わってからも大忙しの日々が続いていた。それぞれの仕事にてんてこ舞いのアイドルたちであったが、ある日、久しぶりに全員が集まって一緒に練習をすることになる。765プロにとって大きな目標であるアリーナライブを開催することになったのだ。プロデューサー(声:赤羽根健治)や事務員の音無小鳥(声:滝田樹里)が準備を進める中、天海春香(声:中村繪里子)、星井美希(声:長谷川明子)、如月千早(声:今井麻美)、高槻やよい(声:仁後真耶子)、萩原雪歩(声:浅倉杏美)、菊地真(平田宏美)ら765プロ所属のアイドルたちが合宿所に集合。彼女たちの新しいステージがいま始まろうとしていた……。





j22-123. 伊賀忍法帖

監督 斎藤光正
出演 真田広之渡辺典子千葉真一田中浩
1982年 (東映) 100分

解説
戦国争乱の世を舞台に媚薬をめぐって、伊賀忍者、笛吹城太郎と、伝説的な妖術師、果心居士の戦いを描く。山田風太郎の同名小説の映画化で、脚本は 「コールガール」 の小川英、監督は 「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」 の斎藤光正、撮影は 「鬼龍院花子の生涯」 の森田富士郎がそれぞれ担当。

ストーリー
戦国の世、下剋上の機運に乗じようとする松永弾正は主家、三好氏の美姫右京太夫を我がものにせんと、五人の妖術僧に命じ媚薬を作らせようとし、美女狩りを命じた。この陰謀を企んだのは、妖術僧の後ろ楯で正体不明の果心居士だ。妖術僧たちの美女狩りの標的は、伊賀の忍者、笛吹城太郎の恋人、篝火に向けられた。実は、彼女は双子の妹であり、果心秘伝の媚薬とは、惚れさせたい女性の血筋の生娘が犯されたときに流す涙を天下の名器「平蜘蛛の茶釜」で煮つめてつくるからである。妖術僧により、弾正のもとに連れ去られた篝火は、恥辱よりも死を選び自らの首をはねた。その刹那、弾正は愛妄漁火の首をはね、二つの首と同体を付け換えることで両人を蘇生させる。顔は漁火ながら、篝火の心と肉体を持った女は犯され、その涙から媚薬が作られた。悪夢のような一夜が明けると、篝火の肉体と心は茶釜も持って脱出し、城太郎に会うと、一部始終を話して死んだ。復讐を誓う城太郎。再び城太郎から茶釜を奪い返した妖術僧たちは、平安祈願のために東大寺に参詣する右京太夫を狙った。右京太夫を掠奪し、三好氏をも殺そうとする弾正と妖術僧たちは、騒乱状態を起こそうと、大仏殿に火を放った。城太郎は右京太夫を連れて炎の中に飛びこんだ。数日後、首の落ちた大仏の台座の下に隠れ棲む二人の姿があった。右京太夫を看病するうち、城太郎には、篝火の面影が重なり、やがて二人は愛し合うようになった。つかの間の幸福。しかし、隠れ家も見つかり、城太郎と妖術僧の凄絶な戦いが始まった。城太郎は化物じみた妖術僧たちを次々と倒していく。が、最後に果心居士が大きく立ちはだかった。果心居師は悪魔の化身で、この世の悪業はすべて彼の仕業だった。城太郎、右京太夫、黒衣の騎馬集団こと柳生一族に対して弾正、漁火、生きのこりの妖術僧、そして悪魔の戦いだ。そして、城太郎は悪魔を倒す。右京太夫との愛が激しく燃え上がった。





j22-124. friends after 3.11【劇場版】

監督 岩井俊二
出演 松田美由紀岩井俊二小出裕章上杉隆後藤政志
2011年 135分

解説
独特の映像世界で定評のある岩井俊二監督が、東日本大震災後に出会ったさまざまな立場の友人たちと、震災を経た日本の現在と未来を語り合うドキュメンタリー。311後原発問題に関心を持ったという女優の松田美由紀をナビゲーターに迎え、震災後ツイッターなどを通じて出会った友人や学識者たちに取材を敢行。「原発のウソ」の著者である小出裕章、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志、「ヒバクシャ 世界の終わりに」などの鎌仲ひとみ監督ら多彩な立場の人々が語る言葉が胸に響く。

ストーリー
東日本大震災、それに続く原発事故に大きな衝撃を受けた映画監督の岩井俊二は、震災後の日本の未来を語り合うべく、ツイッターなどを通じて出会ったさまざまな立場の友人にインタビューを敢行。脱原発宣言で話題となった城南信用金庫理事長の吉原毅、「原発のウソ」の著者・小出裕章らさまざまな立場の人々が、それぞれの思いを打ち明ける。






22-125. 座頭市兇状旅 (Masseur Ichi,The Fugitive)

監督 田中徳三
出演 勝新太郎高田美和万里昌代成田純一郎小林勝彦
1963年 (大映) 86分

解説
シリーズの第四作。子母沢寛原作を 「新・座頭市物語」 の犬塚稔が潤色、 「第三の影武者」 の星川清司が脚色、 「新・座頭市物語」 についで田中徳三が監督。撮影もコンビの牧浦地志。

ストーリー
上州下仁田。市が投宿した旅篭の主人島蔵を訪ねて来た佐吉と東九郎の話から、土地の二代目親分佐吉と、旅篭の親切な娘のぶは恋仲だが、のぶの養父島蔵は佐吉の先代に遂われた元貸元で、未だに縄張りの夢が捨てきれずにいることを知った。彼らは二代目披露を兼ねた今夜の花会をぶちこわして佐吉を窮地に陥れ、同時に佐吉を消すこと考えていた。そのために蛾十郎という浪人まで傭っていた。娘のぶも養父と佐吉の仲の悪いことを感づいていた。翌日、佐吉が蛾十郎と東九郎の罠にはまりかけたとき、佐吉の立場を考えた市が自分一人の喧嘩として買って出た。逃げ帰った東九郎は自分が殺した佐吉の乾分も市の所為だと親分衆に報告佐吉の不可斐なさを責め、彼に市を斬ることを迫った。祭りも最後の三日目、名残惜しげなのぶの手伝いで旅仕度をしている市の許に、佐吉が飛び込んで来た。おたねが東九郎に拐わかされたというのだ。廃屋に駈け込んで、これが佐吉の裏切りと知った。佐吉が五百両で蛾十郎を買収したのだ。後を追って来たのぶの声も耳に入らぬ佐吉。東九郎らやくざの連合軍はその包囲をちじめて、市に迫った。幾度かの絶望的な危機を斬り抜け河原の中州へ出た。が、そこには蛾十郎が待っていた。蛾十郎は必死に制止するおたねを刺した。市の憤りは炸裂、蛾十郎に迫った。必死の市の剣はさえ、蛾十郎はその剣の前にたおれた。やがて、旅姿の市のひょろひょろとした姿が見られ、見送るのぶの目に光るものが宿っていた。





j22-126. 新・極道の妻たち

監督 中島貞夫
出演 岩下志麻高嶋政宏桑名正博かたせ梨乃夏八木勲
1991年 (東映) 114分

解説
ある極道一家の跡目争いの中で母子の絆に苦悩しながらも迫りくる大組織と闘う極道の妻の姿を描くシリーズ第5弾。家田荘子原作の同名ノンフィクションを基に、脚本は 「右曲がりのダンディー」 の那須真知子が執筆。監督は 「激動の1750日」 の中島貞夫。撮影は 「遺産相続」 の木村大作がそれぞれ担当。

ストーリー
尼崎の藤波組では二代目の急死により霊代の加奈江が事実上の統率をしていた。加奈江には妹の頼子と、雅美、直也という二人の子供がいた。頼子の夫は現在拘留中の若頭・松岡、雅美の夫・宗田は本部長、そして直也は最近組を興し藤竜会の会長になっていた。松岡が出所となり、加奈江は三代目に松岡を立て、二代目霊代からひこうとしていたが、その矢先に松岡は射殺されてしまう。それによって藤波組は大きく揺れ動く。加奈江は三代目候補に宗田を選んだ。それを知った直也は、この機会を逃すまいと緊急幹部会席上で、宗田を押す幹部を相手取り三代目に立候補した。そんな血気さかんな直也も女子大生の葉子と会っているときだけは気持ちが安らいだが、直也が極道であることを気付かれ、突然の破局を迎えてしまう。落ち込んだ直也は、それを晴らすかのように藤竜会会長としての貫録をつけ、藤波組の威光を使い前田組を吸収した。しかし、皮肉にも対立する神原組系列の組織と前田組が盃を交わしたことにより、藤竜会と前田組の間に抗争が起きる。加奈江は一人、神原組を訪れ、藤竜会の解散と直也の引退を条件に、この戦争を終結させようとするが、それを受け入れようとはしない直也の余りにも強い意志に、ついに加奈江は屈した。加奈江は母子の絆を断ち切り、幹部会で三代目に直也を、若頭に宗田を決定し、藤波組は神原組と戦争を始めようとしていた。だが、それを察知した警察権力の介入で直也に逮捕状が出た。一方、弁護士協会から懲戒勧告を受けた組の顧問弁護士・美佐子も藤波組と心中する腹を決めていた。加奈江は直也の護送ルートを美佐子にしか知らせなかったが、宗田は美佐子からそれを聞き出し、直也は警察に出頭する途中に前田組の銃弾に散っていった。加奈江は宗田が神原組幹部の地位と引き換えに松岡と直也を殺したことを知った。そして加奈江と美佐子は宗田を射止め、その怒りはさらに神原組へと向けていくのだった。





22-127. 名探偵コナン からくれない恋歌ラブレター

監督 静野孔文
出演 高山みなみ山崎和佳奈小山力也堀川りょう宮村優子
2017年 (東宝) 91/112分

解説
青山剛昌の大人気コミックを原作に、少年探偵・江戸川コナンの活躍を描く劇場版アニメシリーズ第21作。大阪のテレビ局・日売テレビで爆破事件が発生。 その時皐月会が開催するかるたの大会「皐月杯」の会見収録が行われており、大混乱に陥ってしまうテレビ局内。そして、会見の場にいた西の名探偵・服部平次と幼馴染の遠山和葉は…

ストーリー
大阪のシンボル・日売テレビで爆破事件が発生する。その時、日本の百人一首会を牽引する皐月会が開催する皐月杯の会見収録が行われており、突如の事態に局内は混乱する。崩壊していくビルの中に、西の名探偵・服部平次(声:堀川りょう)とその幼馴染・遠山和葉(宮村優子)だけが取り残されるが、間一髪の所で駆け付けたコナン(高山みなみ)が無事救出する。まるでテロのような事件だが、犯行声明もなく犯人の目的もわからない不可解な状況に、コナンと平次は違和感を覚える。爆破騒動の最中、コナンたちは平次の婚約者だと言い張る競技かるたの高校生チャンピオン・大岡紅葉という女性と出会う。ひょんなことから和葉は平次を懸けて紅葉と百人一首の勝負をすることになり、実力者である平次の母・静華のもとで特訓を始める。時を同じくして京都・嵐山の日本家屋で、皐月杯の優勝者が殺される。その時、殺害現場のモニターに紅葉の姿が映し出されていた。そして被害者の周りには、数多のかるた札が散らばっていた。大阪府警・京都府警とともにふたつの事件に関係する皐月会の捜査を始めるコナンと平次。すると、百人一首にまつわる共通点を持つ謎が捜査線上に次々と浮かび上がる。ふたつの事件がひとつに繋がるとき、運命の歯車が加速し始める……。




j22-128. 社長道中記

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ浜美枝小林桂樹英百合子
1961年 (東宝) 90分

解説
源氏鶏太の 「随行さん」 より、 「特急にっぽん」 の笠原良三が脚本を執筆、 「がんばれ!盤嶽」 の松林宗恵が監督したサラリーマンもの。 「背広三四郎 男は度胸 花の一本背負い」 の鈴木斌が撮影した。パースペクタ立体音響。

ストーリー
太陽食料社長三沢英之助が今、力こぶを入れているのは、新製品のまむし、蛙、かたつむりの罐詰の売出し。その三沢が大阪へ出張することになった。随行をおおせつかったのはコチコチ社員の桑原。社長の旅先の浮気を封ずるボディガードとして彼が選ばれたわけだ。桑原はその融通のなさでは定評があり、同期の中では一番出世がおくれている。医務室の彼の恋人松浦敬子はそれが大変くやしい。さて二人はいよいよ出発した。三沢社長は車中で早速美人を見つけてちょっかいを出しかけたり、バーのマダムを大阪に呼び出したりする。大阪に着いた三沢は、支社長の土井から最近の我社が競争相手に押されているという報告を聞いて大変驚いた。早速まき返し作戦がはじまる。だが浮気の虫はまた別である。汽車の中の美人芸者をつれ出した三沢は、土井に桑原をまかせてこきげんのナイトクラブめぐり。だがそこでバッタリと会ったのは桑原随行員。酔いつぶすはずの土井の方が、反対にぐでんぐでんの始末であった。舞台は白浜温泉へ飛んだ。三沢は海外にも販売網を持つ南海物産の本田の接待に大ふんとう。だが本田のごきげんは斜めだった。その夜バーのマダムが東京からやって来た。ほくそ笑んだ三沢は強壮剤をのみ下して待ちかまえる。ところがそれは桑原の持って来た睡眠薬で、二人がそれぞれまちがえたからひと騒動。昼すぎになっても起きない社長を心配して、東京から社長夫人と敬子が現れた。桑原は敬子に美人芸者との仲を疑われてしまう。翌朝ゴルフ場で本田に会った三沢は、まむしの罐詰のおかげでホールインワンに成功した本田と契約を結ぶことに成功する。敬子にむくれられてくさった桑原は、三沢の道中記を夫人に告げると彼をおどし、敬子との仲人を約束させたのだった。




j22-129. 続社長道中記 女親分対決の巻

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ浜美枝小林桂樹加東大介
1961年 (東宝) 88分

解説
社長道中記」 の続編で、脚本・笠原良三、監督・松林宗恵、撮影・鈴木斌と前作と同じ顔ぶれ。パースペクタ立体音響。

ストーリー
太陽食料の桑原武は前編での随行さんぶりが認められて秘書課長に抜擢された。三沢社長夫人は、一人娘の幸子の婿にと考えた。命を受けた倉持専務が縁結び運動にのりだした。驚いたのは、医務室の女医で桑原の恋人の敬子である。土井関西支社長が緊急事態の情報をもって上京した。商売仇の日の出食糧が、浜名湖の養鰻場のうなぎを一手に買占める計画に出たというのだ。外国向けうなぎの缶詰の大口注文を受けている太陽食料には大ショックの報だ。三沢社長、土井支社長、随行の桑原の三人は早速名古屋にとんだ。三沢社長は銀座のバーのマダムえみ子に連絡して。途中、百子という女に財布をスられたりの災難にあい、ようやく浜名養鰻の近藤社長の自宅を訪れた。近藤社長はのらりくらりのうなぎ姿勢。ゴウをにやした三沢社長は土地の芸者を総動員してご接待。だが、近藤社長夫人の妹で売れっ子芸者〆丸が桑原と意気投合してコップ酒の飲みくらべを始め、せっかくの宴会もオジャンになった。東京へ向った近藤社長を追って東京へ戻った三沢社長は、えみ子のバーへ顔を出した。ところがえみ子と近藤社長はただならぬ仲。そこへ、桑原と彼を追ってきた〆丸が顔をみせた。東京での浮気が〆丸に見つかれば浜松の夫人に筒抜けと近藤社長は大あわて。三沢社長のとりもちで無事おさまり、そのかわりうなぎは太陽食料へという契約が成立した。桑原も、社長のとりもちで敬子とハッピー・エンドと相なった。




j22-130. 釣りバカ日誌7

監督 栗山富夫
出演 西田敏行三國連太郎浅田美代子名取裕子山岡久乃
1994年 (松竹) 97分

解説
おなじみ日本一の釣りバカコンビの活躍を描くシリーズ第8作。やまさき十三・作、北見けんいち・画の同名漫画( 「ビッグコミック・スペリオール」 連載、小学館・刊)をもとに、栗山富夫が監督。脚本は山田洋次、高橋正圀、関根俊夫の共同、撮影は安田浩助が担当。

ストーリー
鈴木建設社長の通称スーさんこと鈴木一之助は、福井県へ出張の折り、釣りの師匠である営業三課のダメ社員、通称ハマちゃんこと浜崎伝助と連絡を取り合い若狭湾で豪快なチヌ釣りを楽しんだ。その時、偶然出会った美女・田上彩子を2人は釣りに誘い、すっかり仲良くなる。数日後、突然歯痛に見舞われた一之助はとっさに近くの歯医者に飛び込むが、そこに診察に現れた女医こそ彩子だった。一之助は本格的に釣りを始めようかという彩子の釣り具を選んでやり、週末、一緒に釣りに行く約束をする。その晩、伝助からも釣りの誘いがかかるが、その日は香港に出張だととっさに嘘をついてしまった。その週末、予定通り彩子と船釣りに出た一之助は、そこで彩子から彼女は離婚して母と娘の3人暮らしをしていること、福井を訪れたのは別れた亭主に会うためだと聞かされる。そんな時、運悪く伝助に出会ってしまった。一之助の嘘に伝助は怒り心頭に達し、家に帰ってからも、一之助がいくら謝っても愛妻・みち子がいくら説得しても腹の虫はおさまらず、一之助に絶交を言い渡す。売り言葉に買い言葉で一之助も開き直ってしまう。それからしばらくして、重役陣を前に会議中の一之助のもとに、一通のファックスが届いた。それは何と伝助からの辞表だった。驚く重役陣を前に釣り仲間に裏切られた思いを切々と説く伝助。とにかく社長として受理できないと一喝した一之助は、一計を案じ、メバル釣りの誘いをファックスで伝助宛てに送る……。こうして2人はまた仲良くなり、彩子も元の亭主とヨリを戻すことになり、一見落着となるのだった。




j22-131. 釣りバカ日誌8

監督 栗山富夫
出演 西田敏行三國連太郎浅田美代子柄本明室井滋
1996年 (松竹) 111分

解説
おなじみハマちゃんとスーさんの釣りバカコンビが巻き起こす騒動を描く人気コメディ・シリーズの通算第9作。 「男はつらいよ」 の併映を離れて、94年の 「釣りバカ日誌S」 以来の夏興行登場となった。監督は 「釣りバカ日誌S」 以外の全作を手掛ける栗山富夫。主演はシリーズの顔・西田敏行と三國連太郎で、 「Shall We ダンス?」 の柄本明と、 「居酒屋ゆうれい」 の室井滋の個性派ふたりがゲストとして出演している。

ストーリー
ハマちゃんこと浜崎伝助とスーさんこと鈴木一之助のふたりは、相変わらずの釣り三昧の毎日を送っていた。ある日、一之助は亡き友人の娘で今は一之助の秘書である榊真理から、父親の三回忌が終わったことを知らされる。忙しさで法事に行けなかった一之助は休日に榊家を訪れ、真理の姉で外科医の和美と久々に再会した。和美は一之助の舌を見るなり大腸検査を勧め、しぶしぶ和美の病院に出向いた一之助は検査の結果、命に別状はなかったが、悪性のポリープと診断される。なんとかお礼をと思った一之助は、和美のデスクに釣り竿があるのに気づき、伝助と約束していた釣りに和美を誘うことにした。一方、伝助には博士と呼ばれる湯川省平という新しい弟子ができていた。省平を紹介された和美はその奇抜なキャラクターに初めは反発していたが、みんなで投げ釣りを楽しむうちに省平をすっかり気に入ってしまい、東京に戻ったふたりは早々に結婚を決めるのだった。ふたりの結婚式の後、伝助と一之助は渓流釣りを楽しんでいたが、一之助が足をくじいたために山道で迷子になってしまう。翌朝、山小屋に避難していたふたりは、タクシー会社から連絡を受けた秋山専務たちが探しにきていることを知って、ふたりの関係を隠すために伝助だけがこっそり山を降りることにした。一之助は無事救出されるが、変装して消防団に混じっていた伝助が佐々木課長に見破られてしまい、関係こそバレなかったものの会社をサボって釣りに出掛けていたことが問題となった。危うく会社を首になりかけた伝助は一之助の機転で危機を脱し、今日も元気に釣りに出掛けていった。





22-132. 座頭市千両首 (Zato Ichi and a Chest of Gold)

監督 池広一夫
出演 勝新太郎坪内ミキ子長谷川待子若山富三郎島田正吾
1964年 (大映) 82分

解説
子母沢寛の原作を 「怪談 鬼火の沼」 の浅井昭三郎と太田昭和が共同で脚色、 「ど根性一代」 の池広一夫が監督した仁侠もの。撮影は 「越前竹人形」 の宮川一夫。

ストーリー
市が三年前こころならずも斬った男の墓参に板倉村を訪れた所、折りしも起きた千両箱強奪事件にまきこまれた。やったのは忠治一家の者だといい、また座頭市も、その一人に数えられた。真実を確めるため忠治に会った市は、樵悴した忠次や、二足わらじをはき代官の先棒をかつぐ紋次に自分の罪のないことを弁明するのだった。事の次第を理解した忠次だが、紋次は代官に密告した。鳴子笛の響く中、市は見事な刀さばきできりぬけた。とある廓に来た市は紋次と代官、用心棒十四郎がたくらんで忠治にぬれ衣をきせる工作と聞き、忠治の許へ急ごうとした市は、村に入って知りあった千代に近道だと案内された吊橋で紋次一味に出会い命を危機にさらした。それから数日後、千両箱の紛失は、二人の処刑にまで発展した。千両箱紛失の犯人と目された座頭市は、必ず千両箱をみつけて身の潔白を証明しようとした。朝靄深い宿場の入口、全身を聴嗅覚にして茶屋の屋根に身をふせた市は、千両箱を運び出そうとする紋次らに会い代官と紋次を斬り千両箱を見事とりかえすのだった。喜ぶ村人を後に、吉蔵の供養と千両箱を千代に渡すと、市は千代の前から遠ざかったが、なおもそれを追う十四郎の姿があった。






j22-133. 座頭市地獄旅

監督 三隅研次
出演 勝新太郎成田三樹夫林千鶴岩崎加根子丸井太郎
1965年 (大映) 87分

解説
子母沢寛の原作を、 「徳川家康」 の伊藤大輔が脚色、 「剣鬼」 の三隅研次が監督した“座頭市”シリーズ第十二作目。撮影もコンビの牧浦地志。

ストーリー
富士の初日の出を拝もうと旅に出た座頭市は、道中襲ってきた五人のやくざを一瞬の早業で手ひどい傷を負わせた。五人組は傷がいえると市を追って旅に出た。その頃市は、江の島まで船旅としゃれこんでいたが、途中船内でイカサマばくちをしているのを知り、逆にイカサマを利用して多額の金をまきあげた。そこで市は、無頼の将棋好きの浪人十文字糺を知った。江の島に着いた市は、船中にいたイカサマ師の親分江島屋に呼びつけられ、白刃にとりかこまれたが、市の手練の早業で江島屋たちは退散した。が、この騒動で通りがかりの門付け芸人お種の連れていた娘ミキが負傷した。傷は悪化して破傷風となった。責任を感じた市は、破傷風の特効薬である南蛮渡りの生薬を買うために十文字からゆずり受けた十文叩きの妙技で金を集めた。市の買いあたえた生薬でミキの傷は全快した。ところが、ミキを連れて湯治に来た箱根で、市はもみ療治をした縁から、病身の若侍友之進とその妹粂、それに彼らの仲間六平と知りあった。友之進らは父の仇を探して放浪の身の上であった。だがある夜仇の顔を知る唯一の男六平が、ツリ糸のようなもので殺された。そして翌朝市は六平が殺された弁天池に、十文字愛用のウキが浮んでいるのをひろった。市の十文字への疑惑がひろがっていった。これを察したのか十文字もそれ以来市に対して殺気をただよわせるようになった。さらに友之進の証言で仇は将棋好きで得意の絶頂に指を鳴らす妙なくせがあることを知った。もう間違いはなかった。それこそ市と将棋をやるときにみせる十文字のくせなのだ。翌日市と十文字は傷のいえたミキとお種を連れて宿を立った。曲りくねった箱根の山中、頭の中で将棋を指しながら歩く二人は互に対決の機の熟すのをうかがっていた。一瞬二人の白刃が躍った。が倒れたのは十文字だった。追いかけてきた五人組を得意の抜き打ちで倒した市は彼を慕って呼ぶミキの声を背に、一人山道を去っていくのだった。




22-134. 忠臣蔵 花の巻・雪の巻 

監督 稲垣浩
出演 松本幸四郎加山雄三三橋達也原節子司葉子
1962年 (東宝) 207分

解説
東宝創立30周年記念映画の1本で、東宝オールキャストで描いた忠臣蔵映画。原節子と横山運平の最後の映画出演作でもある。討ち入りの場面では、伊福部昭の担当した映画音楽では最も有名な「ゴジラ」の登場シーンの音楽が流用されている。有名な「ドシラ、ドシラ」ではなく「ラシド、ラシド・ド・ド・ド・ド」の方で自身が作曲した「SF交響ファンタジー第1番」にもある旋律である。また、オランダ人が出てくる場面では複調の音楽が用いられ、ハモンドオルガンも使用されるなど、伊福部の音楽の中でも実験的な面が見られる。

ストーリー







22-135. リップヴァンウィンクルの花嫁 

監督 岩井俊二
出演 黒木華綾野剛Cocco原日出子地曵豪
2016年 (東映) 180分

解説
ふとした事から知り合ったなんでも屋の男に斡旋され、奇妙なアルバイトに挑む派遣教員のヒロインの姿を描く、岩井俊二監督による人間ドラマ。黒木華が岩井作品の初ヒロインを務めるほか、綾野剛が主人公の人生に大きな影響を与えるなんでも屋を、Coccoがバイト仲間を演じるなど、個性豊かなキャストが顔を揃える。

ストーリー
東京。派遣教員の皆川七海(黒木華)はSNSで知り合った鉄也と結婚し、結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に依頼する。結婚早々、鉄也の浮気が発覚するが、義母・カヤ子から逆に浮気の罪をかぶせられ、家を追い出される。安室は、苦境に立たされた七海に奇妙なバイトを次々斡旋する。代理出席のバイトに続いて斡旋されたのは、月100万円も稼げる住み込みのメイドだった。七海は、破天荒で自由なメイド仲間の里中真白(Cocco)に好感を持つ。真白は体調が優れず、日に日に痩せていくが、仕事への情熱と浪費癖は衰えなかった。ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出し……。





j22-136. 釣りバカ日誌10

監督 栗山富夫
出演 西田敏行三國連太郎金子賢宝生舞浅田美代子
1998年 (松竹) 110分

解説
おなじみの釣りバカコンビ、浜ちゃんとスーさんが巻き起こす騒動を描いたコメディ・シリーズの通算第11作にして、10周年記念作。監督は 「釣りバカ日誌9」 の栗山富夫。脚本は 「虹をつかむ男 南国奮斗篇」 の山田洋次と朝間義隆の共同。撮影を 「釣りバカ日誌9」 の花田三史が担当している。主演は 「虹をつかむ男 南国奮斗篇」 の西田敏行と 「釣りバカ日誌9」 の三國連太郎。ゲストとして 「安藤組外伝 群狼の系譜」 の金子賢、 「プロゴルファー織部金次郎5 ─愛しのロストボール─」 の宝生舞が出演している。

ストーリー
仕事や家族の問題に追われ、忙しい日々を送っているスーさんこと鈴木一之助は、ある日の会議で役員たちと意見が対立。勢いで会社を辞めることを宣言すると、そのまま運転手の前原と西伊豆の駿河湾に釣りに行ってしまう。しかし、楽しい筈の隠居生活は退屈なだけで3日ともつことはなかった。東京へ舞い戻ってきたスーさんは万年ヒラリーマンの浜ちゃんこと浜崎伝助の家にやってくるが、そんなスーさんを見て浜ちゃんは、世の中には定年退職後も再就職して頑張っている人が大勢いるのだとたしなめる。そこで、再就職することになったスーさん。年齢不問のビルメンテナンスの会社に入社して、早速ある会社へ派遣されるのだが、なんとそこは辞めたばかりの鈴木建設だったのである! サングラスとマスクで変装し、元の職場の地下管理室に出勤したスーさんは、茶髪の青年・富田松五郎の助手として働くことになる。ビルのメンテナンスの仕事をして、オフィスを回って歩くスーさん。今まで最上階の社長室から見下ろしていた会社の風景は、地下から見上げるそれとは違って見えた。そんなスーさんの姿に、幸運にも浜ちゃん以外に気づく人はいない。そして休日ともなれば、実は浜ちゃんの釣り仲間であった松五郎や彼の恋人・みどりと釣りを楽しんだ。だが、そんな日々は長くは続かなかった。草森秘書室長に正体がバレてしまったスーさんは、社長の椅子に戻されるのだった。一方その頃、松五郎の子供を身ごもったみどりが、態度の煮えきらない彼に愛想を尽かして田舎へ帰ってしまうという事件が起こっていた。松五郎からその話を聞いた浜ちゃんは、みどりの故郷である北九州の八幡への出張のついでとばかり、松五郎の恋の指南役を買ってでてやることになる。そのお陰で、みどりの頑固な父親も説得することに成功し、松五郎とみどりはめでたく結納式をあげることができる。そして、その祝宴に出席した浜ちゃんとスーさんは、その後、八幡湾で釣りを楽しむのだった。




j22-137. 花のお江戸の釣りバカ日誌

監督 栗山富夫
出演 西田敏行酒井法子山田純大三國連太郎黒木瞳
1998年 (松竹) 118分

解説
おなじみハマちゃんとスーさんのコンビが繰り広げる人情喜劇シリーズの第12弾となる、時代劇作品。監督は 「釣りバカ日誌10」 の栗山富夫。脚本は 「学校III」 の山田洋次と朝間義隆、撮影は藤原三郎。主演は 「釣りバカ日誌10」 の西田敏行と三國連太郎、 「SADA」 の黒木瞳。

