11-1. 太平洋ひとりぼっち

監督 市川崑
出演 石原裕次郎森雅之田中絹代浅丘ルリ子ハナ肇
1963年 (日活)

解説
堀江謙一の実録からなる原作を、 「雪之丞変化(1963)」 の和田夏十が脚色、コンビの市川崑が監督した青春もの。撮影は 「太陽への脱出」 の山崎善弘。

ストーリー
一九六二年五月一二日深夜西宮港を、二人の親友に見送られてヨットに乗り移った青年がいた。堀江謙一、この二二才の青年のあやつるヨットは、“マーメイド号”という、長さ五・八メートル、幅二メートルのもの。風のみで走るように設計された船は、三十九時間も大阪湾内を浮きつづけたあげくやっと北風に乗り、大阪湾を乗りきることができた。が海の荒れが彼を待っていた。食べものは吐く、ヨットはキリキリ舞い、しかしその代償として、最も恐れる巡視艇にみつからずにすんだ。彼の行為は日本の法律では許されず密出国となるのだ。悪天候と体力の消耗、それに狐独との戦いは、人間の限界を越したものである。憧れの太平洋に出た日、台風三号に襲われた、大きな巻き波にふりまわされるヨット、苦しい戦いは、堀江青年の苦心の錨操作できりぬける事が出来た。二日二晩の苦悩は彼に母国への郷愁と、孤独感を残した。飲めない酒に心をまぎらわそうとするのも、そのためだ。食事はカン詰を副菜に、水不足のため、ビールで飯を焚いた。ハワイを過ぎた頃、マーメイド号は一万トン程の貨物船に出会った。無精ヒゲで真黒にやけた小さな日本人が片言の英語で渡りあう姿に船上の人々は驚嘆の目をむけた。パスポートの提示を要求されて、危うくこぎ去った堀江青年、緑色の海原、目指すサンフランシスコに近づいたのだ。碁盤の目のようにまたたいている街の灯、長い光の列を目前に、「お母ちゃん、僕きたんやで」青年堀江謙一は操舵席に両足をふんばって立ち、大声で叫けんだ。百日に及ぶ太平洋征服の夢が今実現したのだ。




11-2. 大洗にも星はふるなり

監督 福田雄一
出演 山田孝之山本裕典ムロツヨシ小柳友白石隼也
2009年 (2009日活)

解説
人気テレビドラマ 「33分探偵」 の福田雄一による恋愛狂想曲。勘違い男、ミーハー弁護士、サメマニアの大学生など7人の男たちが憧れのマドンナをめぐって、大騒動を展開する。

ストーリー
茨城県、大洗町のクリスマス・イヴ。冷たい風が吹き荒れる真冬の海の家に5人の男が1通の手紙で集められた。前代未聞の勘違いナルシストの杉本(山田孝之)、オクテなサメマニアの松山(山本裕典)、モテないくせに浮気願望が強い猫田(ムロツヨシ)、ハイテンション・バカの仁科(小柳友)、ちょい不良?オヤジで海の家のマスター(佐藤二朗)。彼らは、数ヶ月前の夏、この海の家で生活を共にしたバイト仲間だった。5人は全員、皆の憧れのマドンナ・江里子(戸田恵梨香)から「クリスマス・イヴの夜、海の家で会いたい」という手紙を受け取っていたのだ。自分だけが手紙を貰ったと思っていた彼らは、江里子が本当に会いたがっているのは自分だとアピールを始める。そこへ海の家の取り壊しを求めて弁護士の関口(安田顕)が現れる。いくつもの離婚訴訟を手がけてきた関口は、5人のくだらない言い争いに決着をつけようと、各々が語る江里子との妄想のエピソードの真実を、あらゆる物的、状況証拠から推理して次々と暴いていくのだった。関口の華麗な事情聴取に衝撃を受ける面々。特に杉本は、自信をごっそり奪われ、次第におかしくなっていく。そんな中、関口が突然、「私も好きだな、江里子さん……」と衝撃の宣言を口にする。彼女に会ったこともない関口が、ラブバトルに参戦してきたのだ。さらに、遅刻してきた天然・カラ回りキャラの林(白石隼也)も加わり、男たちの争いはますますヒートアップする。江里子の本命は本当にこの中にいるのか? そして自分勝手な妄想を暴走させる7人の男たちの、どうしようもない争いの果てに待ち受ける結末とは……?




11-3. 月光の夏

監督 神山征二郎
出演 渡辺美佐子若村麻由美滝田裕介田中実仲代達矢
1993年 (ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=映画『月光の夏』全国配給委員会) 112分

解説
出撃前の最後の思い出にピアノを弾き、戦死していった若き特攻隊員の実話をもとに描くドラマ。ラジオドラマの構成も書いた毛利恒之の原作(汐文社・刊)・脚本を、 「遠き落日」 の神山征二郎が監督。実話の地元佐賀県鳥栖市を中心した九州各地での映画製作の資金協力も話題となった。

ストーリー
吉岡公子はかつて教師として勤めた鳥栖小学校の古いグランドピアノについて忘れられない思い出を持っていた。昭和二〇年初夏、当時ピアノ係をしていた公子のところに、目達原基地から二人の青年特攻隊員が訪れた。生きては帰れぬ出撃を前にどうしてもピアノが弾きたいと、一人の青年はベートーベンのピアノソナタ『月光』を、もう一方の青年は『海ゆかば』を弾いて基地に帰っていった。二か月後に戦争は終わった。公子が語るその思い出は新聞やラジオで報道され、平和の記念碑としてピアノは保存されることになった。地元ラジオ局の石田りえはドキュメンタリー作家の三池安文と共にピアノを弾いたと思われる元少尉風間森介を訪ねるが、風間は何も語ろうとしない。石田たちは生き残った特攻隊員に取材を重ね、特攻出撃を途中で放棄した隊員を幽閉していた“振武寮”の存在を知り、特攻平和記念館で『月光』を弾いた海野光彦少尉の遺影を発見する。それをきっかけに風間の閉ざされた心は徐々に開き、エンジンの不調で特攻から引き返したこと、“振武寮”に入れられた屈辱と絶望の日々のことを語り始めた。半世紀を経て思い出のピアノと再会した風間は、当時を振り返りながら『月光』を奏でるのだった。




11-4. Wの悲劇

監督 澤井信一郎
出演 薬師丸ひろ子世良公則高木美保志方亜紀子清水紘治
1984年 (東映)

解説
女優をめざす若い劇団の研究生が、ある事件に巻き込まれて主役を演じ、本当の女優になっていく姿を描く。夏樹静子原作の同名小説を、本篇の中の舞台劇におりこみ、 「湯殿山麓呪い村」 の荒井晴彦と 「野菊の墓」 の澤井信一郎が共同で脚本を執筆。監督は澤井信一郎、撮影は 「愛情物語」 の仙元誠三がそれぞれ担当。

ストーリー
劇団「海」の研究生・三田静香は、女優としての幅を広げるため、先輩の五代淳と一晩過ごした。翌朝彼女は、不動産屋に勤める森口昭夫という青年と知り合う。「海」の次回作公演が、本格的なミステリーに加え、女性であるがゆえの悲劇を描いた『Wの悲劇』と決定した。キャストに、羽鳥翔、五代淳と劇団の二枚看板を揃え、演出は鬼才で知られる安部幸雄である。そして、事件全体の鍵を握る女子大生・和辻摩子役は、劇団の研究生の中からオーディションによって選ぶことになった。オーディション当日、静香の親友・宮下君子は、芝居の最中に流産しかかり病院にかつぎ込まれた。子供を産むと決心した彼女を見て、静香は自分の生き方は違うと思う。摩子役は、菊地かおりに決定した。静香には、セリフが一言しかない女中役と、プロンプターの役割が与えられた。意気消沈して帰宅した彼女のもとに花束を抱えて昭夫がやって来た。静香がオーディションに受かるものと信じて祝福に来たのだ。彼の楽観さにヒステリーを起こす静香だったが、結局、二人は飲みに行き、その晩、静香は昭夫の部屋に泊まった。翌朝から、彼女は気分を切り変え、全員の台詞を頭に入れ、かおりの稽古を手伝うなど積極的に動く。一方、昭夫は静香に結婚を申し込むが、静香は女優への夢を捨てる気になれなかった。大阪公演の初日の幕があがった。舞台がはねた後、一人舞台に立つ静香を見た翔は、声をかけ小遣いを渡す。彼女にも静香と同じ時期があったのだ。その夜、お礼に翔の部屋を訪ねた静香は、ショッキングな事件に巻きこまれる。翔の十数年来のパトロン・堂原良造が、彼女の部屋で突然死んでしまったというのである。このスキャンダルで自分の女優生命も終わりかと絶望的になっていた翔は、静香に自分の身代りになってくれ、もし引き受けてくれたら摩子の役をあげると言い出す。最初は首を横に振っていた静香だったが、「舞台に立ちたくないの!」という一言で、引き受けてしまった。執拗なマスコミの追求も、静香はパトロンを失った劇団研究生という役を演じて乗り切った。翔は、かおりとの芝居の呼吸が合わない、と強引に彼女を降ろし、東京公演から静香に摩子役を与えた。静香の前に、事件のことを知った昭夫が現われた。「説明しろ」と詰めよる彼に静香は一言もなかった。東京公演。舞台袖で震えていた静香に、翔の叱咤が飛ぶ。静香の初舞台は、大成功をおさめた。幕が降りた後も鳴りやまぬ拍手と、何度も繰り返されるカーテン・コールが女優誕生を祝していた。客席の最後列では、精一杯拍手を送る昭夫の姿もあった。劇場を出た静香は、レポーターに囲まれるが、昭夫の姿を見つけ駆けよろうとする。そこに、事件の真相を知ったかおりがナイフを手に現われ、静香めがけて飛びこんできた。静香をかばい刺された昭夫は、救急車で運ばれた。数日後、引越しをするためアパートを出た静香は、昭夫に連れられてきた空家に立ち寄る。そこには昭夫がいた。もう一度二人でやり直そうという彼に、静香は、そうしたいけど今のボロボロの私よりもっと駄目になってしまうと言う。そして、芝居を続け、ちゃんと自分の人生を生きていくために一人でやり直すからと、涙をこぼしながら微笑んで去って行った。




11-5. 太陽の季節

監督 古川卓己
出演 長門裕之三島耕清水将夫坪内美詠子南田洋子
1956年 (日活)

解説
若い世代の異常な生態を描き反響を呼んだ石原慎太郎の同名の原作(芥川賞受賞)の映画化。「顔役 (ボス)」の古川卓巳が脚色・監督し、「ただひとりの人」(二部作)の伊佐山三郎が撮影を担当した。主な出演者は「愛情」の長門裕之と坪内美詠子、「姉さんのお嫁入り」の三島耕、「東京バカ踊り」の南田洋子、「黒帯有情 花と嵐」の東谷暎子、他に河上敬子、中原早苗など。

ストーリー
ハイ・スクールの学生津川竜哉は、拳闘に興味を持つタフな若者だった。ある日、彼は遊び仲間の佐原や江田たちと銀座に出た。持ち合せた金の不足から、彼等は素人娘をさそって遊ぶことに決め、とある帽子屋から出て来た武田英子ら三人に目をつけた。遊び廻る途中も、竜哉は英子を独占していた。やがて試合の日、竜哉はTKO勝ちしたが傷を負った。待ちかまえていた英子は自分の車で彼を病院に送り届け、次いで二人きりの夜を過した。夏に入る前、英子は逗子にある竜哉の家を訪れ二人は初めて肉体関係を結んだ。その後、ナイトクラブで英子がバンド・マスターと踊っているのを見た竜哉は、カッとして男を撲り倒した。八月のある日、海に漂うヨットの上で抱き合った二人は始めてお互いに愛情を感じ、英子も、自分が女であることに自信をもった。しかし竜哉は愛情を捧げる英子をうるさがり、英子の体を兄道久に五千円で売り渡してそのまま拳闘の合宿に入った。英子は竜哉と会って、自分の体が売物になったことを知った。だが竜哉が本当は自分を愛していると知る英子は道久に五千円を払い戻した。十月になって、子供が出来た英子に竜哉は始末しろとハッキリ言い渡した。英子は妊娠中絶手術の経過が悪く、ついに死亡した。葬式の日、竜哉は英子の家に突然、姿を見せた。列席者のとがめるような視線をはね返した竜哉は祭壇に進み、彼に挑むような笑顔の英子の写真を見詰めた。突然、竜哉は香炉を英子の写真に叩きつけ、驚く人々に「あんたたちにゃ、何も判りゃしないんだ!」と叫んで広間を飛び出して行った。




