戻る   なぜ2進数なのか


コンピュータの内部では、 数値は 2 進数 (binary number) で表されています。
2進数には、 数字は 0 と 1 しかないので、 10 進数 (decimal number) に慣れている私たちにの目は奇異に映ります。

たとえば、 123,456,789 という数字を2進数で表すと、 111010111011100110100010101 になります。

0 と 1 ばかりで、 目がチカチカして、 読みとるのも一苦労です。
コンピュータでは、 なぜこんなものを使うのでしょうか。



下図は、 おなじみの 「九九」 の表です。
小学校で “かけざん” を習ったときに、 一生懸命になって暗記しました。
おかげで私たちは、 一桁の数字の掛け算ならいつでもできます。

9×9

しかし、 私たちが使っている数字には 0 もあるので、 「九九」 の表は本来下図のようなものなのかも知れません。

10×10

“たしざん” にしても同じこと。
私たちの頭の中には次のような “足し算” の 「九九」 の表が入っていて、 足し算も得意です。

10+10




しかし、考えてみれば、“たしざん” や “かけざん” をするには、 それぞれ 100 種類の規則を頭の中に入れておかなければなりません。
もし、 数字が 0 と 1 の 2 種類しかなければ、 “かけざん” の 「九九」 の表は 「一一」 の表になってしまいます。

1×1

“たしざん” も簡単になりますが、 「もし数字が 0 と 1 の 2 種類しかなければ」 という前提なので、 1 と 1 の和を 「2」 と書くことはできません。 これを桁上がりさせて 「10」 と表すことにすると、 この場合の足し算の 「一一」 の表は下図右のようになります。

1+1

数字が 0 と 1 の 2 種類しかなければ、 計算が簡単になるばかりではなく、 0 と 1 を電圧や電流の “あり” と “なし” で表すこともできます。
「コンピュータ」 のハードウェアをとてもシンプルにすることができます。 コンピュータに 2 進数を使わない手は ありません




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*1 10 進数で演算するコンピュータを作ることも不可能ではありません。 現に、世界で最初に作られたコンピュータとされている ENIAC は、10 進演算方式でした。 しかし、10 進数演算を採用すると、コンピュータは必要以上に複雑になってしまいます。 ENIAC には 18,800 本もの真空管が使われたのに対して、 後に 2 進数を採用して作られたコンピュータ、 EDSAC に使われた真空管は 3,000 本でした。
1830 年代、バベジも 機械式の自動計算機の開発を企てましたが、ことごとく失敗しました。 歯車の回転角度を 0〜9 の数字に対応させた 10 進演算方式だったため、あまりにも複雑になってしまったのです。 一方ツーゼは 1938年、同じ機械式でも2進数演算方式を採用し、カムを使って計算機 Z1 を作ることに成功しています。

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update: 2012.09.18  address