13-1. 君に届け

監督 熊澤尚人
出演 多部未華子三浦春馬蓮佛美沙子桐谷美玲夏菜
2010年 (東宝) 124分

解説
2009年にテレビアニメになるなど、幅広い層から支持を受け、少女漫画としては異例のベストセラーとなった椎名軽穂による同名作を多部未華子&三浦春馬主演で映画化したラブストーリー。憧れの男の子への初恋を通じて輝き出す内気な女子高生の姿を 「ニライカナイからの手紙」 の熊澤尚人監督が丁寧に紡ぎ出す。

ストーリー
高校1年生の黒沼爽子(多部未華子)は、見た目が暗く何もしていないのに周りから怖れられ、“貞子”というあだ名まで付けられている。しかし、その見た目とは裏腹に、実はとても健気で善意のかたまりのような女の子であった。ただ、周囲のことを第一に考えすぎるため、自分のことをうまく伝えることが出来ず、“貞子”としてクラスからは浮いた存在だった。一方、爽子のクラスメイト風早翔太(三浦春馬)は、明るく誰に対しても分け隔てなく接する男の子。爽子に対しても皆と同じように明るくフレンドリーに接してくれるので、爽子は憧れと尊敬の念を抱いていた。風早はいつも人知れずクラスのために働いたり、本当はとても前向きな爽子に特別な感情を抱いているのだが、爽子の尊敬の眼差しにしばらくは恋愛感情を温かく見守ることを誓う。そんな中、爽子は少しずつクラスにも打ち解けるようになり、義理人情に厚く涙もろい吉田千鶴(蓮佛美沙子)や、沈着冷静な矢野あやね(夏菜)と仲良くなっていく。そんな友人たちに、爽子は初めて自分の気持ちを話せるようになり、心の中にある風早に対しての“特別な気持ち”に気付き始めるのだった。だが、風早を中学時代から知る胡桃沢梅(桐谷美玲)が爽子の前に現れ、風早への想いを告白、爽子に協力して欲しいと告げる……。




13-2. キツツキと雨

監督 沖田修一
出演 役所広司小栗旬高良健吾臼田あさ美古舘寛治
2011年 (角川映画) 129分

解説
南極料理人」 の沖田修一監督が、60歳の木こりと25歳の新人映画監督との心の交流を描く、ハートウォーミングストーリー。日本映画界を代表する新旧の名優、役所広司と小栗旬が初共演を果たし、見事な化学反応を見せる。第24回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、審査員特別賞に輝いた。

ストーリー
人里離れた山間の村。木こりの岸克彦(役所広司)は、早朝から仲間と山林に入り、木々を伐採して生計を立てていた。妻に先立たれ、今は息子の浩一(高良健吾)と2人暮らし。定職に就かずにふらふらしている浩一に、克彦は憤りを覚えていた。妻の三回忌はもうすぐ。ある朝、田舎道を行く克彦は、車が溝にはまって立ち往生している2人を発見する。ゾンビ映画の撮影にやってきた映画監督の田辺幸一(小栗旬)と鳥居(古舘寛治)だった。なりゆきから、2人を撮影現場まで案内することになった克彦は、そのままゾンビのメイクでエキストラ出演する羽目になる。木こり仲間たちから出演をネタにされ、まんざらでもない克彦。撮影途中の映像を見るラッシュ試写に呼ばれた彼は、小さく映る自分のゾンビ姿に思わず苦笑いする。傍らでは幸一が、自分の腕を噛みながら、苦々しい表情でスクリーンを見つめていた。現場では、大勢のスタッフやキャストから質問攻めにあい、頭が混乱して昏倒してしまう幸一。そこへたまたまやってきた克彦は、弁当を食べながら幸一に年齢を尋ねる。彼が25歳だと聞いた克彦は、生い茂る松の木を指さし、“あそこに松が生えてるだろ。あの木が一人前になるのに、ざっと100年はかかるよ。”と告げる。またある日、露天風呂から上がり、克彦と一緒にそばをすすっていた幸一は、父親が買ってきたビデオカメラをきっかけに、映画を撮り始めるようになったことを語る。しかし、実家の旅館を継がなかったことで、父親は後悔しているだろうと。克彦は“後悔なんかしてねえよ。自分の買ってきたカメラが息子の人生を変えたんだ。嬉しくてしょうがねえだろうよ。”と幸一を諭すのだった。やがて克彦は積極的に撮影を手伝うようになり、撮影隊と村人たちとの間に、少しずつ一体感が生まれてゆく。やがて、撮影はいよいよ佳境を迎える……。




13-3. 横道世之介

監督 沖田修一
出演 高良健吾吉高由里子池松壮亮伊藤歩綾野剛
2012年 (ショウゲート) 160分

解説
悪人」 の吉田修一による同名小説を、高良健吾を主演に迎え、 「キツツキと雨」 の沖田修一監督が映画化した青春ストーリー。80年代を舞台に、大学進学のために長崎から上京した青年・世之介と、彼を取り巻く人々の青春と、その後を温かい目線で描く。ヒロイン役の吉高由里子ほか、池松壮亮など若手実力派が多数顔をそろえた。

ストーリー
1987年。長崎の港町生まれの18歳、横道世之介(高良健吾)は大学進学のために上京。人の頼みを断れないお人好しな彼だったが、嫌みのない図々しさが人を呼び、倉持一平(池松壮亮)や加藤雄介(綾野剛)、そしてガールフレンドの与謝野祥子(吉高由里子)たちと共に大学生活を過ごしていた。やがて世之介に起こったある出来事から、その愛しい日々と優しい記憶の数々が呼び覚まされていく……。




13-4. テルマエ・ロマエ

監督 武内英樹
出演 阿部寛上戸彩北村一輝竹内力宍戸開
2012年 (東宝) 108分

解説
マンガ大賞2010と手塚治虫文化賞短編賞をW受賞したヤマザキマリの異色コミック 「テルマエ・ロマエ」 を阿部寛、上戸彩の主演で映画化。古代ローマの浴場と現代日本の銭湯を舞台に、すったもんだの異文化交流を壮大なスケールで描くタイムスリップコメディ。古代ローマ人になりきった阿部の“シリアス”演技が笑いを誘う。

ストーリー
古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格から時代の変化についていけず、職を失ってしまう。落ち込んだ彼は、友人に誘われて公衆浴場を訪れるが、そこで突然、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、漫画家志望の真実(上戸彩)たち“平たい顔族”、つまり日本人だった。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは古代ローマに戻ると、そのアイデアを利用して大きな話題を呼ぶ。タイムスリップを繰り返すルシウスは、ローマで浴場技師としての名声を得ていくのだが……。風呂を愛する2つの民族が時空を超えて出会った時、世界の歴史が大きく動き出す。




13-5. チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

監督 星野和成
出演 伊藤淳史仲村トオル桐谷美玲松坂桃李西島秀俊
2014年 (東宝) 127分

解説
神経内科医の田口と厚生労働省の役人・白鳥の凸凹コンビが、病院を舞台に起きるミステリアスな事件に挑む姿を描く、海堂尊の人気小説の劇場映画化。最新鋭の死因究明システムの導入を機に起きる、病院爆破の脅迫状や前代未聞の集団不審死事件の謎に2人が迫る。田口&白鳥を演じるのは、ドラマシリーズの伊藤淳史と仲村トオル。

ストーリー
日本初となる国際Aiセンター(Ai=オートプシーイメージング:死亡時画像診断)発足の目玉として、MRI“リヴァイアサン”の導入が決定。顕微鏡レベルの解像度を誇り、まさに現代医療の怪物としてふさわしい巨大な機器は世間から大きな注目を集めていた。国と自治体、東城医大が三位一体で取り組む死因究明システムの一大改革に、東城医大の心療内科医・田口公平(伊藤淳史)と厚生労働省でAi導入を推進する白鳥圭輔(仲村トオル)が奔走。こけら落しとなる大講堂でのシンポジウムは10日後に迫っていた。そんな中、東城医大に「三の月、東城医大病院とケルベロスの塔を破壊する」と記された脅迫状が届く。ケルベロスとは、ギリシア神話に登場する三つの頭をもつ冥界の番犬で、“ケルベロスの塔”は“死への入り口”、すなわちAiセンターを意味するものだった。疑惑と謎を抱えながら真相を突き止めようとするバチスタコンビ。時を同じくして、司法解剖では死因が判別できない前代未聞の集団不審死事件が発生。白鳥のよく知る人物も犠牲となってしまう。そしてAiセンター始動の日。それは医学界の根底を大きく揺るがす“最悪な日”となった……。




13-6. 婚前特急

監督 前田弘二
出演 吉高由里子浜野謙太石橋杏奈青木崇高
2011年 (ビターズ・エンド=ショウゲート) 107分

解説
恋に奔放なOLが“たった一人のほんとうの相手”を探して奔走する、ドタバタ婚活コメディ。 「蛇にピアス」で演技力を高く評価された吉高由里子が、見た目はいいが性格は最悪のヒロインに扮して弾けたコメディ・センスを発揮。加瀬亮、榎木孝明、バンド「SAKEROCK」 の浜野謙太らバラエティ豊かな彼氏たちの配役も見どころだ。

ストーリー
24歳のOL池下チエ(吉高由里子)は時間を有効に利用して人生を堪能するために、5人の男と付き合っている。仕事の愚痴を言うのは包容力のあるバツイチの西尾みのる(加瀬亮)、旅行に行くのはリッチな年上の三宅正良(榎木孝明)、スカッとしたいときはバイク乗りの出口道雄(青木崇高)、癒されたいときは年下の野村健二(吉村卓也)、ラクしたいときは気取らずにいられる田無タクミ(浜野謙太)と、TPOに応じて様々なタイプの彼氏がいた。そんなある日、親友の浜口トシコ(杏)が長年付き合っていた彼氏の子供を身ごもり、結婚することに。トシコはチエにも結婚を勧めるが、チエはまだその気になれない。しかし結婚式でトシコ夫妻の幸せそうな姿を見たチエは、自分の彼氏たちを査定する。チエが男たちのメリットとデメリットを手帳に書き込んでいると、トシコから電話が入る。トシコから、査定して残った男との結婚を勧められたチエは、最後に残った人が自分の“ほんとうの相手”かもしれないと思う。まず、デメリットだらけの田無と別れることにしたチエだったが、田無はチエと付き合っていると思っていなかった。田無にフラれたことに愕然としたチエは、思い切り自分に惚れさせてフッてやる、と憤る。そんななか、他の男たちともしっくりいかなくなる。ある日チエは、トシコ夫妻の家に泊まる。朝食の準備をしながら交わす夫婦の何気ないやりとりを見たチエは、自分のほんとうの相手を探そうと決心する。




13-7. 喜びも悲しみも幾歳月

監督 木下惠介
出演 佐田啓二高峰秀子有沢正子中村嘉葎雄桂木洋子
1957年 (松竹) 162分

解説
「太陽とバラ」 以来久々の木下恵介が自らのオリジナル・シナリオを監督した抒情篇。撮影は木下恵介とのコンビ楠田浩之。主演は 「ただいま零匹」 の佐田啓二、 「あらくれ(1957)」 の高峰秀子、 「「夢に罪あり」 より 処女」の中村賀津雄、 「悪魔の顔」 の田村高廣、この作品で木下監督に抜擢された有沢正子、伊藤熹朔の娘の伊藤弘子。ほかに桂木洋子、田中晋二、井川邦子、仲谷昇、明石潮、夏川静江、坂本武など。色彩は松竹イーストマンカラー。二部構成。

ストーリー
上海事件の昭和七年−−新婚早々の若い燈台員有沢四郎ときよ子は、東京湾の観音崎燈台に赴任して来た。日本が国際連盟を脱退した年には、四郎たちは雪の涯北海道の石狩燈台へ転任になった。そこできよ子は長女雪野を生み、二年後に長男光太郎を生んだ。昭和十二年には波風荒い五島列島の女島燈台に転勤した四郎一家はともすると夫婦喧嘩をすることが多くなった。きよ子は家を出ようと思っても、便船を一週間も待たねばならぬ始末であった。気さくな若い燈台員野津は、そんな燈台でいつも明るく、台長の娘真砂子を恋していたが、真砂子は燈台員のお嫁さんにはならないと野津を困らせた。昭和十六年−−太平洋戦争の始った年に有沢一家は、佐渡の弾崎燈台に移り、今は有沢も次席さんとよばれる身になっていた。B29が本土に爆音を轟かす昭和二十年−−有沢たちは御前崎燈台に移り、東京から疎開して来た名取夫人と知合った。まもなく野津といまは彼の良き妻の真砂子が赴任してきた。艦載機の襲撃に幾多の燈台員の尊い命が失われた。戦争が終って、野津夫婦も他の燈台へ転勤になった。それから五年−−有沢たちは三重県安乗崎に移った。燈台記念日に祝賀式の終ったあと、美しく成長した雪野と光太郎は、父母に心のこもった贈物をするのであった。やがて雪野は名取家に招かれて東京へ勉強に出ていった。昭和二十八年には風光明眉な瀬戸内海の木島燈台に移った。ところが大学入試に失敗して遊び歩いていた光太郎は、不良と喧嘩をして死ぬという不幸にみまわれた。歳月は流れて−−思い出の御前崎燈台の台長になって赴任する途中、東京にいる雪野と名取家の長男進吾との結婚話が持ち出された。やがて二人は結婚して任地のカイロに向う日、燈台の灯室で四郎ときよ子は、二人の乗っている船のために灯をともすのであった。そしてめっきり老いた二人は双眼鏡に見入った。そして、長い数々の苦労も忘れて、二人は遠去かる船に手を振った。旋回する燈台の灯に応えて、船の汽笛がきこえて来た。




13-8. 夜明けの街で

監督 若松節朗
出演 岸谷五朗深田恭子木村多江石黒賢黄川田将也
2011年 (角川映画) 129分

解説
国民的推理作家・東野圭吾の同名ベストセラーを 「沈まぬ太陽」 の若松節朗監督が、岸谷五朗&深田恭子主演で映画化したラブストーリー。殺人容疑で時効間近の女と、彼女を愛してしまった妻子ある男の運命をしっとりとしたラブシーンを随所に盛り込み、ドラマティックに描き出す。横浜の夜景など美しい映像も見どころだ。

