在来型の
TV放送や
VHS、Hi-8などの
ビデオ録画/再生では、
NTSC、PAL、SECAMなどの方式が使われている。これらの方式では、
ビデオは
フレームの列として構成され、さらにそれぞれの
フレームは上下に並ぶ細い
ラスタの列として構成されている(▽図)。
ビデオ
=
フレーム,
フレーム,
...,
フレーム
フレーム
=
ラスタ,
ラスタ,
...,
ラスタ
フレームを構成する
ラスタは、単純に上下の順に記録されているわけではない。
像を信号化するにしても、その信号を像として再び表示するにしても、一度には1本の
ラスタしか扱うことができない。つまり、像の信号化もその信号に基づいて表示をするのも、それぞれの
ラスタについて、1本ずつ順に繰り返していかなくてはならない。
CRTなどのほとんどの表示システムでは、表示はごく短い時間で消えてしまい持続しておくことはできない。つまり、
ラスタは描くそばから消えていく。ところが、各
フレームに含まれる
ラスタの本数は非常に多いので、これでは、スクリーンの下が描けている時は上は消えていて、上が描けている時は下が消えていることになってしまう。このことによって、全体としては、点滅しているようなちらつきが現れる。
これを防ぐには、途中の
ラスタを抜きながらまず大まかに表示して、そのあとで前に抜いた
ラスタを表示するようにすればいい。この手法を
インタレーシング(interlacing)という。
NTSCなどでは、初めに全体の1/2の
ラスタを表示して、そのあとで残りの1/2を表示する1/2インタレース法が採用されている。つまり、まず偶数番目(0、2、...番目)の
ラスタだけを順に録画/再生し、そのあとで残りの奇数番目(1、3、...番目)の
ラスタだけをまた順に録画/再生する(▽図右)。
インタレーシングに対応して作られたビデオの信号では、
ラスタは、偶数番の部分と、そのあとに続く奇数番の部分とに分かれていると考えてもいい。この初めの方の部分を
偶数フィールド、あとの部分を
奇数フィールドという(▽図)。
インタレース方式では、ラスタの高さの分だけ偶数フィールドの方が奇数フィールドよりも位置が高い(▽図)。したがって、偶数フィールドと奇数フィールドとを交代に表示していると、ラスタの高さの分だけ像が上下に振動していることになる。この振動によるちらつきは、小さいスクリーンではほとんど気にならないが、大きいスクリーンではかなり目立つ場合がある。
このように、プログレッシブ方式では点滅(▽図左)が、インタレース方式では振動(同右)が起こり、どちらにしても、(厳密には)ちらつきのない像は得られない。