2-1. 東京物語

監督 小津安二郎
出演 笠智衆東山千栄子山村聡
1953年(松竹)

お茶漬の味」以来一年ぶりの小津安二郎監督作品で、脚本は小津安二郎と 「落葉日記」の野田高梧の協同執筆、撮影も常に同監督とコンビをなす厚田雄春(陽気な天使)、音楽は斎藤高順。出演者は 「白魚」の原節子、 「君の名は」の笠智衆、 「明日はどっちだ」の香川京子、 「蟹工船」の山村聡、 「雁(1953)」の三宅邦子、 「残波岬の決闘」の安部徹、 「きんぴら先生とお嬢さん」の大坂志郎などの他、東山千栄子、杉村春子、中村伸郎、東野英治郎等新劇人が出演している。


2-2. 二十四の瞳

監督 木下惠介
出演 高峰秀子天本英世八代敏之
1954年(松竹)

「女の園」に次ぐ木下恵介監督作品。壷井栄の原作を同監督自身が脚色している。撮影も 「女の園」の楠田浩之、音楽は 「三つの愛」の木下忠司。出演者は 「女の園」の高峰秀子、田村高廣、天本英世、 「昨日と明日の間」の月丘夢路 「陽は沈まず」の小林トシ子、笠智衆など。


2-3. トウキョウソナタ

監督 黒沢清
出演 香川照之小泉今日子小柳友
2008年・日本、オランダ、香港(ピックス)

東京を舞台に、4人家族の崩壊とかすかな希望を描いた、黒沢清監督の人間ドラマ。現代社会や家族の抱える不安を鮮烈に表現し、カンヌ映画祭“ある視点”部門で審査員賞を受賞。


2-4. 鉄道員ぽっぽや

監督 降旗康男
出演 高倉健小林稔侍大竹しのぶ
1999年(東映)

北海道の雪深い町の駅舎を舞台に、鉄道員として生きたひとりの男の姿を綴ったドラマ。監督は 「現代任侠伝」の降旗康男。浅田次郎による第二十七回直木賞受賞の同名小説を、 「植村直巳物語」の岩間芳樹と降旗監督が共同脚色。撮影を 「おもちゃ」の木村大作が担当している。主演は 「四十七人の刺客」の高倉健。その他、 「学校III」の小林稔侍と大竹しのぶ、 「20世紀ノスタルジア」の広末涼子らが出演している。


2-5. めし

監督 成瀬巳喜男
出演 上原謙原節子島崎雪子
1951年(東宝)

林芙美子の未完の絶筆を映画化した成瀬巳喜男の戦後の代表作のひとつ。繊細にしてリアルな女性描写は、成瀬演出の真骨頂と言われている。ノーベル賞作家・川端康成が監修を担当。


2-6. 若者たち

監督 森川時久
出演 田中邦衛橋本功山本圭佐藤オリエ
1967年

同名のテレビドラマでコンビを組んだ山内久がシナリオを執筆、森川時久が劇映画初の監督をした青春もの。撮影は 「怪談」の宮島義勇。


2-7. ウホッホ探検隊

監督 根岸吉太郎
出演 十朱幸代田中邦衛村上雅俊
1986年(東宝)

夫婦が離婚するまでをユニークに描いたホームドラマ。干刈あがた原作の同名小説の映画化で、脚本は 「そろばんずく」の森田芳光、監督は 「ひとひらの雪」の根岸吉太郎、撮影は丸池納がそれぞれ担当。


2-8. 名もなく貧しく美しく

監督 松山善三
出演 高峰秀子小林桂樹島津雅彦
1961年(東宝)

松山善三が自らの脚本を、初めて監督したもので、ろう者夫婦の物語。撮影は 「ぼく東綺譚(1960)」の玉井正夫。出演は小林桂樹と高峰秀子。


2-9. 無法松の一生

監督 稲垣浩
出演 三船敏郎芥川比呂志高峰秀子
1958年(東宝)

岩下俊作の原作から故伊丹万作と稲垣浩が脚色、 「柳生武芸帳 双龍秘劔」の稲垣浩が再び監督する往年の名作の再映画化。撮影は 「遥かなる男」の山田一夫が担当した。 「柳生武芸帳 双龍秘劔」の三船敏郎、 「張込み」の高峰秀子という顔合せに、芥川比呂志、笠智衆、宮口精二、多々良純、有島一郎などが出演。色彩はアグファカラー。


