17-1. 英霊たちの応援歌 最後の早慶戦
監督 岡本喜八
出演 永島敏行,
勝野洋,
本田博太郎,
中村秀和,
山田隆夫
1979年 (東宝) 124分
解説
昭和十八年十月十六日戸塚球場で行なわれた最後の早慶戦の後、出陣学徒として散華していった若者たちを描く。東京12チャンネルが開局十五周年を記念して製作。神山圭介の同名の小説の映画化で、脚本は 「炎の舞」 の山田信夫と 「ダイナマイトどんどん」 の岡本喜八の共同執筆、監督も同作の岡本喜八、撮影は 「青春の門 自立篇(1977)」 の村井博がそれぞれ担当。
ストーリー
昭和十八年春、文部省は六大学野球連盟の解散を厳命する。この知らせに早慶両校の部員は「もう一度早慶戦をやりたい」と願う。早稲田実業からバッテリーを組んで来た三上哲男と秋山信吾もその一人だ。数数の困難を乗り込え、試合は十月十六日に開かれた。しかし、三上は、第十三期海浜予備学生を志願して入隊し、この試合に参加出来ず、土浦海軍航空隊近くのレストランで、早大が勝利した記事を読んだ。試合後、両校校歌が斉唱され、感動にうわずった両校部員は、こんどは戦場で会おうと叫ぶ。十二月九日、三上、本田耕一、相田暢一は横須賀第二海兵団二等水兵として入団。米軍がマーシャル群島に上陸した昭和十九年二月一日、三上たちは、第十四期海軍飛行予備学生に合格、五月、土浦から鹿児島出水海軍航空隊に配属された。米軍が沖縄に上陸した頃、秋山は三上たちがいる航空隊に教官として配属され、全兵力が結集する九州に向かう。宿舎の黒板には特攻隊として死んでいった十三期生の書いた銀座の地図があり、一軒ずつ店の名が書かれていた。ところどころに空白があり、銀座に強い慶応勢が黒板の前に集まり、それをうめていく。いよいよ秋山たちも、特攻隊として飛行機に乗ることになった。奄美大島上空、秋山中尉以下十三名は、敵機を発見。グラマンとの激烈な空中戦で三上は両眼をやられてしまう。「秋山、見えない、突っこむまで誘導してくれ」「了解。サインを出すぞ、外角低め、もっと低め、そこでシュートだ。シュートをかけろ!」炎に包まれながら三上機は突っこみ、敵空母は爆発、炎上した。「ナイスボール、ストライクアウトだ」叫んだ秋山も黒煙と真っ赤な炎の中に消えていった……。
17-2. 紙の月
監督 吉田大八
出演 宮沢りえ,
池松壮亮,
大島優子,
田辺誠一,
近藤芳正
2014年 (松竹) 126分 (PG12)
解説
直木賞作家・角田光代の同名作を 「桐島、部活やめるってよ」 の吉田大八が、宮沢りえを主演に迎えて映画化したサスペンス。契約社員として銀行で働く平凡な主婦が、年下の大学生との出会いを機に、金銭感覚をマヒさせていき、やがて巨額の横領事件を引き起こすさまを描く。相手役の大学生を演じるのは若手実力派の池松壮亮。
ストーリー
1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた……。
17-3. 自虐の詩
監督 堤幸彦
出演 中谷美紀,
阿部寛,
遠藤憲一,
カルーセル麻紀,
ミスターちん
2007年 (松竹) 115分
解説
業田良家の人気4コマ漫画を、中谷美紀、阿部寛の共演で映画化。不幸な生い立ちのヒロイン・幸江と内縁の夫・イサオによる一風変わった愛の日々を、笑いと涙を交えてつづる。
ストーリー