ストーリー
釣り好きが元でお抱えの藩をクビになってしまった浜崎伝助は、妹の美津とふたり、長屋で浪人暮らしをしている。いつものように夜釣りに出かけた伝助は、そこでどこか寂しげな隠居・鈴木一之助と出会う。同好の士としてすっかり意気投合したふたりだったが、実は一之助は庄内藩の江戸家老であった。次の日、いつものように仕官の口を求めて面接へ出掛けた伝助だが、特技は夜目が効くことと釣りしかなく、当然ながら面接官たちから総スカンを食らう。しかし一之助の鶴の一声でめでたく採用となった。ところがやはり何をやっても全くダメな伝助。ついついさぼって庭の池で釣りに興じていて、危うく上司に見つかりそうになったところを小浪に助けてもらう。小浪の美しさと優しさに一目惚れしてしまう伝助。しかし、その後の庄内藩と一之助の危機を得意の釣りの腕と夜目が効くことを生かして救った伝助は、「欲しいものを褒美として与える」という一之助の言葉に後押しされて小浪に求婚、めでたく結ばれるのであった。




j22-138. 喜劇 駅前弁当

監督 久松静児
出演 森繁久彌伴淳三郎フランキー堺花菱アチャコ柳家金語楼
1961年 (東宝) 88分

解説
「大学の纒持ち」 の長瀬喜伴のオリジナル・シナリオを 「南の島に雪が降る(1961)」 の久松静児が監督した駅前シリーズの第三作。撮影もコンビの黒田徳三。

ストーリー
浜松市の駅前に「互笑亭」という老舗を誇る駅弁屋がある。未亡人の景子が主で、弟の次郎と二人で店をやっている。ところが次郎は商売を姉に任せっきり。近所の九坊や、ハーモニカ娘の千代、女工トモコなどを集めて、コーラスのリーダー格。と思えば競輪に夢中になったりバー「クララ」の女給あけみに入れあげたりしている。景子の亭主が死んで三回忌の法事の日。故人とは幼友達で、「互笑亭」の相談役として彼女を張っている、織物会社の社長柳田金太郎と、ストリップ劇場を経営、タクシー会社など手広く事業をやっている堀本孫作が、景子より相談をうけた。大阪の大資本家倉持大作という男が、景子の店の拡張に金を出資しても良いと言ってきているので会ってほしいと言うのである。さて、大資本家大作の接待の日がやっで来た。二人がひいきにしている土地の芸者染太郎に、孫作の小屋からはストリッパーのペリー春などを宴席にはべらして大サービス。大作はすっかり上機嫌で融資の話はOKとなった。一方、次郎の方は、あけみにはヒモがあると判ってガッカリ。そんな次郎を慰めているのはお千代ちゃんである。今更のようにお千代の純情に次郎も目がさめたようであった。芸者の染太郎は大作の金持振りにすっかり惚れこんでしまい、二人で温泉にでかける始末。くさった金太郎はペリー春を連れ出して、海岸でヌード撮影。ところが警官にみつかって留置場に入れられる事件があって孫作と次郎は、貰い下げに大慌てである。そこへ温泉宿の大作から景子に呼び出しが来た。銀行関係の人と打合せがあるというのである。だが、これは真赤な嘘で景子を口説き落そうとする大作の罠であった。そこで廊下に飛び出した景子は、昔の恋人で今は銀行員の村井五郎とバッタリ。その五郎から大作が詐欺師であることがわかって大変な騒ぎとなった。そんな騒ぎの最中に台風が本土に上陸してきた。国鉄から「互笑亭」に列車から退避した乗客全部の炊き出しを頼んで来た。騒ぎはおあずけで、皆が炊き出しに夢中になって働いた。それから数日後。景子は店を次郎に譲って村井と東京へ去っていく事になった。駅には皆が送りに来た。景子は皆に祝福されながら第二の人生出発に旅発っていった。





22-139. 悪魔が来りて笛を吹く

監督 斎藤光正
出演 西田敏行夏木勲仲谷昇鰐淵晴子斉藤とも子
1979年 (東映) 108/136分

解説
元子爵、椿家の乱れた人間関係によって生まれた兄妹の起こす連続殺人事件を解決する金田一耕肋の活躍を描く。角川春樹事務所の企画で復活した金田一耕助は東宝で石坂浩二の主演で四本製作されたが、今回は、同じ角川春樹事務所の企画だが、西田敏行の主演で東映で製作された。脚本は 「柳生一族の陰謀」 の野上龍雄、監督はにっかつで 「女の意地」 を監督した後 「太陽にほえろ!」 「青春ド真中!」 などのテレビ・シリーズを手がけている斎藤光正、撮影もテレビで活躍している伊佐山巌がそれぞれ担当している。

ストーリー
昭和22年、銀座の宝石店で、店員数名を毒殺し、宝石を盗みとる凶悪な殺人事件が起きた。椿英輔子爵は、この犯人と酷似していたため、容疑者の一人として取り調べを受けたが関西に旅行中だったというアリバイが立証され、釈放となった。だが、英輔は娘の美禰子に遺書を残して失踪し、2カ月後、死体となって発見された。ところが、英輔の妻、[火禾]子や周囲の人人が自殺したはずの英輔らしき人物を目撃するのだった。脅えた[火禾]子は彼の生存を占う「砂占い」の儀式を行なった。金田一耕助も美禰子や等々力警部の依頼で立会った。出席者は美禰子、[火禾]子をはじめ、[火禾]子の兄の新宮利彦と妻の華子、伯父玉虫伯爵、その妾菊江、書生の三島東太郎、その妹で女中のお種であった。占いのあった夜、玉虫が殺された。調査を進める金田一は三島は英輔と一緒に須磨に行っていたということをつきとめた。事件のカギがそこにあると直感した金田一は須磨に向かった。そこで金田一は意外な新事実を聞いた。それは、三島は[火禾]子と新宮の兄妹の間に生まれた子であり、お種は新宮が別の女に生ませた子であるということだ。その頃、椿邸で新たな事件が発生した。新宮が殺されたのだ。途方に暮れる等々力警部の前に金田一がやって来た。彼にはもう犯人が判っていた。金田一の迷解きによると、別々に育った三島とお種は父親が同じということも知らずに愛し合った。やがて、兄妹ということを知り、結ばれない仲と判った二人は、椿家の血を憎み復讐を誓ったのである。この血こそ、英輔が恥じて自殺した原因であり、そしてまた、美禰子にあてた遺書の中で、この血に敗けないようにと、彼女に近親相姦を描いたルソーの「ウィルヘルム・マイステルの修業時代」を読むことを勧めたのである。まさにそのとき、三島とお種は鎌倉の別荘で静養中の[火禾]子を殺そうとしていた。鎌倉に向かう金田一と等々力警部たち。兄妹から初めて聞かされた恐ろしい真実と悲しい愛の物語に、[火禾]子は自分自身を呪い、体内に流れる血を憎み、窓から飛び降りるのだった。翌朝、浜辺に死んでる二人の兄妹を静かに見つめる金田一の姿があった……。





j22-140. 釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇

監督 本木克英
出演 西田敏行三國連太郎宮沢りえ青島幸男吉岡秀隆
2001年 (松竹) 111分

解説
釣りバカコンビが活躍する人気シリーズ最新作。落ちこぼれサラリーマンのユーモラスな日常に、“老い”や“生”という奥深いテーマを織り込んだヒューマン・コメディ。

ストーリー
ある日、SKFC(鈴木建設フィッシング・クラブ)の会長で、常務の高野が辞表を提出した。故郷の山口県萩市に帰り、長年の夢だった晴耕雨読の暮らしをすると言うのだ。そんな彼のハッピーリタイアメントは、浜ちゃんやスーさんに少なからず衝撃を与えた。それから数日後、スーさんに山口出張の話が持ち上がった。萩の海で釣りをしよう。スーさんの誘いに浜ちゃんの心も浮き足立つ。佐々木課長に泣きついて、なんとか休暇をゲットした浜ちゃん。だが、喜び勇んで萩へ飛んだふたりは、高野の姪である梢から高野が入院していることを聞かされ愕然となった。やがて、帰京した浜ちゃんとスーさんに高野の訃報が届く。取る物もとりあえず萩へ向かった浜ちゃんだったが……彼が会社に出勤して来たのは12日後のことだった。本人は初七日の手伝いや遺産相続でもめる親族の仲裁をしていたと言うが、どうやらその機に乗じて釣り三昧の日々を送っていたらしい。こうして、浜ちゃんはまたしても査問委員会にかけられることになってしまうのだった。




j22-141. 喜劇 駅前競馬

監督 佐伯幸三
出演 森繁久彌フランキー堺伴淳三郎三木のり平山茶花究
1966年 (東宝) 91分

解説
「続・鉄砲犬」 の藤本義一がシナリオを執筆し、 「喜劇 駅前番頭」 の佐伯幸三が監督した“駅前シリーズ”十七作目。撮影は 「新・事件記者 大都会の罠」 の村井博。

ストーリー
ホルモン料理屋「艸々亭」の主人徳之助夫婦、競馬新聞の社長次郎夫婦、それに風呂屋の主人三平夫婦は、亭主がそろって競馬好き、女房はいまだに子供のないのを嘆いているという共通点がある。ある日、馬太郎という男の予想で三十万円の大穴をあてた亭主連は、馬太郎に大ぼらを吹かれて、彼の故郷岩手にいる義経号の馬主になった。ところが、馬太郎は、なかなか義経号を手放そうとしない父親を説得させに鹿子をやっている段階なのだ。それに、義経号は競馬用の馬でないのでさっぱり走らない。ようやく鹿子が義経号をひっばり出してくるとヨシツネヒカリと改名して、猛訓練が始まった。一方、女房たちは子供がないのが自分たちのせいではないと分ると、次郎たちを説得して、子供を産むレースをやることになった。ここに、珍妙な二つのレースが始まり、夜は夜、昼は昼で、それぞれの夫婦は猛ハッスル。そんな時、馬太郎の父孫作が上京してきて、秘策をさずけた。ヨシツネヒカリを風呂に入れて体質改善をはかって理想的な馬を作り上げさらに、孫作の言葉を解するヨシツネヒカリにリモコンスタイルの無線を備えつけたのだ。かくてレースの当日になると、ヨシツネヒカリは優勝の呼び声高いへイケホマレに対抗。だが、孫作の言葉通りに走ったヨシツネヒカリは見事に逆転優勝した。四百万円の賞金に躍り上って喜ぶ三人に、三人の妻君が同じ出産予定日で妊娠したという知らせが届いた。





22-142. ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-

監督 阪本順治
出演 辰吉丈一郎辰吉るみ辰吉寿希也辰吉寿以輝
2015年 (マジックアワー) 82分

解説
「どついたるねん」 の阪本順治監督が、プロボクサーの辰吉丈一郎を20年間に渡って取材した初のドキュメンタリー映画。辰吉の人間性やボクシングに対する考え、一人のボクサーとしての心境の変化を、インタビューを中心に収録している。ナレーションは、 「春を背負って」 の豊川悦司。劇場公開に先駆け、第28回東京国際映画祭パノラマ部門にて2015年10月23日に上映。2016年2月20日よりシネ・リーブル梅田ほか大阪先行上映。

ストーリー
1995年8月、25歳の辰吉丈一郎はJBC(日本ボクシング・コミッション)のルールにより国内戦ができず、海外にリングを求めていた。アメリカ・ラスベガスから始まった取材は、次男・辰吉寿以輝がプロテストに合格した2014年11月、44歳の時までに及ぶ。20年間の様々な出来事で、辰吉の人間性、ボクシングに対する考え、父と子の絆、家族を愛することの大切さ、親として、そして一人のボクサーとしての心境の変化を、インタビューを中心に追い続けた。





j22-143. 釣りバカ日誌17 あとは能登なれ ハマとなれ!

監督 朝原雄三
出演 西田敏行浅田美代子持丸加賀石田ゆり子加藤武
2006年 (松竹) 107分

解説
ゲストに石田ゆり子らを迎え、加賀百万石の城下町、石川県の金沢や能登半島を舞台にハマちゃんが大活躍。その土地ならではの海産物も楽しみな、人気コメディの第17作。

ストーリー
釣りが好きなハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)。ある日、7年前に結婚退職した弓子(石田ゆり子)が職場復帰し、ハマちゃんのいる鈴木建設営業三課に配属された。時折寂しげな表情を見せる弓子を社長の鈴木一之助ことスーさん(三國連太郎)は心配し、ハマちゃんに様子を見るよう頼む。実は彼女は、2年前に離婚していた。弓子に一目惚れした船頭の八郎は、空回り気味なアプローチをし弓子を部屋まで送っていくと、彼女に声をかける美術教師の村井(大泉洋)と会う。数日後、石川県輪島にある実家に帰省した弓子は、出張で石川県に来ていたハマちゃんとばったり出会う。再婚話を持ちかけても断わる弓子がハマちゃんと楽しそうに歩く姿を見て、輪島塗の塗師屋である弓子の兄・聖一(片岡鶴太郎)は二人の仲を疑う。ハマちゃんは弓子からお土産として託された輪島塗のカフスボタンを八郎に渡す。八郎は喜んでお礼を言いに弓子の部屋へ行くと、絵を飾りに来ていた村井と遭遇。二人が付き合っていると思った八郎は、がっくり肩を落として帰る。誤解されたかと心配する弓子に、村井は仙台に赴任先が見つかり、弓子の肖像画を描かせてほしいと恋心をのぞかせながら頼む。起工式のため、石川へ向かうハマちゃんとスーさん。ハマちゃんは弓子に電話し、能登へ来ないか誘う。それを聞いた村井は、自分も行くと言い、弓子にプロポーズする。翌日、村井は聖一に挨拶しようとするが、酒の酔いと極度の緊張で舞い上がってしまい、聖一は結婚を反対する。しかし朗らかな聖一の妻・加代子(宮崎美子)のとりなしにより、聖一は渋々承諾したのだった。




j22-144. 続社長外遊記

監督 松林宗惠
出演 森繁久彌久慈あさみ中真千子桜井浩子岡田可愛
1963年 (東宝) 93分

解説
社長外遊記」 に引続き笠原良三がオリジナル・シナリオを執筆、松林宗恵が監督したサラリーマン喜劇。撮影もコンビの鈴木斌。

ストーリー
丸急デパートのハワイ進出を計って風間社長、大島常務、珍田部長の首脳部は中村秘書課長が待つハワイへ向った。現地に着いた一行は早速関係者を集めて日本料理屋“さくら亭”でパーティを開き、珍芸を披露して一世、二世達の喝采を博した。その夜以来風間はさくら亭のマダム紀代子にぞっこん参ってしまい、昼はハワイ名所でデイト、夜はさくら亭に入りびたりでご奉公という始末。肝心の敷地買収は日系三世のジョージ・沖津にまかせっきりという無責任さ。一方珍田は中村をガイドにしてもっぱら穴場めぐり、フラダンス大会に女装で出場しては見事一位になって国威発揚した。ミス・ハワイ丸急コンテストにはジョージの経営する雑貨店の看板娘キャサリンが文句なく選ばれた。一人ホテルに残された大島は洗濯に大忙し、ある日、風に飛ばされたふんどしを拾ってくれた松本老人と親しくなり、それからは碁盤を挟んで対局の毎日となった。買収をまかせたジョージはキャサリンを口説くのに懸命で、たまりかねた圭之助がやっと交渉をはじめたが時すでに遅く、目指す土地は他人に売約済み。あわてて地主の所へ乗り込んでみると、地主というのは松本老人だった。かねてからの親交で大島が聞き出したところ、新しい持主は意外にも紀代子と判った。早速紀代子のもとへかけつけたが、一足違いで東京へ発ったあとだった。しかもハワイに来ていたライバル福助屋の水谷社長と一緒に出かけたという。大あわての一行はすぐに日本へ帰ることになった。東京での仕事と恋の成果はいかに。




22-145. 名探偵コナン天空の難破船ロスト・シップ

監督 山本泰一郎
2010年 (東宝) 92/102分

解説
少年探偵・江戸川コナンの活躍を描き、幅広い層から支持を受けるテレビアニメの劇場版第14作。人気キャラクターの怪盗キッドが登場し、コナンと空中で壮絶な頭脳戦を繰り広げる。

ストーリー
大富豪の鈴木次郎吉が怪盗キッドに挑戦状を叩きつけた。飛行船内に収められた宝石“天空の貴婦人”を飛行中の6時間以内に盗んでみよというのだ。コナンらもその飛行船に同乗するが、テロリストの襲撃にあってしまう。





j22-146. ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

監督 手塚昌明
出演 金子昇吉岡美穂虎牙光輝小泉博長澤まさみ
2003年 (東宝) 91分

解説
大人気を博した前作 「ゴジラ×メカゴジラ」 の1年後を描く続編。首都・東京を舞台に、3大怪獣が壮絶な戦いを繰り広げる。東京タワーや六本木ヒルズなどの名所が登場するのも見ものだ。

ストーリー
一年前のゴジラとの戦いで、右腕と最大の武器“アブソリュート・ゼロ”を失った機龍(メカゴジラ)の修復に携わる整備士・中條義人と、彼の叔父で、43年前、言語学者として小美人をモスラに返す為に尽力した信一の元に、ある日、インファント島に住む妖精・小美人が現れ、機龍製造に使用したゴジラの骨を海に返せば、モスラはゴジラの脅威に対して全力で立ち向かう用意があることを告げた。以来、義人は機龍の修復作業を続けながらも小美人の言葉が頭から離れなくなる。そんな中、再びゴジラが東京へ上陸した。約束通り、日本に飛来したモスラはゴジラと壮絶なバトルを展開するも、その強大なパワーの前に倒れてしまう。この事態に五十嵐首相は修復不完全なまま機龍出動を決定、ゴジラを迎え撃つ。だが突然、機龍のコントロールが効かなくなってしまった。報を受け機龍修理に向かった義人は、小笠原諸島・曾孫島で生まれた双子のモスラの幼虫がゴジラを牽制する中、義人の気持ちを汲んでくれた小美人の協力もあって機龍修理に成功するが、出口を塞がれ機龍の中に閉じ込められる。義人を載せたまま動き出す機龍。とその時、機龍が暴走を開始した。しかし、義人はそれが機龍の意志で動いていることを感じ取っていた。「これ以上の戦いは望まない、ゴジラと共に海へ帰る・・・」。そして、機龍はモスラの繭でがんじがらめにされたゴジラを抱え日本海溝へと向かうと海底深く沈んで行き、特生自衛隊・機龍隊の如月、秋葉両隊員の活躍によって無事機龍からの脱出を果たした義人は、その様子をいつまでも見守るのであった。が、日本にはまだゴジラのDNAが保管されてていたことを彼らは知る由もなかった・・・。




22-147. 誰かさんと誰かさんが全員集合!!

監督 渡辺祐介
出演 いかりや長介荒井注高木ブー仲本工事加藤茶
1970年 (松竹) 87分

解説
「ズンドコズンドコ全員集合!!」 に続くザ・ドリフターズ主演の 「全員集合!!」 シリーズ第6作。脚本は前作と同じく田坂啓と監督の渡辺祐介。撮影は 「喜劇 冠婚葬祭入門」 の荒野諒一がそれぞれ担当。

ストーリー
白鉢巻に袴姿の碇田長吉の営む、大日本無念塾には、町のヤブ医者忠次、保育園々長兼子守りの風太、板金工の工助、塾の書生ヒデオらがいた。彼らは、長吉の指導方針に反抗する度に“忍耐・服従・献身”の塾三ヵ条を唱えられながら、長吉に竹刀でしごかれる哀れな存在だった。そんなシゴキには自信のある長吉の唯一の悩みは女にもてないことである。女房に逃げられて、残された二人の子供をかかえた彼の日記には、欲求不満の文句がゴタゴタ並べられていた。やがて、この塾も新聞で“エッチな塾長”とさわがれたために、塾生はヒデオら四人以外は全部やめてしまい、極度の経営不振に陥った。しかし、四人は塾が解散すれば自由の身になれると大喜び、長吉の手から逃げだそうとするが、折も折、彼らの前に結城令子という美人が現われた。令子の美貌に惹かれた四人は、たちまち逃亡の意志を捨てた。令子は昼間は保母、夜は芸者という奇妙な生活を始めたが、その令子の独占を夢みる長吉に復讐しようと、四人は令子からのにせラブレターを、長吉あてに送りつけた。陰謀とは気づかず数回手紙の交換をするうちに、令子と婚約したと思いこんだ長吉は、その披露宴を盛大に開いたが、席上、ことの真相に気づいた長吉はヒデオたちをメチャクチャに痛めつけてしまった。その頃、高速道路建設用地にあたりながら地主不明の敷地を売ってひと稼ぎを企む、町のボス新田はその土地が令子の土地であることを知ると、彼女を誘拐した。これを知った五人は令子救出に向うが、逆に新田のワナにはまって監禁された。その夜五人は、村山と名のる新関記者に救い出され、駆けつけた警官隊の手によって新田一味は全員逮捕され、事件は無事落着した。そして、村山が令子の恋人と知ってガックリ気落ちした五人は、長吉から逃げるために作ったポンコツ・カーで、長吉の逃げた女房を探しに出かけるのだった。





j22-148. 釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束

監督 朝原雄三
出演 西田敏行浅田美代子檀れい谷啓星由里子
2007年 (松竹) 114分

解説
22周年を迎えた大ヒット・コメディのシリーズ最新作。西田敏行と三國連太郎の名コンビに、 「武士の一分」 の檀れいをヒロインとして迎え、瀬戸内海で爆笑騒動を繰り広げる。

ストーリー
創業以来、社長として鈴木建設を一流企業に育て上げたスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)が、めでたく会長に就任することに。ところが、全社員を前にしての会長就任挨拶の壇上で、頭が真っ白になってしまい、挨拶の言葉が出てこなくなってしまった。そんな一之助の窮地を救ったのは、ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)だった。その夜、浜崎家を訪れた一之助は伝助とみち子(浅田美代子)に、言葉が出てこなくなった悩みを打ち明ける。数日後、一之助が朝の散歩に出かけたまま、行方不明になったという知らせが届き、新たに社長に就任した堀田(鶴田忍)をはじめとする鈴木建設の重役たちは大騒ぎに。一之助の妻・久江(奈良岡朋子)に泣きつかれた伝助は、仮病を使って会社を休み、わずかな手がかりをもとに、岡山県へ向かう。一之助を捜すはずが、美しい瀬戸内海を見て我慢ができなくなり、海岸で釣りを楽しんでいた伝助は、美しい娘・珠恵(檀れい)と一緒にいた一之助と再会する。一之助は、旧友の墓参りをしていたところを珠恵の母・温子(星由里子)に声をかけられ、温子が大黒を務める寺に身を寄せていたのだ。寺の境内から望む美しい海岸では、大規模なリゾート開発計画が進行していた。珠恵や、彼女の恋人の昌平(高嶋政伸)、昌平の幼馴染の木村(石田靖)ら町の住人たちは美しい自然を守ろうと反対運動を起こしていた。そのリゾート開発の建築を請け負うゼネコンが他ならぬ鈴木建設だと聞き、思わず顔を見合わせる伝助と一之助。住民への説明会が行われると聞いた一之助は、説明会に行って様子を探るよう伝助に頼む。変装した伝助は自分の上司である川島営業部長(村野武範)らを前に、愛する釣りのため、美しい海岸を埋め立ててはならないと、声高らかに開発計画反対を訴えるも、聞き入れてはもらえなかった。この大規模なリゾート開発計画の裏に、ある人物の影を感じ取った一之助は、伝助に極秘の指令を出す。




j22-149. 真田幸村の謀略

監督 中島貞夫
出演 松方弘樹寺田農あおい輝彦ガッツ石松野口貴史
1979年 (東映) 148分

解説
関ケ原の戦いで敗退した真田幸村が、天下統一の野望を成就しようとする家康の首を狙って、真田十勇士と共に、さまざまな謀略に打って出る姿を描く。脚本は 「やくざの墓場 くちなしの花」 の笠原和夫 「団鬼六 縄と肌」 の松本功、 「ひと夏の秘密」 の田中陽造、 「総長の首」 の中島貞夫の共同執筆、監督も同作の中島貞夫、撮影は 「地獄(1979)」 の赤塚滋がそれぞれ担当。

ストーリー
慶長十五年、天下統一の野望を成就しようとする家康は、名古屋城を造営して、大坂城の豊臣秀頼一党を討つための準備を進めていた。一方、真田昌幸・幸村父子は、紀州・九度山で残り少ない家臣と共に、戦いの決意を固めていたが、家康は間者を潜入させ、昌幸を殺害する。幸村の妻・綾は自刃を遂げた。幸村は穴山小助のみを残し、他の家臣を上田城へ帰し、家康側についた兄・信幸と決別、一匹狼の道を選んだ。亡父の意志を継ぎ、家康の首をとる決心をした幸村は、家康の送った服部半蔵に殺されてしまった戸沢白雲斎の残した人名帖から、諸国を放浪する草の者を集めた。白雲斎の師弟の猿飛佐助、海野六郎、望月六郎、女づれの筧十蔵、由利鎌之助、根津甚八、朝鮮人の切支丹、三好伊三入道、三好清海入道と名を改めた切支丹ジュリアおたあなどだ。真田館で特殊訓練が行なわれている中小助と十蔵の女が恋中になり、追放されてしまう。時同じくして、家康がフランキー砲、試射を見に来るという情報が入り、幸村と十勇士はこの時とばかりに出発するが、この計画を見抜いていた家康は半蔵の忍者部隊を送りだし、幸村は片目を射抜かれ、やっとのことで逃れた。家康はこの機を逃すまいと、幸村達を豊臣が雇った牢人と決めつけ、豊臣氏に叛逆の意図ありと口実をつくり、徳川連合軍四十万を大坂へ向けて進撃させた。一六一四年十月大坂冬の陣の始まりである。軍資金目当の者、ひと旗上げようとする者が大坂に集まった。幸村と十勇士も大坂へ向かった。大坂城本丸では徳川を迎え打つ軍議が開かれ、籠城を主張する豊臣譜代衆と、野戦を主張する幸村達牢人衆が対立するが、淀君の一言で籠城と決定する。幸村は鉄壁の出城、真田丸を作って籠った。そこへひょっこりやって来た小助と女たちを、幸村は、天竺渡りの麻薬を持たせて徳川陣営に送り込んだ。このため、翌日の合戦は真田軍の圧勝に終った。一方、家康は密かに和議の交渉を進め、数日後、フランキー砲の偶発に淀君は大仰天、いっきに和議に話を進めてしまう。和議が済むと家康は大坂城の堀を埋めつくし、裸同然の無防備な城に一変させてしまう。家康の首を取るまでは、戦いの火は消すまいとする幸村。清海入道の説得で秀頼は再戦を決意一六一五年四月大坂夏の陣は起こった。勝利の見込みのない自滅的な戦闘だった。そして、五月八日、炎に包まれて大坂城は落城。豊臣が崩壊し、家康は勝利の美酒に酔う。凱旋の行列中に、「我こそは幸村なり」突込んで来る一騎。次々と飛び込んで来る十勇士の幸村。「我こそは幸村」の魔性の声に右往左往する家康は、死に物狂いで馬に飛び乗り逃げ出した。それを追う幸村只一騎。そして夏の熱光の中へ鮮血噴き上げ、家康の首が宙へ舞った。




22-150. ザ・ドリフターズのカモだ!!御用だ!!

