電子機器に使われている集積回路や
トランジスタ、
ダイオードの材料は、
たいていシリコン
(珪素: silicon) です。
純粋なシリコンの結晶は比重 2.0、 融点 1,420℃、
抵抗率

が約 10
3Ωcm の、 灰色の 「石」 です。
銅のような導体の抵抗率が約 1.7×10
-6Ωcm、
ガラスのような絶縁体の抵抗率が約 10
12Ωcm なのに対して、
シリコンは約 10
3Ωcm という、 ほぼ中間の抵抗率を持っているので 半導体 といいます。
しかし単に導体と絶縁物の中間の抵抗率というだけなら、 珍しくはありません。
ニクロムやコンスタンタンなど、 電流が流れにくいものなら他にもいろいろあるからです。
シリコンは 「"半" 導体」 と呼ばれてはいますが、 純粋なシリコンの結晶は感覚的には絶縁体に近く、
電流はほとんど流れません

。
このままではどうしようもないので、 これに微量の不純物を加えて電流が流れやすくしてやります。
トランジスタ はコンピュータの中ではスイッチとしてたくさん使われていますが、
ということは、 半導体にはまず電流が流れないことにはお話にならないわけです。
このため、 半導体に燐、砒素、硼素、ガリウムなどの不純物を極微量加えます。
不純物の種類や量によって、 半導体の電気的な性質がさまざまに変わり、 抵抗率も約 1/1000 〜 1/10000 になります。
不純物として燐や砒素を加えると
N 型半導体、
硼素やガリウムを加えると
P 型半導体ができます。
N 型、 P 型の半導体を組み合わせて、
トランジスタ や
ダイオード などの半導体素子が作られます。
不純物が加えられていない純粋な半導体を真性半導体といいますが、
真性半導体そのものには N 型半導体、 P 型半導体の原料として以外にはほとんど利用価値がありません。