窓から通天閣の見える大阪・飛田の小さなアパートで、幸江(中谷美紀)は内縁の夫であるイサオ(阿部寛)と暮らしていた。元ヤクザのイサオはまともに勤めることもなく酒とギャンブルに溺れ、幸江が近所の中華料理屋で働くことで生計を立てていた。無口で気性の荒いイサオは、ことあるごとに部屋のちゃぶ台をひっくりかえす。それでも、ひたすらイサオに尽くす幸江の健気さに、隣の住人である小春(カルーセル麻紀)は胸を痛めていた。一方、中華料理屋の主人(遠藤憲一)は秘かに幸江に思いを寄せて、プロポーズの機会をうかがっている。そんなある日、幸江の中学時代に逮捕された父親の家康(西田敏行)が出所して、幸江のもとに現れる。妻に家出された家康は、キャバレーのホステス(名取裕子)を口説いて、その再婚資金を得るために銀行に押し入ったのだった。イサオは、ふたたび暴力団の組員となる誘いを組長(竜雷太)から受けていた。と、幸江の妊娠が発覚する。親もヤクザでその血を受け継いだイサオは苦悩のあげく、失踪してしまう。それでもイサオの子供を産もうと、身重な身体で必死に働き続ける幸江。しかし、誤って歩道橋から転落した彼女は救急車で病院へ運ばれた。手術を受け、ベッドで昏睡する幸江は過去の日々を思い出していた。貧乏だった幼い日。父の逮捕後、唯一の友人として励ましてくれた同級生の熊本さん。覚せい剤に溺れて、自分の肉体を売っていた若き日々。そんな頃、チンピラ時代のイサオと知りあった。イサオは、組長に盃を返して小指を詰め、幸江と一緒になった。そして、二人で海に行った幸せな新婚時代…。意識が戻ったとき、幸江の前にはイサオがいた。「三人で、海へ行こう」イサオの言葉に、幸江は涙が止まらなかった。半年後、生まれたばかりの赤ん坊と一緒に、海辺でたたずむ幸江とイサオの姿があった。
17-4. 夜逃げ屋本舗
監督 原隆仁
出演 中村雅俊,
大竹しのぶ,
谷啓,
高木美保,
益岡徹
1992年 (東宝) 106分
解説
借金苦の人々を救うべく活躍する夜逃げ屋の面々の姿を描いた社会派コメディ。脚本・監督は 「べっぴんの町」 の原隆仁。共同脚本は真崎慎と長崎行男。撮影は 「バカヤロー!4 YOU! お前のことだよ」 の前田米造がそれぞれ担当。
ストーリー
借金に苦しむ人々を救済すべく、正当な手段で夜逃げの斡旋をする“ミッドナイトラン”の社長・源氏は、康子、野口、新藤ら社員の面々と様々な調査を行い、用意周到な計画を立てて客を逃がす。一方、大帝都信販調査室の芙美子は、彼らの行動を何とか阻止しようと挑んでくるが、源氏らはその後も様々な手段で任務を遂行していく。ある日、暴力金融を営む浜崎組組長が、彼らに夜逃げの依頼をしてきた。昨今の経済情勢によって大帝都信販から19億円にのぼる負債を抱えていたのだ。さっそく彼らは、浜崎を急病人に仕立てて計画を実行するが、そこへ芙美子が入り込んできたことにより、組員は大騒ぎで後を追ってくる始末。それでも何とか浜崎を逃がす源氏。ところが今度は、これまで彼らが逃がしてきた客の行方を芙美子が突き止めて、財産の差し押さえを決行。もはやこれまでと思いきや、突如大帝都信販のパソコンに入力された返済者の全てが破産宣告。実はこれも源氏があらかじめ計画していた最後の作戦だったのだ。
17-5. 鴨川ホルモー
監督 本木克英
出演 山田孝之,
栗山千明,
濱田岳,
石田卓也,
芦名星
2009年 (松竹) 113分
解説
「鹿男あをによし」 の人気作家・万城目学のデビュー作を映画化した異色ドラマ。奇怪な祭り“ホルモー”の世界に身を投じた大学生の姿を、濃密かつ脱力な笑い満載で描き出す。
ストーリー