監督 瀬川昌治
出演 いかりや長介加藤茶仲本工事高木ブー志村けん
1975年 (松竹) 91分

解説
“ザ・ドリフターズ”シリーズ第15作目。万年ヒラ刑事、チンピラヤクザ、などに扮したザ・ドリフターズが捲き起こす騒動を描いた喜劇。脚本は加瀬高之と 「にっぽん美女物語 女の中の女」 の下飯坂菊馬、監督は脚本も執筆している 「喜劇 女の泣きどころ」 の瀬川昌治、撮影は 「三億円をつかまえろ」 の丸山恵司がそれぞれ担当。

ストーリー
井狩長吉はヒラ刑事生活を二十年も送っているウダツのあがらない男である。彼の妹で元婦警だったとみ子の亭主・中西は、義兄を追い抜き、このほど部長刑事に昇進した。井狩はこの妹夫婦の家に居候しており、二人には頭が上がらない。井狩が弟のように面倒をみているチンピラの加藤ヒデオは、いつも井狩に迷惑をかけるので、井狩は中西を初め、部下の志田刑事にも信用が全くない。そんな井狩にも憩の場所がある。スナック・ブランコである。ママの春代がいつも井狩をなぐさめてくれる。というのも、春代が昔サーカスにいた頃、可愛がっていたゴリラの面影が井狩の顔にあるからだった。ある日、宝石店から時価五億円のダイヤが盗まれ、犯人は捕まったものの、宝石は密売グループに流れてしまった。ところが、暴力団と密売グループが宝石の取引をしている現場にヒデオが居合せ、宝石の入った鞄を横取りしてしまったのだ。しかし、宝石が本物かどうか分らないヒデオは、昔盗品宝石の故買屋をしていて、現在は中華そば屋をしている高井風太に鑑定と売買を依頼した。宝石を見て驚いた高井は、どうもクサイと睨み、元の親分に連絡した。そんな折、ヒデオの姉きん子が田舎から上京した。ヒデオは井狩に、自分がやくざな稼業をしているのを伏せてくれ、と頼み込む。きん子に一目惚れした井狩はヒデオの言う通りにしてやった。悪徳密売グループがヒデオのアパートをキャッチした。しかし、きん子に気がある井狩がヒデオのアパートに入りびたりなので、なかなか踏み込めない。そこでヒデオの友人のエミを使って宝石を奪おうとするが、事情を知ったエミは裏切ってしまう。やがて、密売グループを包囲した警察は、激しい銃撃戦と、ヒデオとエミの機転で密売グループを全員逮捕した。そしてヒデオは、井狩ときん子の前で、これを機会に改心することを誓うのだった。




22-151. ソードアート・オンライン オーディナル・スケール 

監督 伊藤智彦
出演 松岡禎丞伊藤かな恵竹達彩奈戸松遥沢城みゆき
2017年 (アニプレックス) 120分

解説
TVアニメ「ソードアート・オンライン」シリーズは、第15回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原 礫氏による小説が原作となる、謎の次世代オンラインゲーム「ソードアート・オンライン」を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた作品である。2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、全世界での累計発行部数は2,000万部を突破。そして2度のTVアニメ化やゲーム化、コミカライズ、グッズ制作などを行っており、幅広くメディアミックス展開されている。

ストーリー
2022年。天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫
――その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。
それから4年……。
≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。
≪オーグマー≫。
フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン。
≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。
その爆発的な広がりを牽引したのは、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。
アスナたちもプレイするそのゲーム に、キリトも参戦しようとするが……。






j22-152. 座頭市血煙り街道

監督 三隅研次
出演 勝新太郎近衛十四郎高田美和朝丘雪路中尾ミエ
1967年 (大映) 86分

解説
子母沢寛の原作を、 「兵隊やくざ殴り込み」 の笠原良三が脚色、 「なみだ川」 の三隅研次が監督した“座頭市”シリーズ第十七作目。撮影はコンビの牧浦地志。

ストーリー
市が最初に多十郎と会ったのは、五人のやくざに襲われた時だ。一瞬の居合斬りでやくざを倒した市を、多十郎が見ていたのだ。ある旅篭で、市は病死したおみねから、良太を預かった。おみねは夫庄吉を尋ねての旅の途中、病で倒れてしまったのだった。市は良太と共に前原にいるという庄吉を尋ねて、再び旅をつづけた。途中、旅芸人一座のともえと知り合った市は、一座が万造一家に無理難題をふっかけられた時、再び多十郎と会った。多十郎は万造一家に峰打ちをくらわせ、ともえの難儀を救ったのだった。やがて前原に着いた市は、庄吉が働いていたという窯焼きの太兵衛を訪ねたが、庄吉の行方は知れなかった。太兵衛の娘おみつは、そんな市をいたわり、良太の面倒を見てくれた。ある日、代官手附の鳥越の肩をもんだ市は、鳥越の口から庄吉の名を聞いた。鳥越は土地のやくざ権造と組んで、御禁制の金粉、銀粉を使った絵皿を、腕のいい下絵描きの庄吉を軟禁して描かせていたのだった。鳥越の帰りを待伏せた市は、庄吉の居所を聞き出そうとしたが、その時現われた多十郎が鳥越を斬った。多十郎は、鳥越たちの悪事を探るため、前原に来た公儀の隠密だったのだ。一方、万事が公儀に露見したと悟った権造は、良太とおみつを人質にして高飛びの仕度にかかった。市は、権造一家に乗り込み、得意の居合いで、彼ら一味を倒した。しかし、市が庄吉や良太、おみつを救い出した時、多十郎が現われ、役目として、悪事を手伝った庄吉を斬ると言った。市は良太のために庄吉を斬らせたくはなく、多十郎と剣を交えた。その時、多十郎の同僚が庄吉を斬ろうとし、それを市は刀を横手に投げて倒した。素手になった市を多十郎は斬れなかった。多十郎はただ一言、負けたと言い残すと、折りから降り出した雪の中を足早やに去っていった。




j22-153. 続 悪名

監督 田中徳三
出演 勝新太郎田宮二郎中村玉緒浦路洋子二代目水谷八重子
1961年 (大映) 93分

解説
悪名の続篇。スタッフは前回と同じ。

ストーリー
満州事変の頃、やくざの世界から何くわぬ顔で故郷の河内に帰った朝吉は、女房お絹と百姓仕事を始めたが、ある日、弟分モートルの貞の時ならぬ訪問で忽ち化けの皮がはげ、これ幸いと大阪へ逆戻り。今は見るかげもない吉岡親分を見舞った朝吉と貞は、そこの居候で貞の弟分河太郎を預かった。河太郎と女房チェリーが難波新地の親分沖縄の源八に欺されたいきさつを聞くと、朝吉は単身源八の家へ乗り込み、スゴ味をきかして勘定をとり立てた。彼はまた、吉岡を窮地に陥しいれた松島の長五郎の非道に憤激、貞となぐり込みをかけて長五郎を半殺しの目にあわせた。これを機会に足を洗うつもりの朝吉だが、彼の度胸に惚れ込んだ松島一家の元締から、長五郎の縄張りと子分衆を押しつけられようとは!その夜酔って帰った貞は自分の子を宿したお照と間違えて、チェリーを抱いたため大騒動。一方、朝吉はやくざの親分になったことや昔の女琴糸の写真のことやらで、お絹にとっちめられた。売り出しの朝吉に喧嘩状を突きつけたのが、沖縄の源八だ。その結果は意外にも、源八の縄張りと子分まで、朝吉が引き受ける羽目になった。そんな朝吉の許へお絹が琴糸をつれて現れた。琴糸は東京で男に捨てられ、因島のイト親分の家へ帰りたがっている。朝吉と貞は琴糸を因島へ送ってやった。大阪へ帰った朝吉は、チェリーの足ぬきのことから新興やくざ新世界のカポネ一家と対立したが、松島の元締は、利用価値のうすれた朝吉に見切りをつけ、助ッ人を断った。朝吉が自分の一家だけで闘おうと、悲壮な決意を固めた折も折、召集令状が届いた。出発の前夜、朝吉は貞にやくざの世界の醜さを説き、子分たちにも正業につかせるよう訓した。やがて父になる貞を犬死させたくないからだが、数日後、貞はチンピラに刺されて死んだ。戦争とは国と国の縄張り争いみたいなものである。朝吉は「こうゴツイ出入りではムシケラ同然や」と自嘲しながら、果てしない暗黒のぬかるみ道を行軍するのだった。




22-154. 崖の上のポニョ (PonyoontheCliffbytheSea)  

監督 宮崎駿
出演 山口智子長嶋一茂天海祐希所ジョージ奈良柚莉愛
2008年 (東宝) 101分

解説
宮崎駿監督の4年ぶりの最新作。人間になりたいと願うさかなの子ポニョと5歳の少年・宗介との交流を感動的に描く。CGを使わず、手描きにこだわって作られた映像に注目。

ストーリー
海辺の穏やかで小さな町の、崖の上に建つ一軒家で暮らす5歳の男の子・宗介。ある日彼は、海に棲むさかなの子ポニョと出会う。交流を深めていく彼らだが、やがてポニョは、宗介と一緒に生きたいと願うようになる。





22-155. アンフェア the end

監督 佐藤嗣麻子
出演 篠原涼子永山絢斗阿部サダヲ加藤雅也向井地美音
2015年 (東宝) 108分

解説
篠原涼子演じる敏腕女刑事・雪平夏見の活躍を描く、人気シリーズの劇場版3作目にして完結編。刑事だった父親の後を追うように刑事となった雪平が、警察内部の闇に迫っていく姿が描かれる。雪平の上司役の阿部サダヲや相棒役の加藤雅也など、おなじみのキャストが勢ぞろいする。前作に引き続き、佐藤嗣麻子が監督を務める。

ストーリー
ネイルガン殺人事件から4年が経ち、元夫の命と引き換えに国家を裏で操る秘密組織の機密データを手に入れた雪平夏見(篠原涼子)は、最も効果的な反撃の方法を探していた。そんななか、転落死体が発見される。現場で雪平が見つけたのは、10年前の推理小説事件から始まる一連の事件で使用されたものと同一の1枚の栞だった。そこには、“アンフェアなのは誰か?”と書かれていた。そして、転落死体は前作の黒幕・村上克明検事だった。村上殺しの容疑者として警察に拘束されている津島は、「権力組織の闇を暴くために、協力してほしい」と雪平に懇願する。国家の闇を暴き、父の死の真相にたどり着こうとする雪平に、絶体絶命のピンチが訪れる……。







j22-156. ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪リングの超魔神 フーパ

監督 湯山邦彦
出演 藤原竜也山寺宏一中川翔子篠原信一松本梨香
2015年 (東宝) 78分

解説
ゲームボーイの人気ゲームを基に、ポケモンと呼ばれるモンスターを育成し、旅をつづける少年たちの冒険を描くファンタジーアニメの劇場版第18作。かつて、ポケモン同士のバトルによって大きな被害を受けた砂漠の街、デセルシティを舞台に伝説のポケモン同士による激しいバトルが繰り広げられる。最初に「ピカチュウとポケモンおんがくたい」あり。

ストーリー
ポケモンマスターを目指すサトシ(声:松本梨花)とその相棒ピカチュウ(声:大谷育江)はカロス地方を旅する中で、幻のポケモン・フーパとフーパ(声:釘宮理恵)の世話をする少女メアリ(声:中川翔子)と出会った。いたずら好きのフーパは何でも取り出せる不思議なリングを使って大好物のドーナツなど様々なものを取り出し皆を驚かせていた。すっかり打ち解けあったフーパとサトシたちは一緒に旅することにし、砂漠の街デセルシティへ向かう。デセルシティは今ではすっかり落ち着きを取り戻したものの、100年前に起きたポケモン同士のバトルにより甚大な被害を受けた街だった。サトシたちはメアリの兄バルザ(声:藤原竜也)と会うが、バルザの様子がどこかおかしい。バルザは街を壊したポケモンを封印したと言われている『いましめのツボ』を手にしており、ツボから漂う邪悪な気配がやがて影となり、フーパ本来の姿である超フーパが現れる。100年前に街に被害をもたらしたポケモンは超フーパだった。フーパの本来の力がツボに封印されていたが、強大な力がいつしか怒りへと変わり、黒い影をまとった超フーパとして蘇ったのだった。暴走した超フーパは6つのリングからゲンシグラードン、ゲンシカイオーガ、ディアルガ、パルキア、ギラティナ、キュレムという伝説のポケモンたちを召喚。街を守るためにフーパもまたリングで新たな伝説のポケモンたちを呼び寄せ、フーパと超フーパの壮絶な戦いが始まる。




22-157. ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム

監督 サン・マー・メン
出演 ザ・ゴールデン・カップスデイヴ平尾ケネス伊東エディ藩ルイズルイス加部
2004年 (アルタミラピクチャーズ) 98/130分

解説
'66年に横浜・本牧で結成された日本初のR&Bバンド、ザ・ゴールデン・カップス。彼らの軌跡を、クレイジーケンバンドの横山剣ら44名の著名人の証言を交えて映し出す。

ストーリー
1966年、“アメリカ”がすぐ隣に存在した横浜・本牧。ここで結成された“ザ・ゴールデン・カップス”は『長い髪の少女』『愛する君に』といったキャッチーな曲でヒットを飛ばし、折からのGSブームもあって他のGSバンドと同一視されがちだったが、その本質は本格的なR&Bを志向し、日本では他に類を見ない音楽センスと演奏力を併せ持った実力派バンドだった。本作はそんなゴールデン・カップスに多大な影響を受けたミュージシャンをはじめ各界の信奉者総勢44名のインタビューで綴るSIDE-Aと、解散から31年ぶりに行なわれた復活ライヴの模様を収めたSIDE-Bの2部構成で彼らの偉大な足跡を振り返る。ゴールデン・カップスが解散して31年。横浜の街もすっかり様変わりし、本牧の町もかつての賑わいは無くなっていた。しかし、その本牧に、ゴールデン・カップスのオリジナルメンバーがライブを行うというビッグニュースが飛び込んだ。場所はクラブ<MATRIX>に決定し、メンバーは誰からともなく<本牧ゴールデンカップ>に集まりだす。ライブ当日、復活を待ち焦がれた観客の前で、メンバーは大迫力の演奏でこれに応えていく。





j22-158. ONE PIECE FILM Z

監督 長峯達也
出演 田中真弓中井和哉岡村明美山口勝平平田広明
2012年 (東映) 100分

解説
大海原を駆け抜けるモンキー・D・ルフィ率いる海賊団、麦わらの一味の活躍を描く、尾田栄一郎による人気コミックの劇場版アニメ第12作。第10作 「STRONG WORLD」 に引き続き、尾田自身が総合プロデューサーを務め、全海賊抹殺を企む元海軍大将ゼットと、麦わらの一味との戦いが繰り広げられる。ゲスト声優として香川照之らが出演。

ストーリー
古代兵器に匹敵すると言われるエネルギー、ダイナ岩が奪われ、新世界が消滅の危機に晒される。首謀者は“全海賊抹殺”を目的に“NEO海軍”を立ち上げた伝説の元海軍大将ゼット(声:大塚芳忠)。右腕に強力な武器“スマッシャー”を装着し、部下にアイン(声:篠原涼子)やビンズ(声:香川照之)を従えたゼットの牙は、海賊王を夢見るルフィ(声:田中真弓)率いる麦わらの一味にも向けられる。さらに、ルフィたちを追い詰める海軍の正義。一方、その海軍と距離を置き、麦わらの一味の動向を追う青キジ。次々と迫る強大な力を前にしても、ルフィたちは立ち止まらない。新世界の運命を賭けた戦いが、史上最大の興奮を巻き起こす!




22-159. 座頭市喧嘩旅 (Zatoichi)

監督 安田公義
出演 勝新太郎藤村志保島田竜三藤原礼子丹羽又三郎
1963年 (大映) 87分

解説
子母沢寛の原作より、 「江戸無情」 の犬塚稔が脚色、 「対決(1963)」 の安田公義が監督した仁侠もの。撮影は、 「悪名波止場」 の本多省三。

ストーリー
今では、やくざ仲間に勇名をはせる座頭市は、一人旅の途中、堂山支家の喜助という男に呼びとめられ、近く持ち上る下妻一家との喧嘩に手を貸してくれと懇願された。これを見ていたのが、喧嘩相手の下妻一家の助っ人を探していた岬の甚五郎という男であった。三人の浪人に、座頭市と喜助を斬るように、さしむけたが、喜助の惨殺に怒った市の、居合斬りにあい、甚五郎は情婦お久と共にその場を逃れた。再びあてのない旅に出た座頭市は、そこで、お屋敷勤めをするお美津を、武士の手から救った。お美津は手篭めにしようとした若殿に抵抗し怪我をさせたことで、追われていたのだ。が、仕込杖をもち無気味な按摩やくざの姿は、美しいお美津にとって気味悪い存在であった。ある旅篭に泊った時のこと、今は夫婦同然の甚五郎とお久が、このお美津に目をつけ、宿賃稼ぎに、お美津をおかみにさし出そうと企んだが、目あき以上にカンのよい座頭市に気づかれ、失敗に終った。お美津の心の中に、酷いが誠意をつくしてくれる座頭市への信頼感が高まっていった。翌日、お美津を追う藩士を得意の居合い斬りで倒した座頭市は、追う者もいなくなったお美津を好人物の老人夫婦に託して別れをつげた。思慕を隠そうともせず、「一緒に連れていって」とたのむお美津を、片輪者の宿命を負った座頭市は、全て甘い夢とふりきって去っていった。跡をつけていた甚五郎は時機到来とお美津をさらって藤兵衛の所へと連れこんだ。一方座頭市は、堂山一家にワラジをぬぎ、喧嘩の矢面に立つことになった。当日、静りかえった宿場に向いあった、下妻一家と堂山一家。とその一瞬、座頭市のすぐ側で“市さん”と呼ぶお美津の嘆声が! わが耳を疑う座頭市に、せせら笑いながら取引を持ちかける甚五郎の声が非情に響いた。





22-160. 座頭市果し状 (The Blind Swordsman and the Fugitives)

監督 安田公義
出演 勝新太郎野川由美子三木本賀代待田京介志村喬
1968年 (大映) 82分

解説
子母沢寛の原作を、 「ひとり狼」 の直居欽哉がシナリオを執筆し、 「妖怪百物語」 の安田公義が監督した“座頭市”シリーズ第十八作目。撮影は 「講道館破門状」 の宮川一夫。

ストーリー
>秩父街道を旅する市は、とある宿場町に着いた。たまたま浪人者、弦八郎や松五郎一家に斬られた百姓を医者順庵にかつぎ込んだことから順庵と親しくなった。順庵は何故か、娘お志律の心配をよそに酒びたりだった。間もなく、順庵の家に世話になった市のところへ、松五郎から迎えが来た。用心棒になってほしいというのだった。断った市をやくざどもは斬りつけたものの、市の居合いの妙技には息をのむばかりだった。そんな市に、弦八郎の女お秋は警告した。その直後、弦八郎は松五郎の依頼で、庄屋の徳左衛門を斬殺した。この暴挙に市は一味の逃亡を妨げようとしたが、弦八郎と対峙した時、短銃で射たれ肩先に弦八郎の刀を受けてしまった。市の手当てをしたのはもちろん、順庵父娘だが、松五郎たちはすぐさま追ってきた。しかし、市の姿は順庵の家から消えていた。順庵とお志津は松五郎の機織場に連れこまれ、拷問を受けた。一方姿を隠していた市は知らせを受けて松五郎一家に乗り込んだ。傷口から血を流し、よろめきながらだったが、市の闘いぶりはすさまじかった。順庵とお志津を安全な場所に逃がすと、仕込杖を握り斬って斬って斬りまくった。やがて阿修羅のように斬りまくるその市の前に、弦八郎が現われた。間合いを計った弦八郎は大刀を一閃、とび違った市の仕込杖がキラリと光った。倒れたのは弦八郎だった。その時、様子を見に来たお志律と順庵は、倒れた弦八郎にすがりついた。弦八郎は順庵の息子だった。やむを得ない仕儀とはいえ、またしても人を斬り、順庵父娘を悲しみに追いやった市は自分がいやにならざるを得なかった。宿場町を黙って去っていく市の肩は重い。





22-161. 春だドリフだ 全員集合!!

監督 渡辺祐介
出演 いかりや長介加藤茶仲本工事高木ブー荒井注
1971年 (松竹) 89分

解説
東京の下町を舞台に、落語の世界に生きる人たちの姿をコメディー・タッチで描く。脚本は 「出所祝い」 の田坂啓、監督は脚本も執筆している 「喜劇 夜光族」 の渡辺祐介。撮影も同作の荒野諒一がそれぞれ担当。

ストーリー
ここは、三重県のある城下町のストリップ小屋。ストリップの合間に小噺を一席ぶっている一向に目の出ない落語家なまづ家源五郎は、この興行を仕切っている県会議員の中本竜三が大の小柳ルミ子のファンであるのを知ると、ルミ子とは大変親しいと大風呂敷を広げてしまう。竜三はとりあえず手付金三十万円を彼に渡し巡業を頼んだから大変である。東京に戻った源五郎は、彼女の出演しているテレビ局に出かけるが、マネジャーから断わられガックリ。頭にきた源五郎は師匠の家に立ち寄ると、芸の説教をされ、果てはいかり亭長楽に変名させられる。その夜、気分一転とばかり長楽はいきつけの焼鳥屋で飲んでいるうち加藤ヒデオという青年と知り合い、無理矢理弟子にして、芸名もいかり亭茶楽と命名。二人は、長楽の幼馴染の今川焼屋高木の二階を借りた。その隣には、荒川忠次、文子、エリ子の三人兄妹が住んでいる。忠次はヤクザ者で、文子が二三代という名で芸者をして生計を立てていたが、その二三代に、長楽が惚れ、茶楽はエリ子に惚れてしまった。そんなある、屋賃の不払に業を煮やした高木の女房テツ子は、二階の一部屋を中本という学生に貸してしまう。数日後竜三が上京してきた。「東日本憂国同志会」の宴会が箱根で催され、その招待を受けたのだ。その夜、竜三は息子の工作を訪ね、今川焼屋にやってきた。襖一つ隔てた隣りの部屋に竜三がいることを知った長楽はガタガタ震えた。翌日文子に、ある政治家の二号になる話がもちあがった。義理と人情の板ばさみの末、彼女は二号になることを決心し、箱根の宴会場に向った。この話をエリ子から聞かされた長楽たちは芸者姿に扮装して箱根に向った。宴会はメチャクチャになり、そのため文子の二号になる話は解決したものの、長楽は竜三に見つかってしまった。それから一年後、一躍マスコミの寵児となった茶楽の後に、鞄持としての長楽の姿があった。





22-162. ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

監督 金子修介
出演 新山千春宇崎竜童吉田瑞穂大橋明
2001年 (東宝) 105分

解説
平成「ガメラ」シリーズの金子修介監督が、ゴジラ映画に初挑戦。新たな設定をもとにゴジラを脅威の存在に徹しさせ、怪獣たち、そして人類との壮絶な戦いを描く最新作。

ストーリー
グァム島沖で消息を絶った米原子力潜水艦の捜索に向かった防衛海軍が、海底でゴジラと思われる生物を発見した。48年前、ゴジラの上陸で家族を失った防衛軍の立花准将は、ゴジラ襲来を警戒するよう軍上層部に促すも、平和に慣れきった軍は自らの兵力を過信し、立花の言葉を黙殺する。同じ頃、日本各地で若者たちが何物かに襲撃されるという事件が起こっていた。BS放送局デジタルQのB級オカルト番組のリポーターで、立花の娘である由里は、友人でサイエンス・ライターの武田が持って来た護國聖獣傳記にあるバラゴン(婆羅護吽)、モスラ(最珠羅)、ギドラ(魏怒羅)の日本古来の怪獣が眠っている場所と事件発生現場が一致していることを掴み、調査を開始。謎の老人・伊佐山からゴジラは太平洋戦争で命を散らした人々の残留思念=怨念の集合体であること、ゴジラから大和の国を護るべく聖獣たちが永い深い眠りから覚醒するであろうことなどを聞き出すのであった。そんな矢先、ゴジラが焼津に上陸。更にバラゴンが地中から出現し、ふたつの怪獣が箱根で激突する。だがバラゴンは以前よりパワーアップしているゴジラの敵ではなく、バラゴンを倒したゴジラは東京へ移動を始めた。やがて、ゴジラは横浜に出現した。迎え撃つモスラとギドラは、壮絶なバトルを展開。しかし、ギドラもモスラの力を借りてキングギドラへと姿を変えるも、遂に力尽きてしまう。ところがその時、3聖獣が光となってゴジラを海中へと引きずり込んだ。ゴジラを撃退するには聖獣と共に戦うしかないと考え、D-03ミサイルを搭載した特殊潜航艇さつまに乗り込んでいた立花准将は、この時をチャンスとばかりさつまもろともゴジラの体内へと突っ込んで行く。そんな父親の姿に心打たれた由里は、報道へのプロ意識に目覚めゴジラとの戦いを最後まで放送することを決意し、レポートを続けた。そして、ゴジラの体内D-03を発射し、ゴジラを倒すことに成功した立花准将は、無事、生還を果たす。だが、海の底では死んだ筈のゴジラの心臓がまだ鼓動を続けていたのである。





22-163. 大冒険 (The Crazy Adventure)  

監督 古沢憲吾
出演 植木等谷啓団令子ハナ肇犬塚弘
1965年 (東宝) 106分

解説
「続西の王将・東の大将」 の笠原良三と 「海の若大将」 の田波靖男が共同でシナリオを執筆、 「日本一のゴマすり男」 の古沢憲吾が監督したクレージー・キャッツ結成十周年記念映画。撮影は 「日本一のホラ吹き男」 の飯村正。

ストーリー
“ニセ札旋風、日本に上陸!”と植松唯人が書いた「週刊トップ」のスクープは日本中を騒然とさせた。国民に不安を与えまいと秘密捜査を進めていた警視庁でも、これを機に総力をあげての公開捜査にふみきり、捜査一課の花井部長刑事と乾、市橋両刑事も畑違いの仕事にかりだされた。がこのスクープで一番あわてたのはニセ札偽造団で、組織の秘密がもれては一大事と、殺し屋をさしむけて植松を狙った。一方、植松は自分の記事が大間題になっているとはつゆ知らず、相変らず発明熱にうかされていた。このスクープも、もとはといえば、親友の発明狂谷井と組んで作った天然色複写機を実験していた最中、材料に使った一万円札が、ほかの一万円札より色が薄いことに気づいたことがはじまりなのだ。また植松の自称恋人の産業クラブに勤める谷井の妹悦子は、森垣金融の社長久美子を通じて知りあった大社長の御曹子石崎に、しつっこく追いまわされていた。これを知った植松は気が気でなく、谷井にたのんで、悦子の居所が一目でわかる探知機を作って貰った。ところがニセ札組織の魔の手は悦子にまでおよび、ある日悦子は何者かに連れ去られてしまった。あわてた植松と谷井は探知機を頼りに悦子を追った。だが、この二人の行動を怪しいとにらんだ刑事三人がその後を追い、さらに殺し屋たちが、それに続いた。こうして善悪入り乱れた追撃戦が東京を振り出しに、名古屋、犬山、岐阜、神戸と続き植松はこのピンチをもちまえの機転と大冒険の連続できりぬけた。こうしてやっとの思いで、ニセ札偽造団のひそむ、潜水艦にたどりついた植松と谷井だが、悦子との対面もつかの間、一味につかまってしまった。そしてニセ札偽造団の本拠地に連行された二人は、生きていたヒットラーに死刑を宣告されあわやという時、二人をつけてきた刑事たちの連絡で、国連軍連合艦隊が出動し、本拠地に砲撃を加えた。あわてふためいた偽造団は谷井がいたずらしたミサイルによって自爆してしまった。悦子は、植松の命がけの愛をうけいれ、二人はハネムーンに旅立っていった。




j22-164. ゴジラ×メカゴジラ

監督 手塚昌明
出演 釈由美子宅麻伸中尾彬水野久美喜多川務
2002年 (東宝) 88分

解説
過去3度も戦ってきた宿敵メカゴジラが復活。アイドル・釈由美子を主演に、フルCGで描かれたメカゴジラと怪獣王ゴジラとの死闘をド迫力のVFX映像満載で描く。

ストーリー
1999年。49年振りに日本に上陸したゴジラに、全く歯が立たなかった特生自衛隊(対特殊生物自衛隊)。その“メーサー砲”オペレーターである家城茜三尉は、戦いの中、自らのミスで上官を死なせてしまい、資料課への転属を言い渡される。一方、政府は湯原教授ら各分野のエキスパートを集め、49年前に“オキシジェン・デストロイヤー”によって死滅したゴジラの骨をベースにした生体ロボット“機龍”(メカゴジラ)の開発に着手。4年後の2003年、遂に“MFS-3 3式機龍”が完成する。ところがその披露式典の途中、再びゴジラが上陸。機龍オペレーターに選抜された茜は、早速、機龍を出動させるが、そのDNAコンピュータに使用されたゴジラのDNAがゴジラの干渉を受け、暴走を始めてしまう。その後、湯原教授による改良がなされ、三度上陸を果たしたゴジラに対し、機龍出撃命令が下った。茜のコントロールの下、ゴジラと壮絶なバトルを繰り広げた機龍は、最大の兵器、絶対零度砲“アブソリュート・ゼロ”をしてゴジラを倒すことは叶わなかったものの、撃退には成功するのであった。




22-165. カイジ2 人生奪回ゲーム

監督 佐藤東弥
出演 藤原竜也伊勢谷友介吉高由里子生瀬勝久香川照之
2011年 (東宝)

