第07場

恵美　　　　　ここ、悪魔の城なの。
孝そうみたいですね。
恵美　　　　　やっぱり、不気味よね。
孝そうですね。
恵美　　　　　こう暗いと、何が何だかよくわからないし。
孝でも、悪魔が明るいところが好きだって話し聞かないですから。
恵美　　　　　さっきの悪魔は、なんか明るそうだったわよ。
孝たまに、そういうのもいるんじゃないですか。
恵美　　　　　双葉と、有里はどこへいっちゃったのかしら。
孝この城のなかにいることは間違いないはずだけど。恵美　　　　　あっ、もうだめ。
孝どうしたの、大丈夫、恵美ちゃん。
恵美　　　　　お腹が空いて倒れそう。
孝びっくりさせないでくださいよ。
恵美　　　　　だって、いきなりあんなのが現われたおかげで、せっかくのお菓子みんな置いてきちゃったでしょ。クッキー、一枚きりなんだよ、食べたの。
孝しょうがないな、実は、ポケットに、飴が残っているんですよ。食べます。
恵美　　　　　さすが、孝、気が利くんだから。
孝待っててくださいね。今出しますから。（ポケットから、飴をだそうとして落としてしまう）
恵美　　　　　どうしたの、手を放したら恐いよ。
孝飴が落ちちゃったんだ、ちょっと、待っててね、今拾うから。
恵美　　　　　私も探すから、手、離さないで。

恵美が手を伸ばすと、別の手が、恵美の手を握る。

恵美　　　　　孝くん、そんなに強く握らなくてもいいよ、私、孝くんの手を握ってさえいたら恐くないもの。...ねえ、そんなに強く握っちゃ、痛いってば。
孝えっ、まだ僕握っていませんよ。
恵美　　　　　だったら、この手はなんなのよ。（ぐいっと、ひっぱると、その先に、悪魔が）ぎやあ。
孝　　　　　（思わず悪魔にタックルし）恵美ちゃん、逃げて。
恵美　　　　　あんたを置いて逃げるわけにいかないでしょ。
孝恵美ちゃん、そんなに僕のこと...。ええい、この野郎。

以外とあっさりと、悪魔が恵美の手を放して逃げていく。

孝恵美ちゃん、大丈夫だった。
恵美　　　　　痛いけど、大丈夫みたい。
孝僕のことなんかほっておいて、逃げなくちゃだめだよ。
恵美　　　　　だって、孝くんと離れ離れになったら飴が食べられなくなっちゃうじゃないの。ここに、コンビニあるとは、思えないしさ。
孝恵美ちゃん。
恵美　　　　　えーっと、少しは、少しはさ、...。怒らなくてもいいじゃない。本当は、本当はさ...・。
孝恵美ちゃん、飴があったんだ。食べながら、みんなを探そう。　
恵美　　　　　うん。

手をつないだ二人が消えると、別の場所、双葉。