寄稿●三月劇場

アトムの時代
04


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http://www.infonet.co.jp/apt/March/paper/AtomicAge/04.html



 現在の見慣れた目で見ても、パイロットを兼ねて作られた[アトム誕生の巻]はほんとうにしっかりと作られています。音のタイミングがおかしくい所が少しあるみたいですけどね。
 日本のTVまんがの歴史が[アトム誕生の巻]で始まったということは、ほんとうにいいことだったと思います。だって、俺たちは、ろくに映らないTVを前にして、必ずしも[アトム誕生の巻]のクオリティを実現できない誕生の時代のTVまんがを見ながら、心の中では[アトム誕生の巻]のクオリティを夢見ることができたんですから。

 何回か前の広島のアニフェスで、マクラレン(McLaren, Norman)が壁にかけていた額の写真の展示を見ました。マクラレンはカナダのNFBで活躍していたアニメーション作家です。その額には、マクラレンのメッセージが書かれていて、最後はこう締めくくられていました。

あなたの作品を見る人たちは、あなたが描いた絵を見るのではない
あなたが描かなかった、絵と絵との間の暗闇に浮かび上がる絵を見るのだ

 俺たちは、たぶん、同期が外れて斜めに流れたTVのスクリーンに、"絵と絵との間の暗闇に浮かび上がる絵"を見ていたんでしょう。そして、その絵を想像する力は、[アトム誕生の巻]から贈られたんです。



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[三月劇場]


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