解説
福本伸行の同名コミックを実写映画化し、人気を博したサスペンスドラマの第2弾。藤原竜也扮する伊藤カイジが、莫大な借金返済のために命がけのゲームに挑む姿をハイテンションで描き出す。今回は福本伸行自ら脚本に携わり、原作にはないゲームを考案するなど、原作ファンやアニメファンも楽しめる展開になっている。

ストーリー
伊藤カイジ(藤原竜也)は数々の命懸けのゲームに勝利し、多額の借金を帳消しにした。しかし、まさに人生の逆転を果たしたと思ったのもつかの間、1年も経たないうちに再び借金まみれの負け組になっていた。カイジは再逆転をめざし、当たれば10億円以上を稼げるモンスターマシーン、通称“沼”に挑む。裏カジノの若き支配人・一条聖也(伊勢谷友介)は、ただでさえ難攻不落の“沼”を、さらに絶対に攻略できないようにコントロールしていた。実は一条とカイジの間には、驚愕の因縁があった。地上300メートルの超高層ビルの間に渡された細い鉄骨を渡るという命懸けのゲームで、渡りきったのが一条とカイジの2人だけだったのだ。そんな最大最強のライバルである一条が支配する“沼”を攻略するため、カイジはそれぞれの理由でどん底の人生を送る負け組の石田裕美(吉高由里子)、坂崎孝太郎(生瀬勝久)、そして前作でカイジの行く手を阻んだ利根川幸雄(香川照之)と手を組む。負け組4人は希望ある人生を奪回するため、命懸けで数々の究極のゲームに挑む。





22-166. 屍者の帝国

監督 牧原亮太郎
出演 細谷佳正村瀬歩楠大典三木眞一郎山下大輝
2015年 (東宝映像事業部) 120分

解説
09年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の作品3本をアニメ映画化する“Project Itoh”の第1弾。伊藤が遺した未完の原稿を円城塔が書き継いで完成させた長編が原作。死体蘇生技術が発達し、“屍者”を労働力として活用している19世紀末のロンドンを舞台に、屍者に関する技術を記した 「ヴィクターの手記」 を巡る壮大なドラマが繰り広げられる。

ストーリー
19世紀末のロンドン。技術進歩により死体を蘇らせることに成功、屍者を労働力に充てていた。英国政府の秘密組織ウォルシンガム機関に呼ばれた医学生ジョン・ワトソンは、100年前にヴィクター・フランケンシュタイン博士が遺した『ヴィクターの手記』を探すよう密命を受ける。その書には、生者同様に意思を持つオリジナルの屍者ザ・ワンを生み出した技術が記されているらしい。ワトソンは新型の屍者を率いて叛乱を起こしたロシア帝国軍従軍司祭である屍者技術者アレクセイ・カラマーゾフが姿を消したアフガニスタン奥地へ向かうことに。カラマーゾフが新型の製造にあたり『ヴィクターの手記』に記された技法を用いたことが十分考えられた。すべての行動を記録する屍者フライデーを伴い、ワトソンの旅が始まる……。




22-167. ワンピース ONE PIECE FILM STRONG WORLD

監督 境宗久
出演 田中真弓中井和哉岡村明美山口勝平平田広明
2009年 (東映) 113分

解説
原作コミックは累計発行部数1億7000万部を突破、テレビアニメも10周年を迎える人気シリーズの劇場版第10作。原作者による完全描き下ろしストーリーで壮大な戦いが繰り広げられる。

ストーリー
伝説の海賊王ゴールド・ロジャーが遺した“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を巡って、海賊たちは壮絶な戦いを繰り広げていた。そんな海賊に憧れていた幼い少年ルフィ(声:田中真弓)は、村に滞在していた大海賊・赤髪のシャンクスの戦利品である“悪魔の実”を食べる。そして体が伸びるゴムゴムの能力を得るが、ひきかえに一生泳げない体になる。さらにルフィは、シャンクスと敵対する山賊団の怒りを買い、海に投げ込まれる。溺れたルフィが海獣に襲われそうになったところを、シャンクスがその片腕を犠牲にして救い出す。シャンクスはルフィに、立派な海賊になったら返しに来いと自分の麦わら帽子を渡す。10年後、ルフィは航海に出発する。航海の途中で、三刀流の達人ゾロ(中井和哉)、元女盗賊の航海士ナミ(岡村明美)、パチンコの名手ウソップ(山口勝平)、料理と足技の達人サンジ(平田広明)、医術に秀でた青っ鼻のトナカイ・チョッパー(大谷育江)、謎めいた考古学者ロビン(山口由里子)、機械人間の船大工フランキー(矢尾一樹)、ガイコツ剣士の音楽家ブルック(チョー)を仲間に加える。こうして、サウザント・サニー号を操り、“偉大なる航路(グランドライン)”を進んでいたルフィ海賊団の前に、海賊王と並ぶ力を持った悪魔の実の能力者・金獅子のシキが立ちはだかる。




22-168. DOCUMENTARY of AKB48 to be continued

監督 寒竹ゆり
出演 AKB48
2010年 (東宝映像事業部) 120分

解説
2010年の流行語に選ばれるなど、国民的アイドルグループとして絶大な人気を誇るAKB48。2010年の彼女らの活動に密着し、その成長と苦悩をとらえた初のドキュメンタリー。シングル 「桜の栞」 でPV監督を担当した岩井俊二が製作総指揮を、 「天使の恋」 の新鋭・寒竹ゆりが監督を務め、少女たちのありのままを映し撮っている。

ストーリー
5年前、観客わずか7人の状態からスタートした秋葉原の弱小アイドルグループが、シングル100万枚を超すまでにブレイクした激動の2010年。一つのグループにあっても、それぞれの置かれた立場によって少女たちの表情は様々。突然の人気に戸惑いつつも、自分を見失うまいと誓う初期メンバー。努力が結果になって表れる手応えに自信をつける次世代メンバー。そして、憧れのAKB48に加入できたと思った直後、過酷な生存競争に呆然とする新入生たち……。選抜メンバーに選ばれて踊り出したいほど嬉しくても、肩を落とす仲間を気遣うことで育まれてきた“絆”。雑誌の隅に自分の顔が載ったと言っては喜び、立ち位置が30センチ下がったと言っては悔し涙を流す。いつ披露できるかわからない振付を黙々と練習する孤独なメンバー。彼女にチャンスの女神は訪れるのか?横浜アリーナ、代々木第一体育館でのコンサートを始め、シングル選抜総選挙、シングル選抜じゃんけん大会、そして海外公演まで、カメラはこの一年間の全活動に完全密着。さらにメンバーの個人密着撮影も敢行。1人の少女としての喜び、葛藤、成長、夢を、日常風景を通じて描き出す。




22-169. DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on

監督 高橋栄樹
出演 AKB48
2011年 (東宝映像事業部) 120分

解説
いまや知らない人はいないほどの人気を誇る国民的アイドル、AKB48に迫ったドキュメンタリー 「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued」 の続編。東日本大震災の被災地を何度も訪れたり、精力的な活動を繰り広げた彼女らの2011年の動向に迫りつつ、前作では描かれなかったグループの中の光と影が映し出される。

ストーリー
まぶしいスポットライトの裏で、少女はがっくりと肩を落としていた。6年間、エースとして、選抜メンバーとして脚光を浴びながら、プレッシャーと強烈な孤独に向き合ってきたその華奢な体は、どれほどの重荷に耐えてきたのだろうか。傷つくとわかっていても、夢に向かい、ステージに上がっていく彼女たちが、手に入れたもの、失ったものとは何なのだろうか。シングルCDではミリオンセラーを連発し、コンサートは3日間で9万人を動員。『じゃんけん大会』などのイベントでさえ、チケットは瞬く間に完売する。テレビ、雑誌などで、AKB48を見ない日はないというほどの活躍を見せているが、表舞台の華やかさだけが彼女たちの本当の姿ではない。本作は、AKB48の転機となった激動の2011年に密着し、独占インタビューとともに、その光と影をカメラに収めていく。東京、グアム、台湾、シンガポール、そして東北各地へ分刻みで飛び回る彼女たちの息づかい、流れる汗とともに、その内面にまで迫っていく。東日本大震災を経て、アイドルとして、人間として自分たちにできることを模索する彼女たちの瞳にあふれる、涙の意味とは。彼女たちは何を思い、どこへ向かおうとしているのか。




22-170. DOCUMENTARY of AKB48 No flower without rain

監督 高橋栄樹
出演 AKB48
2013年 (東宝映像事業部) 127分

解説
ミリオンヒットを連発する国民的アイドルグループ、AKB48の2012年の活動に迫ったドキュメンタリー。グループ誕生以来、ずっとセンターを務めてきた前田敦子の突然の卒業宣言、総選挙で1位に帰り咲いた大島優子の心境、そして8月の初の東京ドーム公演など、怒涛の勢いで駆け抜けた同年の活動を、インタビューを交えて描き出す。

ストーリー
※ドキュメンタリーの為、ストーリーは割愛します。




22-171. 紅の豚

監督 宮崎駿
出演 森山周一郎加藤登紀子岡村明美大塚明夫関弘子
1992年 (東宝) 93分

解説
22年代のイタリアを舞台に、豚に変身してしまった飛行機乗りの夢とロマンを描いたアニメ。原作・脚本・監督は 「魔女の宅急便」 の宮崎駿。作画監督は賀川愛と河口俊夫が共同でそれぞれ担当。

ストーリー
第一次大戦時、イタリア空軍のエース・パイロットだったポルコ・ロッソ。彼はある事がもとで自分に魔法をかけ、豚に姿を変えた。今ではアドリア海にはびこる空賊を捕らえる賞金稼ぎ。その彼を煙たがる空賊達はポルコを倒すため、アメリカのパイロット、ドナルド・カーチスを雇い入れた。腕はやたら立つくせに、どこか陽気で女に惚れっぽい気のいい奴だ。彼は、エンジンの不調に手を焼くポルコを待ち伏せて、まんまと撃墜に成功する。ポルコのかつての飛行機仲間であり、今はホテル・アドリアーノのマダムであるジーナに一目惚れしていたカーチスは、ポルコがいない間に彼女に言い寄るが、私には待っている人がいると、あっさりかわされてしまう。ポルコは壊れた愛機を馴染みの修理工場ピッコロ社へと運び込む。そこで出会うピッコロの孫娘・フィオ。艇の設計改造をやるという彼女に、ポルコは一旦は憤慨するものの、熱意に満ちた彼女に負けて全てを任せてしまう。快活で屈託のない彼女の姿がポルコには新鮮に映った。そして完成したポルコ艇は想像通り完璧だった。やがてフィオはポルコ艇に乗り込み、彼と行動をともにする。蘇った艇を操り、ようやくアジトに戻ったポルコたちを待ち受けていたのは、例の空賊どもだった。地上でポルコを襲う彼らの卑劣さにフィオは激怒し、彼らにポルコ対カーチスの再試合を迫る。そこへ颯爽と登場するカーチス。高飛車に出ようと格好をつけるカーチスだったが、フィオを見るなり再び一目惚れ。彼女を賭けるという条件で話に乗ってしまう。決闘の前夜、ポルコはフィオにせがまれるままに、第一次大戦での体験を語った。そして遂にやって来た決闘当日、大勢の空賊やフィオに見守られながら大空中戦を繰り広げるポルコとカーチス。果ては2人の殴り合いとなりポルコはカーチスを倒すのだった。





22-172. 座頭市逆手切り (Zato Ichi and the Doomed Man)

監督 森一生
出演 勝新太郎藤山寛美滝瑛子明星雅子石山健二郎
1965年 (大映) 77分

解説
子母沢寛の原作を、 「新鞍馬天狗」 の浅井昭三郎が脚色、 「忍びの者 伊賀屋敷」 の森一生が監督した“座頭市”シリーズ第十一作目。撮影もコンビの今井ひろし。

ストーリー
もぐりバクチの罪で捕った座頭市は、牢内で無実の罪で死刑を宣せられたやくざ島蔵から、彼の無実を証明する兄弟分・黒馬の仙八か荒磯の重兵衛親分をたずねてくれるようにと頼まれた。翌朝牢を出た市は、若いやくざ百太郎と一緒になったが、市とは縁の深い青田の鎌十の許へわらじを脱いだ市が、下にもおかぬもてなしをうけるのに腹をたてて市と別れた。数日後大洗の宿で黒馬の仙八を訪ねあてた市は、島蔵の身の上を話して協力を頼んだ。一度はこれをひきうけた仙八だったが、その夜市は黒馬一家に寝込みを襲われた。得意の居合斬りで刺客を蹴散らした市は仙八をしめあげ、役人を買収し島蔵をおとしいれたのは、荒磯の重兵衛であることを聞きだし、さらに黒馬一家に監禁されていた妖艶な女お米を救けた。その後お米は市を慕って、どこまでも後を離れようとはしなかった。それからまた数日、市は百太郎の扮するニセ座頭市に悩まされながらも、島蔵の身を案じて、荒磯の重兵衛の許に急いだ。そのころ島蔵の娘お千代は、何とか島蔵を救おうと、必死の思いで重兵衛に嘆願した。しかし重兵衛は、そんなお千代の弱身につけこんでお千代の身体を奪おうとした。が、危機一髪かけつけた市は、必殺の逆手斬りで重兵衛の仔分をなぎたおし、重兵衛に島蔵の無罪を証明させる書付を書かせた。そこで市は、お千代から百太郎が島蔵の息子であることを聞かされた。市は早速重兵衛の書状を、刑場にはこばれる島蔵の許に届けた。無罪を証明されて涙を流してよろこぶ島蔵をあとに、市の孤影は鹿島灘の砂丘に消えていった。必死に後を追うお米をしたがえて……。






22-173. 鋼の錬金術師 嘆きのミロスの聖なる星 (Fullmetal Alchemist: The Sacred Star of Milos)

監督 村田和也
出演 朴口美釘宮理恵高本めぐみ三木眞一郎折笠富美子
2011年 (松竹=アニプレックス) 110分

解説
錬金術師エドワード&アルフォンス兄弟の過酷な旅を描いた荒川弘の大ヒットコミックのテレビアニメ、その劇場版第2弾が登場。物語の舞台“嘆きの丘”で兄弟が出会う少女ジュリア役で 「ヱヴァンゲリオン新劇場版:破」 の坂本真綾、さらにゲストキャラクター役で、お笑いコンビ、ブラックマヨネーズの2人が参加している。

ストーリー
アメストリスの首都セントラルにある中央刑務所。刑期終了を間近に控えたひとりの囚人が、この刑務所から脱獄を果たした。その男、メルビン・ボイジャー(声:森川智之)が操る強力な錬金術に興味を惹かれたエドワード・エルリック(朴ロ美)と弟のアルフォンス(釘宮理恵)は、男の跡を追ってアメストリスの西、大国・クレタとの国境を目指すことになる。彼らがたどり着いた先は、巨大な崖に周りを囲まれた街・テーブルシティ。かつて“ミロス”と呼ばれていたこの地で、ふたりはジュリア・クライトン(坂本真綾)という少女に出会う。彼女の言葉に導かれ、エドワードたちはこの地に隠された血塗られた歴史を知ることになるのだった……。





22-174. 大魔神 (Majin)

監督 安田公義
出演 高田美和青山良彦藤巻潤五味龍太郎島田竜三
1966年 (大映) 84分

解説
座頭市血笑旅」 の吉田哲郎がシナリオを執筆、 「新鞍馬天狗」 の安田公義と 「新鞍馬天狗 五条坂の決闘」 の黒田義之が共同で監督した特撮時代劇。撮影は 「若親分喧嘩状」 の森田富士郎



ストーリー
時は戦国、丹波のある山里の城下に恐ろしい魔神の伝説があった。この魔神は武神によって山奥の岩壁に封じこまれていたが時々暴れ出ようと、地響きをたてて人心を脅かし、領民は魔神封じの祭をして、平和を祈った。その祭の夜、城内に家老大舘左馬之助一味の諜反が起り、城主花房忠清夫妻は討たれ、遺児忠文と小笹の二人は近臣猿丸小源太とともに魔神封じの巫女信夫の手引きで、武神像の傍らの洞窟で成長をとげた。その間勢力を増した左馬之助は重税をかけ、領民の恨みをかった。城増築の大工事の作業員にまぎれた花房の遺臣たちは、連絡のため山を降りた左馬之助の腹臣犬上軍十郎に捕えられた。危難を知った忠文は山を降りたが、またも軍十郎の罠に陥り、取り押えられた。忠文らの安否を気使う信夫は、左馬之助を訪ね、山の神の怒りの恐ろしさを伝え、彼の暴虐なふるまいを戒めた。しかし左馬之助はかえって、山の神像をこわし、花房残党と領民の結びつきを切ると放言し反対する信夫を斬殺、軍十郎に神像破壊の厳命を下した。山に残された小笹と百姓茂助の子竹坊は、忠文、小源太らが明朝処刑されるのを聞き、信夫が亡くなったのを知った。神像破壊にいらだつ軍十郎は、タガネを神像の額に打込んだ。傷口から鮮血が落ちたと見るや、稲妻、雷鳴、地割れが起り、軍十郎は物凄い地割れの中にのみこまれた。小笹らは兄たちの命を気づかい必死に武神像に祈り続け自分の命にかえてもと大滝へ身を投げようとした瞬間、大地は震動して、神像は巨大な魔神の姿となって現われた。城下で大あばれにあばれた魔神は、忠文と小源太の処刑台を紛砕し、左馬之助は魔神の額にささったタガネで城門の柱に釘付けされ息絶えた。さらに村里へ向って猛威をふるいはじめた魔神に、小笹は静まってくれるよう、清い涙を落した。すると魔神の怒りの相は消え、大音響とともに土砂となってその場に崩れた。魔神は小笹の涙で消えたのだ。




22-175. 空の大怪獸 ラドン

監督 本多猪四郎
出演 佐原健二平田昭彦田島義文松尾文人草間璋夫
1956年 (東宝) 82分

解説
翼長270m、体重100トンの大怪獣ラドンをめぐってのスペクタクル。黒沼健の原作から、 「いで湯の姉妹」 の村田武雄と 「リンゴ村から」 の木村武が共同脚色、 「東京の人さようなら」 の本多猪四郎が監督、 「お嬢さん登場」 の芦田勇が撮影を担当。色彩はイーストマン・カラー。主な出演者は、石原忠改め佐原健二、 「兄とその妹」 の平田昭彦、 「婚約指輪」 の白川由美、 「天上大風」 の中田康子、ほかに小堀明男、田島義文、大仲清治など。

ストーリー
九州のある炭鉱で突然、出水事件が起った。技師の河村繁が現場に急行、そこに由造という鉱夫の死体を発見した。警察が捜査に乗出したが、由造と一緒に入坑して姿を見せぬ五郎が犯人と目された。ところが捜査に入坑した警官が更に惨殺された。その晩、ボタ山附近から巨大な怪獣が鋏を振りあげ警官隊に迫ってきた。拳銃を射っても手応えがなく怪獣は坑内に逃込んだ。繁は機関銃を構えた警官と坑内に入ると、そこに五郎を鋏で押えつける怪獣がいた。機関銃で怪獣を倒し五郎を救い出そうとした瞬間、繁は落盤と共に穴へ落ちた。洞窟の中には無数の怪獣がうごめき、更にそれをついばみ今しも孵化しようとする巨大な生物がいた。繁は気を失った。数日後、繁は火山研究所の所員に救われた。しかし記憶喪失症にかかっていた。鉱山では古生物学者の柏木博士らを招き怪獣について研究した。博士は、前世紀にメガヌロンと呼ぶ巨大なトンボがいて、石炭の中に埋れていたその卵が水爆実験による地核の変動で孵化したのではないかと結論した。一方福岡の自衛隊ではジェット機の一倍半の超音速で飛ぶ怪物体を確認、外電はマニラ市の全壊、奄見大島に津波襲来などの被害を報じた。繁は漸く記憶を回復、彼の証言と洞窟内の卵の殻から、柏木博士は空飛ぶ物体をプテラノドンと断定した。プテラノドン略称ラドンとは中世紀に棲息した飛竜の一種で翼長三〇?五〇フィート、始祖鳥としては最大のものだが、これが地底で孵化し全長二七〇フィート、体重百トンを超える巨大さに異常生長したものと推定された。ラドンの飛ぶ速さは音速を超え、衝撃波を起し、そのため東南アジア一帯に被害を生じたのである。航空自衛隊は、阿蘇山付近にラドンがいるとの報にジェット機を向けて攻撃したが三機ほど瞬く間に叩き落された。しかし巧みな攻撃にラドンは翼のつけ根にロケット弾を打込まれ佐世保西海橋付近の海中に大津波を起して突込んだ。が、ラドンは辛くも舞上り西海橋を真二つにして博多市に現われた。地上すれすれに飛ぶ断末魔のラドンの羽ばたきで高層ビルが倒れ市内は阿鼻叫喚の巷と化した。その時、もう一羽のラドンが現れ、手負いのラドンを救出して去った。対策本部は再びラドンの襲来を予想し阿蘇山火口の巣を攻撃。ロケット砲とジェット機の猛攻で火口底は火の海。さすがのラドンも、大噴火のもと、遂に熔岩の奔流に押し流されていった。






22-176. 座頭市二段斬り (TheBlindSwordsman'sRevenge)

監督 title="イノウエアキラ">井上昭
出演 title="カツシンタロウ,ShintaroKatsu">勝新太郎title="ツボウチミキコ">坪内ミキ子title="ミキノリヘイ">三木のり平title="カトウタケシ,TakeshiKato">加藤武title="ハルモトフジオ,FhujioHarumoto,市川小蝦 市川小鰕 井上潔 マキノ潔 春本喜好 春本泰男">春本富士夫
1965年 (大映)

解説
子母沢寛の原作を 「座頭市あばれ凧」 の犬塚稔が脚色 「勝負は夜つけろ」 の井上昭が監督した 「座頭市シリーズ」 第十作目。撮影は 「眠狂四郎炎情剣」 の森田富士郎。

ストーリー
ある朝突然暴漢に襲われた座頭市は、一人を斬り殺し、もう一人の腕を斬り落した。こんな血なまぐさい旅に嫌気のさした座頭市は、昔、あんまの手ほどきをうけた彦の市師匠と、その娘お小夜を麻生の宿に訪ねた。だが、彦の市は殺され、お小夜は宿場の親分錣山の辰五郎のために、今は名も錦木と変え女郎に身を沈めていた。驚いた座頭市は、お小夜のいる丁字楼を訪ねた。しかしお小夜は辰五郎の息のかかった郡代役所の磯田幸右衛門のいうままにならず激しい折檻の末土蔵に閉じ込められていた。土蔵に忍びこんだ座頭市はお小夜から事件のあらましを聞いた。??彦の市は、あんまの最高位である検校位をもらうため、三百両の金を持って京都へ旅立った。が、途中何者かに殺され金をうばわれた。さらに辰五郎は親切ごかしに貸した百両をたてにとり、お小夜を丁字楼の女郎にしてしまったのだ??その夜座頭市は井戸尻軍十郎と名乗る辰五郎の用心棒に呼ばれて肩をもんだ。これ幸いと座頭市は軍十郎からねほりはほりと辰五郎のようすを聞きだしたが、話が彦の市殺しのことになると、軍十郎も口をつぐんでしまった。そんな座頭市の姿をかいま見るもう一人の用心棒門倉小平太の眼には殺気があった。そのころ郡代役所では、八州見廻りによる帳簿調べが始まっていた。門倉は悪事露見を恐れる磯田から百両を奪い取ると、これを知って追いすがる見廻り役を斬りすて単身座頭市と対決した。だが座頭市必殺の剣に門倉はくずれおちた。しかし宿場に帰った座頭市は見廻り役殺しの罪で捕方にかこまれた。辰五郎と磯田の謀略であった。父親を思う軍十郎の娘お鶴に仕込杖を奪われた座頭市は危機に陥った。が間一髪座頭市の義侠心にホレこんだ軍十郎がお鶴から仕込杖を取り座頭市に渡した。うなりをあげる座頭市必殺の二段斬りに、辰五郎も磯田も紅に染まった。






22-177. デスノート 逆襲の天才

監督 金子修介
出演 藤原竜也松山ケンイチ戸田恵梨香中村獅童瀬戸朝香
年 (日活/ジャンゴフィルム)

解説
「このノートに名前を書かれた人間は死ぬ…」という死神のノート「デスノート」。6冊のデスノートが登場する話題作「デスノート Light up the NEW world」の公開を記念して、シリーズ2作を再構築。東出昌大演じるデスノート対策本部の捜査員と池松壮亮演じる“Lの後継者”の視点で、月=キラ(藤原竜也)とL(松山ケンイチ)のバトルを綴っていく。最新作に繋がる衝撃のラストを見逃すな!!

ストーリー
2016年、10年前を思い出させる連続不審死事件が新たに世界中で発生。「デスノート対策本部」の捜査官・三島(東出昌大)は、デスノートの所有者だった“キラ”こと月(藤原竜也)を研究し尽くし、今回の事件を新たなキラの出現と確信する。時を同じくして、そのキラと壮絶な頭脳戦を繰り広げた世界的名探偵・L(松山ケンイチ)の後継者・竜崎(池松壮亮)も、デスノート捜査のために日本にやってくる。三島と竜崎は、新たなキラに対抗するため、月とLそれぞれのデスノートとの関わりを振り返っていた…。正義感の強い刑事・総一郎(鹿賀丈史)を父に持ち名門大学で学ぶ月は、罪を犯したすべての人を罰することができない法制度に疑問を抱いていた。そんなある日、彼は一冊のノートを手に入れる。それは、名前を書くだけで人を殺すことができる「死神のノート」。死神リュークが人間界にもたらしたものだ。これを使えば、犯罪のない社会を実現できる…。月は世界中の犯罪者を粛清し続けた。すると犯罪率は急激に減少。月の行為は“救世主=キラ”として世界中から熱狂的な支持を集めるようになる。犯罪者の連続不審死について総一郎たちが本格的に捜査を開始する中、Lが来日。キラの人物像を的確にプロファイリングしたLは月=キラだと確信するが、決定的な証拠をつかむことができない。一方、婚約者をキラに殺害されたナオミ(瀬戸朝香)は月の恋人・詩織(香椎由宇)を人質に月を追い詰めるが…!? この事件を契機に月は「キラ対策本部」に入り込むことに成功する。その矢先、新たな事件が発生した。第2のキラの出現に、月はLと共に捜査に当たることになる。死神・レムから新たなデスノートを手に入れたのは、アイドルの弥海砂(戸田恵梨香)。キラに心酔する海砂と接触した月は、彼女を利用してLを抹殺しようと決意する!!




