戻る 光ファイバー   (Optical Fiber)



光ファイバーといえば、 まず胃カメラを連想します。 体の中の、 胃の内部がはっきり見えるのは本当に不思議です。

光の反射   光の屈折
屈折 全反射

光は、屈折率が高い物質から低い物質に進もうとするときに、 ある角度 (臨界角) 以上の角度で入ろうとすると、 境界面で全部反射される性質を持っています。 これを全反射といいます。
上の写真は、 赤いレーザーの光がミルクと煙で少し濁っている水と空気中を進む様子です。
左下から進んできた光が、 左の写真は屈折して空気中に進んでいるのに対して、 右の写真では全反射して水中に戻っています。

glass in water glass in water

上の左の写真はガラスのコップを逆さまにして、 水中にそっと沈めています。 コップの中味は空気です。
コップは透明ですが、 水もガラスも空気より屈折率が大きい ので、 光はコップのガラスで全反射してコップを持つ手を鏡のように映しています。
右の写真は水槽の中の熱帯魚です。 水面近くを泳いでいます。
この場合も水面で光は全反射するため、 水面は鏡のように水中の魚を映しています。

これらは、 全反射のごく身近な一例です。
光ファイバーは、 光のこの性質を巧みに利用しています。

光ファイバーは石英で出来ている屈折率の高いコアと、 屈折率の低いクラッドとの 2 層構造になっています。
コアの部分に光を照射すると、 コアとクラッドの境界面で光が全反射するため、 ファイバーを曲げても光が外に漏れることはありません。

通信に使用するファイバーには MMF(Multi Mode Fiber)SMF(Single Mode Fiber)があります。

MMF (Multi Mode Fiber)
multi mode fiber

MMF は一般的に、 コアの径が 50μm(0.05mm)、 クラッドの径が 125μm (0.125mm) のものが使用されています。
上図の通り、 いろいろなモードの光がコアとクラッドの境界面で反射しながら伝搬するため、 モード間の伝搬時間に差が生じます。 光の信号の形が次第に崩れるため、 長距離伝送には向いていません。 反面、コア径が大きいため、 発光素子との光の結合効率がよいという特徴があります。 通常 2km 程度までの伝送に使用されます。

SMF (Single Mode Fiber)
single mode fiber

SMFのコア径は 9μm (0.009mm。 なんと、1/100mm より細い!) です。
単一モードの光だけを伝送するので波形の乱れがありません。 長距離伝送に向いていて、 40km 程度の伝送ができます。
コア径が小さいため、 発光素子との光の結合効率は悪くなります。


光ファイバーを用いた光通信には、
  1. 伝送容量が大きいため、 高速データ伝送が可能。
  2. 電気的なノイズを受けない。
などの特徴があります。