11-6. 打倒 ノック・ダウン

監督 松尾昭典
出演 赤木圭一郎二谷英明稲垣美穂子殿山泰司和田悦子
1960年 (日活) 82分

解説
宮田輝明・柏木和彦の共同脚本を、 「男が命を賭ける時」 の松尾昭典が監督した赤木圭一郎のボクシングもの。 「やくざの詩」 の藤岡粂信が撮影した。

ストーリー
チャンピオン白坂に打たれて大山がダウンして以来、野中拳会長野中の夢は破れた。数日後、スポーツライターに誘われて京南大のボクシング部を訪れた野中はレクリエーションにボクシングをやるという高野昭に目をつけた。そしてその強烈なパンチとファイトにもう一度夢をかけることにした。亡父の遺志をついで兄の雄介と共に電気工学の道に入るという昭はプロ入りを断った。昭が女子学生ひろ子とナイトクラブに出かけた夜、雄介が愚連隊に襲われた。自首して出た加害者という男が替玉で、真犯人が元ボクサーの石垣であることを知った昭は石垣を倒した。昭は無期停学になり雄介も新しい設計が盗作だという理由で会社をクビ同様にされた。自由を欲する昭はあくまで野中の申し出を断り、野中もいさぎよく諦めた。雄介傷害事件の張本人が、昭を経済的窮地に追い込んで勧誘しようとする部下の中原であったことを知った野中は怒ったが、二人の話をきいた昭は野中の潔白を知り、プロ・ボクサーになる決心をした。雄介は悲しんだが、野中の叱咤のもとに昭ははげしい練習をつんだ。そして相手を次々にKOした昭はゴールデン・ボーイと騒がれ、野中の野望は燃えた。祝盃をあげる昭を従妹の美知子が訪れたが、ひろ子は故意に媚態をつくして美知子をうとんじた。昭の進撃は凄じく、二十連勝ののち、ウエルター級チャンピオン白坂とのタイトル・マッチが調印された。大山はそんな昭を嫉んだ。決戦のときは来た。若い昭の気負いは老巧白坂の思うツボであり、昭は白坂のパンチに何度もマットに這った。最終ラウンド、両眼ははれあがり血だるまになった昭のパンチが白坂をたたいた。ダウン、白坂はついに立ち上らなかった。しかし昭も意識を失って倒れた。両眼失明寸前という昭に、医師は昭のボクサー生活が終ったことを宣告した。野中の絶望、ひろ子は去った。制止する美知子をふりきって訪れた昭の目の前で白坂は死んだ。やがて病院を出た昭の心は、不思議に明るく強い希望にもえていた。




11-7. 日本海大海戦

監督 丸山誠治
出演 三船敏郎加山雄三仲代達矢黒沢年雄小鹿敦
1969年 (東宝) 127分

解説
ベテラン八住利雄がシナリオを執筆し、 「連合艦隊司令長官 山本五十六」 の丸山誠治が、メガホンをとった戦記もの。特技監督は 「怪獣総進撃」 の円谷英二、撮影は 「肉弾」 の村井博が担当した。

ストーリー
十九世紀末、欧州列強は争って中国への侵略を続け、明治三十三年には、日本を含む八ヵ国の連合陸戦隊が排外思想を奉ずる義和団の暴動を鎮圧した。だが、ロシアだけは満州に兵をとどめて、虎視たんたん日本を狙っていた。明治天皇を仰いでの御前会議は、ロシアに抗議文を送ったが、返事はなかった。ついに国交は断絶。連合艦隊司令長官東郷平八郎は、バルチック艦隊とともに、旅順とウラジオストックにいる太平洋艦隊の動向に気をくばり、秘策を練った。そして広瀬少佐の旅順港口に老朽船を沈め艦隊を封じ込むという奇策を採用した。一方乃木軍司令官率いる陸軍第三軍は、旅順要塞に陸上攻撃をかけた。だが、ロシア艦隊は封鎖を破り、日本艦隊の砲弾をかわして敗走した。十月二十日、バルチック艦隊がリバウ港を出た。敵艦が日本海に現われると判断した東郷は、連合艦隊を内地に引上げさせた。攻撃開始から五ヵ月目の翌年の元日、旅順二〇三高地の敵陣が、乃木軍の手で陥落した。その頃、ストックホルムで諜報活動をしている明石陸軍大佐が、バルチック艦隊の航路が敵司令長官の一存で決まるという情報をつかんだ。五月二十日、見張船信濃丸が五島列島沖にバルチック艦隊を発見。五月二十七日、旗艦三笠にZ旗を掲げた東郷長官は、敵の直前を大曲転する大胆不敵な戦法をとり、敵の先頭を圧迫した。激戦は、日本艦隊に大勝利をもたらした。戦勝と平和回復にわく国民。だが、東郷は戦いに勝って真の“戦いの恐しさ”を忘れることができなかった。




11-8. 必殺! 主水死す

監督 貞永方久
出演 藤田まこと三田村邦彦菅井きん白木万理中条きよし
1996年 (松竹) 100分

解説
1972年から20年間に渡って放送されたテレビ時代劇 「必殺!」シリーズの5年ぶりの劇場版第6作。監督は初期テレビシリーズから「必殺!」にかかわり、劇場版第1作「必殺!」 も監督した貞永方久。脚本は 「復活の朝」 の吉田剛、撮影は 「忠臣蔵外伝 四谷怪談」 の石原興がそれぞれ担当している。音楽はシリーズ全てを手掛ける平尾昌晃。 「忠臣蔵外伝 四谷怪談」 の石原興がそれぞれ担当している。音楽はシリーズ全てを手掛ける平尾昌晃。「必殺!」の代名詞ともいえる仕事人・中村主水にはテレビ版同様に藤田まことがふんし、三田村邦彦、菅井きん、白木万理、中条きよしらテレビのレギュラー陣に加え、名取裕子、津川雅彦、東ちずる、野村祐人、細川ふみえら多彩な顔触れのゲストが華を添えている。

ストーリー
仕事人仲間のおけいと不義を重ねていた中村主水は、家庭を捨てる覚悟で新たな生活を準備していた。そのころ、葛飾北斎が謎の死を遂げ、娘のお栄は犯人捜しを主水に相談する。主水は北斎の描いた似顔絵にそっくりの大道芸人・捨蔵に町で出会った。捨蔵は男の身なりをしているが実は女で、三味線ひきの養母・お夢に育てられている。お夢は20年前の傷がもとで記憶を無くしてしまっていたが、実は主水の昔馴染みの仕事人・お千代だった。同じころ、大奥では上臈年寄の姉小路が元老中・水野忠邦と組んで、将軍家世継の家定の双子の片割れを捜し出し、お家を乗っ取ろうと企んでいた。その動きを察知した家定の母・お美津は、大奥掃除人の元締め・権の四郎とその息子・清太に片割れの抹殺を命じ、清太はその始末をおけいに依頼した。ところが、この双子の片割れというのは捨蔵のことだったのである。捨蔵の似顔絵を描かされた北斎は、口封じのために姉小路らによって謀殺されたのだった。主水はおけいを通じて四郎と会うが、その男は主水がかつてお千代をめぐって争った宿敵・清吉だった。清吉はお千代を妻としたが、やがて生まれた清太の父親が主水だと思い込み、20年前にお千代を殺そうとしていたのである。四郎に捨蔵暗殺を思いとどまらせた主水は、おけいともども協力して姉小路と忠国を討つことになった。そんなおり、お千代と捨蔵が芸を披露するため大奥に招かれ、主水もその席に並んだ。捨蔵が女であることを知った姉小路は、もう用はないと斬り捨てようとしたが、主水たちがそれを救う。しかし、四郎は裏で主水の命を狙っており、仕事を終えたおけいが殺されそうになった。主水は罠と知りつつ、四郎のもとへ向かう。四郎は清太に主水を討たせようとしたが、記憶の戻ったお千代は清太の父は間違いなく四郎だと告げた。混乱した四郎は自分に逆らう態度を取った清太を絞め殺し、主水との一騎打ちに望む。主水は宿命の対決に決着をつけたが、自分たちの運命をはかなんだお千代に背後から刺され、断末魔の四郎が放った爆薬に吹き飛ばされるのだった。主水を追ってきた秀、勇次、おけいは、燃え上がる炎をただ見つめていた。




11-9. 劔岳 点の記

監督 木村大作
出演 浅野忠信香川照之松田龍平モロ師岡螢雪次朗
2008年 (東映) 139分

解説
新田次郎の同名小説を浅野忠信をはじめ、名優たちの共演で映画化したドラマ。日本地図完成のため、誰も登頂に成功したことのなかった危険な山、剣岳に挑んだ男たちの姿を描く。

ストーリー
明治39年。日露戦争を終えた陸軍は、国防のため日本地図の完成を急いでいた。最後の空白地点である雪山・剣岳への初登頂と測量は、陸軍参謀本部の測量手である柴崎芳太郎(浅野忠信)に任された。立山連峰に屹立する剣岳は、多くの優秀な測量部員にも未踏峰なほどの険しさで知られていた。しかし、ここでの測量を終えなければ、日本地図は未完成のままである。一方、創設から間もない日本山岳会の小島(仲村トオル)らは、ヨーロッパ製の最新道具を備えて、剣岳への初登頂の名誉を狙っていた。民間に先駆けられることは、国家の威信に賭けても避けねばならない。重い使命を背負った柴崎は、妻の葉津よ(宮崎あおい)から励まされながら、案内人の宇治長次郎(香川照之)と前人未到の剣岳へと調査に向かう。そこで出会ったのは、行者(夏八木勲)だった。「雪を背負って登り、雪を背負って降りよ」という彼の謎の言葉だけを胸に、登頂への手掛かりすら掴めないまま柴崎たちは下山した。翌年、測夫の生田信(松田龍平)ら7名とともに測量本番の登山へ向かう柴崎たち。しかし、立山連峰の過酷な雪と暴風雨、そして雪崩は、柴崎たちの行く手を厳しく阻む。絶望的な状況の中、前任の測量手である古田盛作(役所広司)からの手紙も苦悩する柴崎の心の慰めとなった。日本山岳会の小島たちも、剣岳の困難さを身をもって体験して、あらためて柴崎への敬意を深める。自分たちは登ることが目的でも、彼らは登ってからが仕事なのだ。もういちど仲間たちと連帯し、そびえ立つ剣岳に柴崎たちは挑む。そこでヒントになったのは、いつかの行者の言葉だった。ようやく頂上へと到達できた柴崎は、地図づくりの測量を果たすことに成功した。しかし、そこで彼が目にしたのは、古代の行者が残していた痕跡だった。剣岳に初登頂したのは柴崎ではなく、彼らだったのだ。柴崎の複雑な感慨も、無言のまま山は包み込む。




11-10. 誰も守ってくれない

監督 君塚良一
出演 佐藤浩市志田未来松田龍平石田ゆり子佐々木蔵之介
2008年 (東宝) 118分

解説
「踊る大捜査線」 シリーズの脚本家、君塚良一が監督を務めるサスペンス。犯罪容疑者の妹と彼女を保護する刑事の姿を通し、マスコミの過剰報道などの問題を鋭く描き出す。

ストーリー
親子4人で暮らしていた船村家の幸福は、未成年者の長男が小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕されたことで無惨にも崩れていく。衝撃を受ける両親と沙織(志田未来)に群がるマスコミと野次馬たち。一家の保護のため、東豊島署の刑事である勝浦(佐藤浩市)と三島(松田龍平)は船村家に向かう。容疑者保護マニュアルに沿って船山夫婦は離婚、改めて妻の籍に夫が入ることで苗字が変わる。中学生の沙織も就学義務免除の手続きを取らされて、同い年の娘を持つ勝浦が保護することになる。皮肉にも勝浦の家庭も崩壊寸前の状況で、その修復のために娘の美奈が提案した家族旅行の予定もこの事件によって反故になろうとしていた。マスコミの目を避けるため逃避行を続ける勝浦と沙織だが、どこへ逃げても居所をつきとめられる。インターネットの匿名掲示板では、船村家に関する個人情報が容赦なく晒されていった。心労のため、保護の目をかいくぐって自殺してしまう母。それを知った沙織は、ますます錯乱する。勝浦がたどりついたのは、伊豆のペンションだった。主人である本庄圭介(柳葉敏郎)と妻の久美子(石田ゆり子)のひとり息子は、3年前に勝浦が担当する事件で殺害された。勝浦の失態は、自身と本庄夫婦の心に大きな傷を残していた。秘密裡に移動しているつもりだった2人だが、その行動はネットに依存する野次馬たちの悪意に追跡されていた。勝浦は沙織を匿う真相を知った圭介からいったん激しく拒絶させるが、語り合うことで彼の本心に触れる。一方、いたたまれなくなった沙織はペンションから恋人の達郎(冨浦智嗣)と一緒に逃亡するが、達郎の裏切りに合う。そして、ネット依存者たちの罠に嵌められるが、勝浦によって救出された。翌朝、駆けつけた三島たちによって、ようやく勝浦は解放された。沙織も最後には心を開いてくれた。ペンションを去りながら、娘の美奈に電話をかける勝浦だった。




11-11. 口笛が流れる港町

監督 斎藤武市
出演 小林旭浅丘ルリ子木浦佑三松本染升小高雄二
1960年 (日活)