京都。二浪して京大生となった阿倍(山田孝之)と同じ新入生の帰国子女・高村(濱田岳)は、三回生の菅原(荒川良々)から“京大青竜会”という怪しげなサークルの新歓コンパに誘われる。阿倍はその席で“美しい鼻筋”を持つ早良京子(芦名星)に一目惚れ、彼女に近づきたい一心で思わず入会してしまう。安倍の他にも高村、早良、大木凡人似のオタク系メガネ女子・楠木ふみ(栗山千明)、超高圧的で仕切り屋の芦屋(石田卓也)、見分けのつかない気弱な双子の三好兄弟(斉藤祥太、斉藤慶太)など、一風変わった面々が入会した。当初は普通のレジャーサークルと思われた青竜会だったが、祇園祭宵山の夜、安倍たちは、サークルの目的が、京都で千年続くという謎の祭り“ホルモー”を行うことだと知らされる。しかも“オニ”と呼ばれる小さく奇妙な式神を操り、京大・立命館・龍谷・京都産業大学の対抗戦が行なわれるというのだ。嘘くさい話に半信半疑のまま、キテレツなオニ語の習得やちょっと変態的な指令ポーズなど、1人100匹のオニを操るための特訓が開始。それから半年が経とうとしていた師走のある夜、安倍たちは吉田神社に呼び出される。厳粛な雰囲気の中、突如“レナウン娘”を歌いながら裸踊りを始める菅原たち。躊躇していた安倍たちも、いつのまにか全裸で上回生の輪に加わってトランス状態で踊り続けた。こうして“吉田代替りの儀”は終了、安倍たちの前に1000匹の小オニたちの群れが現れた……。そんなある日、安倍は、ずっと想い焦がれてきた早良が天敵・芦屋と付き合っていることを知る。ショックで青竜会を辞めると言い出した安倍に、菅原は古いホルモーの規定“17条”を持ち出した。10人の青竜会を5人ずつの2チームに分けて対戦させるというのだ。安倍は、高村、楠木、三好兄弟の賛同を得て、強敵・芦屋と対戦することになる。だが、禁断の17条ホルモーには、とてつもなく恐ろしい秘密が隠されていたのだった……。
17-6. 偉大なる、しゅららぼん
監督 水落豊
出演 濱田岳,
岡田将生,
深田恭子,
渡辺大,
貫地谷しほり
2014年 (東映=アスミック・エース) 114分
解説
映画化された 「鴨川ホルモー」 などマキメワールドと称される独特の世界観で知られる万城目学の同名小説を映画化したアドベンチャー。琵琶湖のほとりに住み、不思議な力を備えた高校生の青年と彼のもとにやってきた青年が繰り広げる騒動が描かれる。濱田岳、岡田将生らが、赤い制服に身を包んだ高校生に扮し、笑いを誘う。
ストーリー
琵琶湖畔の街、石走に住む本家の元へやってきた日出涼介(岡田将生)。本家の日出家は1300年来代々琵琶湖から不思議な力を授かる一族で、涼介は高校への進学を期に修行するために本家で居候を始める。日出家は江戸時代に建てられた石走城に住み、石走の街を牛耳っていた。本家の跡取り息子・淡十郎(濱田岳)は最強の力の持ち主とされ、人々から崇め奉られていた。その姉・清子(深田恭子)は『グレート清子』と呼ばれるほどあまりに強大な力を持つため社会に馴染めず、城に引きこもっていた。城での暮らし、白馬を乗りこなす清子、源治郎(笹野高史)が漕ぐ船での登校など、涼介にとっては本家での生活は戸惑うことだらけだった。さらに生まれながらにして殿である淡十郎と接するうちに供の者として扱われ、自ずと主従関係ができてしまう。ある日、淡十郎は校長(村上弘明)の娘・速水沙月(大野いと)に恋をする。しかし沙月が思いを寄せるのは同じクラスの棗広海(渡辺大)であることを知り、尋常ではないほど取り乱す淡十郎。広海のいる棗家もやはり力を持っており、1300年にわたり日出家とライバル関係にある一族だった。元々いがみあっていた両家は淡十郎の小さな失恋をきっかけにさらに対立を深め、やがて世界を滅ぼしかねない大騒動を巻き起こす……。
17-7. 信長協奏曲
監督 松山博昭
出演 小栗旬,
柴咲コウ,
向井理,
山田孝之,
藤ヶ谷太輔
2016年 (東宝) 110/126分
解説
戦国時代にタイムスリップし、うりふたつだった戦国武将・織田信長の身代わりとして生きる事になった高校生サブロー。その数奇な運命を描く 「ゲッサン」 に連載中の石井あゆみの同名コミックが原作の小栗旬主演による人気ドラマを映画化。信長の正室・帰蝶役の柴咲コウや池田恒興役の向井理などドラマ版のキャストが引き続き出演する。