22-178. ルパン三世 ルパンVS複製人間

監督 吉川惣司
出演 山田康雄小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗
1978年 (東宝) 102分

解説
モンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」の劇場映画第1作。公開当時のタイトル、および映像クレジット上のタイトルは単に「ルパン三世」であるが、ビデオソフト化の際に他の作品と区別するため、パッケージタイトルとして「ルパンVS複製人間」という副題が付いた。

ストーリー
一人の男が処刑された。その男がルパン三世であることは、鑑識の結果確実だった。が、それを信じない男がいた。
その男・銭形は、狂気に取り付かれたかの様な勢いでルパンが埋葬されているドラキュラ城へと赴き、「物事には、限りってものがあるんだ」とルパンの遺体に自らの手でとどめを刺そうとするが、遺体は爆発してしまい… 「相変わらず殺気立ってんなぁ…とっつあん…」何と目の前に先ほど爆発したはずのルパン本人が現れる。そのルパンの言葉によると処刑されたのはなんと偽者であるらしく、銭形はとりあえずと言わんばかりにルパンを逮捕しようとするも、逃げられてしまう。
ルパンはエジプトでピラミッドから「石」を盗み出した。その石は人間に永遠の生命を与えるとの言い伝えがある「賢者の石」と呼ばれるものだった。それは不二子の依頼だったが、賢者の石を持ってきたルパンに対し、不二子はいつにも増す形で冷淡な態度で応対し、硬化ガスを吹き付けて賢者の石を持ち去ってしまった。そんな不二子もまたある人物に依頼されていたが、マモーを名乗る彼はルパンを使って不老不死に関する品物を集めていた。しかし、ルパンは盗聴器付の偽物を渡したため、マモーに狙われる。不二子はマモーの手を逃れてルパンの前に現れ助けを乞うが、次元と五ェ門は不二子の密告によって痛い目に遭っていたため不二子を許さない。不二子をかばうルパンに愛想をつかした二人は、ルパンのもとを去ってしまう。ルパンと不二子は2人だけの一夜を過ごすことになったが、不二子はまたもルパンを欺き、麻酔薬で眠らせてマモーの部下フリンチに引き渡した。
捕らえられたルパンは、マモーの島でナポレオンやヒトラーなどの歴史に大きな影響を与えた人物らしき人々に出会う。彼らはマモーのクローン技術によって複製された人々だった。マモー自身も1万年前から自己を複製し続けてきた複製人間(クローン)、永遠の命を得た「神」だと自称するが、ルパンは信じない。一方、次元と五ェ門はFBIのゴードンに拘留されてしまう。マモーはアメリカ政府をも脅迫し、医学や生命工学の機密情報を要求していたのだ。白を切る次元と五ェ門はゴードンの上司であるスタッキー大統領特別補佐官の命により釈放され、ルパンの残したメモをもとにマモーの島へと向かう。だが、二人は監視されていた。
そのころルパンは賢者の石と不二子を奪い、島中を逃げ回っていた。そこに助けに来た次元の手によりマモーは射殺され、五ェ門によってフリンチは斬られ、ルパンたちは逃げ出すことに成功する。そして、島はアメリカ軍の空爆によって葬られた。空爆を命じたスタッキーは言い放つ。「この世で神がいるのだとすれば、それは我々だけだ」と。
コロンビアの田舎町にあるホテルへやってきたルパン一行だったが、そこへ死んだはずのマモーが現れ不二子を連れ去り、処刑されたルパンは自分が作ったクローン、いやあるいはそっちが本物で今生きているルパンは…と挑発して消える。直後ルパンの「お前が神なら、奇跡を起こしてみろ」という反発に答えるかのごとく地震が発生し、町は廃墟と化す。ルパンはマモーの力に心が折れてしまった次元の制止を振り切り、単身マモーの本拠地に乗り込み、ついにマモーとの決闘を迎える。





22-179. ハーモニー

監督 なかむらたかし
出演 沢城みゆき上田麗奈洲崎綾榊原良子大塚明夫
2015年 (東宝映像事業部) 120分  (PG12)

解説
09年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の作品3本をアニメ映画化する“Project Itoh”の第3弾。超高度医療社会となった近未来を舞台に、ある犯行グループが起こした数千人規模の命を奪う事件と、13年前に自殺を図った少女たちのその後の物語がつづられる。主人公のトァンを沢城みゆき、ミァハを上田麗奈が演じる。

ストーリー
世界規模で混乱に陥った『大災禍』の後、反動により極端なまでに健康と調和を求める超高度医療社会に移り変わっていった。そんな偽りの世界に反発した御冷ミァハは、彼女のカリスマ性に魅せられた二人の少女とともに、抵抗を示すために自殺。13年後、ミァハと自殺を図ったものの生き残った霧慧トァンは、戦場の最前線で平和維持活動をしていた。そんなある日数千人もの犠牲者を出す事件が起き、世界に激震が走る。犯行グループの声明の中に死んだはずの御冷ミァハの面影を見たトァンは、真相を探るべく立ち上がる。






22-180. 赤穗浪士

監督 松田定次
出演 片岡千恵蔵萬屋錦之介東千代之介大川橋蔵丘さとみ
1961年 (東映) 150分

解説
東映の創立十周年記念映画。大佛次郎の原作を、 「家光と彦左と一心太助」 の小国英雄が脚色、 「新吾二十番勝負」 の松田定次が監督した。撮影もコンビの川崎新太郎。

ストーリー
五代将軍綱吉の治下。江戸市内各所に立てられた高札の、第七条「賄賂は厳禁のこと」の項が墨黒々と消された。この犯人とおぼしき浪人堀田隼人は、目明し金助に追われるが、堀部安兵衛の好意で救われた。赤穂五万石の当主浅野内匠頭は、勅使饗応役を命ぜられた。作法指南役の吉良上野介は、内匠頭が賄賂をしないので事毎に意地の悪い仕打をした。勅使登城の当日、度重なる屈辱にたえかね、松の廊下で上野介に刃傷に及んだ。内匠頭は切腹を命じられた。悲報は赤穂にとんだ。城代家老大石内蔵助を中心に総勢六十余名が殉死と決まった。上野介の長子綱憲を当主とする上杉家の家老千坂兵部は、上野介お構いなしという片手おちな幕府の処断を聞いて心痛した。兵部と内蔵助はかつての親友であった。兵部は清水一角に命じ、腕ききの浪人者を集め、上野介の身辺を守らせた。隼人も附人の一人となった。兵部は妹の仙に、内蔵助らの動静をさぐることを命じた。隼人も赤穂に赴いた。内蔵助は、殉死を誓った同志に仇討ちの意志を打開け、城を明渡した。内蔵助は京都山科に居を構え、祇園一力で遊蕩の日々を送った。妻子も離別した。そしりの中で、ただ一人兵部だけは内蔵助の心中を知っていた。内蔵助は立花左近と変名し、東下りした。三島の宿で本物の左近と会うが、彼の情ある計らいで事なきをえた。内蔵助は討入りを決意し、瑶泉院を訪れ言外に今生の別れをとげた。元禄十四年十二月十四日、大雪の中を本所松坂町の吉良邸に討入った内蔵助ら四十七士は上野介の首級をえた。引揚げる赤穂浪士たちを見送る人々の中に、兵部の姿があった。「やがてわしも死ぬ、大石とあの世で会うのが楽しみだ」とつぶやいた。そばには隼人への想いを抱いてたたずむ仙の姿があった。





22-181. 新選組(1958) 

監督 佐々木康
出演 片岡千恵蔵山形勲片岡栄二郎徳大寺伸仁礼功太郎
1958年 94分

解説
「不敵なる反抗」 の高岩肇のオリジナル・シナリオを、 「直八子供旅」 の佐々木康が監督、 「花笠若衆」 の三木滋人が撮影するお馴染みの新選組ものだが、今回は鞍馬天狗が登場する趣向が目新しい。出演は 「奴の拳銃は地獄だぜ」 の片岡千恵蔵、 「鴬城の花嫁」 の大友柳太朗、 「唄祭り三人旅」 の東千代之介、 「浪人八景」 の長谷川裕見子、 「伊那の勘太郎」 の千原しのぶ等の豪華キャスト。色彩は東映カラー。

ストーリー
新選組の横川ら三人が、見世物一座の勘兵衛を、理由なく斬り殺して逃げた。会津の小鉄はそれを新選組の道場に怒鳴りこんで、近藤勇の知遇を得るようになった。横川らは近藤勇と対立する関副長の部下であり、関の助けで道場を逃げだしたが、沖田総司らに追われ、山中で捕った。そのとき、沖田の危いところを助けたのは、杉作を連れた鞍馬天狗だった。横川には商家から金をゆすった事実があり、それがどうやら関の命令でやったらしいのだ。何に使う金か。 月形半平太は祇園で鞍馬天狗と維新のことを協議する。その帰り、半平太は雛菊に送られて、“月さま、雨が”“春雨じゃ、濡れて行こう” 近藤勇は関の手下に夜道を襲われた。勇は関の仕業と知っても黙っていた。関は穣夷派と通じ、挙句は新選組を脱退して行く。その別離の宴で土方は彼を斬ろうとするが、近藤は止めた。近藤が静養に行った留守、土方は討幕派の浪士に対してテロに移った。が、その都度、鞍馬天狗が風の如く現れ、浪士を救った。近藤勇は静養先で半平太と知り合う。土方らは鞍馬天狗のかくれ家を襲い、杉作を捕えた。それを、救いにきた天狗を隣室にいた近藤は見逃す。人一人を斬ったところで何になろう。 小鉄は死んだ勘兵衛の娘お春を助けて、商売を続けさせていた。関らが長州の者と結び、祇園祭を期して京都に火を放ち、クーデターを行おうとしている(関はこれで金が必要だったのだ)のを、偶然のことで小鉄は知った。彼らに気づかれ、崖に追いつめられた。傷つきながらも彼は新選組の陣屋にたどりつき、そのことを知らせる。当日、新選組は池田屋を襲い、関らを全部倒す。その報せに天狗は薩摩へ発ったが、月形は近藤と対決した。二人は刀を抜き合う。が、邪魔がはいった。 新選組が長州征伐へ発つ夜、陣屋に月形が訪ねてきた。近藤を説得にやってきたのだ。が、もの別れとなる。近藤を関が銃で狙ったが、心ならずも関の方についていた藤堂が身代りに撃たれ死んだ。近藤らは大阪へ向って発った。行手には討幕の令を受けた、鞍馬天狗を先頭にする薩摩軍がいた。小鉄は彼に従おうとしたが、いさめられ、お春を助けて江戸へ向った。






22-182. 大魔神逆襲 (Majin Strikes Again)

監督 森一生
出演 二宮秀樹堀井晋次飯塚真英長友宗之山下洵一郎
1966年 (大映) 87分

解説
大魔神怒る」 の吉田哲郎がシナリオを執筆、 「陸軍中野学校 雲一号指令」 の森一生が監督した“大魔神”シリーズ第三作目。撮影はコンビの今井ひろしと前作 「大魔神怒る」 の森田富士郎で、特技監督にも前作同様黒田義之があたっている。



ストーリー
荒川飛騨守の命令で地獄谷での武器作りに狩り出された瓜生の村人たちは、隙あらば逃げ出そうとしていたが、木樵りの三平は捕えられて殺された。救出しようにも、崇りを恐れられている魔神の山を越えねばならず、しかも飛騨守の軍勢が警護を固めている。そんな時、四人の少年、金太鶴吉、大作、杉松は地獄谷に向った。魔神の山の崇りを説く老婆をふり切り、地崩れを切り抜けて四人が頂上に着いた時、そこには、意外に優しい顔立ちの武神像があった。そして、その上の空には、神のお使い番といわれる大鷹が舞っていた。だが、地獄谷に向った四人は飛騨守の兵に追われて激流を下ったが、まず、金太が流れに呑まれ、杉松、大作も奥山の深い雪の中で気を失った。少年たちを追う兵たちは、しかし、突然現われた大鷹に喉を食い破られ、鶴吉は助かったが、大鷹もまた、瀕死の兵の一弾に、雪を紅く染めて死んだ。その鷹を葬った鶴吉は、魔神の崇りに触れたと思い、断崖から身を躍らせた。その頃、村人たちが少年の身を案じて山の頂上に来た時、武神像の額から血が滴たるのを見た。そして、武神像は一瞬の間に、魔神の形相に変ると、地響きと共に地獄谷に歩き出した。その途中、不思議なことが起った。魔神の身体から出た金色の光が、凍死寸前の少年たちと、死んだ大鷹を甦らせたのである。一方、武器製造を終えて近隣諸国を侵略しようとした飛騨守は、用の済んだ村の男たちを処刑しようとした。だが、大魔神が雪を割って現われ、軍勢を踏み潰し、飛騨守もまた魔神の宝刀に串刺しにされてしまった……。やがて、魔神は、美しい雪の花模様に変わると、風と共に空に飛び散っていく。そして、その空高く、神のお使い番の大鷹が悠々と舞っていた。




22-183. 怪談 (Kwaidan)  

監督 小林正樹
出演 三國連太郎新珠三千代渡辺美佐子岸惠子仲代達矢
1964年 (東宝) 179分

解説
小泉八雲の“怪談”より和解(黒髪)、雪女、耳無抱一、茶碗の中の話、を 「甘い汗」 の水木洋子が脚色 「切腹」 の小林正樹が監督した文芸もの。撮影もコンビの宮島義男。



ストーリー
〔黒髪〕昔京都で生活に苦しんでいた武士が、貧乏に疲れ、仕官の道を捨てきれずに、妻を捨てて、遠い任地へ向った。第二の妻は、家柄、財産に恵まれていたが、我侭で冷酷な女であった。男は今更のように別れた妻を慕い、愛情の価値を知った。ある晩秋の夜、荒溌するわが家に帰った男は、針仕事をする静かな妻の姿を見て、今迄の自分をわび、妻をいたわり、一夜を共にした。夜が白白と明け男が眼をさますと、傍に寝ていた妻は髪は乱れ、頬はくぼみ、無惨な形相の経かたびらに包まれた屍であった。
〔雪女〕武蔵国の若い樵夫巳之吉は、茂作老人と森へ薪をとりに入り、吹雪に出会って、山小屋に閉じこめられた。その夜、若者は、老人が雪女に白い息を吹きかけられて殺されたのを目撃したが、巳之吉は「誰にも今夜のことを話さないように。話したら必ず殺す」と言われ助けられた。三十近くなった巳之吉は、森の帰路出会った、美しい娘お雪を妻に迎え、子供も出来て、仕合せな日々を過していた。正月も真近にひかえたある夜、子供の晴着に針を運ぶお雪の顔をみて、山小屋の雪女を思い出した巳之吉は、妻に思わずその話しを聞かせた。お雪は「それは私です」と言うと、うらみを残して吹雪の中に消えていった。
〔耳無抱一の話〕西海の波に沈んだ平家一門の供養のために建てられた赤間ケ原に、抱一という琵琶の名人がいた。夜になると、寺を抜け出し、朝ぐったりして帰って来る抱一を、不審に思った同輩が、秘に後をつけると抱一は、平家一門の墓前で恍惚として平家物語を弾じていた。平家の怨霊にとりつかれた抱一は、高貴な人の邸で琵琶を弾じていると思っていたのだ。寺の住職は、抱一の生命を心配すると、抱一の身体中に経文を書き、怨霊が迎えに来ても声を出さないよう告げた。住職の留守に迎えに来た怨霊の武士は、返事がないまま、抱一の琵琶と耳を切って持ち帰った。住職が耳に経文を書くのを忘れたのだ。以後抱一は耳無抱一と呼ばれ、その名声は遠く聞こえた。
〔茶碗の中〕中川佐渡守の家臣関内は、年始廻りの途中茶店で、出された茶碗の中に、若い男の不気味な笑い顔を見た。それは、茶碗を何度とりかえても、同じように現われた。豪胆な関内は、一気に飲みほして帰ったものの、不思議に思った。佐渡守の邸に帰った関内を、見知らぬ若い侍が訪ねて来た。その顔は、茶碗の底の不気味な顔であった。問答の末、関内は男を斬ったが、男は音もなく消えた。帰宅した関内は、三人の侍の来訪を受けた。今日の若い侍の家臣と称する三人は、来月十六日に主君が今日の恨みを晴らしに来ると告げると、関内の刀をかわして、影のように消えた。





22-184. 三度目の殺人 

監督 是枝裕和
出演 福山雅治役所広司広瀬すず斉藤由貴吉田鋼太郎
2017年 (東宝=ギャガ) 124分

解説
主演・福山雅治&監督・是枝裕和という「そして父になる」のコンビが再びタッグを組んだサスペンス。裁判で勝つためなら真実は二の次と割り切っていた弁護士が、担当した殺人事件の闇にはまっていく姿を描く。得体の知れない不気味な容疑者を役所広司、事件の鍵を握る被害者の娘を広瀬すずが演じる。

ストーリー
ある日、工場の社長が殺され、元従業員で殺人の前科を持つ三隅が起訴された。犯行を自供し、死刑がほぼ確実となるが、弁護を担当することになった重盛は無期懲役に持ち込もうと調査を始める。ところが、三隅の供述が会うたびに変わったり、動機さえも二転三転するなど、次第に重盛のなかで違和感が生まれていく。




22-185. 若い人 (Flesh Leaves)  

監督 西河克己
出演 石原裕次郎吉永小百合浅丘ルリ子三浦光子大坂志郎
1962年 (日活) 90分

解説
石坂洋次郎原作を「草を刈る娘」のコンビ三木克巳が脚色、西河克己が監督した青春ドラマ。撮影は「事件記者 拳銃貸します」の萩原憲治。

ストーリー
青い空とそれよりももっと青い南の海につつまれたこの町の女学校は、今日も若い娘たちの歓声でわきかえっている。新人教師間崎は全校中の人気のまとだったが、生徒の中に一人かわった娘がいた。江波恵子、頭がよく美人で、勉強ができるくせにわざとしないでいる妙にひねくれたところがある。年若い女教師の橋本スミ子は、間崎のおうようさと、やさしさが恵子の心を救えるのではないかと考えていた。それは、恵子の大胆な作文から私生児である彼女がさまざまな悩みの末、大きな男の愛に飢えていることを知ったからだ。恵子の母親ハツは不幸な女だった。若い時には生活苦のため何人もの男に近づき、いまでも場末のいかがわしい所で飲み屋をやっていた。そのハツを連れて間崎の下宿を訪れた恵子は「橋本先生は私を嫌ってるの、だからきっと間崎先生が好きなのよ」と真面目くさっていうのだった。修学旅行の日が来た。東京最後の夜、行方不明になった恵子を、間崎はやっと見つけ出した。「先生、好き、このままどこかへ行っちゃおう……」ひたむきな顔でじっと間崎を見あげた恵子は駄々っ子のように泣きじゃくった。こんなことがいつの間にか“恵子が妊娠した”といいふらされてしまった。間崎に対するスミ子の態度は冷たかったが、あるとき「いま、先生を必要なのは江波さんです」というのだった。“俺が本当に愛しているのはこの人だ”間崎ははっきりと自分の愛を知った。と同時に、その言葉の裏に秘められたはげしいスミ子の愛の炎も感じとっていた。ある夜、決心した間崎はハツの飲み屋をたずねて行った。大喜びで迎えた恵子だったが、喧嘩の仲裁に入った間崎はケガをしてしまった。翌朝急を聞いてかけつけたスミ子に、ハツはわざとらしく恵子の介抱ぶりをいいふらし、たまらなくなったスミ子は早々に立ち去った。学校に向かう間崎を送ってきた恵子は「先生、橋本先生と結婚なさい」といい放って、来た道をスタスタと戻っていった。それを見送りながら間崎は恵子の将来を憂慮しつつも己が道を歩もうと決意するのだった。




22-186. 若草物語 (Four Young Sisters)  

監督 森永健次郎
出演 芦川いづみ浅丘ルリ子吉永小百合和泉雅子浜田光夫
1964年 (日活) 84分

解説
「風と樹と空と」 の三木克巳がオリジナル・シナリオを執筆、 「ああ青春の胸の血は」 の森永健次郎が監督した青春もの。撮影もコンビの松橋梅夫。

ストーリー
若い後妻を持った勇造に気づかって、高村家の由紀、しずか、チエ子の三人姉妹は秘に伊丹空港から長姉早苗の嫁先へ家出を決行した。美しい三人の前には早くも、羽田空港でポルシェを運転する青年が近づいた。末娘の現代っ子チエ子につられて、三人は車で早苗の団地にやって来た。狭い団地生活に、早苗は仕方なく貯金を出して、三人のためにアパートを貸りてやった。由紀としずかはデパートに、チエ子は試験に落ちて姉に内緒でアルサロ勤めを始めた。だが、いたずらに飲んだお酒がバレて、即日やめさせられる始末だ。そんなある日、由紀は幼馴染の矢坂次郎に会った。次郎はTVニュースのカメラマンであった。お互いに成長した姿を見た二人は、胸のときめきを感じた。その日から次郎は、時々アパートを訪れて姉妹と親しくなった。ある日三人姉妹と次郎それにチエ子の友達の健吉らは、スキーに出かけたが途中次郎は取材で由紀たちと別れた。淋しい思いをしていた由紀の前に偶然ポルシェの男、野沢圭一が現われ、四人を別荘に招待した。三人が帰京した翌日、勇造が妻弘子と喧嘩をしてやって来た。激しくののしって追い帰した由紀に、しずかは怒りを感じて次郎のアパートに走った。とまどう次郎は、しずかを下宿に置くと取材に出ていった。心配して次郎に相談に来た由紀は、しずかを見て嫉妬を感じた。旅行から帰った次郎は由紀に愛情を告白した。だがそんな由紀の前に、圭一がしばしば現われるようになった。豪華な雰囲気をもつ圭一に、由紀は巨絶出来ないものを感じていた。しずかはそんな由紀の態度に怒りを覚えた。数日後、由紀は圭一と婚約した。次郎は、慰めるしずかに「由紀ちゃんの気持は解る」と話して、酒をあをった。由紀が新婚旅行に発つ日、旅立つ次郎の跡を追うしずかの美しい青春の姿があった。




22-187. 愛と死の記録

監督 蔵原惟繕
出演 渡哲也吉永小百合中尾彬浜川智子佐野浅夫
1966年 (日活) 92分

解説
民芸の大橋喜一と小林吉男が共同で脚本を執筆、 「愛の渇き」 の蔵原惟繕が監督した純愛もの。撮影は 「涙くんさよなら」 の姫田真佐久。

ストーリー
ある朝、松井和江は勤め先の楽器店の前で、危うくオートバイにはねられそうになり、持っているレコードを割ってしまった。そのオートバイに乗っていたのが印刷会社に勤める三原幸雄であった。その事件を機にふたりは急速に近づいていった。そして毎日のように会った。しかし幸雄の親がわりになっている製版班長の岩井は幸雄の恋を知って深刻な表情になった。幸雄は四歳の時被爆し、両親を失った。苛酷な運命を忘れかけた頃、突然幸雄は発病して原爆病院へ入院したが、四カ月で回復、それを機会に岩井の世話で内外印刷に入ったのだった。しかしいつまた発病するかわからなかった。ある日幸雄が作業中に貧血で倒れた。ついに来るものがきたという感じであった。その夜の幸雄は和江にはまるで別人のように見えた。幸雄は放心したように別れを告げると走り去ってしまった。数日後、幸雄は平和公園で和江に自分の運命を語った。しかし和江は熱愛の眼差しで励ますのだった。幸雄の入院中も和江は幸雄の回復を信じて毎日看病に通った。全快を祈って黙々と千羽鶴を折る和江をよそに、幸雄の病状は悪化するばかりであった。そして八月末幸雄は死んだ。悲しみにくれる和江は、被爆者の病院長や、両親から早く幸雄を忘れて新しい幸福を見つけるように慰められた。和江は数日すると、なぜか見違えるように明るくなった。和江は幸雄とはじめて会った日に行った喫茶店「ばんび」で置物のばんびを貰うと、それを病院へ贈った。その裏側には、幸雄と和江の名前が並んで書かれてあった。和江が幸雄の後を追ったのはそれから間もなくのことであった。




22-188. あゝひめゆりの塔 

監督 舛田利雄
出演 吉永小百合浜田光夫和泉雅子遠山智英子浜川智子
1968年 (日活) 125分

解説
「喜劇 ニューヨーク帰りの田舎ッペ」 の若井基成と、 「恋人をさがそう」 の石森史郎が共同でシナリオを執筆し、 「昭和のいのち」 の舛田利雄が監督した戦争秘話。撮影は 「関東刑務所帰り」 の横山実。

ストーリー
昭和十八年、太平洋戦争の戦局は、米軍の反攻によって日本には不利に展開していた。沖縄ではまだ、戦争感は薄かった。沖縄師範女子部の和子は級友のトミらと運動会を楽しんでいた。和子が師範男子部の順一郎と知りあったのはその頃だった。昭和十九年になると戦局は悪化、米軍の物量作戦の前に沖縄も戦場になろうとしていた。和子ら学生は、一日の半分を陣地構築に従事する毎日がつづいた。やがてサイパン島が玉砕。学童は内地に疎開が決ったが和子の母は、その船に乗ったものの、潜水艦に撃沈されてしまった。和子は弟の武と二人きりになってしまった。グラマン機が那覇市を襲ったのは十月。師範学校の校舎も焼け、空襲は連日のようにつづいた。島には非常戦時体制がしかれ、女子学生は臨時看護婦として、男子学生は鉄血勤皇隊となって陸軍と行動を共にすることになった。昭和二十年。和子たちは米軍上陸の直前、証書も賞状もないさびしい卒業式を行なった。間もなく米軍が無血上陸してから激戦が続き、負傷兵も増えたが、満足に手当てもされずに死んでいった。米軍は日ましに島を制圧していった。病院は南に移動することになったが、歩けない患者には自決が求められる有様だった。そんな中で和子の級友光子は死に、勝江はあまりにも悲惨な状況の中で発狂した。またトミは下半身にグラマンの射撃を浴びて重傷を負い、自ら青酸を飲んだのだ。その頃、順一郎は伝令として銃火の中を走り回っていた。彼は、和子の弟武が壮烈な最期を遂げるのを目撃したが、それを和子に告げることはできなかった。和子たちが新しい病院にしたのは真壁の大洞穴である。しかしもう医薬品もなく、重傷患者は次々と死んでいった。そんな時、校長が死んだ。そして、その遺体を収容しようとした和子たちをかばって、順一郎は敵の機銃掃射で死んだ。もはや和子たらは最後の時が近いのを知った。生き残った和子たち九人の女子学生と、昭喜名先生たちは円陣をつくり、思い出の歌「想思樹の歌」を歌うのだった。彼女たちの手には自決用の黒い手榴弾がにぎられていた。




22-189. 幕末純情伝 

監督 薬師寺光幸
出演 渡辺謙牧瀬里穂杉本哲太伊武雅刀木村一八
1991年 (松竹) 105分

解説
新選組の沖田総司は女だったという奇抜な設定で、幕末を舞台に沖田を巡っての坂本竜馬と土方歳三の三角関係を描く歴史コメディ。つかこうへい原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は 「愛人・悦楽の午後」 の薬師寺光幸。撮影は 「病院へ行こう」 の浜田毅がそれぞれ担当。

ストーリー
江戸の大通り、新選組隊員の募集広告の立札の近藤勇と土方歳三の前に一人の道場破りらしい若者が現れる。美男子で見事な剣さばき、数人の追手をなんなく峰打ちにしてしまったその男こそ沖田総司だった。所変わって京都・鴨川、新選組の近藤や総司が造形船を窺っている。船の中にいるのは桂小五郎と坂本竜馬。衆目も気にかけず大声で薩長同盟や倒幕論議をしている。そんな彼らに新選組は立ち向かうが、竜馬は何を勘違いしたのかいきなり総司に抱き着き、壮烈な切り合いの中で強引に口説き始めるが、その時、総司は吐血してしまい、倒れてしまう。鴨川の活躍で新選組の評判は一気に高まった。特に総司の人気はすさまじい勢いで、総司の病床には女の子のファンからのお見舞いが山をなしていた。一方、倒幕の秘策を練る桂や岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通を尻目に竜馬は大胆にも朝幕大連合政権の大風呂敷広げ、朝廷はおろか、幕府にも工作を計っていた。そして、なぞの女スパイ・深雪も絡み、京の町は大混戦となる。総司たちの活躍もますます勢いに乗るが総司は女だというのも旋風のように走った。そして、総司の一途な思いをよそに、深雪に熱を上げる土方。その総司を追い回す竜馬。そんな新選組に冷水を浴びせたのは、他ならぬスポンサー松平容保の手にした請求書の束だった。活躍のあまり、器物破損のツケがまわってきたのである。新選組はその活躍ゆえに全員クビになってしまう。さらにそんな時、総司が桂たちにさらわれてしまう。いきり立った竜馬は土方と共に斬り込み助け出す。そして、何とか逃げのびた三人が寺田屋旅館の一室でシャモ鍋をはさんでいた時、その表では偽の倒幕の密勅を手にした桂たち一軍が旅館を取り巻いていた。それを知って落胆した竜馬は、自決するかのごとく脇差しを手にとり総司に斬り込む。悲しみを秘めて総司は竜馬を斬ってしまい、竜馬の笑っているような死顔を土方と共に何も言わず、見つめるのだった。




22-190. 3月のライオン後編 

監督 大友啓史
出演 神木隆之介有村架純倉科カナ染谷将太清原果耶
2017年 (東宝=アスミック・エース) 140分

解説
羽海野チカの人気コミックを、 「るろうに剣心」 シリーズの大友啓史監督が、神木隆之介主演で実写映画化した2部作の後編。孤独な青年棋士が三姉妹との出会いを通して成長していく姿を描く。主人公を癒す三姉妹を倉科カナ、清原果耶、新津ちせが演じ、ライバルの二海堂を特殊メイクによってまるで別人に変身した染谷将太が熱演する。

ストーリー
零が川本家の3姉妹と出会ってから1年がすぎようとした頃、将棋界では毎年恒例の獅子王戦トーナメントが始まろうとしていた。幸田は頭のケガで緊急入院し、後藤は入院中の妻の容体に心を痛め、二階堂は難病を抱えながらも戦おうとする。棋士たちはそれぞれが試練に立ち向かうが、同じように川本家にも事件が起きる。




22-191. 十二人の死にたい子どもたち 

監督 堤幸彦
出演 杉咲花新田真剣佑北村匠海高杉真宙黒島結菜
2019年 (ワーナー・ブラザース映画) 118分

解説
杉咲花、橋本環奈、高杉真宙、新田真剣佑ら若手実力派たちが豪華共演するサスペンス。安楽死を求めて廃病院の密室に集まった12人の未成年の男女が、予期せぬ出来事の連続に疲弊していく。映画、TVドラマ、舞台など多岐にわたる活躍で知られる堤幸彦監督が、人気作家・冲方丁の同名小説をスリリングに映画化した。

ストーリー
安楽死を求め、12人の未成年たちが廃病院の密室に集まった。ところがそこには13人目のまだ生あたたかい死体があり、突然の出来事に12人は戸惑うばかり。あちこちに残る不自然な犯行の痕跡、次々と起こる奇妙な出来事。彼らだけしか知らない計画のはずであり、もしかしたらこの中に殺人鬼がいるのではないかと疑心暗鬼になっていく。




