戻る ミツバチの8の字ダンス  (情報伝達)


 昆虫たちは、 主にフェロモンと呼ばれる気体の化学物質を出して、 情報を伝達し合っているが、 他にも、 ホタルのように光を用いたり、 セミのように大声で鳴いたり、 いろいろな手段で情報交換している。
 それらの中でも、 有名なのが、 1967年にフリッシュ (Karl von Frisch) によって発見され解読された ミツバチの8の字ダンスである (彼はこの功績により1973年ノーベル賞を受賞した)。

 ミツバチは仲間の蜂たちに、 新しく見付けた餌 (花の蜜) のある場所を教えるために、 巣箱の中で、 8の字ダンスと云われる特殊な動きをする。
 その動きは、 図のように、 8の字を描くもので、 真中の交差部分では激しく尻を振って歩く。 これによって、 巣箱から蜜のある花の方向と、 そこまでの距離を示すのである。
 すなわち、 尻を振って歩く真ん中のジグザク線が、 鉛直に対して作る角度により、 蜜のある花の方向と太陽方向との角度を表し、 尻を振る速さによって蜜の花までの距離を示す。
 速く振るほど距離が近く、 ゆっくりと振るほど距離が遠い。 近いほど速く、 遠いほど遅いと云うのは、 車窓の風景である。 近くにある電柱は飛ぶように後に流れてゆき、 遠くにある山はゆっくりと動く。 つまり、 物差しで絶対的距離を測る代わりに、 視覚的・感覚的に測定し表現するのである。

 何という賢さだろう。 何と云う凄さであろう。 そして、 これはまさに角座標である。 座標と云うとX軸とY軸の格子が思い浮かぶ私には、 ちょっとした衝撃である。 それは宝島における宝の埋蔵場所の暗号を思い出させる。  あの小さなミツバチが、 どのようにして、 これ程の智恵を獲得したのだろう。

 ハチ(蜂)だから、 ハチ(8)なのだ・・・ と云うと、 下手なオヤジギャグ。



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