[左耳の精霊]
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http://www.infonet.co.jp/apt/March/QMF/Yosimatu/SpiritusLoci/ scene/07.html




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民俗学研究室


 "篠原研究室[民俗学]"の木札。
 常盤が机に腰かけて、デジカメをいじっている。

常盤水樹、このカメラの日付、2012年になってるぜ」

 水樹がリュックに地図やノートなどをつめている。

水樹「え?何?なんて言ったの?」

 水樹のバックの壁には1997年10月のカレンダー

常盤「(カメラをかまえて)日付、なおしとこうか?」

 常盤の覗いたフレームの中の陽光を浴びた水樹の横顔。
 フレーム内の日付は2012年10月。

水樹「左側でしゃべらないで。よく聞こえないんだから。」

 シャッター音とフラッシュ。

水樹「あっ!もう、遊ばないでよ」

常盤「(フザけて)五百羅漢で神隠しにでもあったら、遺影に困るだろ?」

水樹「縁起でもないこと言わないで。あれは100年も昔の話。それに、神隠しは、五百羅漢じゃなく、八雲神社の裏稲荷の方よ」

 水樹、バタバタと準備に忙しい。

常盤「しかし、石仏好きだね。お前の撮った写真でオレのホームページの容量、パンクしそうだよ。賃貸料もらわなきゃ、あわないよなぁ・・・」

 デジカメの日付を直しながらながらブツブツ言う常盤
 目を上げると、目の前に水樹

水樹トキワくん(常盤の鼻先を勢いよく指差して、教授のモノマネ)民俗学の基本は何かね?」

常盤「(たじろぎながら)フィ、フィールドワーク」

水樹「よろしい!」

 水樹常盤からデジカメを取り上げ、リュックへ入れる。

水樹「帰ったら、ホームページよろしく!」

 水樹、言い残して、研究室を出てゆく。

常盤「おい!神隠しの稲荷に近づくなよ」

 ドアから手だけ残して返事をする水樹
 常盤、やれやれといった表情。






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