MPEG-2

　MPEG-2は、MPEG-1をさらに進化させたものに当たり、MPEG-1の機能に加えて次のような特徴を備えている。

・放送やビデオに使われているインタレーシングに対応している(△表の下部)。偶数番目のラスタだけを扱うトップフィールド表現(MPEG-1と同じ)も可能だ。
・放送やビデオでは、明るさと色合いとは互いに違う精度で記録/転送できる(△表の下部のCr/Cb部)。これらの組合せは自由に指定できる。
・空間スケーラブル=色が細かい録画から色が粗い再生もできる。
・時間スケーラブル=フレームが細かい録画からフレームが粗い再生もできる。
・雑音スケーラブル=セルが細かい録画からセルが粗い再生もできる。

　三つのスケーラブル性によって、高品位放送/録画をふつうの機器でも見ることができる。
　なお、ラスタの本数(480本/525本/720本/1080本)やインタレーシングの方式(なし/2：1)は自由に指定できるようになっていて、統一はしていない。
　オーディオのコーデックについてはMPEG-2に固有のものはない。MPEG-1でオーディオレーヤとして定められている一群のコーデックがMPEG-2でもそのままの形で定められている。

　MPEG-2にとって最近の最も重要な分野は、DVDビデオとデジタルTV放送だ。
　DVDビデオでは、720×480セル、4：3(これからは16：9も)、AC-3(および単純なPCM)などの組合せでビデオにもオーディオにもMPEG-2が使われている。
　デジタルTV放送は、BS(=放送衛星)デジタル、CS(=通信衛星)、地上デジタル(従来のアナログTVから移行中)などの形態でサービスされているが、これらの放送ではMPEG-2が使われている。

　MPEG-2を記録/通信に使うには、S-VHS(720×480セル、30フレーム/秒)の画質で4～10Mビット/秒以上、高品位TVの画質で20Mビット/秒以上の速さに対応できる媒体が必要になる。
　MPEG-2が作られてしばらくの間は、ふつうのコンピュータのCPUの処理の速さでは、MPEG-2を録画/再生することができなかった。そのため、MPEG-2の録画/再生には専用の回路が使われていた。しかし、PentiumやPowerPCのように新しいCPUが開発されて性能がよくなったので、通常のCPUだけでも処理できるようになった。

画質	信号	525/60方式 =NTSC相当			625/50方式 =PAL相当
画質	信号	左右	上下	時間	左右	上下	時間
低	Y	360	240	約30 (=29.97)	360	288	25
低	Cr Cb	180	120	約30 (=29.97)	180	144	25
高	Y	720	480	約30 (=29.97)	720	576	25
	Cr Cb	360	240	約30 (=29.97)	360	288	25
		360	480	約30 (=29.97)	360	576	25
		720	480	約30 (=29.97)	720	576	25
		cell/ras	ras/fr	fr/sec	cell/ras	ras/fr	fr/sec