解説
山崎巌の原作を、 「波止場の無法者」 のコンビ松浦健郎が脚色し、斎藤武市が監督した小林旭のアクション・ドラマ。撮影も 「波止場の無法者」 の高村倉太郎。

ストーリー
渡り鳥の伸次は、殺し屋の太刀岡に出あった。互いの拳銃の腕前を知った。伸次は相良牧場についた。今はさびれていた。牧場主の相良は酒におぼれ、的場組のボス的場の経営するキャバレーで、その妹君江にうつつをぬかしていた。賭博の借金をネタに、的場は牧場を乗っとろうとしていた。ゴルフ場にするためだ。的場組の乾分が測量にやってき、管理人の杉山と牧童をなぐった。伸次は軽くそれを助け、その夜、的場の賭場へ行く。太刀岡がいた。ゲームでは勝った。−−相良の妹・杏子が知らせで帰省した。的場の求婚をさけて東京の女子大に通っていたのだが。的場はそれを知ると相良をおどし始めた。君江の忠告もきかなかった。的場は伸次を見こんで雇い入れ、自分からシボリとる太刀岡を殺せと命じた。太刀岡は三年前、的場に頼まれ、相良の先代を殺した。その時、何者かが太刀岡を狙った。的場はその者を教えるからと、彼に信夫から牧場の権利書を奪わせた。伸次が待ち伏せて、奪い返した。殺せという的場の命令は実行しなかった。彼は的場から地下室へほうりこまれた。そこに太刀岡もいた。かれらを踊り子のユリが助けた。伸次を好きだった。−−杏子は的場に一人で牧場の交渉にきた。的場は彼女に襲いかかった。伸次がかけつけ、助けた。が、乾分の石松につかまり、的場から太刀岡との対決をさせられる。二挺の拳銃を置いた机をはさんで、二人は立った。互いにやる気はなかった。どちらの拳銃も空弾だった。的場の奸計だ。外を取り囲んだ乾分達が一斉に銃撃した。このやり方は三年前、狙った男が的場であることを示していた。伸次と太刀岡は力を合せて、的場に迫った。警官隊も到着した。−−草原で伸次は太刀岡に別れ、ギターを鳴らしながら去った。行く先はなかったが。





11-12. ゼロの焦点

監督 犬童一心
出演 広末涼子中谷美紀木村多江杉本哲太崎本大海
2009年 (東宝) 131分

解説
2009年に生誕100年を迎えた松本清張の同名小説を映画化。夫が失踪した謎を追う女性が、ある衝撃の真実を知るサスペンス。広末涼子、中谷美紀、木村多江の3大女優共演も見もの。

ストーリー
結婚式から7日後。仕事の引継ぎのため、以前の勤務地である金沢に戻った鵜原憲一(西島秀俊)が姿を消す。憲一の妻・禎子(広末涼子)は、見合い結婚のため夫の過去をほとんど知らず、失踪の理由もさっぱり見当がつかない。夫の足跡を辿って金沢へと旅立った禎子は、憲一のかつての得意先企業、室田耐火煉瓦会社で社長夫人の室田佐知子(中谷美紀)、受付嬢の田沼久子(木村多江)という2人の女性と出会う。日本初の女性市長選出に向けて支援活動に精を出す佐知子。教養がなく貧しい出身だが、社長のコネで入社した久子。決して交わるはずのなかった3人の女性の運命だったが、憲一の失踪事件がきっかけとなり、複雑に絡み合っていく。一方、憲一の失踪と時を同じくして起こった連続殺人事件に関して、ある事実が判明する。事件の被害者は、いずれも憲一に関わりのある人間だったのだ。夫の失踪の理由とは?連続殺人の犯人の正体とその目的は?全ての謎が明らかになるとき、衝撃の真相が禎子を待ち受ける……。




11-13. 闇金ウシジマくん

監督 山口雅俊
出演 山田孝之大島優子林遣都崎本大海やべきょうすけ
2012年 (S・D・P) 130分

解説
10日で5割という法外な利子で金を貸す闇金を営む男・丑嶋と、彼の元を訪れる債務者たちの姿をリアルに描いた人気コミック「闇金ウシジマくん」。同作をテレビドラマに続き、劇場映画化。丑嶋役の山田孝之らオリジナルキャストに加え、AKB48の大島優子、林遣都らが債務者役で登場し、闇金の恐ろしさを身をもって体験するはめに。

ストーリー
丑嶋馨(山田孝之)は10日で5割(トゴ)、1日3割(ヒサン)という法外に高い金利をつける闇金融業を営んでいる。パチンコにはまった母の借金を肩代わりした鈴木未來(大島優子)は、楽に稼げるとの友人の勧めを受け、そのまま出会いカフェのバイトを始める。売春だけはしないと固く心に誓うものの、簡単に大金が手に入ることを知ってしまい決意が揺らぐ。成り上がりを狙う23歳の小川純(林遣都)はイベントサークルの代表を務め、イケメンダンサーを集めたイベントを主催してはギャルたちからチケット代を巻き上げている。資金集めに奔走しようやくIT企業のスポンサーを見つけるが、丑嶋に奪われてしまう。金に目が眩んだ二人に、丑嶋の情け容赦ない取り立てが襲いかかる……。




11-15. 日輪の遺産

監督 佐々部清
出演 堺雅人中村獅童福士誠治ユースケ・サンタマリア八千草薫
2010年 (角川映画) 134分

解説
「鉄道員」 の浅田次郎原作、 「半落ち」 の佐々部清監督による歴史ミステリー。軍の密令を受けてGHQ最高司令官マッカーサーの財宝を盗んだエリート将校と20人の少女がたどる壮絶な運命を描く。 「武士の家計簿」 の堺雅人をはじめ、中村獅童、八千草薫ら豪華キャストの競演で日本人の矜持を骨太に描き切った感動作だ。

ストーリー
終戦間近の昭和20年8月10日。帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)は、阿南陸軍大臣ら軍トップに呼集され、ある重大な密命を帯びる。山下将軍が奪取した900億円(現在の貨幣価値で約200兆円)ものマッカーサーの財宝を、秘密裡に陸軍工場へ移送し隠匿せよ―。その財宝は、敗戦を悟った阿南らが祖国復興を託した軍資金であった。真柴は、小泉中尉(福士誠治)、望月曹長(中村獅童)と共に極秘任務を遂行。勤労動員として20名の少女達が呼集される。御国のため、それとは知らず財宝隠しに加担するが、任務の終わりが見えた頃、上層部は彼女らに非情きわまる命令を下す。果たして少女達の運命は。そして財宝の行方は……。






11-15. 新吾十番勝負 第一部・第二部 総集版

監督 松田定次
出演 大川橋蔵大友柳太朗長谷川裕見子佐久間良子月形龍之介
1959年 (東映)

解説
「愛染かつら」の作者として知られる昭和の人気作家・川口松太郎が朝日新聞に連載した時代小説を、大川橋蔵の主演で映画化。「新吾十番勝負」が第四部で「完結篇」を迎えた後、引き続いて「新吾二十番勝負」3部作、さらに「新吾番外勝負」と、計8本のシリーズ映画が生み出された。本作は、1959年3月に「新吾十番勝負」の第一部、8月に同第二部が封切られた後、両作をダイジェストしてまとめた総集版。本作の後半にあたる第二部の監督を小沢茂弘が務めた以外、他のシリーズ全作の監督を手がけたのは松田定次。

ストーリー
紀州55万石の気性の荒い当主・松平頼方は、ある日、自分の大名行列を妨げた町人を斬殺。殺された町人の娘・お長は、父の仇を討とうとして逆に頼方と結ばれ、美女丸という子どもを産む。その後、頼方は紀州本家を相続して8代将軍・徳川吉宗となり、お長はお鯉の方と改名。一方、かつてお長と末を誓い合った元恋人の真崎庄三郎は、美女丸を盗み出して自らの手で育て、やがて美女丸は葵新吾という立派な青年に成長するのだが…。





11-16. 新吾十番勝負 第三部

監督 松田定次
出演 大川橋蔵長谷川裕見子佐久間良子青山京子大川恵子
1960年 (東映)

解説
川口松太郎の原作を、原作者自身と中山文夫が脚色、 「丹下左膳 濡れ燕一刀流」 の松田定次が監督した第三部。撮影も 「丹下左膳 濡れ燕一刀流」 の川崎新太郎。

ストーリー
享保十一年二月、新吾は江戸へ上った。晴れて親子対面の儀がかなったのだ。東海道を箱根路に入った時、何者かの発砲にあった。それから数日、新吾は武芸を売りものにする旅の一座藤井一家に加わっていた。放生一真流武田一真に出会った。白源流梅井多門先生の仇を討たねばならぬ。だが、そこへ一人の男が現われた。二条殿時代新吾に敗れた宗田豊之進の仇と名のる多羅尾平八である。平八とその一味との闘いに疲れた新吾は一真の一刀を受けた。気がついた時は、豪奢な夜具の中だった。かつて世話になった老中安藤家の綾姫の看護で、傷は快方に向った。新吾はさらに新しい剣の道を求め、少年小猿の次郎を案内にして中部の山岳地帯に足を入れた。ある日、次郎の口から父の仇「葵新吾」という名をきいて驚き、小松道場を訪ねた。そこの門弟は新吾が次郎の仇でないことを認めたが、するともう一人の新吾がいるはず。偽の新吾は今日小松ケ原に引き出すとなっていることが分る。が、小松ケ原に待っていたのは、柳生家直系の剣士たち、その中には平八の姿があった。はかられたのだ。新吾は平八を倒し次郎の仇を晴らした。そして、松代城の真田伊豆守に迎えられ再び江戸に上ることになった。が、新吾はまたまた城を抜け出したのである−−。





11-17. 新吾十番勝負 完結篇

監督 松田定次
出演 大川橋蔵長谷川裕見子大川恵子高松錦之助岡田英次
1960年 (東映)

解説
朝日新聞連載川口松太郎原作の映画化、第三部に続く完結篇。原作者自身と中山文夫が脚色し、第三部の松田定次が監督し、川崎新太郎が撮影した。

ストーリー
新吾は四国にいるという武田一真を求めてまた旅に出た。途中、四国に向う便船の中で白沼半十郎という侍と知り合い、行をともにして金比羅権現まで来た。そこで、丸亀藩に追われる絵師・尾形乾山を助けた。城中で、藩の指南役佐々内蔵介と立合い、これを打ちすえた。西条の城に乾山の身をあずけた新吾は、そこでお縫に会った。お鯉の方の正式使者として迎えに来ていたのだ。新吾はお縫、半十郎と藩船で江戸へ向った。と、海賊船が襲った。江戸入りを阻止しようとする老中久世大和守の計略だった。小松島から再び船に乗ろうとする新吾に一人の娘がすがりついた。秋江といい、父の笹本卯三郎が藩の責任を一身に負って打首になるという。新吾は卯三郎を救ったが、これがかえって仇となり、追手に笹木親娘は討たれた。新吾は彼らを一人残らず斬ったが、胸の中には風が吹くばかりだ。大台ケ原に戻りひたすら剣の道にはげんだ。享保十二年、柳生但馬守の名をもって江戸城内で上覧試合を行う布告が出された。わが子恋しさに病いを発したお鯉の方、それを憂う吉宗公、その心中を察した老中酒井讃岐守の思案によるものだった。宿敵武田一真も柳生流を代表して出るというので、新吾は自源流代表剣士として試合に出ることになった。試合当日、父吉宗公、お鯉の方、お縫を前に新吾は一真と対した。比叡山頂で一真の剣に伏した恩師梅井多門先生の遺骸をダビにふしてから何年たったであろう。一真を前に新吾の木刀が上った−−。




11-18. ストロベリーナイト

監督 佐藤祐市
出演 竹内結子西島秀俊大沢たかお小出恵介宇梶剛士
2013年 (東宝) 127分

解説
誉田哲也の警察小説を竹内結子主演で映像化し、人気を博したテレビドラマの初の劇場版。左目が縦に切り裂かれた4つの死体が発見され、その犯人と目される謎の男を巡って、警察内部でのトラブルに巻き込まれていく警視庁捜査一課の刑事・姫川玲子とそのチームの運命を描く。染谷将太が事件の鍵を握るミステリアスな青年を演じる。

ストーリー
雨の夜、中野東署管内で男の死体が見つかり、警視庁捜査一課・姫川玲子(竹内結子)のもとに、入院中の上司・今泉(高嶋政宏)から連絡が入る。被害者は29歳の小林充(金子ノブアキ)という男性。龍崎組傘下“仁勇会”の下部組織“六龍会”の構成員だった。体中の多数の刺し傷、縦に切り裂かれた左目という犯行方法が、5日前に起きた三鷹の殺人事件、3日前の業平橋の殺人事件と一致。連続殺人事件と見た警察は、姫川班の管轄である中野東署に合同特別捜査本部を設置。三鷹、業平橋との合同捜査となる。姫川班の他、玲子のライバル・日下(遠藤憲一)、組対四課、昇任で異動したはずの井岡(生瀬勝久)など捜査員たちが次々と会議室に集まる。各事件の被害者がすべて広域指定暴力団・龍崎組の構成員だったため、事件は内部抗争の可能性が高いとされた。会議終了後、玲子は偶然“小林充を殺したのは柳井健斗(染谷将太)”という不審なタレコミを受ける。3つの事件は果たして連続殺人事件なのか?玲子の頭を疑問がよぎるが、管理官の橋爪(渡辺いっけい)からは、“捜査線上に柳井健斗の名前が出てきても一切触れるな”という命令が下る。納得できない玲子は、姫川班と井岡を部下の菊田(西島秀俊)に託し、単独捜査を開始。菊田は石倉(宇梶剛志)、葉山(小出恵介)、湯田(丸山隆平)ら姫川班のメンバーとともに玲子の単独行動をサポートする。やがて玲子が辿り着いたのは、柳井健斗の家族を襲った9年前の悲しい事件。数日後、玲子は柳井の知り合いで成稜不動産の営業部長を名乗るマキタ(大沢たかお)という男に出会う。だが、その正体は龍崎組若頭補佐・極清会会長の牧田勲。連続殺人事件の渦中の人物だった。この出会いが玲子の人生を大きく変えてゆくことになる。一方、複雑に絡まった一連の事件は、警察の威信を揺るがし、捜査は思いがけない方向へ……。辿り着いた真実の先に玲子が見たものとは……?




