液晶とは、 流動性があるため液体であると同時に、 分子配列が規則的であたかも結晶のような性質をもっている物質です。
オーストリアの植物学者ライニツァーによって 1888 年に発見されました。
液晶ディスプレイは、 光の 「波」 としての性質を巧みに利用して作られています。
まず、 ピンと張ったロープを想像してください。
ロープを持った手を上下に振ると、 その振動は波となって、 ロープを縦方向に振動させながら反対側に伝わります。
手を横に振ると、 ロープは横方向に振動します。 斜めに振っても同様です。
ロープはどんな方向にでも振動します。
光も波ですが、 ロープの波と違うのは、 普通の光にはあらゆる方向に振動している波が混ざり合っていることです
(下図には縦方向と横方向に振動している光の波だけを描いてあります)。
光が偏光板
(polarizer) に当たると、
偏光板の方向と一致している振動方向の光だけが偏光板を通り抜けます。
図では横方向に振動している波だけが偏光板を通り抜けています。
横方向の波だけになった光は、 もう一枚同じ方向におかれた偏光板に出会ってもそのまま通り抜けますが、
90°の角度で置かれている偏光板は通り抜けられません。
2 枚の偏光板の角度によって、 光が通れたり通れなかったりします。
上図は液晶です。
液晶の分子は細長い形をしていて、 互いにゆるい規則性をもって並んでいます。
液晶を細かい溝のある配向膜
(alignment layer) で挟むと、
液晶の分子は配向膜の溝に沿って並びます。
この 2 枚の配向膜の溝の方向を直角にすると、 液晶の分子は 90°ねじれます。
この状態の液晶を通る光は、
液晶分子のねじれに沿う形で振動方向が 90°ねじれます
(上図左)。
しかし液晶に電圧をかけると 液晶の分子は電界の方向に沿って並びます。
この状態では光は振動方向を変えません
(上図右)。
この液晶を偏光板で挟んでやります。
上図では、 バックライトの光は水平方向に振動する波だけが偏光板を通過します。
電圧がかかっていない液晶は分子がねじれていますから、
光の振動方向も分子に沿って 90°ねじれて 2 枚目の偏光板を通り抜けます
(上図左)。
液晶に電圧をかけると液晶内で光がねじれませんから、 2 枚目の偏光板を通り抜けることができません
(上図右)。
液晶にかける電圧を ON-OFF することで、バックライトの光を通したり遮ったり、
液晶を通過する光を ON-OFF することができます。
上図をディスプレイの 1 画素とし、これを縦横にたくさん並べて画素ごとに光の ON-OFF ができるようにすれば、
液晶ディスプレイができます。
上の写真は液晶ディスプレイのカラーフィルターです。
カラー表示のため 1 画素は三等分され、 光は
赤
(R)・
緑
(G)・
青
(B) のフィルターを通ります。
正方形で囲んだ R・G・B の一組が画素
(pixel) です。
これらの各エレメント毎にかける電圧をコントロールすることによって、
カラー液晶ディスプレイはさまざまな色を表示しています。