ストーリー
大手建設会社のエリート社員、渡部和也(岸谷五朗)は、美しく従順な妻、有美子(木村多江)と一人娘に囲まれて、幸せな生活を送っていた。40歳を過ぎ、親友の新谷(石黒賢)の“俺たちはすでに男ではない”という言葉にも何となく納得していたある日、バッティングセンターで派遣社員の仲西秋葉(深田恭子)とばったり遭遇。新谷と3人でカラオケに行くが、泥酔した秋葉が渡部の背中に嘔吐。後日、謝罪されたものの、対応の悪さにキレる渡部。だがその一方で、涙を浮かべて自分の不器用さを詫びる秋葉に惹かれたのも事実だった。再会の約束をした二人は、秋葉の叔母、浜崎妙子(萬田久子)が経営するバーへ。秋葉の淋しげな微笑みが気になった渡部は、彼女を横浜の実家まで送る。そこで秋葉の父、中西達彦(中村雅俊)と遭遇し、親子の間に冷ややかなものを感じるのだった。招かれるまま屋敷に上がり込む渡部に、秋葉はこの屋敷で殺人事件があったことを仄めかす。そして一線を越える2人。“不倫をする奴なんて、馬鹿だ”と考えていた渡部だったが、秋葉との関係は一回で終わることはなかった。何一つ疑う様子のない妻に対して罪悪感を覚えつつも、嘘を重ねてゆく毎日。そんなある日、秋葉は15年前に屋敷で起きた殺人事件について打ち明ける。殺されたのは、達彦の秘書兼愛人の麗子という女性。第一発見者は秋葉だった。犯人は未だ捕まらず、間もなく時効を迎えるという。辛い過去を知った渡部は、今まで以上に秋葉を守ってやりたいと考えるようになる。新谷の忠告も聞かず、秋葉との関係は続く。2人の将来を真剣に考えるようになった渡部に、秋葉は告げる。“3月31日まで待って”。その意味を測りかねる渡部だったが、静かにその日は訪れた。一緒にいてほしいと頼まれ、屋敷を訪れるが、そこに達彦と妙子が現れる。そして明かされる衝撃の真実。秋葉が15年間抱え込んできた秘密とは一体……?




13-9. おろしや国酔夢譚

監督 佐藤純彌
出演 緒形拳オレーグ・ヤンコフスキーユーリー・ソローミンエヴゲニー・エフスチグネーエフアナスタシヤ・ニェモリャーエワ
1992年 (東宝) 125分

解説
鎖国日本にあって、広大なシベリア大陸を走り抜けた日本人の冒険記を描いた井上靖原作の映画化。脚本・監督は 「敦煌」 の佐藤純彌。共同脚本は 「必殺4 恨みはらします」 の野上龍雄と 「タイガースメモリアルクラブバンド ぼくと、ぼくらの夏」 の神波史男。撮影は 「マリアの胃袋」 の長沼六男がそれぞれ担当。

ストーリー
1782年、伊勢出帆後に難破した光太夫らは、9カ月後に北の果てカムチャッカに漂着する。生き残ったわずか6名の日本人は、帰郷への手立てを探るためにオホーツク、ヤクーツク、イルクーツクと世界で最も厳しい寒さと戦いながらシベリアを転々とするが、土地土地で数奇な運命に翻弄される。そして、凍傷で片足切断した庄蔵は日系ロシア人のタチアナに手を引かれるようにキリシタンとなり帰化、若い新蔵はロシア女ニーナと恋におち姿を消した。一方、光太夫は学者ラックスマンを通じ、初めて見る文化に強い衝撃を覚え、この感動を故国へ伝えたいと帰国への執念をなお燃やすのだった。そして、最後の望みを賭け、エカテリーナ二世への直訴を決意、首都ペテルブルグに向かった。ラックスマン、ベズボロドコ伯爵、女王側近ソフィアの協力を得て、ついに光太夫の熱い想いは女帝の心に通じ、光太夫、小市、磯吉わずか3人だが、1792年、実に9年9カ月ぶりに帰国を果たし根室へ着く。だが、鎖国中の幕府は彼らを迎え入れようとはせず、小市は病死、光太夫、磯吉も上府、雉子橋外の厩舎に留置されるが、やがて松平定信のはからいで光太夫は幽閉という扱いで、迎え入れられることになるのだった。




13-10. 探偵物語

監督 根岸吉太郎
出演 薬師丸ひろ子秋川リサ岸田今日子北詰友樹坂上味和
1983年 (東映) 111分

解説
殺人事件に巻き込まれた私立探偵と女子大生が、事件を解決し愛を経験するまでを描く。赤川次郎の同名小説の映画化で、脚本は 「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」 の鎌田敏夫、監督は 「俺っちのウエディング」 の根岸吉太郎、撮影は、 「汚れた英雄」 の仙元誠三がそれぞれ担当。主題歌は、薬師丸ひろ子( 「探偵物語」 )。

ストーリー
女子大生の新井直美はあと一週間で父親の待つアメリカに旅立つことになっている。ある日、直美は前から憧れていたサークルの先輩・永井に誘われた。永井は海辺の店でペンダントを二つ買い、一つを直美にプレゼントする。そして、いつしか二人はホテルの一室にいた。そこに突然、直美の伯父と名乗る男が飛び込んできて永井を追い出してしまう。この男・辻山秀一は私立探偵で、直美の父の元秘書・長谷沼から、彼女のボディー・ガードに雇われたのだった。ある日、辻山の別れた妻・幸子が、彼女の愛人で岡崎組のドンの跡取りである和也がホテルのシャワー室で何者かに刺殺されたと辻山のアパートに飛び込んで来た。ホテルは密室状態で犯行のチャンスがあったのは幸子だけと、警察、国崎組の目は幸子へ。そこに直美が訪れ国崎組のが追手迫る中、三人はどうにか脱出し、直美の家へ逃れた。直美は幸子をかくまい辻山と二人で真犯人を見つけようと言い出す。そして、和也の葬儀に出かけた直美は、未亡人の三千代と国崎組の岡野が一緒に出かけるのを見つけた。そこに辻山も現われ後を追った二人は、三千代と岡野のベッドでの会話の録音に成功するが、国崎組に追い回される。ある夜、辻山と幸子がベッドにいるのを見て、ショックをうけた直美は、街をさまよい見知らぬ男の誘いにのる。その男と入ったホテルは和也が殺されたホテルであった。直美は、シャワー室の天井が換気孔になっているのを発見し、そこから逃げ出す。急いで帰宅し、辻山が録音テープを持って国崎組へ向ったのを知った直美も後を追う。辻山は違うテープを持っていったのだ。そして、テープを聞いた剛造は、岡野におとしまえをつけさせ、直美の証言で皆でホテルに向った。そこで、換気孔から隣の部屋へと移動を行った直美は、通路でペンダントを発見した。それは永井が海で買い、以前、直美が辻山と入った和也が経営している店で、バニーガールとして働いていた永井の恋人・正子がしていたものだった。次の日、ペンダントを見せ、問いつめた直美に正子は告白を始めた。正子は永井のために、あの店で売春もしており、そして、妊娠している彼女に無理やり客をとらせる和也を憎み、激情的に殺害したのだった。自首するという正子を永井が送り、事件は解決した。渡米の前日、直美は辻山のアパートを訪れるが、中々お互いの気持が噛み合わない。帰り際、直美は彼に愛を告げると、急いで出て行った。次の日、空港で直美を待ちうけていたのは辻山だった。二人は別れの熱いキスを交わし、直美は発って行った。




13-11. 刑事物語3 潮騒の詩

監督 杉村六郎
出演 武田鉄矢星由里子沢口靖子金田龍之介佐藤佑介
1984年 (東宝) 107分

解説
東京で起きた暴力団組長・射殺事件から展開していく様々な人間模様を片山刑事を通して描く。片山蒼の原作をもとに、ちゃき克彰、 「刑事物語2 りんごの詩」 の武田鉄矢、 「ヨーロッパ特急」 の黒井和男の三人が共同で脚本化、監督は 「刑事物語2 りんごの詩」 に続いて杉村六郎、撮影も同作の矢田行男がそれぞれ担当。

ストーリー
長崎県・五島列島・福江市。五島中央署の片山刑事はいろいろと問題が多く、刑事とは名ばかりの雑用係として毎日を送っていた。ある日、片山は殺人事件の捜査のためにやって来る警視庁捜査一課の刑事達の案内役を命ぜられる。一行を奈留港近くの旅館に案内した片山は、村上警部補から今回の極秘捜査の内容を聞かされた。東京で暴力団の組長を射殺して逃亡した犯人・仁科高志が福江市の出身で、唯一の肉親である母親の元へ寄る可能性があり、その張り込みの為に彼らが出向いて来たのだった。片山達がいる旅館から見える“バー玉江”は仁科の母親・玉江が経営する店であった。彼女の様子を確かめる為、片山と新米刑事の木崎が客を装い“バー玉江”に出向くが、飲みなれない酒に木崎が酔い潰れ、二人が刑事である事を知られてしまった。翌朝、片山は木崎に、昨夜、仁科が札幌に潜伏しているという情報が入った為、村上達が北海道へ向かった事を伝える。その夜一人で“バー玉江”を訪れた片山は、玉江から、仁科の妻と娘が黒瀬にいてご二で暮らしている事を聞いた。妻の名前は松村清子、民宿“海っ子”を経営しており、娘の名は海子という。次の日、“海っ子”を張り込むため、片山と木崎は黒瀬へ向かった。片山が浜辺で張り込んでいる時、子供が海に落ち、助けようとした彼は飛び込むが浅瀬の為おなかを打って気絶した。“海っ子”に運び込まれた片山は、そのまま民宿を手伝う破目になる。海子は波を父のように慕った。ある日、仁科が射殺した組長の子分達が“海っ子”に土足で入り込んできた。仁科の居場所を教えろと暴れまわる男達。清子と海子を守る為、片山は彼らと闘ったが、彼が刑事である事を知られてしまう。そんな時、仁科が長崎から奈留島へ向かったという情報が入った。木崎を先に向かわせ、片山は“海っ子”から出かける清子を追う。岬の岩蔭から仁科が現われた。片山は、岬の上の草原から洋弓で仁科を狙う殺し屋を狙止しようと闘いを挑んだ。彼を倒した後、片山は仁科を逮捕した。・翌日、福江港から連絡船が片山と仁科を乗せて出発した。そして、岩壁の上から「お父さん」と叫ぶ海子に、仁科は手を振るのだった。




13-12. はじまりのみち

監督 原恵一
出演 加瀬亮田中裕子濱田岳ユースケ・サンタマリア斉木しげる
2013年 (松竹) 96分

解説
「河童のクゥと夏休み」 など数々のアニメ作品で知られる原恵一監督が、初めて実写作品に挑戦した家族ドラマ。日本映画史に名を残す巨匠・木下惠介の実話を、映画 「陸軍」 製作時のエピソードを回想形式で盛り込みながら描く、母と子の物語。木下監督を幅広い演技で知られる実力派の加瀬亮が巧みに演じる。

ストーリー
政府から戦意高揚の国策映画づくりを映画界に要求されていた時代。木下惠介(加瀬亮)が昭和19年に監督した「陸軍」は、その役割を果たしていないとして当局から睨まれ、次回作の製作が中止になってしまう。夢を失った木下は松竹に辞表を提出、病気で倒れた母、たま(田中裕子)が療養している浜松市の気賀に向かった。失意の中、惠介はたまに「これからは木下惠介から本名の木下正吉に戻る」と告げる。しかし、戦局はいよいよ悪化の一途をたどり、気賀も安心の場所ではなくなってくる。惠介は山間の気田に疎開することを決め、その夏、一台のリヤカーに寝たままの母を、もう一台には身の回り品を乗せ、兄・敏三(ユースケ・サンタマリア)と、“便利屋さん”(濱田岳)と惠介の3人で、夜中の12時に気賀を出発し山越えをする。激しい雨の中、17時間歩き続け、ようやく見つけた宿で母の顔の泥をぬぐう惠介。疎開先に落ち着いて数日後、たまは不自由な体で惠介に手紙を書く。そこにはたどたどしい字で「また、木下惠介の映画が観たい」と書かれていた……。





13-13. ボクたちの交換日記

監督 内村光良
出演 伊藤淳史小出恵介長澤まさみ木村文乃川口春奈
2013年 (ショウゲート) 115分

解説
鳴かず飛ばずのお笑いコンビが、現状を変えるために“交換日記”を始める姿を描く青春ドラマ。鈴木おさむのベストセラー小説を内村光良がメガホンを握り映画化。芸人たちの苦労がリアルに描かれている。お笑いコンビ、房総スイマーズに扮するのは、伊藤淳史と小出恵介。長澤まさみ、木村文乃、川口春奈ら脇を固める女優陣にも注目。

ストーリー
お笑いコンビ・房総スイマーズは結成12年を迎えながらもいまだに売れる気配がない。高校卒業後にお笑いの世界を目指して走りはじめた田中(伊藤淳史)と甲本(小出恵介)も、気がつけば30歳を目前に控えていた。コンビの将来について真剣に話すことをなんとなく避けてきた二人は、もう後がない自分たちをなんとかするために、交換日記を始める。次第に真剣に互いの本音をぶつけ合う二人。再び夢に向かい始めた二人は、お笑いコンテストにすべてを賭けるが……。




13-14. マイ・バック・ページ

監督 山下敦弘
出演 妻夫木聡松山ケンイチ忽那汐里石橋杏奈韓英恵
2011年 (アスミック・エース=WOWOWFILMS) 141分

解説
川本三郎による同名ノンフィクション小説を基に、1960年代後半という激動の時代に2人の青年が出会い、理想と現実の狭間で揺れ動く姿を描く社会派青春ドラマ。妻夫木聡がジャーリストを松山ケンイチが革命家に扮して初共演。 「リンダ リンダ リンダ」 の山下敦弘監督が、革命熱の強まる時代を生きた人間の強さと脆さを映し出す。