ストーリー
j17-8. BRAVE HEARTS 海猿
監督 羽住英一郎
出演 伊藤英明,
加藤あい,
佐藤隆太,
仲里依紗,
三浦翔平
2012年 (東宝) 116分
解説
海上保安官の青年と仲間たちとの絆を描く、人気コミックが原作のアクション・ドラマの劇場版第4作。原作でのラストエピソードに当たり、映像化は不可能と言われていた、ジャンボジェット機緊急海上着水事故に、海上保安庁の精鋭36人からなる特殊救難隊が挑む。仙崎役の伊藤英明、その妻役の加藤あいら主要キャストが顔をそろえる。
ストーリー
世界最大級の天然ガスプラント“レガリア”爆発事故から2年。仙崎大輔(伊藤英明)は自ら志願し、海難救助のエキスパートであり最も危険な事案に従事する“特殊救難隊”で、後輩の吉岡(佐藤隆太)と共に海難救助の最前線にいた。嶋副隊長(伊原剛志)の指導の下、日々苛烈な任務をこなしながらも、充実した日々が過ぎてゆく。大輔の妻・環菜(加藤あい)は2人目の子どもを身籠り、吉岡にはキャビンアテンダントの美香(仲里依紗)という恋人が出来ていた。そんなある日、羽田空港に向けて飛行中のジャンボ旅客機のエンジンが炎上する事故が発生。飛行困難な状況に陥った旅客機の救助方法が検討される中で、総合対策室の下川救難課長(時任三郎)は、夕闇が迫り視界が悪くなる状況にもかかわらず、前代未聞の東京湾への着水を提案する。しかし、海上着水に成功したとしてもジャンボが浮いていられる時間はわずか20分。機体が沈む前に乗客乗員346名全員を助け出す事が出来るのか!?さらに、その飛行機には美香も乗務していた。特救隊や現場に駆け付けた第5管区の服部(三浦翔平)、警察、消防、現場周辺の関係機関を巻き込んだ空前の大救出計画。日本中が固唾を飲んでその行方を見守る中、旅客機の村松機長(平山浩行)は東京湾着水に向けて降下を開始する……。その先には、予想もしない事態が仙崎たちを待ち受けていた……。
17-9. 油断大敵
監督 成島出
出演 役所広司,
柄本明,
夏川結衣,
菅野莉央,
前田綾花
2003年 (ゼアリズエンタープライズ=ケングルーヴ) 110分
解説
演技派・役所広司&柄本明が共演した、実話に基づく感動の人間讃歌。実直な刑事と伝説の大泥棒が追いつ追われつ、立場を超えて不思議なきずなを育む異色の人間ドラマだ。
ストーリー
平成4年、夏。妻を亡くし、男手ひとつで8歳になる娘・美咲を育てている泥棒専門の新米刑事・関川仁は、ある日、偶然にも大泥棒の“ネコ”こと猫田定吉を逮捕する。しかし、ネコはのらりくらりと取り調べを交わすばかりで、どんなヴェテラン刑事をしても彼に自供させることが出来ない。ところが、仁の実直さを気に入った彼は、仁にあっさり自供を始めた上、泥棒刑事としてのイロハや一流の泥棒の手口、哲学、プロフェッショナリズムを教えてくれるのであった。それから、10年の歳月が流れた。ネコの教えのお陰で、今ではすっかりヴェテラン刑事となった仁は、出所して仕事を再開したネコを再び逮捕する。だが、今回のネコはなかなか自供しようとしない。そんな中、仁は看護学校に通う美咲が、卒業したら海外で看護活動をしたいと聞かされ動揺する。いつまでも幼いと思っていた娘は今、自らの翼で飛び立とうとしているのだ。しかし、そのことがきっかけで、彼は不幸な生い立ちのネコもまた、自らの翼で飛び立とうとして盗みを始めたのだと知る。そして、それを理解した時、遂に自分の力でネコを自供に導くことが出来たのであった。
17-10. あん
監督 河瀬直美
出演 樹木希林,
永瀬正敏,
市原悦子,
内田伽羅,
浅田美代子
2015年 (エレファントハウス) 113分
解説
