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情報の神ヘルメス(情報伝達) |
ギリシャ神話では、有力な神々はオリンポスの山に住んでいた。
そうした神々の中でも特に有力な神が、オリンポスの十二神である。
その十二神の中に、ヘルメス(Hermes)と云う神がいる。
ローマ神話ではメルクリウス(Mercurius)、英語ではマーキュリース(Mercury)と呼ばれる。
神々の王ゼウス(ローマ神話ではユピテル、英語ではジュピター)の末っ子で、
アトラスの娘であるプレアデス(すばる星)の七人の娘の一人マイアを母として生まれたとされている。
彼は、商業の神であり、旅人の神であり、使者の神である。
そして、面白いことには、泥棒の守り神ともされている。
翼の生えた靴を履いて、風よりも早く走り、手には使者の役を示す杖を持っている。
神々の中でも最も頭が鋭く、ずる賢く、すばしっこい神である。
泥棒の守り神だとか、ずる賢いとか云うのは、商人に対するイメージから来たものに過ぎず、
この神の属性の本質は、商人、旅人、使者の三つにある。
この三つの属性は、現代の感覚からすると、全く関係のない別個のもののように感ぜられるが、
実はそうではなく、古代においては、この三つは同一のものの三つの側面なのである。
古代において商業とは行商である。陸路をたどり、あるいは海路を越えて商品を運んだ。
従って、彼らは旅人である。いや、旅をするのは殆ど商人に限られていた。
それと共に、彼らは情報の運搬者であった。
遠い国の出来事を伝えてくれるのは彼ら行商人であった。
情報を運ぶのは彼らのみであった。
彼らは情報を運ぶ使者なのである。
ヘルメスの神は、古くは情報と云うものが行商人によって運ばれたことを示すのである。
ヘルメスの神は情報の神である。
ちなみに、この神の英語名マーキュリースは「水銀」の意味でもある。
捕らえようとしても逃げ出す、すばしっこい金属と云う意味で、この名を与えたと云う。
米国で NASA が、1961年にオンラインシステムを構築した時、これを 「MERCURY」 と名付けた。
おそらく、この情報の神にちなんだのであろう。
また、この名は太陽系の最も内側の惑星「水星」のことでもある。
太陽の周囲を回る公転周期は、惑星の中では最も短い88日。
しかも、地球より内側にあるので、明け方、または夕方に極く短時間しか見ることができない。
そのすばしっこさから、この名が与えられた。
ちなみに、惑星の名前はすべてギリシャ神話の神々の名である。
愛の神ヴィーナス(金星)、戦の神マース(火星)、オリンポスの主神ジュピター(木星)、
ジュピターの父サターン(土星)、サターンの父ウラノス(天王星)、海の神ネプチューン(海王星)、
冥界の王プルトー(冥王星)。
ヘルメスはフランス語で 「エルメス」 と発音し、ブランド商品の名前として有名である。
| (参考文献) | 山室靜「ギリシャ神話」教養文庫、社会思想社、1981、
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| B.エヴスリン(小林稔訳)「ギリシャ神話小辞典」教養文庫、社会思想社、1979、
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