ストーリー
1969年。理想に燃えながら新聞社で週刊誌記者として働く沢田雅巳(妻夫木聡)は、激動する“今”と葛藤しながら、日々活動家たちを追いかけていた。それから2年、取材を続ける沢田は、先輩記者・中平武弘(古舘寛治)とともに梅山(松山ケンイチ)と名乗る男からの接触を受ける。「銃を奪取し武器を揃えて、われわれは4月に行動を起こす」沢田は、その男に疑念を抱きながらも、不思議な親近感を覚え、魅かれていく。やがて、「駐屯地で自衛官殺害」のニュースが沢田のもとに届いた……。




13-15. ALWAYS 三丁目の夕日’64

監督 山崎貴
出演 吉岡秀隆堤真一小雪堀北真希もたいまさこ
2012年 (東宝) 144分

解説
西岸良平の漫画を原作とした 「ALWAYS 三丁目の夕日」 シリーズ第3弾。大ヒットした1作目から監督・脚本・VFXを手がける山崎貴が、東京オリンピックに象徴される昭和39年の空気感を最新CGで再現。吉岡秀隆、堤真一、小雪など、おなじみのキャストが集結。森山未來、大森南朋など演技派ゲストを迎え、下町人情ドラマを展開する。

ストーリー
昭和39年(1964年)。オリンピック開催を控えた東京は、ビルや高速道路の建築ラッシュとなり、熱気に満ち溢れていた。そんな中、東京下町の夕日町三丁目では、5年前と変わらず、個性豊かな住民たちが元気に暮らしていた。小説家の茶川竜之介(吉岡秀隆)は、ヒロミ(小雪)と結婚し、高校生になった古行淳之介(須賀健太)と3人で仲良く生活している。茶川商店の一角は改装され、ヒロミがおかみを務める居酒屋「新山藤」となった。ヒロミは身重で、もうすぐ家族が一人増える様子。だが茶川は「冒険少年ブック」の看板作家として連載を続けているが、新人小説家の作品に人気を奪われつつあった。編集者の富岡(大森南朋)から「もっと新しい雰囲気で」と言われ、茶川はますますスランプに陥っていく。一方、鈴木則文(堤真一)とその妻・トモエ(薬師丸ひろ子)、一人息子の一平(小清水一揮)、住み込みで働く星野六子(堀北真希)が暮らす鈴木オートは、順調に事業を拡大し、店構えも立派になった。六子にも後輩の従業員ができ、厳しく指導をする姿はすっかり一人前。彼女無しでは鈴木オートの仕事は回らないほどであった。そんな六子は、毎朝おめかしをして家を出て行く。それは、通勤途中の医者・菊池孝太郎(森山未來)とすれ違い、朝の挨拶をかわすためだった。六子のほのかな恋心を温かく見守るのは、大田キン(もたいまさこ)。そして小児科医・宅間史郎(三浦友和)は、今日も町の人のために診療を続けている。そんな折、茶川が隠していた、とある電報をヒロミが見つけてしまう……。




13-16. 相棒 劇場版III 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ

監督 和泉聖治
出演 水谷豊成宮寛貴伊原剛志釈由美子風間トオル
2014年 (東映) 114分

解説
00年の放送開始以来、10年以上にわたって高視聴率を記録するなど人気を誇る刑事ドラマ 「相棒」 。その劇場版第3弾は、警視庁特命係の杉下右京と甲斐享が、太平洋に浮かぶ孤島で起きた死亡事故と、その島に隠された秘密に迫る姿を描くサスペンス。season11から右京のパートナーとなった甲斐の劇場版初出演作となる。

ストーリー
以前警視庁特命係で杉下右京(水谷豊)と組んでいた現・警察庁長官官房付の神戸尊(及川光博)が、杉下と杉下の現相棒・甲斐亨(成宮寛貴)の元を訪ねてくる。神戸が特命係に来たきっかけは、「馬に蹴られて男性死亡」と書かれた新聞の三面記事だった。事故が起きたのは、ある実業家(宅麻伸)が所有する孤島・鳳凰島だった。その島にまつわる妙な噂が絶えないため、特命係に事故を手がかりに島を調査させよとの密命を警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)から受けていた。気乗りしないまま特命係の二人は八丈島を経由し鳳凰島へ向かう。島では元自衛隊員たちが訓練を積み共同生活をしていた。グループのリーダー・室司(伊原剛志)と高野志摩子(釈由美子)の案内で事故現場に向かうが、二人は島の人々から歓迎されていない雰囲気を感じ取る。事故で亡くなったのは、普段は会社に勤め一時的に訓練に参加していた予備自衛官だった。事故の検証はこの島を調査する口実にすぎなかったが、杉下は事故ではなく殺人事件ではないかと疑い、密かに鑑識課の米沢守(六角精児)と連絡を取り証拠をつかもうとする。さらに甲斐峯秋の働きかけにより警視庁捜査一課の伊丹憲一(川原和久)、三浦信輔(大谷亮介)、芹沢慶二(山中崇史)が島に派遣され、鑑識課の米沢守を含めいつもの面々が島に集結。事件の鍵となる証拠をつかむが、その矢先に何者かにより襲撃される。それは、島で行われている元自衛隊員の訓練とは異なる計算されつくした手法での襲撃だった。杉下たちは事件の真相を探るうちに、防衛省や国の権力者たちが関わる大きな謎に突き当たる……。






13-17. 嵐の勇者たち

監督 舛田利雄
出演 石原裕次郎二谷英明浜田光夫岡崎二朗川地民夫
1969年 (日活) 99分

解説
「やくざ番外地」 の永原秀一がシナリオを執筆し、 「大幹部 殴り込み」 の舛田利雄が監督したアクションもの。撮影は 「涙でいいの」 の山崎善弘。

ストーリー
元刑事の島地陶介が、仲間の神崎、浜野、藤木、川辺らと組んで暗黒組織潰滅に乗りだした。折しも開かれた関東共栄連合会結成祝賀会。席上、陶介らは会場の電源を切って、会長生駒の愛妾亜紀子から、時価一億円のダイヤを散りばめたドレスを強奪、ところが、電気がつくと中身の亜紀子まで姿を消していた。それは、生駒に潰された組の生き残り唐沢恭一味が身代金を目あてに誘拐したのだった。その頃、亜紀子を乗せた車が生駒の別荘に向っていた。空家と思えた別荘にはデザイナー亜紀子の助手、冬子、理江、佳代の三人がいた。一方、亜紀子誘拐を知った陶介は、そ知らぬ顔で、五千万円で彼女を奪還すると生駒にもちかけた。契約は成立。だが、その陶介を生駒子飼いの殺し屋真吾がつけ狙っていた。私立探偵の大門もまたこの一件に介入、ひと賭けしようと企んでいた。その頃、恭に一目惚れした冬子は、この争いを止めさせようと説得したが、戦いの火蓋はすでに切って落されていた。油壷の別荘を目指すシンジケートのトラック、ヘリコプター。身代金を奪った恭は陶介と結んで一味を迎え撃ったが、形勢不利は明白だった。ヨットで逃げる陶介らを、一味から救ったのは意外にも真吾だった。真吾は、亜紀子から両親を殺したのが生駒と聞かされ怨念を抱いていたのだ。やがて亜紀子が恭らと生駒邸に現われた。すべて、陶介らの計略だった。だが、彼女らの背後には真吾の拳銃が光っていた。真吾の出現で、生駒は威勢を張った。が、次の瞬間、憤怒に燃えた真吾の拳銃が、生駒に向って火を吐いた。続いて轟く生駒の銃声。亜紀子に抱かれて息絶える真吾の顔に一瞬人間らしい笑いが浮んだ。陶介、恭らも思わず喜色を浮かべた。









13-18. 学校 

監督 山田洋次
出演 西田敏行竹下景子萩原聖人中江有里新屋英子
1993年 (松竹) 128分

解説
東京・下町にある夜間中学校を舞台に、様々な境遇を持つ生徒たちと先生との交流を描くドラマ。監督・脚本は 「男はつらいよ 寅次郎の青春」 の山田洋次で、彼の十五年来暖めていた企画の映画化。脚本は山田と 「スペインからの手紙 ベンポスタの子どもたち」 の朝間義隆の共同。撮影は 「男はつらいよ 寅次郎の青春」 の高羽哲夫と 「夢の女」 の長沼六男の共同。キネマ旬報ベストテン第六位。

ストーリー
下町の一角にある夜間中学の教師・黒井は、卒業式も近づいたある日、卒業記念文集のための作文の授業を行う。原稿用紙にそれぞれの思いを綴る様々な職業、年齢の生徒たちの横顔を見ながら、黒井は彼らとの思い出を振り返る。孫もいる年になって入学してきた在日韓国人の女性・オモニ。髪の毛を染めたツッパリ少女・みどり。昼間は肉体労働に励む少年・カズ。父は中国人、母は日本人で五年前に中国から移住してきた青年・張。自閉症で登校拒否児だったえり子……。やがて給食の時間に、クラスの一員・イノさんが死んだという悲しい知らせが届く。突然の訃報に悲しむ黒井と生徒たちは、食後のホームルームの時間、イノさんの思い出を語り始める。不幸な生い立ちとその後の苦労、田島先生への恋心。そして突然病に倒れ、故郷の山形へ帰ったきり帰らぬ人となったこと。イノさんの人生を語り合ううち、いつしか黒井と生徒たちは人間の幸福について話し合うようになっていった。生徒と先生が汗を流して語り合う、これこそ授業だと確信する黒井先生に応えるかのように、えり子が、自分も夜間学校の先生になる、そしてこの場所に戻ってくる、と決意を語る。外はいつしか雪になっていた。





13-19. 犬と私の10の約束

監督 本木克英
出演 田中麗奈加瀬亮福田麻由子佐藤祥太池脇千鶴
2008年 (松竹) 117分

解説
犬に関する短編詩 「犬の10戒」 をもとに、子犬と少女の10年間にわたる交流を描く感動作。成長したヒロイン役の田中麗奈を始め、加瀬亮、豊川悦司などの実力派俳優たちが共演。

ストーリー
函館で暮らすあかり(福田麻由子)は、大学病院に勤める父の祐一(豊川悦司)と母の芙美子(高島礼子)と3人で暮らしていた。ある日、そんな斉藤家に新しい家族がやってきた。それは仔犬のゴールデンレトリバーだった。その犬は前足の片方が靴下をはいたように白いという特徴から“ソックス”と名付けらた。芙美子は「私と気長につきあってください」から始まる“10の約束”をあかりに教える。「私が死ぬとき、お願いです。そばにいてください」……。その頃から、芙美子は体調を崩して、入退院を繰り返すようになる。母を慮って暗くなるあかりの心情を照らしてくれるのは、ソックスの存在だった。そして、母との永遠の別れの日がやってくる。悲しみに浸るあかりを、クラシック・ギタリストを目指す星進(佐藤祥太)も励ましてくれた。そんな彼がパリ留学する日も、祐一の仕事の都合で見送ることができなかった。大学病院での仕事とあかりを天秤にかけた祐一は、辞表を出して開業医の道を選ぶ。それから7年、22歳になったあかり(田中麗奈)は、大学の獣医学部を経て獣医として就職する。ギタリストとして帰国した進(加瀬亮)とも再会を果たし、二人は恋に落ちた。そんなある日、交通事故に遭った進は後遺症で指を自由に動かせなくなってしまう。あかりのことも避けるようになった進のもとに、ソックスが訪れる。セラピードックとしての資質を持つソックスは、ささくれた進の心情を癒して、再びギターを演奏できる身体にした。とはいえ、社会人としても忙しくなったあかりはソックスと過ごせる時間も限られてきた。犬の寿命は、約10年。老いたソックスは、臨終の日を迎えようとしていた。命が燃え尽きようとするソックスを見守るあかりと進。昇天するソックスの身体を抱きしめて号泣するあかりの頭の中では、これまでソックスと過ごしてきた幸福な日々が走馬灯のように駆け抜けるのだった。





13-20. 学校II

監督 山田洋次
出演 西田敏行吉岡秀隆永瀬正敏いしだあゆみ神戸浩
1996年 (松竹) 122分

解説
先生と生徒の心の交流を描いたヒューマンドラマ 「学校」 の第2弾。今回は北海道の養護学校に舞台を移し、その教室に集う様々な人間たちのふれあいのドラマをつづっていく。監督は 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 の山田洋次。脚本は山田と 「男はつらいよ/寅次郎紅の花」 の朝間義隆の共同。撮影をやはり 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 の長沼六男が担当している。主演は 「釣りバカ日誌8」 の西田敏行。共演に 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 の吉岡秀隆、 「ユーリ」 の永瀬正敏ほか。96年度キネマ旬報ベストテン第8位。

