|
ドットインパクトプリンタ
(dot impact printer) |
ドットインパクトプリンタは、 コンピュータの出力装置のひとつです。
左の写真はタイプライタの活字の部分です。
大文字・小文字がセットになっていて、 シフトキーの操作によって、 このどちらかが印刷されます。
タイプライタがインクリボン越しにこうした活字を用紙に打ち付けて文字を印刷するのに対して、
ドットインパクトプリンタは、 点の集合によって文字や図形を印刷します
(欧文なら活字を使ったプリンタがあります。
「ゴルフボール」 といえば懐かしく思う人がいるかも。
しかし文字数が多い日本語には向いていません)。
左の写真はドットインパクトプリンタのプリントヘッドの先端部です。
12 本づつ 2 列に並んでいるのが印字ワイヤで、 太さは 0.2mm、 ピッチは 約 0.32mm です。
写真ではプリントヘッドに電流を流して、 1 本のワイヤを飛び出させてあります。
このように飛び出したワイヤが、 インクリボン越しに用紙に打ち付けられ、 1 個の点が打たれます。
飛び出しているワイヤは、 下図でやや赤く示しているドットに対応します。
24 本のワイヤを全部同時に飛び出させると、 ワイヤの配置通りの 2 列の点線が印刷されます。
いま右側の1列のヘッドワイヤ 12 本を全部飛び出させて 1 列の点線を印刷し、
つぎにプリントヘッドを右に移動させて、
左側のヘッドワイヤが同じ位置にきたときにこれを全部飛び出させれば、
上図左のような 24 個の点からなる 1 本の線が印刷できます。
また、 プリントヘッドを右に移動させながら、
タイミングを見計らって随時必要なワイヤを飛び出させて点を打てば、
上図右のように文字を印刷することもできます。
ヘッドの移動、 プリントヘッドに電流を流すタイミングなどは、
プリンタに内蔵されている
マイクロコンピュータが制御します。
(文字が印刷される様子をアニメ風に表示する Java アプレットが
ドットインパクトプリンタ
のページにあります)。
このようにして印刷される文字の形状のデータは
ドットフォントと呼ばれ、
ROM に収容されています。
左は最近あまり見かけませんが、 タイプライタです。
インクリボンの上から叩いて文字を印刷するしくみは、
ドットインパクトプリンタそっくりです
。
キーを押すと、 それにつながっている
活字のバーが
起きあがってきて、
正面奥中央でインクリボン越しに用紙を叩いて文字が印刷されます。
インクリボンは左右のリールに巻かれていて、 リール一杯巻き取られると、 方向転換して反対側の空のリールの方へ、
インクリボンは左右に行ったり来たりしながら、 タイプが続きます。
一方、 ドットインパクトプリンタのインクリボンはタイプライタより遙かに長く、 エンドレスにつながっています。
タイプライタと違ってインクリボンは一方通行です。
もうひとつタイプライタと違うのは、
タイプライタではプラテンというゴム製のローラーや印刷用紙の行送り機構などが組み込まれたキャリッジ全体が、
印字の度に一文字分左に動いていくのに対して、
ドットインパクトプリンタは印字ヘッドやインクリボン・カセット自体が左右に動きます。
ドットインパクトプリンタには騒音が大きい、 印字速度が遅い、
大きい文字をきれいに印刷できないなどの欠点があるため、
プリンタの主流はレーザプリンタやインクジェットプリンタに移りました。
しかし、 ワイヤを打ち付けて印刷することから、
複写帳票の印刷ができるという他の方式のプリンタにはない大きな特徴があります。
複写帳票を連続用紙で印刷するオフィスなどでは、 まだまだ現役です。