「萌の朱雀」 でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を、 「殯の森」 では同グランプリを獲得した河瀬直美監督が、作家やパフォーマーとして活躍するドリアン助川が人はなぜ生きるのかという根源的な問いに迫った同名小説を映画化。小さなどら焼き屋で粒あん作りを任された元ハンセン病患者の女性の姿を、四季の情景を織り交ぜながら描く。偏見にさらされ続けても精一杯生きようとする女性を 「わが母の記」 で第36回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した樹木希林が、人生につまずいた雇われ店長を 「KANO 1931海の向こうの甲子園」 の永瀬正敏が、女性の良き理解者を 「黒い雨」 の市原悦子が演じる。
ストーリー
縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏のもとに、ある日、求人募集の張り紙を見た徳江(樹木希林)がやってくる。彼女の勢いにのまれどら焼きの粒あん作りを任せたところ、あんの味が評判となりあっという間に店は大繁盛。つぶれたどら焼きをもらいにくる女子中学生・ワカナもだんだんと徳江に馴染んでいく。しかしかつて徳江がハンセン病患者だったことが広まり、客が一気に離れていった。この状況に徳江は店を去り、千太郎やワカナの前から消えてしまう。それぞれの思いを胸に、二人は徳江を探す……。
j17-11. 難波金融伝 ミナミの帝王 劇場版 12 逆転相続
監督 萩庭貞明
出演 竹内力,
古本新之輔,
竹井みどり,
いしのようこ,
結城哲也
1998年 JSDSS(ジーダス) 75分
解説
売れない演歌歌手の藤巻は銀二から金を借り蒸発してしまう。彼を追って行くと、藤巻が何者かに全財産を騙し取られたことが判明する。さらに新たな事実を掴んだ銀二は、ある作戦を思い付く・・・。
17-12. のんちゃんのり弁
監督 緒方明
出演 小西真奈美,
岡田義徳,
村上淳,
佐々木りお,
山口紗弥加
2009年 (キノ フィルムズ) 107分
解説
弁当屋を開こうと奮闘する女性の姿を描き、人気を博したコミックが原作のハートフルムービー。小西真奈美が持ち前の明るさで周囲を和ませるアラサーのヒロインを熱演。
ストーリー
31歳の永井小巻(小西真奈美)は東京下町育ちの専業主婦。ある日、ダメ亭主の範朋(岡田義徳)に愛想を尽かした彼女は、娘の乃里子=“のんちゃん”(佐々木りお)を連れて、母フミヨ(倍賞美津子)のいる京島の実家に出戻る。のんちゃんを幼稚園に入れ、仕事探しを始めるが、主婦歴が長くキャリアのない小巻に世の中は甘くなかった。受ける面接は不採用続き。やむなく、のんちゃんの幼稚園の先生でもある同級生の玉川麗華(山口紗弥加)の紹介で、水商売のアルバイトを始める。だが、セクハラに遭って喧嘩した末、早々に辞めてしまう。なけなしの貯金も底をつき、焦りだけが空回り。自暴自棄寸前のところへ範朋が現れて、離婚には絶対に応じないと主張。小巻やのんちゃんの周りをうろつく。だがその一方で、初恋の同級生、川口建夫(村上淳)と16年ぶりに再会。互いに惹かれあっていく。そんな中、資格もこれといった職歴もない小巻の唯一の才能が開花する。それはお弁当作り。娘のために作ったのり弁が幼稚園で大評判になり、大人たちにも作るようになったのだ。あまりの美味しさから、タダでは申し訳ないと、お金を集めて持ってくる麗華。これに感激した小巻は、自分で“安くて美味しい最高のお弁当屋を開く”ことを決意。早速、小料理屋“ととや”の主人・戸谷(岸部一徳)に、弟子入りを志願する。困惑する戸谷だったが、熱意に負けて弟子入りを許可。やがて、料理だけではなく、働くことの意味や生きることについて、厳しくも温かい言葉で小巻を支えるようになってゆく。食品衛生責任者免許も取得し、目標に向かって奮闘する小巻だったが、店をオープンするための資金が貯まらない。困った小巻に、戸谷さんがお昼だけ“ととや”を貸してもいいと申し出る。さらには、建夫が“一緒にお弁当屋をやらないか”とプロポーズ。話が急展開する中、のんちゃんがいなくなったと幼稚園から連絡が入り大騒動に発展する……。