ストーリー
青山竜平が教師として働く竜別高等養護学校では大きな事件が起きていた。卒業を間近に控えた高志と佑矢が買い物に出ると言ったきり寮に戻ってこないのだ。竜平は近所の人たちからふたりが旭川へコンサートを聴きに行ったらしいことを聞くと、若い小林先生と一緒に、旭川へ向けて車を走らせた。車中で竜平は高志たちと過ごした3年間を思っていた。3年前の春、竜平の受け持ちのF組は、それぞれに障害を持つ9人の新入生を迎えた。高志の知恵おくれはさほど重いものではなかったが、中学時代に受けたいじめのために心を閉ざした彼は、一言も口を利こうとしなかった。小林の担当となった佑矢は突然奇声を発して暴れたり、小便や大便を垂れ流したりと、片時も目が離せない。二学期のある日、生徒のひとり・資子の書いた作文を読んでいた玲子先生から原稿用紙をひったくろうとした佑矢を、高志が言葉を発して窘めた。佑矢は素直に従い、この日から高志を兄貴と慕うようになったのである。高志も自信をつけ、二年生の春には夢をつづった作文で“青春のメッセージ・コンクール”の準優勝を受賞した。三年生になると、生徒たちは就職の準備のために会社や工場へ現場実習に出るようになる。高志はクリーニング工場で実習を受けることになったが、彼にとって初めて接する社会は決して甘いものではなかった。会社の仲間となじめず、学校へ戻ることになってしまった高志は、「俺、もっとバカだった方が良かったな。自分がバカだって気づかないほどバカだったら良かった」と、竜平に告白するのだった。竜平と小林が到着したコンサート会場には、すでに高志と佑矢の姿はなかった。高志と佑矢はコンサートの後、ホテルで働く先輩・木村を訪ねて、さらに翌日、雪の中をあてどなく歩いていた。ふたりは親切な夫婦と知り合い、彼らの熱気球に乗せてもらう。それを発見した竜平と小林は、無事にふたりを学校へ連れ戻すのだった。卒業式の日、竜平は9人の生徒たちにはなむけの言葉をかけようと教壇に立つが、出てくるのは涙ばかりだった。そんな竜平を生徒たちは逆に励まし、そして、希望に満ちた輝かしい顔で学校から巣立っていった。




13-21. 刑事物語2 りんごの詩

監督 杉村六郎
出演 武田鉄矢酒井和歌子玉野叔史園みどり金子信雄
1983年 (東宝) 106分

解説
一人の刑事をめぐる様様な人間模様を通して、男の本当の強さを描く。原作、脚本は第一作同様、片山蒼、脚本は他に渡辺寿、黒井和男、監督はこれが第一回作品で、第一作で監督補をつとめた杉村六郎、撮影も第一作の矢田行男がそれぞれ担当。主題歌は、吉田拓郎( 「唇をかみしめて」 )。

ストーリー
弘前中央署に、札幌署から堂垣内と佐藤の二人の刑事が訪ねて来た。彼らの依頼は、二年前札幌でおきた現金輸送車襲撃事件の証拠として残されたりんごの種の品種分析である。早速、片山刑事が二人をりんご試験場に案内したが、りんごの種から品種分析することは不可能であった。失意の二人を誘って入った喫茶店は、片山が今朝出会った少年たけしの母親・澄江の店であった。札幌に帰る二人を駅に見送った片山は、定年間近い堂垣内への同情から、りんごの種を預かることにした。駅を出た彼は、堂垣内を札幌から追いかけて来たという、北海道タイムスの記者、玉垣に声をかけられる。翌朝、再びりんご試験場を訪ねた片山は、所員の忍にりんごの種の栽培を頼む。毎日通ううち、片山は彼女に好意をいだくようになり、やがて種が芽を出した。ある日、二人は十和田湖でデートし、その夜初めて結ばれる。次の日、送られてきた北海道タイムスに、芽を出したりんごの種の事が伝えられていた。そこに忍から双葉が開いたという電話、彼女はこの双葉が紫色の花だったら素晴らしいと告げる。その夜、りんご試験場の研究室が荒され、現場に駈けつけた片山は忍の死を報らされる。北海道タイムスの記事が、現金輸送車襲撃事件の犯人を刺激したらしい。犯人が北海道にいるとにらんだ片山は、札幌に向った。彼は忍が話した紫色のりんごの花が気になってしかたがない。手がかりは得られず、弘前に戻った片山に自宅謹慎の辞令が待っていた。その間トレーニングに励む片山、そこには彼の蟷螂挙の型を一所懸命にまねるたけしの姿もあった。ある日、たけしは片山を自宅に誘う。そこで澄江は、暗く哀しい自分の過去を話しだした。次の日の夜、署に訪ねてきたたけしを送った片山は、家の中庭に紫色の花を咲かせているりんごの木を見つける。すべてを話し出す澄江。翌深夜、澄江の家の前に一台の車がとまり数人の男達がおり立った。彼らは、口封じのため現金輸送車襲撃事件の共犯である澄江を殺そうとする若本たちだった。片山の怒りの拳が犯人たちを倒し事件は解決した。澄江は自首をし、片山は孤児院にたけしを送った。




13-22. そうかもしれない

監督 保坂延彦
出演 雪村いづみ桂春團治阿藤快下絛アトム夏木陽介
2005年 (シナジー) 106分

解説
芸術選奨文部大臣賞に輝いた耕治人の私小説を映画化。歌手・雪村いづみと落語家・桂春團治の共演で、認知症の妻と彼女を支える夫の悲喜こもごもをつづる。

ストーリー
寡作の文筆家・高山治(桂春團治)とその妻・ヨシ子(雪村いづみ)は、質素だが平穏な暮らしを送っていた。子供はいないが、ヨシ子の姉の子・武が、たまに顔を出してはあれこれと世間話をして、早々に退散していく。その日は、突然おとずれた。散歩の途中、ヨシ子が買い物の品物を忘れたという。急いで店に向かう高山。だが、今日は誰もその品物を買ってはいないと言われる。いつも通る橋、いつも寄り道する公園の池。かがみ込んでヨシ子が純真にミズスマシを見つめている。高山はただ、妻と一緒に水面を見つめるしかなかった。久しぶりに訪ねて来た高山の担当編集者・時岡の前でも、ヨシ子の会話はどこかぎこちない。ゆっくりだが、病は確実に進行していた。日常生活でも目が離せなくなってきて、言動もおかしくなっている。自宅介護の限界がひっそりと近づいてきていた。慣れない介護に追われながら、深夜、執筆を続ける高山を、激痛が襲う。ガンの発症だった。医師は手術をすすめ、高山は妻を特別養護老人ホームにあずけ、自分は入院することを決意する。別々の生活が始まり、高山は手術を受けた。ヨシ子が久しぶりに高山を病院にたずねる日がやってきた。おしゃれをして、ケアワーカーの志田に連れられて病室にやってきたヨシ子は、夫にだけ分かる二人だけの言葉を口にする。やがて、別れの日がやってくる。誰もがヨシ子にそのことを告げる事ができない。だが、ヨシ子は微笑みを浮かべ、すべてを分かっているかのように皆に手をさしのべるのだった。




13-23. ゴールデンスランバー

監督 中村義洋
出演 堺雅人竹内結子吉岡秀隆劇団ひとり香川照之
2009年 (東宝) 139分

解説
人気作家、伊坂幸太郎の同名ベストセラーを 「フィッシュストーリー」 の中村義洋監督が堺雅人を主演に迎えて映画化。首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公の逃避行を描く。

ストーリー
杜の都・仙台。野党初となる金田首相の凱旋パレード中、突如ラジコンヘリ爆弾が首相に直撃、衆目の中、首相暗殺事件が起きる。その頃、宅配便ドライバー・青柳雅春(堺雅人)は、大学の旧友・森田森吾(吉岡秀隆)と数年来の再会を果たしていた。だが、どこか様子のおかしい森田は「お前は首相暗殺犯に仕立てられる」と鬼気迫る調子で、青柳に訴える。すると、突然警官が現れ、青柳に向かって拳銃を構えた。森田は死亡。意味がわからないままひた走り、青柳は逃げ出した……。世間では、青柳が暗殺現場にいたことを証言する目撃者や、ラジコン店に青柳が居る証拠映像などが次々現れ、青柳は身に覚えのない証拠とともに見えない力によって無実の暗殺犯に仕立てられていく。警備網が仙台一帯に敷かれる中、青柳は、元恋人の樋口晴子(竹内結子)や大学の後輩・カズこと小野一夫(劇団ひとり)など、信頼ある仲間たちによって窮地から救い出される。しかし、警察庁警備局総合情報課課長補佐・佐々木一太郎(香川照之)らに追い詰められた青柳は、遂に投降の時を迎える……。




13-24. ジョバンニの島

監督 西久保瑞穂
出演 市村正親仲間由紀恵柳原可奈子ユースケ・サンタマリア横山幸汰
2014年 (ワーナー・ブラザース映画) 102分

解説
終戦後の北方四島で起きた実話を基に、幼い兄弟に降りかかる過酷な運命を描き出した感動アニメ。 「攻殻機動隊」 シリーズなどで知られるスタジオ、Production I.Gがアニメーション制作を担当し、クオリティの高い映像で物語がつづられる。原作・脚本を手がけたのは 「北の国から」 シリーズの演出で知られる杉田成道。

ストーリー
1945年。10歳の淳平(声:横山幸汰)と7歳になる寛太(声:谷合純矢)の兄弟は、父・辰夫(声:市村正親)や祖父・源三(声:北島三郎)とともに、北方四島のひとつ、色丹島に住んでいた。彼らの暮らしは、敗戦とともに一変した。ソ連軍が島を占拠し、島の人々は住処を失う。島は混乱に陥るが、それでも両国の子どもたちは国の違いを超えて仲良くなり、純平はロシア人のターニャ(ポリーナ・イリュシェンコ)に惹かれるようになる。そんな中、島の防衛隊長を務める辰夫がシベリアの収容所に送致され、兄弟は樺太へ行くことに。寒さと飢えに苛まれながら、兄弟は再び家族がひとつとなることを願い続ける……。





13-25. 山椒大夫

監督 溝口健二
出演 田中絹代花柳喜章香川京子清水将夫進藤英太郎
1954年 (大映)

解説
森鴎外の原作(大正五年一月“中央公論”発表)を 「唐人お吉」 の依田義賢、 「鯉名の銀平(1954)」 の八尋不二が再解釈を加えて脚色、 「祇園囃子」 の溝口健二が監督にあたった。撮影宮川一夫、音楽早坂文雄と溝口作品のレギュラー・スタッフの他、建築考証に日本古建築専攻の藤原義一、衣裳考証に 「西鶴一代女」 その他に協力した上野芳生が加わっている。 「恋文(1953)」 の田中絹代、香川京子、新派の若手花柳喜章、 「にごりえ」 の三津田健、 「にっぽん製」 の菅井一郎、 「心臓破りの丘」 の清水将夫、 「男の血祭」 の進藤英太郎などが出演。

ストーリー
平安朝の末期、越後の浜辺を子供連れの旅人が通りかかった。七年前、農民の窮乏を救うため鎮守府将軍に楯をつき、筑紫へ左遷された平正氏の妻玉木、その子厨子王と安寿の幼い兄妹、女中姥竹の四人である。その頃越後に横行していた人買は、言葉巧みに子供二人を母や姥竹と別の舟に乗せて引離した。姥竹は身を投げて死に母は佐渡へ売られ、子供二人は丹後の大尽山椒大夫のもとに奴隷として売られた。兄は柴刈、妹は汐汲みと苛酷な労働と残酷な私刑に苦しみながら十年の日が流れた。大夫の息子太郎は父の所業を悲んで姿を消した。佐渡から売られて来た小萩の口すさんだ歌に厨子王と安寿の名が呼ばれているのを耳にして、兄妹は母の消息を知った。安寿は厨子王に逃亡を勧め、自分は迫手を食止めるため後に残った。首尾よく兄を逃がした上で安寿は池に身を投げた。厨子王は中山国分寺にかくれ、寺僧の好意で追手の目をくらましたが、この寺僧こそは十年前姿を消した太郎であった。かくして都へ出た厨子王は関白師実の館へ直訴し、一度は捕われて投獄されたが、取調べの結果、彼が正氏の嫡子である事が分った。然し正氏はすでに配所で故人になっていた。師実は厨子王を丹後の国守に任じた。彼は着任すると、直ちに人身売買を禁じ、右大臣の私領たる大夫の財産を没収した。そして師実に辞表を提出して佐渡へ渡り、「厨子王恋しや」の歌を頼りに、落ちぶれた母親と涙の対面をした。




13-26. わたし出すわ

監督 森田芳光
出演 小雪黒谷友香井坂俊哉山中崇小山田サユリ
2009年 (アスミック・エース) 110分

解説
森田芳光が13年ぶりにオリジナル脚本で描く、"お金"にまつわるドラマ。人々の夢や希望を聞いては、それを叶えるための大金を差し出そうとするミステリアスな女性の姿をつづる。

ストーリー
民家の郵便受けに1キロの金塊が投げ込まれたことを、テレビのニュースが伝えている。東京から故郷に戻ってきた山吹摩耶(小雪)は、引越しの終わった新しいアパートで、引越し業者にポチ袋を渡す。だが、その中身は10万円の現金。慌てる業者に、摩耶は“そのお金を使って、いい思い出を作ってください”と告げる。街で市電に乗った摩耶は、運転手の道上保(井坂俊哉)と再会。道上は高校の同級生だった。思いがけない再会に驚く道上。高校時代から世界中の路面電車めぐりが夢だったという彼に、摩耶は告げる。“そのお金、私が出してあげようか”。後日、道上に摩耶から大金が届く。高校の同級生、魚住サキ(黒谷友香)の夫が急死し、その通夜で顔を合わせる同級生たち。帰り道、川上孝(山中崇)の家を訪れる摩耶。故障で将来を絶たれたマラソンランナーの川上に、海外での治療費を提供する。さらに、平場さくら(小池栄子)と出会った摩耶。さくらの希望に応じて冷蔵庫と、夫のまさる(ピエール瀧)が箱庭協会会長に就任するための資金を提供する。次に、摩耶は養魚試験場で働く保利満(小澤征悦)の元を訪れる。漁業の研究を続ける保利は、摩耶に資金提供を求める。だが、保利が中国系美女を伴って高級ホテルの一室へ入ろうとすると、摩耶が現れ、女を追い返してしまう。そんな摩耶に、保利のために女を手配した溝口(仲村トオル)という男が、邪魔をするなと警告する。摩耶には、病院で寝たきりのまま、意識のない母がいた。その見舞いに向かう途中、尾行してきたサキに大金の出所を問い詰められる。自分のアパートへ向かった摩耶は、押入れからバケツを取り出して、彼女に差し出す。そこに入っていたのは、5個の金塊。“もう私の全財産、サキに残しておいたの”果たして、摩耶のお金の出所は?大金を差し出す彼女の意図とは?摩耶からお金を受け取った友人たちの夢や希望の結末は……?