11-19. ツナグ

監督 平川雄一朗
出演 松坂桃李樹木希林桐谷美玲橋本愛大野いと
2012年 (東宝)

解説
吉川英治文学新人賞に輝いた女流作家・辻村深月の同名小説を、若手注目株の松坂桃李主演で映画化したファンタジーテイストのヒューマンドラマ。死んだ人に1度だけ会わせてくれるという“ツナグ”の見習いの青年の目を通し、死者と生者の特別な絆を描き出す。監督は「ROOKIES-卒業-」の平川雄一朗。

ストーリー
たった一度だけ、死者との再会を叶えてくれる人がいるらしい―。半信半疑で依頼をしてくる人たちの前に現れたのは、ごく普通の男子高校生・歩美(松坂桃李)だった。彼は、すでに死んでしまった人との再会を仲介する使者“ツナグ”を祖母のアイ子(樹木希林)から引き継ぐ途中の見習いである。横柄な態度で、癌で亡くなった母・ツル(八千草薫)に会うことを希望する中年男性・畠田(遠藤憲一)。喧嘩をしたまま自転車事故で死んでしまった親友・御園(大野いと)に聞きたいことがある女子高生・嵐(橋本愛)。プロポーズ直後に突然失踪した恋人・キラリ(桐谷美玲)の安否を確かめたいサラリーマン・土谷(佐藤隆太)。歩美のもとには次々と依頼が舞い込んでくるが、歩美はその過程で様々な疑問を抱く。死者との再会を望むことは、生者の傲慢なのではないか。果たして会いたかった死者に会うことで、生きている人たちは救われるのか。やがてその疑問は、自身の両親の不可解な死の真相へも向けられていく……。




11-20. 真夏のオリオン

監督 篠原哲雄
出演 玉木宏北川景子堂珍嘉邦平岡祐太黄川田将也
2009年 (東宝) 119分

解説
64年前に書かれた楽譜 「真夏のオリオン」 をめぐって、繰り広げられる人々の思いや男たちの絆を描くエンタテインメント作。潜水艦と駆逐艦との迫力ある海戦シーンも見どころ。

ストーリー
現代。日本軍の潜水艦長だった祖父を持つ倉本いずみ(北川景子)のもとに英文の手紙が届く。それは第二次世界大戦当時、米軍の駆逐艦長だった人物の孫娘からのもので、いずみの祖母、有沢志津子(北川景子・二役)の署名入り楽譜が添えられていた。なぜ、日米が戦争状態にあった時代にこの楽譜が米軍人の手に渡り、60年以上に渡って保存されてきたのか。真実を知ろうと、いずみは祖父を知る唯一の生存者、鈴木(鈴木瑞穂)を訪ねる。鈴木はいずみに64年前の夏、1945年8月の体験を語り始める。第二次世界大戦末期。日本は米海軍の燃料補給路を断つ目的で沖縄南東に潜水艦部隊を配備。作戦に参加するイ-77の艦長、倉本孝行(玉木宏)とイ-81の艦長、有沢義彦(堂珍嘉邦)は海軍兵学校時代からの親友で、倉本と有沢の妹、志津子は互いに想いを寄せる仲だった。出航前、倉本は音大生だった志津子が彼の無事を願って作曲した“真夏のオリオン”の楽譜を受け取る。そこには、“オリオンよ、愛する人を導け”という手書きのメッセージが添えられていた。彼らに立ち向かうのは米軍駆逐艦パーシバル。艦長のマイク・スチュワート(ディビッド・ウィニング)は、日本軍の攻撃で弟を失っており、潜水艦撃沈に執念を燃やしていた。日本側の二重三重の防衛ラインを突破したパーシバルは、有沢のイ-88と対峙。有能な指揮官として知られた有沢だったが、スチュワートの奇策に敗れてしまう。最後の砦は倉本のイ-77。知力と体力の限りを尽くして、一歩も引かずにパーシバルに立ち向かう。だが、時間と共に被害は拡大。酸素残量が1時間となったイ-77は劣勢に立たされる。人間魚雷での攻撃を志願する特攻隊員たちに倉本は、“俺たちは生きるために戦っているんだ”と説き伏せる。やがて最後の攻撃を決意した倉本は、“真夏のオリオン”の楽譜を胸に起死回生の策に挑む。




11-21. 謎解きはディナーのあとで

監督 土方政人
出演 櫻井翔北川景子椎名桔平中村雅俊桜庭ななみ
2013年 (東宝) 121分

解説
2011年の本屋大賞で第1位に輝き、ベストセラーとなった東川篤哉のミステリー小説を、櫻井翔&北川景子主演で映像化し、人気を博したテレビドラマの初の劇場版。令嬢刑事の麗子と毒舌ながら彼女の推理を手助けする執事の影山という凸凹コンビが、シンガポールに向かう豪華客船の中で起きた殺人事件の謎に挑む姿をユニークに描く。

ストーリー
世界屈指の企業グループ総帥の令嬢でありながら新米刑事として警視庁国立署に勤める宝生麗子(北川景子)。休暇を利用して、宝生家所有の豪華客船プリンセス・レイコ号に執事の影山(櫻井翔)とともに乗り、シンガポールへ向かう。しかし船内には、有名芸術家の作品の警護にあたる、麗子の上司・風祭京一郎警部(椎名桔平)の姿もあった。出航後ほどなくして、船内で殺人事件が起こる。乗員乗客合わせて3000人が乗るプリンセス・レイコ号がシンガポールに到着するまでの5日間にさらなる被害を出さないためにも真相を解明しようとする麗子と影山だが、彼らも事件に巻き込まれてしまう……。




11-22. ロック わんこの島

監督 中江功
出演 佐藤隆太麻生久美子土師野隆之介佐原弘起岡田義徳
2011年 (東宝) 123分

解説
フジテレビの情報番組 「めざましテレビ」 で紹介されて反響を呼んだ実話をもとに、2000年の三宅島大噴火で離ればなれになった犬と飼い主一家との絆を描く感動ドラマ。わんこと子役の愛らしさ、三宅島の美しい風景が涙を誘う。監督は、フジテレビで高視聴率の“月9”ドラマを数多く手がけた 「めざましテレビ」 で紹介されて反響を呼んだ実話をもとに、2000年の三宅島大噴火で離ればなれになった犬と飼い主一家との絆を描く感動ドラマ。わんこと子役の愛らしさ、三宅島の美しい風景が涙を誘う。監督は、フジテレビで高視聴率の“月9”ドラマを数多く手がけた「冷静と情熱のあいだ」の中江功。

ストーリー
太平洋の小さな島、三宅島で民宿「たいよう」を営む野山一家。小学生の芯(土師野隆之介)は、ここで父・松男(佐藤隆太)、母・貴子(麻生久美子)と共に暮らしている。祖母・房子(倍賞美津子)の家で生まれたばかりの子犬に“ロック”と名付け、愛情を注ぐ芯。だが2000年8月、三宅島・雄山が大噴火。島外避難をすることになった野山一家だが、その矢先、ロックがいなくなってしまう。慣れない東京での避難生活が始まり、必ず島に帰る、ロックは生きている、という希望を胸に一家は毎日を懸命に生きていくのだった。そんなある日、芯たちは噴火災害動物救護センターでロックと奇跡の再会を果たす。しかし、避難住宅では犬は飼えない。次第に体調を崩し弱っていくロック。島にはいつ帰れるかもわからない。様々な不安と葛藤の中、芯はある決意をする……。




11-23. 今日、恋をはじめます

監督 古澤健
出演 武井咲松坂桃李木村文乃青柳翔山崎賢人
2012年 (東宝) 121分

解説
水波風南の同名少女漫画を、武井咲&松坂桃李という若手注目株を主演に迎えて実写映画化した青春ラブストーリー。高校入学早々、チャラ男の京汰にファーストキスを奪われた恋愛に奥手なヒロイン、つばきが、彼にひかれて変わっていく姿を描く。監督は「アナザー Another」の古澤健。

ストーリー
日比野つばき(武井咲)は、真面目が取り柄だが、ファッションセンスはイマイチのダサダサ女子高生。高校の入学式当日、成績トップに加え、ルックスも学校でナンバー1というモテ男、椿京汰(松坂桃李)と隣の席になる。ガリ勉地味系で“昭和女”の自分には、おしゃれや恋なんて縁がないと諦めていたつばきにとって、これがすべての始まりだった。クラスみんなの前で突然、京汰がつばきのファーストキスを奪った上に、“自分の彼女にする”と宣言。いきなりのキスに怒り、反発しながらも、軽薄な遊び人だとばかり思っていた京汰の隠された一面を目にして、つばきは次第に惹かれてゆく。初めてのデート、初めての恋、初めてのキス……。恋することを知り、少しずつ変わってゆく。そして京汰も、まっすぐにぶつかってくるつばきに徐々に惹かれ始める……。




j11-24. 君よ憤怒の河を渉れ

監督 佐藤純彌
出演 高倉健原田芳雄池部良大滝秀治中野良子
1976年 (松竹) 151分

解説
無実の罪を着せられた現職の検事が、執拗な刑事の追跡をかわしながら真犯人を追っていくアクション映画。原作は西村寿行の同名小説。脚本は 「金環蝕」 の田坂啓、監督は脚本も執筆している 「新幹線大爆破」 の佐藤純彌、撮影は 「金環蝕」 の小林節雄がそれぞれ担当。

ストーリー
東京地検検事・杜丘冬人は、ある日、新宿の雑踏の中で、見知らぬ女から「強盗殺人犯」と騒がれた。水沢恵子と名乗る彼女は、なおも「現金20万円とダイヤの指輪を盗まれ、強姦された」と叫んだ。その場で緊急逮捕された杜丘を、別の男寺田俊明が「この男にカメラを盗まれた」と供述した。勿論、杜丘には身に覚えのないことだったが、証拠が揃いすぎていた。完壁な罠だ。杜丘は、家宅捜査の隙をみて逃亡した。新聞は“現職検事が凶悪犯”“社丘検事即日免職”と書きたてた。杜丘は水沢恵子を捜しに彼女の郷里、能登へ向かった。恵子は本名を横路加代といい、寺田は彼女の夫の横路敬二と判明した。だが、その時にはすでに加代は殺されていた。杜丘は、加代あての手紙から、横路敬二が、北海道の様似に居ることを知り、北海道に飛んだ。杜丘の逮捕状は「強盗犯」から「横路加代殺人容疑」にきりかえられた。その頃、警視庁捜査一課の矢村警部は、横路の経歴を洗い、彼がモルモットやハツカネズミを飼育し、製薬会社の実験用に売りさばいていたことをつきとめたが、杜丘との関係はでてこなかった。北海道様似で、杜丘は横路の家を見つけたが、そこには刑事が待ちうけており、杜丘は警察の手を逃れて、日高山中の林の中に逃げ込んだ。だが、その杜丘を、散弾銃を待った二人の男が追って来た。逃げる杜丘はある事件を回想した−−。ホテルのレストランから飛び降り、即死した朝倉代議士。証人である政界の黒幕・長岡了介は飛び降り自殺だと言い、矢村警部は自殺説を主張し、杜丘は他殺説をとった。あの日、杜丘は朝倉の妾が経営している新宿の小料理屋に聞き込みに行った。そして、横路加代がいきなり−−。矢村の追跡は執拗だった。その非常線を突破して、深い森の中に入り込んだ杜丘は、獣の罠に仕掛けてあった銃をとりはずした。その時、巨大な熊が、若く美しい女にいましも襲いかかろうとしていた。熊めがけて発砲した杜丘だが、その瞬間、銃も杜丘もはねとばされ、激流に落ちた。翌日、杜丘は、遠波牧場の寝室のベッドで目を覚ました。昨日、熊に襲われそうになった牧場の娘、真由美が、今度は杜丘を救ったのだった。真由美の父、遠波善紀は北海道知事選に立候補中だったので、一人娘が杜丘に好意をよせているのに困惑していた。が、彼の秘書の中山が警察に通報した。真由美は杜丘を奥深い山の中の小屋にかくまった。しかし、食料を運ぶところを矢村に尾けられ、杜丘は逮捕された。その時、いつかの熊が三人を襲い、矢村が負傷した。杜丘と真由美は矢村を介抱したが、気がついた矢村がなおも杜丘を逮捕しようとしたので、杜丘は再び逃げた。岩場の穴に逃げ込んだ杜丘と真由美は二人の愛を誓い合った。一方、遠波は、娘のために知事選をあきらめ、杜丘を逃がす決心をした。牧場の周囲は警察が包囲しているため、自家用セスナ機を杜丘に提供した。操縦のできない杜丘だが、命を賭けた。止めるようにと絶叫する真由美を後にセスナは本州へと飛びたった。セスナは東京付近の海岸に着水し、杜丘は、警察の裏をかいて東京に潜入した。その頃、真由美も牧場の仕事で東京に来ており、杜丘が新宿で警察に包囲されていた時、馬を暴走させ杜丘を救出した。やがて、杜丘は横路が何者かに強制収容された精神病院に患者を偽って潜入。長岡了介が院長・堂塔に命じて、秘かに新薬の生体実験をしているのをつきとめた。やがて院長は自殺。今では杜丘に協力している矢村とともに杜丘は、長岡を射ち殺した。そして、検事に復職するように、と言う伊藤検事正に「二度と人を追う立ち場にはなりたくない」といって断わり、真由美とともに去って行くのだった。




