資料シート●情報処理

報告
タカラガイ
それはなぜ貨幣になったのか

鈴木陽子
(02年度受講生)

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/Literacies/shell/gallery/Suzuki.html



 原始社会の時代、人々は物々交換によって物資を入手してきた。しかし、生活に必要な食品は運搬するのに重かったり、腐ってしまったりと不都合なことが多かった。そこで古代人は、稀少性や美的感覚から珍重してきた貝装飾品に目をつけた。これならば価値が高いので、少量で交換できる。これが貝と物との交換の始まりである。

 装飾品に使われていたいろいろな貝の中で、特にタカラガイ類が貨幣として使われたのには、次のような理由がある。

・古来より、呪詛的な意味から特に貴重視されており、価値が高かった
・サイズが小さく、粒がそろっており、取り扱いに便利である
・棲息数が限られており、その数量がちょうどよかった
・素材が堅牢である
・美しい

 特に美しいということは、タカラガイが初期の貨幣として利用された大きな要因である。そもそも、タカラガイが装飾品として価値があったのは、その美しさからだろう。
 私はこの夏、伊豆諸島の式根島の海岸で、1個のタカラガイを拾った。調べた結果、それは、世界中で貨幣として使われてきたハナビラダカラガイだった。数ある貝の中で、この貝が私の目を引き、今は大切に保管されているのは、それが美しいからにほかならない。
 貨幣の収集家がいるのと同じように、世界中にはタカラガイの収集家が数多くいるらしい。タカラガイの色、つや、形には、古代人ばかりか現代人でさえ魅了するものがあるのだろう。

参考文献
白石祥平、ものと人間の文化史 貝、1997

 とてもよくできています。
 特に、列挙された五つの特性はどれもいい方向を向いています。
でも、これはまだ、ほんとうの学習のほんの出発でしかありません。

 鈴木さんの報告には、タカラガイの貝殻がほんとうにこの五つの特性を備えている(しかも合計ではほかの貝殻やそのほかの素材以上に)かどうかについての説明が含まれていません。たとえば、タカラガイは古来から呪詛的な意味で貴重だったとうことですが、具体的にはどんなことが行なわれていたんでしょうか?タカラガイは数が少ないというけれど、ほかの貝とはどのくらい違うのでしょうか?
 鈴木さんの報告を見てこの課題に興味を持つようになった人がいたら、こういったことをきちんと調べたり考えたりして、鈴木さんの報告の中の切れ目を埋めてみるというのもいいでしょう。
 欲張ってどれもこれもやろうとする必要はありません。一つのテーマだけを選んで、ていねいに取り組んでみてください。


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情報処理シェルタカラガイ
を履修した学生(本文に記載・敬称略)が学習の一環として制作したものです


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02-09-18