戻る ハードディスク技術の進歩

コンピュータ関連の技術の進歩には、目を瞠るものがあります。

その中でも最近は特に、ハードディスクの分野の技術革新が注目されています。


最近 (2000年〜) のパソコンのハードディスクには 20Gバイト程度の記憶容量のものが使われていますが、 私が 14〜5年くらい前に、初めて使ったハードディスクの記憶容量は 20Mバイトでした。

この間、パソコンのハードディスクの記憶容量は、約 1,000倍になったことになります。

講義資料/ハードディスク のページで紹介しているハードディスクは、 5年ほど前の 850Mバイトのものですが、これも現在では 20倍以上の記憶容量になっています。




小さい字で書けば、同じ大きさの紙にたくさんの字を書くことができます。 どんなに小さい字でも、読めさえすれば、情報を伝える、という文字の機能は損なわれません。

しかし、どんどん字を小さくしていくと、拡大鏡がないと読めなかったり、 もっと小さければ、顕微鏡が必要になるかもしれません。

あいうえお

ハードディスクもこれに似て、「小さい字で書く」 技術の進歩によって記憶容量が増え続けています。
小さく書く技術、小さく書かれた文字を読むための技術の進歩も、めざましいものがあります。


400字詰めの原稿用紙は、20行×20字ですが、 「20行」 に相当するものをハードディスクではトラック密度 (TPI: track per inch)、 「20字」 に相当するものを線記録密度 (BPI: bit per inch) といい、これを掛け合わせたものが 「400字詰め」 に相当する面記録密度 (bpsi: bit per square inch) です。
1平方インチの中に何ビット記録できるかを ビット/インチ 2 という単位で表します。

下図はハードディスクの面記録密度の推移を表したものです。

は 実験・研究室レベルで確認されたもの、 は 製品として出荷されたものを表しています。

面記録密度 (ビット/インチ 2 ) の推移

面記録密度の推移


これまで、ハードディスクの面記録密度は 50Gbpsi〜100Gbpsi が限界といわれていましたが、 2000年になって、50Gbpsi を越えるものが現れ、また「限界」そのものを高める可能性さえ出てきました。

56Gbpsi *1 の技術を用いたディスクを2枚内蔵したハードディスクの 記憶容量は約156Gバイトに達し、DVDビデオ相当の画質で映画30本程度を録画できます。

そして、2001年8月、ついに 100Gbpsi のハードディスクが開発されました。 さらに、300Gbpsi の記録密度を達成できる見通しを得た、 とも発表資料 *2 に書かれています。

ハードディスクの技術の進歩には、目を離せません。




しかし、面記録密度を高めるということは、「小さい文字で書く」、すなわち 1ビットを記憶するための磁性体の面積を小さくすることです。
上の 56Gbpsi のディスクでは、1文字(8ビット)は、僅か 0.0003mm×0.0003mm の中に書かれています。

この小さい 「文字」 を読むためには、まず磁気ヘッドが、 読むべきデータの位置に正しく来られなくてはなりません。
ビット当たりの磁性体の面積が小さいですから、磁気も弱くなります。感度の高い磁気ヘッドが必要です。
磁気ヘッドの浮上量 *3 を減らして、 できるだけ読みやすくすることも必要です。
また、そのためには、磁気ディスクの表面は極限まで平滑でなくてはなりません。

ハードディスクの記憶容量は、こうしたさまざまな技術に支えられて、 1.6〜2倍/年という驚くべき速度で増加し続けています。


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*1 http://www.fujitsu.co.jp/jp/news/2000/04/6.html

*2 http://pr.fujitsu.com/jp/news/2001/08/20-1.html

*3 講義資料/ハードディスク には、 「スライダは…… 0.1μm 程度浮上するように作られています。 このため、磁気ヘッドや磁気ディスクが摩耗することはありません。」 と書いていますが、 最近のハードディスクでは磁気ヘッドの感度を高めるために、浮上量は 1/3 程度になっています。 56Gbpsi のディスクでは約 1/5 の、21nm (=0.021μm) という値が使われています。

update 2001.08.21  ueyama@infonet.co.jp