戻る   AND 回路 (AND circuit)



コンピュータは、 無数の (何10億個もの) スイッチを組み合わせてできています。

コンピュータがスイッチチを組み合わせて…、 というと 「そんなバカな」 と思うかもしれませんが、 スイッチにはもともと、いくつか組み合わせると論理的な働きをする性質があります。

ただ、 たくさんのスイッチを繋いで 「論理的」 な回路を作っても、 たくさんのスイッチを一つ一つ手で操作するのは大変です。 トランジスタなどの半導体を組み合わせた、 電子的なスイッチを使います。

電子的なスイッチの代表が 論理回路 で、 その最も基本的なものに AND 回路 (論理積回路)OR 回路NOT 回路 があり、 基本論理回路と呼ばれています。



AND 回路には複数の入力と1個の出力があり、 すべての入力端子に1が入力されたときのみ1を出力 します。

論理回路の入力信号の組み合わせによって、出力信号がどのように変わるかを、 すべての条件について表したものを 「真理値表」 といいます。 下図の陸上競技のトラックを半分にしたような形の記号が AND 回路で、 この図の場合入力信号は2個なので、 入力信号 A, B の組み合わせは 0, 0、 0, 1、 1, 0、 1, 1 の4種類です。

AND 回路の動作は、 下に書いた電池と電球とスイッチ2個が、 直列に接続されている回路に似ています。
真理値表のように、スイッチ A, B、 と電球の点滅 X の関係を 「電球回路」 の表にまとめてあります。

スイッチの OFF と電球の消灯は 0、 スイッチの ON と電球の点灯は 1 と考えれば、 「真理値表」 と 「電球回路」 はまったく同じです。







上の図で、 AND 回路入力部の数字や回路図のスイッチの付近、 あるいは 「真理値表」 や 「電球回路」 を マウスでクリックすると、状態を変えることができます。




裁断機 しかし実際に、 わざわざスイッチを2個、 直列に繋いで使うことがあるのでしょうか。

あまり多くはありませんがないこともなくて、 左の写真はその一例、 裁断機です。
裁断機は何百枚もの紙を切断できるので、 印刷屋さんの必需品ですが、 鋭い刃が降りてくるたいへん危険な機械でもあります。

そこで、 安全のために 2 個のスイッチを使います。
ボディの左右についている赤い押しボタンスイッチがそれです。
両手で 2 個の押しボタンスイッチを押さないとカッターの刃は動きませんから、 誤って指を切断するといった事故を未然に防ぐことができます。
2 個のスイッチがいずれも ON なってはじめて、 カッターが作動します。





真理値表 余談ながら、左は AND 回路の真理値表です。
上の図にあったのと同じものですが、 "0" を赤くしてあります。
AND 回路は 「すべての入力端子に 1 が入力されたときのみ 1 を出力」 しますが、 こうして "0" に注目すると、 「少なくとも 1 つの入力端子に 0 が入力されたときに 0 が出力される」 と読みとることもできる、 ということが分かります。
これは OR 回路の性質です。 実際、 表の 0 と 1 を全部入れ替えれば、 そのまま OR 回路の真理値表になります (順序は逆になりますが)
つまり AND 回路と OR 回路は本質的に同じで、 同じものを 0 と 1 の考え方を変えて見ているわけです。

真理値表 つまり AND 回路を OR 回路的に使うことができます。
そうした使い方をする場合、 回路図の記号は上図の AND 回路記号のままにしておくよりも、 左のように記して OR 回路として使っていることを明示した方が分かりやすくなります (入出力の小さい円は
負論理を表しています)。
むろんこれも AND 回路で、 回路記号の表わし方だけが違うわけです。

「ややこしゅうて、 かなわんわ」 と思う方は、 この話は忘れてください。
「何か 面白そう」 と思った方には、 負論理のページの一読をお勧めします。



関連事項: OR 回路  NOT 回路  NAND 回路

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update; 2014.05.27  address