11-25. スイートリトルライズ

監督 矢崎仁司
出演 中谷美紀大森南朋池脇千鶴小林十市大島優子
2010年 (ブロードメディア・スタジオ)

解説
江國香織の同名小説を映画化。夫を大切に思いながら、他の男性に惹かれてしまう妻と、同じく別の女性に惹かれてしまう夫の姿を描く、美しくも切ない大人のラブ・ストーリー。

ストーリー
テディベア作家の岩本瑠璃子(中谷美紀)とIT企業に勤務している岩本聡(大森南朋)の夫婦には子供はおらず、今でも恋人同士のような穏やかな雰囲気がある。しかし結婚して数年を迎える2人は自然と肉体関係はなくなり、聡は鍵をかけた自室でTVゲームをする時間が増えている。用事があると携帯電話で聡を呼び出す瑠璃子たちの関係は、聡の妹・岩本文(大島優子)からはおかしな夫婦だと呆れられているが、瑠璃子は自分たちが繋がっていると信じていた。瑠璃子のマネージャー・藤井登美子(黒川芽以)に、非売品のベアを譲ってほしいと電話で懇願していた津川春夫(小林十市)が、瑠璃子のベアの個展にやってくる。瑠璃子は春夫の実直さに心を打たれ、そのベアを譲る。その後2人はレンタルビデオ屋で再会し、恋に落ちる。聡は大学のダイビングサークルのOB会で、後輩・三浦しほ(池脇千鶴)と再会する。聡に好意を寄せるしほは、積極的に聡にアプローチする。聡も次第にしほに惹かれ、デートを重ねる。しほは聡に、伊豆の海にダイビングに行きたいと言う。聡は瑠璃子を連れて伊豆に行き、海に入らない瑠璃子に隠れてしほと体を重ねる。そのころ、春夫も伊豆に来ていた。瑠璃子も春夫と共に時間を過ごす。瑠璃子と聡は伊豆から帰ってからも、何事もなかったかのように過ごしていた。しかし、春夫が恋人の美也子(安藤サクラ)と別れると言い出す。瑠璃子は春夫に、重い口を開く。美也子と春夫は破局を迎えるが、瑠璃子も春夫から去る。一方、聡はしほと関係を続けていた。ある日瑠璃子は、近所の老女・君枝(風見章子)が飼う犬のビンゴが死んでいるのを見つける。瑠璃子と聡はビンゴを庭に埋葬する。その夜、2人は久しぶりに一緒のバスタブに浸かる。2人の間に、静かで暖かい空気が流れる。




11-26. 梟の城

監督 篠田正浩
出演 中井貴一鶴田真由葉月里緒奈上川隆也永澤俊矢
1999年 (東宝) 138分

解説
梟と呼ばれる忍者としての誇りをかけ、秀吉暗殺に乗り出した伊賀者の生き様を描いた時代活劇。監督は 「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」 の篠田正治。第42回直木賞を受賞した司馬遼太郎の同名小説を基に、篠田監督と 「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」 の成瀬活雄が脚色。撮影を 「秘祭」 の鈴木達夫が担当している。主演は 「愛を乞うひと」 の中井貴一。

ストーリー
天正9年、織田信長によって伊賀全土は焼き払われ、大量虐殺が行われた。それから10年後、山奥で隠遁生活を送る伊賀忍者の生き残り、葛篭重蔵の元に、かつての師匠である下柘植次郎左衛門が現れ、堺の豪商、今井宗久から金で請け負った任務を彼に与えた。それは、太閤秀吉の暗殺。重蔵は、一族を惨殺した信長への怨みを時の権力者、秀吉に重ね合わせることでその任務を引き受けると、山を下りた。さて、そんな重蔵の前に小萩という謎の女が現れる。彼女は宗久の養女ということだったが、実は秀吉暗殺の黒幕である徳川家康の腹心の服部半蔵にマインド・コントロールされたくノ一で、重蔵の動向を見張る役目を負っていた。だがその一方でふたりは通じ合い、お互いを秘かに愛するようになってしまう。重蔵の下には頼もしい部下がいた。軽業師に化けた女忍者、木さる、刀の研屋として京の町に潜伏した黒阿弥_、彼らはみんな重蔵と一緒に秀吉暗殺の機会を狙っている。しかし、そんな彼らの前にかつての仲間で、今は伊賀を裏切り前田玄以に奉行として仕える風間五平が立ちはだかった。彼は、秀吉暗殺を企む重蔵を捕らえることで、玄以に出世の約束をされていたのである。重蔵の敵は五平だけではなかった。甲賀の総帥、摩利支天洞玄もまた、玄以に雇われ重蔵抹殺を狙っていた。ところでその頃、淀君が懐妊との知らせが家康の耳に入っていた。世継ぎが誕生すれば豊臣家は安泰。大名たちの謀反も期待できなくなる。そこで、家康は急遽朝鮮出兵を控え九州の名護屋城に出陣していた秀吉の暗殺計画を撤回すると、それを知る者たちを次々に抹殺していくよう半蔵に命じるのであった。重蔵もそのことを小萩から聞かされるが、しかし、今や彼にとって秀吉暗殺は仕事ではなく、忍びの者としての生き甲斐となっていた。洞玄を倒し、単身伏見城に乗り込んでいく重蔵。だが、そこで初めて秀吉と対面した彼は、思ったよりも老いぼれていた太閤の命乞いをあっさりと聞き入れ、彼を殴っただけで引き返してきてしまう。ところがその途中、彼は五平の奇襲に見舞われる。辛くも五平をかわし、逃げることに成功する重蔵。一方、城の警備に捕らえられた五平は石川五右衛門として処刑された。その後、愛する小萩の元へ戻った重蔵は、彼女とふたり、山の中の家でひっそりと暮らすのであった。




11-27. プリンセス トヨトミ

監督 鈴木雅之
出演 堤真一綾瀬はるか岡田将生沢木ルカ森永悠希
2011年 (東宝) 119分

解説
鴨川ホルモー」の人気作家・万城目学の同名作を映画化した奇想天外な物語。国家予算の使途を調査するために大阪を訪れた会計検査院の3人の調査官が、大阪にまつわる底知れぬ謎に巻き込まれていく姿を描く。同じく万城目原作のテレビドラマ 「鴨川ホルモー」の人気作家・万城目学の同名作を映画化した奇想天外な物語。国家予算の使途を調査するために大阪を訪れた会計検査院の3人の調査官が、大阪にまつわる底知れぬ謎に巻き込まれていく姿を描く。同じく万城目原作のテレビドラマ「鹿男あをによし」でコミカルな演技を披露した綾瀬はるかが女性調査官を好演。

ストーリー
7月8日金曜日、午後4時――大阪が全停止した。遡ること4日前の月曜日。東京から大阪に3人の会計検査院調査官がやって来た。税金の無駄遣いを許さず、調査対象を徹底的に追い詰め“鬼の松平”として怖れられている松平元(堤真一)。その部下で、天性の勘で大きな仕事をやってのけ“ミラクル鳥居”と呼ばれている鳥居忠子(綾瀬はるか)、日仏のハーフでクールな新人エリート調査官、旭ゲーンズブール(岡田将生)。彼らは順調に大阪での実地調査を進め、次の調査団体のある空堀商店街を訪れる。その商店街には、ちょっと変わった少年少女がいた。お好み焼き屋「太閤」を営む真田幸一(中井貴一)と竹子(和久井映見)夫婦の一人息子・真田大輔(森永悠希)は、女の子になりたいという悩みを抱えていた。その幼馴染・橋場茶子(沢木ルカ)は、大輔とは対照的に男勝りでいつも大輔を守っていた。そんな商店街を訪れた調査員一行は、財団法人「OJO(大阪城跡整備機構)」に不信な点を感じる。だが、徹底的な調査を重ねるも、経理担当の長曽我部(笹野高史)にのらりくらりとかわされ、諦め始めた鳥居も「これでOJOが嘘をついているとしたら、大阪中が口裏を合わせていることになりますよ」と不満をもらす。そのとき、松平の脳裏にある考えが閃いた。「そうだ、大阪の全ての人間が口裏を合わせている……」意を決して再びOJOを訪れた松平の前に現れたのは、お好み焼き屋「太閤」の主人・真田幸一。そして「私は大阪国総理大臣、真田幸一です」と発せられたその言葉に松平は耳を疑った……。




11-28. ひまわりと子犬の7日間

監督 平松恵美子
出演 堺雅人中谷美紀でんでん若林正恭吉行和子
2013年 (松竹) 117分

解説
一度は人間不信に陥っていた犬が、“ひまわり”の名を受けて愛され、再び人間への信頼を取り戻していくさまを描く感動作。07年に宮崎県で起きた実話を基に、20年にわたって、山田洋次監督作の共同脚本や助監督を務めてきた平松恵美子が映画化した。堺雅人が心優しい主人公に扮し、中谷美紀、吉行和子、でんでんら個性派が共演する。

ストーリー
ある冬の日、保健所に生まれて間もない子犬たちとその母犬が連れてこられる。母犬は近づく人があれば激しく吠え、子犬たちを命がけで守ろうとしていた。普段から殺処分される犬を一匹でも減らそうと里親探しに奔走する職員の神崎彰司(堺雅人)はこの様子を見て、この母犬と子犬の命を守ろうと決心する。殺処分までは7日間。このわずかな期間に、新たな飼い主を見つけて人のもとで暮らせる犬として譲渡できるようにするのは至難の業である。しかし神崎は母犬が子犬を愛する様子を見て、母犬はかつて人に大切にされていたのではないかと思う。神崎は妻を事故で亡くしており、命の尊さを知る娘からも母犬と子犬が一緒にいられるようお願いされる。神崎は規則を破り収容期間を延長。また太陽の下で暮らせるように母犬に「ひまわり」と名前をつけ、母犬の心をなんとか開かせようとするが、期限は刻一刻と迫っていた……。




11-29. すーちゃん まいちゃん さわ子さん

監督 御法川修
出演 柴咲コウ真木よう子寺島しのぶ木野花銀粉蝶
2012年 (スールキートス) 106分

解説
漫画家やエッセイストとして活躍する益田ミリの人気4コマ漫画シリーズを、柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶという豪華顔合わせで実写映画化したヒューマンドラマ。十数年の友人である3人の女性、それぞれが日常生活で抱く複雑な思いがつづられる。監督は「世界はときどき美しい」の御法川修。

ストーリー
料理好きで十数年カフェで勤務し、最近では職場の中田マネージャー(井浦新)に関心を寄せているすーちゃん(柴咲コウ)。OA機器メーカーに勤め、実りのない恋愛をしているまいちゃん(真木よう子)。母と二人で祖母を介護している、WEBデザイナーのさわ子さん(寺島しのぶ)。3人はかつて一緒にアルバイトをしていた仲間で、それから十数年経ちそれぞれの道を歩みながらも、友情は続いている。自分の年齢のことや結婚のこと、お金のこと、これからのことなどを考えると、不安がよぎることもある。これまでに歩んできた道を振り返って、これでよかったのか悩むこともある。それでも3人は小さな幸せに目を向け、今を生きていく。




11-30. 悪魔の手毬唄

監督 市川崑
出演 石坂浩二岸惠子北公次永島暎子渡辺美佐子
1977年 (東宝)

解説
古い因習と二大勢力、仁礼家と由良家の対立する鬼首村に次々と怪奇な連続殺人事件が突発するという横溝正史の同名小説の映画化。脚本は久里子亭、監督は 「犬神家の一族」 の市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。