13-27. 近松物語

監督 溝口健二
出演 長谷川一夫香川京子進藤英太郎小沢栄太郎南田洋子
1954年 (大映) 102分

解説
近松門左衛門作の 「大経師昔暦」 を川口松太郎が劇化(オール読物所載 「おさん茂兵衛」 )し、それをもととして 「忠臣蔵(1954)」 の依田義賢が脚本を執筆、 「噂の女」 の溝口健二が監督に当る。撮影も同じく宮川一夫で、音楽は 「千姫(1954)」 の早坂文雄の担当。出演者は 「銭形平次捕物控 幽霊大名」 の長谷川一夫、 「母の初恋」 の香川京子、 「君待船」 の南田洋子、 「新しき天」 の小沢栄の外、進藤英太郎、田中春男など。

ストーリー
京烏丸四条の大経師内匠は、宮中の経巻表装を職とし、町人ながら名字帯刀も許され、御所の役人と同じ格式を持っていた。傍ら毎年の暦の刊行権を持ちその収入も大きかった。当代の以春はその地位格式財力を鼻にかけて傲岸不遜の振舞が多かった。その二度目の若い妻おさんは、外見幸福そうだったが何とか物足らぬ気持で日を送っていた。おさんの兄道喜は借金の利子の支払いに困って、遂にその始末をおさんに泣きついた。金銭に関してはきびしい以春には冷く断わられ、止むなくおさんは手代茂兵衛に相談した。彼の目当ては内証で主人の印判を用い、取引先から暫く借りておこうというのであった。だがそれが主手代の助右衛門に見つかった。彼はいさぎよく以春にわびたが、おさんのことは口に出さず、飽く迄以春に追及された。ところがかねがね茂兵衛に思いを寄せていた女中のお玉が心中立に罪を買って出た。だが以前からお玉を口説いていた以春の怒りは倍加して、茂兵衛を空屋に檻禁した。お玉はおさんに以春が夜になると屋根伝いに寝所へ通ってくることを打明けた。憤慨したおさんは、一策を案じて、その夜お玉と寝所をとりかえてねた。ところが意外にもその夜その部屋にやって来たのは茂兵衛であった。彼はお玉へ一言礼を云いにきたのだが、思いも寄らずそこにおさんを見出し、而も運悪く助右衛門に見つけられて不義よ密通よと騒がれた。遂に二人はそこを逃げ出した。琵琶湖畔で茂兵衛はおさんに激しい思慕を打明けここに二人は強く結ばれ、以後役人の手を逃れつつも愛情を深めて行った。以春は大経師の家を傷つけることを恐れて懸命におさんを求めた。だがおさんにはもう決して彼の家へ戻る気持はなかった。大経師の家は、こうして不義者を出したかどで取りつぶしになった。だが一方、罪に問われて刑場へと連れられるおさんと茂兵衛、しかしその表情の何と幸福そうなこと−−。





13-28. 沈まぬ太陽

監督 若松節朗
出演 渡辺謙三浦友和松雪泰子鈴木京香石坂浩二
2009年 (東宝) 202分

解説
白い巨塔」 などで知られる国民的作家・山崎豊子の同名小説を渡辺謙主演で映画化。昭和40〜60年代という激動の時代を舞台に、会社のために心血を注ぐ男のドラマが描かれる。

ストーリー
昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元(渡辺謙)は、労働組合委員長として職場環境の改善に取り組んでいた。だがその結果、恩地は懲罰人事ともいえる海外赴任命令を会社から言い渡される。カラチ、テヘラン、ケニア……。終わりなき僻地への辞令が続く間、会社は帰国をちらつかせ、恩地に組合からの脱退を促すのだった。そんな中、共に闘った同期の行天四郎(三浦友和)は、早々に組合を抜け、エリートコースを歩み始めていた。同僚でありながら行天の愛人の国際線客室乗務員・三井美樹(松雪泰子)は、対照的な人生を歩む二人を冷静に見続ける。行天の裏切り、更に妻・りつ子(鈴木京香)ら家族との長年にわたる離れ離れの生活によって、恩地は焦燥感と孤独感に襲われる日々を送っていた……。十年に及ぶ僻地での不遇な海外勤務に耐え、恩地は漸く帰国、本社への復帰を果たすが、恩地への待遇が変わることはなかった。そんな逆境の日々の中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こる。想像を絶する犠牲者の数。現地対策本部に配属された恩地は、救援隊として現場に赴き遺族係を命ぜられるが、そこで様々な悲劇を目の当たりにする。政府は組織の建て直しを図るべく、国民航空新会長に国見正之(石坂浩二)の就任を要請。恩地は、国見にかつての労働組合をまとめた手腕を買われ、新設された会長室の部長に任命される。事故によって失墜した会社の再建に尽力する国見と恩地。しかし、その実直な姿勢は、国民航空と政界との癒着構造を浮き彫りにしていくのであった……。




13-29. サラリーマン忠臣蔵

監督 杉江敏男
出演 森繁久彌久慈あさみ夏木陽介池部良新珠三千代
1960年 (東宝) 100分

解説
東宝サラリーマン映画一〇〇本記念。 「秋立ちぬ」 の笠原良三の脚本を、 「ああ女難」 の杉江敏男が監督した。撮影は 「お姐ちゃんはツイてるぜ」 の完倉泰一。

ストーリー
丸菱コンツェルンでは、同財閥で招待したアメリカ経済使節団の到着を明後日にひかえ、その準備に大わらわだった。本社では足利直義会長を中心に、赤穂産業社長浅野卓巳、丸菱銀行頭取吉良剛之介、若狭金属社長桃井和雄ら十八社の社長たちが集った。接待委員長吉良と委員桃井は贈物のことで論争し、浅野になだめられた。その夜、浅野はヨーロッパに出張する専務大石良雄の壮行会に出席した。席には浅野の愛人で芸者の加代次も加わった。帳場では秘書早野寛平と専務の運転手寺岡平太郎が待っていた。寛平には寺岡の妹でタイピストの隆子という恋人がいた。会が終って大石は浅野と懇談し、加代次との結婚をすすめた。若狭金属の角川専務は、桃川社長が吉良と口論したのを聞き、会社に災難がふりかかるのを思って吉良に彼の秘書伴内を通じて時価三百万円のヒスイを献上した。吉良はご満悦、が、加代次が浅野を好きだと知って、浅野を憎んだ。使節団がきた−−式場に遅れてきた浅野を吉良は罵倒した。こらえかねた浅野は松のロビーで吉良を殴打した。浅野は接待委員をクビになり、足利会長から謹慎を命じられた。傷心の浅野は会場を出て自動車事故で急死した。赤穂産業の後任に吉良が乗りこみ、小野寺部長、吉田課長は左遷され社内の空気は一変した。そこへ帰国した大石は何故かバー祇園にいりびたりだった。血気にはやる社員の堀部安子。赤垣、竹林、磯貝らは怒った。早野は辞表を出した。大石のしてきた契約は吉良が破棄した。大石は息子力と大野常務の娘小奈美との縁談を吉良に妨害されて遂に腹をきめた。外国商社との契約を個人契約に切換え、新会社設立にふみきった。吉良社長就任披露宴の席に、大石は小野寺、吉田、原、吉岡らとともに、吉良に辞表をたたきつけた。




13-30. 雲霧仁左衛門

監督 五社英雄
出演 仲代達矢岩下志麻長門裕之あおい輝彦倍賞美津子
1978年 (松竹) 160分

解説
非情な武家組織に追われて盗賊と化した男と、彼に熾烈な闘争を挑む火付盗賊改めの姿を描く、池波正太郎原作の同名小説の映画化。脚本は 「影狩り」 の池上金男、監督は 「暴力街(1974)」 の五社英雄、撮影は 「愛情の設計」 の小杉正雄がそれぞれ担当。

ストーリー
享保七年頃、江戸では豪商富商が次々と襲われ大金を奪われる事件が頻繁に発生していた。強力な犯罪取締りの権限をもつ火付盗賊改め長官・安部式部は、怪盗雲霧一味の捜査に全力を傾注していたが手がかりは掴めなかった。ある晩、雲霧一味は式部の裏をかき、まんまと油問屋武蔵屋を襲う。事前に一味を武蔵屋に配し、金のありかを探知したところで根こそぎかっさらい、姿をくらました雲霧の名は一段と広まり、式部のいらだちは増していった。雲霧仁左衛門は、十年程前、公金横領の罪をかぶせ、家を焼き払ったうえ、許婚者の志乃まで奪った重臣たちへの怨念をはらすべく、天下の法に戦いを挑んでいたのであった。泥棒稼業から足を洗おうとしていた雲霧は最後の仕事として、尾張屈指の呉服商、松屋を狙う。一方、雲霧一味の動きを探知した式部も部下の山田や千秋ら腹心を従えて一味を追った。また、侍にしてもらう代償として、雲霧を捕える事を要求されていた富の市も、式部とは別に雲霧を追っていた。その頃松屋では、千代が店に入り込み人気を集め、主人の松屋吉兵衛は彼女を後妻にむかえようとする。松屋襲撃の日、火付盗賊改めも続々と尾張へ集まり、雲霧の動きを待った。雲霧一味は音もたてずに松屋に侵入し、金蔵を破り、金箱を舟に積み込んだ。最後の一箱を積み終えた時、突然対岸に火付盗賊改めが現れ、血みどろの死闘が始まる。夜が明けて戦いは終わったが、吉五郎をはじめ雲霧一味は殆が捕えられるか斬殺された。しかし、その中に雲霧の姿がなかったため、式部は雲霧捕縛に追求の手をゆるめなかった。そんな時、蔵之助が弟の身替りとなって、自首してくる。雲霧は兄の仇と己の怨みを晴らすべく、単身で尾張藩主継友、家老荒木十太夫を襲った。しかし、そこで雲霧は十年ぶりに再会した志乃から、継友の息子松寿丸は雲霧の子供であった事実を明かされ、驚愕する。志乃はそれを告げて果てた。そして秋、江戸広徳寺に式部が建てた雲霧の石塔の前で隠世姿の式部と僧姿の雲霧が、手向けの水と真白な花を各々携えてすれ違った。おたがいの心を輝く瞳の中にひめながら、激しく燃えた男同士の戦いは、ここに幕を閉じたのであった。





13-31. 天と地と

監督 角川春樹
出演 榎木孝明津川雅彦浅野温子財前直見野村宏伸
1990年 (東映) 119分

解説
戦国時代を背景に、上杉謙信と武田信玄との対決を描く時代劇。海音寺潮五郎原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は 「キャバレー」 の角川春樹。共同脚本は 「いこかもどろか」 の鎌田敏夫と 「オイディプスの刃」 の吉原勲。撮影監督は 「スウィートホーム」 の前田米造がそれぞれ担当。

ストーリー
天文十七年(一五四八年)時は戦国下克上、家臣が主人を倒し、内親同士で相争う乱世の只中、遠く都を離れた北国、越後でも新たな戦いが始まろうとしていた。守護代の位にありながら政務をおざなりにした兄・長尾晴景を討つべく、弟景虎が兵を挙げたのだ。仏教、特に刀八毘沙門天を厚く信仰する景虎は、戦場では軍神の如き冷徹な攻撃ぶりをみせる一方、内心では血を分けた兄に弓をひいた事に対する後悔の念に捉われていた。幼少時より景虎に仕えてきた軍師宇佐美定行は、その迷いを見抜き「乱世の運命からは遁れられぬ」と説くのだった。ある日、景虎は宇佐美の娘であり幼なじみの乃美と十年振りに再会する。日々合戦にあけくれる景虎にとって、乃美とすごす時は安らぎであった。乃美も景虎の身を案じて『龍』の文字の入った陣羽織を贈る。互いに思慕の情が湧くが、乃美の嫁入りという運命がふたりを引き裂いていった。同じ頃、険しい山々に囲まれた甲斐の国で上洛を果たさんと野望を胸に抱く武将がいた。守護大名武田晴信、後の信玄である。息子の太郎義信、側室で女騎馬隊を率いる八重、軍師山本勘介をはじめ屈強の家臣を持つ晴信は、着実に勢力を拡大していた。肥沃な奥信濃は、土地のやせている甲絞にとって是非とも手中に収めたい土地だった。晴信は北上し攻撃を開始する。追われた信濃の領主達は、隣国越後に失地回復を嘆願し、景虎との対決がそう遠くない事を予感していた。景虎はかつての主であった長尾家を裏切り、武田軍の役立てで越後を侵略しようとした昭田常陸介を倒すために兵を挙げる。昭田妻子を捕慮として捉え、城を包囲し降伏を迫るが昭田は景虎の使者を斬り捨て篭城する。宇佐美は覚悟のほどを見せるために妻子を討てと進言するが、景虎は非情になり切れずにためらう。いら立つ宇佐美が首をはね、昭田を陥落させたが、景虎の心には一国の主としての己のありかたに対する疑念が湧く。毘沙堂で真言を唱えながら苦悩する景虎。数日後、景虎は城を捨て、修行僧に姿を変え放浪の旅に出る。後を追う家臣達と雪深い信濃峠で再会するが、偶然にも晴信一行に出くわす。修行僧の姿で頭を下げる景虎たちのもとへ木の枝から落ちた雪の音に驚いた八重の馬が暴走し、杖で制しようとした景虎を成敗しようと斬りかかる太郎義信。その刃から主人をかばい馬廻りの戸倉弥八郎が殺されてしまう。武田側の無礼になすすべもなかった景虎は憤怒に震えながら、武田陣を討たんと決意するのだった。早春の夜、琵琶島城の宇佐美を二人の男が訪ねてきた。甲斐に走った大熊朝秀と武田の名軍師山本勘介だった。こうした会談の場をもったこと自体が、すでに武田に款を通じた証拠と、強弁する勘介の気迫に宇佐美は圧倒されるのだった。そのころ武田勢が甲府を進発したという報が春日山城に届いた。こうして景虎は川中島で死守する態勢をとるのだった。決戦の場、川中島で両雄はついに陣を構えた。景虎側と武田側とが激突し、乱戦を展開する。景虎はそこで武田の士気を挫き、戦国武将として成長してゆくのだった。無念の武田軍団が戦場を去って行く中、衝撃的な報が景虎の本陣に入った。武田の間者が宇佐美の謀叛を示す書状を持って捕まったのだ。心の隙を衝かれた宇佐美は自らの落ち度を認めて景虎と槍で果たし会い討たれるのだった。永禄四年秋、景虎は上杉謙信と改名し、晴信も武田信玄となった。そして両者は再び川中島にて、鬼神のごとく激突するのだった。




