資料シート●各科目

(在来型ビデオにおける)
インタレーシング

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/I/interlacing.html




 在来型のTV放送やVHS、Hi-8などのビデオ録画/再生では、NTSC、PAL、SECAMなどの方式が使われている。これらの方式では、ビデオフレームの列として構成され、さらにそれぞれのフレームは上下に並ぶ細いラスタの列として構成されている(▽図)。

   ビデオ
  =フレーム,
   フレーム,
   ...,
   フレーム

   フレーム
  =ラスタ,
   ラスタ,
   ...,
   ラスタ

 フレームを構成するラスタは、単純に上下の順に記録されているわけではない。

 像を信号化するにしても、その信号を像として再び表示するにしても、一度には1本のラスタしか扱うことができない。つまり、像の信号化もその信号に基づいて表示をするのも、それぞれのラスタについて、1本ずつ順に繰り返していかなくてはならない。
 CRTなどのほとんどの表示システムでは、表示はごく短い時間で消えてしまい持続しておくことはできない。つまり、ラスタは描くそばから消えていく。ところが、各フレームに含まれるラスタの本数は非常に多いので、これでは、スクリーンの下が描けている時は上は消えていて、上が描けている時は下が消えていることになってしまう。このことによって、全体としては、点滅しているようなちらつきが現れる。
 これを防ぐには、途中のラスタを抜きながらまず大まかに表示して、そのあとで前に抜いたラスタを表示するようにすればいい。この手法をインタレーシング(interlacing)という。

 NTSCなどでは、初めに全体の1/2のラスタを表示して、そのあとで残りの1/2を表示する1/2インタレース法が採用されている。つまり、まず偶数番目(0、2、...番目)のラスタだけを順に録画/再生し、そのあとで残りの奇数番目(1、3、...番目)のラスタだけをまた順に録画/再生する(▽図右)。



インタレーシングのない表示(左)とインタレーシングのある表示(右)

 インタレーシングを実現するためには、あらかじめ録画の時に、表示の順番に合せてラスタを記録しておかなければならない。このため、電波ビデオテープに乗っている各フレームラスタの信号の順番はとびとびになっている(▽図上)。



方式
用途
ラスタの順番

インタレーシングなし
コンピュータのモニタの表示
スキャナ
DVDソフト
ハイビジョン(の一部)
0>1>...>519 



インタレーシングあり
NTSC
DV-NTSC
0>2>...>518>
(続いて)
1>3>...>519 



 インタレーシングに対応して作られたビデオの信号では、ラスタは、偶数番の部分と、そのあとに続く奇数番の部分とに分かれていると考えてもいい。この初めの方の部分を偶数フィールド、あとの部分を奇数フィールドという(▽図)。

 インタレース方式では、ラスタの高さの分だけ偶数フィールドの方が奇数フィールドよりも位置が高い(▽図)。したがって、偶数フィールドと奇数フィールドとを交代に表示していると、ラスタの高さの分だけ像が上下に振動していることになる。この振動によるちらつきは、小さいスクリーンではほとんど気にならないが、大きいスクリーンではかなり目立つ場合がある。
 このように、プログレッシブ方式では点滅(▽図左)が、インタレース方式では振動(同右)が起こり、どちらにしても、(厳密には)ちらつきのない像は得られない。



点滅(左)と振動(右、どちらもかなり強調して示している)

 そのため、地上/衛星デジタル放送や、HDDV、DVDビデオなどの新しいメディアでは、コンテンツによってインタレース方式とプログレッシブ方式とを使い分けることが可能になっている。
 また、インタレース方式で録画/放送されたビデオをプログレッシブ方式のビデオに変換してから表示する機能が組み込まれたディスプレーも使われている。
 もっとも、インタレース方式が必要だったのは、CRTのように像を維持しておける時間が短いディスプレーが使われていたからで、最近のようにLCDやプラズマディスプレーが主流になってくると、インタレーシングは特に必要なものではなくなっていくだろう。



映像

メディアテクノロジー論
情報処理
石原ゼミ


このページの記事の一部は 媒体への負荷や著作権への配慮から バージョンによっては見ていただけないことがあります

Copyleft(C) 2001-05, by Studio-ID(ISIHARA WATARU). All rights reserved.


最新更新
05-08-22