ストーリー
古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村(オニコベムラ)。青池歌名雄は、葡萄酒工場に勤める青年。歌名雄には、由良泰子という恋人がおり、仁礼文子もまた、歌名雄が好きであった。この由良家と仁礼家は、昔から村を二分する二大勢力であった。しかし、二十年前に、恩田という詐欺師にだまされ、それ以来由良家の、勢いはとまってしまい、逆に仁礼家が前にもまして強くなった。その時、亀の湯の源治郎、つまり歌名雄の父親が判別のつかない死体でみつかった。この事件を今も自分の執念で追いかけているのが磯川警部。磯川は、ナゾをとくために、金田一耕助に調査を依頼する。金田一は、最初に恩田と特にかかわりがあった多々良放庵に会う。その頃、村では大騒ぎ。というのも、別所千恵が、今では人気歌手・大空ゆかりとなり、今日はその千恵の里帰りの日であった。その晩、千恵の歓迎会の時に、第一の殺人事件が起きた。泰子が何者かによって殺されたのだった。そして、泰子の通夜の晩、葡萄工場の発酵タンクの中に吊り下げられて死んでいる文子を発見。この二つの殺人事件には、この地方につたわる、手毬唄の通りに行なわれていることを金田一は発見。そして、文子の通夜の晩、犯人は、千恵に入れかわっている里子を殺してしまう。この犯人は、青池リカで、里子は、母親が犯人であることを知り、千恵の身がわりになったのである。金田一の捜査により、恩田と源次郎は同一人物であることがわかる。そして、恩田=源次郎は、千恵、泰子、文子の実の父親であった。リカは、それらの娘たちと血のつながる歌名雄をいっしょにできないと思い娘たちを殺してしまったのである。リカは、犯行を自供後、沼に入って自殺を測る。




11-31. 沓掛時次郎

監督 池広一夫
出演 市川雷蔵新珠三千代杉村春子島田竜三青木しげる
1961年 (大映)

解説
長谷川伸の原作を、宇野生男と松村正温が脚色し、「天下あやつり組」の池広一夫が監督した、おなじみの股旅もの。撮影は「用心棒」の宮川一夫。

ストーリー
信州沓掛生れの時次郎は渡世の義理から、六ツ田の三蔵に一太刀浴びせるが、三蔵の女房おきぬへの溜田の助五郎の横恋慕の果てと知って、逆に助五郎らに立ち向かった。卑怯な助五郎らは深傷の三蔵を斬って逃げた。三蔵は苦しい息の下から女房おきぬと伜太郎吉を時次郎に託した。時次郎は二人を連れて、熊谷宿まで逃げのびるが、おきぬはそこで病いに倒れた。人のいい旅籠桔梗屋の女将おろくは何かと面倒をみてくれた。医者玄庵の診察でおきぬは身重であることが分った。時次郎は、おきぬの父親源右衛門が足利在にいると知って、足利在に源右衛門を訪ねておきぬ母子の苦衷を訴えたが、親を捨ててやくざと一緒になった不幸者に用事はないと冷たく突っ放されてしまった。おきぬの病気回復をまって時次郎とおきぬは門付けを始めた。助五郎のふれ書で時次郎のことを知った、助五郎の兄弟分聖天の権蔵は、時次郎の留守を狙って太郎吉を人質にさらおうとした。これを救ったのは、熊谷宿の貸元八丁畷の徳兵衛だった。時次郎から事情を聞いた八丁徳は時次郎をかばった。かねてから、八丁畷の縄張を狙っていた聖天の権は助五郎に通報。八丁徳へ喧嘩状を叩きつけた。その頃、おきぬは再び病いに倒れた。時次郎は八丁徳の助っ人を買ってでた。その助ッ人料の十両をおろくの手に渡して修羅場へ向った。夜の天神の森に対峙した八丁徳と聖天の権蔵。その頃、助五郎らは、聖天の用心棒赤田を道案内に桔梗屋を襲っていた。気丈に太郎吉をかばうおきぬに赤田の当身が飛んだ。悶絶したおきぬを拉致しようとした時、権蔵を斬った時次郎が飛びこんできた。太郎吉を庇って時次郎は助五郎、赤田を斬り倒していった。悶絶したおきぬは再び目を開かなかった。時次郎は、太郎吉を足利在の源右衛門に渡した。源右衛門と女房おとわは喜んで太郎吉を預かった。「やくざの垢を落したらきっと逢いに来ます」と言って時次郎は去っていった。




11-32. 映画 ひみつのアッコちゃん

監督 川村泰祐
出演 綾瀬はるか岡田将生谷原章介吹石一恵塚地武雅
2012年 (松竹) 120分

解説
魔法少女ものの先駆けとして知られ、3度にわたってテレビアニメ化された赤塚不二夫の傑作コミックを、誕生50周年を記念し、実写映画化したラブ・ファンタジー。綾瀬はるかがヒロインの大人の姿を演じ、おなじみの“テクマクマヤコン”という呪文で、フィギュアスケーターにCA、バイクレーサー、OL、ナースなど様々な姿に変身する。

ストーリー
メイクやオシャレが大好きな22歳の女のコ、加賀美あつ子(=アッコ)(綾瀬はるか)は。ある日化粧品会社のエリート社員、早瀬尚人(岡田将生)にスカウトされ、同じ会社でアルバイトすることになった。だがアッコは働いた経験ゼロ。仕事も失敗続きで、こわ〜い(女の)先輩からもにらまれる毎日……。しかし尚人だけはアッコの驚くようなアイデアを面白がり、いつもアッコの味方でいてくれた。やがて二人に芽生えたほのかな恋心。ところが、アッコには尚人に絶対言えない秘密があった。実はアッコは、なりたいものになれる魔法のコンパクトでオトナに変身した小学生だったのだ。この秘密を誰かに知られたら、二度と元の世界には戻れない。大切な恋も終わってしまう。そんな中、会社に世の中を騒がす大きなトラブルが発生。ありえない事態が次から次へと巻き起こり、尚人にもまさかのピンチが訪れる。アッコは尚人を救うため、自分の身を投げ打ってある行動に出る。アッコは大好きな彼を救えるのか。そして肝心な恋の行方は……。




11-33. 犬神家の一族

監督 市川崑
出演 石坂浩二高峰三枝子三條美紀草笛光子あおい輝彦
1976年 (東宝)

解説
名探偵金田一耕肋を主人公にした横溝正史の同名小説の映画化で、湖畔にそびえる犬神邸に次々と発生する怪奇な連続殺人事件に挑む金田一耕肋の活躍を描く。脚本は 「反逆の旅」 の長田紀生と日高真也、市川崑の共同、監督は 「妻と女の間」 の市川崑、撮影は同じ 「妻と女の間」 の長谷川清がそれぞれ担当。

ストーリー
日本の製薬王といわれた信州・犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛は、自分の死後の血で血を洗う葛藤を予期したかのような不可解な遺言状を残して他界した。犬神家の顧問弁護士、古館恭三の助手、若林は、莫大な遺産相続にまつわる一族の不吉な争いを予期して、金田一耕肋に助力を得るための手紙を送ったが、那須に着いた金田一と顔を合わさぬまま、何者かに毒入り煙草で殺害された。奇怪な連続殺人事件は、若林の死からその第一幕が切って落された。佐兵衛は生涯妻子を持たず、松子、竹子、梅子という腹違いの三人の娘があり、松子には佐清、竹子には佐武と小夜子、梅子には佐智という子供がいる。そして、犬神家には佐兵衛が今日の地盤を築いた大恩人である野々宮大式の孫娘、珠世も住んでいた。問題の遺言状は佐清の復員を待って公開されることになっていたが、戦争で顔を負傷した佐清は、仮面をかぶって一族の前に現われた。ところで遺言状の内容は、犬神家の全財産と全事業の相続権を意味する三種の家宝、斧(よき)、琴、菊を佐清、佐武、佐智のいずれかと結婚することを条件に、珠世に譲渡する、というものだった。だが、佐武は花鋏で殺され、生首だけ菊人形の首とすげかえられ、佐智は琴糸を首に巻きつけられて、そして、佐清も斧で殺された。犬神家の家宝「斧(よき)、琴、菊」(よきこと聞く)は、いまや祝い言葉ではなく、呪いの連続殺人の呼称となった。犯行現場付近には、いつも珠世と猿蔵の姿があった。私立探偵金田一耕助によって血で血を洗った犬神家の系譜が次々と過去にさかのぼって解明されていく。




11-34. 宇宙兄弟(2012)

監督 森義隆
出演 小栗旬岡田将生麻生久美子濱田岳新井浩文
2012年 (東宝) 129分

解説
国内2大漫画賞をW受賞した小山宙哉の同名ベストセラー・コミックを、実力派若手キャストの共演で映画化。「岳 ガク」の小栗旬と「アントキノイノチ」の岡田将生がそれぞれ、前向きだが不器用な兄と、クールで天才肌の弟に扮して感動の兄弟ドラマを繰り広げる。「ひゃくはち」で高く評価された森義隆の監督第2作目となる。

ストーリー
西暦2025年。幼い頃に兄弟で交わした「二人で宇宙飛行士になる」という約束通り、弟・ヒビト(岡田将生)は宇宙飛行士となったが、兄・ムッタ(小栗旬)は、会社をクビになり無職となってしまう。大きく異なった運命を歩んでいた二人の兄弟。そんなある日、ヒビトからの1本の電話をきっかけに、ムッタは再び宇宙を目指し始める。夢を追い続けたヒビトと、夢を思い出したムッタ。いま、二人の壮大な夢が動き出した……。




11-35. 極道の妻たちII

監督 土橋亨
出演 十朱幸代かたせ梨乃木村一八竹内力光石研
1987年 (東映) 119分

解説
極道の妻たちの世界を描いた 「極道の妻たち」 の第二弾。家田荘子の同名ルポルタージュの映画化で、脚本は前作の高田宏治、監督は 「燃える勇者」 の土橋亭、撮影は水巻祐介がそれぞれ担当。

ストーリー
重宗遊紀は大阪・港南市に縄張りを持つ重宗組四代目の妻だが、夫の孝明が気弱なうえ下手な博変と女道楽にうつつを抜かしているので、一人で組を仕切らなければならなかった。そんなとき関西新国際空港の工事をめぐって磐城四天王の一つである和歌山の河東組と利権争いが起こった。尼崎の萬代組系磐城組組長からは重宗組の家と土地、代紋を三億円で譲るよう迫られる。孝明は情痴の果て女に撃たれて入院。資産もなく苦境に立たされた遊紀だが女組長・八橋松代の紹介で知り合った木本燎二の計らいでバクチに勝った。木本はかつて磐城の兄弟分だったが、今は絶縁されている仲。また、彼は恋人だったモデルの榎麻美との間に娘もおり、二人のためにカタギになろうとダンプの運転手として働いていた。一方、遊紀はやがて夫がガンに犯されていることを知る。しかし、木本も遊紀もいつかは磐城と決着をつけなければならなかった。二人は韓国の斉州島で行われる磐城の萬代組五代目襲名披露の席、バクチで一世一代の勝負に出ることを決意、資産づくりの旅に出かけた。木本のイカサマの腕で襲名披露でも事は思惑通りに進み大金を手にした二人だが、木本のほうは大阪で麻美と会っているところを磐城の手下に襲われ殺されてしまう。遊紀は単身、磐城の事務所に乗り込み、河東、金崎、元木らもいる前で「重宗の代紋は守り抜く」と啖呵をきった。




11-36. 息子

監督 山田洋次
出演 三國連太郎永瀬正敏和久井映見田中隆三原田美枝子
1991年 (松竹) 121分

解説
息子」は、1991年公開の日本映画。製作・配給会社は松竹で、監督は山田洋次。椎名誠の小説「倉庫作業員」を原作として山田と朝間義隆が脚本を担当。岩手県の山奥で暮らす父親と、都会でフリーターを続ける息子との葛藤と心の変化を描いた社会派ドラマ。第15回日本アカデミー賞や第65回キネマ旬報ベスト・テンなど、数多くの映画賞を受賞した。

ストーリー
東京の居酒屋でアルバイトをしている哲夫は、1990年(平成2年)7月(バブル景気時)、母の一周忌で帰った故郷の岩手でその不安定な生活を父の昭男に戒められる。その後、居酒屋のアルバイトを辞めた哲夫は下町の鉄工所にアルバイト(後に契約社員へ登用)で働くようになるが、製品を配達しに行く取引先で征子という美しい女性に好意を持つ。哲夫の想いは募るが、あるとき彼女は聴覚に障害があることを知らされる。当初は動揺する哲夫だったが、それでも征子への愛は変わらなかった。翌年の1月に上京してきた父に、哲夫は征子を紹介する。彼は父に、征子と結婚したいと告げるのだった。




11-37. 写楽

監督 篠田正浩
出演 真田広之フランキー堺岩下志麻葉月里緒奈佐野史郎
1995年 (松竹=松竹富士) 138分

解説
寛政6年から7年にかけて浮世絵界に突如として現れ、およそ140種の役者絵と相撲絵を残して消えた謎の浮世絵師・写楽の、霧に包まれた正体に迫る歴史ドラマ。監督は 「少年時代」 の篠田正浩。撮影を鈴木達夫、音楽を96年に急逝した武満徹が担当。また、“写楽研究家”としても知られている俳優・フランキー堺が、企画総指揮に当たっている。松竹創業100年記念協賛作品。95年度キネマ旬報ベストテン第5位。

