科目学習書●[コミュニケーション実習D(メディア)]

設計+制作
ビデオ


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http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/Communication/video.html



この単元の目的


 各セメスタの最後の単元は、そのセメスタで学習してきたメディアの特徴を活かして、表現を実際に行ないます。
 一つの作品を表現する過程は、いくつもの工程から成り立っています(▽図)。

設計
制作
発表

 この単元では、これらの工程の全部を自分で実行してもらいます(もちろん役者裏方の協力はきっと必要でしょう)。

 発表については省略したりセメスタが完了したあとで作業したりすることになるかもしれません。

 今回は、セメスタごとに1点ずつビデオ作品を制作します。作品のキーワードは共通のものが指示されますが、それをどんな表現に展開していくか決定して実行していくのは各自にまかせられます。

 この体験を通じて、各自が、自分で作るべきものが何か、そしてそれはどうすれば作れるのかを考える力を身につけてください。




作業の目標


 ビデオ作品を設計+制作してください。
 長さは2〜5分とします。なお、5分の作品は、シナリオで5枚、絵コンテで10枚ぐらいに当たります。
 Premiereのモニタウィンドーで再生できるように作ってください。

 講評が完了したあとで、発表のためにDVCDVDなどに記録しなおす作業を行なうこともあります。

 作品の内容は、共通のキーワード(▽図)に基づいて、各自で決めてください。

年度
セメスタ
キーワード
04





以前の年度のキーワード


制約

 この課題の制作については、学校の機材では、実習室のカメラと編集機は自由に使ってかまいません(自分で調達できるのならそのほかの機材を使ってもかまいません)。

・カメラは週末に借り出して使ってください(事情がある場合は相談してください)。
・自分で機器を操作しない場合は、必ず、これまでに[コミュニケーション実習D]を履修したことがある学生にやらせなさい。
・そのほか、これまでのほかの課題と同じように、規則と作法をきちんと守って使いなさい。

許容

 脚本と監督は本人が担当しなければいけませんが、それ以外はほかの学生に手伝わせてもかまいません。また、既存のストーリや素材(音楽など)を使ってもかまいません。

 ほかの作品を、作者に断らないで参考(原作など)にしたり引用(背景音楽など)したりした場合は、あとでコンクールに応募する場合などに制約を受けることがあるかもしれません。


自分で調達する道具/材料

○ビデオテープ(=撮影用)
 ・DV用
 ・ミニ型(ほかにスタンダード型があるが使えない)
 ・30分用(60分用でもいい)
 ・メモリ機能は不要
○ヘッドホン
 ・プラグ:ステレオミニ(変換でもいい)
○小道具など





演習の手順


計画

 時間が足らなくなったりしないように、制作が完了するまで(事情が許せば発表まで)の工程は、いくつかの提出報告などのイベントを節目にしながら進めていきます。
 最初に、課題の日程表を埋めながら、全体の日程を確認しておきなさい。

日程表


調査

 決められた話題について、それが現実の世界やいろいろな作品(小説、映画、まんが、歌など)の世界にどのように登場しているか探し出してください。そのものではなくても、何かの関わり合いがあるものでもかまいません。
 発見した事例は
・コピー(A4)
・ビテオ(VHS、DV、DVDなど各1/2〜1分)
・音(CDなど各1/2〜1分)
などで記録し、それぞれに見つけた場所や日時や注釈をつけて整理しておきなさい。
 少なくとも5点以上は見つけてください


調査報告

 調査の結果をみんなに報告してください(3〜5分ぐらいずつ)。
 見せる側も見る側も、この場での新しい発見があったらよく覚えておいて、作品の設計に活かすようにしなさい。


企画発表
(オプション)

 自分が企画している作品についてみんなに説明してください。少なくとも次のことがらについて聞かせてください。

・監督(=自分の氏名)
・題名
・表現(ストーリ、せりふ/アクション、絵/音作りの方向など)
・内容(見せたい/聞かせたいもの、感じさせたい/考えさせたいもの)

 話すだけの発表にしてはいけません。実際に見たり聞いたりできるもの(フリップやビデオなど)を必ず示しなさい。

・発表の時間は2分間ずつ(人数によってはもう少し長くするかもしれない)
・DV、VHS、CD、オーディオカセットについては再生できるように実習室で準備しておくが、そのほかの機材が必要な場合は自分で準備する


