作品/[三月劇場]

[映画の食卓-僕の食卓]
13




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 さて、正月の頃は暖かな日が続いたので、地球温暖化問題について書くつもりだったが、その後急に寒くなったので、予定を変更して、ザーメンを取り上げることにする。もちろんあのザーメンである。この手の話題が嫌いな人は、ここから先はお読みにならないのが賢明であろう。
 ザーメンといえばAVがまず思い浮かぶのだが、これは観ていても退屈するばかりで、先日も三輪はるなちゃんのビデオを借りてきたのに途中で寝てしまった。三輪はるなちゃんは、パソコンの雑誌の付録のCD-ROMで写真集を見て気に入ったので、借りてみたのだ。笑えたのは、5人抜き(抜くってったら抜くんですよ)とか、片栗粉を入れた水鉄砲でも打っているのかという顔面放出だったが、しょせんストーリーも無いので、飽きてしまった。
 ザーメンをもっと前面に押し出して面白い話にしているのが、新谷かおるのまんがの [ぶっとびCPU] である。これは、パソコンがほしい高校生の男の子が、秋葉原の路上でパソコンを買ったところ(注:秋葉原では実際に路上でパソコンを売っています)、そのパソコンが人間型ロボットだったという、話である。ここで、"奥様は本当は魔女だったのです"という、例のナレーションを思い出した人は、僕と同年輩ということだろうか。
 この人間型ロボットはうら若き女性で、かつ所有者のザーメンをエネルギーとして動くというとんでもない設定である。開梱した彼女は、自分を初期化するために高校生の男の子を襲い、ザーメンを摂取するのである。哀れ、男の子はロボット相手に童貞を失い、なおかつ週に1回以上やらないと機能が停止してしまうというので、せっせと励まないといけないのだ。その上、ライバルとの戦闘になると大量のエネルギーが必要となるときたら何という不幸であろうか。
 ストーリーは、SFタッチでかつエッチであり、これ以上ストーリーを紹介すると楽しみが無くなるだろうから、ストーリー紹介はここまでにしておく。とにかく登場するキャラクターたちも、とても楽しい。彼女がNECのPC9821で、他にもクアドラとか、アプティバ、互換機、ハナコ等、 [パソコン大好き人間] なら笑える登場人物がいっぱいである。惜しむべきは、パソコンの進化が早すぎて、登場人物がもう時代遅れのスぺックになっていることだろうか。新谷かおるも、ここまでパソコンの進化が早いとは予想しなかったのだろう。今描いてたら、ソーテックやiMacが、顔を真似したねと言い争ってたかもしれない。そういう事情があるためかどうかは知らないが、現在単行本は3巻までで、話は中途半端に切れている。中断しているのか、連載が続いているのかは謎である。
 [ぶっとびCPU] はビデオにもなっているのだが、僕は観ていない。同じ新谷かおる原作の [砂漠のバラ] を観たときにがっかりしたからだ。 [淫獣学園] のシリーズを例に出すまでもなく、スケベものは実写のほうが面白いはずだからである。監督は飯田譲治、主人公のロボットには、 [ヒッキー] なぞはいかがなもんであろうか。本当はもう少し美人のほうがいいのだが、美人では表現できない部分があるので、表現力を買っての起用である。もっとも、セックスシーン満載の映画に [ヒッキー] が出るわきゃないだろう。
 この、われわれ男性とは切っても切れない関係にあるザーメンにまつわる思い出は、苦いの楽しいのをひっくるめて数多くあるが、一番の思い出といえば秋田時代のことである。当時、秋田の大学に入りたてだった僕は、同級生の斎藤くんと朝飯を兼ねた昼飯を食いに行くことにした。ちょうど日曜日だったこともあり、大学の周りの食堂は、店を休んでいたので、街中のデパートまで行ったのだ。確かデパートの名前は [協働社デパート] だったと思う。斎藤くんがここの肉まんはとてもおいしいと言っていたからだ。事実、ボリュームといい値段の安さといい、斎藤くんの言葉は嘘ではなかった。
 満足して食堂を出ようとした僕は、ショーケースの前で足を止めた。斎藤くんが僕の袖を引っ張るのだ。 "森島くん、ちょっと見ろや!" "何?" "気がつかないか?" 僕はショーケースをじーっと観たが、そこにはごくふつうのラーメンや肉まんのサンプルが並んでいるばかりである。 "右から順番に見てってみろや" と斎藤くんが言うので、丁寧に観察していくと、おお、そこには、くっきりと"ザーメン"の文字が。
 そうなのである。早い話が、それは実はザーサイラーメンでザーメンというだけのことなのだ。しかし、デパートの食堂のメニューとしてはあまりにも衝撃的な命名である。うら若い女性が、"ザーメンください" なんて、公衆の面前で言えるわけがないではないか。残念ながら、当時は僕もシャイだったので、このザーメンなる麺を食べたことはついになかった。惜しいことをしたと思っている。大声で、"ザーメン一丁!" と言ってみたかったような気もするのだ。
 というわけで、今回はレシピはなしである。実は、ある程度考えて、いよいよ試作だというところまでたどりついてはいたのだ。白湯(パイタン)スープをパイパンと書き間違えるギャグまで考えた。しかし、若い女の子に "あなたのザーメン、おなかいっぱい食べてみたい" と言わせられるかも、というような落ちでは、単なる中年の妄想でしかないということに気がついたのだ。妄想でもいいから言われてみたいけれど。

Sun, 12 Mar 2000 01:51:53
森島永年





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