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私たちの身の回りの金属、 銅や鉄、 金、 アルミニウムなどには電流が流れます。 金属ではありませんが鉛筆の芯 (炭素) などにも電流が流れます。 これらはいずれも導体 (conductor) です。
一方、ガラスやプラスチック、 陶器などには電流が流れません。 こちらは絶縁体 (insulator) です。

このように電流の流れ易い導体と流さない絶縁体の他に、 少しだけ電流を流す 「半導体」 というものもあります。

下図左は硅素原子 (シリコン: silicon) です。 4価の原子で、 電気伝導に寄与する電子 (価電子) を 4 個持っています。
その右隣は砒素原子 (arsenic) です。 5価の原子で、 価電子を 5 個持っています。 シリコンなどの半導体に不純物として極微量加えられて N 型半導体 を作ります。
そのまた右隣は硼素原子 (boron) です。 3 価の原子で、 価電子を 3 個持っています。 やはりシリコンなどの半導体に不純物として極微量加えられると P 型半導体 になります。
さらに右隣のピンクの小さい円は正孔 (hole)、 右端のブルーの円は電子 (electron) です。


硼素、硅素、砒素原子、正孔、電子





下図はシリコンの結晶です。

まず、 "ON" ボタンをクリックしてみて下さい。
左に +、 右に −、のマークが表示されます。 シリコンの結晶 (半導体) に電圧が加えられました。 しかし、 それ以外の変化は何も起こりません。
シリコンは 4 個の電子を持っていますが、 シリコンが規則正しく並んだ結晶では隣のシリコン原子と電子を共有して、 それぞれが 8 個の電子を持っているように見えます。 このような結晶中の電子は隣り合う原子と強く結合しているため、 あまり自由に動けません (炭素も同じような結晶を作るとダイヤモンドになりますが、 ダイヤが硬いのはそのためです)。 電子が強く結合していて動けないので、 電流も殆ど流れません。 こういう半導体を真性半導体といいます。
"OFF" ボタンをクリックして下さい。

つぎに、 "N" ボタンをクリックしてから図中のシリコン原子のどれかをクリックして下さい。
そこに 1 個の砒素原子が不純物として加えられます 。
砒素は 5 個の電子を持っていますから電子が 1 個余りますが、 余った電子は隣の原子との結合に使われているわけではないので、 他の電子に比べて自由に動くことができます。
"ON" ボタンをクリックして下さい。
電子はマイナスの電気を持っているので、 プラスの電極に向かって動きだします。 電子がプラス極に到達すると新たにマイナス極から新たに電子が供給されます。 このようにして、 N 型半導体の中では電子が常に動いて、 電流が流れるようになります。
"OFF" ボタンをクリックして下さい。



今度は "P" ボタンをクリックしてから図のシリコン原子のどれかをクリックして下さい。
1 個の硼素原子が不純物として加えられます。
硼素は 3 個しか電子を持たないので、 電子のない空席ができます。 これを正孔といいます。
"ON" ボタンをクリックして下さい。
P 型半導体に電圧がかかると、 電子はプラスの電極に動こうとしてもやはり容易には動けません。 しかし正孔のそばの電子は少しでもプラスの電極に近づこうとして、 正孔に向かって動きます。 正孔は電子で埋められますが、 もと電子がいた場所は電子がなくなっているため新たな正孔になります。 するとその正孔の近くの電子がまた…
こうして、 実際は電子が少しずつ動いて順次正孔を埋めているのですが、 まるで正孔がマイナスの電極に向かって動いているように見えます。 正孔はあたかも 「プラスの電気を持っている電子」 のようにふるまいます。
こうして、 正孔が動いて電流が流れる P 型半導体ができます。


  砒素を加えて N 型半導体にします。 このボタンをクリック後、任意のシリコン原子をクリックして下さい。 
  硼素を加えて P 型半導体にします。 このボタンをクリック後、任意のシリコン原子をクリックして下さい。
  不純物を除去して真性半導体にもどします。
  表示速度を遅くします。
  表示速度を早くします。
    半導体に加える電圧のスイッチです。



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  Java を起動するために多少時間がかかる場合があります。


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update: 2012.10.19  address