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2 個の NAND 回路が下図のように接続されています。
NAND 回路は、 入力がすべて 1 になったときに 0 を出力する論理回路です (下図右の真理値表参照)
これを図のように接続すると 「記憶回路」 になります。

「え、 こんなもんで記憶が?」 と思うかもしれませんが、 できるんですから不思議です。

いま (図の初期状態では)、 出力 Q は 0 です。

入力 S の付近をマウスでクリックしてみて下さい。
入力 S が 0 になって、 出力 Q が 1 に変わります。
クリックをやめると S は 1 に戻りますが、 Q は 1 のままです。
もう一度クリックすると S は 0 になって、 Q はやはり 1 のままです。
一度 Q が 1 になればあとは何度 S をクリックしても、 Q は 1 のまま変わりません。

今度は入力 R の付近をクリックすると、 出力 Q が 0 になります。
クリックをやめると R は 1 に戻りますが、 Q は 0 のままです。
あとは何度 R をクリックしても、 Q は 0 のまま変わりません。

つまりこれは、 一瞬でも S を 0 にすると Q が 1 になり (1 を書き込む)、 R を 0 にすると Q が 0 になる (0 を書き込む) 記憶回路です。




上図の真理値表は、上の NAND 回路の状態をで、 下の NAND 回路の状態をで表しています。
なお、クリックしてから、少し遅れて回路の状態が順次変わるようにしてあります。
遅れ具合は で調整できます。




このような記憶回路 (メモリセル) を大量に集積したものが SRAM (Static Random Access Memory) です。

DRAM と SRAM

SRAM のメモリセルには、 実際には上図のように 6 個 (または 4 個) のトランジスタが使われています。
DRAM に比べて高速、低消費電力などの点で優れていますが、 トランジスタ数が多いため集積度を高くできません。

一般的に、コンピュータのメモリには DRAM が、 高速動作が必要なキャッシュメモリなどに SRAM が使用されています。


関連事項:  DRAM