色の違いをはっきり区別して記録したり通信したりすることができなければ、写真や映画は実現できない。いろんな
色を区別して整理できれば、その中での地位を指し示すことによって
色の記録や通信が可能になる。このために作られた
色のシステムのことを
表色系(COS= color-order system)という。
実用では、
色を記録/通信する場合には、ある表色系を決めておいて、その中でその
色がどの地位を占めるかによって、その
色を表現する。
表色系には、
色の属性(色相、彩度、明度など)の組合せによって
色を表現する
顕色表色系と、基本になる
色の
混ぜ合わせ方によって
色を表現する
混色表色系とがある。顕色表色系は見え方によって
色を表現することに当たり、
混色表色系は作り方によって
色を表現することに当たる。
顕色表色系には、
HSV系や
HLS系があり、
混色表色系には
RGB系や
YMV系(とその変形の
CMYK系)がある。また、この両方の特徴を兼ね備えた
YCC系のような表色系もある。
たとえば、試薬の分析に使う、反応によって現れる
色の表は、実際の
色のとおりに印刷されていなければならない(資料[
絶対性])。このように、ある環境で見たある
色が、別の(または同じ)環境のある
色と同じかどうか判断できるように、
色の
絶対値を表現するための表色系を
絶対表色系という。
これに対して、画集の[モナリザ]の肌の
色は、もともと周りの光りの状態によって違って見えるものなので、写真の撮り方や編集の考え方によって、(周りのほかの
色と揃ってさえいれば)明るめに印刷してある画集と暗めに印刷してある画集とがあってもおかしくない。このような場合は、その印刷機やモニタで作れる
色の全体の中でその
色がどの
色に当たるのかという
相対値(relational value)が表現できなければいけない。このための表色系を
相対表色系という。
色以外でも、目や耳で感じられるものを記録/通信するには、
絶対値(absolute value)を表現しなければならないか、相対値を表現しなければならないかによって、それぞれに合った方式を使い分けなければいけない。
ウェブの内容や表現を記述するための形式としてHTMLが使われている。HTMLでは、
色を表現するための形式として、RGB法に基づいた#FFFFFF形式によるのと、名前によるのと2種類が準備されている。つまり、字、罫、背景などの要素の
色を書き表すには、この二つの形式のどちらかを選んで使えばいいようになっている。
名前はよく使いそうな約140種類の
色だけに対してあらかじめ定められている(資料
[HTML色名前一覧])。したがって、いつも使っている呼び名で指定しても通用するとは限らない(だいたい日本語が通用しない)。また、指定できる
色の種類は#FFFFFF形式よりもずっと少ない。