ストーリー
寛政3年、人口100万を越えた江戸は、最も華やかな時代を迎えようとしていた。市川團十郎の舞台を見物していた大道芸人のおかんは、團十郎の上る梯子を支える稲荷町役者・十郎兵衛がその梯子に足を潰されて血を流しているのを発見。その後、役者として使いものにならなくなってしまった彼を、大道芸の道に引き込んだ。大道芸人となった十郎兵衛は、とんぼと呼ばれるようになり、おかんたちと一緒に吉原界隈などに現れてはケチな商売をして金を稼ぎながら、歌舞伎小屋に出入りして書割りを描く手伝いをするようになっていた。一方その頃、京伝や歌麿といった人気浮世絵師を抱える版元“蔦屋”の主人・十三郎は、京伝の描いた洒落本がお上のご禁令に触れ、手鎖50日の刑に服していた。このことに不安を感じた歌麿は、蔦屋を見限って他の版元へ鞍替えする。いっぺんに二人の売れっ子を失ってしまった蔦屋は、起死回生を図ろうと幾五郎や鉄蔵などを使って役者絵に挑戦するが、なかなか思うようにことは運ばない。そんなある日、鉄蔵が一人の名もない男が描いたという絵を蔦屋に届けに来た。決して上手いとは言えない絵ではあったが、溢れかえるような毒気に魅力を感じた蔦屋は、早速その絵の描き主・十郎兵衛を探し出し、役者絵を描くように説得を試みるのだった。かくして東洲齊冩樂が誕生し、その絵は世間や役者たちに反感を買いながらも、一世を風靡するほどの話題を江戸に撒き散らすことになる。しかし、この恐るべき才能に最も敏感に反応したのが歌麿だった。彼は自分の地位を危ぶみ、必死になって冩樂なる謎の人物を探し、ついにそれが十郎兵衛であることを突き止める。十郎兵衛を前にした歌麿は、それが度々吉原に姿を現していた大道芸人であったことを想い出し、しかも彼が自分の贔屓の花魁・花里と目を交わす仲であったことから嫉妬の炎を燃やして、二人を江戸から追放させようとした。逃げる十郎兵衛と花里はすぐに追っ手に捕らえられ、十郎兵衛は拷問を受け、花里は薄汚い女郎屋に売られてしまう。寛政9年、蔦屋の葬儀の日、立派な葬式行列や見物人の中には、歌麿や幾五郎(十遍冩一九)、鉄蔵(葛飾北齊)、そして再び大道芸人に戻った十郎兵衛の姿があった。




11-38. 毎日かあさん

監督 小林聖太郎
出演 小泉今日子永瀬正敏矢部光祐小西舞優正司照枝
2011年 (松竹) 114分

解説
人気漫画家・西原理恵子の自伝的ベストセラー・コミックを小泉今日子主演で映画化。6歳と4歳の子供に振り回されながらの楽しい生活と漫画家として活躍する一方で、アルコール依存症と格闘する夫との離婚問題をありのままにつづる。元戦場カメラマンの夫に扮した永瀬正敏と小泉の共演が実現。監督は「かぞくのひけつ」の小林聖太郎。

ストーリー
今日もサイバラ家に、嵐のような朝がやってきた。仕事場の机で寝てしまったサイバラリエコ(小泉今日子)を大声で起こす母トシエ(正司照枝)。息子のブンジ(矢部光祐)は6歳になってもまだオネショのクセが治らない。ブンジと4歳の娘フミ(小西舞優)を保育園に送り届けるが、サイバラのママ友でもある麦田さん(鈴木砂羽)が5人の息子たちを体育座りさせ点呼をしたり、子供たちが走り回ったりとそこは戦場のような世界。そんな保育園を後にして、ようやく忙しい朝は一段落するが、締め切りに追われる人気漫画家のサイバラは休む暇もなく仕事開始。優秀なアシスタントの愛ちゃん(田畑智子)と共に夜遅くまで働くのだった。だが仕事が終わると、次は子供たちを寝かせる時間だ。一日の終わりのひと時の楽しみは、子供たちは絵本、母は酒。サイバラが子供たちの布団の中でグラス片手に絵本を読み聞かせると、目まぐるしい一日も何とか無事に終わりを迎える。一方、元戦場カメラマンの夫カモシダ(永瀬正敏)は、アルコール依存症で病院に入院中。ところがある日、勝手に退院してきた彼は、作家になると宣言したものの原稿も書かずにまた酒に手を伸ばしてしまう。やがてカモシダの心は日に日に混乱し、妄想がひどくなり、とうとうサイバラは彼に離婚届けを渡す。失ったものの大きさに気付いたカモシダは、完全隔離された病院に転院することを決意。海辺の病院に入院する彼を見送るために、4人の元家族は久しぶりに再会する。サイバラは、友人のゴンゾ(古田新太)に紹介されて、バンコクで初めてカモシダと会った時のことを思い出していた。時は流れ、子供たちも父親の不在に寂しさを募らせる中、遂にカモシダが依存症を克服、サイバラは元夫を家族として再び迎え入れる。しかし、喜びも束の間、今度はカモシダのガンが発覚。ようやくしっかりと手を繋いだ家族に、避けられない別れが待っていた……。




11-39. 浮草

監督 小津安二郎
出演 中村鴈治郎京マチ子若尾文子浦辺粂子三井弘次
1959年 () 119分

解説
お早よう」 のコンビ野田高梧と小津安二郎の共同脚本を小津安二郎が監督したもので、ドサ廻り一座の浮草稼業ぶりを描いたもの。撮影は 「」 の宮川一夫が担当した。

ストーリー
志摩半島の西南端にある小さな港町。そこの相生座に何年ぶりかで嵐駒十郎一座がかかった。座長の駒十郎を筆頭に、すみ子、加代、吉之助など総勢十五人、知多半島一帯を廻って来た一座だ。駒十郎とすみ子の仲は一座の誰もが知っていた。だがこの土地には、駒十郎が三十代の頃に子供まで生ませたお芳が移り住んで、駒十郎を待っていた。その子・清は郵便局に勤めていた。お芳は清に、駒十郎は伯父だと言い聞かせていた。駒十郎は、清を相手に釣に出たり、将棋をさしたりした。すみ子が感づいた。妹分の加代をそそのかして清を誘惑させ、せめてもの腹いせにしようとした。清はまんまとその手にのった。やがて、加代と清の仲は、加代としても抜きさしならぬものになっていた。客の不入りや、吉之助が一座の有金をさらってドロンしたりして、駒十郎は一座を解散する以外には手がなくなった。衣裳を売り小道具を手放して僅かな金を手に入れると、駒十郎はそれを皆の足代に渡して一座と別れ、お芳の店へ足を運んだ。永年の役者稼業に見切りをつけ、この土地でお芳や清と地道に暮そうという気持があった。事情は変った。清が加代に誘われて家を出たまま、夜になりても帰って来ないというのだ。駅前の安宿で、加代と清は一夜を明かし、仲を認めてもらおうとお芳の店へ帰って来た。駒十郎は加代を殴った。清は加代をかばって駒十郎を突きとばした。お芳はたまりかねて駒十郎との関係を清に告げた。清は二階へ駆け上った。駒十郎はこれを見、もう一度旅へ出る決心がついた。夜もふけた駅の待合室、そこにはあてもなく取残されたすみ子がいた。すみ子は黙って駒十郎の傍に立って来た。所詮は離れられない二人だったようだ。




11-40. 難波金融伝 ミナミの帝王 劇場版PART VI 偽装結婚

監督 加藤泰
出演 萬屋錦之介池内淳子中村錦之助弓恵子高松錦之助
1966年 (東映) 90分

解説
人気コミックを映画化したシリーズ第6作。平成不況をものともしない、天下無敵の高利貸し・萬田銀次郎が悪徳業者を相手に今回も大暴れする。借金を焦げ付かせている男が台湾人ホステスのリンダと結婚したと聞き、銀次郎は妻のところへ取り立てに向かった。だが、リンダは夫の名前すら知らない。実は結婚は偽装で、その裏にはアジアの女性を相手に偽装結婚を斡旋し、日本永住権を高く売り付ける組織があったのだった……。

ストーリー
あちらこちらに借金をしては、それをコゲつかせている津川は、金貸しの吉永に戸籍を貸せば借金はチャラにしてやるという話を持ち掛けられ、嫌と言う間もなく会ったこともない台湾人の女・リンダと結婚させられしまう。一方、やはり津川に金を貸していた銀次郎は、津川が結婚したという情報を聞きつけて、夫の借金は妻のもの、とばかりリンダの元へ借金を取り立てに行った。しかし、リンダはリンダで津川には会ったことすらなく、さらに彼女もクラブ「乱」のママ・麗子に多額の借金をしており、それどころではなかった。津川の返済期日の日、再びリンダの元を訪れた銀次郎は、リンダが姿をくらましたと麗子から聞かされる。だが、麗子にうさん臭さを感じた銀次郎は、何かウラがあるような気がして調査を開始する。そんな矢先、竜也が半殺しの目にあった。怒りに燃えた銀次郎は、素性を偽って「乱」に潜り込んだ佳子から、麗子と吉永がグルになって、ジャパユキさんたちが日本国籍を得るための偽装結婚を斡旋して、利益を貪っていることをつきとめる。さらにリンダの居場所を探った銀次郎たちはリンダが働く別府へと飛び、麗子たちの影に潜む組織の正体を掴むのであった。それは、かつて沢木親分から1000万円の借金をして消息を絶っていた山本という男だったのである。銀次郎は麻子にクラブのママと偽って山本に接近させ、山本に女の子を手配をするよう頼む。だが、山本によって集められた女の子たちを逃がした銀次郎は、そうして山本に大損させてしまうのである。騙されたと知った山本は警察に訴えることは当然出来ず、悔しさと損害を抱えながらしっぽを巻くしかなかった。銀次郎が仲間たちと勝利の味に酔いしれている時、津川がリンダを連れて、事務所を訪れた。彼らは今回の事件が縁で、夫婦として生活することにしたと言うのだった。




11-41. クローズZERO

監督 三池崇史
出演 小栗旬やべきょうすけ黒木メイサ高岡奏輔桐谷健太
2007年 (東宝) 130分

解説
累計3200万部を誇る高橋ヒロシの人気コミック 「クローズ」 。その原作よりも過去を描いたオリジナル・ストーリー。人気の小栗旬、山田孝之ら若手スター共演の学園アクション。

ストーリー
ワルたちの巣窟として知られる鈴蘭男子高等高校に、ひとりの転入生がやってきた。その男、滝谷源治(小栗旬)。暴力団・滝谷組の組長(岸谷五朗)のひとり息子である彼は、鈴蘭のテッペンを狙って3年生で転校してきたのだった。鈴蘭には、いくつか勢力があった。現在の最大のものは、3年の芹沢多摩雄(山田孝之)が率いる“芹沢軍団”だが、2年の阪東ヒデト(渡辺大)の“阪東軍団”も勢力を伸ばし、他の1年生グループも頭角を現してきている。そして、最強の男としてその名を轟かす“リンダマン”こと2年生の林田恵(深水元基)の存在もあったが、彼は派閥抗争には興味を示さない一匹狼として知られていた。さらには、どのグループにも属さない伊崎瞬(高岡蒼甫)や牧瀬隆史(高橋努)といった無頼漢もいる。鈴蘭の制覇を目指す源治は、チンピラの片桐拳(やべきょうすけ)と知りあって友情を深める。元鈴蘭OBの片桐は、源治の父が組長の滝谷組とは敵対する矢崎組に属していたが、いつしか自分の果たせなかった鈴蘭制覇の夢を彼に託すようになっていった。しかし、そんな交流を聞きつけた組長の矢崎(遠藤憲一)は、片桐に源治を片付けるよう命じる。組長への忠義と、源治との友情の狭間で苦悩する片桐。新勢力“GPS”を旗揚げして躍進する源治のもと、シンガーを目指す恋人のルカ(黒木メイサ)から連絡が入る。何者かに拉致されて、監禁されているというのだ。この件をきっかけに、鈴蘭内の抗争は一気に加速する。そして遂に、源治と芹沢が雌雄を決する時がくる。同じ頃、組長からの命に逆らった片桐もケジメをつけさせられるが、温情で命だけは救われた。大雨の中で行われたGPS対“芹沢軍団”の壮絶な対決も、最後まで耐えたのは源治だった。それでもまだ、鈴蘭には“リンダマン”がいた。源治たちの諍いの日々は、まだまだ続いていく……。




11-42. 最後の忠臣蔵

監督 杉田成道
出演 役所広司佐藤浩市桜庭ななみ山本耕史風吹ジュン
2010年 (ワーナー・ブラザース映画)

解説
池宮彰一郎の同名小説をテレビドラマ 「北の国から」 の杉田成道が映像化した時代劇。“忠臣蔵”として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件で生き残っていた男2人の物語を追う。事件前夜に逃亡した瀬尾孫左衛門に役所広司、大石内蔵助よりとある命を受けた寺坂吉右衛門役に佐藤浩市。男たちに課せられた宿命を生々しく映し出す。

ストーリー
赤穂浪士の中に、討入り後の使命を与えられた二人の生き残りがいた。一人は討入り後、切腹の列に加わることを許されず、大石内蔵助(片岡仁左衛門)から「真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよ」との密命を受けた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。そしてもう一人は、討入り前夜に忽然と姿を消した瀬尾孫左衛門(役所広司)である。孫左衛門は、まもなく生まれてくる内蔵助の隠し子を守り抜くという極秘の使命を内蔵助本人から直々に受けていた……。討入りから16年間、名誉の死を許されなかった二人は、それぞれの使命を果たすためだけに懸命に生きてきた。吉右衛門は赤穂浪士の遺族を捜して全国を渡り歩き、遂に最後の一人にたどり着く。一方、孫左衛門は武士の身分までも捨て素性を隠し、可音と名付けた内蔵助の忘れ形見を密かに育てあげる。やがて凛とした気品を備えた美しい娘に成長した可音(桜庭ななみ)は、天下の豪商・茶屋四郎次郎(笈田ヨシ)の嫡男・修一郎(山本耕史)に見初められる。可音を名家に嫁がせれば、孫左衛門の使命もまた終わるのだった。そんな中、かつては厚い友情で結ばれ、主君のために命を捧げようと誓い合った二人が再会する。かたや命惜しさに逃げた裏切り者、かたや英雄になれなかった死に損ないとして。だが、孫左衛門の口から真実が明かされることはなかった。そしてとうとう可音の嫁ぐ日がやってくる。世は移り変わり、今では内蔵助の名誉は回復していたが、その存在すら隠してきた可音のお供は、孫左衛門ただ一人。ところが夕暮れを行く寂しい輿入れに、最初に吉右衛門が、続いて元赤穂の家臣たちが続々と現れ、お供を申し入れる。いつしか行列は、忠義の炎を松明にして掲げる男たちの大行列へと変わっていく。それはたった一人で背負ってきた重き使命が、全ての家臣の喜びの使命へと変わる瞬間であった。だが遂に使命を果たした孫左衛門だったが、彼にはまだなすべきことが残っていた……。




11-43. 忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー 感度サイコ―!!!