13-32. ビルマの竪琴

監督 市川崑
出演 石坂浩二中井貴一川谷拓三渡辺篤史小林稔侍
1985年 (東宝) 133分

解説
日本兵の霊を慰めるため、僧侶となってひとりビルマの地に残る兵士の姿を描く。竹山道雄の同名小説の29年ぶりの再映画化。脚本、和田夏十、監督、市川崑は前作と同じコンビ。撮影は 「あゝ野麦峠・新緑篇」 の小林節雄がそれぞれ担当。

ストーリー
一九四五年夏、ビルマ戦線の日本軍はタイ国へと苦難の撤退を続けていた。そんな逃避行の最中、手製の堅琴に合わせて「はにうの宿」を合唱する一部隊がいた。井上小隊長が兵士の心をいやすため、歌を教えこんだのである。堅琴で判奏するのは水島上等兵であった。小隊は国境近くまで来たところで終戦を知り、武器を棄てて投降した。彼らは南のムドンに護送されることになったが、水島だけは附近の三角山で、抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため隊を離れて行った。小隊はムドンで労務作業に服していたが、ある時、青いオウムを肩に乗せた水島そっくりの僧とすれ違った。彼らは僧を呼び止めたが、僧は一言も返さず歩み去って行った。三角山の戦いの後ムドンへ向かった水島は、道々、無数の日本兵の死体と出会い、愕然としたのである。そして自分だけが帰国することに心を痛め、日本兵の霊を慰めるために僧となってこの地に止まろうと決意し、白骨を葬って巡礼の旅を続けていたのだ。物売りの話から、井上はおおよその事情を推察した。彼はもう一羽のオウムを譲りうけ、「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ」と日本語を覚えこませる。数日後、小隊が森の中で合唱をしていると、大仏の臥像の胎内にいた水島がそれを聞きつけ、思わず夢中で堅琴を弾き始めた。兵士たちは大仏の鉄扉を開けよとするが、水島はそれを拒んでしまう。その夜、三日後に帰国することが決まり、一同は水島も引き連れようと毎日合唱した。井上は日本語を覚えこませたオウムを水島に渡してくれるよう、物売りの老婆に頼んだ。出発の前日、水島がとうとう皆の前に姿をあらわした。収容所の柵越しに、兵士たちは合唱し、一緒に帰ろうと呼びかけるが、水島は黙ってうなだれ、「仰げば尊し」を弾奏した。そして、森の中へ去って行く。翌日、帰国の途につく井上のもとへ、オウムが届いた。オウムは「アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ」と叫ぶのだった。




13-33. 大奥 永遠 右衛門佐・綱吉篇

監督 金子文紀
出演 堺雅人菅野美穂尾野真千子柄本佑要潤
2012年 (松竹=アスミック・エース) 124分

解説
謎の疫病の影響で、男女の役割が逆転した架空の江戸時代を舞台に、女将軍と彼女に仕える男たちの愛と野望のドラマが展開する大胆な設定のドラマ 「大奥」 の続編。前作の八代将軍・吉宗の時代からさかのぼり、五代将軍・綱吉の時代を背景に、世継ぎ作りを余儀なくされた女将軍と、大奥内で権勢と富を得ていく右衛門佐の姿が描かれる。

ストーリー
男女逆転の世が誕生した三代将軍家光の時代から30年。時は元禄、才能と美貌を備えた五代将軍綱吉(菅野美穂)の時代。徳川の治世は最盛期を迎えていたが、大奥では後継者を巡って正室と側室の激しい派閥争いが起こっていた。そこに、貧しい公家の出身ながらも並外れた才気を認められ、京から右衛門佐(堺雅人)という男が大奥入りを果たす。やがて右衛門佐は、類いまれなる野心と才覚で巧みに綱吉に取り入り、総取締として大奥での権勢を掌中に収めていった。一方、一人娘の松姫を亡くした綱吉は、政から遠ざけられ世継ぎ作りに専念。だが、夜ごと大奥の男たちと閨を共にするが一向に懐妊しない綱吉は、陰謀渦巻く大奥で孤独と不安に苛まれていく。妄執にとらわれた父・桂昌院(西田敏行)に従い“生類憐みの令”を発令するも、国は乱れていくばかり。そんな中、運命に翻弄され、生きる気力をも失った綱吉に手を差し伸べたのは、人知れず綱吉を見守り続けていた右衛門佐だった。出逢いから数十年。愛よりも権力に生きたかった男と、徳川家という宿命に生きる定めを負った女将軍が手を取り合う。果たして世の中は、再び天下泰平を取り戻すことができるのか……。





13-34. ピンポン

監督 曽利文彦
出演 窪塚洋介井浦新サム・リー中村獅童大倉孝二
2002年 (アスミック・エース) 114分

解説
松本大洋の人気コミックを映画化した青春群像劇。卓球に打ち込む男子高校生の友情と苦悩を描き出す。個性的な登場人物5人の生き方が、いずれも熱くせつない。

ストーリー
卓球をこよなく愛し、勝つことへの絶対的な自信を持ちながら天真爛漫で気分屋のペコ(窪塚洋介)と、常に彼の背後に隠れ、「卓球は死ぬまでの暇潰し」と公言するクールで笑わないスマイル(ARATA)。幼なじみであり片瀬高校の卓球部員でもあるふたりは、夏のインターハイ地区予選大会に出場する。スマイルは、辻堂学院高校に中国から留学してきたチャイナ(サム・リー)と接戦の末に敗れる。ペコは、やはり幼なじみで名門・海王学園に進んだアクマ(大倉孝二)に、まさかの敗退。その時、顧問の小泉(竹中直人)に卓球の天賦の才能を見出されたスマイルは、小泉の指導の下、めきめきとその頭角を現わしていく。一方、アクマに敗れたこととスマイルの変貌を目の当たりにして腐っていたペコだが、ホームグラウンドである卓球場タムラの主人・オババの特訓を受け、じょじょに自信を取り戻してゆく。そして二度目の夏、ペコはチャイナに勝ち、強敵ドラゴン(中村獅童)も破り、決勝戦の相手はスマイルだった。数年後、予選大会で2位だったスマイルは社会人となり、優勝したペコは今や日本代表として世界と戦っていた。





13-35. 待ち伏せ

監督 稲垣浩
出演 三船敏郎石原裕次郎勝新太郎萬屋錦之介浅丘ルリ子
1970年 (東宝) 117分

解説
小国英雄、 「女賭博師壷くらべ」 の高岩肇、 「女組長」 の宮川一郎、それに 「風林火山」 の稲垣浩(藤木弓は稲垣監督のペンネーム)の四人が脚本を共同執筆、稲垣浩が監督した時代劇。撮影は 「幕末」 の山田一夫が担当。

ストーリー
物情騒然としてきた天保年間、幕府の陰謀、策略が日夜企てられ、暗躍していた。ここ、人里離れた三州峠に偶然なのか、申し合わせなのか、にわかに人が集まってきた。まず、“からす”と呼ばれる謎の武士に金で買われた鎬刀三郎という用心棒風の男。彼はある密命をうけていたが、それが何であるかは全く知らなかった。三郎は途中、風来の女おくにを助け、峠のふもとにある一軒の茶屋に預けた。その茶屋には明るい田舎娘のお雪、強欲な老主人の徳兵衛、それに玄哲と名乗る無気味な医者くずれが同居していた。そして渡世人の弥太郎が足をとめた。さらに血だらけの男が二人、一人は狙った獲物は必ず射止めるという追跡役人の伊吹兵馬で、その縄にかけられているのは盗人の辰であった。三郎と弥太郎が茶屋を出たあと、五、六人の凶悪者が押し入り、伊吹らをおそった。茶屋は一瞬にして恐怖と化し、連中は辰から何か伝言を聞き出すと容赦なく斬り捨て、伊吹ら四人を人質にした。この盗賊の首領は何と意外にも同居人の玄哲ではないか。そこへ、三郎が他の凶悪者に捕えられて入ってきた。三郎の持っていた、一通の密書を見た玄哲は三郎が仲間であることを知り、水野越前守の命で、三州峠を通る御用金を掠奪し、松本藩をつぶすためだと話した。ところが、その命を下した“からす”から「玄哲を斬れ」という密書が三郎に届いた。実は御用金などというのは真赤な嘘で、水野の弱みを握る玄哲を抹殺するという“からす”の大芝居だったのだ。“からす”の差し向けた囮の行列が近づいてきた。弥太郎が率いる陣屋の捕手もかけつけた。策略を知った三郎の止めるのをふりきって、玄哲は一目散に砂袋をつんだ行列の中へ斬り込んだ。だが裏切られ、野望をくだかれた玄哲は追手をのがれ、自ら死を選んだ。もはや、三郎には、一人私腹を肥やす“からす”は許すまじき存在であった。“からす”の一行を待ち伏せた三郎は、その胸元に剣尖を走らせた。




13-36. <39>刑法第三十九条

監督 森田芳光
出演 鈴木京香堤真一岸部一徳杉浦直樹樹木希林
1999年 (松竹) 133分

解説
謎に満ちた猟奇的殺人事件の容疑者の精神鑑定に、女性精神医が挑む法廷サスペンス。監督は 「失楽園」 の森田芳光。鈴木光と大森寿美男による原案と永井泰宇による原作を基に、 「お墓がない!」 の大森寿美男が脚本を執筆。撮影を 「キリコの風景」 の高瀬比呂志が担当している。主演は、 「ベル・エポック」 の鈴木京香と 「アンラッキー・モンキー」 の堤真一。第49回ベルリン国際映画祭コンペ部門正式出品作品。

ストーリー
大学で心理学の研究をしている精神鑑定人の小川香深は、精神医学者の藤代の助手として、司法精神鑑定に参加することになった。事件の容疑者である劇団員の柴田真樹は、雑司ヶ谷に住む若い夫婦・畑田修と恵を殺害した罪で逮捕、告訴されており、本人は大筋で罪を認めているものの犯行当時の記憶がなく殺意を否認。そこで、刑法第三十九条により無罪を主張する国選弁護人・長村が被告の精神鑑定を請求したのだ。藤代と共に拘置所を訪れた香深は、初めは藤代の横で記録を取るだけだったが、次第に彼の経歴について質問を浴びせるようになる。そんなある日、香深たちの前で柴田にもうひとりの人格が現れた。どうやら、彼は子供の頃に父親から受けた虐待によって、多重人格症になっていたのだ。しかも戦闘的なその人格は、柴田と違って左利き。畑田を殺害した犯人も左利きであったことなどから、藤代は法廷で柴田は犯行時には精神が解離状態で心神喪失していたと鑑定する。ところが、香深は藤代と違い柴田は詐病であるとの結論を出していた。そのことを裁判長に申し立てた香深。訴えを聞き入れられ再鑑定を任されることになった彼女は、柴田には畑田を殺害する動機がないことから、畑田自身の経歴を探っていくうち、彼が少年時代に工藤温子という少女を強姦の末、殺害した過去があったことを知る。だが彼は未成年であり、犯行当時心神喪失状態にあったとして刑法第三十九条により裁かれてはいなかった。その事件に注目した香深は、少女の家族でたったひとりの生存者である兄・工藤啓輔の行方を追って、刑事の名越と共に門司へ飛んだ。そこで香深は工藤啓輔とその妻の実可子と会うも、しかし柴田が本当の工藤啓輔でないかと疑いを強める。果たして、香深の読み通り門司の工藤啓輔は贋者だった。実は、今回の事件は柴田こと工藤啓輔が恋人の実可子と共謀して、殺された妹の復讐を果たしたのだ。全ては用意周到に準備され、工藤は刑法第三十九条を逆手に取り、心神喪失で無罪になる筋書きを書いていた。しかし、結局彼らの計画は香深によって全貌が明らかにされてしまう。法廷で工藤は訴える。「私が本当に凶器を突き刺したかったのは、刑法第三十九条だった」と。




13-37. 幕末

監督 伊藤大輔
出演 中村錦之助三船敏郎吉永小百合仲代達矢小林桂樹
1970年 (東宝) 120分

解説
300年余に及んだ徳川幕府の武家政治に終止符を打ち、大政奉還への道を拓いた維新の若者たちの活躍を、坂本龍馬を中心に描き出している。原案を司馬遼太郎「竜馬がゆく」、資料を平尾道雄の「海援隊始末記」に求め、名匠・伊藤大輔が自ら脚本を執筆。錦之助の龍馬像については、2年前に歌舞伎座の舞台公演において、同じ伊藤大輔脚本・演出で好評を博しての映画化であった。松竹の「祇園祭」(1968)以来、実質2本目の中村プロダクション作品。

