スイッチ(リレー)による半加算器 (half adder) |
スイッチを使って AND 回路
や OR 回路 と同じような機能を持つ回路を作ることができますが、
同様にして半加算器もスイッチで作ることができます。
普通のスイッチでも構いませんが、たくさんのスイッチを同時に動かさなくてはならなくなるので、
ここではリレー(relay: 継電器)
を使うことにします。
リレーの例
リレーは、電磁石とスイッチを組み合わせたようなものです。
左の写真はリレーのカバーを取り外したものですが、電磁石のコイルとそれに引きつけられる鉄片が見えます。
鉄片にはスイッチの接点が取り付けられていて、
コイルに電流が流れて電磁石に吸い付けられると接点も動くようになっています。
可動接点は電気的には白い電線で端子 c に接続されていますので、コイルに電流が流れていない写真の状態では、
端子 c は端子 b に接触しています。
コイルに電流が流れると鉄片は電磁石に吸い付けられて、端子 c は端子 a につながります。
コイルに電流を流したり切ったりするたびに、リレーに取り付けられている何組かの
(この写真では4組) の端子 c は、
いずれも同時に a と接触したり b に接続されたりします。
コイルに電流が流れると端子 c と 端子 a は接触して、この間のスイッチは ON になります。
逆に、c - b 間はコイルに電流が流れると OFF になります。
コイルへの電流をスイッチで ON-OFF することにして、
このスイッチとリレーの接点との関係を表にまとめると次のようになります。
コイルの SW | c - a 間 | c - b 間 |
OFF | OFF | ON |
ON | ON | OFF |
c-a 間の接点はコイルの SW の ON-OFF とまったく同じですが、c-b 間の接点はコイルの SW と逆の関係にあります。
すなわち、コイルの SW を という名前にすると、
c-b 間の接点はその否定、 になり、
リレーを使えば NOT 回路 を作ることができます。
また、スイッチを直列に接続すると AND 回路のように、
並列に接続すると OR 回路と同じように働きますから、
これらを組み合わせてさまざまな論理回路を作ることができます。
下図はスイッチの組み合わせで作った半加算器です。
図中、 はリレー A のコイルを表しています。
スイッチ A を押すと電流が流れて電磁石が働き、3組の接点 A が同時に動きます。
リレー B についても同様です。
下図の、コイルにつながっているスイッチの付近 や 真理値表 をマウスでクリックするとスイッチが動きます。
半加算器 の動作を確認してみて下さい。
スイッチを直列につないだ回路は AND回路 と、
並列につないだ回路は OR回路 と同様の性質を持っています。
下図の AND 回路ではスイッチ A、B がいずれも ON のときだけ、
OR 回路では少なくともひとつが ON であれば電球が光ります。
(スイッチの付近をマウスでクリックすると動きますから、確認して下さい。)
下図の左はこのページで考えているスイッチ (リレー)、による半加算器 (この図はマウスでクリックしても動きません)、 右は AND回路、OR回路、NOT回路 を使った半加算器です。
スイッチで構成した半加算器中、ピンクの線で囲んだ部分は接点 A と
接点 が直列に接続されていますから、
A と NOT 回路を経た B が入力されている AND 回路と等価です。
同様に、ブルーの線で囲んだ 接点 と
接点 B が直列に接続されている回路は、右の図のブルーの線で囲んだ部分に対応します。
そしてこれらの接点群は、ベージュの線で示しているように並列に接続されていますから、
この部分全体は OR回路 と同等の働きをすることになります。
緑の線で囲んだ 接点 A と 接点 B が直列に接続されている回路は AND回路 に他なりませんから、
右の図の C を出力する AND回路 に対応します。
上図のふたつの回路は一見まったく別物に見えますが、こうして考えれば同じ働きをするものであることが分かります。
関連事項: | 講義資料/半加算器 講義資料/2進数の加減算 |
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