監督 鈴木剛
出演 忌野清志郎石田長生内田勘太郎木村充揮宮藤官九郎
2011年 (ティ・ジョイ=キノフィルムズ) 分

解説
2009年5月、58歳の若さで急逝した日本を代表するロックスター、忌野清志郎。彼が大阪の地で3度にわたって繰り広げ、そのどれもが映像化、音源化されていないという伝説のロックンロールショーが奇跡の復活。彼を慕う豪華アーティストに、忌野清志郎ももちろん登場する映像版“ナニワ・サリバン・ショー”だ。

ストーリー
※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。




11-44. 男たちの大和 YAMATO

監督 佐藤純彌
出演 反町隆史中村獅童鈴木京香松山ケンイチ渡辺大
2005年 (東映)

解説
世界最大最強を誇りながらも、米軍の総攻撃に沈んだ戦艦大和。その乗組員と家族の人生模様を、CGを駆使した壮絶な戦闘シーンを交えて描き出す戦争ドラマ。

ストーリー
2005年4月、鹿児島県枕崎の漁港。老漁師の神尾のもとを内田真貴子と名乗る女性が訪ね、60年前に沈んだ戦艦大和が眠る場所まで船を出してほしいと懇願する。彼女が大和の乗組員・内田二兵曹の娘と知り驚いた神尾は、小さな漁船を目的の場所へと走らせる。神尾もまた大和の乗組員だったのだ。内田二兵曹の名前を耳にし、神尾の胸裡に60年前の光景が鮮やかに甦ってくる…。昭和16年12月8日、日本軍の真珠湾奇襲によって始まった太平洋戦争は、はじめ日本軍が優勢であったが、徐々に日本軍は劣勢を強いられ、じりじりと追い詰められていく。そんな昭和19年の春、神尾、伊達、西、常田、児島ら特別年少兵をはじめとする新兵たちが、戦艦大和に乗り込んできた。乗艦した彼らを待ち受けていたのは、厳しい訓練の日々であった。そんな中、彼らは烹炊所班長の森脇二主曹(反町隆史)や機銃射手の内田二兵曹(中村獅童)に、幾度か危機を救われることがあった。同年10月、レイテ沖海戦に出撃した大和はアメリカ軍の猛攻を受けた。大和の乗組員たちも多数死傷し、内田も左目に重傷を負い、大和の任務からも外されることとなった。昭和20年3月、日本の敗色が日増しに濃くなっていく中、大和の乗組員たちに出撃前の上陸が許される。全員が、これが最後の上陸になることを覚悟していた。それぞれが肉親や恋人と思い思いの時間を過ごす。翌日、男たちはそれぞれの想いを胸に大和へ戻っていく。艦内には内田の姿もあった。彼は軍規違反を承知で病院を抜け出して、恋人の芸者・文子と別れを告げた後、ひそかに艦に乗りこんでいたのだ。同年4月1日、ついに米軍は沖縄上陸作戦を本格的に開始。4月5日、草鹿連合艦隊参謀長は、大和の沖縄特攻の命を伊藤第二艦隊司令長官に下す。有賀艦長から艦隊命令を通達された乗組員たちは、臼淵大尉(長嶋一茂)に諭され、それぞれの立場で「死二方用意」を始めていった。4月6日、いよいよ大和以下10隻の艦隊は出航した。そして4月7日、ついに鉛色の雲の彼方から米軍艦載機の大群が大和に襲いかかっていった。大和の46cm主砲が、副砲が、高射砲がこれらを迎え撃つ。乗組員たちの最後の戦いが始まった。




11-45. 浪花の恋の物語

監督 内田吐夢
出演 萬屋錦之介田中絹代花園ひろみ大崎四郎疋田圀男
1959年 (東映) 105分

解説
近松門左衛門の 「冥途の飛脚」「恋飛脚大和往来」から、「美男城」 の成澤昌茂が脚色し、 「大菩薩峠 完結篇(1959)」 の内由吐夢が監督した悲恋物語。 「独眼竜政宗」 の坪井誠が撮影した。

ストーリー
忠兵衛は浪華飛脚問屋・亀屋の養子だった。同業丹波屋八右衛門に無理やり新町廓に連れこまれた。その相方が梅川だった。一度は帰ろうとするが、彼女の頼みで、そのまま泊ってしまう。客と寝ずに帰せば遊女は折檻されるのだ。−−翌朝、八右衛門が口裏を合わせ、無事に家へ入れたが、たちまち、その夜、廓へ足が向いていた。それからはチョクチョク遊びが続いた。梅川の情の深さが彼を捉えた。「わてらにとっては金が仇の世の中……」竹本座座付作者近松門左衛門は隣室で、その梅川のつぶやきを聞いた。義母の妙閑は彼の金遣いの荒らさに気づいた。大阪を離して考えさせよう。為替の差額を取りに江戸へ発たせた。その前夜、忠兵衛は梅川を待つ間、彼女の母あての手紙で、その孝行を知る。彼は金を置き、梅川に会わずに帰った。櫛が彼の江戸土産として届いた。縁を切るとのなぞ言葉か。梅川は泣きくずれた。近松がそれを見ていた。藤兵衛という小豆島の醤油の大尽が北陸から帰ってきたら、梅川を身請することになっていた。旅姿のままつい寄った忠兵衛は、それを聞かされた。持っていた八右衛門に届ける五十両を、身代金二百五十両の内金として入れ、いつづけを始めた。八右衛門に見つかったが、頼みこんで金は借り、家へ帰った。若い許婚・おとくへの土産は花かんざしだった。武家の為替三百両を届ける用事が、忠兵衛に命じられた。彼は金を懐ろに廓へ行ってしまう。藤兵衛が帰阪してい、梅川の身請の祝宴を挙げようとしていた。忠兵衛の内金はつっかえされた。後の二百両を入れたら、待ってもええ。梅川の主人は彼を馬鹿にしていた。八右衛門が梅川の部屋で例の五十両の一件を笑い話にしていた。忠兵衛は口惜しく、思わず懐ろの小判を握った。封印がきれ、こぼれた。その金も彼は八右衛門や梅川の主人の前に置き、梅川を連れて去った。−−亀屋に捕方がなだれこみ、忠兵衛の代りに妙閑が引っ立てられた。武家のお蔵金の封印切りは獄門である。瓦版が大阪の街を走った。三輪の里で、忠兵衛は梅川に封印切りを打ち明けた。梅川はそれを知っていながら、ついてきたのだ。二人はどこまでも一緒にいようと誓い合う。新口村の入口で、二人は捕った。実の親に会いに行くところだった。梅川には二度の勤めが待っていた。−−近松はこの話を三幕の世話狂言に仕立てた。新口村の場では、梅川・忠兵衛と親孫右衛門を会わせ、つらい別れと親子の情を見事に描いた。この芝居は民衆に拍手で迎えられた。作者自身も涙していた。




11-46. 翼は心につけて

監督 堀川弘通
出演 フランキー堺香川京子石田えり上村和也鈴木瑞穂
1978年 (共同映画全国系列会議) 115分

解説
ガンと闘い、右腕切断の大手術をうけながらも、わずか十五年の人生を明るく、たくましく精一杯生きた少女の姿を描く関根庄一原作の映画化。脚本は寺島アキ子と 「アラスカ物語」 を監督した堀川弘通の共同執筆、監督も同作の堀川弘通、撮影は中尾駿一郎がそれぞれ担当している。

ストーリー
鈴木亜里、十五歳。共働きの両親、弟と団地に住む平凡な女の子。ある日、テニスの練習中、突然襲った激痛にラケットを落とす亜里。検査の結果骨肉腫とわかり、医師から他への転移をふせぐため、右腕の切断の同意を求められた父母は生きる可能性があればと、病名をかくして、亜里に話した。涙もこぼさずうけ入れる亜里は、その腕にマニキュアをし、指輪をはめてみた。「学校へなんか戻らない。テニスも出来ないし、勉強なんかしたくない」と手術後の回復訓練も、友人の見舞いも拒絶する亜里。だが、そんな亜里も、生命をまもるためにつくす病院に働く人々の姿に次第に心を開く。「ケースワーカーなら片腕がなくてもできる」と生きる目標をつかんだ亜里は、今までの遅れを取り戻そうと勉強、機能訓練に猛然といどむ。あちこちの病室で彼女の明るい笑い声が聞こえた。だが、医師は両親に「ガンが転移し、治療法はワクチンだけ、それが効かない時は来春まで……」とつげるのだった。ケースワーカーになるには、どうしても大学へ行かねばと、永和高校を志望したが、今の偏差値では無理と言われた亜里。しかし、亜里の熱意に、教師は出来る限りの応援を送り、級友も彼女を励まし、ささえるのだった。努力はむくわれ、亜里は高校入試合格の喜びを手にしたが、亜里の残された僅かな生命も燃えつきようとしていた。




11-47. はやぶさ HAYABUSA

監督 堤幸彦
出演 竹内結子西田敏行高嶋政宏佐野史郎山本耕史
2011年 (20世紀フォックス映画) 140分

解説
「20世紀少年」シリーズの堤幸彦監督が、竹内結子、西田敏行ら豪華キャストを迎え、日本が世界に誇る小惑星探査機はやぶさの7年間にわたる軌跡を映画化。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の全面協力のもと、最新鋭のVFXで再現された超リアルな宇宙映像が展開。どんな困難に遭おうとも決してあきらめない精神が見る者に勇気を与える。

ストーリー
2010年6月13日。小惑星“イトカワ”調査を目的に、2003年5月に日本から打ち上げられた小惑星探査機“はやぶさ”が地球に帰還した。月以外の天体からサンプルを採取して持ち帰るというミッションは、NASAでさえ成し得なかった人類初の快挙だった。わずか1〜2メートル四方の小さな“はやぶさ”の7年間、60億キロにも及ぶ旅は、通信途絶による行方不明やエンジン停止など、絶体絶命のピンチの連続。その危機を乗り越えたのは、坂上健一(高嶋政宏)や川渕幸一(佐野史郎)といった専門家と、プロジェクトの広報を担当した的場泰弘(西田敏行)、その下で働く水沢恵(竹内結子)など、ユニークな経歴を持つメンバーで結成されたプロジェクトチームだった。大きなプレッシャーと次々と降りかかるトラブルに、メンバーたちはどのように立ち向かっていったのか。彼らの“諦めない”という強い想い、その原動力となった信念や夢、勇気と自信を描き出す。




11-48. いぬのえいが

監督 
2004年 (ザナドゥー) 96分

解説
「ジョゼと虎と魚たち」 の犬童一心監督ら7人の映像作家が、リレー形式でつづるオムニバス。感動ドラマやコメディ、アニメなどイヌと人を巡る愛の物語が展開。

ストーリー
広告代理店でプランナーを務める山田(中村獅童)は、ドッグフードのCMを手がけたことから、子どもの頃かわいがっていた迷い犬のポチを思い出す。久しぶりに当時住んでいた街を訪ねた山田は、元同級生の香織(小西真奈美)に、その後ポチが東京へ移った自分を追いかけて旅立ち、そのまま帰ってこなかったと聞く。一方、山田を追いかけたポチは、たくさんの人間と触れ合いながら東京に向かっていた。それは、現在よりも“ちょっと”昔のおはなし…。