2-10. 煙突の見える場所

監督 五所平之助
出演 上原謙田中絹代芥川比呂志
1953年(新東宝)

「文学界」に掲載された椎名麟三の「無邪気な人々」を「二人の瞳」の小国英雄が脚色し、「朝の波紋」の五所平之助が監督した。「春の囁き」の三浦光雄、「吹けよ春風」の芥川也寸志がそれぞれ撮影、音楽に当っている。「夫婦」の上原謙、「秘密(1952)」の田中絹代、「女といふ城 夕子の巻」の高峰秀子、「ひめゆりの塔(1953)」の関千恵子を中心に田中春男、花井蘭子、浦辺粂子、坂本武などが助演する他、文学座の芥川比呂志が参加している。


2-11. 恍惚の人

監督 豊田四郎
出演 森繁久彌小野松江田村高廣
1973年(東宝)

息子も孫も顔をしかめてそっぽを向くボケた八十四歳の老人との温かい心のふれ合いを日常茶飯事の中でとらえる。原作は有吉佐和子の同名小説。脚本は松山善三、監督は 「地獄門」の豊田四郎、撮影は 「喜劇 泥棒大家族 天下を取る」の岡崎宏三。


2-12. 裸の島

監督 新藤兼人
出演 乙羽信子殿山泰司田中伸二
1960年

瀬戸内海の孤島に往む夫婦と子供たちの自然との戦いを記録したもので、 「第五福竜丸」に続いて新藤兼人が自らの脚本を監督したセリフなしの映画。撮影は 「らくがき黒板」の黒田清巳。十三人のスタッフで作られた。


2-13. キューポラのある街

監督 浦山桐郎
出演 東野英治郎吉永小百合市川好朗
1962年(日活)

早船ちよの原作を 「豚と軍艦」の今村昌平と、その門下にあった浦山桐郎が共同で脚色、監督した社会ドラマ。撮影は 「ずらり俺たちゃ用心棒」の姫田真佐久。


2-14. おとうと

監督 市川崑
出演 岸惠子川口浩田中絹代森雅之仲谷昇
1960年 (大映) 97分

幸田文の原作を、 「キクとイサム」 の水木洋子が脚色し、 「ぼんち」 の市川崑が監督した、若い姉弟の物語。撮影は 「切られ与三郎」 の宮川一夫。この作品では時代の雰囲気を出すために彩度を落としコントラストを残す現像方法 「銀残し」 が生み出された。


2-15. にごりえ

監督 今井正
出演 三津田健田村秋子久門祐夫
1953年(松竹)

文学座、新世紀映画社の共同製作になる樋口一葉の小説のオムニバス映画で、 「ひめゆりの塔(1953)」の今井正監督作品。脚本は 「あにいもうと(1953)」の水木洋子と 「愛人」の井手俊郎が共同で書いている。撮影は今井正とコンビをなす中尾駿一郎(ひろしま)、音楽は 「赤線基地」の団伊玖磨である。出演者は 「東京物語」の杉村春子、長岡輝子、中村伸郎、 「雁(1953)」の芥川比呂志、 「幸福さん」の田村秋子、丹阿弥谷津子、三津田健など文学座の面々のほかに、 「地の果てまで」の久我美子、 「花の生涯」の淡島千景、 「蟹工船」の山村聡が出演している。


2-16. 風の中の子供

監督 山本嘉次郎
出演 笠智衆英百合子加藤和夫
1957年(東宝)

昭和十一年六月から朝日新聞に連載された坪田譲治の同名小説の映画化。 「動物園物語より 象」の山本嘉次郎が脚色、監督、 「夜の鴎」の芦田勇が撮影した。主演は 「あすなろ物語」の久保賢(久保明の弟)とNHK連続ドラマ 「コロの物語」のセットで発見したという小柳徹の二人で、これが主人公の善太と三平を演ずる。これを助けて 「眠狂四郎無頼控 第二話 円月殺法」の津島恵子、それに笠智衆、英百合子、森川信などのベテランが助演する。


2-17. 乳母車

監督 田坂具隆
出演 宇野重吉山根寿子芦川いづみ新珠三千代石原裕次郎
1956年(日活)
1956年(日活)

