寄稿●三月劇場

アトムの時代
02




http://www.infonet.co.jp/apt/March/paper/AtomicAge/02.html



 64年から65年にかけて、TVまんがは雨後のタケノコのように増えていきます。人々はこの現象をTVまんがブームと呼び始めていました。
 この時期にアニメーションとして放送されたTVまんがを表にまとめてみます。

64-01〜64-10 0戦はやと
64-06〜65-08 風のフジ丸
64-08〜65-09 ビッグX
65-01〜66-01 スーパージェッター
65-02〜65-11 宇宙パトロールホッパ
65-05〜67-03 宇宙少年ソラン
65-05〜66-04 宇宙エース
65-06〜66-05 遊星少年パピィ
65-06〜66-06 W3
65-08〜69-03 オバケのQ太郎
65-10〜67-03 ジャングル大帝

 [遊星少年パピィ]は[鉄人]の、[スーパージェッター]は[8マン]の後番です。[風のフジ丸]は、何と原案が白土さんの[忍者旋風]だったんだそうです。
 この時期のTVまんがを、当時の朝日新聞は超少年ものと呼びました(文献未確認)。しにせのアトムやケンも含めて、超能力を持った少年が活躍するシリーズ、というまとめ方です。
 超少年たちは孤立していました。狼でいて狼ではないケン、撃墜王の子としてそねまれる隼人、ホッパ星に一人きりで救われた地球人ジュン、未来に帰れないジェッター、宇宙の環境に適応して帰還したソラン、パピィ、フジ丸、エースたちは確かにアトムの同志でした。彼らは、その環境の中では優れた能力を発揮できますが、その能力のゆえに、または本来の環境から切り離されていることによって孤独です。この設定の意味づけは、作品によって時に本気だったり時にただのスタイルだったりしましたが、ともかくプロットの中核になっていました。

 おもしろいことに、アトムの属性を形式的な部分(つまりロボットだという属性)で引き継いだキャラクタは、必ずしも意味的にはアトムの後継者(疎外された超少年)にはなっていないような気がします。
 アトム級によく知られたアンドロイドってったら、ずっとあとの時代に登場するドラえもんやアラレちゃん([Dr.スランプ]の)でしょうか。彼らの物語は、彼らがロボットだということによって展開したりはしません。彼らが人間でないということを、のび太の親や友だちも、ペンギン村も、そのまま受け入れているんです。現実の社会の方はよく分かりませんが、少なくとも物語の中の社会は、60年代と80年代とでは変わってしまってるらしいんです。
 [Dr.スランプ](80年版[アトム]の裏番組だったんですよねぇ)の中で、自分がロボットであることのために葛藤しちゃうのは、アラレではなくて、マシリト博士が打倒アラレを目指して開発したキャラメルマンえ〜と何号でしたっけ、つまりのちのおぼっちマンの方です。おぼっちマンが、アトムとそっくりそのままの全く同じ造形だってことは、実は本質的だったんです。きっと。





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