戻る USB (Universal Serial Bus)



最近は 「USB」 といえば 「USB メモリ」 を指すことが多いようですが、 USB は本来インターフェイスの規格のひとつで、 コンパック、DEC、IBM、インテル、マイクロソフト、NEC、ノーザンテレコム の7社が、 1996 年にまとめたものです。

これまでのパソコンの周辺装置は、 たとえば外付け ハードディスク なら SCSI、 プリンタはセントロニクスまたは RS-232C というように、 機器に応じてさまざまなインターフェイスが使用されていました。 インターフェイスが異なれば、 当然それに使用するコネクタやケーブルも異なります。 下の写真、 左はおなじみ USB ですが、 右はプリンタに使われていたセントロニクスのコネクタです。
こんなごっついものを使っていたんだと、 今更ながらに思います。 パソコンのさまざまなコネクタに所定のケーブルで接続しなければならないので、 移設のためにバラバラにしたとき、 元に戻すのが一苦労だったというのも懐かしい思い出です。

今はプリンタもハードディスクもマウスも、 たいていのものが USB (Universal Serial Bus) で接続でき、 まさに隔世の感 です。



USB は最大で 127 台の USB 機器を接続することができます。

たくさんの USB 機器を接続するには、 SCSI のような ディジーチェーンではなく、 USB ハブという機器を介して、 ツリー状に接続します。
家庭のコンセントにたくさんの家電品をつなぐと、 テーブルタップや分岐コンセントで 「タコ足」 になります。 USB もこれに似た、 タコ足配線方式で多数の機器を接続するのだ、 と考えていいでしょう。

USB ハブ


USB コネクタ 写真は、USB ケーブルのコネクタです。
A プラグと B プラグの2種類があり、 上図のように、 パソコンに近い側に A プラグ、 周辺機器に近い側に B プラグが使用されます (ディジタルカメラのような携帯機器に接続する場合、 ミニ、 あるいはマイクロ B プラグという小型のものが使われる場合があります)

USB のもうひとつの特徴はいわゆるプラグアンドプレイ、 パソコンの電源を入れたまま、 自由に USB コネクタを抜き差しできることです。
USB に慣れてしまった現在ではむしろ不思議に思うかもしれませんが、 従来のインターフェースの時代は、 パソコンを起動する前にすべての周辺機器を接続しておかなくてはなりませんでした。 USB は必要なものを必要なときに接続すればいいので、 コンピュータの取り扱いが容易になりました。

また 5V で, 500mA 以下であれば電源も USB から供給できます。 マウスのようなものならコネクタをつなぐだけで使用できます。 これも従来は機器の電源は別途用意しなければなりませんでしたから、 ずいぶん扱いやすくなりました。



USB のデータ転送速度は 12Mbps です
このスピードはマウスやキーボードになら十分ですが、 ハードディスクには少し無理があります。

そこで 1999年10月、 40 倍の速度に相当する USB 2.0 (480Mbps) の規格が発表されました。
現在使われているものの多くがこれで、 ハードディスクの高速データ伝送も可能になり、 文字通り Universal なインターフェイスとなりました。

しかし伝送速度に対する要求は止まるところを知りません。
USB 2.0 でも、 大容量の動画データなどの伝送にはまだ十分ではないため、 さらに 10 倍高速の USB 3.0 規格 (5Gbps) が 2008年11月に発表され、 USB 3.0 に対応したパソコンやハードディスクが現れ始めました。
USB 3.0 はパソコンの USB 端子も周辺機器も、 そしてケーブルも、 これに対応したものでなくてはなりません。 コネクタの内部は青が推奨されているので、 これまでの USB とは容易に見分けることができます。 下の写真、 右が USB3.0 です。

USB コネクタ USB コネクタ





ところで、 USB (Universal Serial Bus) の "Universal" はともかくとして、 "Serial" は 「連続の」、「一連の」、「直列の」 といった意味の言葉です。

コンピュータのデータは 1 バイト (8 ビット が単位ですから、 外部の機器に送り出すには本来 8 組の電線の束が必要です。
これを実直にやったのが上のセントロニクス
です。 データに 8 組 16 本、 他に制御用の信号も必要ですから 36 ピンのコネクタを使っています。 図体は当然でかくなります。
何とかしようというので使われるようになったのがシリアル (serial) 伝送です。 データを 1 ビットずつ順に、 一組の電線で送り出します。 装置が複雑になるし時間もかかりますが、 電線が一組で済むのは魅力的です。 プリンタまでなら 8 組束ねても構いませんが、 長距離は辛くなります。 コンピュータのデータ通信が盛んになるにつれて、 シリアル伝送が主流になりました。
装置が複雑になる点は半導体技術の進歩で難なく解決され、 時間がかかる点も、 より高速伝送が求められるようになると、 シリアル化が進められました。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、 パラレルと伝送というのは競技場を 8 人のランナーが走っているようなものです。 めいめいスピードの差があるので、 ゴールにはバラバラに到着することになります。 データ伝送はこれではまずいので、 揃ってゴールインさせようとするとスピードが制限されてしまいます。
これに対してシリアル伝送は、 ランナーが一人で全力疾走しています。 ランナーが速く走れば、 それだけ時間が短縮されます。 ヒトが記録を少しでも更新するのは大変ですが、 コンピュータの世界では 10 倍、 100 倍はザラ (USB も 12Mbps から 5Gbps へと 417倍) です。 半導体技術や伝送技術の進歩によって、 高速データ伝送は "Serial" が当たり前になりました。

最後の "Bus" はお馴染みの、 あの 「バス」 です。 さまざまなデータを乗せて走ります。
コンピュータ (CPU やマザーボード) の中にもバスはあって、 データを運ぶデータバス、 メモリのアドレス情報を運ぶアドレスバス、 制御信号を運ぶコントロールバス、 などがそれです。 いずれも 16 本、 32 本などの電線… というか、 IC チップやプリント基板の配線パターンの束ですが、 USB の "Bus" は一組の電線です。



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*1 私はプリンタも外付けハードディスクもマウスも、 USB ではなく無線 (Wi-fi やブルートゥース) でつないでいます。  ノートパソコンに何も線がぶら下がっていない。  これは快適で、 さらに隔世の感です。
*2 USB 1.0 および USB 1.1。

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update: 2012.10.16  address