17-13. 相棒 劇場版II 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜
監督 和泉聖治
出演 水谷豊,
及川光博,
小西真奈美,
小澤征悦,
宇津井健
2010年 (東映) 119分
解説
2010年に放送開始10周年を迎えた水谷豊主演の人気刑事ドラマを再び映画化。警視庁本部で起きた人質籠城事件を発端とした警察内部の不穏な動きに、特命係の相棒コンビ、杉下右京&神戸尊が挑む。組織の腐敗や社会の矛盾を突く硬派なストーリーをユーモアを交えつつ描く作風はそのままに、映画ならではのダイナミズムも味わえる。
ストーリー
日本警察の要所・警視庁本部内で、前代未聞の人質籠城事件が発生。人質は、田丸警視総監(品川徹)、長谷川副総監(國村隼)を始めとした幹部12名。現場となった会議室は機動隊と特殊捜査班SITによって完全に包囲されるが、犯人の動機は不明。要求もないまま、いたずらに時間が過ぎていく。いち早く事件に気づいたのは、特命係の神戸尊(及川光博)と杉下右京(水谷豊)。右京は会議室内の様子を把握することが肝心と、鑑識の米沢守(六角精児)や元特命係の陣川公平(原田龍二)の協力を得て、誰も予想しなかった奇策に出る。一方、捜査本部では、幹部たちが囚われているため思うように進展しない事態に、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)、三浦信輔(大谷亮介)、芹沢慶二(山中崇史)らが苛立ちを募らせていた。そこへ情報を入手した右京が現れ、籠城犯が元警視庁刑事の八重樫哲也(小澤征悦)だと判明。籠城前に尊が八重樫から助け出した女性が総務部装備課の朝比奈圭子(小西真奈美)であることを突き止める。その時、緊迫する会議室内から2発の銃声が。右京の強硬な反対にも関わらず、SITと機動隊員たちが会議室内に突入し、事態は終結。人質は無事に保護される。だが、籠城した八重樫の目的は何だったのか?大河内監察官(神保悟志)の事情聴取に対しても、12名は言葉を曖昧にしたままで、何の証言も得られない。全員が一様に口を閉ざすことに疑問を抱いた右京と尊は、角田課長(山西惇)らの協力を得て、独自に幹部たちへの聞き込みを開始。一方、事件の報告を受けた警察庁幹部の小野田官房室長(岸部一徳)は、金子警察庁長官(宇津井健)とともに、不穏な動きを見せ始める。徐々に明らかになってくる事実。それは、八重樫や圭子が関わった過去の大きな事件に関する衝撃の真相だった……。
17-14. アドレナリンドライブ
監督 矢口史靖
出演 石田ひかり,
安藤政信,
松重豊,
角替和枝,
マギー
1999年 (日本出版販売=ゼアリズエンタープライズ) 111分
解説
ヤクザの金2億円を巡って、平凡な男女が巻き起こす騒動を描いたコメディ。監督・脚本は 「ひみつの花園」 の矢口史靖。撮影を 「ビッグ・ショー! ハワイに唄えば」 の浜田毅が担当している。主演は、 「ベル・エポック」 の石田ひかりと 「鉄道員」 の安藤政信。99年度ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門、香港国際映画祭、シアトル国際映画祭、ブリスベン国際映画祭、バンコク映画祭コンペティション部門、台北映画祭出品作品。
