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FSTYLE mini (デジタルカメラ) |
しばらく前からおもちゃのデジカメが話題になっていて、ずっと、気になっていましたが、
デジカメは間に合っているし、機能も画質も高くないようなので、まあいいか、と考えていました。
しかし、おもちゃなんだから、普通のデジカメと比べて機能が、画質が、と言ったところではじまりません。
ここはひとつ、「おもちゃのデジカメ」 として接してみようと思って買ってきたのがこれです。
約30万画素でストロボ付き。
動画も撮れます。
おもちゃデジカメとしてはハイエンド(?) の機種になりそうです。
価格は約8,500円でした。
![]() ![]() では、さっそく分解してみることにします。 |
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ケースを開いたところです。 左は電池ホルダ、中央にストロボ関連の部品、電子ブザーと LSI、 右にはファインダーとレンズ (の下には CCD センサ)、 USB コネクタなどがあります。 (写真をクリックすると、大きい写真が表示されます。 以下、 ![]() |
![]() ![]() | LSI の上に電子ブザーが接着剤で固定されています。 CMOS センサとメモリを除けば、IC はこれ1個だけしかありません。 低価格デジカメ専用の LSI ![]() ストロボ発光用のコンデンサは、リード線の半田付けだけで保持されています。 あまり感心できませんが、問題ないという判断でしょう。 (おもちゃのデジカメに、強い衝撃や振動が加えられるとも思えませんから) |
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基板裏面の主要部品は残り撮影枚数表示用の液晶、モード切替スイッチ、メモリ
(64Mbit SDRAM) です。 電池の接点とシャッター用スイッチの基板がつなげられていますが、意外なことに、これも両面基板です。 その気になれば片面基板でも可能でしょうが、 両面基板にすることによって作業性などが向上するのかもしれません。 |
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カメラのメモリは 8MB の SDRAM 1個だけですから、撮った写真のデータは
DRAM に記憶されています。
パソコンに取り込む前にうっかり電池を外したりすると、せっかくの写真は一瞬のうちに全部ダメになります。 そのため、電池を入れたままにしておくと1週間程度で電池がなくなってしまいます。 4個の電池 ![]() 左の写真は FSTYLE mini の写真をパソコンに取り込むソフトの画面です。 どちらのページに書けばいいのか分からないのですが、 STICK SHOT の画面 と瓜二つ、 違うのはメーカー名と商品名のロゴの部分だけです。 しかも、STICH SHOT の写真を STICK SHOT のソフトで読み込んでも、 ファイルは FSTYLE のフォルダに書き込まれるという念の入りようでした。 ハードもソフトも、共通の部品(?) を利用して、 開発期間の短縮やコストの削減に努力している様子が窺えるような気がしました。 |
● FSTYLE mini スペック
フォーカス範囲 | 0.6m 〜 ∞ |
画像出力解像度 | 640×480 ピクセル(VGA) 320×240 ピクセル(SIF) |
動画録画時間 | 約3秒(VGAの場合) 約12秒(SIFの場合) |
イメージセンサー | 30万画素CMOSセンサー |
メモリー | 8MB SD-RAM |
記憶枚数 | 26pictures (VGA) 107pictures (SIF) |
PCカメラ出力 | VGA:2fps SIF:12fps |
フラッシュストロボ | 急速充電式 Frash Strobo 内蔵 |
最適ストロボ範周 | 1.5m 〜 2.0m |
セルフタイマー | 10秒タイマー |
LCD表示 | 液晶表示カウンター |
パソコン接続 | USB |
ファイル形式 | BMP (VGA: 約0.9MB SIF: 約0.2MB) |
電源(パッテリー) | 単4アルカリ乾電池(LRO3)×4本 (USB) |
電池寿命 | 写真撮影 約1000枚 |
対応OS | Windows 98/98SE/Me/2000 Mac OS8.6/9.0(ただし、ホームページよりドライバーをタウンロード) |
本体サイズ | H90×W60×D26mm |
本体重量 | 約84g(電池は含みません。) |
IC やソフトが何であれ、カメラの命はやはり画質ですが、 残念ながらこれは 「おもちゃ」 の域を出ないようです。
(もともと 「おもちゃのデジカメ」 に接してみようと思ったのですから、
それでいいんですが…)
収差が目立ちますが、割り切ってしまえば結構楽しむことができます。
◆ 撮影例 | |
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撮影例1: 関西外大図書館棟 | 撮影例2: 関西外大中庭通路 |
それにしても、なぜこんなに収差が多いのか、気になりました。
レンズのことはよく分かりませんが、"写ルンです" があれだけ写っていルンですから、
同じような(?) プラスチックのレンズで、
どうしてもう少しシャープに撮れないんだろうと乱暴なことを考えているうちに、
それでは "写ルンです" のレンズを使うとどうなるのか、ということが気になりはじめました。
FSTYLE mini のレンズと、"写ルンです" のレンズがどちらも 36mm フィルムのカメラ換算で f ≒ 35mm
だとすると、レンズを FSTYLE に移植すると f ≒ 135mm 程度の望遠レンズになりそうです。
さっそく試してみました。
概ね予想通り、左の写真の中央部分が撮影できるような望遠カメラになりました。
光軸近傍だけを使うためもあってか、収差は感じられません。
コントラストが少ないのはレンズの汚れ、即製遮光フード内での乱反射、やや逆光気味の撮影などが原因と思われます。
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改造前 (和歌山県立医大) | 改造後 |
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動画を撮れるのも楽しい機能です。 アイボくんのお目覚めを撮ってみました。 左の写真をクリックするとご覧いただけます。 付属のソフトだけで作りましたので、AVI 形式です。 (すごく簡単に作れます。) 画像は 320×240ピクセル、ファイルサイズは 2.2MB です。 |
*1 IC のデータシートは
http://www.vvl.co.uk/products/co-processors/680/7269751.pdf にあります。
*2 ストロボを使用しない場合は、電池2個で撮影できます。
面白い機能だと思うし、説明書にも確かにそう書かれているのですが、
「電池の入れ方」 といったところはあまり読まないので、最初は知りませんでした。
私はこれを分解して、電池ホルダの基板につながっている電線が1本多いのが気になって基板のパターンを調べ、
電池を2個入れただけで動くことに気づき、説明書を読んで納得という、完全に逆のコースをたどりました。