戻る   クロック (clock)



クロックといえば 「時計」 ですが、 コンピュータのクロックは 「時計」 よりも、 イメージとしては 「メトロノーム」 の方が近いように思います。

「指揮者」 といってもいいかもしれません。
オーケストラでは、 様々の楽器の奏者が指揮者のタクトに合わせて演奏します。
コンピュータの CPU にも様々な装置があって、 これらがタイミングを合わせて動くためには、 オーケストラと同じように指揮者が必要です。
それが 「クロック信号」 です。

音楽の演奏速度はおおむね指揮者の解釈によって決まりますが、 オーケストラが演奏可能な範囲に設定されることは言うまでもありません。 コンピュータの動作速度もクロック信号の周波数 で決まります。
CPU にも追随できる速度の限界があり、 クロック信号の周波数も CPU 内部の各装置の動作速度に応じた値が選ばれています。

しかしコンピュータの身上は何といっても 「速さ」 です。 クロック信号の周波数は半導体技術の進歩とともに年々高くなる傾向にあり、 最近では 3GHz 単位 参照) を越えるものもあります

水晶振動子 クロック波形
クロック信号は水晶振動子 (crystal oscillator) の振動をもとにして作られます。
水晶振動子の形状は様々ですが、 左の写真はその一例です。 水晶振動子の振動は安定なので、 正確に 1 と 0 を繰り返す基準信号を作るのに最適です。 コンピュータや通信機器をはじめとする多くの電子機器で使用されています。

もちろんもう一方の "クロック"、 時計にも小型の水晶振動子が使われています
文字盤に "QUARTZ" と表示されていることもあり、 水晶振動子を使用していることを表しています。
"クロック" も、 クロック信号を使っているのです。


関連事項: CPU  単位


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*1 周波数 (frequency): 周期的な現象が 1 秒間に繰り返される数。 単位はヘルツ (Hz)。 1GHz では、 1秒間に 10 億回繰り返される。
*2 3GHz ということは、 1 秒間に '0' と '1' との変化が 30 億回繰り返される、 ということです。
しかし 「ギガ」 も 「億」 も、 残念ながら直感的に理解できる数字ではありませんので、 この話をするときはいつも 「光」 に手伝ってもらうことにしています。
光の速度は 30 万 km/秒、 つまり 30 0000 000 m/秒 です。 3GHz のクロック信号が 1 回動くのに必要な時間は 1/30 億秒です。 この時間に光がどれだけ進むかを計算するには、 光の速度に時間を掛ければよろしい。
つまり光が 1/30億 秒の間に進む距離は 30 0000 000 (m/秒) × 1/30 0000 0000 (秒) です。
これを計算すると答えは 0.1m、 すなわち 10cm になります。
1 秒間に地球を 7 回り半も進む光が、 わずか 10cm しか進めない時間 ── それが 30 億分の 1 秒です。 その 「一瞬」 に、 CPU は何か一仕事をする、 というのです。
どうです、 3 ギガヘルツという数字がどんなものか、 理解できましたか?
*3 純機械式の時計には使われていません。

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update; 2013.02.26  address