ストーリー
レンタカー屋で働くごく平凡な青年・悟は、ある日、黒岩というヤクザのジャガーに車を追突させ、事務所に連れて行かれてしまう。ところが、そこでガス爆発が発生。奇跡的に生き残った彼は、偶然、事務所の表に居合わせた人生超地味な看護婦・静子と共謀して、混乱に乗じてヤクザの闇金2億円を盗み出す。警察の取り調べをかわし、2億円をゲットしてほくそ笑むふたり。と思いきや、静子の勤める病院に運ばれていた重傷の黒岩がチンピラ6人組を使って彼らに迫ってきた。捕まったら殺される!悟と静子はチンピラたちの追跡を切り抜け、高原のホテルへと逃げ延びるのであった。新婚だと偽り、ホテルのスイートルームに宿泊したふたりは、洋服を買ったり髪を切ったり贅沢三昧。しかも、ふたりの関係もいい雰囲気だ。ところが、静子の金が泥棒に盗まれてしまった。なんとか取り戻すことに成功するも、事件がテレビのニュースで流れてしまい、それを見たチンピラ6人組と黒岩が、高原のホテルへやってきてしまう。2億円を巡り、悟と静子、欲に目が眩み黒岩を裏切ったチンピラ6人組、そして黒岩が三つ巴の争奪戦が展開。だが、壮絶なカーチェイスの末、金は全て燃えてしまうのであった。しかし、実は静子の機転で金はふたりの結婚通知葉書にすり替えられていたのである。こうして、まんまと2億円をゲットした悟と静子は、車に乗って新しい人生に向けて旅立つ。
17-15. ばしゃ馬さんとビッグマウス
監督 吉田恵輔
出演 麻生久美子,
安田章大,
岡田義徳,
山田真歩,
清水優
2013年 (東映) 119分
解説
「純喫茶磯辺」 の吉田恵輔監督が、シナリオライターになるという夢をあきらめきれずにもがき続ける、性格も考え方も正反対な男女の出会いと奮闘を描くヒューマンコメディ。恋愛やおしゃれよりも夢を追う事を大切にする三十路のヒロインを麻生久美子が、彼女に恋する年下男を関ジャニ∞の安田章大が演じる。
ストーリー
学生時代からシナリオライターを目指しているが、なかなか芽の出ない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)は、友人のマツモトキヨコ(山田真歩)を誘って社会人コースのシナリオスクールに通うことに。そこで出会ったのは、自称もうすぐ天才脚本家の超自信過剰な“ビッグマウス野郎”こと天童義美(安田章大)・28歳。そんな天童を毛嫌いする馬淵だったが、天童は“ばしゃ馬”のようにシナリオを書き続ける馬淵にひと目ぼれ。俺がつき合ってほしいって言ったらどうする、と天童は馬淵に声をかけるが「ありえない」とあっさり振られてしまう。長い間頑張ってきた馬淵にとって、口先ばかりの天童は恋愛対象以前に性格的にまったく合わないタイプだった。しかも、馬淵の頭の中はシナリオのことばかり。お洒落も恋愛もそっちのけ、合コンの席でもバイト中でもいいアイデアが思いつけばパソコンを開いてせっせと書き出すのであった。だがコンクールの一次審査も通らず、まだまだストイックにならないと、と自分を奮い立たせる馬淵。そんなある日、シナリオスクールの講師として来ていた映画監督の何気ない一言をきっかけに、老人ホームを舞台にした介護の話を書くことにした馬淵は、かつて役者を目指していたが今は介護士として働く元恋人・松尾健志(岡田義徳)に頼んで老人ホームのボランティアを始める。しかし、キヨコが映画の脚本を書くことになったと知り、嫉妬とやるせなさで落ち込んでしまう。一方、ひたむきに夢を追いかける馬淵の姿に刺激された天童は、初めて自分自身を見つめペンをとることを決意。やがて、反発しあっていた二人の距離は徐々に縮まっていくのだが……。