[左耳の精霊]
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仏通寺・参道


 ケルティック・アンビエント調の曲。
 五百羅漢の石仏。
 御影が参道を歩いて来る。(シーン#8と同じ構図)

水樹の声「未来への神話。来るべき者どもへの神語りなり。今は昔、露国との長き戦の折り己が夫の無事を願い、村の女どもの千人針を作りて黒髪を奉納し奉りし社あり。八雲神社と言う也。女どもが中に、地鳴りの響き善く聞こえし左耳を持つ者有り。名をおりんと言いける也」

 石段を登る御影。
 巨大な杉を見上げる。

水樹の声「ある朝、おりんがもとに、夫の戦死知らせし便りの届きけるが、あまりの悲しさに己が黒髪を奉納せし八雲神社の社に赴く也。身も世も無き有様になりて泣き崩れし折り、己が左耳に語りかけたる声あり。一匹の鬼也。異形の魔物なれど、その声、形にそぐわぬ響き也。おりんが左耳に聞こえけるは、地鳴りの響きのみにあらず、鬼の声も聞こえしもの也」



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98-09-10