資料シート●各科目

デジタル
(そしてアナログ)

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/D/digital.html




 数量を記録(/通信)するための手法は、アナログな手法とデジタルな手法との二つに大きく分けられる。
 アナログ(analogue=類似)による方法は、たとえば音ならレコードやテープレコーダなどで用いられてきた。
 この方法では、数量の大小を電気や磁気の強弱などに置き替えたものとして表現する。特に時刻の進行につれて変化していくような(=単独ではない)数量をこの方法で表現すると、その結果としての電気や磁気の強弱も時刻につれて変化するので、その全体は電気や磁気の波になる(▽図)。たとえば音は時刻につれて寄せたり引いたりする度合いの変化とみなせるので、電気や磁気の波として記録/通信できる。
 テープレコーダで録音したテープでは、テープの長さ方向に磁気の強弱の変化が書き込まれている。レコードでは、電気や磁気の代わりに溝の深さの変化で波を表現している。

 デジタル(digital=指名)による方法は、オーディオCDで使われている。
 この方法では、数量に名前をつけておき、それを記録/通信する。
 もともと、わたしたちは日常の生活でも、数に "2000" とか "π" とか "八百" などの名前をつけて数量を表現している。これらの名前は文字の列として組み立てられているが、大量の数量を正確(または高速)に記録/通信しなければならない場合には、字の代わりに電気や磁気の強弱のパタン(一定の長さのビット列がよく使われる)を使って名前を組み立てる。

アナログ
analogous
物理的な量の大小の変化によって情報を表現する

パイプ(水圧/気圧の大きさ)
溝(深さ)
磁気テープ(磁界の強さ)
電線(電圧の大きさ)
電波(磁界の強さ)
あらかじめ変調しておく必要がある
デジタル
digital
名前説明の列記によって情報を表現する

×○○○ ○××× ...
どの場合もあらかじめ標本化+量子化が必要になる
これによってもとの情報はほんの少しだけ失われる
溝(ピットの有無)
磁気テープ(磁界の有無)
電線(電圧の有無)
電波(磁界の有無)

 情報が気圧や電圧の変化としてアナログに通信されていた時代には、情報を通信しているという考え方はそもそも存在しなかったのかもしれない。当時の人々は、気圧や電圧によってやりとりしているのはエンジンやモータなどを働かせるたるのエネルギであって、その大きさを変化させるのも、働きの度合いに応じてエネルギの量を適時に調節しているだけだと考えていたに違いない。
 もしそうだとすると、情報がエネルギと同じように(またはそれ以上に)重要なものだと考えられるようになるのは、真空管や半導体素子が使われるようになってからだということになる。真空管や半導体素子に出入りする何かは電子のレベルのエネルギしか持っていないので、エンジンやモータを働かせるためのエネルギとは考えにくい。それでいながらこれらを正しく働かせるためには必要な何かをそれは持っている。これが情報とよばれるようになったのだ。

 数(の変化)と直接には関係ないことがらでも、数量やそれを並べたり組み合わせたりしたものとして扱えるなら、アナログによる方法でもデジタルによる方法でも表現することができる。そうでない(またはそれに無理がある)ことがらはデジタルによる方法でしか表現できない。いっぽう、名前をあらかじめつけておけないものに対してはデジタルな手法は適用できない


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迷信:"アナログは人間的" ???
 アナログによる情報の表現はデジタルによる表現よりも自然で親しみやすくて秀れているという意見をよく聞く。でも、それはほんとうだろうか。



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