22-192. 時をかける少女 

監督 大林宣彦
出演 原田知世高柳良一尾美としのり津田ゆかり岸部一徳
1983年 (東映) 104分

解説
ある日突然、時間を超える能力を持ってしまった少女の不思議な経験と悲しい恋を描く。筒井康隆の同名小説の映画化で、脚本は 「転校生」 の剣持亘、監督も同作の大林宣彦、撮影も同作の阪本善尚がそれぞれ担当。主題歌は、原田知世。

ストーリー
土曜日の放課後、掃除当番の芳山和子は実験室で不審な物音を聞きつけ、中に入ってみるが人の姿はなく、床に落ちたフラスコの中の液体が白い煙をたてていた。フラスコに手をのばした和子は不思議な香りに包まれて気を失ってしまう。和子は、保健室で気がつき自分を運んでくれたクラスメイトの堀川吾朗や深町一夫らと様子を見に行くが、実験室は何事もなかったように整然としていた。しかし、和子はあの不思議な香りだけは覚えていた。それはラベンダーの香りだった。この事件があってから、和子は時間の感覚がデタラメになったような奇妙な感じに襲われるようになっていた。ある夜、地震があり外に避難した和子は、吾朗の家の方で火の手があがっているのを見、あわてて駈けつける。幸い火事はボヤ程度で済んでおり、パジャマ姿で様子を見に来ていた一夫と和子は一緒に帰った。翌朝、寝坊をした和子は学校へ急いでいた。途中で吾朗と一緒になり地震のことを話していると突然、古い御堂の屋根瓦がくずれ落ちてきた。気がつくと和子は自分のベッドの中にいた。夢だったのだ。その朝、学校で和子が吾朗に地震のことを話すと、地震などなかったと言う。そして授業が始まり、和子は愕然とした。昨日と全く同じ内容なのである。やはりその夜、地震が起こり火事騒ぎがあった。和子は一夫に今まで起った不思議なことを打ち明けるが、一夫は一時的な超能力だと慰める。しかし、納得のいかない和子は、一夫を探していて、彼の家の温室でラベンダーの香りをかぎ、気を失った。気がつくと和子は、一夫が植物採集をしている海辺の崖にテレポートしていた。そこで和子は不思議なことが起るきっかけとなった土曜日の実験室に戻りたいと言う。一夫は反対したが和子のひたむきさにうたれ、二人は強く念じた。そして、時をかけた和子が実験室の扉を開けると、そこには一夫がいた。彼は自分が西暦二六六〇年の薬学博士で、植物を手に入れるためこの時代にやって来たこと、自分に関わりのある存在には、強い念波を相手に送って都合のいい記憶を持たせていたことを告白する。そしてすべてを喋ってしまったのでお別れだと告げた。和子は一緒に行きたいと言うが、彼は自分に対しての記憶も消さなくてはならないと言う。和子は嫌がるが、ラベンダーの香りをかがされ床に崩れた。十一年後、大学の薬学部研究室に勤めている和子は、実験室を訪ねてきた一夫とぶつかる。二人はハッと思うがそのまま歩み去るのだった。




22-193. スマホを落としただけなのに 

監督 中田秀夫
出演 北川景子千葉雄大成田凌田中圭原田泰造
2018年 (東宝) 94/116分

解説
現代人の必需品となったスマートフォンにまつわる恐怖を描くミステリー。恋人がタクシーにスマホを忘れてきてしまったのを機に、個人情報の流出など、度重なるトラブルに巻き込まれていくヒロインを北川景子が演じる。 「リング」 などホラー映画を得意とする中田秀夫監督が、身近に潜む恐怖をスリリングに映し出す。

ストーリー
彼氏の富田に電話をかけた麻美は、聞き覚えのない電話の声に戸惑う。その人物は富田が落としたスマホを拾ったと言い、麻美は無事に富田のスマホを取り戻す。しかし、その日を境に、身に覚えのないクレジットカードの請求や、ストーキングに遭うなど、麻美の周りで奇妙な出来事が起き始める。さらに個人情報が流出するなど、事態は深刻化していく。




22-194. 疾風ロンド

監督 吉田照幸
出演 阿部寛大倉忠義大島優子ムロツヨシ堀内敬子
2016年 (東映) 90/109分

解説
東野圭吾のベストセラーを阿部寛主演で映画化したユニークなサスペンス。何者かに盗まれた生物兵器の行方を捜す、平凡な研究員の奮闘を描く。阿部寛が頼りない研究員をコミカルに演じ、関ジャニ∞の大倉忠義が正義感の強いパトロール隊員を演じる。NHK連続テレビ小説 「あまちゃん」 で演出を務めた吉田照幸が監督を務める。

ストーリー
大学の研究所から生物兵器が盗まれ、所長の元に犯人から3億円を要求する脅迫メールが届く。主任研究員の栗林が秘密裏に犯人の行方を捜すが、犯人は兵器をどこかに隠したまま死亡。やがて、日本最大級のスキー場のどこかに隠されていると知るが、栗林はスキー初心者で、パトロール隊員の根津やスノーボード選手の千晶らを巻き込んだ騒動に発展していく。




22-195. 翔んで埼玉 

監督 武内英樹
出演 二階堂ふみGackt伊勢谷友介ブラザートム麻生久美子
2019年 (東映) 106分

解説
埼玉に対する自虐的な笑いが話題となり、1982年の発表から30年以上経った2015年に復刊し、大ヒットした魔夜峰央の同名コミックを実写映画化したコメディ。二階堂ふみ演じる東京都知事の息子・百美が隠れ埼玉県人の麗と出会い、逃避行を繰り広げる。千葉と埼玉の争いや神奈川、群馬など関東の近県を巻き込んだ壮絶なバトルが展開する。

ストーリー
埼玉から東京へ向かう車のラジオでは、DJが埼玉にまつわる都市伝説を語っている。埼玉県民が東京都民から迫害を受けていた時代。東京の超名門校に通う都知事の息子・百美はアメリカ帰りの転校生・麗と出会う。実は麗は隠れ埼玉県人で埼玉県民が東京に出入りするのに必要な手形の撤廃を目指して活動する組織の主要メンバーだった。




22-196. グッモーエビアン! 

監督 山本透
出演 麻生久美子大泉洋三吉彩花能年玲奈竹村哲
2012年 (ショウゲート) 106分

解説
元パンクバンドのギタリストの母親とマジメな娘、そして母親のかつてのバンド仲間という、不思議な3人の家族の姿を描くコメディ。若くして娘を産んだ主人公を麻生久美子が、そのパートナーを大泉洋が演じ、コミカルで温かな物語を盛り上げる。主人公の娘を演じるのは人気アイドルグループ、さくら学院の元メンバー、三吉彩花。

ストーリー
元パンクバンドのギタリストのアキと、15歳の娘ハツキは友達のように仲良く暮らしていた。そんな2人の元に、アキのかつてのバンド仲間ヤグが現れる。ハツキが生まれる前から一緒に住んでいたと言われても、ハツキにはいい加減なヤグの態度が気にくわない。だが、ハツキはある日、ヤグの過去にあった出来事を知ってしまう。




22-197. モヒカン故郷に帰る 

監督 沖田修一
出演 松田龍平柄本明前田敦子千葉雄大もたいまさこ
2016年 (東京テアトル) 100/125分

解説
南極料理人」 の沖田修一のオリジナル脚本による、とある一家の騒動を描くホームドラマ。結婚報告がてら故郷へと戻ってきた主人公・永吉を松田龍平、その恋人を前田敦子が演じる。また、両親役に柄本明、もたいまさこ、弟役の千葉雄大など、豪華キャストが、ほのぼのとした笑いで場を盛り上げる。

ストーリー
売れないデスメタルバンドでボーカルをしている永吉は、恋人の由佳の妊娠が発覚し、結婚報告をするために、両親が暮らす故郷の戸鼻島へ7年ぶりに帰郷する。いつのまにか弟も帰郷していて、ひさびさの一家団らんと思っていたが、父親のがんが発覚するなど、騒動が巻き起こる。




22-198. 座頭市鉄火旅 (The Blind Swordsman's Cane-Sword)

監督 安田公義
出演 勝新太郎藤村志保青山良彦藤田まこと水前寺清子
1967年 (大映) 92分

解説
子母沢寛の原作を、 「赤い天使」 の笠原良三が脚色、 「殺人者」 の安田公義が監督した“座頭市”シリーズ第十五作目。撮影は 「兵隊やくざ大脱走」 の武田千吉郎。

ストーリー
行方定めぬ旅の途中、座頭市は偶然、何者かに斬られた足利の親分庄太郎の最期を看取り、旅芸人の一行と共に足利にやってきた。庄太郎亡きあと、県の岩五郎の暴虐に足利の人は難渋していたが、市は岩五郎の賭場に現われ、イカサマの裏をかいて大金をせしめた。ただでは帰さぬと追う子分を見事な居合で斬った市は、居合わせた鍛冶屋の仙造の世話になることにした。元刀工の仙造は市の刀が師匠の作であること、そして刀の寿命が尽きていることを告げた。市は愕然とした。自分の命を守ってきた仕込みが、すでに折れかかっているというからだ。これを機会に堅気になれという仙造の勧めどおり、市は旅篭下野屋で働くことになった。そこには庄太郎の息子清吉と姉のお志津がいたが、実はお志津は仙造の実の娘で、庄太郎の養女だったのである。そのお志津に好色な関八州見廻役桑山が目をつけ、お志津の望みである庄太郎一家の再興を餌に近づいてきた。一方、仙造は一世一代の名刀を作ることを悲願に、二十年ぶりに鋼を鍛えていたが、桑山はそれにも目をつけ、岩五郎に密かに狙わせていた。ある日、岩五郎の子分は仙造を殺し刀を奪っていってしまった。そのうえ、庄太郎一家を再興されては困る岩五郎は、清吉をも殺してしまった。しかも、お志津は桑山の許に連れていかれた。市は仙造の家に預けてあった仕込みを手にすると、桑山の屋敷に駈けつけ、桑山を斬ってお志津を救い出したが、その時、仙造が殺される前に、新刀を市の仕込みにすり替えていたのを知った。市は亡き仙造の心に感謝し、待ち受けるやくざ共を斬りまくり、岩五郎をも斬った。翌朝、誰にも告げずに、再び旅に発った市の手には、新刀の仕込みが握られていたのである。




22-199. 種まく旅人みのりの茶 

監督 塩屋俊
出演 陣内孝則田中麗奈吉沢悠柄本明永島敏行
2011年 (ゴー・シネマ) 121分  (G)

解説
演技トレーナー、俳優としても活躍する塩屋俊監督が、故郷・大分県を舞台に、お茶の有機栽培に携わる人々の奮闘を描いた感動作。映画主演は16年の陣内孝則が、風変わりな農水省職員を好演。臼杵市の茶畑でロケされた美しい映像をバックに、厳しい現実に悪戦苦闘する“農ガール”を田中麗奈が爽やかに演じて共感を誘う。

ストーリー
不況によって職を失ったデザイナー・みのりは、大分県で茶畑を営む祖父・修造を訪ねるが、初めての有機栽培を試みていた修造は待望の収穫を目前に倒れてしまう。みのりは祖父に代わってお茶作りを始めるが、右も左も分からない。おろおろする彼女のもとに、農林水産省の熱血職員・大宮金次郎がやって来る。




22-200. 天国は待ってくれる 

監督 土岐善將
出演 井ノ原快彦岡本綾清木場俊介石黒賢戸田恵梨香
2007年 (ギャガ・コミュニケーションズ/松竹) 105分

解説
V6の井ノ原快彦、元EXILEの清木場俊介、岡本綾が扮する幼なじみの男女3人の恋と友情を描く。原作は 「いま、会いにゆきます」 の脚本を手がけた岡田惠和の小説。

ストーリー
小学校からずっと友情を育んできた宏樹、武志、薫の3人。成人し、武志が薫にプロポーズして2人は婚約するが、不慮の事故で武志が意識不明の状態に。やがて宏樹が薫に結婚を申し込むと、武志が深い眠りから目覚める。




22-201. 天気の子 

監督 新海誠
出演 醍醐虎汰朗森七菜本田翼吉柳咲良平泉成
2019年 (東宝) 114分  (G)

解説
君の名は。」 の新海誠監督によるファンタジーアニメ。東京へやってきた家出少年と不思議な力を持つ少女のせつない恋模様が描かれる。主人公の少年・帆高を舞台 「弱虫ペダル」 などで注目される醍醐虎汰朗、ヒロインの陽菜を森七菜が、2000人を超えるオーディションで選ばれた。劇中すべての音楽を人気バンド、RADWIMPSが手がける。

ストーリー
家出し、離島から東京へやってきた高1の少年・帆高。見知らぬ土地でやっとのことで、怪しげなオカルト雑誌のライターという仕事を見つける。しかし、彼のこれからを示唆するかのように、連日雨が降り続ける。そんなある日、帆高は陽菜という少女と出会う。ある事情を抱え、弟と2人で明るくたくましく生きる少女には不思議な能力があった。




22-202. きょうのキラ君 

監督 川村泰祐
出演 中川大志飯豊まりえ葉山奨之平祐奈安田顕
2017年 (ショウゲート) 110分  (G)

解説
映画やドラマになった 「近キョリ恋愛」 など恋愛ストーリーを得意とする人気漫画家、みきもと凛の同名作を、中川大志&飯豊まりえ主演で映画化したラブストーリー。誰にも言えない秘密を抱えた学校一のモテ男と不器用な女子高生の純愛を描く。葉山奨之や平祐奈といった若手注目株が脇を固める。監督は 「海月姫」 の川村泰祐。

ストーリー
他人と関わるのが苦手なニノが初めて恋をする。相手はクラスの人気者で学校一のモテ男のキラ。しかも、ニノがキラの重大な秘密を知った事で2人は急接近。初めての気持ちにとまどいながらも、ニノはキラを笑顔にしようと奮闘し、同級生の矢部やキラの幼なじみの澪も加わって、かけがえのない365日が始まる。




22-203. 翔んだカップル 

監督 相米慎二
出演 鶴見辰吾薬師丸ひろ子尾美としのり石原真理子円広志
1980年 (東宝) 106分

解説
不動産屋の手違いで同じ家に住むことになった高一の男女と、二人をとりまく教師やクラスメートたちの心の揺らめきを描く。 「週刊少年マガジン」 に連載中の柳沢きみおの同名漫画の映画化で、脚本は 「処刑遊戯」 の丸山昇一、監督はこの作品がデビュー作となる相米慎二、撮影は 「背徳夫人の欲情」 の水野尾信正がそれぞれ担当。

ストーリー
田代勇介は弁護士になることを夢見て、九州から東京の名門校、北条学園高校に入った。勇介は海外に行っている叔父の留守宅に住むことになったが、一人で住むには家が広すぎるため、男に限るという条件で不動産屋に間借人を頼んだ。ところがなんと、不動産屋の手違いでやってきたのは学校一の美少女と評判のクラスメート、山葉圭だった。次の仕送りが来るまでということで、彼女は勇介と住むことになった。勇介の入部したボクシング部のキャプテン織田やクラスの秀才中山も圭を狙っており、勇介は二人の同居生活がいつバレるかとヒヤヒヤの毎日。一年生の遠足の日、学校一の才女、杉村秋美が他のガリ勉生徒と一味違う勇介に興味持ち、近づいてきた。日頃、圭に挑戦的な勇介も、理知的で大人の雰囲気を漂わす杉村には素直な気持で接してしまう。約束の一ヵ月が過ぎたが、織田キャプテンの居候騒動などで、二人の共同生活は、訳が分らなくなってくる。二人とも充分、意識しているのにお互いに好きという言葉が出ない。そして、勇介は杉村と、圭は中山とデートを重ねる。意地の張りあいのまま夏休みを迎え、「季節がかわれば……」と勇介は九州へ帰った。新学期、圭は帰省中に知り合った大学生の星田に夢中になり、杉村はアメリカ留学を決意していた。一方、圭との素直な生活を夢見て東京に戻った勇介は、新人戦を控え、織田にシゴかれる毎日を送っていた。やけくそになった勇介は二人の同居生活を中山に話してしまう。圭を慕う中山は、逆上、そのことを教頭に密告してしまった。新人戦を翌日に控えたある日、勇介、圭、杉村、中山の四人が集まった。杉村は明日アメリカに発つ予定だ。過ぎ去った事を四人は、暗黙のうちに許し合うように見つめあった。勇介のまわりは何かが急激に変ろうとしていた。




22-204. 御法度 (Taboo)  

監督 大島渚
出演 北野武松田龍平武田真治浅野忠信崔洋一
1999年 (松竹) 100分

解説
厳しい戒律によって結束を固めてきた新撰組に、妖しい美貌の少年が入隊したことから起こる衆道の騒動を描いた時代絵巻。監督は 「マックス、モン・アムール」 の大島渚。司馬遼太郎のふたつの短編 「前髪の惣三郎」 と 「三条磧乱刀」 を基に、大島渚が脚色。撮影を 「アフターグロウ」 の栗田豊通が担当している。主演は 「菊次郎の夏」 のビートたけしと新人の松田龍平。

ストーリー
1865年(慶応元年)夏、京都。「局中法度」「軍中法度」という厳しい戒律によって鉄の結束を誇る新撰組に、剣の立つふたりの若者が入隊した。ひとりは下級武士・田代彪蔵。もうひとりは息を飲むような美貌の少年・加納惣三郎である。入隊早々、惣三郎は総長の近藤勇から御法度を破った隊士の処刑を仰せつかり、みごとその大役を勤めてみせるが、副長の土方歳三は近藤の寵愛を受け未だ前髪を切ろうとしないこの若者に、何か釈然としないものを感じていた。そんな中、妙な噂が組中に広まった。惣三郎と田代が衆道の契りを結んだというものだった。しかも、惣三郎は隊士のひとり、湯沢藤次郎とも関係を持ってしまう。ある日、その藤次郎が何者かに殺される事件が起きる。早速監察の山崎が調査にあたるが、犯人は分からずじまい。このままでは隊の規律が乱れると危惧した近藤と土方は、惣三郎に女の味を教えるよう山崎に命じる。だが惣三郎は女と契ることを拒み続け、彼をしつこく遊廓に誘っていた山崎が夜道で何者かに襲われてしまう。現場に残された小柄から、近藤は嫉妬に駆られた田代が犯行に及んだと断定し、惣三郎に田代を始末するよう命じるのであった。しかし、藤次郎殺しや山崎闇討ちはすべて、惣三郎が仕組んだことだった。夜の鴨川・四条中州、介添人の土方と沖田総司が物陰から見守る中、何も知らない田代は惣三郎に斬られる。介添えを終えての帰り、沖田は中州に忘れ物をしたと言って引き返す。その後姿を見て、土方は、沖田が惣三郎に魅入られていたのではなく、惣三郎が沖田に恋していたことを悟る。やがて沖田が惣三郎に斬りかかる声が聞こえる。土方は惣三郎の心にバケモノが住み着いたのだとつぶやくと、桜の木を一刀のもとに切り伏せるのだった。




22-205. クイール 

監督 崔洋一
出演 小林薫椎名桔平櫻谷由貴花松田和香川照之
2003年 (松竹) 100分

解説
実話をもとにしたベストセラー作品 「盲導犬クイールの一生」 を映画化した感動作。多くの人々との出会いと別れを通して立派な盲導犬に成長をとげた、1匹のイヌの生涯を追う。

ストーリー
ブチ模様をもって生まれた子イヌのジョナサン。その子イヌは盲導犬の訓練士・多和田に預けられ、盲導犬“クイール”として厳しい訓練を受けることに。やがて心を閉ざした視覚障害者、渡辺のパートナーに選ばれる。




22-206. 七つの会議 

監督 福澤克雄
出演 野村萬斎田中宏明香川照之及川光博片岡愛之助
2019年 (東宝) 119分  (G)

解説
「半沢直樹」 「下町ロケット」 など数多くの映像化作品で知られる人気作家・池井戸潤の同名作を、野村萬斎主演で映画化したミステリー。万年係長が上司のパワハラを告発したことを機に、会社内で起こる騒動が描かれる。TVドラマ化された池井戸作品の常連である、香川照之や片岡愛之助ら実力派俳優が多数共演している。

ストーリー
中堅メーカーの営業一課の万年係長である八角は、ノルマは最低限しか果たさないし、定例の会議でも傍観してるだけというぐうたら社員。結果主義の営業部長の叱咤激励にもそしらぬ顔だった。そんなある日、八角が上司の坂戸をパワハラで訴え、坂戸は左遷されてしまう。後釜に抜擢されたのは万年二番手に甘んじてきた原島だった。




22-207. ラヂオの 時間 

監督 三谷幸喜
出演 唐沢寿明鈴木京香西村まさ彦戸田恵子井上順
1997年 (東宝) 103分

解説
ラジオ・ドラマの生放送中のスタジオを舞台に繰り広げられる騒動を描いた密室シチュエーション・コメディ。監督はテレビ・ドラマや舞台の脚本家として活躍中の三谷幸喜で、本作が初の映画監督作品となる。もともと舞台用に書かれた台本を、三谷自身が映画用に脚色。これにより、91年の 「12人の優しい日本人」 に続いて2度目のキネマ旬報脚本賞を受賞した。撮影は 「ときめきメモリアル」 の高間賢治が担当している。主演は 「恋は舞い降りた。」 の唐沢寿明と 「良寛」 の鈴木京香。西村雅彦が 「マルタイの女」 と併せて本作でキネマ旬報助演男優賞を受賞した。97年度キネマ旬報ベスト・テン第3位。

ストーリー
“ラジオ弁天”のスタジオでは、まもなく始まるラジオ・ドラマ『運命の女』の生放送のためのリハーサルが行われている。初めて書いたシナリオが採用され、この作品によって脚本家としてデビューすることになった主婦の鈴木みやこは、緊張しながらリハを見守っていた。全てのチェックが済み、あとはいよいよ本番を待つばかりとなったが、直前になって主演女優の千本のっこが自分の役名が気に入らないと言い始める。プロデューサーの牛島はその場を丸く納めようとして、要求通り役名を“メアリー・ジェーン”に変更した。しかし、そんなのっこに腹を立てた相手役の浜村は、自分の役名も外国人にしてほしいと言い出し、熱海を舞台にしたメロドラマのはずだった台本は、ニューヨークに設定を変更させられる。みやこはいろいろ辻褄の合わなくなってきた台本を短時間で書き直すことになるが、素人の彼女にそんな器用なことはできず、牛島はまたも急場しのぎに放送作家のバッキーにホン直しを依頼した。しかし、ドラマの内容を把握していない彼によって、物語はさらにおかしな方向へ向かい、本番開始直前にミキサー・辰巳の一言で舞台はまたまたシカゴに変更される。さらに浜村が自分の役柄をパイロットだと勝手に言ってしまったことで、物語は辻褄合わせのためにますますおかしくなっていった。ディレクターの工藤を筆頭に、スタッフたちは次々にやってくる障害を、行き当たりばったりのその場しのぎで乗り越えていくが、あまりに勝手な台本の変更の連続にみやこは怒りを爆発させ、CM中にブースに立てこもると「ホンの通りにやって下さい!」と叫ぶ。しかし、そんな抗議も虚しく、ドラマはのっこのわがままのせいで、みやこの思いとは全く正反対のエンディングを迎えようとしていた。みやこの純粋さに感じるところのあった工藤は、結末だけでも彼女の思い通りにさせてやろうと牛島に抗議するが、ドラマを無事に終わらせることで精一杯の牛島は、工藤をスタジオから追いだして辰巳に演出を任せる。工藤はスタジオの外から極秘の回線でブース内と連絡を取り、みやこやのっこ以外の出演者、ADの大田黒らの協力で、ドラマを当初のエンディングに導いた。こうして生放送はともかく終了し、みやこを含めた全てのスタッフと俳優たちの顔には、仕事の充足感が満ち溢れる。




22-208. 斬る (Destiny'sSon)  

監督 三隅研次
出演 市川雷蔵藤村志保万里昌代成田純一郎丹羽又三郎
1962年 (大映) 71分

解説
柴田錬三郎の原作から 「裁かれる越前守」 の新藤兼人が脚色、 「座頭市物語」 の三隅研次が監督した剣客もの。撮影は 「三代の盃」 の本多省三。出演は 「 「破戒(1962)」 」 「中山七里」 の市川雷蔵、 「破戒(1962)」 の藤村志保、他。

ストーリー
高倉信吾は小諸藩士である養父の高倉信右衛門の許しを得て、三年間の武道修行に出た。やがて三年の歳月が流れた。信吾の帰りを最も喜んだのは義妹の芳尾だった。信吾は藩主牧野遠江守の求めにより、水戸の剣客庄司嘉兵衛と立会った。信吾は“三絃の構え”という異様な構えで嘉兵衛を破った。数日して、下城中の信吾は、信右衛門と芳尾が隣家の池辺親子に斬殺されたという知らせをうけた。池辺義一郎は、伜義十郎の嫁に芳尾を望んだが、断わられこれを根にもってのことであった。信吾は池辺親子を国境に追いつめて討った。その時、信吾は自分の出生の秘密を知った。信吾の実母は山口藤子という飯田藩江戸屋敷の侍女で、城代家老安富主計の命をうけて殿の愛妾を刺したが、処刑送りの駕籠から彼女を救った長岡藩の多田草司と、一年を送ったのち生れたのが信吾だった。それから藤子は捕えられたが、彼女を斬る役が多田草司だった。信吾は遠江守から暇をもらって旅に出た。その旅籠で、信吾は、二十人もの武士に追われている田所主水という侍から、姉の佐代を預ってくれと頼まれた。しかし、佐代は主水が危くなった時、自分を犠牲にして主水を逃がした。彼女の崇高な姿にうたれた信吾は、彼女を手厚く葬った。江戸に出た信吾は、千葉道場主栄次郎と剣を交えたが、その技の非凡さを知った栄次郎は、幕府大目付松平大炊頭に彼を推挙した。大炊頭に仕えて三年、信吾はその大炊頭の中に、養父信右衛門の慈愛に満ちた面影をみるようになっていた。文久元年、世は尊王攘夷の嵐に狂っていた。中でも水戸はその急先鋒であった。大炊頭は水戸藩取締りのため信吾を伴って水戸へ赴いた。水戸へ着いた時、大炊頭を襲う刺客の中に庄司嘉兵衛があったが、その嘉兵衛も信吾に倒された。あすは江戸へという水戸最後の日、城内に入った大炊頭と信吾は、先祖の命日焼香のためというので両刀を取上げられ、仏間と控えの間に通された。仏間には刺客が待っていて大炊頭はあっという間に騙し討ちにあった。危機を直感した信吾は、床の間の梅一枝を持って刺客を倒し、仏間にかけつけたが、大炊頭はすでに絶命していた。今はこれまでと信吾は、静かに切腹の用意をするのだった。




22-209. 日本沈没(1973) (The Submersion of Japan)  

監督 森谷司郎
出演 藤岡弘いしだあゆみ小林桂樹滝田裕介二谷英明
1973年 (東宝) 140分

解説
日本海溝の異変から日本列島が沈没すると予測した博士を中心に、日本民族救出のためのプロジェクト・チームが秘密裡に結成され、活動する様と、列島が大異変をくり返しながら沈没するまでを描く。脚本は 「現代任侠史」 の橋本忍、監督は 「放課後」 の森谷司郎、撮影は 「日本侠花伝」 の村井博と、木村大作がそれぞれ担当。