愛情と生活のトラブルを若い人たちのモラルで築きあげようとする物語。石坂洋次郎の同名小説を 「殉愛」の沢村勉が脚色、 「女中ッ子」以来の田坂具隆が監督、 「太陽の季節」の伊佐山三郎が撮影を担当する。出演者は 「泣け、日本国民 最後の戦闘機」の芦川いづみ、 「狂った果実(1956)」の石原裕次郎、 「病妻物語 あやに愛しき」の宇野重吉、 「愛は降る星のかなたに」の山根寿子、 「洲崎パラダイス 赤信号」の新珠三千代。その他杉幸彦、青山恭二、中原早苗、中原啓七、織田政雄など。


2-18. 雨月物語

監督 溝口健二
出演 京マチ子水戸光子田中絹代
1953年(大映)

上田秋成の 「雨月物語」九話のうち 「蛇性の婬」 「浅茅が宿」の二つを採って自由にアレンジした川口松太郎の小説(オール読物)を原型として、川口松太郎、依田義賢が共同脚色した。製作の永田雅一、企画の辻久一、共に 「大仏開眼」のトップ・スタッフ。監督、撮影は 「お遊さま」以来のコムビ溝口健二と宮川一夫である。早坂文雄、伊藤熹朔がそれぞれ音楽・美術面の総監督にあたり、風俗考証を甲斐荘楠音、舞及び謡曲の指導を観世流の小寺金七がする。キャストは 「大仏開眼」の京マチ子、水戸光子、 「煙突の見える場所」の田中絹代、 「妖精は花の匂いがする」の森雅之などの他俳優座の小沢栄、青山杉作が出演する。


2-19. 異人たちとの夏

監督 大林宣彦
出演 風間杜夫秋吉久美子片岡鶴太郎
1988年(松竹)

中年のシナリオ・ライターが、幼い頃死んだはずの両親と再会する不思議な体験を描く。山田太一原作の同名小説の映画化で、市川森一が脚色。監督は 「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」の大林宣彦、撮影は 「PARIS-DAKAR 15 000 栄光への挑戦」の阪本善尚がそれぞれ担当。


2-20. 誰も知らない

監督 是枝裕和
出演 柳楽優弥北浦愛木村飛影
2004年(シネカノン)

「ディスタンス」の是枝裕和監督が、実話をもとに描く人間ドラマ。東京を舞台に、母親に捨てられ社会と隔絶された4人の子供たちの希望と絶望を繊細に映しだす。


2-21. 父と暮らせば

監督 黒木和雄
出演 宮沢りえ原田芳雄浅野忠信
2004年(パル企画)

「美しい夏キリシマ」の名匠・黒木和雄が井上ひさしの同名戯曲を映画化。原爆投下によって死別した親子の4日間の再会を通して、生命の尊さを問いかける。


2-22. 人間の条件 第一部 純愛編

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代小林トシ子
1959年(松竹)

空前のベストセラーとなった五味川純平の同名小説の映画化。今回はその第二部まで。 「有楽町0番地」の共同執筆者・松山善三と小林正樹が脚色、 「黒い河」の小林正樹が久方ぶりに監督した。撮影は 「裸の太陽」(東映)の宮島義勇。 「裸の太陽」の仲代達矢、 「鰯雲」の新珠三千代をはじめ、佐田啓二・有馬稲子・淡島千景・南原伸二・山村聡らの多彩なキャスト。


2-23. 人間の条件 第二部 激怒編

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代小林トシ子
1959年(松竹)

空前のベストセラーとなった五味川純平の同名小説の映画化。今回はその第二部まで。 「有楽町0番地」の共同執筆者・松山善三と小林正樹が脚色、 「黒い河」の小林正樹が久方ぶりに監督した。撮影は 「裸の太陽」(東映)の宮島義勇。 「裸の太陽」の仲代達矢、 「鰯雲」の新珠三千代をはじめ、佐田啓二・有馬稲子・淡島千景・南原伸二・山村聡らの多彩なキャスト。


2-24. 人間の条件 第三部 望郷篇

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代佐田啓二
1959年(松竹)