ストーリー
三百年にわたる徳川幕府を倒し、新しい日本の未来を夢見て薩摩も長州も「勤王倒幕」の旗印のもと、お互いに主導権争いで対立を続けていた。その頃、土佐では武市半平太(仲谷)や中岡慎太郎(仲代)らが「土佐勤王党」を結成し、藩の重役たちを説得しようと努力を重ねていたが、坂本龍馬(中村)は土佐に愛想をつかして脱藩を決意、江戸に向かった。そして慎太郎は長州へ。幕臣でありながら開国論者であった軍艦奉行・勝海舟(神山)を良く思っていない龍馬は、勝を斬りに向かうが、勝の一言一句に心を打たれ、弟子入りしてしまう。開国にあたって諸外国と対等に渡り合うには船が重要と考えていた龍馬は、勝の世話で長崎亀山社中(海援隊)の頭領として海運業を始めた。薩摩と長州が和解しない限り、天下の大勢は決しない。龍馬と慎太郎は薩摩の西郷吉之助(小林)、長州の桂小五郎(御木本)を説得し会合を持った。意地の張り合いを龍馬が取り持って、ようやく薩長同盟が締結される。龍馬の動きは幕府に知られ、寺田屋で襲われるが、薩摩邸に逃れ一命をとり止める。西郷の計らいで寺田屋の養女・お良(吉永)と薩摩の温泉に療養に出掛け、平穏な日々を過ごした。土佐の家老・後藤象二郎(三船)が龍馬を訪ね、藩を救う方法がないかと聞く。龍馬は、土佐藩主・山内容堂の名において、将軍・慶喜に幕府の政権を帝に返納することを提案。見事、大政奉還が実現した。龍馬の大仕事は終わり、近江屋で慎太郎と民主主義について語り合っていたそのとき、刺客の凶刃がふたりの命を奪い去っていった。




13-38. 難波金融伝 ミナミの帝王 劇場版PART 5 甘い罠

監督 萩庭貞明
出演 竹内力大森嘉之竹井みどり可愛かずみ結城哲也
1995年 (ケイエスエス) 80分

解説
ヒットを続ける金融コメディの劇場版シリーズ第5弾は、バブル崩壊後に台頭してきた悪質な不動産屋と競売屋に、おなじみ“萬田銀行”の面々が戦いを挑む。監督は「とられてたまるか!?」の萩庭貞明が、西村昭五郎に代わって再登板。撮影はシリーズを手がけている三好和宏。主演・竹内力の敵役に「第三の極道」の川谷拓三が出演している。スーパー16ミリ。1995年1月14日大阪ホクテンザ1にて先行上映。

ストーリー
親から受け継いだビルを抵当に借金を重ねては遊びまくっている放蕩青年・志垣は、「東洋ファイナンス」への借金を返済するため、まもなく競売にかけられる林田ビルに入っているスナックのママと共謀して、梅子の先輩オカマ・花江を騙し、まんまと1000万円を手に入れた。しかし、それだけでは返済金額に充たないらしく、志垣のビルもとうとう借金のかたに競売にかけられることになってしまった。一方、「萬田銀行」の方でも志垣には多額の貸金をしており、抵当のビルを差し押さえられてはどうしようもなく、なんとかそれを阻止しようとしていた。ところが、林田ビルの一件を調査していた萬田銀行の面々は、そのビルを超安値で落札した「KYOEIエンタープライズ」が、東洋ファイナンスのダミー会社であることをつきとめ、しかも東洋ファイナンスが悪質な“競売屋”であることも知るのであった。花江のこともあった萬田銀次郎は、ついに東洋ファイナンスを潰すために立ち上がる。行方不明になっていた志垣を探し出し、ビルが差し押さえられる前の日付の短期賃貸契約書にサインさせる銀次郎。その内容は、1カ月100円の賃貸料で3年の契約というものだった。そんなこととは知らない東洋ファイナンス社長・奥村は、競売で志垣のビルを落札。それをまた高額で転売しようと、KYOEIエンタープライズの桜木と企んでいた。だが、銀次郎によって短期賃貸契約の存在を知らされた奥村は、3年という短期賃貸契約の場合、ビルのオーナーが変わっても住民は立ち退かなくていいという法律に愕然となってしまう。賃貸料をビルの維持費から差し引くと、とんでもない赤字になってしまうのだ。そんな奥村を見て、銀次郎は契約書を1億で売ってやると持ちかけた。こうして志垣からの借金も、花江の騙された1000万円も回収した銀次郎は、仲間たちと夜のミナミへと繰り出して行くのであった。...




13-39. 日本の黒い夏 冤罪

監督 熊井啓
出演 中井貴一寺尾聰細川直美遠野凪子北村有起哉
2000年 (日活) 119分

解説
社会派の名匠・熊井啓が、松本サリン事件の真実に肉薄した意欲作。高校生がTV局に取材するという回想形式によって、警察捜査やマスコミ報道の問題点をえぐり出す。

ストーリー
1995年初夏、松本市。高校の放送部に所属するエミとヒロは、一年前に起きた“松本サリン事件”での一連の冤罪報道を検証するドキュメンタリー・ヴィデオを制作していた。ふたりが訪れたのは地元のローカル・テレビ局。この放送局以外、どこも協力的ではなかったのだ。さて、局では報道部長の笹野と彼の部下で記者の花沢、浅川、野田がふたりのインタビューに答えてくれた。彼らは、事件当時の取材の様子を回想する。それは、閑静な住宅街で突然起こった死傷者を多数出した有毒ガス事件だった。翌日、警察は事件の被害者であり、第一通報者でもある神戸俊夫の自宅を容疑者不詳のまま殺人容疑で家宅捜査し、数種類の薬品を押収。その中から青酸カリが見つかったことから、神戸が薬品の調合ミスを犯して有毒ガスを発生させたとのではないか、という見解を示した。一方、スクープが欲しいマスコミ各社は、裏が取れていないにもかかわらず、警察情報として神戸が犯人であるかのように受け取れる報道を開始。更に、それを鵜呑みにした視聴者は神戸一家を迫害し始めた。もはや、神戸が犯人であることを誰もが信じて疑わなかった。事件で意識不明となった妻を抱え、自らも幻覚幻聴に悩む神戸は戸惑いを隠せない。ただ、笹野だけはあくまで裏が取れていないという理由から、神戸容疑者報道を控えていたが、彼にも視聴率を取りたい上司から圧力がかかり、視聴者や番組のスポンサーからもクレームが寄せられていた。やがて、有毒ガスはサリンであることが判明した。しかも、サリンは一サラリーマンの家庭で作られるようなものではないことも分かる。そんな中、あるカルト集団の影が捜査線上に浮上してくる。しかし、警察上層部は捜査結果を無視して、見込み捜査と情報操作を押し進めようとするばかり。そして3月、東京で地下鉄サリン事件が発生してしまうのである。話を聞き、幻滅するエミたち。笹野は、そんな彼らに報道する“目”、あるいはそれを受け取る“目”を期待していきたいと言った。とそこへ、カルト集団がサリン事件の犯行を認めたとの配信が届く。その後、笹野は容疑の晴れた神戸の特番を制作、番組は反響を呼んだ。




13-40. 赤線地帯

監督 溝口健二
出演 若尾文子三益愛子町田博子京マチ子木暮実千代
1956年 (大映) 85分

解説
「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」 の共同脚色者の一人、成澤昌茂の脚本を、 「新・平家物語」 の溝口健二が監督、 「俺は藤吉郎」 の宮川一夫が撮影を担当した。主なる出演者は 「虹いくたび」 の若尾文子、京マチ子、川上康子、 「母ふたり」 の三益愛子、 「幸福はあの星の下に」 の木暮実千代、 「大当り男一代」 の進藤英太郎、 「東京犯罪地図」 の菅原謙二、 「剣豪二刀流」 の加東大介など。

ストーリー
特飲店「夢の里」には一人息子修一のために働くゆめ子、汚職で入獄した父の保釈金のために身を落したやすみ、失業の夫をもつ通い娼婦のハナエ、元黒人兵のオンリーだったミッキーなどがいた。国会には売春禁止法案が上提されていた。「夢の里」の主人田谷は、法案が通れば娼婦は監獄へ入れられるといって彼女等を失望させた。新聞を読んで前借が無効になったと考えたより江は世帯道具を持ってなじみ客の下駄屋の許へ飛び出したが、結局自堕落な生活にまた舞い戻ってくるのであった。ゆめ子は息子修一に会うために田舎へ行ったが、修一は親子の縁をきって東京に来ていた。ある雨の降る日、しず子という下働きの少女が「夢の里」に入って来た。ミッキーのおごりで無心に天丼をたべるしず子の瞳をみつめていたゆめ子が突然、修一の名を呼びながら発狂した。その夜、やすみにだまされたと知った炭屋の青木がやすみの首をしめた。やすみは死に損なったが、青木は宮崎巡査に連行された。ゆめ子が病院に送られる頃、ラジオは法案の四度目の流産を報じていた。そして今日も「夢の里」には、何ごともなかったように、ネオンの下で客呼びの声が聞える。やすみの姿が見えないのは、彼女のなじみ客だった貸ぶとん屋ニコニコ堂主人の塩見が夜逃げしたあと、そこを買いとって女主人になってしまったからである。そしてやすみに代って、下働きだったしず子が、威勢よく客呼びするミッキーの蔭で初店の盛装をこらして、しょんぼり立っていた。




13-41. カノジョは嘘を愛しすぎてる

監督 小泉徳宏
出演 佐藤健大原櫻子三浦翔平窪田正孝水田航生
2013年 (東宝) 117分

解説
青木琴美の同名コミックを佐藤健主演で映画化したラブストーリー。元バンドマンのサウンドクリエーターと、バンド好きの女子高生とのせつない愛の行方をつづる。ヒロインの理子を演じるのは、約5000人の中から選ばれた新鋭、大原櫻子。監督は 「タイヨウのうた」 でデビュー直後のYUIをブレイクさせた小泉徳宏。

ストーリー
同じ高校の同級生だった坂口瞬(三浦翔平)、大野薫(水田航生)、小笠原秋(佐藤健)、矢崎哲平(浅香航大)の4名で結成されたバンド「CRUDE PLAY」は、高校卒業と同時にメジャーデビューを果たすが、デビュー直前で小笠原秋が突如脱退、新メンバーとして1学年下の篠原心也(窪田正孝)が加入し、現在の音楽シーンではトップクラスの人気を誇っている。一方、「CRUDE PLAY」脱退後、サウンドクリエイターとして活躍する秋は、今も彼らへの楽曲提供は続けているものの、ビジネスとしての音楽の世界に嫌気が差し、自分の現状にもつまらなさを感じていた。そんな中、秋は「CRUDE PLAY」の大ファンの女子高生・小枝理子(大原櫻子)に、気まぐれで声を掛ける。秋の正体を知らぬまま、彼の唄う鼻歌に聞き惚れ、秋自身にも一目惚れした理子。秋は、自分の正体を告げぬまま、理子と付き合い始めるのだった……。クラスメイトとバンドを組み、ボーカルとギターを担当している理子は、魅力的な声を持っていた。ある日、「CRUDE PLAY」をデビューさせた音楽プロデューサー・高樹総一郎(反町隆史)が、そんな理子の歌声に惚れ、彼女をスカウトする。やがて理子の夢の実現が近づくにつれ、秋と理子の嘘から始まった恋が大きく動き出していく……。




13-42. 春琴抄

監督 西河克己
出演 山口百恵三浦友和中村竹弥風見章子井原千鶴子
1976年 (東宝) 97分

解説
文豪谷崎潤一郎の原作をもとに、琴の名手・春琴と下男・佐助の愛を描く純愛ドラマの五度目の映画化。脚本は衣笠貞之助と西河克己の共同、監督は 「どんぐりッ子」 の西河克己、撮影も同作の萩原憲治がそれぞれ担当。

ストーリー
明治のはじめの大阪道修町。軒をならべてにぎわう薬種問屋。その中の一軒、鵙屋の次女お琴は、九つの春に病がもとで失明して以来、一心に琴の修業を続けている。丁稚の佐助はそんなお琴の身のまわりの世話を、一人でまかされていた。お琴の教えるままに佐助は三味線のけいこをするようになった。そんなある日、突然激しい地震が鵙屋をおそった。必死にお琴を救った佐助と、お琴の間には、愛が芽ばえ、はたの者のはかり知ることのできない、不思議な生活が生まれた。やがて一つの奇妙な事件が持ち上がった。お琴が子を宿したのだ。激しくつめよる主人に佐助は、かたくなに答える。「わて、何も知りまへん」。お琴もまた、血相を変えて母にくってかかった。「佐助は奉公人でっせ、わての弟子でっせ」。結局、この子は父親の知れぬまま、さる人にもらわれていった。そうこうするうちにお琴の身に、あいついで大きな不幸がおとずれた。父・安左衛門が死に、その死に誘われたように、師匠・春松検校もまた他界していったのだ。お琴は、師匠に生前から許されていた春琴の名をかかげ、佐助ともども新居に移った。そんな時、お琴をめあてに、美濃屋利太郎が、かよってくるようになった。利太郎はお琴にむりやり、自分の別荘で琴の独演会を開くことを承知させ、当日、別室でいきなりお琴を抱きすくめるのであった。騒ぎを聞きつけて佐助がかけつけた時、利太郎は眉間から血を流してぶざまに倒れていた。ある夜、お琴の身に思いがけない惨事があった。逆うらみをした利太郎がさしむけた賊によって、お琴は顔に熱湯をあびせられたのだ。佐肋が飛び起きた時にはすでにおそかった。お琴はうつぶせで苦悶しながらも、絶叫する。「見たらあかん、わての顔みたらあかん!」。月日が流れ、明日は包帯がとれるという日に、お琴は佐助に涙ながらにうったえた。「お前だけには、この顔を見せとうない」。意を決した佐助は部屋にいき、針を持って、鏡の前で、左、右と激痛にたえながらおのれの両目を突きさすのであった。気配を感じたお琴が佐助の所にきた。「佐助、どないしたんや」「わて、針で目を突きました!」。絶句するお琴。佐助は、自分の目を自らつぶし、お琴と同じ世界に入り、佐助の心にしみついたその美しい姿をだいじにするのだった。そして涙にぬれたほほをよせて、二人はかたく抱きあった。




13-43. 祇園囃子

監督 溝口健二
出演 木暮実千代若尾文子河津清三郎進藤英太郎菅井一郎
1953年 (大映) 84分

解説
「オール読物」 所載の川口松太郎の原作を依田義賢が脚色し、監督、撮影を溝口健二、宮川一夫が受持つという 「雨月物語」 と同じスタッフ作品。音楽は 「母と娘(1953)」 の斎藤一郎。出演者の主なるものは 「都会の横顔」 の木暮実千代、 「続十代の性典」 の若尾文子 「残侠の港」 の進藤英太郎、 「玄海の鰐」 の河津清三郎、 「花の喧嘩状」 の菅井一郎など。