ストーリー
海底開発KKに勤める深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、小笠原諸島北方の島が一夜にして消えた原因を突きとめようと、海底火山の権威、田所博士、幸長助教授らとともに日本海溝にもぐった。潜水艇“わだつみ”が八千メートルの海底にもぐった時、彼等は異様な海底異変を発見した。深海には、幅広い溝が果てしなく延び、乱泥流がもくもくと噴出していた。この巨大な暗黒の中で、いま、何かが起りつつあった……東京に帰った小野寺は、自由奔放に生きる伊豆の名家の令嬢・阿部玲子と会った。そして、湘南の海岸で二人が激しく抱擁中、突如、白い閃光が夜空を走った。伊豆天城山が爆発したのだ。そして、それを追うように、三原山と大室山が噴火を始めた。小野寺と幸長助教授は、ふたたび田所博士に呼び出された。田所はなぜか、日本海溝の徹底した調査を急いでいた。内閣では、山本総理を中心に、極秘のうちに地震問題に関する学者と閣僚との懇談会が開かれた。出席した学者たちは楽天的な観測をしたが、一人、田所博士だけが列島の異常を警告した。しかし、この意見は他の学者に一笑に付されてしまった。懇談会から十日ほどたったある日、田所博士は渡という高齢の老人に会った。渡は政財界の黒幕として君臨し、今もなお政治の中枢になんらかの影響力を持つという人物だった。別れぎわ、老人は田所に、科学者にとって一番大切なことは何か、と尋ねた。「直感とイマジネーションです」と田所は即座に答えた。それから一週間後、内閣調査室の邦枝という男が田所博士を訪れ、列島の異変への調査を依頼してきた。田所博士は、幸長、小野田、邦枝、そして、情報科学専門の中田らを加えてプロジェクト・チームを結成し、D計画を設置して、異変調査の“D1計画”を秘密裡に始動させた。全員は、フランスより購入した高性能の深海潜水艇“ケルマディック号”に乗り、連日、日本海溝の海底調査に没頭、調査が終了した頃には疲労困憊の極に達していた。やがて田所博士は、調査結果を発表するために、D計画全員に招集をかけた。最新高性能のプラスティック・スクリーン、プラスティック・ボードに浮び上った日本列島を前にして、現在の列島構造の状況を長時間にわたり説明した。そして結論は、日本列島の大部分は海底に沈む……凍りついたような沈黙が部屋の中に満ち、全員の表情は堅くこわばっている。その沈黙を被り、“第二次関東大震災”の勃発が知らされた。東京では丁度ラッシュのピークが始まろうとしていた時に、大地震が起きた。電車の脱線、追突、車の衝突が続発し、地下鉄・地下街は一瞬にして停電、処によっては泥水が流れ込み、首都圏は想像を絶するパニック状態に陥り、まさに地獄と化した。そんなある日、田所博士が、テレビに出演し、日本は沈没すると発表してしまい、同席していた教授を激論の末、殴打する、という事件が起こった。興奮するD計画本部。あれ程、皆がひた穏しにしていたことを、中心的存在の田所博士が暴露してしまったのだ。だが、これは、列島沈没というショックを多少でも和らげて国民に意識させようという陽動作戦で、博士自身が、その狂言を買って出たのだった。その頃、山本と渡との間で秘かに、一億国民の国外大移住“D2計画”の話し合いが行なわれていた。小野寺は母の急死により大阪に帰った。兄と別れた後、意外にも玲子と再会した。一年半前から玲子は小野寺を捜し求めていたのだった。その夜、二人は空港ホテルの一室で結ばれる。一方、D計画本部では遂に恐るべき事実が判明した。日本列島は後10ヵ月後に急激な沈下が始まるというのである。翌日、総理官邸では、緊急臨時閣議が開かれ、日本国民の海外移住について、審議された。そして、マスコミ関係の社長・論説主幹を集め、山本総理より状況が説明され、一週間後の発表まで報道管制がひかれた。事態がここまで明白に、しかも切迫した今、一操艇者の小野寺にとっては、なすことはなにもないように思われた。小野寺は玲子とともにスイスへ移住することを決意した。小野寺の出発する日、山本総理は、宇宙衛星を通じて全世界に向けて、列島沈没を報道した。時を同じくして、富士山が本格的な噴火、爆発を始め、箱根、御殿場での避難が始まったという連絡が入った。その時、小野寺に電話が入った。小田原近くで、富士山の大噴火のために立往生してしまった玲子からだった。「もしもし!」受話器の向こうにザァザァというひどい雑音が聞こえた。必死になって声をはり上げる玲子の声にかぶさるようにゴーッという山鳴りのような響きが聞こえ電話が切れた。小野寺は気狂いのように受話器を叩きつけ部屋を突び出した……。この日から日本各地で火山が爆発を開始、日本列島はズタズタに引き裂かれ、急速に沈下を始めた。この間にも“D2計画”は急ピッチで進められ、世界各国に特使が飛び、日本国民の避難交渉が進められた。アメリカ、ソ連、中国から救助の手がさしのべられ、続々と国民は沈没していく列島から避難していった。やがて、四国が、東北が、北海道が次々と裂けていき、やがて、日本列島はその姿を海中に没した……。




22-210. アマルフィ女神の報酬  

監督 西谷弘
出演 織田裕二天海祐希戸田恵梨香佐藤浩市大塚寧々
2009年 (東宝) 125分

解説
異国イタリアで日本人少女誘拐事件に遭遇した、織田裕二扮する外交官の活躍を描くサスペンス。事件の発生を機に、さまざまな人々の思惑が美しき港町アマルフィで交錯する。

ストーリー
クリスマス目前のローマで日本人少女が失踪。G8外務大臣会合へのテロの予告を受け、現地入りしていた外交官の黒田は、少女の母親の代わりに誘拐犯からの電話に出たことから、彼女の偽りの夫として事件に巻き込まれる。




22-211. アンダルシア女神の報復  

監督 西谷弘
出演 織田裕二黒木メイサ伊藤英明戸田恵梨香谷原章介
2011年 (東宝)  (G)

解説
劇場版第1作 「アマルフィ女神の報酬」 、テレビドラマ 「外交官・黒田康作」 に続く織田裕二主演のサスペンス作。スペインで大規模なロケを敢行し、テロ対策の極秘任務を帯びた主人公の活躍を壮大なスケールで描く。黒木メイサ、伊藤英明が物語の鍵を握る役どころで出演するほか、福山雅治が前作に続き、ジャーナリスト役で登場。

ストーリー
スペインに隣接する小国で起きた日本人投資家殺人事件の調査を依頼され、外交官の黒田は、第一発見者の銀行員・結花、事件を担当するインターポール捜査官・神足に会う。だが結花は何者かを恐れて口を閉ざし、神足も何か隠しているようだ。やがてバルセロナの日本領事館へ向かった3人は、正体不明の武装グループから襲撃を受ける。




22-212. 銭形平次(1967) (The Coin Throwing Detective)  

監督 山内鉄也
出演 大川橋蔵舟木一夫水野久美大辻伺郎小池朝雄
1967年 (東映) 89分

解説
野村胡堂の原作を、 「牙狼之介地獄斬り」 の田坂啓と 「怪竜大決戦」 の山内鉄也が共同で脚色し、山内鉄也が監督した時代劇。撮影は 「懲役十八年」 の古谷伸。

ストーリー
目明しを父に持つ平次は親の跡目も継がず、鳶職の政五郎の所で働いていた。政五郎は平次の腕を買ってゆくゆくは娘のお静と一緒にしようと考えていた。ある日、政五郎は水商売らしい女と心中死体となって薬研堀に浮んだ。平次は女の体の傷から他殺と睨み、北町奉行笹野から十手捕縄を預かると、早速捜査を始めた。その平次に材木問屋上州屋が「千里の虎」と名乗る謎の男に商売を邪魔され、政五郎に探らせていたと告げた。そんな時、火の気のない上州屋の一角から火が出て、焼け跡に平次の幼な友達辰之助と見られる死体が見つかった。このことから、平次は「千里の虎」が上州屋の商売と関係あると考えた。辰之助は平次に、この一件から手を引かなければ殺されると忠告されていたのだ。探索の手を伸ばす平次は、松崎一角らに襲われたが浪人数馬に救われた。一方、材木を灰にした上州屋は同業の稲毛屋に融通を頼み、三千両を払い込むため、その護送を平次と笹野に依頼した。だが、三千両は途中で紛失し、しかも、稲毛屋には材木は一本もなかった。平次は、稲毛屋こそ犯人ではないかと変装して乗り込んだが、捕った。そして、「千里の虎」の前に引き出された時、それは意外にも辰之助だった。辰之助は二十年前、上州屋の密告で牢死した父母の仇を討つため、上州屋の仕事を邪魔し、探ってきた政五郎を殺したのだった。平次は間もなく現われた数馬に助けられ三千両も見つけたが、辰之助は与力尾関に斬られた。こうして事件は平次の手柄で解決したが、数馬は実は秘かに事件を探っていた笹野の息子であることが分り、平次と数馬は、友情の握手を交しあった。




22-213. 植村直己物語 (Lost in the Wilderness)  

監督 佐藤純彌
出演 西田敏行倍賞千恵子大滝秀治丹阿弥谷津子井川比佐志
1986年 (東宝)

解説
世界的冒険家、植村直己の生涯を描く。原作は植村直己、脚本は岩間芳樹と佐藤純彌の共同執筆。監督は 「空海」 の佐藤純彌。撮影は 「人生劇場(1983)」 の並木宏之がそれぞれ担当。

ストーリー
グリーンランドのシオラパルクに滞在し、3000キロの犬橇単独行を成し得た植村直己は、久しぶりに東京に戻って来た。彼は駅の階段で偶然出逢った女性と馴染みの店で再会した。そして数日後、その女性野崎公子に自分の著書をプレゼントする。それを読みながら、これまでの植村の人生を知る公子。明治大学山岳部で落ちこぼれだった植村は、卒業後4万円だけ持って、横浜より移民船で渡米した。だが、労働ビザが無いため、不法労働で国外追放され、フランスのシャモニーに渡る。そこで働きながらヒマラヤのゴジュンバ・カンII隆明大隊に参加、同峰初登頂に成功した。その時団体登頂は合わないと感じた彼は、その後、モンブラン、マッターホーン、キリマンジャロ、アコンカグアなどを単独で登った。1970年5月には、日本人として初めてエベレスト山頂に立った。3ヵ月後、北米最高峰マッキンリー単独登頂に成功、5大陸最高峰すべてを征服する記録をたてた。その後一般の職につくがどれも長続きせず冒険家として生きることに。そして、エベレスト国際登山隊に参加した後、陸地の冒険にきりかえ現在に至っていた。深い感動をうけて読み終った公子は、植村のプロポーズを承諾。1974年、二人は結婚した。間もなく、植村は北極圏12000キロの犬橇単独行を1年半近くかけて成し遂げた。彼の冒険熱は失せることなく、78年4月、寒さと戦い、危く白熊に襲われそうになりながらも、犬橇で北極点単独到達に成功した。その後、これを最後にと南極大陸横断計画をたてるが、フォークランド紛争のためアルゼンチン政府の協力を得られず断念する。そして、84年2月、マッキンリー冬期単独登頂後、消息を断つ。懸命の捜索にもかかわらず発見されず、日本政府は、死亡が確定的になった4月19日、彼の輝しい業績に対して国民栄誉賞を贈った。




22-214. あやしい彼女  

監督 相沢淳
出演 多部未華子倍賞美津子要潤北村匠海金井克子
2016年 (松竹) 125分 (G)

解説
20歳の姿に変身し、青春を取り戻そうとする73歳のおばあさんが繰り広げる騒動を描き、韓国と中国でヒットを記録した同名作をリメイク。 「謝罪の王様」 などコメディを得意とする水田伸生監督が多部未華子を主演に据え、見かけこそ若々しいが、口を開けば毒舌なおばあさんがかつての夢を叶えようとする姿を描く。変身前の姿を倍賞美津子が演じる。

ストーリー
早くに夫を亡くし、女手ひとつで娘を育ててきた73歳のカツ。ある日、娘とケンカし、たまたま見つけた写真館で写真を撮ると、20歳の容姿に変身してしまう。せっかく取り戻した青春を謳歌しようと、名前も節子と変えたカツは、商店街ののど自慢大会で歌声を披露。それを機にかつて夢見ていた歌手への道を踏み出そうとする。




22-215. 鑓の権三 (Gonza the Spearman)  

監督 篠田正浩
出演 郷ひろみ岩下志麻火野正平田中美佐子加藤治子
1986年 (松竹富士) 126分

解説
不義密通の濡衣を着せられた男女の道行きを描く。近松門左衛門原作の世話浄瑠璃 「鑓の権三重帷子」 の映画化で、 「卑弥呼」 の富岡多恵子が脚色、監督は 「瀬戸内少年野球団」 の篠田正浩、撮影は同作の宮川一夫がそれぞれ担当。

ストーリー
出雲の国、松江藩の表小姓、笹野権三は器量はよく、槍さばさのみごとさでは右に出る者もない。その上、茶の道にも通じていた。彼は同家中の川側伴之丞の妹お雪と末は夫婦と契ってはいたが、一日も早い祝言をと迫るお雪ほどには、性急に一家を構える情熱はなかった。江戸表から、主君に御世継が誕生したと吉報が届いた。国許では近隣の諸国一門を招き、振まいの馳走のため、真の台子の茶の湯がなされることになった。真の台子とは茶の湯の極意のこと、茶の道で名を成せば立身出世の道も開ける。権三と伴之丞の茶道の師、浅香市之進が、主君の供で江戸詰、国許は留守とあって、両人のうち一人が殿中饗応の真の台子を勤めることになった。権三は真の台子の伝授方を、市之進の妻・おさゐに懇願する。おさゐは伝授の替わりに、娘の菊を貰ってくれと権三に頼みこみ、彼は承諾する。権三と入れちがいに、浅香家を訪れたお雪の乳母は、そんなこととは知らず、おさゐに権三とお雪の関係を打明け、その仲人を頼み込む。その夜ふけておさゐを訪ね、伝授の巻物を披見した権三は、お雪のことで嫉妬するおさゐの狂態に悩まされ、帯を庭先に放り出される。その帯は、お雪が権三に贈ったものだった。帯はかねてからおさゐに言いより、色仕掛けで伝授の巻物を奪いとろうと庭先に忍びこんでいた伴之丞に拾われた。不義密通を叫ぶ伴之丞。世間への申訳も立たず、やむなくふたりは屋敷を出て、あてもなく逃れていく。事件を知ったおさゐの弟・甚平は、遁走した伴之丞を追い、その首を討つ。帰国した市之進は、息子・虎次郎を他家へ預け、菊とその妹・捨を、おさゐの諸道具と共に舅の岩本忠太兵衛方へ送りつけ、妻敵討ちの旅に出た。手に手をとって逃げるおさゐ、権三は、京都三条大橋に着いた。権三は不義者として市之進に斬られる覚悟。おさゐはどうせ冥土へ行くのなら、権三と夫婦の契りをかわしてからと、旅篭で激しく愛しあう。宇治の川岸にかかる橋の上で、ふたりはついに市之進と出会った。そして、彼の刀に倒れるのだった。一件落着し、浅香家では遺児・虎次郎が亭主となり、茶を立てている。




22-216. 影武者(1980) (Kagemusha)  

監督 本多猪四郎
出演 仲代達矢山崎努萩原健一油井孝太大滝秀治
1980年 (東宝) 180分

解説
武田信玄の影武者として生きた一人の男の悲喜劇と、主人の遺言を守りながら戦場に散っていった家臣たちの辛苦を描く。脚本は 「デルス・ウザーラ」 の黒澤明と 「ダイナマイトどんどん」 の井手雅人の共同執筆、監督も同作の黒澤明、撮影は 「はなれ瞽女おりん」 の宮川一夫、 「犬笛」 の斎藤孝雄、 「乱れからくり」 の上田正治がそれぞれ担当。海外版は159分。

ストーリー
甲斐武田「風林火山」の軍が、三州街道を粛々とゆく。攻めあぐんだ三河の家康の砦、野田城を落城寸前まで追いこみながら、急に和議を結んで、ふたたび甲斐に帰るところであった。孫子の旗を立てた信玄が悠然と馬を進めている。だが、実はそれは信玄ではなかった。信玄に風貌生きうつしの弟、信廉であった。まことの信玄は、野田城攻めの一夜、勝利を目前にしながら、鉄砲で狙撃され、「われ死すとも、三年は喪を秘し、領国の備えを固め、ゆめゆめ動くな」との遺言を残し世を去った。信玄狙撃の報は各大名に伝わり、みな甲斐に注目した。信玄なくば、戦国の版図は一変する。死を秘すことは難事であった。信廉はかねてから、信玄と瓜二つの男を用意していた。その男は無頼の盗人で、磔刑になるところを、あまりの酷似に、ひろいあげて刑を免じ、養っていたのだ。口のきき方も馬の御し方も心もとないこの男は、当然武田の総大将の柄ではなかった。しかし、信玄の遺骸を秘めた大甕を朝もやの諏訪湖に葬る感動的な光景を目撃した“影の男”は、信玄の影武者になることを決意する。敵をあざむくためには、まず味方をあざむかねばならず、その事情は側近のごく僅かな者にしか、知らされなかった。信廉、勝頼らが胆を冷やすことも幾度となくあったが、なんとかきりぬけ、“影”は次第に威厳のようなものをそなえるようになっていく。こうした成行に、内心いら立っていたのは勝頼であった。信玄は世継ぎを竹丸と決めていた。嫡子ではなくとも実子でありながら、家を継げぬ不満に、形の上のみとはいえ、“影”への服従が輪をかけた。その頃、家康は武田への攻撃を計画し、兵を進めた。これにどう対処すべきか、重臣たちの評定は続き、“影”は主戦派の勝頼を制して「動くな、山は動かぬぞ」と結論を下した。心中、大いにゆれ動く勝頼は、ついに独断で兵を動かした。勝頼軍のみで落とせるとはとても思えず、武田軍はやむを得ず、「風林火山」の旗を立てて、勝頼軍の後方に陣をかまえた。戦いは激烈をきわめたが、勝利は、信玄の“影”の上におとずれた。こうしてすっかり影になりきった彼に不慮の事態が起ったのは、遺言の三年が過ぎようとする頃だった。信玄だけが御し得た荒馬「黒髪」からふり落とされたとき、川中島での刀傷がないのを側室たちに発見されてしまったのである。信玄の死は公表され、勝頼が武田の当主となり、“影”はただの男に戻った。天正三年春、勝頼は武田の全軍二万五千を率いて長篠に向う。その進軍の傍をあの“影”が身をかくしながらついてゆく。五月二十一日、信長、家康の連合軍と勝頼の武田軍との戦いの火ぶたが切られた。連合軍の鉄砲という新兵器に、伝統を誇る武田の「風林火山」の陣立てはたちまちくずれていく。戦いの中を、叫びをあげてとびだしていった男がいる。“影”である。その姿は、万雷のような銃声とともに地上にもんどりうって倒れていった。




22-217. 大脱獄(1975)  

監督 石井輝男
出演 高倉健木の実ナナ郷英治伊東辰夫室田日出男
1975年 (東映) 91分

解説
殺人犯のぬれ衣を着せられた死刑囚が脱獄して復讐をとげるまでを描いたアクション映画。脚本・監督は 「直撃地獄拳 大逆転」 の石井輝男、撮影も同作の出先哲也がそれぞれ担当。

ストーリー
網走刑務所を脱走した七人の死刑囚達は、猛烈な吹雪と飢え、そして仲間割れで、生き残ったのは、梢一郎と国岩邦造の二人だけだった。錠前職工だった梢は、亭主に死なれて生活に困っていた妹母子を救けるべく、極道仲間の剛田に誘われて銀行強盗の手伝いをした。ところが剛田は警備員を殺害し、自分は仲間の友成、情婦の時子らと結託してアリバイを作り、梢一人にその罪を被せてしまったのだ……。国岩と別れた梢は剛田らの消息を追って札幌へ向かった。途中、腹痛で苦しむドサ廻りのストリッパー、あきを救けた梢は、あきを駅前旅館に休ませ、宿代と医者代を稼ぐため、鉄道の除雪作業作業員として働きに出る。しかし現場を仕切っている梶政が大巾に日当をピンハネしているのを怒った梢は、飯場に殴り込むが、すでに脱走犯だという事がバレていたために、梶政を殴り倒し、金を奪って逃げた。宿に戻った梢は、その夜、宿が警察に包囲されているのに驚くが、警察の目標が自分ではなく、同宿していた殺人犯のやくざ・佐川であったのでホッとする。あきの病気も快復し、梢はあきと別れて札幌へ向かった。やがて梢は時子のアパートをつきとめ、時子の案内で剛田のいる小樽へ向かうが、時子は隙を見て逃げだし単身剛田に会いに行った。しかし時子は剛田に熱湯を浴びせられ、捨てられた腹いせに、梢に、剛田の黒幕は、函館の北海興業社長・松井田で、梢を殺人犯に仕立てあげたのも、また妹母子を轢き殺したのも松井田だと教えた。函館に乗り込んだ梢は、国岩から松井田が一億円の列車強盗を計画している事を知らされた。国岩は、癌で苦しむ母親を安楽死させ、診察を断った医者を殺した尊属殺人の死刑囚として生きる望みもなくなっていた。だが梢だけが自分を友人扱いにしてくれたために、梢には命をかけて役立とうとするのだった。雪野原を驀進する列車の中、国岩の応援を得た梢は、剛田、成田を撃ち殺した。だがこの応戦中に国岩は殺された。雪原を逃がれる松井田を追って激しい銃撃戦。そして梢は重傷を負いながらも松井田に恨みの銃弾をぶち込んだ。薄れていく意識の中で、梢は汽車に乗る直前、街角で見かけたあきの初舞台のポスターに記された劇場のある方向へ、雪を血で染めながら歩いていった。




22-218. ちょっと今から仕事やめてくる  

監督 成島出
出演 福士蒼汰工藤阿須加黒木華池田成志小池栄子
2017年 (東宝) 114分  (G)

解説
第21回電撃小説大賞に輝いた北川恵海の人気小説を映画化した人間ドラマ。幼なじみだと名乗る男との出会いを機に本来の自分を取り戻していく主人公が体験する不思議な出来事がつづられる。主人公の隆を工藤阿須加、謎の存在であるヤマモトを福士蒼汰が演じる。監督は 「八日目の蝉」 の成島出。

ストーリー
仕事のノルマが厳しく、精神的に追い詰められていた隆は、駅で意識を失い、電車にはねられそうになったところを男に助けられる。ヤマモトと名乗る男は幼なじみだと言うが、隆には思い出せなかった。ヤマモトと出会ってから、何もかもが順調に回り始めてきた隆がヤマモトについて調べると、彼は3年前に自殺していた事がわかる。




22-219. 里見八犬伝(1983) (Legend of Eight Samurai)  

監督 深作欣二
出演 薬師丸ひろ子真田広之千葉真一寺田農志穂美悦子
1983年 (東映) 136分

解説
里見家の姫と八犬士の一人との恋をベースに、悪の妖怪軍団と戦う犬士達の姿を描く。滝沢馬琴著 「南総里見八犬伝」 に新解釈を加えた鎌田敏夫原作 「新・里見八犬伝」 の映画化で脚本は 「探偵物語」 の鎌田敏夫と 「人生劇場(1983)」 の深作欣二の共同執筆、監督は 「人生劇場(1983)」 の深作欣二、撮影は 「探偵物語」 の仙元誠三がそれぞれ担当。

ストーリー
館山城主・里見成義の一人娘・静姫は叔父のもとへと逃避行を続けていた。突如、黒装束の騎馬侍達が前ぶれもなく城に攻め入り、成義以下を皆殺しにしたのだった。城を奪った男・蟇田素藤は、かつて成義の父・義実が征伐した蟇田定包の子であり、その時死んだ筈の素藤と彼の母・毒婦玉梓は悪霊“御霊様”に仕えることによって、不死身の身体をもつ妖怪となって蘇ってきたのである。そして静姫の生き血を“御霊様”に捧げるべく、彼女の行方を血まなこになって探していた。静姫は炭焼小屋で親兵衛という若者と出会う。彼に追われた静姫は巡礼姿の二人連れに助けられた。二人は犬山道節、犬村大角と名乗り、一巻の絵巻物を差し出した。それには、約百年前に里見義実が蟇田一族を滅したいきさつ、そして玉梓の呪いからか、義実の息女・伏姫が飼犬・八房に授けられ、懐妊した伏姫の胎内より白気と共に、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の各字を刻んだ霊玉が八方に飛散したことなどが記されていた。道節と大角はそれぞれの霊玉を静姫に見せ「一刻も早く霊玉を持つ他の六人を探し出し、静姫を奉じ素藤らと戦わねばならない」と説く。最初はそんな話を信じなかった静姫だが、一人、また一人と犬士が集まってくるうち、犬士達と共に戦うことを決意した。なおも残る犬士を探す旅が続くなか、突然、けもの罠にかかり静姫がさらわれた。犯人は静姫を城に連れてきた者は侍にしてやる、という素藤のおふれに野望を燃やす親兵衛だった。彼は静姫を素藤のもとへ連れていこうとするが、素藤の支配下となった安房国の荒廃と黒騎馬侍の人を人とも思わぬ殺戮を見て心の中に変化が起き始めた。そして、黒騎馬侍達に静姫が発見された時、親兵衛は彼女をかばい、二人は鐘乳洞に逃げ込んだ。そこには、新たに同志を加えた道節らがいた。親兵衛の心の善を信じはじめた静姫だったが、二人はここで別れなければならなかった。犬士達に放りだされた親兵衛は黒騎馬達に捕まり城に連れさられる。彼はそこで、腕にある赤いアザから玉梓の子の転生であるということを知らされた。そして“御霊様”に仕える司祭・幻人によって悪の化身とされてしまう。その時、素藤配下の侍大将・現八に変化が起きる。彼は仲間を倒し、気を失っている親兵衛を連れて城を脱出した。懐にはいつしか光る霊玉がありそれに導かれるように静姫のいる洞に着いた現八は、七人目の犬士として迎えられる。その時、親兵衛が目を覚まし、いきなり静姫に襲いかかった。姫を守ろうとする犬士達に「刀を引きなさい」と、静姫が命じた。静姫は心で親兵衛に対峙しようとしたのだ。その瞬間、白い閃光が親兵衛を一撃し、彼の身体は静姫の前に崩れ落ちた。新兵衛が再び眼を覚すと腕のアザが消えており、二人の間には光り輝く霊玉があった。喜びに満ちあふれる二人は愛し合う。が、突如、大蛇があらわれ、静姫を巻き玉梓の笑い声を残して消え去った。集結した八犬士のもとに伏姫の「この矢を“御霊様”に向って静姫に引かせなさい」という声が響いた。そして彼らは姫を救い出し“悪”を滅すために館山城に向った。一人、一人合い討ちながらも素藤一味を倒していく犬士達。だが、素藤、玉梓、静姫のいる大広間にたどりついたのは、親兵衛と道節のみだった。道節は自ら追手の盾となり、親兵衛は静姫のもとへ飛んだ。そして縛めをとかれた静姫は“御霊様”に向って矢を放った。玉梓らはミイラと化し、城は崩れ落ちた。親兵衛は静姫を叔父の城へと送り届け、二人に別れの時がきた。親兵衛は静姫を想いながら七犬士達の墓を祭っていると馬に乗った静姫がやってきた。




22-220. 無法松の一生(1943)  

監督 稲垣浩
出演 阪東妻三郎月形龍之介園井恵子杉狂児長門裕之
1943年 82分

解説
阪東妻三郎の現代劇主演代表作。大映創立70周年記念特集上映 「映画は大映」 の一作品として、2012年11月23日より角川シネマ有楽町他にて上映された。

ストーリー
松五郎こと無法松(阪東妻三郎)はトラブルを引き起こす暴れ者だが、どこか憎めない人力車夫。ある日竹馬から落ちた少年・敏雄(沢村アキオ)を助けたことがきっかけで陸軍大尉の吉岡家へ出入りするようになるが……。




22-221. 誘拐報道 (To Trap a Kidnapper)  

監督 伊藤俊也
出演 萩原健一小柳ルミ子高橋かおり岡本富士太秋吉久美子
1982年 (東映) 134分

解説
幼児誘拐事件を通して浮き彫りにされる、犯人とその家族、被害者の家族、警察及び報道関係者の姿を描く。原作は読売新聞大阪本社社会部・編の同名ドキュメンタリー。脚本は 「徳川一族の崩壊」 の松田寛夫、監督は 「犬神の悪霊」 の伊藤俊也、撮影は 「飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」 の姫田真佐久がそれぞれ担当。

ストーリー
豊中市の私立学園一年生の三田村英之が、下校途中に誘拐された。県警本部の発表で、犯人が英之少年の父で小児科医の三田村昇に三千万円の身代金を要求していることが分かった。各新聞社に“報道協定”の要請があり、子供の生命がかかっているため、各社は受けざるを得なかった。三田村家には遠藤警部以下六名の警察官が入り込み、昇や妻の緋沙子と共に電話を待った。武庫川の川原に緋沙子が一人で来るようにとの電話があった。川原には英之の学帽とランドセルが置かれてあった。山岳地帯を貫いて、日本海側へ向かう高速自動車道。早朝の不甲峠を一台のムスタングが通過していく。数刻後、そのムスタングからサングラスの男が降り、公衆電話ボックスに向かった。ダイヤルをまわした先は三田村家。男は今日中に金をそろえるように指示して受話器を置いた。この知らせに大阪読売本社は色めきたった。「協定を結んだ以上、取材・報道は自粛するが、協定解除に向けて取材の準備はおこたりなく!」檄をとばす吉本編集局長。同じ頃、日本海を見下す断崖の上から、犯人が布団袋に入れた子供を投げすてようとするが、密漁者たちがいるために失敗。その足で犯人=古屋数男は老母のいる実家へ寄る。そこへ数男の妻・芳江から電話がかかってきた。芳江は喫茶店をだましとられた数男を助けようと造花工場で働いているのだ。気が弱いくせに見栄っばりな数男は娘の香織を私立学園に通わせていた。その香織と英之は同じクラスで仲良しだったのだ。実家を出た数男は再び英之を殺そうとするが、袋の中から「オシッコ!」と訴える英之に小用をさせているうちに殺意はしぼんでいった。途中で財布を落とし、持ち金も無くなった数男は、三田村家に電話を入れ、取り引き場所として宝塚市内の喫茶店を指示。捜査本部はあわただしく動き、記者たちも店を張り込んだ。危険を感じた数男は店に近づかなかった。風邪気味だった英之が悪寒を訴えた。このままでは英之が死んでしまう。焦る数男は、最後の指示を三田村家に伝えた。箕面市のレストランだ。三田村夫婦は警察に張り込まぬように哀願し、レストランの前で待った。しかし、数男は路上に張り込んだ刑事たちの姿を見つけた。万事休すだ。子供が死んでしまう。もう身代金は取れない……。翌朝、路上に停車して呆然としている数男が逮捕された。トランクの中の英之は無事だった。