第一部・第二部に続く五味川純平の同名小説の映画化。軍隊における主人公・梶の行動を描く。脚色・松山善三、小林正樹、監督・小林正樹、撮影・宮島義勇といずれも前編と同じスタッフ。


2-25. 人間の条件 第四部 戦雲篇

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代佐田啓二
1959年(松竹)

第一部・第二部に続く五味川純平の同名小説の映画化。軍隊における主人公・梶の行動を描く。脚色・松山善三、小林正樹、監督・小林正樹、撮影・宮島義勇といずれも前編と同じスタッフ。


2-26. 人間の条件 第五部 死の脱出

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代内藤武敏
1961年(松竹)

「人間の条件」第五・第六部で、その完結篇。脚色者に稲垣公一が加わったほかは、いずれも前作と同様のスタッフ。


2-27. 人間の条件 第六部 曠野の彷徨

監督 小林正樹
出演 仲代達矢新珠三千代内藤武敏
1961年(松竹)

「人間の条件」第五・第六部で、その完結篇。脚色者に稲垣公一が加わったほかは、いずれも前作と同様のスタッフ。


2-28. 狂った果実

監督 中平康
出演 石原裕次郎津川雅彦芦田伸介
1956年(日活)

大人の世界に反抗する若い世代のモラルを描いた 「太陽の季節」姉妹篇。原作者石原慎太郎自ら脚色し、 「狙われた男」についで中平康が監督、 「続ただひとりの人」の峰重義が撮影を担当した。主な出演者は、 「太陽の季節」に出演した新人石原裕次郎、 「流離の岸」の北原三枝、 「続ただひとりの人」の東谷暎子のほか岡田眞澄、藤代鮎子、長門裕之の弟津川雅彦など。原作者石原慎太郎が特別出演する。


2-29. 毎日が夏休み

監督 金子修介
出演 佐野史郎佐伯日菜子高橋ひとみ
1994年(KUZUIエンタープライズ)

登校拒否の娘と会社を辞めた義父、その間でおろおろする母――一家3人の葛藤と自由な生活を爽やかに描くファンタジック・ホーム・コメディ。大島弓子の同名人気コミック(角川書店・刊)を原作に、 「卒業旅行 ニホンから来ました」の金子修介が監督・脚本、撮影は柴崎幸三が担当。雑誌モデルから本作が映画デビューとなった新人・佐伯日菜子がヒロインのスギナをみずみずしく演じた。94年度キネマ旬報日本映画ベストテン第10位、同読者選出日本映画ベストテン第7位。


2-30. 利休

監督 勅使河原宏
出演 三國連太郎三田佳子松本幸四郎
1989年(松竹)

織田信長、そして豊臣秀吉に茶頭として仕えた千利休の生涯を描く。野上彌生子原作の小説「秀吉と利休」の映画化で、脚本・監督は 「アントニー・ガウディー」の勅使河原宏、共同脚本は赤瀬川原平、撮影は 「226」の森田富士郎がそれぞれ担当。


2-31. 泥の河

監督 小栗康平
出演 田村高廣藤田弓子朝原靖貴加賀まりこ
1981年

大阪安治川河口を舞台に、河っぷちの食堂に住む少年と、対岸に繋がれた廓舟の姉弟との出会いと別れを描く。第十三回太宰治賞を受賞した宮本輝の同名の小説を映画化したもので、脚本は人気TVシリーズ 「金八先生」の重森孝子、監督は浦山桐郎監督に師事し、これが第一回作品となる小栗康平、撮影は 「泣く女」の安藤庄平がそれぞれ担当。


2-32. 私は二歳

監督 市川崑
出演 鈴木博雄船越英二山本富士子
1962年(大映)

松田道雄著 「私は二歳」 「私は赤ちゃん」より 「破戒(1962)」のコンビ和田夏十が脚色、市川崑が監督した子供の物語。撮影は 「鯨神」の小林節雄。


2-33. おかあさん

監督 成瀬巳喜男
出演 田中絹代三島雅夫片山明彦
1952年(新東宝)

製作は 「暁の急襲」の永島一朗で、全国児童綴り方集 「おかあさん」(講談社発行)から、 「せきれいの曲」の水木洋子が脚本を書き、 「お国と五平」の成瀬巳喜男が監督に当たっている。撮影は 「海賊船」の鈴木博。主演は 「安宅家の人々」の田中絹代、 「黎明八月十五日」の岡田英次と香川京子で、三島雅夫、片山明彦、中北千枝子、加東大介などが助演している。


