戻る 人体内のインターネット   (情報伝達)


▲ これまでの医学界では、 「脳が司令塔となり、 各臓器に様々な命令を出して、 体内をコントロールする」 という考えが定説で、 一般にもそれが常識として受け止められていた。

▲ 所が2017年の末頃から、 NHKが 「シリーズ人体−神秘の巨大ネットワーク」 と云う題で、 NHKスペシャルの番組を流し出してから、 急に流れが変わった。 「臓器同士は常に会話するように情報交換しながら、 支え合って働いている」 と云う考え方が衝撃的にクローズアップして、 大反響を呼んでいる。

▲ この情報夜話は、 人体内の情報伝達には、 @神経細胞による情報伝達、 A内分泌系による情報伝達、 の2つがあるとして、 それらについ述べてきた。
しかし、 ここに至って、 第3の情報伝達系として、 B臓器間ネットワークを書き加えなければならない。

▲ 各臓器はそれぞれに 「メッセージ物質」 を放出すると、 それらは血管や神経を通って、 他の臓器に到達し、 メッセージをそれらに直接に伝達する。 臓器間のこの会話によって、 人体は自律的に制御されていると云うのである。



例えば、 酸素が足りなくなると、 尿を作っている腎臓が 「酸素が足りない」 と云うメッセージを発する。 そのメッセージが骨に伝わると、 骨は酸素を運ぶための赤血球を増産する。

▲ これはまるで、 インターネットの中で、 情報が巡り巡って伝達されているのと同じではないか。
何と、 生物は数億年も前に生まれ出て以来、 インターネットと同じシステムを作ってそれを駆使していたのではないか。

▲ このような臓器間ネットワークも破綻することがある。 そうすると疾患になる。 糖尿病、 肥満症、 脂質異常症などであると云う。 インターネットの炎上状態である。

▲ 癌細胞の転移も、 臓器間のメッセージ物質の作用によるもので、 そのメッセージ物質はエクソソーム (Exosome) と呼ばれる、 mRNA などの核酸物質を内包した、 非常に小さな細胞外小胞 (膜小胞) であると云う。 エクソソームは癌細胞の飛び道具である。

▲ このように人体内の臓器が単なる部品ではないとすると、 早速に多くの疑問や問題が提出されている。  @ 他人から移植した臓器にもこのシステムは働くのか?  A 臓器を摘出したらこのシステムも失われるのか?  B 人工臓器ではこのシステムはないだろう? ・・などなど・・ 



情報夜話内の関連事項】  人体内の情報伝達  内分泌系 (もう一つの人体内情報伝達)


情報処理概論 に戻る   情報夜話 に戻る   戻る