学習書●コミュニケーション実習D

(98年度履修生作品)
[窓]
構成
△
< |
>
http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/
Communication/Window.html
これまでの単元では、フレームからショットが、さらにシーンやシーケンスが組み立てられていくようすを学習してきた。この単元では、時間の流れに合わせて、一つの完結した作品を組み立てることについて学習する。
ムービは時間の流れに沿って展開していくから、作品の上映の経過に合わせて、観客の中に情報や感情を形作り、それを自由に変化させていくことができる。この特性が活かせるようになるためには、作品を構成するシーケンスの組み合わせ方を学ばなければならない。
一つの完結した作品を成り立たせるためには、構成を考えることがどうしても必要だ。ほんとうは、これまでのほかの単元の課題でも、構成にはもっと注意しておかなければいけなかった。しかし、ショットやシーンぐらいの時間では、それぞれのつながりの前後の関係の方が表現への影響が大きくて、始めの方と終りの方とか、その途中とかいった、全体の中でのそれぞれの部分の意味を考えていくことは少し難しかっただろう。だからこの単元ではしっかり学習しておこう。
作業の目標
先生が紹介する歌詞(▽表)から一つ選び、それを自分で朗読し、その朗読に合わせて映像を構成しなさい。
朗読は自分で行ない、作品の一部として録音しておきなさい。
設計に当たっては、歌詞の展開と、作品を見ながら流れていく時間の経過に合わせて、シーンの並べ方/つなぎ方を工夫しなさい。特に、以下の点(のうちのいくつか)について十分に検討しなさい。
・高揚/鎮静
・単純/複雑
・(作品の世界の中での)時間や場所の変化
・接続の前後の対比
詩の内容と絵の内容とを合わせることにこだわってはいけない。
条件
長さは2分以下にする。
タイトル/クレジットなどの本体以外の部分は作らない。
タイムラインの先頭の部分を使う。
音が小さくて聞き取れない、絵が暗くて見えないなどの問題がないようにしなさい。
歌詞はいくつかのスタンザに分かれている。スタンザの変わり目では、作品の流れがはっきりと変化するようにしなさい。
音は朗読だけでもいいし録ってきた音と朗読とを重ねてもいい
助言
各行を1シーンで、さらに各シーンを1ショットだけで構成するといい。ショットを細かく分けすぎると朗読と合わせにくい。
各行を約4秒で見せるぐらいのつもりで作ると、ちょうど朗読に合わせやすくなる。
動きの少ない静かなショットが多くなりがちだけれど、それを補うために、パン/ティルトやズームを使いすぎないようにしなさい。
[作例]

匿名希望
(98年度履修生)

石浜真弓
(99年度履修生)

荻谷雄大
(00年度履修生)

小林幸代
(00年度履修生)

桑原啓
(00年度履修生)

酒井一成
(02年度履修生)

TAKU
(00年度履修生)

山本学
(99年度履修生)

吉田恵
(01年度履修生)
自分で調達する道具/材料
○ビデオテープ(=撮影用)
・
DV用
・ミニ型(ほかにスタンダード型があるがこの課題では使えない)
・30分用(60分用でもいい)
・メモリ機能は不要
○ヘッドホン(イヤホンでもいい)
・プラグ:ステレオミニ(変換でもいい)
○小道具など(作品の内容に応じて)
撮影用のテープは、新しく下ろして、その先頭の部分を使うようにしなさい。
実習に使うマニュアルフォーム
(なし)
標準作業時間
3週
(スクーリング3.5時間+自習3.5時間)
演習の手順
始めの回
○
作例の鑑賞
これまでにこの単元の学習に参加した学生の作品を見て、どんな作品が作れるようになるのか確めなさい。
○
課題の選択
どの歌詞に当てて作品を作るか選んで、先生から歌詞カードを受け取りなさい。
○(説明)
構成
構成の設計のしかたを先生から聞きなさい。起伏、接続、リズムの考え方を理解しなさい。
○
構成チャートの作成
歌詞カードに起伏、接続、リズムを記入してみなさい。
○(説明)
録音
(もし初めてなら)先生が朗読の録音のしかた(資料
[朗読の録音の手順])について説明するので聞きなさい。
(宿題)
○録音
選んだ詩を自分で朗読して録音しなさい。
余計な音が混ざらないようによく気をつけて録音しなさい。
朗読は、読んでいる人の口元を、30cmぐらい離れた真横から撮影するときれいに録音できる(▽図)。
一度に続けて録った朗読が使えた方がいいが、複数のテークをつなぎ合わせて使ってもそれほどおかしくはならない。もしも録音の途中で不満な所があったら、そのスタンザの最初から録音をやり直し、編集の時につなぎ合わせればいい。
あとのテークほど疲れて悪くなっていくことが多い。だから、うまくできなかったと思ったテークでも消してはいけない。いざという場合は始めのテークが(部分的にも)使えるように、あとへあとへと録り足していきなさい。
中の回
○課題フォルダの準備
自分のロッカーフォルダ(前の単元で作ったもの)の中に、この単元で使う新しい作業フォルダを作りなさい(▽図)。
そして、そのフォルダの名前をつけ直して(単元の名前かきょうの日付がいい)、単元の区別が分かるようにしておきなさい。