2-34. 秋刀魚の味

監督 小津安二郎
出演 笠智衆岩下志麻三上真一郎
1962年(松竹)

「小早川家の秋」のコンビ、野田高梧と小津安二郎が共同で脚本を執筆。小津安二郎が監督した人生ドラマ。撮影は 「愛染かつら(1962)」の厚田雄春。


2-35. クイール

監督 崔洋一
出演 小林薫椎名桔平櫻谷由貴花
2003年(松竹)

実話をもとにしたベストセラー作品 「盲導犬クイールの一生」を映画化した感動作。多くの人々との出会いと別れを通して立派な盲導犬に成長をとげた、1匹のイヌの生涯を追う。


2-36. にあんちゃん

監督 今村昌平
出演 長門裕之松尾嘉代沖村武
1959年(日活)

十歳の少女・安本末子が綴った日記 「にあんちゃん」の映画化。 「男なら夢を見ろ」の池田一朗と今村昌平が脚色、 「盗まれた欲情」の今村昌平が監督した。撮影は 「ゆがんだ月」の姫田真佐久。


2-37. 人情紙風船

監督 山中貞雄
出演 中村翫右衛門河原崎長十郎山岸しづ江
1937年・(東宝映画)

 河竹黙阿弥の歌舞伎「髪結新三」を三村伸太郎が脚色した時代劇で、山中貞雄監督の遺作となった作品。この作品を取り終えた山中は出征し、戦争により短い生涯に幕を閉じた。後にテレビドラマとして何回かリメイクされている。  江戸時代。貧乏長屋に住む髪結いの新三は、同じ長屋に住む浪人が首吊り自殺したのを良いことに、通夜をやるからと大家から酒をせしめ、住民仲間とただ酒を飲んで馬鹿騒ぎを行うような男だ。彼は賭場を巡るトラブルから借金を抱えており、髪結いの道具を質屋に持ち込もうとするが、相手にしてもらえない。困った新三は質屋の店主の娘であるお駒を誘拐し、長屋に連れ込んでしまう。


2-38. Shall we ダンス?

監督 周防正行
出演 役所広司草刈民代竹中直人
1996年(東宝)

シコふんじゃった」の周防正行監督のハートフル・コメディ。主演に役所広司を迎え、平凡なサラリーマンが社交ダンスと出会って生きる喜びを見出す姿を描く。日本トップ・プリマの草刈民代ほか、竹中直人、渡辺えり子ら個性派俳優が共演。


2-39. 楢山節孝

監督 木下惠介
出演 田中絹代高橋貞二望月優子
1958年(松竹)

中央公論新人賞を受賞した深沢七郎の同名小説の映画化。脚色、監督は 「風前の灯」の木下恵介、撮影も同じく 「風前の灯」の楠田浩之が担当した。主演は 「悲しみは女だけに」の田中絹代、望月優子、 「その手にのるな」の高橋貞二、その他東野英治郎、宮口精二、伊藤雄之助などのベテラン。色彩は富士カラー。


2-40. お葬式

監督 伊丹十三
出演 山崎努宮本信子菅井きん
1984年(ATG)

妻の父が亡くなり、喪主として初めてお葬式を出す男の途方にくれる姿と、そこに集まる人々を描く。俳優の伊丹十三が、脚本、監督を手掛け、撮影は 「メイン・テーマ」の前田米造が担当。


2-41. 安城家の舞踏会

監督 吉村公三郎
出演 滝沢修森雅之入江たか子
1947年(松竹)

「象を喰つた連中」に次ぐ吉村公三郎監督で、自身の原作を 「待ちぼうけの女」 「結婚(1947)」の新藤兼人が脚色し、 「象を喰つた連中」 「処女は真珠の如く」の生方敏夫が撮影を担当する。滝沢修、入江たか子、原節子、久しぶりの竹久千恵子らが顔を合せている。


2-42. 君の名は

監督 大庭秀雄
出演 岸惠子市川小太夫望月優子
1953年(松竹)

