リレー式 4 ビット加算機。 0110 + 0111 = 1101 を計算しています。
リレー式の加算機は、 動作速度が “遅い” のも特徴のひとつです。
リレーの接点が動くのに、 わずかながら、 時間 (数ミリ秒) がかかるからです。
例えば A を 1111、 B を 0000 (1111 + 0000 = 1111) にしておいて、
B を 0001 にする (1111 + 0001 = 10000) と、
最下位桁に 1 を加えたことによってキャリーが発生し、 それが次々に上位桁に波及していきます。
4 個のリレーが 「ジャッ」 という音を出し、 計算に少し時間がかかったことが耳でも分かります。
それを測定したのが左の図です。
A を 1111 にしておいて、 B0 を 1 にすると、 まず C0 が 1 に、
ついで C0 が 1 になったために C1 が 1 に、
という風に、 キャリーが上位桁に伝わっています。
図の横軸は一目盛が 5 msec です。
各桁でキャリーが 1 になるのにほぼ 10 msec、
B0 が 1 になってから、 約 40 msec 後に C3 が 1 になっています。
4 ビットの 2 進数の加算に 0.04 秒 かかったわけです。
もしこのリレーで 32 ビットの加算機を作ったとすると、 計算に 0.3 秒かかることになります
(これはこれできっと壮観で、 面白かろうとは思いますが…)。
そんな加算機で何万回も加算を繰り返すプログラムを実行すると、 何時間もかかってしまいます。
リレーの作動時間は数ミリ秒ですが、 コンピュータは 1000 分の 1 秒もあれば何万もの命令を実行できます。
リレーはやはり、 コンピュータには向いていません。