ストーリー
祇園では名の売れた芸妓美代春は、彼女に入れ上げて勘当になった若旦那の小川を、強い言葉で追い返した。丁度その時舞妓志願に来たみすぼらしい少女栄子は、美代春も旧知のメリヤス問屋沢本の二号の娘で、零落した沢本の栄子の面倒は一切見ないという言葉にも拘わらず、栄子の健気な言葉に舞妓に仕込む決心をした。そして一年。栄子は愈々舞妓として店出しする事となったが、美代春はその費用三十万円を、祇園一流のお茶屋「よし君」の女将から借りた。やがて栄子の美貌とアプレの奇抜な行動は俄然遊客間の人気を呼んだ。中でも車輛会社の専務楠田は彼女に食指を動かし始めた。実は栄子の披露目の費用は楠田から出ていたのだ。楠田は得意先の某官庁課長神崎と上京する事となり、美代春と栄子も同行した。その夜楠田は美代春に、大事な得意先神崎を客にとるようその部屋へ連れて行き、自分は別室に栄子を呼び接吻しようとするが、栄子は悲鳴を上げて楠田の唇を噛み切った。この騒ぎで美代春も事なきを得たが、これを聞いた「よし君」は面目の潰れた事を怒り、二人は出先の茶屋から出入差留を喰い、祇園祭が近ずいても美代春のやかただけは淋れ切った。




13-44. 浪人街

監督 黒木和雄
出演 原田芳雄樋口可南子石橋蓮司杉田かおる伊佐山ひろ子
1990年 (松竹) 117分

解説
江戸末期の下町を舞台に、そこの裏界隈を生きるアナーキーな浪人たちの人間模様を描く時代劇。山中伊太郎原作の同名小説の映画化で、脚本は 「226」 の笠原和夫が執筆。監督は 「TOMORROW 明日」 の黒木和雄。総監修は 「純子引退記念映画 関東緋桜一家」 のマキノ雅広。撮影は高岩仁と特別協力として 「舞姫(1989)」 の宮川一夫がそれぞれ担当。

ストーリー
江戸下町のはずれ、一膳めし屋の“まる太”で二人の浪人が対立した。この街で用心棒をしている赤牛弥五右衛門と新顔の荒牧源内だった。店の払いをめぐって対立する二人の前に、源内とかつてただならぬ仲であった女お新にひそかに心を寄せている浪人母衣権兵衛が仲裁に入る。一方、長屋の井戸端には土居孫左衛門という浪人が妹おぶんと共に住んでいた。二人にとって帰参は夢だったが、それにはどうしても百両という大金が必要であった。そんな時、街では夜鷹が次々に斬られていく事件が起こる。赤牛は意を決して白塗りの夜鷹に扮し、夜鷹殺しの侍を斬るが、それにもかかわらず夜鷹斬りは続いた。翌朝、まる太の主太兵衛の斬殺体が発見された。赤牛、源内、母衣、孫左衛門、それにお新をはじめとする夜鷹たちが集まって太兵衛の遺骸を囲んでいる時、突然夜鷹斬りの旗本小幡ら七人が乗り込んできた。一触即発の気配が漂う中、赤牛は小幡一党らと共に場を去るが、その日とうとう赤牛は戻ってこなかった。数日後、おぶんを囮に小幡一党をおびきよせようとしたお新は逆に小幡らに捕らえられてしまう。そして、その一味の中には何と赤牛がいたのだった。その頃、孫左衛門のところに、おぶんから相談を受けていた豪商伊勢屋の妾お葉が百両の情報を持って飛び込んできた。伊勢屋が小幡のために百両を立て替え、奉行への心付けにするというものだった。孫左衛門は手形を預かった同心の柏木を斬り倒し、首尾よく百両を手に入れるが、その夜、赤牛は酒盛りの席で小幡に「手形を盗んだのは源内に違いない」と告げ口をする。そこで、小幡は源内を誘い出す手として、おぶんを逃がして、お新を牛裂の刑に処することにした。翌朝、おぶんから事情を聞いた源内は、十数本の剣を体中にくくり付け、お新のもとへ駆け出した。小幡一党120人を相手に、一人立ち向かう源内、だが危ういところでおぶんから聞いて孫左衛門と母衣が助っ人に参上した。小幡一党を相手に死闘を繰り広げる三浪人。それをそばで見ていた赤牛は、小幡を道連れに、自決するのだった。こうして長屋街に平和が戻り、源内はお新と共に旅立っていくのだった。




13-45. HERO

監督 鈴木雅之
出演 木村拓哉松たか子大塚寧々阿部寛勝村政信
2007年 (東宝) 130分

解説
高視聴率を記録した人気ドラマの映画化。木村拓哉ふんする型破りな検事・久利生が、松本幸四郎演じる最強の弁護士と対決する。木村とイ・ビョンホンの日韓スター共演も実現。

ストーリー
6年ぶりに東京地検城西支部へと久利生公平(木村拓哉)が戻ってきた。しかし、ひさびさに再会した雨宮舞子(松たか子)の態度はよそよそしいものだった。相変わらず自分のペースで仕事に向かう久利生は、芝山検事(阿部寛)が起訴した過失致死事件を任される。些細な口論から起こった事件だが、容疑者は犯行を認めていた。簡単に結審すると思われていた裁判は、初公判で容疑者が犯行を全面否認するところから意外な展開を迎える。刑事事件の無罪獲得数日本一という蒲生(松本幸四郎)が弁護を担当し、背後に潜む事態の大きさを久利生は感じる。実は、大物代議士・花岡(森田一義)と大手ゼネコンの収賄疑惑をめぐって、そのアリバイ工作に容疑者が関わっていたのだ。久利生と舞子は、証拠固めのために不正輸出された容疑者のクルマの行方を探るため、韓国へと向かう。韓国のエリート検事カン・ミンウ(イ・ビョンホン)も捜査に協力するが、確実な証拠は得られなかった。花岡が受け取ったとされる1億円の贈収賄疑惑を追って、特捜部も動いていた。それでも久利生は、結婚式を控えながら容疑者に婚約者を殺害されためぐみ(国仲涼子)のために、事件の真相を追いかける。そんな久利生に共感して、城西支部の面々も協力を惜しまなかった。苦闘の末、容疑者のアリバイを覆す携帯電話の写メールが発見された。法廷に立った花岡は、その動かぬ証拠を突きつけられて屈服した。事件解決後、久利生と舞子は馴染みのバーを訪れる。そしてそこで、改めてお互いの気持ちを確認しあうのだった。




13-46. 風雲児 織田信長

監督 河野寿一
出演 萬屋錦之介香川京子月形龍之介織田政雄沢村宗之助
1959年 () 95分

解説
山岡荘八の原作を 「百万両五十三次」 の結束信二が脚色し 「いろは若衆 花駕篭峠」 の河野寿一が監督した、織田信長の半生を描いた娯楽時代劇。撮影は 「浪花の恋の物語」 の坪井誠。

ストーリー
父信秀が没したのは、信長が十六歳の時である。万松寺で行われた葬礼で、信長は荒縄を腰に巻いた異形の姿で現れ、抹香を父の位牌に投げつけた。妻の濃姫は彼の陽やけした頬に光る涙を見た。狂人とののしられながら、自己の信念に生きる信長も、人の子だったのか。世は戦国、群雄割拠の時代である。濃姫の実父・美濃国稲葉城主斎藤道三は、信長の尾張国を狙うものの一人だった。使が信長との会見を申入れてきた。信長は少しも関心を示さず、武術のケイコに励んでいた。「尾張の大うつけ」が定評となった。それが、信長のつけ目だった。その奇行は家臣までもあざむいた。彼の天下統一の野望を誰が知ろう。家老・平手政秀は諫書を呈すと、切腹して果てた。信長は心から信頼していた臣を失ったことを悲しんだ。それを契機に、彼は正徳寺で道三と会見した。道三は罠を用意していた。信長は槍と鉄砲計千人を道中にひき連れ、道三をおびやかし、会見の場では例の狂人的姿から礼装に早変りし、先手をうった。道三は手の掌を返すように歓待した。信長は彼に勝った。彼の帰りを予期しなかった濃姫はその無事を喜んだ。−−突然、今川四万の大軍が、尾張領になだれこんできた。今川義元の目的は上洛にあった。信長の手勢は五千、その前衛は次々につぶされた。義元は勝報に気をよくし、折からの猛暑を田楽狭間に避けた。清洲城の信長は出陣の気配を示さなかった。家臣は焦立つ。信長は十倍の敵に対する作戦を考えていた。“十人に一人、十人がもし眠っていたら……”ふと濃姫のもらした言葉が、信長をとらえた。濃姫に鼓をうたせ、“敦盛”を静かに舞い納めると、彼はすぐさま出陣を命じた。軍は嵐をついて桶狭間を襲った。−−義元の首級を馬前に、信長は清洲城に引き揚げた。白装束で死を決していた濃姫には、夢のようだった。




13-47. リアル鬼ごっこ

監督 柴田一成
出演 石田卓也谷村美月大東駿介松本莉緒吹越満
2007年 (ファントム・フィルム) 98分

解説
山田悠介のベストセラー小説が原作のサスペンス。国王の命令により、佐藤姓の人々が“鬼”に抹殺される別世界に迷い込んだ高校生が、サバイバルを展開する。

ストーリー
日本にもっとも多いとされる苗字“佐藤”。テレビでは、最近その佐藤姓の人間が死因は様々であっても相次いで亡くなるという奇妙なニュースが流れていた。佐藤翼(石田卓也)には、母親の死後アルコール依存症となっている父親と、生まれつき言葉と感情を失い入院している妹の愛(谷村美月)がいる。不良高校生である翼は、佐藤洋(大東俊介)率いる敵対グループに毎日のように追われていた。翼と洋は元々幼馴染であったが、今では疎遠となっている。ある日、翼がついに追っ手に捕まってしまうが、その瞬間、洋の前から翼は忽然と姿を消す。翼が気がつくと、取り囲まれていた不良たちはひとりもおらず、あたりは静寂に包まれていた。状況がわからず翼は戸惑う。そこへ今度は洋が物凄い形相で突進してくる。反射的に逃げる翼だが、洋もまた何者かに追われていた。二人を追うのは黒装束に赤く光る目の仮面をつけた“鬼”たちであった。事情を聞くと、この世界では王政が敷かれており、“佐藤”姓を持つ人間は一日のうちの数時間、王の仕向けた鬼によって追いかけられ、捕まれば死刑という殺人ゲームが行われている、という。何とかその日のゲームを逃げ切った二人の前に、少女が現れる。妹の愛と全く同じ顔をしているものの、翼の知る愛とは正反対の明るく健康的な別人になっている。愛によると、この世界は現実世界と平行して存在するパラレルワールドで、同一人物の生と死がリンクしているという。つまり、こちらで死んでしまえば、現実世界の自分も死ぬことになる。佐藤姓を持つ人間が次々に死亡していたのはこのためであった。愛は翼に助けを求める。混乱する翼だったが、この世界で愛を守れなければ、現実世界の愛も死んでしまうことになる。命をかけた鬼ごっこ、決心した翼は愛と家族を守るため、走り出した!




13-48. 太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男

監督 平山秀幸
出演 竹野内豊ショーン・マッゴーワン井上真央山田孝之中嶋朋子
2011年 (東宝) 128分

解説
太平洋戦争でサイパン島へ上陸したアメリカ軍に玉砕攻撃を仕掛けた日本軍。その戦渦を生き残り、わずかな兵と島のジャングルに潜み、神出鬼没の抗戦を続けた大場栄大尉。やがて“フォックス”と呼ばれアメリカ軍から畏れられる彼の実話を竹野内豊主演で映画化。サイパン&タイのジャングルでロケを敢行し、リアルに描き出す。

ストーリー
太平洋戦争末期。1944年6月。陸軍歩兵第18連隊、大場栄大尉(竹野内豊)は、日本から2000キロ余り離れた北マリアナ諸島サイパン島へ送られる。当時日本の統治下にあったこの島は軍司拠点としても重要な位置を占めており、島を死守することが大場たち日本陸軍43師団守備隊に課せられた最大の使命だった。だが、この時点で既に日本の劣勢は明らかになりつつあり、サイパン島でも圧倒的な兵器・兵力差のもと、日本軍はアメリカ軍の上陸を簡単に許してしまう。サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令の後自決。アメリカ軍の捕虜となることを恐れた民間人が次々と崖から飛び降り自殺する悲惨な事態へと発展する。そんな中、玉砕命令を受けた大場隊も突撃、次々と戦死を遂げていく。しかし、アメリカ軍に囲まれた大場は玉砕を覚悟していたにも拘らず、思わず死体の中にうずくまり隠れ、戦闘の中で自分の“生”への執着心を心ならずも知ることになる。そして、両親を殺され放り出されていた赤ん坊を救い、“生きる”ということを強く実感、もともとは地理の教師でもあった彼の人望を慕い、上官を失った兵士や民間人たちが次々と集ってくるのだった。その後、軍から離れ戦うやくざ者の一等兵、堀内(唐沢寿明)と共同戦線を張り、サイパン島中部にそびえる最高峰タッポーチョ山に潜み、アメリカ軍への抵抗を続けていく。一方、サイパン島占領宣言を行ったアメリカ海兵隊の中で、日本への留学経験のあるハーマン・ルイス(ショーン・マクゴーウァン)は、一抹の不安を感じていた。やがて彼らは、粘り強く戦い続けるたった一つの部隊に翻弄されていることを知り、その神出鬼没の部隊を統率する仕官を畏敬の念を込めて“フォックス”と呼ぶようになっていく。大場隊とアメリカ軍の戦いは続き、フォックスの存在に業を煮やした上層部が遂に大掃討作戦を敢行。アメリカ軍を翻弄し続けるフォックスに対し、ルイスは彼を死なせたくないと焦燥する……。