このフォルダは、この単元の素材や作品を入れておく場所として使う。
○単元プロジェクトファイルの準備
Premiere(▽図)を起動して、作品の用紙として使う新しい白紙のウィンドーを開きなさい。ウィンドーの種類は、▽図と同じ属性のものを選びなさい。
方式
|
DV
NTSC
|
縦横比
|
スタンダード
(=指定なし)
|
標本化
|
48000Hz
|
ウィンドーが開いたらすぐに、そのウィンドーを、前に作った新しい課題フォルダの中に保存しておきなさい。
場所、名前、形式については、必ず▽表のように正しく指定するようにしなさい。もし間違えると、せっかく作った作品をなくしてしまうことがある。
場所
|
新しい課題フォルダ
|
名前
|
フォルダと同じ名前がいい
|
形式
|
(指定できない)
|
この次からは、このプロジェクトファイルを開くだけで作業が始められるようになる。
ここでとりあえずPremiereを終了させておくといい。
○キャプチャ(朗読)
キャプチャウィンドー(▽図)を使って朗読を素材テープからキャプチャして、それを新しい課題フォルダの中のファイルとして保存しなさい。

○素材(朗読)の支度
キャプチャして作った素材ファイル(朗読)を課題フォルダのウィンドー(▽図左)から素材ウィンドー(同右)に入れなさい。
>

プロジェクトウィンドーの中に、前に読み込んで作った実景と朗読のファイルを素材として読み込みなさい。
○出番(朗読)の支度
素材ファイル(朗読)を、素材ウィンドーから(もとのフォルダのウィンドーではなくて)出番ウィンドー(▽図)のオーディオ3トラックに乗せなさい。
詩の朗読をオーディオ3に乗せると、同時に撮影された絵がビデオ2トラックの方にも乗ってしまう。これから音を切り離して、絵の出番の方はタイムラインから取り除きなさい。
必要があれば、つなぎ合せが必要な部分をあとのテークを使って継ぎ合わせておきなさい。
○(説明)音の大きさの調節
(もしまだなら)音の大きさを変える操作について説明を聞き、マニュアルを作りなさい。
○音の大きさの調節
朗読の音が大きすぎたり小さすぎたりしないように、また、途中で音の大きさが変動したりしないように、直しなさい。
スピーカを使って音を聞くと周りの人の迷惑になるし、作品の音の大きさが正しく調節できたかどうか分からないので、必ずヘッドホンやイヤホンを使いなさい。
○(説明)視覚の発見
きみたちがいつも見なれている日常の光景の中には、ほんとうはいろんな視覚が隠れている。作例を見ながら、どんな視覚が見つけられるのか説明を聞きなさい。
何かではなくて、何かが何かをしているのを探そう。
実体だけでなく、その像(輝き、反射像、透過像、影、シルエット)にも目を向けよう。
いつもの視線とは違う別の視線(とても近くやとても遠くにあるもの、見上げたり見下ろしたりすると見えるもの、狭い隙間に見えるもの)で見よう。
○(実験)視覚の発見
先生についてキャンパスの中を歩き回って、さまざまな視覚の見つけ方や撮り方について説明を聞いて、実際に自分でも撮ってみなさい。また、それを再生して、望んだように撮れたか確かめなさい。
"ここならこう撮れる"と思い込んでいると、初めて出会うはずの視覚を発見することができなくなる。真っ白な気持ちで素材を探しなさい。
(宿題)
○撮影
自宅やキャンパスなどを歩き回って、作品に使えそうな情景を探しなさい。いい素材が見つかったら、それをいろんな撮り方で撮影しなさい。
撮影が終ったら、素材がどう撮れているか、実際に再生して確かめておきなさい。
うまく撮れなかったら、納得がいくまで何回でも撮り直しなさい。
実習室のカメラは自習の時間や週末にも借り出して使うことができる。ただし、前もってスクーリングの時に予約をしておかなければいけない。また、ほかの学生が先に予約しているかもしれないので、必ず借りられるとは限らない。
前もってカメラの電池を充電しておきなさい。コンセントの近くでしか撮れないとなると、撮影できる場所はかなり限られてしまう。なお、充電には1.5時間ぐらいかかる。
週末に限っては、カメラを自分の家に持ち帰って学外で撮影してもかまわない。
この場合は、借り出す時に、撮影に行く場所と自分の電話の番号を受付のカードに書いて置いていきなさい(平日に学内や近くで撮る場合は不要)。
次の中の回
○キャプチャ(情景)
キャプチャウィンドー(▽図)を使って、情景を素材テープからキャプチャして、それらを新しい課題フォルダの中のファイルとして保存しなさい。