これまでに作られた作品

03年度
02年度 | 01年度 | 00年度 | 99年度 | 98年度


シノプシス
(オプション)

 一つの物語りが作品を通じて描かれているような作品(ドラマなど)では、その物語り(の特に最初と最後)をはっきりさせておくと、そのあとの作業が進めやすくなる。物語りを簡潔に(でも最初と最後だけは省略してはいけない)説明したものをシノプシス(synopsis)という。


ことし作ろうとしている作品のシノプシス

シノプシス


絵コンテ/シナリオ

 企画が確認されたらシナリオ/絵コンテを作る。
 ある程度の長さの作品を作るとなると、細かい所を決めてもそれをいちいち覚えていられないし、決めたつもりでも見落としがあるのが当然だ。そこで、撮影にとりかかる前に、観客に何を見せる/聞かせるか具体的に決めて書き出しておく必要がある。このための形式にはシナリオ絵コンテがある。現場ではシナリオ/絵コンテを見て撮影をするし、編集もそれらにしたがって進めていく。また、香盤表を作るのにも必要だ。
 シナリオ/絵コンテは撮影の現場で決めるという作り方もあるが、この課題では、現場に入る前に設計しておいたことが現場では実現できたかどうか検証することによって、表現とその手段との関係が理解できるようになってほしいので、この作り方は採らません。
 シナリオ/絵コンテを書きながら作品の内容を細かく決めていくわけだから、シナリオ/絵コンテを作るということは、実は、作品そのものを作ることと同じだと考えてもいい(もちろん実物ができなかったら何も作らなかったのと同じだが)。極論だけれど、あとの撮影や編集は、自分が決めておいたことが実際に実現するかどうかを検証してそれを楽しむ手続き(自分の料理を試食してみるみたいなね)に過ぎないと言ったっていいぐらいだ。特にこの課題ではシナリオ/絵コンテを作るのに全力を注いでほしい。
 演出の意味を直接に書き出しておきたい場合はシナリオが向いている。シナリオの主要な要素はせりふだ。シナリオはシーンごとに書いていく。
 観客に示す絵や音を直接に示すのには絵コンテがむいている。絵コンテはの主要な要素は構図で、これを実際に絵として描き出しておく。したがって、絵コンテはショットごとに描いていく。
 いっぱんには絵コンテの方が書き出しておける内容が多い。だから、書き直しがあるかもしれない初めのうちはシナリオで設計し、それが固まってきたらあとは絵コンテを描いてそれを直していく、という作り方もある。しかし、この課題では時間も限られているので、どちらかができていれば実際の作業には十分だろう。


ビデオラフ
(オプション)

 シナリオ/絵コンテができたらビデオラフを作る。
 シナリオ/絵コンテを実際の作品と同じ長さでビデオに撮ったものをビデオラフという。もちろん、まだ撮影は始めてないから、絵は鉛筆などで書いた絵(たとえば絵コンテの駒)でいいし、音も自分で読み上げたせりふとマイクでスピーカから録った音楽や演技音でいい。
 ビデオラフがあれば、制作を始める前に以下のようなことがらを確かめておける。

・全体の長さとペース
・テンションの配分
・それぞれのショット/シーン/シーケンスの長さのバランス
・それらを切ってつなぐタイミング
・つなぎ目の前後のコントラスト
・ストーリやメッセージの分かりやすさ

 ビデオラフは作品の下描きに当たるものだから、きちんとできていれば、そのショットをそれぞれ撮影した絵と音で差し替えていくだけでそのまま作品が完成できるはずだ。そのつもりでしっかり作っておきなさい。


設計発表
(オプション)

 ビデオラフを上映します。
 制作に参加してもらう人たちに呼びかける機会でもあるので、魅力があって明確なプレゼンテーションができるように心がけなさい。


香盤表
(オプション)

 [制作]に進めることが決まったら、香盤表を作る。
 撮影をするために、いつ、どこに、誰を連れて行かなければならないか(または何を持って行かないといけないか)をシーンごとに書き出しておく表を香盤表という。撮影の日程を決めるのには香盤表が必要だ。
 資料[映像メディアの作り方](抜粋)や資料[香盤表]に香盤表の使い方や作り方が書いてあるのでよく学習しておきなさい。




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05-12-16