時間は十二進数 (二進数) |
我々は数は十進数が当たり前と考えているが、古くは必ずしも十進数ではなかった。
我が国ではしばらく前まで、尺貫法というものが用いられ、
長さでは、1間=6尺、1町=60間、1里=36町、
重さでは、1斤=160匁、などが用いられ、
欧米では長さに、1フート=12インチ、1ヤード=3フート、1チェーン=22ヤード、1マイル=80チェーン、
液量に、1パイント=16オンス、1クォート=2パイント、1ガロン=4クォート、
重さでは、1ポンド=16オンス、1ストーン=14ポンド、などが用いられていた。
しかし、今日ではこれらは殆ど用いられなくなり、世界的に十進数に統合されている。
ところが、今日でもなお十進数を用いないものがある。それが時間に関する単位である。
1時間=60分、1日=24時間、(1月=30日)、1年=12月である。十二進数(もしくは六進数)である。
なぜなのか。それは、時間の基本は1日であり、1日は円で示されるためである。
日時計の影は1日で円を一回転する。太陽は空の円軌道を1日で一回りする。
ところが、円は十分割することが難しい。幾何学的に作図によって十分割することは殆ど不可能である。
円の分割は六分割が最も容易で、半径の長さで円弧を切り分けてゆけばよい。
このことによって、六分割の倍の十二分割が生まれ、十二進数が用いられるのである。
円の全周が360度となったのもこのためである。
十二支 (ね、うし、とら、う) や、黄道十二宮 (星占いで使われる十二の星座) もすべてこれから来ている。
我々が十進数を使っているのは、単に指が十本あるという理由からだけである。
何の合理性もない。十進数は必ずしも便利なものではない。
現に我々は十進数万能の中においても、時間に関する単位では十二進数を用いているのである。