○素材(情景)の支度
キャプチャして作った素材(情景)ファイルを課題フォルダのウィンドー(▽図左)から素材ウィンドー(同右)に入れなさい。
>

○出番(情景)の支度
素材ファイルを、素材ウィンドーから(もとのフォルダのウィンドーではなくて)出番ウィンドー(▽図)のビデオ1A+オーディオ1トラックに入れなさい。

この段階では順番は気にしなくていい。
○テーク分け
(もしつながったままなら)それぞれの素材をテークごとに切り分け、使わないテークの出番は捨てなさい。
さらに、それぞれの出番の前後(特に前の方)のきれいに撮れていない部分(視界が安定していない、はっきり写っていない、暗すぎる/明るすぎる、など)は、詰めておきなさい。
たとえば、ズーム(やパン/ティルト)などのカメラワークを使っているテークの場合、ズーム(やパン/ティルト)を始める前とズームが終わったあとの、絵が止まっている部分は、詰めてしまった方がいい。
もったいないなんて思わないで、少しでも問題があると思ったらどんどん詰めてしまおう。
○順列
残った出番をチャートに従って順に並べ変えなさい。初めはだいたいでかまわない。
音に対して短すぎたら、あとに隙間を空けておきなさい。
長すぎたら、とりあえず先頭を詰めて収めておきなさい。
時刻の順番に作業するよりも、いい素材や、置く場所が初めから決まっている素材から乗せていった方が、作業が進めやすい。
○(説明)加工
以下の操作について説明を聞き、マニュアルを作りなさい。
・速くしたり遅くしたりすることによって出番の長さを変える
・出番の上下、左右および時間の前後を逆にする
・プレビューを作成する
○構成
構成が正しいか確かめながら、前後を入れ替えてみなさい(▽図)。
コーラスが進むにつれて盛り上がっていくようにしよう
|
先頭、さび、おかず、末尾には、そこにふさわしい絵が集まるようにしよう
|
コーラスの最初と最後には、始まりと終りにふさわしい絵が入るようにしよう
|
リズムに合わせて絵の強弱が切り替わるようにしよう
|
隣り合っているショットの前後では、明るさ、鮮やかさ、動き、広さが対照的に切り替わるようにしよう
|
○詰め切り
それぞれの出番(情景)について、前後を調整して、朗読と情景とがきれいに合うようにしなさい。
長過ぎる場合は前後を詰める。一般には、出番は末尾よりも先頭から切っていった方がいい。
短過ぎる場合は、1〜2割りのことなら少し遅くして引き伸ばす。それでも足りなかったら、さっぱりあきらめて別の素材を使いなさい。
さらに、それぞれの出番の絵と音とが連動するようになっているか確かめておきなさい。
○プレビューの作成
全部の出番の調整が完了したところで、作品の最初から最後までのプレビューを作成しておきなさい。
この課題では、作品の全体に対するプレビューを作成してないと、正しく再生できないことがある。
(宿題)
編集(もし必要なら撮影も)の作業を続けなさい(1〜2時間ぐらい)。
終わりの回
(合評)
○合評の準備
作品がモニタウィンドーを使って正しく上映できる状態になっているか確認しておきなさい。
・最新のバーションか?作品とは関係ない部分が(特に前後に)残ったままになっていないか?
・コンピュータ(QuickTime)に出力するようになっているか?
・モニタウィンドーの配置(ほかのウィンドーに重ならないように)と大きさ(360×240)、再生する音の大きさ(70/100)は正しく調整してあるか?
・(もし必要なら)レンダリングは完全か?
・巻き戻してあるか?
○合評
進行にしたがって再生してみんなに見せなさい。
自分の意図(構成)を説明して、それが見る側にはどう受け止められたか、ほかの学生に感想を聞いて確認しなさい。
ほかの学生の作品を見て、特にいいと感じた内容や表現(または技術)を見つけたら、誰の作品のどんな部分だったか書き留めておきなさい。
(宿題)
ほかの学生の作品のうちで、一番いいと思った作品の、さらに一番いいと思った表現を選んで、その内容や表現(または技術)を紹介する文を書いて提出しなさい。
・初めに、その表現が、作品の中のどこに使われていたのか、そしてそれはどのようなものだったのかをはっきり説明しなさい。その作品をまだ見ていない人でも、どんな表現が行なわれていたはっきり分かるように、ていねいに説明しなさい。それがあいまいなままでは、いいとかよくないとか検討することはできない
・続いて、それの表現がなぜよかったと思っているのか説明しなさい。表現がいいと思える理由なんて、初めは自分でも分からないかもしれない。でも、よく考えて、今は分からない理由を見つけ出しなさい
自分の作品の表現の中に不満な所が見つかったら、ほかの学生や先生から指摘されたことも考え合せながら、もっといい表現ができるように手直ししてみなさい。
・
例
桜井香菜子
△
< |
>
・
映像 |
コンピュータ
このページの記事の一部は、容量や著作者への配慮から、バージョンによっては見られない場合があります
Copyleft(C) 1998-02, by Studio-ID(ISIHARA WATARU). All rights reserved.
最新更新
02-12-02