[ラブレター](
*00)といえば
岩井俊二監督の傑作が思い浮かぶが、もう1つの
[ラブレター]をビデオ屋で見つけた。最近あちらこちらで評判となっている
[鉄道員]と同じ浅田次郎の原作である
森崎東監督の
[ラブレター]である。
中井貴一が離婚したチンピラの役で出ている。残念ながらこちらはさほどいい出来ではなかった。原作を読んでいないので原作との比較はできないけど、きっと原作の方がいい出来なのであろう。感動もなかったし、リズムも悪くて、見ていてかなり疲れた。
こういうふうに、題名が同じでも中身が違う映画というのがたまにある。例をあげようと思ったが案外思いつかない(
*01)。たしか、2、3度同じ題名に引っかかったことがあるような気がするが、思い出すことができない。むしろ、リメーク作品とオリジナルとがごちゃごちゃになっている場合のほうが多いかもしれない。
[姿三四郎]を最初に見たとき、戦前の
黒沢明作品なのにどうして加山雄三が主役なのか悩んだものである。
[どん底]もジャン-ギャバン主演のものもあれば
三船敏郎主演のものもあるといった具合で、他人と映画の話をしている時は注意しなければならない。同じ映画の話をしているつもりで違う映画の話になっていることがあるからだ。
題名にこだわってきたが、それとは逆に、題名をすっかり忘れているのに、話だけはしっかりと記憶している映画もたまにある。昔大映の映画館で観た
太田博之が主演の映画(
*02)などは実によく覚えている。父親と流しをして暮らしているバイオリンの天才少年が密航してモスクワへたどり着く話で、父親(もしかしたらおじいさんだったかもしれないが)役は
宇野重吉だった。この映画で何がすごいといって、太田博之が主役だったにもかかわらず、(そういう宣伝だったと記憶している)彼は最後の5分くらいしか出てこないのだ。モスクワへたどり着いて、一流のバイオリニストになった彼が日本に戻って凱旋公演をするシーンに出てくるのみで、あとのほとんどのシーンは子役が(誰かは忘れたが)演じていた。
さて、実はこの映画をこんなにはっきり記憶しているのには訳がある。少年がシベリアで無銭旅行をしながら横断しているとき、森の中で現地の少年と歩きながら
コケモモを食べるシーンがあるのだ。ロシア人の少年が森の藪から木の実を取って、"
コケモモだよ"と言って主人公の少年に食べるように勧めるのだ。
コケモモとは、いったいどんな食い物であろう。このとき以来、気になっていたので注意していると、小説には結構、この
コケモモを使ったジャムやパイがよく出てくる。しかし、残念ながらいまだに食べたことはない。桑の実やブルーベリーに近いのではないかと想像しているが、いまだ見果てぬ夢の木の実である。
ジャムのよくあう食べ物といえば、クレープやホットケーキの類がある。リンゴジャムにあわせて食べるというのであれば、そば粉のパンケーキなどは手軽なだけでなく、リンゴの酸味に合っておいしいものだ。作り方は簡単で、コップ一杯のそば粉にコップ一杯の牛乳を混ぜて、油を引いたフライパンで焼くだけである。
ホットケーキをパンケーキといって売っていることがある。これも確かに同じパンケーキではあるが、その味は似ても似つかぬものである。
と、ここまで書いたのが昨日のことで、今日になってから、なぜ
[ラブレター]の話をしようとしていたのか書くのを忘れていたことに気がついた。
よく利用していたガソリンスタンドが先々月ぐらいに店を閉めてしまったのだが、一昨日、そのなくなったはずの店から、葉書が届いたのだ。"そろそろオイル交換の時期ですね。当SSではお客様のご来店をお待ちしております"。今日もそのスタンドの前を通って帰ってきたのだが、閉ざされた柵には"閉店しました"という文字が。
ねっ、
[ラブレター]でしょ。