戻る ビットチャージー  (BIT CHAR-G)

BIT CHAR-G ラジコンカーです。

いまどきラジコンなんて珍しくありませんが、 全長約 60.8mm、幅 32.2mm、高さ 27mm、重さ 21g (いずれも実測) というサイズは驚きです。

サイズばかりではありません。 サイフの負担も小さいのです。 (これも実測)
車も送信機もみんなまとめて \2,500 でした。

これで、ちゃんと走る (!!) のですから立派です。






BIT CHAR-G さっそく、分解してみました。
というより、組み立て式ですから、最初からある程度分解された状態で箱に入っているのですが…。

左は組み立てが終わった状態の本体。
手前のボンネット部には操舵機構、真ん中にはバッテリーと電子回路、 後のトランクに当たる部分に小型モーターがあります。

操舵部 私がいちばん興味深かったのは、操舵機構です。
昔のラジコンには複雑な操舵機構が組み込まれていましたが…。

なんと、左右にコイル、真ん中に磁石。それだけです。
送信機のスイッチを押すとコイルに電流が流れて磁石が動く。 スイッチを離すと、バネの力で元に戻る。 それに伴って前輪の角度が変わったり、戻ったり。
実に、単純明快です。

モーターとギヤ モーター (マイクロビー) だって負けていません。
直径 6.0mm、本体長さ 12.1mm ですから、薬のカプセルくらいの大きさです。

これを本体後部に入れて、放熱を兼ねるフタでパチンと閉じると、 配線することもなく、電気的な接続が同時に行われます。
動力はオレンジ色のギヤで減速されて後輪に伝えられます。

受信機基板 肝心かなめの、受信機の電子回路です。
詳しくは分かりませんが、向こうの方が高周波回路、中程左の黒い "こんもり" は IC です。 IC チップを直接基板に実装して、樹脂で固めています。 これを、COB (Chip on Board) といいます。

手前の方にある黒い6個の四角いものはトランジスタです。 モーターの正逆回転と、左右の操舵用コイルの ON/OFF 制御に使われているものと思われます。
これらが 21×18mm のプリント基板に納められています。

BIT CHAR-G 基板の反対面にはコイルやアルミ電解コンデンサなどの大型(?) 部品がとりつけられていて、 基板全体は計8本の電線で空中に浮かんでいます。
これを畳み込んで樹脂製のフタで止めると固定されるという、お手軽な設計になっているようです。

プリント基板の設計にも感心しないところが目につきますが、このへんにこだわらないところからは、 おもちゃ業界の開発期間への制限、いいかえれば思い切りのよさ、が窺えるように思います。




送信機 送信機を見てみましょう。

送信機は車に積み込まれている小さなニカド電池の充電器を兼ねています。
右側のカバーを開けて車を乗せると充電が始まり、LED が点灯します。
1分弱で充電が終わって LED が消えると、2分間ほど車を走らせることができます。

全面に2個ある大きなスイッチは、左側が前進・後進、右側が右折・左折のコントロール用スイッチです。

裏側には電池のカバーや、巻き取り式のアンテナを収納するためのダイヤルなどがあります。

送信機プリント基板 プリント基板です。
(写真をクリックすると大きい画像が表示されます)

こちらは車ほどスペースの制約は厳しくないので、 従来型のリード線挿入部品と片面基板+ジャンパー線という、 オーソドックス(?) な構成になっています。

右上の青い線はアンテナに、左への赤・黒の線は車の充電用の端子に、 上の赤・黒の線は電池に、それぞれつなげられています。



送信機プリント基板

中国製のようですが、つくりは感心できません。 トランジスタやセラミックコンデンサ、抵抗といった部品がてんでに傾いています (写真1)。 傾いたからといって、電気的には特に問題はありませんが、 基板の孔のピッチと部品のリードピッチやフォーミングピッチが正しく合っていないと傾きやすくなります。 品質がいいとはいえません。

おもちゃなんだから、それでもいいんじゃないの、という考え方もあります。
なお、写真1の後方で大きく傾いている長い電解コンデンサとトランジスタは、 「傾いている」 のではなくて、「傾けている」 のです。 手前の水晶は問題ないのですが、あの位置にはアンテナの収納部があって、 背の高い部品は当たってしまってまっすぐに実装することができません。 よくある設計のミステイクです。 ミステイクではなく、分かっていて、やむなくやっている場合もあります。

写真2は送信中・充電中を表す LED ですが、これも、もう少しなんとかならないものかと思います。 このように扱われる部品も、ケースの穴に LED がちゃんと収まるように作業しなければならない人も、気の毒です。
これも、設計の問題ですが。

しかし、もっと重大な問題がありそうです。 半田に不規則な形のツノがあったり、おそらくリード線の屑と思われる異物が見られます(写真3)。
半田槽の管理が良くなく、異物も混入しているようですから、現場ではトラブル多発に悩まされているかもしれません。



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2002.02.10  address