菊田一夫のNHK連続ラジオドラマの映画化で、 「その妹」の柳井隆雄の脚本を、 「愛欲の裁き」の大庭秀雄が監督している。撮影は 「美貌と罪」の斎藤毅、音楽は 「金さん捕物帖 謎の人形師」の古関裕而。出演者は 「旅路(1953)」の岸恵子、佐田啓二、月丘夢路、 「きんぴら先生とお嬢さん」の淡島千景、野添ひとみ、 「若旦那の縁談」の川喜多雄二、望月優子など。


2-43. 生きる

監督 黒澤明
出演 志村喬金子信雄関京子
1952年(東宝

黒澤明の 「白痴」に次ぐ監督作品。脚本は 「羅生門」の共同執筆者橋本忍と 「海賊船」の小国英雄とが黒澤明に協力している。撮影は 「息子の花嫁」の中井朝一。出演者の主なものは、 「戦国無頼」の志村喬、相手役に俳優座研究生から選ばれた小田切みき、映画陣から藤原釜足、千秋実、田中春男、清水将夫その他。文学座から金子信雄、中村伸郎、南美江、丹阿弥谷津子。俳優座から永井智雄、木村功、関京子。新派では小堀誠、山田巳之助などである。


2-44. 暖流

監督 増村保造
出演 根上淳左幸子野添ひとみ
1957年(大映)

岸田国士の同名小説の再映画化(前回は昭和十四年、吉村公三郎監督、佐分利信、高峰三枝子、水戸光子主演)今回は 「青空娘」のコンビ、白坂依志夫が脚色、増村保造が監督した。撮影は 「透明人間と蠅男」の村井博。主演は 「駐在所日記」の根上淳、 「九人の死刑囚」の左幸子、 「地上」の野添ひとみ、 「駐在所日記」の船越英二、南左斗子、それに品川隆二、叶順子。大映カラー。


2-45. 祇園の姉妹

監督 野村浩将
出演 小野道子木暮実千代中村玉緒
1956年

昭和十一年、溝口健二監督、山田五十鈴、梅村蓉子主演で映画化され、同年キネマ旬報邦画ベスト・テン第一位を得た祇園芸者の生活図絵の再映画化である。前作同様溝口健二と依田義賢の協同原作、依田義賢の脚本を、 「母ふたり」の野村浩将が監督した。撮影は 「彼女の特ダネ」以来、大映の技術監督をやっていた相坂操一。主な出演者は 「鬼の居ぬ間」の木暮実千代、長谷川季子改め小野道子、 「残菊物語(1956)」の中村玉緒 「人情馬鹿」の進藤英太郎、 「柳生連也斎 秘伝月影抄」の勝新太郎など。


2-46. 紀ノ川

監督 中村登
出演 司葉子岩下志麻有川由紀
1966年(松竹)

有吉佐和子原作の同名小説を 「天国と地獄」の久板栄二郎が脚色、 「暖春」の中村登が監督した文芸もの。撮影はコンビの成島東一郎。


2-47. 兄とその妹

監督 松林宗惠
出演 池部良原節子司葉子
1956年(東宝)

婚期を控えた妹の結婚問題をめぐって兄夫婦の暖かい思いやりを描く、島津保次郎脚本による往年の名作の再映画化で 「森繁よ何処へ行く」の長瀬喜伴が潤色 「天国はどこだ」の松林宗恵が、東宝専属第一回作品として監督する。撮影は 「与太者と若旦那」の遠藤精一。主な出演者は 「お嬢さん登場」の池部良、 「女囚と共に」の原節子、 「飯沢匡作 「二号」より ある女の場合」の司葉子、小林桂樹、柳永二郎、 「へそくり社員とワンマン社長 ワンマン社長純情す」の平田昭彦、その他伊豆肇、藤原釜足、加東大介、斎藤達雄、内海突破など。


2-48. 姉妹

監督 家城巳代治
出演 野添ひとみ中原ひとみ河野秋武
1955年(映画)

毎日出版文化賞を受けた畔柳二美の小説を、 「愛すればこそ」の新藤兼人と 「ともしび」の家城巳代治が脚色し、家城巳代治が監督する。撮影は木塚誠一、音楽は大木正夫の担当。出演者は 「おとこ大学 新婚教室」の野添ひとみ、 「潮来情話 流れ星三度笠」の中原ひとみ、 「お嬢さん先生」の信欣三、 「天下泰平」の川崎弘子、 「愛すればこそ」の内藤武敏などである。


