エアロソアラ (AERO SOARER) |
エアロソアラは、 超小型超軽量の 赤外線コントロール室内用飛行機です。
これも、「こんなのがあるよ」 と息子が教えてくれました。
「これも」 というからには前科があるわけで、
QX3 を見つけきてて、 私の衝動買いを唆したのもこの息子でした。
ただし今回、これを買ってきたのは彼です。
彼の年齢は約 30 歳。
しかしエアロソアラの対象年齢は 「15才以上」 ですので、 資格はあるわけです。
もちろん、私にも。
エアロソアラ のコントローラです。
正面左の縦長のスイッチはパワーコントロールレバー、 プロペラのスピードをコントロールします。
中央下部のスイッチは電源スイッチで、 右はラダー操作ボタン、 方向舵を動かすときに使います。
上面に 2 個覗いているのは、 機体をコントロールするための赤外線 LED です。
コントローラを開いてみました。
「わ、 何だ、 これは!」
製図用の、 でしょうか、 紙テープです。 至るところにぺたぺたと貼ってあります。
テープにも思い出がありまして、 以前 eyeplate というデジタルカメラを分解したときも、
中は両面テープだらけで、 「わ、 何だ、 これは!」 と驚いたことがあります。
開発中はともかく、 製品にこのような処置をするのはいかがなものか。
ここには固定しなくてはならない部品もないので、
恐らく基板と電池ホルダ部の短絡防止のための応急処置と思われます。
プリント基板です。
おもちゃのコントローラには珍しい、 両面基板です。
中央下部の黒い丸い部分が COB (chip on board) 、
基板に直接実装されている IC チップです。
パワーコントロールレバーの信号もアナログで入力されているようですので、
A/D変換回路を内蔵した 4 ビット程度の MPU (micro processing unit)
ではないかと思われますが、詳細は分かりません。残念…。
両面基板なのは、COB だからかもしれません。
これは赤外線 LED の出力例です。
LED は図の L レベルで点灯し、 H レベルの長短で '0' と '1' を表します。
この場合は、 "101101" を出力しています。
最初の1ビットはチャンネル
、
次の2ビットは方向、 最後の3ビットはプロペラのスピードのデータです。
従ってこの信号は、 「Bバンドの飛行機は、最高速度で右旋回せよ」 という意味になりそうです。
こちらは機体。
中央にプリント基板が見えます。
上部の黒い部分が赤外線センサ、下部は充電のためのエッジコネクタです。
基板の中央部、この写真では隠れて見えないところに MPU があります。
基板より更に機首寄り、やはりこの写真では見えないところにコンデンサがあります。
プロペラの部分のクローズアップ。
プロペラと、ギヤと、それに噛みあっている小さいギヤと、
どこにあるのか分からないくらい小さいモーターと…。
機体全部の重さは約 3.5g だそうです。 機体自身は発泡スチロール製で、軽いとはいえいくらかの重さがあり、
コンデンサや基板のことも考えれば、
この部分は 1g あまりかと思われます。
それでもモーターもプロペラも回って、飛行機が飛ぶんですから、驚きです。
これはモーターの電圧波形です。
一番上の "1" の波形はパワーコントロールレバーが下にあるときで、
モーターは 20% の時間だけ ON にされています。
レバーを上げていくと、 ON の時間は 40%、60%、80% と増えていって、
レバーを一番上まで上げると "5" の状態、モーターは 100% ON になります。
モーターが ON になって OFF になって、 また ON になるまでの時間は 0.6msec
(図の一目盛りは 0.1msec) ですから、 1秒間に 1,600回あまり、
モーターが ON、OFF を繰り返しています。
このような早さで ON/OFF を繰り返すと、 ON、OFF されていること自体は感じられなくなって、
ただ回転数がだんだん変わっていくだけに見えます。
このようなモーターの速度制御方式を、
パルス幅変調 (PWM : Pulse Width Modulation) といいます。
方向舵。 コイルと電磁石です。
これも見覚えがあるぞ… たしか、
ビットチャージー の操舵機構もこれに似ていました。
ただ、あちら はもっと重い車の前輪を動かさなくてはならないので、
今から思えば結構大きいコイルと電磁石が使われていましたが、
こちらは僅か 3g あまりの飛行機の方向舵を動かすだけですから、
コイルも電磁石も、小さい小さいものでいいようです。
これは、充電風景。
コントローラの上面に機体をセットして充電します。
コントローラ上面 には赤外線 LED があり、
その奥に充電用のコネクタと、 機首が収まるピットがあります。
充電が完了すると 「ピロピロリ〜」 という短いメロディ音で知らせてくれますが、
どこにも発音素子らしきものは見当たらない…。 なんと、音は
モーター ラダー が出していました。
機体を少し開いてみました。 ご本尊のプリント基板とコンデンサが見えます。
基板も驚くほどの小ささです。
MPU は基板の反対側の面にあります。
これでも 「コンピュータ」 なんですから、 本当にびっくり。
説明書には電池と書いてありますが、 エアロソアラ の電源はコンデンサです。
電気二重層コンデンサは、近頃は車の電源に使われたりもしていますから、
飛行機に使われるのに何の不思議もありませんが…。
軽量化のためか、 機内はほそ〜い細〜い電線で配線されていて、 組立作業のご苦労は察するに余りあります。
しかしまた一方、 このような手作業の半田の品質は、 ほとんど管理できません。
エアロソアラ のスピードはあまり速くないとはいえ、 壁や柱に何度も衝突します。
半田は機械的なストレスには意外なほど弱いので、 このようなデリケートな構造で、
しかも半田付け部が固定されていないのでは、 故障が多発しているのではないかと気がかりです。
それにしても、楽しい飛行機です。
とはいえ、これをちゃんと飛ばすには調整が必要で、まるで昔、ゴム動力飛行機を作ったときのようです。
(パッケージにも、上手く飛ばすには調整と練習が必要です、と書かれています。)
メーカーのホームページ に動画がありますが、
あんな風には、とても、とても。
● 追記 (2006.09.17)