町から外国人がめっきり少なくなった今日この頃である。バブル全盛期には、
こんな地方都市にまでイランだパキスタンだと、いろいろな国から外国人がきていたが、最近は、たまにフィリッピン系かなと思わせる女の子を見る程度になってしまった。おかげで、一時期はパキスタン料理やタイ料理ブラジル料理などいろいろな料理屋が競って店を出していたが、一回も行かないまま、みんな閉まってしまった。
そんな外国人が、スクリーン上だけとはいえ、相変わらず元気なのが
崔洋一監督の
[犬、走る]である。まあ、元気なだけで、あまり面白くもなかった。と、ここまでで今回は映画の話はおしまいである。なぜかというと、これまでの連載を読み返してみたところつくづく貧しい食生活しかしていないように思われるような内容だということに気づいたため、今から料理について書かなければならないからである。そう、たまには豪華にぱーっといかなくてはいけないのだ。
さて、料理はブラジル風のスープとしよう。なぜブラジル風で固有名詞がついていないのか。理由は簡単である。単純に本来の調理方法を知らないだけである。
まず最初は、材料の調達であるが、次の品を準備されたい。
私の住んでいる静岡県では、浜松にこのブラジル料理材料の専門店があり、これらの材料はすべてここで手に入る。
まずは、塩漬けの肉を作っていただきたい。豚の足の丸切り、豚の耳、豚のスペアアリブのあばら細骨部分に大量の塩をこすりこみ、一週間ほど冷蔵庫で寝かせる。面倒なときは1時間でもいい。本格的な塩漬け肉を作りたい方は、漬物の本を参照されたい。おっと、書き忘れたが塩漬けするときは、ハツもお忘れなく。
さて、いよいよ調理である。野菜を一口大に切り、豚の皮のベーコンでいためる。豚皮のベーコンは、脂だけのベーコンで皮の部分はやたら固いが、いためすぎるとスカスカになって旨くないので、適当なところでお湯を入れ、沸騰したらブラジル風のソーセージを食べやすい大きさに刻んで入れる。この刻みにんにくの入った生ソーセージからも良いだしが出るので後で加えるブイヨンは省略してもかまわない。さらに一煮立ちさせたところで、適度に塩抜きした塩漬け肉を加え、ローリエ、ブイヨンも加えてあく取りをする。火がとおったら、乾燥発泡えんどう豆をそのまま入れ、少し柔らかくなったらコショウで味を整えて出来上がりである。
以上のように、調理はとても簡単で味も保証する。好みによっては取り分けてから、丸唐辛子の酢漬けを、自分の分だけに加える。なに、とても辛いので鍋に入れると食べられない人がでてくるかもしれないというだけのことだ。
明日は、仕事で浜松へ行くことになっている。材料が買えれば久々のご馳走だ。
実は、つい2年前まで
清水にもブラジル料理の材料販売と簡単な家庭料理を出す店があって、一度だけ行ったことがある。小学生の女の子がつまらなそうに店の中で遊んでいて、僕たちが料理が出てくるのを待っている間、うちの娘とハンカチ投げなどをして遊んだのだった。残念ながら、ステーキは硬かったし、豆料理は水っぽく、客はブラジルから出稼ぎにきている人たちだけだった。女の子は、日本語も上手でとても可愛かったのだが、その後2ヶ月もしないうちに店は電話屋に代わってしまった。
もう少し景気が回復したら、サッカーの人気が復活したら、彼らは帰ってくるのだろうか。不景気の日本は日本人にも住みにくいのだ。いつか気がついてみると、そこには僕たちだけがひっそりと取り残されているのかもしれない。