資料シート●各科目

混色

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/mixture.html




並べ混色


 わたしたちの視覚は、いろんな色を同時に見ていると、そのどちらとも違う新しい色が見えるようになっている。たとえば、2種類の色を細かく格子に並べて塗ってある面(▽図)を見たり、ほんの短い間隔で2種類の色を切り替えて見たりすると、このような効果が起こる。こうした視覚の働きを並べ混色(mixture by pane)または加法混色(こちらの呼び方の方が一般的)という。

 

 コンピュータやビデオでは、いろいろな色を表示するのに、CRTモニタや液晶モニタなどを使う。これらの装置は赤+緑+青のごく小さな光源を格子を内蔵していて、その発光で並べ混色を引き起こさせることによって、無数の色の表示を実現している。
 油絵には、無数の原色の点を密に散りばめて描く点描法という手法がある。点描法によって描かれた絵は、並べ混色を起こすので、混色によって無数の色が生まれているのに、一般の絵とは違う明るさを感じさせる効果がある。

もっとしっかり学習するための資料

IMAGICA
加法混色
http://www.imagica.com/dic/a/additive_mixture_of_colors.html
1987-1999


重ね混色


 黄色とシアンの2色のセロハンを紙の上に重ねて置くと、もとのどちらの色とも違って青く見える。二つ以上の色のインクや絵の具を紙に重ねて塗った場合にも同じようなことが起こる。これらの現象を重ね混色(mixture by pile)または減法混色(こちらの呼び方の方が一般的)という。重ね混色は並べ混色とは違うしくみによって起こる。
 太陽から届く光は白く見えるが、実際にはいろんな色の光子が混ざっている。ふつうの紙が白く見えるのは、紙がいろんな色の光子をすべて同等に反射しているからだ。けれども、その上にセロハンを置くと、そのうちのいくつかの色の光子が、セロハンの色によって決まっている分だけ吸収されてしまい、残りの光子だけがわたしたちの目に届く。これらの光子によって感じる色がセロハンの色になっている。絵の具の場合は、絵の具に含まれている顔料(=色を現す物質)の粒がセロハンと同じ役割りを果たしている。
 2色のセロハンを重ねて置くと、そのそれぞれが途中で別の色の光子を吸収する。そして、目に届く光は、白く見えていた光から両方のセロハンの色の光を引いたものになる。いろんな色の絵の具を重ね合せて塗ったり混ぜてから塗ったりした場合(▽図)にも、同じことが起こる。




原色系


 並べ混色でも重ね混色でも、一般には混色によってできる色はもとの色よりも濁った色になる。並べ混色の場合は白っぽい色(▽図左)が、重ね混色の場合は黒っぽい色(同右)ができる。

 

並べ混色による濁り(左) 重ね混色による濁り

 しかし、どちらの場合も、それぞれ3種類ずつ例外の色があって、それらの組み合せについては、混色によって色が濁らない。これらの色の組み合せを、それぞれの3原色という。並べ混色では赤、緑、青(▽図左)が、重ね混色では、シアン、マゼンタ、黄(同右)が3原色になる。

 

RGB3原色(左) CMY3原色

 3原色を組み合わせれば、混色によってどんなでも感じさせることができることが知られている。

 絵の具やインクの場合について断っておくと、現在の技術で最も鮮やかなマゼンタの絵の具と、同じく最も鮮やかなイエローの絵の具とを並べ混色すると、新しくできる色は、正確な赤にはならなくて、すこし黄味かがった色にしかならない。この色はO(=orange)-赤と呼ばれることがある。
 また同様に、最も鮮やかなシアンの絵の具と最も鮮やかなマゼンタの絵の具とを混ぜると、正確な青よりも少し赤っぽい色になってしまう。この色はV(=violet)-青と呼ばれることがある。

もっとしっかり学習するための資料

IMAGICA
3原色
http://www.imagica.com/dic/t/three_primary_colors.html
96-11-05


結果の現れ方の傾向
原色系
並べ混色
加法混色
白っぽく濁る




重ね混色
減法混色
黒っぽく濁る
シアン
マゼンタ







Q  {赤、緑、青} が3原色だっていうのはおかしくないですか?
 3原色なら美術(図画工作だったかも)で習いましたが、それは確か ほかの組み合せだったと思います。それに、黄色と青を混ぜたら緑になるから、緑が原色っていうのは何だかおかしいです。
(02-04-22、A...さん)


A  3原色というのは、混ぜ合わせても濁らない色の組み合わせですが、実は、色の混ぜ合わせと呼ばれる現象には2種類あるんです。だから、3原色も2種類あるんです。
 色を上下左右に細かく並べたのを一度に見ると、それらの色が混ざって見えます。これが並べ混色です。また、色を同じ場所に塗り重ねた場合も、色が混ざって見えます。こちらが重ね混色です。{赤、緑、青} は並べ混色の方の3原色で、重ね混色の方の3原色は {黄、マゼンタ、シアン} になります。小中高の図画工作や美術で習ったのは、このあとの方の3原色です。
 並べ混色は重ね混色に比べるとあまり知られていませんが、美術では、並べ混色もよく使われています。たとえば、Seurat(スーラ)の[グランドジャッドの日曜日](▽図)って絵はきっと教科書に載っていたと思うけど、この絵では、並べ混色が得られるようにするために、点描法という手法が使われています。一般に、色の研究が急速に進んだ1900年前後にヨーロッパで描かれた絵(特に印象派という運動に参加していた作家たちの絵)には、並べ混色が応用されたものが多いのです。



[グランド-ジャッドの日曜日]

 ただ、絵を描き慣れていないと、色を細かく並べて新しい色を作っていくのはなかなか苦痛です。それも、小中高校で使うような小さい紙に描くんだと、かなり細かく塗り分けなければなりません。それに対して、絵の具を混ぜて色を作るのは、どんな色ができるのかすぐに分かるから気持ちがいいですね。こんな理由から、小中高校の美術では、重ね混色とその3原色しか習わないことが多いのかもしれません。


Q  美術で習った3原色は {黄、赤、青} だったと思いますが、何で赤と青がマゼンタとシアンに変わってしまったんですか?
 少し引っ掛かります。
(02-04-22、A...さん)


A  美術で(というよりは小中高校の美術科で)、3原色として"赤"、"青"と呼ばれているのは、実際には赤、青ではなくて、上に書いたように、マゼンタ、シアンなんです。つまり、{赤、青、黄} って言う場合と、{赤、緑、青} って言う場合とでは、"赤"とか"青"とか言っていても、実は違う色だってわけです。
 ほんとうの赤(もっと黄色っぽい)、ほんとうの青(もっと赤っぽい)、黄色の組み合わせでは、絵の具を混ぜると、黒っぽく濁ってしまいます。
 小中高校の美術の教育は、なるべくふつうの生活の中で使うのと同じことばを使うように工夫されているので、厳密には違うけれど、よく似た名前の色を代わりに使っているんです。



コンピュータ


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06-05-10