2-49. 真実一路

監督 川島雄三
出演 山村聡淡島千景桂木洋子水村国臣須賀不二男
1954年 (松竹)

昭和十年から翌年にかけて“主婦之友”誌上に連載され、昭和十二年には田坂具隆監督の手によって映画化(日活多摩川)された山本有三の同名小説の再映画化。製作は 「青春三羽烏」の小倉武志。 「蛮から社員」の椎名利夫の脚本を 「お嬢さん社長」の川島雄三が監督し、 「東京マダムと大阪夫人」の高村倉太郎が撮影している。音楽、美術ともに 「家族会議」の黛敏郎、浜田辰雄の担当である。出演者は 「山の音」の山村聡、 「蛮から社員」の淡島千景、 「日本の悲劇」の桂木洋子、 「家族会議」の佐田啓二、 「春の若草」の三島耕、 「求婚三人娘」の多々良純、須賀不二男のほか、劇団若草の水村国臣(北海の虎)、伊藤久子、先頃募集した若宮崇令、細谷一郎などの少年群が出演している。


2-50. 愛染かつら(1954)

監督 木村恵吾
出演 京マチ子小畑よし子三宅邦子鶴田浩二伏見和子
1954年 (大映)

戦前松竹で戦後大映で、過去二回にわたって映画化された川口松太郎原作の再映画化。脚本は 「心の日月」のコンビ田辺朝二と監督の木村恵吾が執筆している。撮影は 「金色夜叉(1954)」の高橋通夫、音楽は 「陽のあたる家(1954)」の万城目正。出演者は 「或る女」の京マチ子、 「叛乱」の鶴田浩二、 「金色夜叉(1954)」の船越英二、伏見和子などである。


2-51. 本日休診

監督 渋谷実
出演 柳永二郎増田順二田村秋子佐田啓二角梨枝子
1952年 (松竹)

製作は 「麦秋」の山本武。井伏鱒二の原作から 「わが恋は花の如く」の斎藤良輔が脚色し、 「自由学校(1951 渋谷実)」の渋谷実が監督に当っている。撮影は 「命美わし」の長岡博之が担当。出演者の主なものは、 「夢と知りせば」の柳永二郎 「母化粧」の増田順二、 「唄くらべ 青春三銃士」の鶴田浩二、 「陽気な渡り鳥」の淡島千景、 「この春初恋あり」の佐田啓二、 「とんかつ大将」の角梨枝子、 「稲妻草紙」の三國連太郎、 「旗本退屈男 江戸城罷り通る」の岸恵子などの他に、田村秋子、中村伸郎、十朱久雄、長岡輝子、多々良純などの新劇陣や新派の市川紅梅などが加わっている。


2-52. 家族 

監督 山田洋次
出演 倍賞千恵子井川比佐志木下剛志瀬尾千亜紀笠智衆
1970年 (松竹)

山田洋次が五年間温めつづけてきた構想を、日本列島縦断三千キロのロケと一年間という時間をかけて完成した、話題の超大作。脚本は 「男はつらいよ 望郷篇」の山田洋次と宮崎晃、監督、撮影も同作の山田洋次と高羽哲夫がそれぞれ担当。


2-53. お引越し

監督 相米慎二
出演 中井貴一桜田淳子田畑智子田中太郎茂山逸平
1993年 (ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト)

離婚を前提に別居に入った両親を持つ11歳の少女の揺れ動く気持ちの葛藤と成長を、周囲の人々との交流を通して描くドラマ。 「東京上空いらっしゃいませ」の相米慎二の10作目の監督作。第一回椋鳩十児童文学賞を受賞したひこ・田中の同名作品を原作に、これがともに劇場映画デビューとなる奥寺佐渡子と小此木聡が共同脚色。撮影は 「レイジ・イン・ハーレム」の栗田豊通が担当。ヒロインの少女・レンコは八二五三名の応募の中からオーディションにより選ばれた新人・田畑智子が演じた。相米作品にとっては初めての京都ロケで、また読売テレビが映画製作のための特別スポット枠を設けてスポンサードを呼びかけた製法方法も話題となった。キネマ旬報ベストテン第二位。