22-222. 新網走番外地 吹雪のはぐれ狼  

監督 降旗康男
出演 高倉健谷隼人岡田眞澄ジューン・アダムス南利明
1970年 (東映) 107分

解説
“新番外地シリーズ”第五作。雪化粧をした零下の北海道、カムイベツを舞台に高倉健が暴れ廻る。脚本は 「新網走番外地 大森林の決闘」 の村尾昭。監督、撮影も同作の降旗康男と森七郎がそれぞれ担当。

ストーリー
九州若松組の末広勝治は、組のために体を張った傷害事件で、網走刑務所に送りこまれた。一本気で正義感の強い勝治は、看守の守田が、囚人で北海道カムイベツの暴力団五十嵐組の幹部手塚と組んでの、豆横流しの事実を知ってことあるごとに彼らに反抗した。一方、勝治に事実を知られてしまった手塚は裏山の作業場で勝治の不意を襲った。意識不明の勝治を救ったのは、巡回牧師のウィリーたった。ウィリーの教会は、カムイベツの港町を見下す小高い丘の中腹にあり、その後方にはウィリー・ジョンソンホームがあった。そこでは、少年院を出たものの身寄りがなく、悪の道へ転がり落ちるしかない札つきの若者たちをひきとって、善導していた。だが、少年たちはウィリーの善意をよいことに、やりたい放題のことをやっていた。ウィリーの仕事を手伝うようになった勝治にとって、ボクシングを通じて少年たちを更生させたいという願いのもとにつくられた、ホームの中のジムのコーチは楽しいものだった。そして、選手権試合の当日、ホーム代表の大関は勝利を治め優勝した。だが五十嵐から強要されていた八百長試合をはねつけたために、彼が放った刺客に殺されてしまった。ウィリーのどのような言葉も効果がなかった。勝治にはただ悪に対する激しい怒りしかなかった。勝治は吹きつける雪の中を五十嵐組の事務所へと急いだ。




22-223. ひとごろし  

監督 小林正雄
出演 松田優作高橋洋子五十嵐淳子丹波哲郎岸田森
1976年 (松竹) 82分

解説
誰も怖くて申し出のない上意討ちを藩一番の臆病者が独創的な方法を駆使してやり遂げる、山本周五郎の同名小説の映画化。脚本はテレビ時代劇 「子連れ狼」 シリーズの中村努、監督はテレビ監督出身で劇場映画はこれが初めての大洲斉、撮影は牧浦地志が担当。松田優作が 「竜馬暗殺」 (1974年)以来の時代劇に挑戦し、時代劇初主演を飾った。意気地のない双子六兵衛を演じた松田と、腕だけは立つ武芸者の仁藤昂軒役の丹波哲郎が繰り広げる丁々発止が秀逸。

ストーリー
越前福井藩きっての臆病者といわれている若侍双子六兵衛が突如、誰も引き受け手のない「上意討ち」を買って出た。相手は藩主が可愛がっていた御側小姓加納平兵衛を意趣あって斬り、退藩した藩のお抱え武芸者仁藤昂軒で、剣術と槍の名人であった。六兵衛には、もちろん剣の腕はあるはずもない。ある夏の日、妹かねのとめるのもきかず六兵衛は、太陽の照りつける北国路を昂軒を追って旅に出た。三日目に六兵衛は昂軒に追いついた。だが、その後姿を見ただけで心臓がとまるほど彼は恐怖にふるえあがった。その翌日、六兵衛はこともあろうに昂軒を追い越してしまい、昂軒に呼び止められた時、失神寸前の状態で思わず「ひとごろし」と叫んで夢中で逃げ出した。ところが、この一声が意外な効果を生んだのだ。往来の旅人や土地の人たちが、六兵衛の叫びを聞き、昂軒の容姿を見るなり大混乱を起こして、恐怖におののいて逃げまどった。それを見て六兵衛は急に元気づいて来た。昂軒が茶店へ入れば道の上から「その男はひとごろしだ。いつ人を殺すかわからないぞ」と喚きたてる。宿屋でも、飯屋でも、昂軒の行くところ、必死で六兵衛は叫びつづけた。相手の昂軒も手を束ねていたわけではない。六兵衛の前に立ふさがったり、時に不意を襲って「尋常に勝負しろ、侍らしくかかって来い」という。しかし六兵衛は、あくまで用心深く慎重で、同じ事を叫んでは素早く逃げた。そして昂軒の手のとどかぬ一定の距離を保ったまま、どこまでも追いつづけて叫んだ。街道や宿湯の人びとは、昂軒を恐れ、遠ざけた。彼はだんだん睡眠不足と空腹に追い込まれてノイローゼになっていく。六兵衛は自分が憶病であることを逆用したのだ。旅篭の女王人おようが六兵衛に味方して、昂軒を一緒に追った。富山では、藩の奉行所の与力宗方善兵衛が味方した。遂にグロッキーになった昂軒は、道端に座り込んで切腹するといい出した。六兵衛はあわてて止めた。「それは困る、私という討手がいるんだから」。そして六兵衛は昂軒の髷を切るという方法で、この上意討ちを首尾よく終えることに成功したのであった。




22-224. オズランド笑顔の魔法おしえます。  

監督 波多野貴文
出演 波瑠西島秀俊岡山天音深水元基戸田昌宏
2018年 (HIGHBROWCINEMA=ファントム・フィルム) 105分  (G)

解説
海猿」 など仕事小説に定評のある小森陽一の小説を波瑠主演で映画化した人間ドラマ。彼氏と同じホテルチェーンに就職したものの、地方の遊園地へ配属されたヒロインが、個性的な仲間たちとの日々の仕事を通して成長していく姿が描かれる。西島秀俊がさまざまなアイデアで遊園地を再生したカリスマ上司をユニークに演じる。

ストーリー
彼氏のトシ君が勤める超一流ホテルチェーンに就職したものの、系列の地方の遊園地へ配属となった久瑠美。トシ君から優秀な社員に与えられる“MVP”を取れば、本社勤務に戻れると知り、頑張ろうと気持ちを改める。だが、出社翌日から連日、“魔法使い”の異名を持つカリスマ上司・小塚から園内のゴミ拾いを命じられ、苛立ちを募らせる。




22-225. 起終点駅ターミナル  

監督 篠原哲雄
出演 佐藤浩市本田翼二代目中村獅童和田正人音尾琢真
2015年 (東映) 111分  (G)

解説
直木賞作家・桜木紫乃の同名小説を、篠原哲雄監督が主演に佐藤浩市を迎えて映画化したヒューマンドラマ。北海道・釧路で国選弁護人をしている心に傷を抱えた男が依頼人の女性とのふれあいを通して、生きる道を見出していく姿を描く。主人公の元に現れる女性を本田翼、彼の人生に大きな影を落とす女性を尾野真千子が演じる。

ストーリー
25年前に裁判官だった頃、愛する女性を目の前で失ってから誰とも関わる事なく生きてきた完治。現在は釧路で国選弁護人をしている彼の前に弁護を担当した若い女性・敦子が現れる。個人の依頼は受けないはずだったが、家族に見放されて誰にも頼る事なく生きてきた彼女の生き様を知り、ある人を捜してほしいという依頼を受ける。




22-226. 魔女見習いをさがして  

監督 鎌谷悠
出演 森川葵松井玲奈百田夏菜子三浦翔平石田彰
2020年 (東映) 91分  (G)

解説
テレビアニメ 「おジャ魔女どれみ」 シリーズの放送20周年を記念して制作された劇場版アニメ。運命的な出会いを果たした3人のヒロインが、“どれみ”にゆかりのある地を巡る旅を通して、大人になって見失ってしまった大切なものを見いだしていく。シリーズ初期からのオリジナルメンバーである佐藤順一監督や脚本家の栗山緑、総作画監督の馬越嘉彦らが再集結し、ヒロインたちの声を森川葵、松井玲奈、百田夏菜子が担当する。

ストーリー
進路に戸惑う大学生の長瀬ソラ、職場になじめない会社員の吉月ミレ、ダメ彼氏に振り回されるフリーターの川谷レイカ。年齢も性格も住んでいる場所も異なる3人は、アニメ「おジャ魔女どれみ」をきっかけに運命的な出会いを果たす。飛騨高山、京都、奈良と“どれみ”ゆかりの地を巡る旅へと出発した3人は、笑って泣いて支え合って、かけがえのない時間を過ごしていくなかで、大人になって忘れかけていた大切なものに気づく。




22-227. 湯を沸かすほどの熱い愛  

監督 中野量太
出演 宮沢りえ杉咲花篠原ゆき子駿河太郎伊東蒼
2016年 (クロックワークス) 125分  (G)

解説
がんで余命2か月を宣告されたヒロインが、残された時間で家族を成長させようと奮闘し、より強い絆で結ばれていくさまを描く家族ドラマ。宮沢りえが家族を大きな愛で包み込む母親を、オダギリジョーがその夫を、杉咲花が娘を演じる。監督は自主製作で撮った 「チチを撮りに」 で国内外の映画祭で注目を浴びた中野量太。

ストーリー
1年前、夫が突然家出をし、家族経営の銭湯、幸の湯は休業状態。でも、母の双葉は持ち前の明るさと強さでパートをしながら、娘を育てている。ところがある日、がんで余命2か月を宣告される。“絶対にやっておくべき事”を決めた双葉は、家出中の夫を連れ帰って銭湯を再開させ、気が優しすぎる娘を独り立ちさせようと奮闘する。




22-228. キネマの神様  

監督 山田洋次
出演 沢田研二永野芽郁宮本信子野田洋次郎
2021年 (松竹) 125分  (G)

解説
山田洋次監督が原田マハの小説を映画化した人間ドラマ。ひたすらに映画を愛し続けた男を主人公に、時代を超えた愛と友情、そして家族のありようを描きだす。沢田研二と菅田将暉が二人一役で主人公を演じるほか、宮本信子、永野芽郁、野田洋次郎、北川景子らが共演。当初、志村けんが主演を務める予定だったが、新型コロナウイルス感染症による急逝を受け、かつて同じ事務所に所属し親交の深かった沢田を代役に迎えた。

ストーリー
ギャンブル漬けで借金まみれのゴウは、妻の淑子と娘の歩にも見放されたダメ親父。しかし、そんな彼にも“映画”という愛してやまないものがある。若き日のゴウは助監督として撮影に明け暮れながら、映写技師のテラシンら仲間とともに青春の日々を駆け抜けていた。それから半世紀後の2020年、ゴウがお蔵入りとなっていた自らの初監督作『キネマの神様』の脚本を発見したことで、沈みかけていたゴウと家族が再び動き始める。




22-229. 千利休 本覺坊遺文  

監督 熊井啓
出演 三船敏郎奥田瑛二萬屋錦之介加藤剛芦田伸介上條恒彦
1989年 (東宝) 107分

解説
千利休四百年遠忌特別作品。安土・桃山時代の茶人・千利休の謎に包まれた晩年を、愛弟子・本覚坊らが解き明かしていく様子を描く。井上靖原作の小説 「本覺坊遺文」 の映画化で、脚本は 「天平の甍」 の依田義賢が執筆。監督は 「海と毒薬」 の熊井啓、撮影は 「女衒」 の栃沢正夫がそれぞれ担当。

ストーリー
千利休が太閤秀吉の命で自刃してから27年後、愛弟子だった本覺坊は心の師と語らうのみの生活を送っていた。ある日本覺坊は、利休がなぜ秀吉の怒りを買って死んだのか、理由を解明しようと情熱を傾ける織田有楽斎に会って感動を覚えた。そして一年後、本覺坊は有楽斎に、利休の晩年山崎の妙喜庵で催された真夜中の茶会について話した。客は秀吉と、後に小田原落城で秀吉に刃向かって切腹した山上宗二だったが、もう一人がわからなかった。さらに一年後、有楽斎は残る客の一人は利休の弟子の古田織部だと見抜いた。織部も大坂夏の陣で豊臣方に内通したかどで、利休や山上宗二と共に自刃したが、実は三人とも死を誓い合っていた。翌年有楽斎は体が弱り危篤となったが、なお利休の最期の心境を知りたがっていた。本覺坊は夢にみた利休と秀吉の最期の茶事の光景を語り始めた。秀吉は一時の感情で下した利休に対する切腹の命を取り消したが、利休は茶人として守らなければならない砦のために切腹すると言い切った。本覺坊の話が利休の切腹に及ぼうとするところで、有楽斎はもうろうとした意識の中で刃を取って切腹したのだった。




22-230. シン・ゴジラ  

監督 庵野秀明
出演 長谷川博己竹野内豊石原さとみ市川実日子犬童一心
2016年 (東宝) 120分  (G)

解説
日本の怪獣映画史に名を残す“ゴジラ”が、 「新世紀エヴァンゲリオン」 の庵野秀明が総監督、 「進撃の巨人ATTACKONTITAN」 の樋口真嗣が監督を務め、シリーズ初のフルCGで復活。巨大怪獣の出現で未曽有の危機にさらされた人々の物語が描かれる。長谷川博己、竹野内豊、石原さとみをはじめ、総勢328名のキャストが出演。

ストーリー
東京湾アクアトンネルが謎の崩落を起こし、総理大臣や閣僚による緊急会議が開かれる。海中にすむ巨大生物による可能性を指摘する内閣官房副長官・矢口の意見を周囲は一笑に付すが、直後、海上に巨大不明生物が現れる。鎌倉に上陸し、次々と街を破壊していくそれはゴジラと名付けられ、川崎市街でついに自衛隊との戦闘が始まる。




22-231. コンフィデンスマンJPプリンセス編  

監督 三橋利行
出演 長澤まさみ東出昌大小手伸也小日向文世織田梨沙
2020年 (東宝) 124分  (G)

解説
ドラマ 「リーガル・ハイ」 シリーズなどヒット作を多数手掛ける脚本家・古沢良太による人気作 「コンフィデンスマンJP」 の劇場版第2弾。伝説の島・ランカウイ島を舞台に、大富豪が遺した10兆円の遺産を巡るだまし合いが繰り広げられる。長澤まさみ、東出昌大、小日向文世らおなじみのキャスト陣に加え、柴田恭兵、北大路欣也、滝藤賢一、関水渚ら新キャストが参加。

ストーリー
世界有数の大富豪レイモンド・フウが亡くなった。彼の遺産を巡ってブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすなか、執事トニーが発表した相続人は隠し子の“ミシェル・フウ”だった。ミシェルの存在を知る者は誰もおらず、彼女の捜索が始まるなか、世界中の詐欺師たちがミシェルの名を騙ってランカウイ島に集結。ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人も島に乗り込み、大胆不敵なコンゲームを仕掛ける。




22-232. 東京タワーオカンとボクと、時々、オトン  

監督 松岡錠司
出演 オダギリジョー樹木希林内田也哉子松たか子小林薫
2007年 (松竹) 142分

解説
200万部を超えたリリー・フランキーの自伝小説を、 「さよなら、クロ」 の松岡錠司監督が映画化。主人公の“ボク”をオダギリジョー、“オカン”を樹木希林が演じた感動作。

ストーリー
1960年代の九州で、両親が別居して“オカン”に引き取られた“ボク”は、やがて上京し美術大学へと通う。バブル崩壊後、イラストとコラムの仕事で生活の糧を得た彼は、ガンの手術をした母を東京に呼び、同居を始める。




22-233. 桜色の風が咲く  

監督 松本准平
出演 絨????田中偉登吉沢悠吉田美佳子山崎竜太郎
2022年 (ギャガ) 113分  (PG12)

解説
世界初の盲ろう者の大学教授となった福島智と、彼を支えた母、令子の実話を基に描くヒューマンドラマ。 「パーフェクト・レボリューション」 の松本准平がメガホンをとり、主人公の令子を 「ALWAYS三丁目の夕日」 の小雪、智の青年期を 「るろうに剣心」 シリーズの田中偉登がそれぞれ演じた。 「動物のお医者さん」 の吉沢悠や 「凶悪」 のリリー・フランキーらが脇を固める。

ストーリー
智は9歳で視力を失いながらも、家族の愛に包まれ天真爛漫に育ち、東京の盲学校で高校生活を満喫していた。しかし、18歳を迎えたころ聴力を失い、孤独に苛まれるように。そんななか、母親の令子が彼との日常から「指点字」という新たなコミュニケーションの手段を編み出す。この指点字をきっかけに智は困難を乗り越えようとする。




22-234. 新源氏物語 ( The Radiant Princess)  

監督 森一生
出演 市川雷蔵寿美花代中村玉緒若尾文子二代目水谷八重子
1961年 (大映) 102分

解説
「週刊文春」 連載の川口松太郎の同名小説を 「美少年変化 竜の岬の決闘」 の八尋不二が脚色、 「怪談 蚊喰鳥」 のコンビ、森一生が監督、本多省三が撮影した王朝もの。

ストーリー
帝の寵を一身に集めた桐壷は光源氏を生み落して間もなく亡くなった。宮の女性の憧れの的となった光源氏は、時の権力者左大臣の娘葵の上を正妻に迎え前途洋々たるものがあった。その源氏の前に、母と瓜二つという藤壷が現れた。父帝のおもい者と知りながら源氏の心は燃えた。それを知って従者惟光は藤壷付きの王命婦をそそのかして源氏を藤壷の几帖の中に忍びこませた。源氏の甘い抱擁にわれを忘れた藤壷であったが、罪の苛責に戦いた。帝の寵を藤壷に奪われて面白くない弘徽殿の女御は、兄の右大臣と藤壷の失脚をはかった。この叔母と父の企みを近く東宮の妃にあがる朧月夜が耳にしていた。朧月夜は、藤壷の館に忍ぶ源氏を追って強引にも几帖の中に引き入れ、惜し気もなくやわ肌を与えその耳に藤壷に近づくなと忠告した。やがて藤壷は玉のような皇子を誕生した。何も知らず歓ぶ帝を見るにつけ源氏の心は暗かった。その懊悩を野遊びに晴らそうとした源氏は、常陸官の姫末摘花と逢いその女らしいもてなしにうさを晴らしていた。その頃、葵の上は姙り産み月を待っていた。葵祭りの日、葵の上の牛車は六条の御息所の網代車に追突、相手の車のナガエを折ってしまった。口惜しさと憤りに六条の御息所は、生霊となって葵の上を襲った。葵の上は男子誕生と共に死んだ。悲しみにひたる源氏に、またまた父の帝が崩御し、朱雀帝が即位した。源氏は娘の紫の成長を慰めとして日々を送るようになった。今では新帝の妃となった。朧月夜は、一夜の源氏との交情を忘れることができなかった。大胆にも藤壷の館に忍ぶ源氏を目敏く見つけるや、几帳の中に引入れ藤壷に近づくのは身の破滅だと囁いた。この二人の交歓を弘徽殿の女御が発見した。女御の知らせでこれを知った朱雀帝は憤然とした。源氏は新帝からの通達によって須磨明石へ移されることになった。




22-235. 映画大好きポンポさん  

監督 三宅寛治
出演 清水尋也小原好美大谷凜香加隈亜衣大塚明夫
2021年 (茹?綏?ANIMATION) 90分  (G)

解説
杉谷庄吾【人間プラモ】による漫画を基にした劇場アニメーション。敏腕プロデューサーから映画監督に抜擢されたアシスタントの青年が、波乱万丈な映画製作に没頭していく。 「ホットギミックガールミーツボーイ」 などの清水尋也が主人公役で声優に初挑戦するほか、小原好美、大谷凜香、加隈亜衣、大塚明夫が名を連ねる。監督と脚本は、 「劇場版 「空の境界」 第五章矛盾螺旋」 などの平尾隆之。

ストーリー
敏腕プロデューサーのポンポさんのもとで製作アシスタントに勤しむ青年ジーンは、鑑賞作品をすべて記憶するほどの映画好き。自ら映画を撮ることに憧れを抱くも、自分には無理だと卑屈になっていた彼は、15秒のCM製作を任されたことを機に映画づくりの楽しさを知る。さらにジーンはポンポさんから、伝説の俳優の復帰作であり、大ヒット間違いなしの重要な映画の監督に大抜擢される。




22-236. 銭形平次捕物控 まだら蛇  

監督 加戸敏
出演 長谷川一夫山本富士子木暮実千代美空ひばり黒川弥太郎
1957年 88分

解説
御存じ銭形平次捕物控、大映カラーによって描く娯楽時代劇。野村胡堂の原作から伊藤大輔監督が脚本をかき、 「逢いぞめ笠」 の加戸敏が監督、 「月形半平太(1956)」 の牧田行正が撮影を担当する。主な出演者は 「月形半平太(1956)」 の長谷川一夫、 「鬼姫競艶録」 の美空ひばり、 「君を愛す」 の山本富士子、 「霧の音」 の木暮実千代、 「あばれ鳶」 の黒川弥太郎、ほかに堺駿二、山茶花究など。

ストーリー
文政年間の江戸。当節通用の粗悪な文政小判に比べ、八十余年前の元文小判は金分を多量に含み値打が遥かに大きい。為に巷では元文小判の貯蔵が流行し、幕府は遂に割増金付きの買戻しを決意した。これに眼をつけた元火付け盗賊改め大沼玄蕃は、悪商人大阪屋喜兵衛、御勘定奉行、岡っ引の千吉らを語らい、贋小判鋳造で巨利を得ようと計る。佃島で刑期を了えた金銀細工物師や鍛冶屋を誘拐し、蘭医周庵の薬でノドをつぶしてから、足枷をはめて大沼邸の地下工場に送り込む。用心棒の、浪人一の木、二の瀬らは囚人の腕にまだら蛇を入墨して脱走の際の目印とした。機を見て逃げた囚人の源太は、大吹所で働く兄清兵衛の一人娘お吉に、工場の所在を示した偽小判を渡そうとしたが、果せぬ中、一の木に殺された。若衆姿で舟宿“舟栄”の船頭をしていた小吉ことお吉は、源太の死骸を見出し悲嘆にくれる。そこへ現われた流し芸人新三こと銭形平次。かねて偽金造りに眼をつけていたのだが小吉に協力を約束。大阪屋は女バクチ打のお絹を誘い役として、一味の賭場で元文小判を割増つき駒札と換えて闇値を上げようと計る。玄蕃は、以前銭座支配で今は金座鑑定方の阿部内蔵之進に加担を頼み、拒絶されるや招待にことよせて毒殺。一方、源太の小判から大沼邸に目星をつけた平次と腰巾着ガラッ八は、与力笹野新三郎の助言で阿部邸へ赴くが、娘の喜久江から内蔵之進の急死を聞く。だが彼が死際に口走った一味の名を、声の出ぬまま喜久江が説唇術で読取ったと知り、加えて銭座の古絵図を入手。大沼邸に入り込んだ平次は二の瀬に見破られ、危く一命を全うした。一味は事情を知りすぎたお絹も殺そうとしたが、平次に妨げられる。平次は笹野に一味総手入れを懇願し、捕方共々大沼邸に忍び寄る。折柄、玄蕃らは予定額に達した偽小判の処分を協議中。大願成就の祝宴へ、腰元に化けたお吉が火薬玉を投じ爆発を合図に捕方は乱入。囚人らも牢を破って飛び出す。一の木と相打ちに倒れたお絹は平次の名を呼びつつ絶命。父親清兵衛と抱き合うお吉。平次の尽力で偽金造りの一味もここに壊滅した。




22-237. ファーストラヴ  

監督 堤幸彦
出演 北川景子中村倫也芳根京子窪塚洋介板尾創路
2021年 (KADOKAWA) 119分  (G)

解説
第159回直木賞を受賞した島本理生の同名小説を、 「望み」 などの堤幸彦監督が北川景子を主演に迎え映画化したサスペンス。公認心理師の主人公が、ある刺殺事件の容疑者である女子大生と面会を重ねるうちに、自分自身の過去の記憶につながる意外な真相にたどり着く。主人公を翻弄する美しき容疑者を芳根京子、主人公とともに事件に迫る敏腕弁護士を中村倫也、主人公の夫であるカメラマンを窪塚洋介が演じる。

ストーリー
父親を殺害した容疑で女子大生の聖山環菜が逮捕され、「動機はそちらで見つけてください」という彼女の言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師の真壁由紀は、夫の弟で弁護士の庵野迦葉とともに環菜の動機を探るため面会を重ねる。二転三転する環菜の供述に翻弄されながらも、彼女に過去の自分と似た“なにか”を感じ始めた由紀は、心の奥底に隠したはずの“ある記憶”と向き合うことになる。




22-238. 居眠り磐音  

監督 本木克英
出演 松坂桃李木村文乃芳根京子柄本佑杉野遥亮
2019年 (松竹) 121分  (G)

解説
数々の時代小説で知られる佐伯泰英の人気シリーズを松坂桃李主演で初めて映画化した時代ドラマ。不幸な過去を背負い、故郷を離れて江戸で浪人として暮らす男が、巨悪に立ち向かうため、剣を手に取る。コメディから社会派ドラマまで幅広いジャンルを手がける本木克英がメガホンを握る。主題歌を人気歌手のMISIAが担当する。

ストーリー
悲しい事件で2人の幼馴染を失い、許嫁を残して故郷の豊後関前藩を脱藩し、浪人として江戸で暮らす磐音。長屋の大家の紹介で昼はうなぎ屋、夜は両替屋・今津屋の用心棒として働き、礼節を重んじる優しい人柄は周囲の人々を魅了していく。しかし、幕府が流通させた新貨幣を巡る陰謀に巻き込まれ、悪に立ち向かうことを決意する。




22-239. 60歳のラブレター  

監督 深川栄洋
出演 中村雅俊原田美枝子井上順戸田恵子イッセー尾形
2009年 (松竹) 129分

解説
“ラブレター”をモチーフに、長年連れ添ってきた男女の思いをつづる感動ドラマ。3組の登場人物の喜びや迷いを描きつつ、人と人との絆の大切さを観る者に伝える。

ストーリー
夫の定年退職を機に離婚を決めた孝平とちひろ。かつて音楽が縁で結ばれた魚屋の夫婦、正彦と光江。5年前に愛妻を亡くした医師、静夫と翻訳家の麗子。彼らはそれぞれ重大な人生の転機を迎える。




22-240. 次郎物語  

監督 加藤剛
出演 高橋惠子伊勢将人樋口剛嗣戸田恵子永島敏行
1987年 (東宝) 110分

解説
親と子の心のふれあいを描いた古典的名作の映画化。原作は下村湖人の同名小説、脚本は「白い野望」の井手雅人、監督は「きみが輝くとき」の森川時久、撮影は「親鸞 白い道」の山崎善弘がそれぞれ担当。

ストーリー
昭和の初め、次郎は母・お民の体が弱かったため、生まれてすぐお浜の家に預けられた。お民も元気になり実家に引きとられたが、お浜になついている次郎は連れ戻されるたびに逃げ帰るのだった。次郎の実家、本田家は、古くから続いた由緒正しい家柄で、士族の格式を守り子供たちの躾も厳しかった。6歳の夏、とうとう実家に連れ戻された次郎は、それまで自然の中で伸び伸びと育てられていたから、本田家の家風に息もつまりそうな思いの日々が始まる。祖母のおことは、乳母のお浜を恋しがる次郎に何かにつけて辛くあたった。体の丈夫でないお民は、おことと次郎の間でおろおろするばかり。父親の俊亮は、遠く離れた役所に勤めていたため、週に一度しか帰宅しなかったが、次郎を兄弟と分けへだてなく可愛がってくれた。十歳になった次郎は、相変わらず家庭に馴染まず、お民の実家、正木家や同級生の竜一の家へ行くことで寂しさを紛らわせていた。正木家の雇人、喜さぶは次郎を弟のようにかばってくれる。喜さぶと竜一の姉、春子とは相愛の仲だったが、喜さぶの家の没落で身分が変り、春子は遠い東京へ嫁入りすることになった。ある日、次郎は餓鬼大将にいじめられている兄と弟を助け、逆に餓鬼大将に怪我させてしまう。そのことでおことやお民に責められる彼の味方となったのは俊亮だった。次郎がようやく本田家の毎日に馴染む頃から、悪いことが続くようになった。次郎を可愛がってくれた祖父、恭亮が死に、その看病疲れからお民も発病、そして本田家の破産。一家は町に移り慣れない商売を始めたが、次郎は正木一家でお民の看病をすることになった。同じ頃、お浜の一家も夜逃げ同然に故郷を離れ、消息が知れなくなっていた。お民の病は重かったが、一所懸命看病する次郎にお民もうちとけ、二人の間にはようやく母と子の愛情が通じ合うのだった。夏になり、浮立の踊りに参加する次郎の衣裳を縫いあげ送り出したお民は、知らせを聞いて炭鉱から駈けつけたお浜にこれまでの非礼を詫びた。浮立連の中で踊っていた次郎は、お民の容態急変の知らせに枕許に急ぐが、お民の顔は既に白布で覆われていた。