学習書●情報処理

演習
タカラガイ
タカラガイの意味
報告

太田裕子
(02年度履修生)

http://www.infonet.co.apt/March/syllabus
/Literacies/shell/gallery/Oota.html




 古代社会では、長い間物々交換が行われていた。その対象となったのは、売れ行きがよく価値の高い、いつでも、誰とでも交換可能な家畜・奴隷・穀類・塩などである。しかし、これらは、重くかさばって携帯に不便だったり、腐って使い物にならなかったりする欠点をもっていた。貝殻は、その美しさゆえ価値が高く、軽くて携帯、運搬に便利である。また、長く保存でき、価値が変わらない。その上、自然のものなので収穫される量は限られるが、流通するのに必要なだけの量は確保できるという利点もある。そこで貝殻が交換の媒体となっていったのである。
 
 それでは、貝は、なぜ貨幣として使われるようになるほどの価値を得ていたのだろうか。

 古代人とりわけ権力者は、生命、豊穣、復活に対する願望が強く、これにかなう呪物を収集して墓に収めた。貝には、死の海を無事に渡りきり、生まれ変わることを助ける力があると信じられていたのだ。実際に、そうした墓の発掘によって貝貨が使われていたことがわかったのである。

 また、貝は海や水と関連することから、古来、宇宙の母体、生命の誕生、再生、愛、生殖、豊穣のシンボルになっていた。ボッティチェッリが海から誕生したウエヌス(ビーナス)を貝殻の中に立たせて描いたように、貝は愛を象徴することもある。固く閉じた殻を開くと貝の中身が出てくることから、安産が連想されたようだ。中でもタカラガイは、その形が女性器に似ているため、こうした呪詛的意味がとりわけ強かったのではないかと思われる。

 古代遺跡から発掘される品々、例えば土偶から伺い知れるように、寿命が短かった古代の人々にとって、生殖や豊穣に対する願いは現代よりもずっと切実だったのだろう。タカラガイは、そのような社会で偉大なる力を秘めた貝として尊ばれ、貨幣になりえたのだ。

参考文献

白井祥平、ものと人間の文化史 貝、(法政大学出版局、 1997)



このページの記事は 表記の学生が学習の一環として著作した報告(一部調整)です

情報処理ウィンドータカラガイ


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